加藤雅之議員の本会議一般質問

長期戦略

【質問】

リアルの世界で皆が活躍するために、セーフティネットの強化と多様性を高める取組を進めることが大切であるが、年度内策定予定の長期戦略にどう盛り込んでいくのか、知事の見解を伺う。

【知事】

長期戦略についてであるが、東京の活力の源泉は、「人」である。デジタル化が進んだ社会にあっても、「リアル」な世界で活躍する「人」の力こそが、東京の課題を克服し、成長をもたらす基礎である。

「『未来の東京』戦略ビジョン」には、子供から高齢者、障がい者や外国人など、様々な人に寄り添い、多様性に富んだ「人が輝く東京」を実現していくことを基軸に据えたプロジェクトを数多く盛り込んでいる。

東京に暮らす誰もが安心して生活し、最大限の力を発揮できることこそが、持続的な発展につながっていく。そのためには、社会の変化・変革に対して、人々の安心を支えるセーフティネットのさらなる充実や、ダイバーシティの推進が不可欠である。

先般、国内外の有識者による、東京の構造改革に向けた提言において、コロナ禍の影響を踏まえ、社会のセーフティネットを改めて強化すべきこと、多様性を更に高め、より良い社会の実現や、イノベーション創出に活用すべきことなどの意見を頂戴した。

こうした視点を踏まえ、政策を練り上げ長期戦略に結実させることで、一人ひとりがいきいきと躍動する活気に満ちた持続可能な都市東京の実現に取り組んでいく。

DX
※デジタルトランスフォーメーション

① 高齢者等のデジタルデバイド対策について

【質問】

区市町村が講習会を開催するにあたり必要となる講師や情報端末の確保などの支援を行うとともに、都の地域底力事業発展事業の周知や拡充、老人クラブ助成事業の拡充、通信事業者とのタイアップなどで講習会を広く行える環境を整備すべきだが、宮坂副知事の見解を伺う。

【宮坂副知事】

高齢者等のデジタルデバイド対策についてであるが、高齢者を始めとする年齢格差や身体障碍の有無等、様々な要因でデジタル技術に触れる機会が少なく、オンライン等による手続が困難な方々がいる。

デジタル社会の実現に向けては、こうした方々が行政サービスで不便を被らないよう、一人ひとりが最低限度の情報通信技術を活用できる環境をつくっていくことが重要である。

このため、都では、「東京デジタルファースト条例」において、デジタルデバイドを是正していくことを明記した。

この格差の是正を実のあるものにしていくためには、区市町村のみならず民間の活動とも連動した複合的な視点からの対策も重要である。

例えば、地域の助け合いの場である「自治会・町会」や「老人クラブ」と連携し、日ごろからインターネットに接している方が、使えない方を支援するという共助の仕組みを広めるべく、(御指摘の)都の様々な既存事業を活用していくことも1つの対策である。

また、サービスを提供する通信事業者が、高齢者等向けのスマートフォンの開発を進め、それらの普及を図っている。こうした通信事業者とは、先日の「TOKYO Data Highwayサミット」を通じて、顔の見える関係を構築しており、引き続き、しっかりと意見交換していきたい。

このように、民間の活動も視野に入れながら、区市町村とも連携し、都として、誰もがデジタル化の恩恵を享受できるよう、デジタルデバイドの是正を図るべく、重層的な支援策の検討を進めていく。

② データを活用した疎密情報の提供について

【質問】

感染拡大が収まらない現状においてはなお一層、データを活用した混雑回避のための官民連携が重要であると考えるが、現状の取り組みについて答弁を求める。

【戦略政策情報推進本部長】

データを活用した疎密情報の提供についてであるが、都では、民間からの提案により、データを活用して混雑回避等のための新たなサービスを提供する実証事業を行っている。加えて、混雑情報を収集・配信する企業等約40者が集まって、施設系混雑ワーキンググループを設置し、店舗等の疎密データの提供にあたっての共通の運用ルール作りなどの議論を開始した。そのうち一部事業者とは先行して協定を締結し、実際のサービス提供を進めていくこととした。今後は、その輪を広げ、地図上に複数の企業の疎密データをまとめて表示できる取組を推進していく。

こうしたデータを活用した取組を通じて、感染リスクの高い混雑の回避につなげるとともに、新たなサービスの創出を積極的に後押ししていく。

地域防災力の強化

【質問】

テレワークで生まれた時間を有効に使って、地域や社会に貢献するという気運を都が醸成することが大切である。防災の観点からも、働き方の変革の機を捉え、働く世代が地域の防災人材として活躍できるよう積極的に働きかけることが重要であると考えるが、見解を伺う。

【総務局長】

地域の防災力の向上についてであるが、コロナ禍での働き方改革を契機にして、働く世代が地域の防災活動において活躍することは、共助の要である町会や自治会等の大きな力となり、地域の防災力の向上に大きく寄与するものと考えられる。

このため、町会等を対象とした防災の専門家による出前講座の内容に、働く世代の参加を促し、そのマンパワーを効果的に活用するノウハウを新たに加える。

また、防災の基礎を学べる都民向けのセミナーや女性の防災人材を育成するセミナーを、テレワークを行う働く世代がリモートで学べるようオンラインで実施する。

こうした取組を通じて、町会等や働く世代の双方が連携する気運を高め、地域防災力の一層の充実を図っていく。

町会・自治会の活性化

【質問】

様々な地域課題に対処していくためには、他地域の事例など幅広い意見も参考となる。そこで、町会・自治会が外部の意見を気軽に聞けるような仕組みが必要と考えるが、見解を求める。

【生活文化局長】

町会・自治会の活性化についてであるが、都は、活動の担い手不足等により地域の課題解決に踏み出せない町会・自治会のため、企業で培った経験やスキルを生かしたボランティア活動、いわゆるプロボノを活用した支援を実施している。

本事業によって、従来とは違った視点や考え方を取り入れた取組が行えることが期待できるため、より多くの町会・自治会に活用してもらうことが重要である。

そこで、今年度は、実際にプロボノを活用した団体が当該団体の取組に関心のある他の町会・自治会の会合に赴き、その効果を直接伝えてもらう事業を実施する。

今後は、こうした取組に加え、プロボノのさらなる活用促進に向け、ニーズを踏まえたマッチング等を行う仕組みを検討する。

親子ふれあい住宅

【質問】

今後更に、この制度が、親子の助け合いを支援するとの趣旨に即して活用されるよう、戸数を増やすなど、実施に当たり一層工夫を凝らすべきと考えるが、都の見解を伺う。

【住宅政策本部長】

親子ふれあい住み替え募集の工夫についてであるが、この制度は、一定の条件のもとで都営住宅の居住者に住宅変更を認め、親世帯と子世帯の近居を可能にするものである。

平成12年度から実施し、令和元年度までの5年間の募集では、親世帯100戸に対し、291世帯の応募があり、子世帯100戸に対し、89世帯の応募があった。

今後、利用希望者のニーズを踏まえた、住戸の立地や間取りの提供、募集戸数の拡大など、工夫を凝らし、親世帯と子世帯が助け合いながら、安心して生活ができるよう、この制度の一層の活用促進に努めていく。

若年被害者の支援

【質問】

困難を抱えた女性に対し相談窓口、居場所の確保、自立支援などを行う事業が平成30年度よりモデル事業としてスタートしたが、今年度で終了することとなる。来年度からは都として本格実施するべきと考えるが、見解を伺う。

【福祉保健局長】

若年被害女性等支援モデル事業についてであるが、都は、平成30年度から、様々な困難を抱えた若年女性の自立を図るため、民間団体等と連携しSNSを活用した相談や夜間の見回り等のアウトリーチ、一時的な居場所の提供等を行うモデル事業を実施している。

今年度はコロナ禍にあっても適切な支援が行えるよう、本事業を実施する民間団体に対して、マスク等の衛生用品の購入や、SNS相談の体制強化のための経費等を追加で支援している。事業開始から本年9月末までの実績は、相談件数は約5万件、アウトリーチは約200回、宿泊を伴う居場所の提供は約150名であり、多くの若年女性を支援してきた。こうしたことを踏まえ、今後、若年女性の個々の状況に応じた支援を一層進められるよう、事業の本格実施を検討していく。

金融取引の問題

【質問】

都として、このファクタリングの実態を調査し、適正な取引が行われるよう取り組むべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

ファクタリングについてであるが、主に売掛債権の取引により、早期の現金化を図るファクタリングは、中小企業などの資金調達手段として活用が広がりつつあるが、法律などによる規制がなく、お話のいわゆる「二者間取引」などでは、高額な手数料を徴する事例も発生している。

このため都は、今年度、ファクタリングの実態の把握を目的として調査を行う。具体的には、委託により「二者間取引」を中心に様々な取引事例を収集し、中小企業の利用や契約の実態、手数料の状況などを分析して、対応すべき課題を明らかにしていく。

この調査の結果を踏まえ、中小企業等が安心してファクタリングを利用できるよう、今後の対応策について検討していく。

広域防災拠点

【質問】

必要に応じて適宜見直しを行うとなっている災害時行動マニュアルの改訂について、墨田区の取りまとめ作業を都として支援すべきと考えるが、見解を伺う。

【総務局長】

白鬚東地区防災拠点における災害時行動マニュアルの改訂の支援についてであるが、本地区は、災害時の避難場所に指定されていることに加え、備蓄倉庫や貯水槽などを備えた防災上の拠点であり、高い防災機能を有している。

こうした機能を有効に活用していくため、行動マニュアルについては、地域防災計画の修正や施設の整備状況、災害の発生状況など、必要に応じて適宜見直しを図ることが重要である。

今後、地元区による行動マニュアルの改訂に当たっては、都としても、関係各局が連携して、感染症への対応や、風水害時における避難誘導を加えるなどして、防災拠点としての機能が一層発揮されるよう、区の取組を支援していく。

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