都議会公明党を代表し、知事提出の全議案に賛成し、議員提出議案第10号、第11号、第12号及び第13号に反対の立場から討論します。
初めに、物価高対策についてです。
都は、都議会公明党の求めに応じ、9月1日より、単品スライド制度の運用を見直しました。このことは、評価いたします。その上で、年一度しか価格改定されない単価契約についても、臨時の措置として、年内に今一度、価格改定を行うべきと代表質問で主張しました。
これに対し都は、最新の資材価格を契約単価に反映するよう検討していくと答弁しました。都の政策連携団体も含め、迅速な対応を強く求めるものです。
今回提案された補正予算案には、低所得のひとり親家庭への支援や、流行が懸念されるインフルエンザに対する高齢者への無料予防接種、医療機関・高齢者施設等への燃料高騰に対する直接的な支援など、都議会公明党の要望が反映されています。しかし、特別区への交付金を除く総額6,029億円のうち、物価高騰対策は263億円と全体の4%です。苦しんでおられる方々の立場に立った支援策が、ますます重要となります。
そこで、都議会公明党は、年金に頼る一人暮らしの高齢者の方や高齢者夫婦世帯の方などの、住民税非課税世帯への支援やボランティアや、寄付などで運営している子ども食堂などへのさらなる支援を求めました。
知事は、こうした方々への支援について、社会情勢を見据えながら、関係者とともに必要な対策を検討していく考えを示しました。また、子ども食堂に対する活動の充実に向け、子ども食堂へのアンケート調査の結果を踏まえ、都として取り組むと答弁しました。いずれも迅速に対策を講じるよう、強く求めるものです。
次に、中小企業への支援についてです。
都は本年2月、都議会公明党の要望を受け3年間で最大150万円の奨学金返済支援事業を開始しました。一方で、若者の生活に重い負担になっているのが住宅費です。都は、都議会公明党の提案を受け、若手社員向けの住まい確保に向けた中小企業の取り組みを支援していくと表明しました。今後、実効性ある取り組みを行うよう、強く求めます。
新型コロナ対策では、これまでも一貫して求めてきた、後遺症に対応する医療機関の拡充と地域医療機関との連携や、多摩地域も含めた万全の宿泊療養体制の整備、第7波までの教訓を生かして、緊急時に一気に患者を収容できる体制の整備などを訴え、いずれも、都から前向きな答弁を得ました。万全のコロナ対策に向け、全力で取り組むことを、求めるものです。
次に、UDタクシーについてです。
都は、都議会公明党の求めに応じ、本年度での打ち切りが予定されていた補助金の1年延長を決め、補正予算に令和5年度分も含めた約26億円を計上しました。コロナ禍で苦境にあえいできた事業者が安心して発注できるよう、迅速で丁寧な説明を求めます。
都議会公明党はまた、現在トライアルで実施している、いわゆる都民割「もっとTokyo」の本格実施などを求めました。都は、国の全国旅行支援の活用に合わせ、都民の都内観光への助成を本格的に展開することに加え、被災地応援ツアーも開始する考えを示しました。東京の観光産業の回復をしっかりと後押しするよう、強く求めるものです。
次に、子供施策についてです。
都議会公明党は、先の都議選の公約である、3つの無償化を含む政策目標「チャレンジ8」の実現に向けて都に要請を重ねてきました。本定例会の代表質問では、都の少子化が進んでいる現状を踏まえ、0歳児から2歳児までの子育て世帯への経済的負担の軽減策を求めました。
知事は、子育て施策について、政策分野の垣根を超えて対策を強化する必要があるとの認識を示した上で、子供を産み育てやすい社会の実現に向けて全力で取り組むと答弁しました。今後、具体的な取り組みを実現するよう強く求めるものです。
また、子どもが置き去りにされて亡くなるという痛ましい事故が二度と起こることのないよう、さらなる対策強化を求めました。
都が、各施設に対する緊急点検やデジタル技術を活用した取り組みへの財政的支援を行うとともに、組織横断の推進チームにおいて、事故予防策を戦略的に展開していくことを明らかにしたことを評価します。
私立高校授業料実質無償化について、都議会公明党はかねてから、対象となった保護者への補助金の早期支給を訴えており、本定例会でもその重要性をあらためて指摘しました。都は、令和5年度からの早期支給に言及しましたが、迅速な対応を強く求めます。
次に、教育施策についてです。
都議会公明党は、日本語を母語としない子ども達、一人ひとりの実情に寄り添った教育の重要性を訴えてきており、日本語指導を必要とする生徒たちの実態調査や日本語指導支援員等の配置を求めました。
都は、日本語指導をコーディネートする教員を対象に独自の研修を実施するなど、指導体制の構築と指導力の向上を図っていく考えを示しました。今後、日本語教育を推進する専管部署を早期に設置するなど、教育庁の体制の整備を求めるものです。
また、4月当初に教員が配属されない中学校が生じるなど、教員確保の問題は喫緊の課題です。選考制度の改善や、教員の長時間労働、給与体系の見直しなど勤務条件の改善に引き続き取り組むことを、強く求めます。
次に、医療施策についてです。
今回の補正予算には、都議会公明党からの強い求めに応じ、不妊治療における保険適用の対象外となっている先進医療の新たな助成制度が予算化され、対象も本年4月に遡って助成することが盛り込まれたことを、高く評価します。不妊治療に悩む方々が制度を十分に活用できるよう、医療機関や区市町村とも連携しながら、できるだけ早い周知を求めます。
次に、カーボンハーフ実現に向けた条例改正についてです。
都議会公明党は、新築住宅の太陽光パネルの設置義務化について、住宅価格の上昇などを懸念する多くの声を踏まえ、都民や事業者の納得と理解を得るよう求めてきました。今回発表された基本方針は、通常1棟当たり6キロワットの太陽光パネルの設置が必要であるところを、2キロワットの義務化にすることにより都民や事業者に設置の選択が可能となるなど、わが党の主張を踏まえた内容となっています。併せて、戸建て住宅を建築・購入する都民や事業者への支援の方向性なども打ち出されました。このことを評価いたします。
今後、都民に設置の選択が可能となったことや支援の具体策を丁寧に周知・広報していくことを求めます。
都議会公明党が推進してきたパートナーシップ宣誓制度がいよいよ11月1日からスタートします。
知事は、わが党の提案に応じ、受付開始と制度開始に合わせ、都庁舎とレインボーブリッジをライトアップし、気運の醸成を図る考えを示しました。互いに尊重し合う社会を実現するため、引き続き制度の周知に積極的に取り組むことを求めるものです。
また都は、わが党の強い求めに応じ、制度の施行開始に合わせ、全ての公社住宅を対象に、パートナーシップ関係にある方々の入居を可能とすることを、明らかにしました。これは大きな前進です。引き続き、都の行政サービスはもとより、政策連携団体、区市町村、さらには民間への理解促進についても、積極的に取り組んでいくことを、改めて求めるものです。
議員提出議案第11号、東京都立高等学校の入学者の選抜方法に関する条例案について申し上げます。
わが国の地方教育行政制度は、独立した教育委員会制度のもとで執行されており、政治的中立性の確保等が求められております。本条例についてはこの趣旨に大きく反するものと考えるものであります。
現場ではすでに、入学選抜試験にスピーキングテストを使うことを前提に、生徒達が準備をしています。直前にそれを使用しないということを、議会で議論すること自体、かえって現場は大混乱してしまうと考えます。
よって、本条例案には反対します。
共産党の条例案はいずれも「財政上の措置を講ずる」「補助金の交付」としながら、その財源について地方自治法が求める首長である知事との調整も図られておらず、財源確保の見通しも不透明です。よって、反対します。
最後に、昨今の度重なる北朝鮮の弾道ミサイル発射の暴挙に対し、国民の生命・財産を守り抜くため、断じて容認できないとの立場からわが党は、抗議決議を共同提案します。
以上、都議会公明党は、現場の声にさらに耳を傾けながら、都民生活を守り、東京の経済を加速化させていくことをお誓い申し上げ、討論を終わります。