都議会公明党を代表し、知事提出の全議案に賛成、議員提出議案第1号、第2号に反対の立場から討論を行います。
はじめに、令和6年度一般会計予算について申し上げます。
前年度と比べて4,120億円の増の8兆4,530億円となった令和6年度当初予算案には、都立・私立高校、都立大学等の授業料実質無償化の所得制限撤廃や、給食費の負担軽減、介護・福祉施設職員の処遇改善、激甚化する豪雨に対応可能な調節池の整備など、幅広い分野において、都議会公明党が提案・要請してきた内容が盛り込まれており評価いたします。
また、基金を未来への投資の財源として積極的に活用する一方、事業評価による見直しの徹底により、過去最高となる1,266億円の財源を確保できたことは、都議会公明党の提案により新公会計制度を導入して事業評価の取組を開始した平成19年度以降、18年間の合計で、約1兆円の財源確保となり財政基盤の安定に繋がりました。
今後も、急激な景気変動にも耐えられるよう、財政調整基金への積立も含め、更なる財政基盤の強化に取り組むことを求めるものです。
次に、教育費の負担軽減についてです。
都議会公明党がこれまで求めてきた私立高校の授業料の実質無償化の所得制限撤廃が実現しますが、保護者が一旦学校に授業料を納め、その後、授業料が返還されるという仕組みになっています。保護者の負担をなくすために、国の就学支援金の立て替えや都の特別奨学金の早期支給を求めました。
これに対し、知事は、今後、より一層速やかな支給が実施可能となるか、国や関係者との間で調整を図り、検討していくと答弁しました。保護者の負担軽減に向け、制度の見直しを早急に進めるよう、改めて強く求めるものです。
次に、親の就労の有無に関わらない保育利用についてです。
都議会公明党の提案に基づき、都が今年度から開始した「多様な他者との関わりの機会創出事業」について、第二子以降の無償化をはじめとした見直しを求めました。都は、第二子以降の利用料を無償化するとともに、より多くの児童の受入れが進むよう、保育所等に対する運営費補助を拡充することを明らかにしました。都議会公明党の要望を踏まえ、第二子以降の利用料を無償化したことを評価します。更なる事業の充実に取り組むよう求めるものです。
次に、介護職員・介護支援専門員居住支援特別手当についてです。
都議会公明党の推進により、来年度から新たに、月1万円~2万円の都独自による居住支援特別手当の支給が開始されますが、正規職員だけではなく、非常勤職員の方も支援対象とするよう求め、都は、週20時間以上勤務する非常勤職員の方も対象とする考えを明らかにしました。また、給与規程の改正が間に合わない事業者であっても、職員に手当を支給した場合には、令和6年4月分から補助することを求め、都は4月分から遡及して支給する考えを示しました。
さらに、年間の手当支給予定額を前払いで交付すること、4月に問合せ窓口を開設し、6月中旬から補助申請の受付を開始することを明らかにしました。全ての事業者に活用いただけるよう、都の丁寧な対応を求めます。
次に大規模地震対策についてです。
今回の能登半島地震では、道路が寸断され、早期の救命活動に支障を来し、避難者への支援物資の運搬にも遅れが生じたことから、沿道建築物の耐震化の現在の状況と、今後の都の取組について、知事の見解を求めました。知事は、約9割の建物が耐震性を有していることを示すとともに、防災意識が高まっているこの時を捉え、耐震性が確保されていない沿道建築物に対して一気呵成に耐震化を進めていくとしました。一日も早い100%の実現に向け、更なる事業の迅速化を求めるものです。
さらに、住宅の耐震化についてです。
都議会公明党は、戸建て住宅の耐震化に向け、都民への支援や周知の取組の強化を求めました。これに対し都は、平成12年以前に建築された新耐震基準の木造住宅への耐震化助成について、来年度から補助限度額を引き上げるとともに、新たにデジタル広告など様々な媒体を活用した広報を展開することなどを明らかにしました。
また、新耐震基準の住宅についても、耐震化促進税制の軽減対象とすべきことを求め、都は、来年度から、平成12年以前に建築された新耐震基準の木造住宅を令和7年度末までに耐震改修した場合も、新たに減免の対象に追加するとしました。耐震化の一層の促進に向け、都の積極的な対応を求めます。
次に、高齢者施策についてです。
都議会公明党は、昨年の第四回定例会に続き、シルバーパスの利用者負担について、住民税課税世帯も非課税者と同等の安い費用負担とすることを提案し、今般、都が「アクティブChojuプロジェクト」を進めることも踏まえ、シルバーパスの充実を図るよう求めました。これに対し、知事は、今後、新たな時代にふさわしいシルバーパスの役割について、課題を整理していく考えを明らかにしました。高齢者の社会参加と福祉の向上に重要な役割を果たすシルバーパスの充実を改めて強く求めます。
次に、共産党提出の議員提出議案第2号について申し上げます。
看護師等修学資金について、都議会公明党はかねてより、返還免除額の拡大など、支援の充実を求めてきました。先の代表質問では、都内看護職員の更なる確保と看護師を目指す学生への支援に向けた今後の取組について質問をいたしました。
これに対し都は、今後、都内のどの医療施設でも一定期間従事した場合の返還免除額の拡大や、都が指定する施設に従事した場合の返還免除条件の緩和など、制度の充実を図ることを明らかにしました。
例えば、看護学生が東京都看護師等修学資金を月5万円で3年間、計180万円借用した場合に、都内施設で5年間勤務をすれば全額免除になります。公立及び民間立の看護師養成施設の学生を対象としており、当然ながら都立看護専門学校の学生も対象となるものです。都立看護専門学校の3年間に必要な諸費用は105万円ほどであり、十分にまかなえるものと考えます。
以上の様に、東京都看護師等修学資金制度を大いに活用していくべきであり、共産党提案の議員提出議案第2号に反対いたします。
最後に、「福手ゆう子委員の虚偽の発言の取消しを求める動議」及び「関口健太郎委員の不穏当な発言の取消しを求める動議」について申し上げます。
都議会で「発言の取消しを求める動議」が可決されたのは都議会史上初めてのことであり前代未聞のことです。議会における言論はどこまでも自由であり保障されておりますが、「虚偽」は絶対に許されるものではありません。
ところが共産党は、都議会で自ら発言した虚偽を正すこともせず、最後まで虚偽ではないということを証明できませんでした。この事実を厳しく申し添えておきます。
また、知事答弁は、地方自治法の解釈で示されたルールに基づいて都議会で実施されており「答弁拒否」なる指摘は全くあたらず筋違いのものであります。
そして、都議会会議規則第110条では「何人も議長の許可がなければ演壇に登ってはならない」とされており、本会議での質問者、答弁者ともに議長の許可のもと行われています。にもかかわらず、あたかも「答弁差別」「質問の排除」が行われているかのようなことを立憲民主党が執拗に繰り返した発言は、都議会の信用を意図的に失墜させるものであり、「答弁拒否」発言以上に許されるものではありません。
日本共産党東京都議会議員団に猛省を求めるとともに、東京都議会立憲民主党には地方自治のルールを再度確認されることを強く求めておきます。
都議会公明党は、健全な議会制民主主義を守り、都民の声と真摯に向き合い、現場第一主義で都政をリードしていくことをお誓いし、討論を終わります。