かまた悦子議員の本会議(6月5日)一般質問

育業

① 育業の推進について

【質問】

育業しやすい環境づくりには、育業を支える方々の存在が重要だと考え、育業したいと思っている方やその同僚、経営者や現場の管理職など、あらゆる方々と意見交換を続けてきた。そして、見えてきた課題は、育業する方とそうでない方々の間に心の分断が生じていることである。企業に残された同僚の仕事が増えるなど、様々な課題が壁になっている。

これまで、育休を「育業」とネーミングし、意識改革に挑み、成果を出している都が率先して、心の分断を改善し、誰もが気兼ねなく育業することができ、同僚も育業を心から応援したくなる環境づくりに力を入れるべきと考えるが、知事の見解を伺う。

【知事】

育業の推進についてであるが、育児は休みではなく、未来を育む大切な仕事、「育業」という言葉に込めたこの思いを社会に広く浸透させ、安心して育業できる社会を実現する上で、企業や職場で働く同僚の共感と支えが欠かせない。

都はこれまで、育業の理念の普及啓発や、男性育業を推進する企業の取組の発信、育業を促す奨励金の支給などに取り組んできた。現在、都における男性の育業取得率は過去最高の約4割となり、取得する期間も伸びている。

こうした流れを加速するため、従来の取組に加え、育業を支える側への支援も政策の柱の1つとして位置付け、育業しやすい職場環境づくりを更に促進していく。

育業する側への支援と、それを支える側への支援に複合的に取り組み、共に輝ける社会を創り上げていく。

② 育業を支える同僚への支援について

【質問】

都は平成30年度より、働くパパママ育業応援奨励金をスタートさせ、育業しやすい社会をつくり上げる企業等への支援を行っている。先日、この事業の手続を会社で担当している方とお会いした際、都の支援事業の恩恵は全て会社に渡っており、私たち社員の下には届いていないと言われていた。これでは、事業の目的が十分達成できているとはいえない。

そこで、育業を支える同僚への支援も大きな取組の柱とするべきだが、知事の見解を伺う。

【知事】

育業を支える同僚への支援についてであるが、日本の育業の制度は世界一。この制度を誰もが気兼ねなく使い、育業できる職場にしていかなければならない。そのためには、育業を支える側の頑張りに報いることが大切だ。

令和6年度、育業する社員の同僚に手当を支給する中小企業に対して、奨励金により後押しする取組を新たに開始した。

若手社員や育業経験のない従業員を対象に、育児体験を研修に取り入れ、子育てへの理解を促す企業への支援も行う。

これらの育業を支える側への支援を通じて、互いに助け合い応援し合える職場環境を築いていく。

※参考:働くパパママ育業応援奨励金

③ 東京くらし方会議における意見の発信について

【質問】

都は、人々の働き方や生き方をテーマとする東京くらし方会議を立ち上げ、都民がより良く働き、自分らしく暮らせるよう、様々な議論を積み重ねている。

その東京くらし方会議において、育業が進んでも、誰もが安心して働くことができる環境づくりについて議論し、会議での知見を広く都内の企業等に発信していくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

東京くらし方会議における意見の発信についてだが、多様な人たちの意思が尊重され、働き、暮らせる社会の実現に向け、都は令和5年、東京くらし方会議を設置した。

この会議では、子育てや介護等働き方と生き方に関わる社会の制度や、DXによる業務改善等会社組織の状況等について議論を行い、新たな時代に即した働き方や女性活躍について委員の意見をまとめ、広く発信してきた。

令和6年度は、更に検討を深めるとともに、企業の経営層や人事担当者等を対象とする女性活躍関連イベントにおいて、会議での議論や意見等を紹介していく。

こうした取組を通じ、ライフイベントと仕事の両立ができる環境づくりを推進していく。

 

就労支援施策

① 特別支援学校卒業生の工賃アップのためのIT環境整備について

【質問】

特別支援学校を卒業後の生徒たちが少しでも自立できるようにするためには、工賃アップは喫緊の課題である。その課題解決の鍵を握るのはIT分野であることから、いくつかの企業が様々なソフト等を開発しており、特別支援学校でも、IT分野の職業訓練に新たに取り組み、生徒たちの卒業後の就労を見すえた教育を始めている。

そこで、特別支援学校と各事業所との連携、そして、職域拡大・工賃向上を見据え、各事業所のⅠT分野の環境整備を更に支援していくべきと考えるが、見解を伺う。

【福祉局長】

就労継続支援B型事業所のIT環境整備についてだが、特別支援学校の卒業生等が利用する事業所が工賃向上を図るためには、管理者の意識改革とともに、デジタル技術の導入など社会の変化を踏まえた生産活動を行うことが重要である。

このため都は、事業所向けの経営意識の醸成等を目的としたセミナーの開催、生産性向上につながる設備の整備への補助などにより、事業所の取組を支援している。

令和6年度は、特別支援学校における職業教育に係る取組等をセミナーで紹介するとともに、デジタル機器の導入を一層促し、事業所における受注機会の拡大と工賃向上を支援していく。

② チャレンジスクール等を中途退学した生徒の支援について

【質問】

チャレンジスクール等を中途退学した生徒たちへは、例えば区市町村の福祉部門や都の関係機関と連携する見守り支援会議の開催や、退学後も一定期間はアウトリーチ型で見守るなど、中途退学した生徒へも切れ目ない支援をさらに進めていくべきと考えるが、見解を伺う。

【教育長】

チャレンジスクール等の生徒への支援についてだが、都教育委員会は、ユースソーシャルワーカー等で構成する自立支援チームを都立学校に派遣し、様々な困難を抱える生徒に対して、関係機関と連携し、個々の生徒の状況に応じた支援を実施している。

生徒が退学した場合にも、引き続きユースソーシャルワーカーに相談ができることを伝え、相談窓口を記したカードを配布している。退学後、本人や保護者から相談があった場合には、高校への再入学に向けた支援や、区市町村の福祉部門等につなげるなどの支援を行っている。

今後とも、退学した生徒も必要な支援につながることができるよう関係機関と連携していく。

③ ミドルシニア世代の女性の就労の場の拡充について

【質問】

40代後半から50代、60代の女性の方々からお聞きする悩みの中に、転職や副業を考えても、雇用先がなかなか見つからないという声が多くある。

都は、令和6年度から、プラチナ・キャリアセンターを開設し、活躍し続けたいシニア世代の後押しを進めていくとのことだが、ミドルシニア世代、特に女性にも視点をあて、副業や転職など、就労の場の拡充を進めるべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

プラチナ・キャリアセンターについてであるが、高齢期を迎える女性が様々な選択肢から仕事を得て活躍し続けられるようサポートすることは重要である。

都は令和6年6月、50歳以上の年代の方が副業などを通じて新しいキャリアを築けるよう後押しする拠点として、プラチナ・キャリアセンターを開設する。

センターでは、高齢期を見据え、これまでとは異なるキャリアに踏み出したい方と中小企業とのマッチングを促す交流会などの支援を実施する。その中で、女性が希望する仕事に就けるよう、スキルの習得をサポートする講座の周知や副業に取り組む体験談の発信も進める。

これにより、高齢期に向けた職業生活の充実を支援する。

④ はたらく女性スクエアでの非正規雇用者への就労支援について

【質問】

都は、令和6年9月に労働相談情報センターの新たな相談窓口として「はたらく女性スクエア」を開設し、女性の仕事と家庭の両立に向けたサポートを行うが、あらゆる女性へのサポートを行う相談窓口とするため、ロールモデルが少ない女性管理職などの活躍を支える取組だけでなく、女性が多い非正規雇用の方への労働相談にも積極的に対応できる体制をつくるべきである。また、転職希望がある場合には相談から就労支援へとつながるよう、東京しごとセンターとの連携も検討すべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

はたらく女性スクエアについてであるが、女性が仕事で活躍し、業務やマネジメントにおいて、十分に力を発揮できるよう後押しすることは重要である。

都は令和6年度、女性社員等に対し、相談対応を行う拠点、はたらく女性スクエアを青山に開設する。

この拠点では、女性のキャリアアップへの支援のほか働く上での課題や悩みの解決をサポートするための労働相談やセミナーを開催する。非正規雇用の方に対しては雇止めや待遇、ハラスメントなどの悩みに幅広く対応するとともに、正社員として活躍したいなどの希望に応じて、東京しごとセンターと連携した支援を行う。

これにより、働く場における女性活躍を推進する。

防災施策

① 災害時のトイレ確保を行う区市町村支援について

【質問】

発災後、少しでも安心した生活を送るためには、トイレの確保は重要である。

都は、トイレ環境の向上計画の策定に当たっては、様々なトイレの活用やトイレ環境の向上について検討し、各種トイレの確保を行う区市町村を支援すべきと考えるが、見解を伺う。

【総務局長】

災害時のトイレ対応についてであるが、大規模災害発生時の不衛生な環境による被災者の健康被害を防ぐために、公衆衛生の確保は重要である。

都は、令和6年度、衛生面や快適性など多様な視点から、災害時にトイレ確保の主体となる区市町村の取組を支援するため、その指針となる計画を策定する。

現在、都の被害想定や能登半島地震を踏まえ、必要なトイレの数や種類のほか、女性や高齢者など避難者の特性に応じて配慮すべき点などを整理し、区市町村等の意見を聴きながら検討を進めている。

今後、適切なトイレ環境の確保に向けた計画として取りまとめ、区市町村を支援していく。

② 災害拠点病院に通じる板橋区道の無電柱化促進への支援について

【質問】

板橋区の区道の地中化率は0.33%であり、区が計画した18の整備候補路線の中に災害拠点病院に通じる区道も掲げているものの、やっと4つの災害拠点病院のうち、1つの病院に通じる道路の無電柱化に着手するという状況である。

板橋区内の災害拠点病院に通じる区道の無電柱化については、都としてもこれまで以上に財政面でも技術面でも、迅速かつ強力に支援するべきと考えるが、見解を伺う。

【建設局長】

板橋区道の無電柱化促進についてであるが、東京全体の防災機能を強化するためには、都道のみならず区市町村道の無電柱化を促進することが重要である。

このため都は、事業費を全額補助するチャレンジ支援事業制度を令和9年度まで延伸した。

現在、板橋区は災害拠点病院に通じる2路線で事業を進めており、都はこうした取組に対して、令和6年度新たに設置した都と区市町村で構成する協議体の場を活用し、技術的支援などを強化していく。

引き続き、安全安心な東京の実現に向け、都内全域の無電柱化を積極的に推進していく。

都営地下鉄の高架下活用

【質問】

板橋区の高島平地域ではまちづくりが進んでいるが、この地域には都営三田線が通っており、まちづくりは高島平駅前地域でもあることから、区とURそして都が、三位一体となってまちづくりを進めていくことが重要である。

そこで、高島平駅高架下の活用については区と連携し、区の意見や要望を踏まえながら、交通局としても、まちづくりに貢献していくべきと考えるが、見解を伺う。

【交通局長】

三田線高島平駅高架下の活用についてであるが、交通局では、高架下用地を店舗や駐輪場として貸し付けるなど、保有する資産を有効に活用することで収益向上等を図っている。

これまでも、板橋区が策定した「高島平地域グランドデザイン」を踏まえ、西台駅周辺の高架下において、店舗の外観やサインについて統一感のある空間づくりを行ってきており、高島平駅周辺においても、今後、区から具体的な提案等があれば、可能な限り協力していく。

引き続き、資産の有効活用を図りつつ、にぎわいの創出や地域の発展につながるまちづくりに貢献していく。

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