古城まさお議員の本会議(9月26日)一般質問

雇用就業

① 就職氷河期世代に対する就業支援

【質問】

就職氷河期世代の給与は、ほかの世代と比べて低い傾向にあり、将来の生活設計など、就労以外の課題にも目を向け、より長く続けられる仕事へのキャリアチェンジなど、幅広い視点で当事者を後押ししていくことが重要である。就職氷河期世代の安定就労を確実に前に進めるとともに、高齢期を見据えた人生設計に寄り添う支援を進めるべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

就職氷河期世代に対する就業支援についてであるが、就職氷河期に入社ができず不安定な就労の続く方々が中高年層となる中、高齢期の生活を見据え希望に応じた就職を実現できるよう後押しすることは重要である。

都は令和6年度、就職氷河期世代向けの合同就職面接会について、幅広い業種や職種から就職先を選択できるよう規模を8回に拡大した上で多摩地域でも順次開催するなど、充実を図っていく。また、専門の相談員を面接会場としごとセンターに配置し、経済面や生活面など仕事以外の多岐にわたる相談にきめ細かく対応している。

こうした取組により、就職氷河期世代の年齢やニーズの変化を捉えた支援を進めていく。

② 就職氷河期世代の都職員採用

【質問】

2020年予算特別委員会で、都職員においても就職氷河期世代の人材を幅広く採用することを訴え、現在の選考が開始されたが、安定的な就労を支援する取り組みは継続する必要がある。国は、この世代の支援について、2025年以降の方針をいまだ公表していないが、国の方針に関わらず、都として就職氷河期世代の職員採用について継続すべきと考えるが、見解を伺う。

【総務局長】

就職氷河期世代の職員採用についてであるが、多様で幅広い年代の方々が、意欲や能力を生かして活躍できる組織づくりは重要である。

都においては、令和2年度から、就職氷河期世代を対象として、常勤職員と非常勤職員の2つの採用選考を実施しており、これまで、常勤職員については115名、非常勤職員については42名が合格している。

今後の就職氷河期世代を対象とした採用選考の取扱いについては、国や他自治体の動向等を注視しつつ、対応を検討していく。

教育と文化

① 若者支援団体の連携

【質問】

若者が抱える問題は、虐待や貧困、障害などが複雑に重なっていることも珍しくなく、個別の支援団体だけで対応することが難しい場合もある。そこで、様々な団体が専門性を生かして、問題を抱える若者をサポートする必要も生じている。これらの活動を後押ししていくには、都内の団体同士が支援分野を超えて直接連携できる仕組みが不可欠である。

都は、若者相談を行う若ナビαや「きみまも」において、悩める若者を適切な支援に繋げる事業を展開している。これらの取り組みも生かし、先ずは、都が新たに開設する若ぽたプラスなどを活用して、若者支援団体同士がつながることのできる基盤を構築すべきである。都の見解を伺う。

【生活文化スポーツ局生活安全担当局長】

若者支援団体の連携についてであるが、社会的な自立が困難な若者は、複合的な問題を抱えており、多様な団体が連携して支援することが重要である。このため、都は、教育・福祉・雇用などの関係機関や民間支援団体で協議会を設置し、情報共有をしている。

現在、第3期子供・若者計画を検討している審議会では、団体同士が気軽に相談できるデジタルプラットフォームの必要性も議論されている。その中では、都が令和6年11月に開設する、若者と支援団体等をつなぐポータルサイト「若ぽたプラス」などの活用も挙げられている。

今後、こうした議論も踏まえ、支援団体同士が連携できる方策を検討していく。

② 不登校の児童生徒と保護者への支援

【質問】

都は、都議会公明党の要望を受け、令和6年度からフリースクール等の利用者や運営者への財政支援を開始した。今後は、フリースクール等にもつながることがかなわない当事者も含め、課題とニーズを捉え、必要な支援につなげていかなければならない。

不登校の児童生徒とその保護者に一層寄り添った取り組みを行うべきである。都の見解を伺う。

【子供政策連携室長】

不登校の児童生徒と保護者への支援についてであるが、学校生活になじめず生きづらさを抱える子供が自分らしく成長できるよう、都は令和6年度、フリースクール等の利用者に対する助成制度を創設するとともに、子供目線に立った取組を行う団体への支援を開始した。加えて、不安や悩みを抱える保護者に対する支援として、有識者や不登校経験者による子供との接し方等をテーマとした講演会や、保護者同士の交流会等を令和6年度内に実施する。参加者はフリースクール等に通っていない子供の保護者も対象としていく。

子供と保護者双方に寄り添った実効性ある取組を展開することで、子供の育ちをサポートしていく。

③ 仮想空間を活用する自治体への支援

【質問】

バーチャル・ラーニング・プラットフォームについて、より多くの子供たちが利用し、充実した支援を受けられるようにすべきと考えるが、都の見解を伺う。

※バーチャル・ラーニング・プラットフォーム・・・不登校児童・生徒及び日本語指導が必要な児童・生徒に対して、オンライン上の仮想空間を活用して、新たな居場所や学びの場を自治体等に提供する取り組み。

【教育長】

仮想空間を活用する自治体への支援についてだが、都教育委員会は、仮想空間における居場所・学びの場であるバーチャル・ラーニング・プラットフォームを令和6年度28の自治体に提供し、小中学生が利用している。

各自治体では、子供からの相談に応じるため、仮想空間上に心理士を独自に配置したり、どこにもつながりのない子供をスクールソーシャルワーカーが家庭訪問して仮想空間への参加を促すなど工夫して取り組んでいる。都教育委員会では、こうした事例を自治体間で共有し各地区の運用に活かせるようにしている。

本事業への参加を検討する自治体にもこれらの事例を共有し、仮想空間における支援を充実していく。

犯罪被害者支援の拡充

【質問】

都議会公明党は、犯罪被害者の転居費用助成金の給付要件の改善を訴え、都は令和6年10月1日から、性犯罪の被害に遭われた方への支援拡充のため、被害場所にかかわらず対象とすることを評価するが、実施にあたっては、制度が開始された2020年度に遡及して適用すべきである。また、犯罪被害者等に対して、見舞金を増額するなど、より手厚い経済的支援を検討すべきである。併せて、知事の見解を伺う。

【知事】

犯罪被害者等への経済的支援の拡充についてだが、犯罪の被害に遭われた方及びその御家族は、犯罪による身体的、精神的被害に加え、経済的に困難な状況に直面しており、被害直後から途切れることのない支援が必要である。

都は、被害者の生活再建の第1歩を後押しするため見舞金や転居費用の助成等の支援を行ってきた。この度、性犯罪の被害に遭われた方の心のダメージを少しでも軽くするため、転居費用の助成対象を拡大した。この制度改正前に被害に遭われた方も対象とするなど1人ひとりに寄り添った支援を行う。

今後、犯罪被害者等支援計画の改定に向け、被害者のおかれている状況や、困りごとなどの実態を調査し、国の動向等も踏まえながら、より効果的な支援の在り方について、課題を整理していく。

都市の整備

① 神田川流域における調節池整備と地下河川化

【質問】

現在の神田川流域河川整備計画では、毎秒45立方メートルの洪水をカットする調節池機能が計画されているが、気候変動によって激甚化、頻発化する風水害リスクへの対策の強化が急務である。

今後の計画改定に当たっては、環状七号線地下広域調節池を延長する地下河川化を位置付けるとともに、これらの調節池計画を着実に実施すべきである。都の見解を伺う。

【建設局長】

神田川流域における河川整備の取組についてであるが、激甚化・頻発化する水害から都民の命と暮らしを守るためには、護岸とともに調節池の整備が重要である。

神田川流域では、これまでに護岸の約7割と、10か所総貯留量約100万立米分の調節池が整備済みである。

現在、環七地下広域調節池等の工事を実施するとともに、神田川などで新たな調節池の候補地等について検討を進めている。さらに、令和6年度から気候変動に伴う将来の降雨量の増加に対応するため、河川整備計画の改定や、環七地下広域調節池等を連結し、東京湾まで繋ぐ地下河川の事業化に向けて取り組んでいく。これらの取組により水害に対する安全性を高めていく。

② 外濠の水辺再生事業

【質問】

都議会公明党は、水の都東京の再生を目指し、外堀やその下流に当たる日本橋川の水質改善に向けて様々な提言をしてきた。都は、必要な施設の早期完成を目指すとともに、2024年度の東京グリーン・ブルーボンドの活用に向けて取り組む方針を明らかにしているが、外濠の水辺再生事業の進捗状況を伺う。

【東京都技監】

外濠の水辺再生事業についてであるが、水の都東京を実現するためには、歴史的財産である外濠の水質改善の取組を進める等、人々に癒やしの場を提供し、魅力あるまちづくりにつなげることが重要である。そのため、都は、下水再生水と荒川河川水を、玉川上水路等を経由して外濠に導水し、水質改善を図ること等を基本計画において示している。現在、導水施設の配置に関する管理者協議を進めるとともに、将来の維持管理の在り方について検討しており今後、施設整備計画を具体化していく。

引き続き、庁内関係局や国、地元区とも連携し、人々が憩う外濠の水辺再生を着実に進めていく。

③ 玉川上水の世界遺産登録に向けた取り組み

【質問】

玉川上水を開削し、自然流下により多摩から都心部へ水を到達させた江戸時代の土木技術は、世界に誇る最たる遺産である。2024年予算特別委員会で、「今後、その意義や価値に改めて焦点を当て、さらに魅力に磨きをかけ、都民の共感を生み出し、世界に誇る遺産として後世へと継承していく」との知事答弁があった。今こそ、玉川上水の世界遺産登録に向けた取り組みを進めていくべきだが、知事の見解を伺う。

【知事】

世界遺産についてであるが、江戸は、当時、世界最大の人口を誇り、人々が平和と繁栄を享受する時代の中心地であった。その巨大な都市を支えるため、運河や河川を整え、城を囲む外濠や屋敷、町屋まで水を提供する玉川上水等のインフラを作り上げた先人の知恵と努力を理解することは大切だ。

こうした技術を始め、江戸の文化や建物などの優れた伝統を後世に受け継ぎ、海外にも伝えていくことは重要である。そこで、新たな議論の場を立上げ江戸の象徴となるものに関し、将来の保存方法や国際理解の確保等を検討し、世界遺産登録を目指していく。

この議論の展開に合わせ、世界遺産に相応しい評価の確立と都民の共感を生み出すムーブメントづくりのため、地域の自治体や民間団体等との連携を進めていく。

こうした取組を通じ、江戸の優れた伝統を着実に将来につなげていく。

④ 落合水再生センターの上部利用

【質問】

落合水再生センターの上部を利用した新宿区立落合中央公園は、区の広域避難場所にも指定されているが、公園施設の老朽化への対応や利便性向上に迫られている。

落合水再生センターの上部利用について、新宿区による施設更新に当たっては、下水道局として区と連携を図るべきである。見解を伺う。

【下水道局長】

落合水再生センターの上部利用についてであるが、水再生センターなど下水道施設の上部利用は、資産の有効活用や、都市の貴重なオープンスペースの創出など、まちづくりに貢献する取組である。上部利用に当たっては、地元区が住民要望を踏まえ、下水道施設の構造や維持管理に支障がない範囲内で、公園など利用形態を決め整備を行っている。落合水再生センターの上部利用について、地元区が再整備を進める際には、その検討に必要となる情報を区に提供するなど、協力していく。

今後とも、周辺地域のまちづくりに貢献できるよう適切に対応していく。

⑤ 都庁周辺のバリアフリー動線

【質問】

都庁周辺には、階段でしか移動できない上下の道路との接続部の段差解消や、都営地下鉄大江戸線の都庁前駅からのバリアフリールートの複数化などの課題がある。例えば、都庁前駅から車椅子やベビーカーを利用して新宿中央公園に向かうには、バリアが多過ぎる。「安心して楽しく歩ける」都庁周辺の実現に向けて、都庁前駅を含めたバリアフリー動線の確保に早急に取り組むべきであるが、都の見解を伺う。

【東京都技監】

都庁周辺のバリアフリー動線についてであるが、地区全体の回遊を促し、まち全体の魅力向上につなげるため、誰もが円滑に移動できる歩行者ネットワークを形成することが重要である。そのため、都庁周辺の空間再編計画に基づき、都庁や新宿中央公園を訪れる人々のバリアフリー動線の確保に向けて、既存施設の活用も含めた道路横断デッキへの縦動線や公園への横断歩道の設置等について検討していく。

令和6年10月に開催するイベントにおいては、交通規制を行い、歩道橋を使わずに公園に渡れる取組も実施する。

今後、関係者と連携の下、誰にとっても使いやすく過ごしやすいまちの実現を目指す。

⑥ 飯田橋駅周辺基盤整備

【質問】

飯田橋は、JRと地下鉄4路線が結節し、幹線道路3路線が交差する交通の要衝である。階段しかない飯田橋歩道橋や地下鉄出入口について、地域の方々から往来が不便との声を伺い、駅とまちをつなぐバリアフリー動線の確保を訴えてきた。

飯田橋駅周辺基盤整備の実現に向け、機運醸成を図り、まちづくりを着実に進めるべきと考えるが、都の見解を伺う。

【東京都技監】

飯田橋駅周辺基盤整備についてであるが、飯田橋駅周辺は、駅や歩道橋、地下鉄の出入口等が混雑し、バリアフリー動線にも課題があり、都は、飯田橋駅周辺基盤整備方針で示した、駅前広場や歩行者デッキなど、主要な都市基盤の整備に向け、地元区や鉄道事業者などと計画の具体化を進めている。

令和6年度、計画を具体化する中で、地元のイベント等に合わせ、人中心のウォーカブルなまちを支える都市基盤の将来イメージを積極的に示すなど、機運醸成に向けた取組を検討していく。引き続き、地元区などと連携し、駅とまちが一体となった交通結節点の整備に取り組んでいく。

行政手続における郵送申請時のキャッシュレス対応

【質問】

2024年4月1日から不動産の相続登記の申請が義務化され、手続きを行わなければならない都民が増えている。司法書士などの代理人による代理申請の際、必要となる関係書類を、自治体から郵送で取得する場合があるが、その手数料については、定額小為替を当該自治体に郵送する必要があり、非常に手間がかかる実態がある。

自治体の事務負担の一因にもなっており、一部の区市町村では、郵送申請時の証明書発行手数料のキャッシュレス化に取り組むところも出てきている。都としても、手続の利便性の向上に向け、こうした自治体の取り組みを支援すべきと考えるが、見解を伺う。

【デジタルサービス局長】

代理申請におけるキャッシュレス化についてであるが、代理申請の利便性向上と自治体職員の業務負担軽減に向け、区市町村の取組を支援することが重要である。都内自治体では、キャッシュレスサービスを導入しているところもあり、都は、区市町村CIO協議会や担当者の研修を通じ、事例共有を図るとともに、働きかけを行ってきたが、導入コストも課題となっている。このため、GovTech東京と連携し、多くの区市町村が既に導入している手続のクラウドサービスでキャッシュレス化ができる仕組みの検討を進めており、今後、自治体の協力を得て、導入に向けた課題整理を行っていく。こうした取組を通じ、区市町村の取組を積極的に支援していく。

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