都議会公明党を代表し、知事提出の全議案に賛成、議員提出議案第14、15号議案に賛成、第11、12、13号議案に反対の立場から討論を行います。
初めに、第254号議案令和7年度東京都一般会計補正予算について申し上げます。
都議会公明党の緊急要望を受け、都は、八丈島などの島しょ地域の台風被害への対応や、物価高対策の補正予算を組み今定例会に提案したことを評価するものです。
まず、東京アプリ「生活応援事業」です。
都議会公明党は、物価高騰対策として、15歳以上の都民へのポイント付与を1万ポイントへ増額すべきと提案してきました。
この要望を踏まえ、都は4,000ポイント分を追加し、計11,000ポイントとする予算を計上しました。
今後、事業実施にあたり、付与開始時期や対象年齢の起算点などの早急な明示を求め,決済事業者の拡充や、スマホを持たない高齢者への機器購入費補助を実施していない自治体への働きかけなど、利便性向上への着実な取組を求めました。
これに対し宮坂副知事は、検証と対策を行った上で、年明けの速やかな開始を目指す考えを示しました。
事業の早期実施を求めるとともに、高齢者への配慮や利便性向上に向けた取組、都民への周知徹底を着実に進めるよう求めます。
次に、暑さ対策と省エネ推進についてです。
都は、我が党の要望を受け、高齢者等のエアコン購入負担軽減へ東京ゼロエミポイントの支援を拡充しましたが、一部製品の在庫不足等の課題もありました。
来夏を見据え、省エネ性能が高いエアコンの購入支援がより多くの方に行き渡るよう対応を求め、併せて、65歳未満の低所得者に対するエアコン設置支援も、区市町村の実態調査を踏まえ、都として検討すべきと提案しました。
災害級の暑さから都民の命を守るため、現場実態を捉えたきめ細かな対応を求めます。
次に、10月の台風被害への対応です。
台風被害を受けた八丈島の復旧・復興に関し、都議会公明党は3度の緊急要望を行いました。
都は予備費活用と補正予算編成で対応したことを評価するものです。
都議会公明党は、今回の被害で露呈した導水経路の単線化による断水リスクに対し、給配水施設の強靭化支援や、災害廃棄物の、都のコンテナを活用した迅速処理を求めました。
島民に寄り添った支援の継続、拡充を改めて求めます。
次に、第268号議案東京都雇用・就業分野における女性の活躍を推進する条例についてです。
当該条例案については、ハード面の環境整備のため中小企業への補助制度を創設するなど、女性が就業しやすい環境整備を図ることや社会変化に応じた施策を展開することも必要と指摘しました。
これに対し都は、事業者への支援を検討することや女性活躍の取組状況を把握する調査を実施し、その結果を踏まえて、施策の見直しや改善などにつなげていくと答えました。
就業における女性の選択肢が広がるよう都の積極的な取組を求めるとともに、社会変化に応じ、施策の見直しや改善を図るよう今後も都の取組をチェックし施策の提案をしてまいります。
次に、個別事項について申し上げます。
まず、宿泊税の定率課税と都民割の導入についてです。
都の宿泊税見直し素案に対し、都議会公明党はホテル飲食店文化施設などの「都民割」の導入を提案しました。
増収分を活用し、外国人観光客だけでなく、都民自身が東京の魅力を体験できる環境を整えるため、都民への確実な還元が実施されるようあらためて求めます。
次に、住宅政策についてです。
都議会公明党が推進した官民連携アフォーダブル住宅の事業者候補が選定されました。
家賃水準は市場の75%から80%とされていますが、都の出資リターンを最小限に抑え、更なる低廉化を目指すよう提案し、都は出資利回りの抑制により調整を進める考えを示しました。
家賃水準をさらに下げる取組を求めます。
また、子育て世帯への住宅支援強化のため、公社住宅の活用などを提案し、知事は具体的スキーム検討を進める考えを示しました。
さらに、都営住宅の自治会役員の負担となっている共益費徴収業務について、外部委託を利用しやすくするための積極的な支援を求めました。誰もが安心して暮らせる住環境実現に向け、検討加速と速やかな実施を求めます。
次に、福祉・保健医療施策についてです。
高齢者施設の大規模改修について、物価高騰等による対応困難な実情を踏まえ、補助率引き上げなど、都は支援の充実を検討すると明らかにしました。
また、同一法人・同一敷地内でありながら対象外となっている養護老人ホーム等の職員に対する居住支援特別手当の不公平解消を求め、都は必要な人材確保に取り組むことを明らかにしました。
さらに、「東京こどもホスピス」の実現、病児保育のDX支援、ケアマネジャーの更新研修の負担軽減について、それぞれ見解を求めました。福祉分野の政策の着実な推進が図られるよう求めます。
また、都内共通受診方式による産婦健診導入や1か月児健診への支援、また、現場の声に即した施策の着実な推進を求めたところ、都は令和8年10月から全区市町村において、実施することを明らかにしました。
着実に実施できるよう取組の推進を求めます。
次に、火葬場についてです。
都議会公明党は、民間火葬場の料金高騰を受け、プロジェクトチームを立ち上げて、公営火葬場の新設や、民間火葬場の自治体への移管など、これまでも、都や国に対策を求めてきました。都も、現行法では民間火葬料金に行政が関与する仕組みとなっていないとして法改正を国に求めました。そこで、都議会公明党は、国の法改正により、料金を引き上げることを抑えられるのか問い質し、都は「法改正により、経営管理への関与の仕組みが構築された場合には、適切な対応が可能となるよう、条例の必要性も含め様々な方策を検討していく」と答弁しました。火葬場が本来有する公的役割を十分に発揮できるよう、適切な対応を強く求めます。
次に、教育施策と若者支援についてです。
不登校対策として、校内別室指導支援員の全校配置へ柔軟な制度構築を求めました。
また、教員の負担軽減のため、過度な要求を行う保護者対応における弁護士連携等の体制整備、更新時期を迎える公立小中学校の空調設備更新に対する都独自の財政支援を強く要望しました。
若者支援については、TIBを活用した居場所づくりや、中小企業の人材確保に資する大学院修了者への奨学金返還支援事業の拡充を求めました。
教育長及び知事からは、制度検討や支援拡充に向けた前向きな答弁がありました。未来を担う子供・若者への投資を惜しまない姿勢を求めます。
次に、交通施策についてです。
バス路線の減便・廃止が相次ぐ中、区市町村が行うコミュニティバス等の運行への支援拡充を求めました。
また、ホームドア整備加速とともに、車椅子やベビーカー利用者に配慮し、車両とホームの段差・隙間を解消する取組を併せて進めるよう求めました。
都は、地域公共交通への支援や、ホームドア整備と一体となったバリアフリー化を推進する考えを示しました。
誰もがスムーズに移動できる東京の実現を求めます。
次に議員提出議案第13号議案、東京都葬儀所条例の一部を改正する条例について申し上げます。
本条例は、都立瑞江葬儀所の火葬料を無料とするものです。
しかし現在、区部の火葬体制は民間事業者に大きく依存しており、都立である瑞江のみを無料にすれば、民間価格との差から利用希望が殺到することは明白です。施設能力を超えた一極集中は、予約のパンクと火葬待ちの長期化を引き起こします。
都立瑞江葬儀所の料金の引き下げは、民間火葬場の料金の引き下げと一体となって議論をしていくべきであります。
受け入れ体制の限界を考慮せず、いたずらに混乱を招く本修正案には反対いたします。
最後に、国による都の税収を狙い撃ちにした、法人二税と固定資産税の再分配の動きについて申し上げます。
国は、都の税収を他自治体に配分することを念頭に検討しており、都議会公明党として強い懸念を抱いています。
こうした動きに対し、都議会公明党は緊急要望を取りまとめ、公明党税制調査会で了承のもと、与党税制調査会に速やかに申し入れを行いました。
今後も小池知事と緊密に連携し、国による都の税収狙い撃ちは断固阻止すべく取り組んでいく決意です。
都議会公明党は、地域に根差したネットワークの力をいっそう強化し、現場の声に耳を傾けながら、東京の経済と都民生活を全力で守り抜くことをお誓いし、討論を終わります。


