まつば多美子議員の本会議(12月9日)代表質問

補正予算

① 東京アプリ「生活応援事業」のさらなる利便性向上を

【質問】

都議会公明党は、15歳以上の都民への7,000ポイント付与について、物価高対策の視点から、繰越金を活用し、1万ポイントへ増額すべきと令和7年第2回定例会代表質問で提案し、度重ねて訴え、都は、今回の補正予算で11,000ポイントへ増額するため4,000ポイント分の予算を計上した。ポイント付与対象の15歳とはいつを起点とするのか、いつから開始するのかを明らかにすべきである。また、もらいそびれがないよう都民へ周知を徹底するとともに、ポイント交換先に多くの利用者が使っているPayPay等の決済事業者を更に増やすべきである。宮坂副知事の見解を伺う。

【宮坂副知事】

東京アプリは、行政と都民が直接つながることで、行政手続や個人あて通知等をアプリから行えることを目指している。そのため、単独で行政手続を行うことが可能であり、本人確認を行う時点で15歳以上の方を本事業の対象としている。

こうした1千万人を超える方々を対象とした本事業を円滑に実施していくためには、都民の皆様に協力いただき、検証を行うことが欠かせない。

そのため、令和7年12月から実施する都民参加型の最終検証では、技術的な動作や操作性、アクセス数や処理性能の分析に加え、運用面も含めた総合的な確認を行う。年明けに検証結果の分析と必要な対策を行ったのち、事業の速やかな開始を目指す。

また、本事業の知りそびれがないよう、参加手順などをHPやSNS、アプリのプッシュ配信等で分かりやすく伝える。デジタルに不慣れな方へも情報が行き届くよう、広報東京都や区市町村と連携したチラシの配布などきめ細かに対応する。

さらに、ポイント交換できる決済事業者の拡充の検討等、更なる利便性向上に取り組んでいく。

都民と行政の新たな形となる東京アプリを、より多くの方に届け、利用してもらえるよう本事業の準備を万全にしていく。

② スマホを持たない高齢者へのスマホ購入支援を

【質問】

都議会公明党は、スマホを持たない高齢者へのスマホ購入費補助を提案し、都は区市町村を通じて支援をしているが、実施していない区市町村への働き掛けも必要と考える。都の見解を伺う。

【デジタルサービス局長】

東京アプリの利用を促進する上でも、高齢者のデジタルデバイド解消に向けた支援は重要である。

都はアプリに対応したスマホを初めて購入し、操作方法を学ぶ高齢者を対象に、購入費を助成する区市町村を支援しており、現在21の自治体が事業を実施している。より多くの自治体に参加していただくため、令和7年10月に実施したアンケートに寄せられた自治体の声を丁寧に受け止め、課題解決に必要な検討を行うとともに、様々な機会を捉え、事業実施を強力に働きかけていく。アプリを活用した便利な暮らしを実感いただけるよう、高齢者のスマホ活用を後押ししていく。

③ 東京ゼロエミポイントを活用した省エネエアコンの購入支援を

【質問】

議会公明党の要望を受け、都は、令和7年8月、今夏の猛暑の状況を踏まえ、高齢者の方や障害のある方のエアコン購入の負担を軽減すべく、東京ゼロエミポイントの支援拡充を実施した。この拡充は、都民に好評である一方で、エアコン新商品の入れ替わり時期と重なり、販売価格を抑えた一部の製品で在庫不足が生じ購入できなかったとの声を聞いている。こうした状況から、令和7年度後半においても、省エネエアコンを購入したい方々にしっかり支援を届ける必要がある。令和8年の夏の猛暑を見据え、東京ゼロエミポイントを活用し、省エネ性能が高いエアコンの購入支援がより多くの方々にいきわたることが重要と考えるが、今回、補正予算で対応した知事の見解を伺う。

【知事】

令和7年の夏は、熱中症の緊急搬送者数が最も多くなるなど、気候変動は、都民生活に深い影響を及ぼしており、先般の支援拡充の成果を踏まえ、令和8年の夏も見据えた都民の命を守る取り組みにつなげていく必要がある。

支援拡充後のエアコン申請台数は、約2か月間で、前年同期比の約3倍となり、都民の反響も大きく、業界からも評価の声が届いている。

現在も令和6年度を大きく上回る申請が続いており、補正予算を活用し、切れ目のない支援を継続することで、命を守ることを最優先にした施策を強力に推進していく。

こうした実効性のある施策を展開し、災害級ともいえる暑さへの対策と、脱炭素化の歩みを両輪で加速させていく。

65歳未満の低所得者に対するエアコン設置支援を

【質問】

都議会公明党は、令和7年第3回定例会代表質問において、福祉施策として、65歳未満の低所得者に対するエアコン設置支援を進めるべきと訴え、都は、区市町村の独自補助の実態を把握すると答弁した。都が現在進めている、区市町村の実態調査の概要について答弁を求めるとともに、都として支援を検討すべきであるが、見解を伺う。

【福祉局長】

都は、熱中症対策として、エアコンの適切な利用を周知しているが、国の調査では、低所得世帯等でエアコンの保有率が低い傾向が示されている。

一方、区市町村によるエアコンの購入費等に対する支援状況を都が調査した結果、熱中症対策、生活困窮対策等を目的として、高齢者や障害者のほか、住民税非課税世帯などを対象に様々な支援を独自に実施していることが明らかとなった。

こうした状況を踏まえ、地域の実情に応じた区市町村の取り組みが進むよう、支援の在り方を検討していく。

防災施策

① 島しょ地域の災害対策強化を

【質問】

令和7年7月30日、カムチャツカ半島付近を震源とする巨大地震が発生し、日本列島の広範囲に津波警報が発令された。都においては、八丈島八重根で80cmの津波が観測されるなど、小笠原・伊豆諸島では約1,000人が学校体育館などの避難所に身を寄せたが、猛暑の中、空調設備が無い避難所もあった。また、島民からは災害時に電源が喪失された場合に、空調設備を動かせる体制の確保への不安の声が挙がっている。こうした不安を解消するには、避難所における空調設備の設置状況など、避難所環境の実態をしっかりと把握し、必要に応じて財政的、技術的支援を講じるなどの対策の検討が重要である。

都は、避難所の現状を踏まえ、暑さ寒さに配慮した避難者の健康管理体制の確保など、避難所の環境整備を進めるべきであるが、見解を伺う。

【総務局長】

発災時に避難者の健康を確保するためには、避難所等における良好な生活環境を確保することが重要である。

都は、平成30年度に独自の補助制度を創設して、災害時に避難所として活用される公立小中学校の体育館等への空調設備の整備を促進した。

また、令和6年度、目指すべき避難所の基準と直ちに取り組むべき具体的な方策を取りまとめた避難所運営指針を策定し、暑さ・寒さ対策に必要な措置を講じることとしている。

現在、各避難所における状況を調査しており、課題を把握するとともに、対応を検討していく。

② 島民に寄り添った伊豆諸島・八丈島の復旧・復興を

【質問】

令和7年10月9日から相次いで台風に襲われた伊豆諸島・八丈島は、猛烈な暴風雨により、建物やインフラに甚大な被害が発生した。都議会公明党は、発災当時から即座に現地の町議会議員らと連携をとり、さらに現地調査を踏まえて具体的な支援策を3度にわたり小池知事に求めてきた。

都議会公明党の要望を受け、都が、予備費を活用して島民の生活再建に向けた応急的な対応を行うとともに、住居の補修や確保、農業・漁業など基幹産業の復旧・復興に向けた補正予算を編成するなど、総力を挙げて取り組んでいることを評価するが、島民からは、迅速な取組の実施に加え、対策の継続や拡充を求める声も寄せられている。台風被害からの復旧・復興に関して、今後も島民に寄り添った支援を継続・拡充していくべきであると考えるが、令和7年10月の予備費及び今回の補正予算の考え方も含め、知事の見解を伺う。

【知事】

台風被害からの復旧・復興に当たっては、被災された方々の視点に立ったきめ細かな支援を迅速に進めていくことが重要である。

こうした考えの下、速やかに予備費を活用し、被災世帯への生活再建支援金の支給や被災者の住まいの確保に加え、島しょ町村に対する財政支援など、当面必要な対策を講じることとした。

さらに、今回、補正予算を編成し、国の支援対象とならない住宅の補修費用を都独自に支援するなど、住民の生活再建に向けた取り組みを加速させていく。

これらの施策をスピード感を持って着実に実行すると同時に、今後も現地の状況を的確に把握し、被災地の復旧・復興に向けて全力を挙げて取り組んでいく。

③ 八丈町の水道の復旧へ財政的・技術的支援を

【質問】

八丈島で発生した長期にわたる断水は島民生活に大きな打撃となった。島しょ地域の給配水の仕組みは、東京の内陸部の多重経路と違い、水源からの導水経路が単線となっており、今回の八丈島のように、水源や給配水経路が被災・寸断してしまうと、その先の地域が広範囲にわたって断水になることが想定される。島しょの水道事業は、各町村が事業主体であることは承知しているが、今後も激甚化していく自然災害や巨大地震に備え、島しょ地域特有の状況を踏まえ、給配水施設などへの対策について、都は、財政的・技術的支援を行っていくべきである。見解を伺う。

【保健医療局長】

台風により甚大な被害を受けた町営の水道施設について、水道局と連携して現地を支援し、令和7年11月中旬には全世帯で通水が完了した。

今後は、地域で相互に水を融通できる連絡管の設置などに向け、技術的な支援を継続し、より安定的に水を供給できる体制を目指していく。

今回明らかになった課題や対応事例について、町村営水道を有する他の島しょ町村と共有し意見交換を行うなど、水道の強靭化を支援していく。

④ 八丈町の災害廃棄物処理の支援を

【質問】

膨大に発生する八丈町の災害廃棄物等で、島内施設で処理できない物については、都が所有する100基のコンテナを活用して処理の迅速化を図るべきである。都の見解を伺う。

【環境局長】

早期復旧に向け、災害廃棄物を大量かつ効率的に島外に輸送し、処理する体制の構築が重要である。

八丈島では、町の年間処理量の約11年分に相当する最大3万6千トンもの大量の木くずや解体廃棄物等が発生する見込みである。

このため、都は、能登支援の際に使用した100基の鉄道コンテナについて、船舶輸送にも対応できるよう改造工事を順次進め、積極的な活用を図る。

加えて、これまでの広域的な処理支援で培ったノウハウを活かし、都内自治体等の協力を求め、コンテナによる輸送ルートを確立することで、迅速な処理に繋げていく。

⑤ 地下空間の浸水対策である区市町村への止水板設置支援を

【質問】

都議会公明党は補正予算の緊急要望で区市町村への止水板設置支援を求め、補正予算案に取り入れたことを評価するが、現状、事業所や個人宅への止水板設置助成などの対策は一部自治体に限られており、都は地元自治体が進める地下空間の浸水対策の取り組みを一層支援していくべきである。見解を求める。

【東京都技監】

事業所や住宅などの地下室や地下駐車場は、浸水リスクが高く、地元自治体と連携して浸水対策を推進していくことが重要である。

都は、地下空間での取り組みを強化するため、令和7年9月にガイドラインを改定し、円滑な避難を実現するタイムライン整備などについて広く周知している。

今後、地下空間における浸水対策の充実を図るため、防潮板の設置による護岸の嵩上げや、流域対策等を定めた豪雨対策計画の策定に対して、自治体への支援を行う。また、止水板設置への補助制度を新たに創設し、ソフト・ハードの両面から浸水対策を推進していく。

住宅施策

① 子育て世帯や若者が手頃な家賃で居住できる住宅整備の推進を

【質問】

都議会公明党が提案し、事業の推進を求めてきた官民連携アフォーダブル住宅のファンド運営事業者候補が令和7年11月7日に4つ選定された。それぞれのコンソーシアムの目的には、子育て支援、ひとり親支援、空家活用などが掲げられているが、具体的な運営段階においては若い世帯の支援も実施すべきである。また、家賃水準も市場家賃の75%から80%となっている。令和8年2月には、この4つのコンソーシアムと契約を結び、令和8年度には総計300戸のアフォーダブル住宅の募集が開始される。東京都が出資する100億円のリターンを最小限に抑えることで、家賃水準をさらに下げることも可能と考える。併せて、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

都は、令和8年2月のファンド契約締結を目指し、ファンドスキーム等の詳細について、令和7年11月選定した運営事業者候補4者と個別に調整を進めている。

入居対象については、入居時点では子供を有していないが、子育て世帯となることが見込まれる世帯も申込み可能とするなど、このファンドの趣旨に沿った運用となるよう各事業者候補に求めていく。

家賃水準については、現在、運営事業者候補がファンド理念に賛同する民間からの出資を募っており、都においても可能な限り出資利回りを抑制することで、極力低廉な住宅が供給されるようファンド契約締結までの過程において調整していく。

② 公社住宅をアフォーダブル住宅として活用を

【質問】

都議会公明党は、公営住宅プロジェクトチームを立ち上げ、これまで何度も検討を重ねてきた。令和7年11月21日、子育て支援の一環として、公社住宅をアフォーダブル住宅として活用するべきであると都に提案し、知事は今定例会の所信表明で、公社と連携してアフォーダブル住宅を供給する旨の表明をしたことを評価する。公社住宅を活用するなど、子育て世帯に対する住宅支援に一層取り組むべきと考えるが、知事の見解を伺う。

【知事】

安心して子供を産み育てることができる社会の実現には、子育て世帯に対して、安心した暮らしの基盤となる住まいを確保することが重要である。

都はこれまで、子育て世帯の都営住宅への優先入居や、コミュニティ形成にも配慮された東京こどもすくすく住宅の普及などの取り組みを推進してきた。

さらに、今後、子供の成長やライフステージの変化による住み替え需要に一層応えるため、東京都住宅供給公社と連携し既存の公社住宅を活用したアフォーダブルな住宅供給の実施に向けて具体的なスキームの検討を進めていく。

こうした取り組みを通じて、子育て世帯が住みやすい環境の形成に取り組んでいく。

③ 都営住宅の共益費徴収事業の負担軽減を

【質問】

都営住宅では、名義人の約7割が65歳以上となるなど高齢化が進む中、共用部の維持管理や共益費の徴収を自治会が行うことは、自治会役員や居住者の大きな負担となっている。都は、平成29年から自治会等が維持管理業務の一部を外部に委託できる共益費徴収事業を導入したが、住民合意を得る困難さや委託費用も課題となり、全自治会の4分の1程度の採用となっている。今後、さらなる高齢化が見込まれ、共益費徴収事業のニーズが高まることが予想されることから、自治会にとってこの事業を利用しやすいものとなるよう、都は積極的な支援策に取り組むべきである。令和7年第1回定例会で我が党の代表質問に対して、周知や自治会等への個別の説明、委託費用の低廉化にも努めるとの答弁があったが、この間の具体的な取り組み状況や今後の方針について、都の見解を伺う。

【住宅政策本部長】

都は、本事業の活用を促進するため、改めて居住者に事業内容を周知したほか、希望する自治会への個別説明を開始した。また、令和7年度末申込分から、自治会等の負担軽減のため、これまで共益費徴収の対象外としていた集会所の光熱水費を追加する。加えて、新たに入居を開始する建替団地の共用部の光熱水費は申込なしで対象としていく。

さらに、今後、草刈りや落ち葉清掃等の単価や作業の範囲、回数等について、自治会等の意向も聴きながら見直すことなどを検討していく。

こうした取り組みにより、自治会等を支援し、都営住宅における良好な居住環境を確保していく。

都政の喫緊の課題

① 宿泊税の見直しについて

【質問】

都は、令和7年11月26日に、宿泊税の見直し素案を公表し、パブリックコメントを実施した。見直しの内容の一つは、課税対象の見直しで、課税免除基準額を1人1泊10,000円から13,000円に引き上げ、かつ、簡易宿泊所や民泊の利用も対象としたことである。もう一つは、課税方式の見直しで、都においては、外資系ホテルの進出により高額の宿泊費の増加が見られるなど、税負担能力に対する公平性、宿泊料金の設定に対する中立性、税率の簡素な制度という観点から3%の定率方式に変更したことである。

都議会公明党は、課税免除基準額を1人1泊15,000円まで引き上げるべきと主張してきた。料金を基準とした課税免除は低廉な宿泊への配慮として有効である一方で、適正な運営がなされていない施設もある民泊への対応も同時に求められる。今回、課税免除基準額を13,000円に留めた理由と、税率が海外の主要都市や国内観光都市で導入されている宿泊税より低い3%の定率方式に変更した理由について、都の見解を伺う。

【主税局長】

低廉な宿泊への配慮や宿泊料金の上昇も考慮しながら、新たな課題等への対応の財源を、来訪者からも広く支えていただく観点から、課税免除の基準をホテル・旅館、民泊の宿泊者ともに約3割の方に負担いただく水準となる、1人1泊13,000円とした。さらに、民泊等の利用が新たに課税の対象となることから、関係機関とも連携しながら、追加となる施設も対象に、幅広く調査を行い適正な課税の確保を図っていく。

また、税率については、他都市との比較をしつつ観光の競争力にも配慮し、財源確保策として過重なものとならない3パーセントとした。

② 東京の多彩な観光の魅力を体験できるよう都民割の導入を

【質問】

都の宿泊税は、旅行客の受け入れ環境の整備のみならず、新たな観光資源の開発など、観光施策の推進を財政面から支えてきた。今回の宿泊税の見直しによって約120億円の増収が見込まれるとのことだが、東京は都心の名勝地のみならず、多摩地域や島嶼部など多彩な観光地がある。この増加した税収を活用し、外国人観光客のみならず、都民が東京の多彩な観光の魅力を体験できるように、都内のホテルや飲食店、美術館などの文化施設に都民割を導入すべきと考えまする。都の見解を伺う。

【産業労働局長】

東京の持続的な成長に向けて、国内外から多くの旅行者を呼び込むことで観光消費を拡大させ、経済の活性化につなげる取り組みは重要である。

都内を観光する都民の数はコロナ禍以前の水準まで回復しておらず、外国人旅行者の誘致とともに、都民に都内観光を促す視点も必要となる。

都は、伝統文化や豊かな自然など、東京の多彩な観光の魅力を都民が体感する機会を提供しており、こうした取り組みを着実に進めていく。

今後、東京の観光を取り巻く状況を踏まえ、都民を含む幅広い誘客の方策を検討していく。

③ 女性が就業しやすい環境整備を

【質問】

雇用・就業分野に絞っての雇用・就業分野における女性の活躍を推進する条例案について、都議会公明党は、ハード、ソフトの両面で環境整備を図る施策とセットで進めることが必要であると考える。この条例案の基本理念の中の、「女性の選択肢の拡大」は、まさに重要な視点であり、その実現のために条例に基づく施策展開を行うことは最重要である。たとえば、土木建設現場の女性が働く環境整備は重要な課題で、都議会公明党は土木現場で働く女性たちから、トイレの問題について相談をうけ、移動式のトイレである「軽トラトイレ」などの導入補助の提案を行ってきた。ソフト面だけでなく、こうしたハード面の環境整備のために補助制度を創設するなど、女性が就業しやすい環境整備を図る後押しを、都が積極的に行うべきと考えるが、見解を伺う。

【産業労働局長】

女性が希望する分野で個性や能力を発揮するには、働きやすい環境を整えることが重要である。

今般提出した条例案では、事業者の責務として、女性が就く業種・職種の拡大など、特定の性別に偏らない組織づくりの推進を定めており、今後、都は、事業者がそれぞれの状況に応じて、ソフト・ハードの両面で計画的に環境整備を進められるよう、具体的な事例等を指針で示していく。

また、女性の働く場を広げるため、普及啓発を行うとともに、建設現場をはじめとする職場において、必要な設備の整備が進むよう、事業者への支援を検討していく。

④ 雇用・就業分野における女性の活躍を推進する条例の実効性の確保を

【質問】

雇用・就業分野における女性の活躍を推進する条例で掲げた理念を実現するためには、今後、指針において具体的な内容を示していくことが重要となる。

多くの事業主は、自社の従業員に対して環境整備を進めるものと受け止めていると思うが、本条例の趣旨を踏まえると、取引先企業の社員や個人事業主などへの配慮も必要と思われる。こうした点も正確に理解し、取り組まなければ現場の改革は進まない。また、条例を実効性あるものとするためには、取り組み状況を把握し、社会変化に応じた施策を展開することも必要である。条例の実効性を確保するための取り組みについて、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

今般提出した条例案では、事業者に対し、女性が活躍できる環境整備を求めているが、その対象には、自社の就業者のみならず、その事業活動に関わる取引先や就活生なども含めている。

こうした考え方を事業者が理解し、具体的な行動につなげていただくため、例えば、取引先に対し適切な配慮を行うことなど、現場の実情に沿った事例等を指針で示していく。

また、社会状況に合わせ効果的な施策を展開するため、女性活躍の取り組み状況を把握する調査を実施し、その結果を踏まえて、施策の見直しや改善などにつなげていく。

火葬場

① 民間火葬場の料金高騰を防げ

【質問】

国は、民間火葬場の規制等は条例策定で可能との立場に対し、都は、現行法では実効性が担保されないとして、特別区長会と共に厚労大臣に法改正を求めたが、国と地方に見解の相違がある。また、都は、民間が火葬以外の事業を行なう場合、他事業との経理・会計を区分するよう求めた。しかし、これでは火葬事業が赤字になれば火葬料金の引き上げを認めざるを得ず、指導の法的根拠が与えられても今と変わらないと考える。赤字で事業が成り立たないなら、無理に公益事業を行う必要はなく、自治体に公益事業を売却すべきである。都は今回なぜこうした対応を取ったのか、料金の引き上げを拒否できるのか、都の見解を伺う。

【保健医療局長】

火葬場は、公共的な役割を担っているが、民間火葬場の料金は、行政が関与する仕組みとなっておらず、金額の妥当性を判断する基準がない。

このため都は、指導監督権限を有する自治体において、法的に実効性ある規制ができるよう、指導権限を法上明示した上で、料金設定に予め行政が関与する仕組みを法令等に規定すること、火葬事業と他の事業の会計を明確に区分し、公表を義務付けること等を特別区とともに、国に要望した。

経営管理への関与の仕組みが構築された場合には、適切な対応が可能となるよう、条例の必要性の検討も含め様々な方策について、検討していく。

② 民間火葬場が公的役割を十分に果たすよう働きかけを

【質問】

知事は、都議会公明党の代表質問答弁で、火葬場の現状を精緻に把握し経営管理が適切に行える方策を検討するとした。例えば、公共の福祉に不可欠な減額・公費の火葬件数は、令和5年度実績で、都の瑞江葬儀所は全体の約55%を占めているのに対し、6つの火葬場を持つ東京博善社はわずか6.3%である。また、コロナ感染の遺体受け入れでは、令和2年から令和5年5月までを比較すると、同社は1,862名を受け入れたと公表しているが、火葬炉の総数で割り返すと1炉当たり約30名。これに対し、我が党の調査では、瑞江葬儀所は約180名、臨海斎場は約136名となり、圧倒的に少ないことがわかる。これでは、厚労省通知にある「火葬場は公共的な施設」と言えるのか疑問である。

都は今回の調査で、民間火葬場の減額・公費の受入数やコロナ感染による遺体の受け入れについても詳細に把握・分析した上で、民間火葬場が普段から公的役割を十分に果たすとともに、新たな感染症にも対応できるよう、包括協定締結などを働きかけるべきと考えるが、知事の見解を求める。

【知事】

火葬場には、高い公共性や継続性が求められており、平時のみならず、危機発生時においても、安定的な火葬体制を確保することが重要である。

現在、都は、今後の火葬需要の増加を見据え、民間火葬場も含めた都内火葬場の実態について調査を実施しており、今後、様々な対応策を検討していく。

都民が、将来にわたって安心して生活を送ることができるよう、火葬体制の確保に向けて、適切に対応していく。

なお、感染症流行時において、需要が一時的に高まった場合は、火葬場の状況を把握し、受入体制の強化を要請する。

特殊詐欺対策

【質問】

都内の特殊詐欺被害が令和6年を大きく上回っているが、その主要因はオレオレ詐欺が大幅に増加していることであり、令和7年10月末現在、オレオレ詐欺の認知件数は2,408件、被害総額は204億円で前年同期比3.4倍となっている。これまでの被害は自宅の固定電話に掛かってきていたのに対して、近年は国際電話番号を使い携帯電話に掛かってきている。詐欺を防ぐためには、見覚えのない国際電話に出ないということが有効的な対策であると考える。

警視庁は、国際電話番号ブロックシステムを開発して、令和7年12月1日に防犯アプリ「デジポリス」に搭載したが、国際電話ブロックシステムの効果と普及啓発の取り組みについて、警視総監の見解を求める。

【警視総監】

国際電話番号ブロックシステムを搭載した警視庁防犯アプリ「デジポリス」を利用することにより、特殊詐欺の犯行利用電話番号の8割を占める国際電話番号や警察が把握した犯行利用電話番号の着信を制限することなどが可能となり、被害防止に大きな効果が期待できる。

「デジポリス」を社会に浸透させるため、SNSを活用した幅広い世代への発信はもとより、防犯講話や各種イベント等、あらゆる機会を通じて「デジポリス」の認知向上と利用促進を図るとともに、自治体やメディア等にも働き掛け、官民連携による普及啓発に取り組んでいく。

都民が安心してAIを利用できる取り組みを

【質問】

近年、生成AIは急速に普及しており、都民の生活の質を向上させる可能性を秘めている一方、生成AIの活用には、誤情報の生成をはじめとする課題が指摘されている。海外では、生成AIの安全性に欠陥があったことが原因で子供の自殺につながったとして、開発企業が遺族に提訴されたり、無断で著作物などの情報を収集しAIに回答を作成させ提訴されるケースも発生しており、都として、生成AI開発企業に対し不適切な行動をしないよう促していくべきである。また、AIを利用する都民にも、その利便性とともに、リスクも含め学ぶことができる機会を提供していくことが重要である。AIを提供する民間事業者への働きかけや都民のリテラシー向上などを通じて、都民が安心してAIを利用し、利便性の向上を図るべきと考えるが、宮坂副知事の見解を伺う。

【宮坂副知事】

AIは、私たちの生活や社会のあり方を根底から変革し、都民の暮らしをより豊かにする力をもっている。一方で、権利侵害や情報の正誤といった慎重な対応が求められる側面もあり、両面から向き合うことが欠かせない。

お話の事業者における適正なAIの開発・利用の促進は、国境を超えるグローバルな課題である現在、国において指針策定に向けた議論が行われており、その動向を踏まえ、今後、国と連携を図りながら取り組んでいく。

また、都民自らが生活の質を高めるための「道具」として、AIを恐れることなく使いこなせるよう、リテラシーを高めていくことも重要である。

現在、都民が感じるAIへの期待や不安などの現在地を把握するための意識調査を行っており、そこで得られた結果やAI戦略会議での議論も参考にしながら、施策の充実に向け検討を進め具体化を図る。

これらにより、都民がAIを安心して使いこなし、生活が便利になったと実感できる社会を創りあげていく。

福祉・医療施策

① 高齢者施設の大規模改修への支援拡充を

【質問】

都議会公明党は、令和7年第2回定例会において、都内高齢者施設の内、築20年を超えている施設が実に7割以上占めており、建物や設備の更新時期を迎えているにもかかわらず、財源の問題で十分な対応ができていない実情を指摘し、現在の都の大規模改修の補助スキームの補助率2分の1を大幅に引き上げるよう求めた。これを受け都は、老朽化の状況や今後の改修の予定など、現場の実情を調査すると答弁したが、今後、都は、この実情調査を踏まえ、都内高齢者施設の大規模改修に対して具体的にどう支援していくのか、見解を伺う。

【福祉局長】

都は、建築費高騰に対応するため、施設整備費の補助に物価スライド方式を導入しており、大規模改修の補助基準額についても引き上げている。

令和7年度実施した都内の高齢者施設に対するヒアリングの結果、施設の老朽化が進んでいる一方、近年の物価や人件費の高騰等により十分な自己資金を確保できず、改修をためらう事業者も多いことが分かった。

今後、高齢者施設の大規模改修が着実に進むよう、今般の急激な物価高騰の影響による施設の厳しい経営状況を踏まえ、支援の充実を検討していく。

② 介護関係者への居住支援特別手当の対象拡充を

【質問】

都議会公明党の提案を受け、都は、高齢者施設で働く介護福祉士やケアマネジャーなどの処遇を改善するために月額1万円、就労後5年以内の職員には2万円の居住支援特別手当を支給する制度を実施した。今後も継続すべきである。その上で、この制度は、介護保険制度を前提として仕組みが作られているため、同一法人、同一敷地内で設置されている養護老人ホームで働く介護福祉士は、対象外となっており、同じ法人で採用された介護福祉士であっても、養護老人ホームで勤務となった場合には、居住支援特別手当を支給されないのは、不公平である。都として、このような支援の不公平を解消していくべきであるが、都の見解を伺う。

【福祉局長】

養護老人ホームは、虐待を受けていたり、社会生活への適応が困難な高齢者の受皿として重要な役割を担っている。

加えて、利用者の入所期間の長期化に伴い介護を必要とする方も増加しており、養護老人ホームに勤務する職員には、高度な支援スキルや経験が求められる。

都内の養護老人ホームでは、職員の高齢化が進み、新たな人材の確保が課題となっており、養護老人ホームが必要な人材を確保できるよう取り組んでいく。

子供・子育て支援

① 「東京こどもホスピス」の実現に向けた取り組みの加速化を

【質問】

都議会公明党はこれまで、小児がんなどの重い病気を抱える子供であっても、体験や成長発達の機会が保障され、家族を含め孤立せずに「生きる」を実感できるための支援を求め、「東京こどもホスピス」の創設を提案してきた。こうした取り組みは「医療」と「福祉」の両側面が必要であり、公明党が国にも働きかける中、この度「こどもホスピス支援モデル事業」を実施することになった。都は、このモデル事業に積極的に取り組み、医療・福祉・教育などの関係機関をはじめ、NPOや当事者家族などとも連携を図り、「東京こどもホスピス」の実現に向けて取り組みを加速・具体化していくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【福祉局長】

国は、小児がんや難病等により緩和ケアが必要な子供に対する療養環境の充実の取り組み、いわゆる「こどもホスピス」の普及に向け、関係者による協議会の設置や実態調査などに取り組む都道府県等を支援するモデル事業を開始した。

都は、令和7年度、こどもホスピスを運営する事業者や小児緩和ケアに取り組む医療関係者等と、活動内容や支援対象、人員体制、運営上の課題などについて意見交換を行っている。

今後、こうした国の動向や事業者等との意見交換を踏まえ、具体的な対応について検討を進めていく。

② 病児保育の利便性向上を

【質問】

子育て家庭にとって子供が病気の際に、病院や保育所等が一時的に保育を行うことは、子育てしやすい社会をつくるために必要な事業であり、令和7年10月末時点において都内の194施設が対応に取り組んでいる。しかし、保護者にとって受け入れ施設の空き状況を探して予約をとることは、時間と手間がかかり大きな負担となっている。また、施設側も多くの利用者から予約の電話が入るため、業務に支障が出る場合もあると聞いいている。すでに一部の自治体では、24時間のオンライン予約が始まっているが、共働き世帯が増加する中、病児保育のニーズは今後益々伸びてくると考えられ、都民にとって使いやすいサービスになるよう、利便性を高めるための取り組みを強化すべきと考えるが、都の見解を伺う。また、産後ケアについても今後、広域化・共通化が図れるよう要望しておく。

【福祉局長】

都は、病児保育の利便性向上を図るため、区市町村による病児保育施設のオンライン予約システムの構築を支援するとともに、都内の病児保育施設の情報をSNS等の活用により、広く都民に発信している。

また、区市町村等を通じて都民のニーズを把握したところ、複数の施設の空き情報を確認できるシステムの導入や、自治体の枠を越えた施設の広域的な利用などを望む声があった。

今後、病児保育が都民にとって、より利用しやすいサービスとなるよう、一層の利便性向上に向けた取り組みを検討していく。

③ 都内どこでも産婦健診の一日も早い実現を

【質問】

これまで都議会公明党は、妊婦健診と同様に都内共通受診票を用いて、都内の産科医療機関、助産所等、都内どこでも産婦健診が受けられる仕組みをつくるべきと求めてきた。都は、都内共通受診方式の公費負担制度の導入と体制構築に向けた検討会を設置し、協議しているが、一日も早く都内共通受診票の導入に向け、更なる取り組みを進めるべきと考える。都の見解を伺う。

【福祉局長】

産後うつや新生児への虐待の予防等を図るため、全ての産婦が産婦健康診査を受診しやすい環境を整えることが重要である。

都は、都内共通受診票の導入に向け、区市町村や都医師会等の関係者で構成する検討会を令和7年3月に設置し、健診項目や費用等について協議を進めてきた。

今般、都内全区市町村において、令和8年10月から共通受診票を導入することに合意したことから、都は今後、医療機関等に向けた手引の作成や、妊産婦等への制度の周知など、準備を着実に進めていく。

④ 1か月児健康診査ができる環境づくりを

【質問】

産婦健診に加え、子供の健康状態の把握や虐待の早期発見などに向けては、1か月児健康診査も重要である。国は令和10年度までに全自治体での実施を目指し取り組みを行っており、都としても区市町村の取り組みが進むよう支援すべきと考えるが、都の見解を伺う。

【福祉局長】

1か月児に対して健康診査を行い、早期に疾病を発見し適切な支援等につなげることは重要である。

このため都は、全ての乳児が1か月児健康診査を受診できる環境の整備に向け、令和7年3月、都内共通受診票の導入に向けた検討を開始した。区市町村や都医師会等の関係者と健診項目や費用等について協議を重ね、今般、令和8年10月から、全区市町村において実施することに合意した。

今後、区市町村における1か月児健康診査の円滑な実施に向け、必要な取り組みを進めていく。

⑤ ケアマネジャー資格更新研修の負担軽減を

【質問】

ケアマネジャーは利用者の最適なケアプランを作成し、多様化する介護ニーズに対応しながら医療や福祉サービスを調整するなど、高齢社会において介護が必要な高齢者とその家族を支える重要な存在である。ケアマネジャー資格は5年毎に資格更新のための法定研修を受講しなければならない。この研修は実務経験や更新の回数により、約30時間から、80時間以上の長期間にわたる受講が必要で更新に2か月を要するケースもある上、約6万円の研修費用も大きな経済的負担になっていると聞く。人材不足や低賃金に苦労する介護現場の要となっているケアマネジャー更新研修の負担軽減に向け取り組むべきと考えるが、都の見解を伺う。

【福祉局長】

ケアマネジャーは、資格更新時に、法令で定める研修の受講が必須となっているが、研修時間の多さや内容が重複した科目の履修などが負担となっている。都はこれまで、研修のオンライン化のほか、令和6年度から受講料を補助するなど、受講者の負担軽減に取り組んできた。また、質の担保と負担軽減が両立した研修内容となるよう、国に対し繰り返し提案要求している。今後、国は、研修受講を要件とした更新制度を廃止する方針であり、こうした制度改正も見据え、都としても、ケアマネジャーの研修受講に係る負担軽減に取り組んでいく。

都有地を活用した農的活動支援

【質問】

近年、都市の空きスペースを利用して農的活動を行う、いわゆるアーバンファーミングが注目されている。この取り組みには、多世代交流や地域コミュニティの活性化、食育・環境教育の推進等、多面的な効果が期待できる。しかし、都心部においては農地がなく、地価の高さや土地利用の競合など、農的活動に適した土地を探すことは困難な一方、都の未利用地の合計は約120ヘクタール、東京ドーム25個分も存在している。こうした中、原宿にある未利用国有地では、国から渋谷区が委託を受け、さらに民間団体が再委託を受けて管理運営している「原宿はらっぱファーム」という誰もが参加できる農園が開設され注目を集めている。都は、狭小な都有地など未利用公有地を活用し、農的活動を推進する民間団体等を支援するための仕組みづくりに取り組むべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

農業体験をはじめとした農的活動の促進は、地域コミュニティの活性化等とともに、農業への理解促進や担い手育成にも有効である。

このため都は、自治体が生産緑地を購入し、農的活動を進める際や、体験農園等の整備を行う場合に必要な経費への助成等を行っている。

今後は、都や地元自治体などが所有する公有地と農的活動に意欲のある民間団体等を結びつける取り組みの後押しを検討する。

これらにより、農業の関係人口を増やし、持続可能な東京農業を展開していく。

教育施策

① 不登校の子どもたちが安心して学べる環境整備の充実を

【質問】

都内公立小中学校においては、不登校児童生徒数は減少したものの依然高く、不登校対策は喫緊の課題である。子どもたちが安心して学べるよう、一人一人に寄り添ったきめ細かな支援が必要であり、それぞれのニーズに合った学びの環境を整備することが重要である。国は現在、公立の小・中学校の学校内の空き教室等を活用し、児童生徒の相談や学習指導にあたる支援員を配置する補助制度を創設し、都内公立小中学校91校で実施されている。しかし、会計年度任用職員が要件となっており、学校によっては、人材確保に苦慮しており、短時間でなら働けるという場合も多く、支援員の要件を柔軟にする必要がある。一方、都は、国に先駆けて、令和5年度から、校内別室指導支援員を配置する場合、10分の10で費用を支援しており、これまで388校で実施し着実に成果を上げているが、この事業は2年間だけの補助で、令和7年度で終了となり、継続を求める声を聞いている。校内別室指導支援員の配置について、全校での設置が進むよう、国の事業も活用しつつ、各地区や各学校の実態に応じて、柔軟に運用できるよう、都として新たな制度構築を図るべきと考えるが、教育長の見解を伺う。

【教育長】

公立の小中学校の学級で学ぶことが難しい不登校の児童等について、校内の部屋で受入れ学習の指導等をきめ細かく行う取り組みは重要である。

これまで、都教育委員会は、不登校の子供に関し、空き教室で勉強の指導等を行う人材の活用を後押ししてきた。具体的には、区市町村がそうした人材を配置する経費に助成するほか、これに合わせ教室の整備も行う場合は、国の補助を使い、費用負担の軽減を図ってきた。

今後は、国の補助の活用のほか、区市町村からの要望への柔軟な対応に向け、都の助成を受ける学校を増やす取り組みに力を入れる。

② 学校での保護者等へ的確に対応できる体制整備を

【質問】

学校に寄せられる保護者からの要望は、時に過度な要求となる場合があり、教員の負担感につながっている。都議会公明党は、学校の負担軽減のため、弁護士等の専門家と連携し、的確に対応できる体制を整備するべきと訴えてきた。都教育委員会では、令和7年5月に有識者会議を立ち上げて議論を進め、対応が困難な保護者に対応するためのガイドラインの素案が示されたが、学校がガイドラインを活用して保護者対応を効果的に進めるためには、早い段階から弁護士などの第三者を参画させるなど、学校が柔軟に対応できる体制を構築するべきである。また、都立学校だけではなく、区市町村立の小中学校でも十分に活用できるようにすべきである。併せて、教育長の見解を伺う。

【教育長】

都立学校が保護者や地域の方々とより良好な関係を作るガイドラインの効果を高める上で、現場で柔軟な対応もできることは重要である。

このガイドラインでは、保護者等との日頃からの関係づくりに加え要望等への対応に係る基本ルールを示している。そのため、保護者等との面談に当たり、現場の実情に応じ、専門家が早めに教員と同席するなど柔軟な対応を可能とする。

また、本ガイドラインを踏まえ、公立の小中学校でも対応を進める視点は重要である。このため、その内容を区市町村教育委員会とも共有し、各学校の取り組みにつなげていく。

③ 公立小中学校の空調設備更新で健全な教育環境確保を

【質問】

普通教室の空調は、2011年からの3か年で一斉に整備されたため、2026年度以降の3か年で耐用年数の15年を迎える。今回の更新は、当時の整備費と比べ、人件費の上昇や資機材の高騰により、現状の国単価では、実工事費と大きく乖離するため、都議会公明党は、都による財政支援を検討すべきと主張したことに対し、教育長は、国や区市町村の動向を踏まえながら、必要となる対応を検討するとした。しかしながら、教育庁の令和8年度予算要求には、普通教室の空調更新に対する区市町村への財政支援は盛り込まれていない。子供たちの健全な教育環境を確保する意味でも、普通教室の空調設備の更新費用について、都も財政支援を行うべきである。改めて、教育長の見解を伺う。

【教育長】

小中学校に通う児童や生徒のため、学習を行う上で良好な環境を整備することは重要である。

都教育委員会では、小中学校の普通教室の空調機器の導入を支援し、全校での設置を実現した。このサポートによるものを含め、普通教室の空調に関し、更新時期を迎えている場合がある。こうした中、都教育委員会は、普通教室の空調の更新について実態や整備等に係る調査を行い、課題整理を進めている。

暑さの厳しい状況が進み一層適切な取り組みが必要となる中、国や区市町村の動向を踏まえ、空調更新に係る必要な対応に力を入れる。

若者支援

① 若者の居場所創出へ一層の支援を

【質問】

都議会公明党は、自宅に居場所がない、自宅にいても一人で孤独であるなど、居場所を必要とする若者が、夜の時間を含めて安心して過ごせる場が都内各所にあることが必要であるなど、困難を抱える若者の支援強化について提案してきた。都は、都議会公明党の要望を受け、令和7年策定した第3期東京都子供・若者計画において、多くの区市町村で、それぞれのニーズに応じた若者の居場所づくりが進むよう働きかけていくことを掲げ、令和7年度からは、区市町村の居場所設置に対する補助を拡充した。子供・若者計画の5年間の計画期間の中で、都内各地に様々な若者の居場所が創出されるように、より一層の支援が必要と考えるが、都の見解を伺う。

【都民安全総合対策本部長】

社会的自立に困難を抱えた若者には、身近な地域で安心して過ごし、支援を受けることのできる環境が必要である。

このため、都は、若者の居場所づくりに取り組む区市町村に対し、補助金の補助率を上げるとともに、設置前の実態調査から開設に至る一連の経費を補助するスタートアップ支援を開始した。令和7年度は、児童養護施設等の手を離れた社会的養護経験者の居場所や、食事とともに就労体験を提供する居場所等が新たに設置された。今後も子供・若者計画の目標達成を目指し、多くの若者の居場所整備が進むよう一層の支援に取り組んでいく。

② 東京イノベーションベースを学生や若者の探求の居場所に

【質問】

社会の諸課題の解決に関与しようとする若者の居場所を作り、取り組みを支援することも必要と考える。都は、東京イノベーションベース(TBI)を2023年11月に開設し、国内外からスタートアップや支援者が集まるイノベーションの結節点を目指している。中でも、学生等コミュニティ形成のためのプロジェクトであるTIB JAM事業では、毎週水曜日を学生が気軽に立ち寄れる、日常的な居場所づくりも行っている。こうした居場所づくりを、中高生や20代の若者に広げるなど、更に充実していくことは、今後の若者支援の新しい展開になると期待するものである。東京イノベーションベースの場を学生や若者の探求の居場所として、若者の可能性を引きだす取り組みをしていくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【スタートアップ戦略推進本部長】

社会課題に向き合う若者の挑戦を応援することは、TIBの重要な役割であり、令和7年11月公表した戦略2.0にも、その取り組みの加速を盛り込んだ。

令和7年11月、TIBに集う若者10名がフィンランドの世界的スタートアップイベントに参加し、グローバルな視点を学び、学生主体で大規模イベントを運営する姿に大いに刺激を受けた。この経験を共有し、来春のスシテックに向けた活動に活かす。また、支援対象を中高生に拡大する他、TIBを居場所として、探求する若者が日常的に集う場の充実を図り、議論や切磋琢磨、起業家との出会い等を通じて、若者の挑戦を力強く後押ししていく。

③ 奨学金返還支援事業を大学院まで拡充を

【質問】

都議会公明党は、社会人となった若者の多くが重い負担を感じている奨学金の返済と、人手不足が課題となっている中小企業の人材確保を同時に解消するための支援制度を都に提案し、「中小企業人材確保のための奨学金返還支援事業」が創設された。そして、その後も都議会公明党は対象者の拡充を求めてきた。令和7年第2回定例会では、転職時代を踏まえたより多くの若者がチャレンジできる制度とすべく都に拡充を求め、前向きな答弁を得た。中小企業の人手不足の解消と、競争力を高めるための専門人材を確保するため、大学院を卒業した高度人材を採用できるよう、支援を強化すべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

中小の建設、IT、ものづくり分野の企業が、学生等を将来の技術面の中核人材として採用し定着を図る上で、奨学金返還の支援は効果的である。

都は、これまで、事業の周知を図るとともに、令和7年8月から年齢要件を引き上げるなど、利用促進を行っており、年々実績が伸びている。

事業を活用している企業からは、専門的な分野での高度な知識や研究の経験のある技術者を求めるニーズもあり、こうした人材の確保を支援することは中小企業の将来の発展に不可欠である。

今後、大学院を卒業した高度な人材の獲得に努める中小企業の後押しに取り組んでいく。

ディープテック支援

【質問】

わが国には、気候変動対策、高効率なエネルギー利用、ロボティクス、宇宙分野など、都民の暮らしを豊かにし、持続可能な社会を生み出す先端技術研究であるディープテック分野が数多く存在するが、このような分野は、高度な技術が求められ開発の拠点が必要となり、多大な費用と時間を要する。令和7年11月にバージョンアップしたスタートアップ戦略2.0での取り組みを加速するにあたり、ディープテック分野について、技術開発、経営支援、そして大胆な投資など官民を挙げた息の長い、そして思い切った支援に注力すべきと考えるが、知事の見解を伺う。

【知事】

気候危機を克服し、持続可能な都市を築く。そして、都民の豊かな生活を導き出す。こうした革新的なイノベーションを社会に実装していくことが、スタートアップ戦略が目指す未来だ。

これに向け、戦略2.0では、企業を大きく育てるスケールアップへ注力するとともに、とりわけ、研究開発に多額の費用と期間を要するディープテック分野に重点的に取り組むこととし、大胆な支援を盛り込んだ。

具体的には、民間の多様な領域での開発支援拠点の整備を、強力に後押しする。官民が連携して、世界市場に挑戦する企業に対して、経営戦略、研究開発の資金、そして、集中投資などの多面的な施策を展開する。

新たな戦略に基づき、多くの民間事業者の協力を得ながら、ディープテック分野の飛躍的な発展につなげていく。

環境施策

① 土壌汚染対策に取り組む中小事業者の支援を

【質問】

中小事業者の工場跡地等において円滑な土地利用転換を進めるためには、低コストで持続可能な土壌汚染対策の普及が課題である。都が令和5年度から開始した、工場跡地で行う土壌汚染対策の実証等を支援する制度は、利用した事業者からは大変好評と聞いている。都は、令和7年第1回定例会での都議会公明党の求めに応え、令和7年11月から新たに、操業中の事業場にも適用できる対策技術を認定したが、業界団体からは、より多くの事業者に使ってもらうために制度の普及とともに、更なる充実が求められている。事業の終期は令和7年度末となっているが、今後も事例を積み上げ、土壌汚染対策に取り組む中小事業者を支援していくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【環境局長】

中小事業者が安価で確実な土壌対策技術を活用し、円滑に対策を講じることで、土地利用転換を推進することが重要である。

このため、都は、令和5年度から、高額な掘削除去を行わない対策技術の実証を支援し、これまでに23件の技術を認定、うち6件を実証した。また、令和7年11月に、操業中で作業に制約を受ける場合でも適用できる対策技術を新たに10件認定した。

今後は、これまで認定した技術を現場で実証することで対策技術を確立し、広く普及させるとともに、持続可能な土壌汚染対策の推進に向けた取り組みの充実を検討していく。

② サーキュラーエコノミー(循環型経済)への移行に向け強化を

【質問】

我が国は、令和6年8月、循環型社会形成推進基本計画を改定し、大量生産・大量消費・大量廃棄につながる一方通行型の経済から、持続可能な形で資源を効率的・循環的に有効利用するサーキュラーエコノミーへの移行を全面的に打ち出し、国家戦略に位置付けた。都は、資源循環・廃棄物処理計画を軸として施策を展開しているが、令和7年度末に予定される改定に向け、審議会等での検討が進んでいると聞いている。次期計画の改定に当たっては、資源の大消費地である東京として、サーキュラーエコノミーへの移行に向けた施策を一層強化すべきと考えますが、都の見解を伺う。

【環境局長】

世界的な社会経済の変化や環境課題の深刻化に対応するには、持続的に資源の有効利用を図るサーキュラーエコノミーの実現が重要である。

都は現在、一般廃棄物排出量等の2035年度目標について、全国最高水準への引き上げを議論している。その実現に向け、容器包装や製品プラスチックの分別収集の底上げや、粗大ごみの水平リサイクルの促進、自治体や事業者と連携したSAFの普及拡大を検討している。

また、サプライチェーン全体で資源を有効活用する仕組みの構築など、各施策の充実に向けた検討を進めており、これらにより持続可能な資源利用を推進する。

③ 家庭の食品ロス削減と再資源化のより一層の推進を

【質問】

都議会公明党は食品ロス削減問題について備蓄食品の有効活用やフードドライブの実施など、これまでも提案し、都もそれに応え施策を進めてきた。令和7年3月、都は、2050年食品ロス実質ゼロを見据えて、2035年に65%削減という新たな高い目標を掲げたところであるが、都内の事業系の食品ロス削減は着実に進展している一方、家庭系では近年、増減はあるものの概ね横ばいで推移している。また、水分を多く含む調理くずなどの食品廃棄物約90万トンの大半が焼却されており、焼却時に燃料を使うこともあることからCO2の排出につながっているのが現状である。現在、区市町村によっては、生ごみをたい肥などに変えるコンポストなどの購入費助成や、一部の市では家庭の生ごみを収集し肥料化が進んでいるが、だれもが環境への意識を持ち、取り組めるようにしていくことが必要である。都は、区市町村とも連携し、家庭における効果的な食品ロス対策を講じるとともに、食品リサイクルの推進にも一層力を注ぐべきと考えるが、都の見解を伺う。

【環境局長】

都内発生量の約4割を占める家庭からの食品ロスを削減するには、無駄のない消費行動を促しながらリサイクルを進める仕組みが重要である。

都はこれまで、身近でできる削減行動をまとめた冊子の活用やSNSを通じたPR等により、家庭での賢い食品の消費を啓発してきた。

今後は、食品ロスの削減に繋げていくため、家庭での食材の在庫状況やロス発生の実態調査を検討する。加えて、複数の自治体や食品リサイクル事業者等と連携した家庭ごみの広域的な資源回収ルートの構築等を検討し、食品の循環利用に取り組んで行く。

④ 食品ロス対策の効果と具体的取り組みを

【質問】

近年、気候変動問題が大きな課題となる中で、食品ロスと気候危機を一緒に考えていくことの重要さも指摘されている。都としても、気候変動問題の具体的解消策としての観点から、食品ロス削減を一層強化し、都民に周知するとともに、具体的アクションについて、若者などによる仮称「ユース協議会」を設けるなど、幅広く英知を結集して取り組みを進めるべきと考えるが、都の見解を伺う。

【環境局長】

気候変動問題の解決に向け、各国で脱炭素化の取組が進む中、家庭や運輸部門のほか、食料の生産や流通・廃棄における取り組みも重要とされている。

このため、都は、食品ロス対策をゼロエミッション戦略の柱の一つに位置付け、先進技術を活用したサプライチェーンにおける発生抑制等の施策を推進してきた。また、外食産業と連携したキャンペーンを展開し、都民への意識啓発を図ってきた

今後、食品ロス削減に取り組む学生が企業や自治体と意見交換する機会を設け、研究発表や取り組み事例の共有等を通じ、取り組みのブラッシュアップを図り、食品ロス削減を一層推進していく。

交通施策

① 地域公共交通の充実に向けたさらなる取り組みを

【質問】

バスの運転手不足などの影響により、民間バス会社等の減便や路線廃止が進んでいることから、これまでの「交通空白地」のみならず、各自治体が課題を抱える地域においても取り組みを進めていくことが、持続可能な地域公共交通の実現につながると考える。特に、高齢化の進行などを踏まえると、高齢者等の地域における移動を細かくサポートし、気軽な外出を支える移動手段の充実を図っていくことも重要である。昨今、人件費、車両購入費をはじめ導入に係わる経費が高騰する中、自治体の取り組みを支える都の支援充実を求める声が区市町村より多く届いている。こうした身近な移動手段の充実など、地域公共交通の取り組みを更に促進すべきと考えるが、都の見解を伺う。

【東京都技監】

都は、これまで地域公共交通の基本方針に基づき、コミュニティバスの導入を支援するなど、区市町村の主体的な取り組みを後押ししてきた。

地域公共交通の更なる充実を図るには、社会経済情勢の変化や、利用者ニーズにきめ細かく対応することが重要である。このため、物価高騰や人手不足などの現状を踏まえた取り組みの充実や、住民等で構成する地域が主体となった移動手段の導入を促す方策を検討している。

この結果を、令和8年度の基本方針改定に向けて、年明けに公表する中間まとめに反映し、地域公共交通の充実に向けた取り組みを促進していく。

② ホームドアの段差や隙間を解消を進めよ

【質問】

都議会公明党は、2021年の政策目標チャレンジ8のひとつである、鉄道駅のホームドアの設置促進について、繰り返し提案してきた。令和6年には、技術的な課題への対応に加え、財源の確保が不可欠であり、整備の加速には、補助制度の拡充による、より踏み込んだ支援が必要と訴え、その結果、令和7年度から、都が事業者に直接補助する制度を創設した。都が踏み込んだ支援をしたことで、事業者がホームドア設置を加速していると認識している。今までの取り組みに加え、ホームドアを設置する際には、車両とプラットホームとの段差や隙間を解消し、車いすやベビーカーをお使いの方が乗りやすくすることも合わせて行うことが効果的と考える。ホームドアの整備加速を進めるとともに、それにあわせ、段差、隙間の解消策などの取り組みについて、都の見解を伺う。

【東京都技監】

ホームドアは都民の命を守る重要な施設であり、整備加速には官民連携の課題解決が不可欠である。

都は、新たに創設した補助の活用により、事業者が整備の加速に取り組む駅を含め、令和10年度末までに、整備率約63%を達成する見込みを示した。

ホームと車両の段差及び隙間対策については、ホームドアと一体的に整備する場合は補助の対象となるため、今後は、協議会の場を活用し、ホームドア整備と合わせて対策を促進していく。

引き続き、官民が連携・協力し、ホームドアの整備加速に取り組んでいく。

法人2税と固定資産税の他の自治体への再分配の動きについて

【意見表明】

公明党は令和7年12月8日、党東京都本部の緊急役員会において、令和8年度税制改正大綱において、本来あるべき地方税財政制度と地方分権への流れに逆行する見直しにより、東京都の税財源が更に国に奪われ、日本経済をけん引する東京の活力を削ぐ動きとならぬよう、緊急要望を取りまとめた。そして、令和7年12月9日、公明党税制調査会で了承のもと、与党税制調査会に申し入れを行った。都議会公明党は今後も、知事と共に、国による都の税収狙い撃ちに対しては断固阻止すべく取り組んでいく。

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