都議会公明党を代表して、本委員会に付託された知事提出の全議案に賛成する立場から討論を行います。
令和4年度一般会計当初予算案は、都政に課された使命を確実に果たすとともに、希望ある未来を切り拓いていく予算とし、前年度に比べて、約3,800億円増となる、総額7兆8,010億円となっています。
コロナ対策はもとより、気候変動対策や首都直下地震への備え、脱炭素社会の構築、「段差」のない共生社会の実現などの分野に重点的に予算を配分しています。一方で、評価制度を更に強化して、事業評価により1,116件の見直し・再構築を行い、1,117億円の財源確保につなげています。
また、基金を積極的に活用する一方で、税収増を活用し、都債の発行を抑制するなど、将来に向けた財政対応力を培っており、積極的な施策展開と持続可能な財政運営の両立を図っています。
しかし、都議会公明党が代表質問で指摘した通り、基金残高の水準は、コロナとの闘いに突入した令和元年度の半分以下の水準です。今後の景気変動や財政需要の増加リスクなどに備え、一層の基金残高の確保に努めるよう強く求めておきます。
ウクライナ危機に関わる、令和4年度一般会計補正予算について都は、都議会公明党の要望に応じ、中小企業の資金繰りを支えるための新たな融資メニューの創設、販路開拓等の支援、雇用確保や就職支援など、都内経済や都民生活を守るための対策を迅速かつ的確に予算化しました。
引き続き、目まぐるしく変化する状況をしっかりと見極め、時機を逸することなく対策を講じていくよう求めるものであります。
次に、都議会公明党の強い要請により、当初予算案に準備経費が盛り込まれた、高校3年生世代までの医療費無償化についてです。
わが党は、今後、すべての区市町村で無償化を実施できるよう、取組を進めるべきことを求めました。これに対し、都は、令和5年度からの3年間、都の負担を10分の10として区市町村を支援する考えを明らかにしました。この方針を高く評価するとともに、今後、区市町村と意見交換を密に行うなど丁寧に調整を進め、着実な実施につなげるよう求めるものであります。
次に、ウクライナ危機についてです。
ウクライナからの避難者に対し、都議会公明党は、都営住宅の提供をはじめ、生活支援を強く求めました。これを受けて都は、都営住宅の提供のほか、それにつなげる相談体制や一時宿泊の確保の体制を構築し、生活必需品の支援、子どもの教育への配慮を進めるとしたことを評価します。国からの要請を待たずに都として都営住宅の提供など支援を始めるべきです。
また、新たな融資制度について、都議会公明党が利子補給など支援強化を求めたことに対し都は、検討する考えを示しました。さらにフードパントリーや子ども食堂への支援、生活に困窮する方々への住居・貸付金の支援についても、都は積極的な取組みを明らかにしました。しっかりと推進するよう求めるものです。
次に、小型で機動力があり、全国に展開されているドクターヘリの運行についてです。
都議会公明党は、重大事故や脳疾患など、1分1秒を争う場合に力を発揮するドクターヘリの導入について、様々な機会を捉えて提案してきました。いよいよ、その運航が目前に迫っていることから、運航開始に当たっての知事の決意を求めました。
これに対し、知事は、本年3月31日から運行を開始すること、そして、今後とも近隣県と連携を図りながら、救急医療体制の機能強化に取り組んでいく考えを明らかにしました。ドクターヘリの運行開始により、都民の安全安心の一層の確保が図られるものであり、着実な取組を求めるものです。
次にこども施策についてです。
都議会公明党は東京都こども基本条例の制定をリードしてきました。今後、都はチルドレンファーストの社会実現に向けて、子ども政策を総合的に推進するとともに、先進的な政策に果敢にチャレンジしていくべきです。知事からは、子供政策連携室を新たに設置し、分野横断的に子供政策の企画立案・総合的調整を図っていくとともに、従来の枠組みにとらわれない新たな取り組みの検討を進めるとの答弁がありました。積極的な取組みを求めます。また、多くの区市町村で子どもの意見表明や参加の促進、権利擁護の充実を図る取り組みが進むよう更なる支援を強く求めておきます。
妊婦健康診査について都議会公明党は、都内の助産施設で公費負担による受診票が使える自治体とそうでない自治体があることを指摘し、都として償還払いでなく受診票が使えるようにすべきと求めました。都は、各自治体の判断で可能と通知する考えを示しました。一歩前進ですが、すべての自治体で可能となるよう取り組みを求めるものです。
次に女性の就職支援についてです。
都議会公明党は、コロナ禍において、厳しい雇用環境に置かれている女性の早期の再就職を実現するため、マッチング機会の充実を図るなど、就業支援を強化するよう訴えました。これに対し都は、女性が働きやすい職場として都が表彰した企業など約200社が参加する大規模な就職面接会を開催する、と答えました。
また、都議会公明党は、デジタル分野の職務経験の少ない女性求職者について、育児中でも参加できる能力開発支援を求めました。これに対し都は、スキルを学ぶ300人規模の訓練を身近な会場で出来るようにし、託児サービスも提供する方針を示しました。これらの取り組みを着実に進めるよう求めるものです。
次に、都民の城の改修についてです。
都民の城は、酸素・医療提供ステーションとして活用されているため、供用開始は2年間延びて令和7年度からになります。そのため、改修しても正味3年間しか共用期間がなく、136億円の改修費用はムダ遣いになると指摘しました。令和4年度予算案には実施設計の経費は計上されていませんが、この改修はやめるべきと改めて求めておきます。
次に、安全対策についてです。
都議会公明党は、早期に女性専用車両を拡大していくためにも、他の鉄道事業者と相互直通運転をしていない大江戸線から具体的な検討をすべき、と主張しました。これに対し都は、利用者の規模が最も大きく、痴漢通報件数も相対的に高い大江戸線を対象に検討すると答弁しました。早期の導入を求めるものです。
次に、神宮外苑地区のまちづくりについてです。
都議会公明党は、白亜の絵画館をバックに整然と連なる4列のイチョウ並木を将来においても保全することを訴えてきました。
今後の整備にあたっては、都市整備局が将来的にも保存するとの考えを示したことをふまえ、未来の担い手である子どもたちとともに、新たな緑あふれる神宮の森を創り上げていくことを求めます。
次に、昨年の東京でのパラリンピック大会のレガシーであるユニバーサルデザインやバリアフリーの更なる前進についてです。
新年度予算に公共施設の介助用大型ベッドを整備する区市町村に対する助成費用を予算化したことを評価するものであります。しかし、令和4年度だけでなく計画的に推進していくことを強く要望しておきます。
なお、共産党提出の動議は、いつもながらの唐突な提案であり、賛同を得ようとする努力のあとも全く見られません。こうした無責任な提案には、到底賛同することはできません。
都議会公明党は、今後とも現場第一主義で、都民の命と暮らしを守り抜くという決意で全力を尽くしていくことをお誓い申し上げ、討論を終わります。