谷村孝彦議員の予算特別委員会(3月23日)しめくくり総括質疑

新型コロナウイルス感染症対策

① 新型コロナ対策についての知事の決意について

【質問】

今週から感染症の対策について段階的緩和期間に入る中で、引き続きコロナウイルスへの備えに関し、都内の各地域でしっかりと進めていくことが大切。知事の決意を伺う。

【知事】

新型コロナウイルス感染症との戦いは、今も続いている。

これまで、都民の皆様、事業者の皆様方には、本当にご協力をいただいてまいりました。

そしてまた過日、緊急事態宣言が区切りを迎えたわけだが、しかしながらここで、またぶり返してしまっては、せっかくこれまでの長い期間のご苦労、ご努力が水の泡に期してしまうことになってしまう。

ここはいかにしてリバウンドを防ぐかが重要である。

とはいえ、守るべきこと、守っていきたいこと、これはかねてより基本的な行為というか、気を付けるポイントは、分科会からも再三再四、お伝えいただいている通りである。

この基本を守っていくこと、そして、それによってリバウンドを発生すると、そのことによってまた長い期間が続いてしまうこと、すでに皆さんは、このことは良くご承知の上だと思う。

そこで、今回の新型コロナウイルス感染症対策で、予算も何度も組ませていただいた。

そしてまた、必要なご協力も賜ってきた。

繰り返しになるが、ここは、リバウンド防止のための期間であるということを、皆様方と意識を共有していきながら、このウイルスとの戦いを続けて、できるだけ短く抑え込んでいくように、皆様方と引き続き歩んでいきたいと思っている。

よろしくお願い致します。

② 商店街における感染防止対策への支援について

【質問】

商店街が主体となり、来訪者の感染の有無を調べてその場ですぐに本人に結果を示し、安心して会食のできる仕組みを作り上げることは非常に効果的と考える。都として商店街に協力を要請するとともに、必要な支援を行うべきと考えるが、所見を伺う。

【産業労働局長】

地域のコミュニティの中心である商店街を訪れる方々が安心して飲食や買い物を楽しめる環境を整えることは重要である。

このため、都はこれまでも、商店街がアクリル板や換気設備を導入する際の経費を支援するなど、感染防止対策の様々な取組をサポートしてきた。お話の来街者の感染状況などを確認する取組についても、効果的な方法の1つであり、来年度実施する商店街への支援策を活用できると考えている。

飲食店等の感染防止対策の更なる徹底に向けて、関係局とも連携し、商店街の取組を後押ししていく。

③ 変異株への対策について

【質問】

感染拡大を抑え込むという観点からは、全ての新規感染者について、変異株の検査ができるよう体制を速やかに拡充することが必要だと考えるが、見解を伺う。

【福祉保健局健康危機管理担当局長】

変異株の感染拡大を防いでいく上で、早期探知に向けて監視体制を更に強化することは重要である。

そのため、保健所との連携強化を図り、変異株と疑われる検体の健康安全研究センターへの搬入を増やしていくとともに、スクリーニング検査を実施していない民間検査機関への働きかけを強め、新規陽性者に対するスクリーニング検査の割合を拡大していく。

さらに、健康安全研究センターで引き続きゲノム解析を実施するとともに、東京iCDCで、大学や研究機関等と連携して、変異株の特徴や新たな変異の有無などの実態把握を進めていく。

④ 病床確保に対する今後の都の取組について

【質問】

都の病床利用数のピークは、1月12日の3,427室である。現在都は5,245床の病床を確保しているが、ピーク時の2倍の病床を確保するためには、7,500床の病床を確保しなければならない。病床確保に対する今後の都の取組について、見解を伺う。

【福祉保健局健康危機管理担当局長】

新型コロナ患者を受け入れる病床の確保に向けては、通常医療との両立を図りながら、体制整備を図ることが重要である。

そのため、都は、段階的に病床の確保を進め、5,048床を確保している。これに加え、今後、変異株などにより、再び感染が拡大した場合に、新型コロナ患者の受け入れのために転用する病床の確保を進めており、現在、最大確保病床として5,474床を確保している。国は今月18日の「緊急事態宣言解除後の新型コロナウイルス感染症への対応」において、医療機関の役割分担や、実効的な病床の確保・活用などを徹底した上で、次の感染拡大に備えた病床確保計画の見直しを各都道府県に求めており、感染が急拡大した際にも対応できるよう、更なる病床確保に迅速に取り組んでいく。

⑤ 宿泊療養施設について

【質問】

国は、宿泊療養を原則とするという事務連絡を発出した。都においても、今後は、宿泊療養を原則とすることを徹底すべき。また、都の自宅療養者のピークは、9,442名であることを考えると、宿泊療養の部屋数を1万室に増やす必要がある。併せて見解を伺う。

【福祉保健局健康危機管理担当局長】

現在都は、国が都の求めに応じて今月2日に発出した宿泊療養を原則とする旨の通知を保健所等に周知するとともに、保健所に代わり、患者への宿泊療養を原則とした説明や問合せに対応するなど、宿泊療養施設の利用を促進している。

また、昨年末から今年の初めにかけての感染者数の急増に伴い、宿泊療養施設を増やしており、現在、14施設で受入可能な部屋数として、3,290室を確保している。

今後の感染拡大に備えて宿泊療養施設の効率的な活用を図るとともに、感染拡大の状況や、モニタリング会議での専門家のコメントなどを踏まえ、必要な時に迅速に施設を増やせるよう、あらかじめホテル事業者と協定を締結するなど施設の確保に取り組んでいく。

⑥ 新型コロナ後遺症(メンタル)対策について

【質問】

多くの方に、強い倦怠感からくる「うつ状態」の傾向がみられる。このままだと自殺者が出ることが心配である。後遺症の治療とともにメンタルケアの取り組みも大変重要である。都の認識を伺う。

【福祉保健局健康危機管理担当局長】

新型コロナウイルス感染症の後遺症の実態は、現段階では明らかになっておらず、確立された治療がないことから、東京iCDCの専門家ボードでは、これまで、後遺症の現状を把握するための調査に取り組んできた。

この調査では7割以上の方が、呼吸困難、倦怠感といった、何らかの後遺症をお持ちになっていることが分かった。

また、東京iCDCの専門家らとの意見交換を通じまして、新型コロナウイルス感染症の後遺症が疑われる方で、うつ状態の傾向がある方がいるという話もうかがっている。

今後、こうしたことを踏まえ、実態把握を進め、後遺症に悩む方への対応策を検討していく。

⑦ 新型コロナ後遺症(オンライン)対策について

【質問】

強い倦怠感の方は、診療所や病院に行くことすらできないという後遺症も散見される。

オンライン診療も推進すべき。見解を求める。

【福祉保健局健康危機管理担当局長】

オンライン診療だが、アクセスが容易で待ち時間が少ないなどの利点がある一方で、医師が得られる患者の心身の情報が限定される、あるいは、十分な情報セキュリティ対策が必要であるなどの課題がある。

国は、オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会で、医療機関などからの実績報告に基づき、改善のための検証を行っている。

都は、国のオンライン診療に関する検討結果や、東京iCDCの専門家ボードにおける後遺症に関する検討も踏まえながら、適切に対応していく。

⑧ 新型コロナ感染に伴う差別等への啓発について

【質問】

新型コロナウイルスに関連して出ているが、シトラスリボンプロジェクトはご存知でしょうか。

【知事】

コロナ禍において、差別等のない誰もが安心して暮らせる社会を目指す目印としてのプロジェクトと聞いている。

都はこれまでも、コロナ差別解消に向けて、啓発ポスターや動画等で「ストップ!コロナ差別」を訴えてきた。

そして、人権に配慮した、冷静な行動を取るようにということで、都民に広く呼び掛けてきた。

その1つのツールとしてのシトラスリボンプロジェクトであるが、これは都における人権尊重の理念と軌を一にするものである。

ホームページ等で、その取り組みを紹介するなどして、考え方をさらに広めていきたいと考えている。

またこれからも、感染症に関連した差別や偏見があってはならないという人権意識が広く都民に浸透するよう、効果的な啓発などを進めていく。

⑨ キャッシュレス決済比率の向上及び事業評価の実施について

【質問】

「東京都生活応援事業」を通じて、キャッシュレス決済比率をどこまで引き上げていくつもりなのか、紙の商品券も含めた事業評価をどのように行っていくつもりなのか、宮坂副知事に伺う。

【宮坂副知事】

コロナ禍において、新しい日常を定着させていく上で、キャッシュレス決済の普及は最優先で取り組むべき課題である。

キャッシュレスは、非接触型の衛生的な決済手段であり、感染拡大の防止につながるとともに、民間のシンクタンクの試算によれば、1.6兆円にも上るとされている現金取扱いの社会的コストの削減や、身体の不自由な方も利用しやすいなど、様々なメリットがある。

民間のインターネット調査機関が実施した調査によれば、88パーセントの方がキャッシュレス決済を利用したことがあると回答している。

また、別の調査によれば、66パーセントの方が、コロナ禍においてキャッシュレス決済の利用比率が高まった、と回答している。

本事業は、新しい日常における生活応援を図るとともに、デジタルの力を活用した地域経済の活性化に向け、キャッシュレス決済によるポイント還元などの取組を行う区市町村の支援をしていくことを目的としており、本事業を通じて少しでもキャッシュレス決済の利用者を増やしていきたいと考えている。

また、事業終了後は、本事業の利用者数、利用店舗数、利用額やコスト等、客観的なデータに基づく分析をキャッシュレス、紙実施分の双方で実施することにより、効果検証や事業評価を行い、次の施策につなげていく。

新しい日常に即した生活スタイルの確立に向けて、キャッシュレスの更なる推進に取り組んでいきたい。

⑩ デジタルを活用できない方々への対応について

【質問】

本事業は東京都生活応援事業なのだから、高齢者など、スマートフォンなどのデジタル機器を利用していない方に対しても事業の恩恵が行き届くようにすべきと考える。このような方々に対して、都はどのような対応を考えているのか、伺う。

【総務局長】

本事業の実施に当たっては、これまでデジタル技術を活用されてこなかった方々にも実際にキャッシュレス決済を利用していただき、利便性を実感していただくことが必要である。

都では、新年度から新たに、デジタル機器に不慣れな方々に対し、通信事業者と連携して、地域等でのスマートフォンの使い方講習会や、端末の貸出を行うなど、関係各局による重層的な取組を実施することとしている。

また、スマートフォンを保有していない方でもキャッシュレス決済を利用できるよう、非接触型の電子マネーの活用を検討している区市町村からの相談を受け、現在、事業者へのヒアリングを行っている。今後、このような事例についても区市町村に情報提供していく。

東京オリパラ大会

① 被災地応援ツアーの取組状況と実績について

【質問】

被災地応援ツアーは都議会公明党の要望を受けスタートした事業であり、今年度で事業開始から10年目となる。そこで、これまでの被災地応援ツアーの取組状況と実績について伺う。

【産業労働局長】

被災地応援ツアーは、東日本大震災による被災地復興支援のための緊急対策の一環として、平成23年9月から実施している。

平成24年度からは、観光を取り巻く環境が依然厳しい状況にあった福島県を対象に、宿泊・日帰り旅行の支援を行っている。平成28年度からは、県と連携して都内学校の福島への教育旅行に対する支援を新たに開始し、令和元年度からは、県が浜通り地方などの振興に向けて推進するホープツーリズムを支援対象に加えるなど、被災地の実情に応じた支援を行ってきた。

こうした取組により、事業開始から本年1月末までの累計で、宿泊約21万6千泊、日帰り約6万7千人分、教育旅行177件分について助成を行っている。

② 令和3年度の被災地応援ツアーについて

【質問】

福島県内の経済と住民生活回復の足がかりをしっかり築いていくためにも、感染症の状況などを踏まえながら、令和3年度も被災地応援ツアーを実施すべきと考えるが、見解を伺う。

【産業労働局長】

都では、被災地応援ツアーの実施により、多くの旅行者の福島県などへの旅行を後押しすることで、現地での消費を喚起するなど、観光振興による復興支援に一定の貢献をしてきた。

来年度についても、感染症の状況に留意しながら、福島県の観光を取り巻く状況や現地の要望を踏まえ、宿泊旅行、日帰り旅行、教育旅行を支援することで、震災からの復興に結び付けていく。

③ スポーツを通じた被災地支援について

【質問】

スポーツを通じた復興支援について、来年度、どのように取り組むのか、伺う。

【オリンピック・パラリンピック準備局長】

都は、震災後継続して、スポーツの持つ力で被災地の復興を後押ししてきた。

東京2020大会の原点は復興オリンピック・パラリンピックであり、来年度については、大会を通じた取組として、被災地の子どもたちの競技観戦への招待や、被災地でのライブサイトの開催、有明アリーナにおける復興祈念植樹などを予定している。

また、スポーツを通じた復興支援として、被災地にトップアスリートを派遣しスポーツ教室等を実施するほか、福島県とも協力して、Jヴィレッジにおいて、東京国際ユースサッカー大会の開催を検討している。

今後とも、国や組織委員会、被災県等と緊密に連携し、スポーツを通じた復興の後押しに取り組んでいく。

④ 復興オリンピック・パラリンピックについて

【質問】

復興オリンピック・パラリンピックの成功に向け、改めて知事の決意を伺う。

【知事】

東日本大震災から10年を迎え、改めて犠牲になられた方々に哀悼の意を表する。

常々申し上げているとおり、「被災地の復興なくして東京2020大会の成功はない」ということが、私の一貫した想いである。

これまでも、フラッグツアーでは、私自身、被災地を訪れ、大会に向けた思いをともにしてきた。

また、リオ大会・平昌大会のライブサイトの実施や、復興支援映像の国内外への発信などにも取り組んできた。

さらに、スポーツを通じて、被災地に元気を届けられるよう、アスリートの派遣や被災地と東京の子供達との交流など、様々な事業を展開してきた。

いよいよ明後日25日には、福島県のJヴィレッジから、日本全国を巡る聖火リレーがスタートする。

引き続きスポーツを通じて、懸命に頑張る被災地の方々を支援するとともに力強く復興を遂げつつある姿や、被災地から世界への感謝を発信することにより、復興オリンピック・パラリンピックの実現に全力を尽くしていく。

住宅政策

① 都営住宅募集のオンライン化による利便性向上について

【質問】

都営住宅募集のオンライン化は、都民にとって、サービス向上が期待できる取組であり、その速やかな実現を図るべきと考える。そこでまず、都営住宅募集のオンライン化により、都民の利便性はどのように向上するのか、伺う。

【住宅政策本部長】

都営住宅の申込みをオンラインで受け付けられるよう来年度、募集オンラインシステムを開発する。

本システムにより、申込者は応募期間中、東京都住宅供給公社のホームページにある申込みフォームから、休日や夜間を含め、いつでも申し込めるようになる。

また、申込者に対して、抽せん番号や、公開抽せん後の結果を、オンラインにより通知する。

都民にとって、入居者募集手続きにおける、このような利便性の向上が期待できる。

② 都営住宅募集におけるオンライン化のスケジュールについて

【質問】

申込み手続きのオンライン化はサービスの向上につながるため、速やかな実現が望まれるが、いつ頃から、オンラインで都営住宅の募集に申し込めるようになるのか、スケジュールの見通しについて、見解を伺う。

【住宅政策本部長】

システムを開発した後、来年1月頃を目途に、オンラインによる毎月募集を先行実施することとしている。

その後、公開抽せん方式により当せん者を決める募集や、住宅困窮度を点数化して決めるポイント方式による募集などについて、順次、オンライン化していく。

③ 駐車場の空き区画におけるカーシェアリング導入について

【質問】

都は、コインパーキングを設置するなど、居住者や地域住民の利便性を高める取組を行ってきた。そこで、カーシェアリングも導入すべきと考えるが、見解を伺う。

【住宅政策本部長】

都は、これまで、都営住宅の駐車場の空き区画について、居住者の利用に支障のない範囲で、地域住民向けに貸し出すとともに、居住者の来客や介護車両などの一時的な駐車ニーズに対応するため、コインパーキングを設置してきた。

今後、カーシェアリングの導入について、今年度の包括外部監査で頂いた意見も踏まえ、公有財産上で事業を実施する際の取扱いや、事業者への貸付期間等の課題を整理するなど、検討していく。

障害者施策

① 施設数と利用者数について

【質問】

知的障害者を含め、都内の障害者が入所している施設の数と利用者の数、同じく、グループホームの数と利用者の数は、どうなっているのか実態について、伺う。

【福祉保健局長】

令和元年度末現在、都内の障害者が利用する入所施設は、137箇所、定員は、7,683人、障害者グループホームは、763箇所、定員は、10,777人である。

② 都内事業所数と定員数、待機者数について

【質問】

都内における10年間のグループホーム事業所数と定員数の推移について伺う。また、現在、都内で入所施設に希望しているにもかかわらず入所できないで待機している障害者の方は何人いるのか、併せて伺う。

【福祉保健局長】

都は、東京都障害者・障害児施策推進計画を策定し、施設等に入所・入院している障害者の方々の、地域生活への移行を進めるとともに、地域で安心して暮らせるよう、様々な施策を展開している。障害者グループホームについても整備目標を掲げ、その整備を促進している。

都内のグループホームは年々増加しており、先ほど申し上げた令和元年度末の状況を、その10年前の平成21年度末と比較すると、箇所数は444箇所から763箇所へ約1.7倍、定員は4,423人から10,777人へ約2.4倍となっている。

また、障害者入所施設の都内の待機者数は、令和元年度末で、1,359人である。

③ 都有地活用実績と整備促進策について

【質問】

都有地活用による障害者グループホームの整備実績について伺う。さらに、今後、都有地の活用をはじめ、都内の賃貸物件を活用してグループホームを整備するなど、早急に待機者をなくし、親亡き後対策に取り組むべきと考える。見解を伺う。

【福祉保健局長】

令和3年2月現在、都有地を活用した障害者グループホームは、11箇所、定員111人分が開設しており、さらに、3箇所、46人分が整備中である。

都は、令和3年度から令和5年度までを対象年度とする、新たな障害者・障害児地域生活支援3か年プランで、障害者グループホームの定員を2,500人分増やす目標を掲げている。

引き続き、整備費の事業者負担を軽減する特別助成のほか、都有地の減額貸付や定期借地権を利用する場合の一時金、借地料に対する補助などにより、整備を促進していく。

④ グループホーム設置者に対する行政からの助言について

【質問】

グループホームを開設する場合、周辺の方の同意が得にくい。周辺住民の方への説明は、入所者施設を設置される方には、難しいこと。

施設を設置する方々に対し、行政から助言などをしていただきたいという声が多い。見解を伺う。

【福祉保健局長】

障害者グループホームの整備にあたっては、地域住民の同意を得ることは、法令上、必要ではないが、都では事業者に対し、地元の区市町村の助言も得ながら、地域住民への説明を確実に行い、丁寧に対応することを進めている。

安定した運営の元、グループホームに住む障害者が安心して生活を送っていくためには、地域住民との良好な関係を築くことが有効である。

都は来年度、町会など、地域と良好な関係を構築していくためのポイントや、住民説明の際の留意点等をリーフレットとしてまとめ、事業者に周知していく。

⑤ 都における障害者雇用について

【質問】

都議会公明党の推進によって、都は2017年度の選考から初めて精神障害者、知的障害者に対象を拡大した。2018年度からは、知的障害者の一般就労の非常勤職員であるオフィスサポーターの採用も始めている。都における障害者雇用の今年度の状況について伺う。

【総務局長】

都は、障害者を対象とした常勤職員の採用選考を実施しており、今年度の合格者は、46名である。このうち精神障害者が32名、身体障害者が14名となっている。平成29年度に精神・知的障害者に対象を拡大して以降、4年間で精神障害者が116名、身体障害者が57名合格している。

また、非常勤職員として、平成30年度から、総務局において、知的障害者を対象とするオフィスサポーターの任用を開始しており、現在の8名に加え、来年度から新たに7名を採用する予定である。

障害者の雇用に当たっては、配慮すべき事項をまとめた事例集の改定や、各職場で相談・支援を行う障害者職業生活相談員に国と連携してオンライン講習を実施するなど、誰もが働きやすい環境整備に努めている。

⑥ 都における知的障害者雇用について

【質問】

一定の勤務実績のあるオフィスサポーターを対象に、今年度中に常勤職員の採用選考を実施し、来年度から常勤職員として事務等の補助の職務を担わせる方針が示されたところである。都における知的障害者の雇用拡大に着実に取り組むべきと考えるが、都の見解を伺う。

【総務局長】

これまで、知的障害者の障害特性に適した職務内容や勤務条件を検証するため、非常勤職員として、オフィスサポーターを任用してきたが、この取組状況を踏まえ、今年度、非常勤職員から常勤職員へステップアップすることを可能とする雇用の枠組みを創設した。

具体的には、一定の勤務実績のあるオフィスサポーターを対象に、勤務評定や個別面接により、常勤職員の採用選考を実施した。この結果、4名が合格し、来年度から、常勤職員として、事務等の補助の業務に従事する予定である。さらに、個々の障害特性を踏まえた職域の開拓や、きめ細かな職場環境の整備などをより一層進め、知的障害者の活躍の場を拡大していく。

今後とも、障害者が、一人ひとりの特性や個性に応じて、能力を発揮できるよう、積極的に取り組んでいく。

⑦ 教育庁における障がい者雇用の今年度の取組について

【質問】

都教育委員会においては、障がい者の新たな職場として、教育庁サポートオフィスが開設されており、知的障害者も含めて雇用数も年々増加しているとのことです。教育庁における障がい者雇用の今年度の取組状況について伺う。

【教育長】

都教育委員会は、障害に配慮した教員採用選考や、就労を支援するチャレンジ雇用の実施に加え、障害者雇用を促進する取組として「教育庁サポートオフィス 通称パレット」を開設している。パレットでは、障害者が非常勤職員として主に教育委員会事務局の事務支援を担っており、雇用者数は今年度当初の60名から83名に増員している。このうち、一定の勤務実績のある者を選考し、知的障害者1名を含む6名を、来年度、常勤職員として任用するとともに、非常勤職員を新たに11名雇用する予定である。その結果、来年度当初の体制は、常勤・非常勤合わせ、知的障害者27名を含む94名となる。具体的業務は、印刷など簡易な業務からデータ入力・アンケート集計など多岐に渡っており、職員との協働作業なども行っている。

特に今年度は、新型コロナウイルスの宿泊療養施設で使用する入所者セット等の物品準備も担っている。また、現場には、障害者がその能力を発揮し働く意欲を高められるよう支援員等を配置し、障害の程度や個々の特性に応じたサポートを行っている。

今後、総務局とも連携し、業務内容の拡充を図るなど、障害者がより一層活躍できる環境の創出に努めていく。

⑧ 政策連携団体における障害者雇用について

【質問】

令和3年3月より、障害者の法定雇用率が0.1ポイント引き上げられている。都庁グループ全体で、今まで培ったノウハウを生かしながら、引き続き、政策連携団体における障害者雇用の拡大に取り組むべきと考えるが、見解を求める。

【総務局長】

都はこれまでも、政策連携団体に対して障害者雇用促進に向け、情報提供や雇用環境の整備促進等を実施してきた。昨年度からは、ハローワーク講師による障害者雇用に関する講習会の開催、東京しごと財団の支援メニューの紹介、団体間の好事例の共有等に取り組んでいる。

この結果、令和2年6月1日現在の法定雇用率未達成団体は5団体となり、平成30年度の11団体から大きく改善した。しかしながら、今なお未達成の団体が存在している状況を重く受け止め、今年度は新たに、団体職員がいつでも視聴できる動画配信サービスを活用した研修会を開催し、より一層の意識向上を図っている。

さらに、今後は、未達成団体に対して、その事業内容や規模など個別の特性に応じた支援を進めていくことにより、法定雇用率達成に向けて取り組んでいく。

多摩地域の施策

① 北多摩北部二次保健医療圏における分娩施設数について

【質問】

まず、この地域の分娩施設数について、他の地域と比較してどのような状況なのか、所見を求める。

【病院経営本部長】

「平成29年医療施設静態・動態調査・病院報告結果報告書」などを基に、基本構想検討委員会で確認したところ、北多摩北部二次保健医療圏の令和2年の人口は74万人、分娩可能な病院・診療所は6か所、人口10万人当たりの病院・診療所数は0.81か所である。

この数は、都内全体の1.18か所を大きく下回っており、医療圏別に比較しても都内で一番少なくなっている。

② 地域における産科の役割について

【質問】

多摩北部医療センターを改築するに当たり、産科の存在が地域で果たす役割について、都としてどのように認識し、今後基本構想を検討していくのか、見解を求める。

【病院経営本部長】

都内の医師総数は増加傾向であるが、産科・産婦人科の医師数は伸び悩んでおり、産科を設置するに当たっては人材確保が課題である。

一方、検討委員会では、産科の設置が地域の活性化に寄与するという意見が出されている。

妊婦が安心して出産するための産科の重要性は認識しており、こうした点も十分踏まえながら、新病院の医療機能に関する基本構想を取りまとめていく。

③ 多摩北部医療センター改築後の災害時の医療提供について

【質問】

地域の安全・安心を確保するために、災害時に着実に医療が提供できるよう検討すべきと考えるが、都の見解を求める。

【病院経営本部長】

災害拠点病院である多摩北部医療センターは、大規模災害時にも医療機能を維持し、地域に求められる医療を継続して提供していかなければならない。

このため、改築に当たっては、地震の影響を最小限にする免震化等の対策をはじめ、発災時に電力や水などのライフラインを着実に継続するシステムの構築などが重要となる。

今後は、新たに防災や危機管理に関する専門家の意見も取り入れながら、基本構想を取りまとめていく。

④ 多摩北部医療センター改築後の感染症への対応について

【質問】

改築に当たっては、今回の新型コロナウイルス感染症への対応で得た知見を活かし、感染症への備えを強化すべきと考えるが、都の見解を求める。

【病院経営本部長】

感染症患者の受入れとともに、一般医療の患者や医療従事者の安全を確保するためには、院内感染対策を徹底することが必要である。

多摩北部医療センターでは、今回、病棟への簡易陰圧装置の設置等により、患者受入れ体制を整備したが、新たな感染症に備え、予め準備をすることが不可欠である。

今後も感染症が蔓延した場合であっても、地域に必要な医療を提供できるよう、これまでの多摩北部医療センターでのコロナ患者の受入対応を検証し、その結果を基本構想に反映していく。

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