

国は、「墓地、埋葬等に関する法律」(以下、「墓埋法」)により、火葬場の管理が国民の宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われることを目的とすると定めている。また、昭和43年の厚生省通知においては、火葬場等の経営主体は原則として市町村等の地方公共団体でなければならず、これにより難い事情がある場合であっても、宗教法人、公益法人等に限ることとされてきたところである。
現に、全国の火葬場のうち97.7%が地方自治体・宗教法人・公益法人によって運営されている。一方、東京23区では、火葬場9カ所のうち公営は2カ所のみで、公営の割合はわずか22.2%。残り7カ所のうち6カ所を、民間の「東京博善株式会社」(以下、「同社」)が経営し、同社が23区内火葬場経営の66.6%を占めている実態がある。
報道等にもあるように、同社は「廣済堂ホールディングス」の傘下となって以降、火葬料金を引き上げ、23区の公営の一般火葬料が約4万4千円~約5万9千円のところ、同社の火葬料は9万円台まで高騰している。さらに、同社はこの8月、低所得世帯や高齢者世帯にとって大切な「区民葬」から撤退するとの方針を示し、23区火葬料の官民格差は、一段と広がりつつある。
これまで、火葬場の経営等の許可及び立入検査、改善命令、許可取消を与えられている23区の保健所等は立ち入り調査を行ってきたが、火葬料金が会計上妥当かどうかの判断は限界があると聞いている。
また、23区特別区長会は、激変緩和のための新たな補助制度の創設を検討しているが、公営に比べて著しく高く、その妥当性も確認できない民間の値上げに対して、公金を投入することは、適切とは言い難いと考える。
従って、東京23区の実態は、墓埋法が謳うところの、国民の宗教的感情や公共の福祉の見地から著しく逸脱しており、ただちに是正すべき状況にある。
さらに、社会インフラたる火葬場の新設は決して容易ではなく、当該問題に対する23区の権限等が不十分である実態を踏まえ、公明党東京都本部の「葬祭業に関するプロジェクトチーム」として、政府・厚生労働省に対して、墓埋法の改正について、以下の通り、要望する。
- 墓地埋葬法を改正し、火葬場の経営主体を、民間事業者を除く地方自治体等に限定すること。その際、現場の実態を踏まえ、移行段階を設けること。
- また、火葬場の料金設定は、都道府県知事の認可を得なければならない制度とすること。
- 基礎自治体の立入調査権に加え、とくに当該移行段階において都道府県知事が火葬場の料金設定が不適切であると判断した場合には、都道府県が火葬場に対する立入調査ができる制度とすること。
政府、厚生労働省におかれては、早急に対応策を検討し、一日も早い法改正及び是正に向けて取り組まれるよう、強く要請する。
以上
令和7年9月26日
本日11:00、都議会公明党及び公明党東京都本部「葬祭業に関するプロジェクトチーム」は、厚生労働大臣に、「民間事業者による火葬料金引き上げに伴う墓地埋葬法の改正等に関する緊急要望」を行いましたので、お知らせします。
現在、「墓地、埋葬等に関する法律」では、火葬場等の経営主体は原則として市町村等の地方公共団体でなければならないとされてきたところですが、東京23区では火葬場9カ所のうち公営は2カ所のみで残りは民間の株式会社等が特例的に運営している実態があり、料金設定が極めて高騰するほか、低所得世帯や高齢者世帯にとって大切な「区民葬」から撤退する方針を示すなど、23区火葬料の官民格差が一段と広がりつつあります。こうした事態は、公共の福祉の見地から著しく逸脱しており、ただちに是正すべき状況にあります。
このため、別添のとおり、墓地埋葬法を改正し、火葬場の経営主体を、民間事業者を除く地方公共団体に限定すること、火葬場の料金設定は都道府県知事の認可を受けなければならない制度とすること、及びその移行段階における基礎自治体の立ち入り調査権を付与することなど、別紙のとおり要望しました。
席上、福岡資麿厚生労働大臣からは、「ご指摘のあった通り、しっかりと向き合っていかなければいけないテーマだ。私たちもしっかり連携して、対応を行っていく必要があると考えている。引き続き、ご意見を伺いながら、真摯に取り組んでいきたい」とのコメントがありました。
なお、要望は、竹谷とし子党代表代行、河西宏一、大森江里子の各国会議員とともに、東村邦浩幹事長、加藤雅之、慶野信一、北口つよしの各都議及び火葬場立地地区の6区議が行いました。