新型コロナウイルス感染症対策
① 新型コロナウイルスワクチンの接種について
【質問】
都は、接種会場として適切な都有施設をあらかじめ選定をし、区市町村に提示すべきである。また、大規模会場を活用するには大量の人員を必要とする。都が一括して4月より会計年度任用職員を採用し、対応が困難な自治体に派遣すべきだが、あわせて見解を伺う。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
新型コロナウイルスワクチンの接種についてだが、4月に開始予定の区市町村が実施する住民向け接種では、一定期間に多くの方への接種を行うこととなるため、病院、診療所のほか、特設会場も含め、多数の施設を確保する必要がある。一部の区市町村からは、特定の都有施設を接種場所として活用したいという要望を受けており、現在、全ての区市町村を対象に都有施設の活用意向について調査している。
また、特設会場での住民向け接種は、接種を行う医療従事者に加え会場運営を担うスタッフなど、多くの人員も必要となることから、都は、人員体制も含めたワクチン接種全般に関する区市町村の要望についても確認しており、引き続き区市町村の実情を把握しながら、適切に対応していく。
② 新型コロナワクチンの専門相談体制について
【質問】
国が考えている役割分担においては、都は各自治体からの専門的な相談対応をしなければならず、早めに専門家を確保し相談体制を整えておく必要があると考えるが、見解を伺う。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
新型コロナワクチンの専門相談体制についてであるが、現在都は、3月に開始予定の医療従事者等の優先接種の準備に加え、区市町村では対応が難しい接種後の副反応に関する相談に応じる体制の整備を進めている。
相談には医師や看護師等が電話で対応し、接種後の症状等を確認した上で、患者の状況に応じ、かかりつけ医等への受診勧奨や、かかりつけ医等を通じた専門的な医療機関の紹介等を行っていく。
専門的な医療機関は、総合診療科や内科診療部門を有する医療機関に協力を求め、12の二次保健医療圏ごとに1か所ずつ確保する予定であり、ワクチン接種に起因する様々な症状に総合的に対応していく。
医療従事者等向けの優先接種の開始時期を見据えながら、早期の体制整備を目指していく。
③ 保健所や医療機関の体制強化について
【質問】
都は、感染症対策において、地域の連携の中核となる保健所が、その機能を十分に発揮できるよう、体制強化のための支援を行うとともに、危機的な状況の中で対応に追われる医療現場の支援を進めるべきと考えるが、見解を伺う。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
保健所や医療機関の体制強化についてであるが、新型コロナウイルス感染症への対策を確実に実施していくためには、最前線を担う保健所と医療機関が、それぞれの機能を十分に発揮することが必要である。
このため都は、積極的疫学調査等の業務を担う保健師等をトレーサーとして採用し、都保健所に配置するとともに保健所設置区市に対しては、看護師の雇上げ経費等を補助し、保健所の業務負担の軽減を支援している。
また、医療機関に対しては、医師や看護師をはじめ、保健所等の関係機関との調整を担う人材の配置などの体制確保に対する支援策として、入院重点医療機関の一般病棟では1日1床当たり約7万円を補助している。
今後とも、様々な対策を通じて、保健所の体制強化や医療現場の体制確保のための取組を推進していく。
④ 重症者の受入れに向けた支援について
【質問】
治療が優先される重症者には、多くの医療人材や専用の設備が必要となる。医療機関が確実に重症者を受け入れることができるよう、支援に万全を期すべきと考えるが、取組を伺う。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
重症者の受入れに向けた支援についてであるが、都は、新型コロナウイルス感染症の重症者の確実な受入れに向けた病床を確保するための支援を実施しており、例えば、重症者用のICU病床の確保に当たって1日1床当たり最大約43万円を交付している。
また、重症者に対し、適切な医療を提供できるよう、医療機関に対して医療機器等の整備を支援しており、令和2年度は、人工呼吸器282台、ECMO33台分の整備に係る補助を行った。令和3年度においても、総額約18億円分の設備整備費を予算案に計上している。
今後も、重症者等の受入れに必要な支援を適切に実施し、新型コロナウイルス感染症の医療提供体制を確保していく。
⑤ 入院中に重症化した患者を治療する病院への支援について
【質問】
中等症の患者を受け入れている病院で重症化した患者の搬送先が見つからないため、その病院で最後まで治療を行っているケースが増えてきている。都は、こうした病院に対しても支援を行うべきだが、見解を伺う。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
入院中に重症化した患者を治療する病院への支援だが、これまで都は、重症者の受入れを行う病院に対して、あらかじめ受入体制を確保するため、ICU等で従事する医師等の確保に係る経費を補助してきた。
来年度は、この事業を重症者への対応を更に強化するため、より多くの重症者を受け入れる病院にインセンティブを付与する事業に再構築する。
具体的には、重症者の受入人数に応じて、1日1人当たり10万円を支給することとし、入院時に中等症だった患者が重症化した場合も支援の対象としていく。
⑥ 医師の勤務負担の軽減について
【質問】
今後、医師の勤務負担を軽減し、より一層診療に専念できる環境を整備するとともに、こうした取組を他の公社病院にも拡大すべきと考えるが、都の見解を求める。
【病院経営本部長】
公社病院医師の負担軽減についてであるが、荏原病院の医師は、新型コロナウイルス感染症の診療において、発生届の作成など一般診療では必要とされない様々な業務に対応している。こうした医師の負担の一部を軽減するため、病院では、事務職員が患者受入に関する保健所との連絡調整等の業務を担うとともに、医師事務作業補助職員が、国立国際医療研究センターが実施する研究への症例登録業務を行っている。
今後は、人員の増員に合わせ、診療情報提供書の作成等の事務についても医師事務作業補助職員の活用を更に拡大する。また、他の公社病院でも各病院の実情に合わせて医師事務作業補助職員の活用を進め、医師が診療に専念できる勤務環境を整備していく。
⑦ 院内感染対策に配慮した設備の整備について
【質問】
荏原病院において感染者と一般患者の療養区域を確実に分けるなど、院内感染対策に配慮した設備整備を行うべきと考えるが、都の見解を求める。
【病院経営本部長】
荏原病院における院内感染対策に配慮した設備整備についてであるが、今般の新型コロナ対応において、荏原病院では、一般病棟に簡易陰圧装置や簡易シャワー等を設置することでコロナ患者と一般患者とを区分し、感染症病棟の病床数を超える多くの患者を受け入れている。
今後も感染症患者を受け入れていくためには、院内感染対策をこれまで以上に徹底し、患者や医療従事者の安全を確保することが重要である。
そのため、令和3年度から、感染症病棟全体の陰圧機能を更に強化するための空調設備の改修を行い、感染症指定医療機関として、施設面での院内感染対策を一層推進していく。
⑧ 退院基準を満たす患者の転院について
【質問】
病院ひっ迫の緩和が期待される回復を支援する病院を拡大して円滑な転院が進むよう、都として広域的な転院調整に取り組むとともに、転院を受け入れる病院の財政負担等が生じないよう支援すべきであるが、見解を伺う。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
退院基準を満たす患者の転院についてであるが、都は、退院基準を満たす新型コロナ患者の転院の調整を支援するため、都医師会とも連携しながら、医療機関に対して都が独自に構築したシステムの活用を促している。
また、転院調整が進まない場合は、都の新型コロナ入院調整本部で、都内全域を対象とした調整を行うこととしている。
これと併せて、新型コロナ感染症からの回復後も、引き続き入院が必要な方の転院を受け入れる回復支援病院を募集し、患者の受入れに対する助成を行うとともに、感染拡大防止等に対する国の支援策も周知するなど、病院の財政負担の軽減も図りながら、患者の転院を促進していく。
⑨ 民間病院における病床の確保について
【質問】
今後来るかもしれない第4波に備えて、民間病院が積極的に感染患者を受け入れられることができるように、医療従事者の感染や院内クラスターが発生した場合の財政支援の仕組みを検討し、民間病院が新型コロナの患者を受け入れられる環境整備を行うべき。見解を伺う。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
民間病院における病床の確保についてであるが、都はこれまで、病床確保料や設備整備費等を補助するなど、民間の医療機関に対して、新型コロナ患者の受入体制確保のための支援を進めてきた。
院内感染によりクラスターが発生した病院には消毒経費等を補助するほか、病棟全体又は一部区画を専用病棟として実質的に機能させて患者の入院治療を行うなど一定の要件を満たす場合は、病棟内の空床に対し、重点医療機関の空床確保料を適用して補助していく。また、医師が新型コロナウイルスに感染した際は、他の病院から代わりの医師を派遣してもらえるよう、派遣元病院へ補助するなど、病床確保のために必要な支援を行い、民間病院においても患者を受け入れやすくなるよう、環境整備を行っていく。
⑩ 患者の入院医療体制について
【質問】
都は、自宅療養者等が入院が必要な際の対応など、陽性患者を受け入れるための仕組みを検討すべきと考えるが、見解を伺う。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
患者の入院医療体制についてであるが、都は、新型コロナ患者を重点的に受け入れる病床を5,000床確保しており、これらの病床を有効に活用して新規陽性者や自宅療養者等の急変時にも対応する必要がある。
現在、入院先を円滑に決定するため、保健所での調整が困難となり都に要請があった場合、日中は、都の新型コロナ入院調整本部で入院調整を行っている。さらに、保健所からの要望を受け、夜間に自宅療養者等の入院調整が必要となった際にも速やかに対応できるよう、夜間調整窓口を設置し、先月から運営を開始している。
今後、自宅療養者等が急変した場合でも速やかに医療の管理下に置くことができるよう、保健所や医療機関などの意見も踏まえ、適切に対応していく。
⑪ 新型コロナウイルス感染症の後遺症について
【質問】
我が国では、後遺症についての実態が明らかでないため、感染者数の多い東京都自らが実態調査し、その結果を踏まえ、後遺症の対策を講じるべきであるが、見解を伺う。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
新型コロナウイルス感染症の後遺症についてであるが後遺症の原因は、現段階では明確になっておらず、また、確立された治療法も無いことから、まずはその現状を把握することが必要である。
このため、東京iCDCの専門家ボードでは、後遺症の調査に取り組んでおり、現段階で発症から4か月が経過した後にも後遺症がある方や、若い方でも後遺症が認められる方がいることなどが明らかになった。
都は今後、こうして得た知見を活用し、自宅や宿泊施設で療養をされる方に向け、後遺症について分かりやすくまとめたリーフレットを作成するとともに、医療機関とも連携して、後遺症の実態を把握するための更なる調査を行い、後遺症に苦しむ方への対応策を検討していく。
経済対策
① 事業規模に応じた協力金の支給について
【質問】
一律1日6万円ではなく、ある程度の売上高等の事業規模に応じて支給されるべきである。事業者からはこのままでは不公平だとの声が上がっている。国がこのことに対して踏み込まないのであれば1都3県で基準を設けて支給すべきである。知事の見解を求める。
【知事】
事業規模に応じた協力金の支給についてであるが、感染拡大を防止するため、営業時間短縮の要請に応じた飲食店等には、その協力に対して店舗単位での協力金を支給している。
こうした中、事業規模に応じて支給すべきといった意見があるのは承知している。
協力金は営業補償と異なり、減少した売上げを補てんする目的ではない。このため、事業規模に応じた支給といっても、売上高のほか、店舗面積や従業員数など様々な指標が考えられる。
所管局からは、1都3県で意見交換したところ、店舗ごとに詳細な審査を行うことにより支給の迅速性を欠くこと、また、自治体ごとに異なる基準により支給することとなれば、新たな不公平感が生じかねない、といった懸念が出されたと報告を受けた。
こうしたことから、事業規模に応じた協力金制度の構築や、それに伴う財源措置については、1都3県で連携し、引き続き国に対して要望を行っていく。
② 東京都生活応援事業について
【質問】
生活応援商品券は、コロナ禍の状況を踏まえ、オンラインによる申請とデジタルクーポンを有効に活用し、高齢者の要望も強いタクシーでも利用できるようにすべきであり、区市町村から紙の商品券の発行を望むのであれば、柔軟に対応すべきである。知事の見解を求める。
【知事】
東京都生活応援事業についてであるが、新しい日常における「生活応援」を図るとともに、デジタルの力を活用した地域経済の活性化に向け「東京都生活応援事業~コロナに負けない!~」を実施することとした。
具体的には、都は、キャッシュレス決済に対するポイント還元や、デジタル商品券などの取組を行う区市町村への財政的な支援を行っていく。
また、地域の実情等によってデジタルだけでは実施が困難な場合は、区市町村と事前協議を行い、デジタルと紙の併用による実施についても、デジタル分が2分の1を超えることを条件に認めていく。
今後、先行事例の紹介や技術的な助言を行うことなどにより、区市町村に対するきめ細かな支援を行い、本事業を推進していく。
③ 芸術文化支援について
【質問】
人々に勇気と希望を届ける力になるのが文化芸術である。この灯を消すことなくしっかり支援するため、活動を制限された文化芸術活動に対し、更なる支援を展開していく必要があると考えるが、知事の所見を伺う。
【知事】
芸術文化支援についてであるが、芸術文化は、都市の魅力を形成する要素となるだけでなく、人々を支え、感動や生きる喜びをもたらす極めて重要なものである。
そこで、緊急事態宣言などにより現在も厳しい状況にある芸術文化団体に対して、「アートにエールを!東京プロジェクト」を来年度当初に追加実施する。さらに、本プロジェクトのレガシーとして、新たな施策を実施する。
具体的には、多くの芸術文化団体や幅広い分野のアーティスト、技術スタッフなどが参加できる、波及効果の高い演劇や音楽などの公演やアートプロジェクトを新たに支援していく。
こうした取組により、東京の多彩な芸術文化の気運を盛り上げていく。
④ 雇用調整助成金等の手続きに関する支援について
【質問】
企業に対する雇用調整助成金の手続サポートを、令和3年4月以降の新年度でも実施するとともに、労働者個人が申請する休業支援金・給付金の手続についても、都として専門家による支援が受けられるようにしていくべきと考えるが、見解を求める。
【産業労働局長】
雇用調整助成金等の手続きに関する支援についてだが、感染症の長期化により、雇用環境にも深刻な影響が生じる中、企業や労働者に各種の助成金や支援金の活用を促し、雇用の維持を図ることは重要である。
このため都は、雇用調整助成金の活用促進に向けて、社会保険労務士の派遣による申請手続のサポートや、助成金の決定を受けた企業が休業手当等の社内規定の整備などに取り組む際の奨励金の支給を引き続き実施する。
また、休業支援金・給付金については、労働相談情報センターにおいて、制度の説明や国のコールセンターへの案内を行うことに加え、申請手続を社会保険労務士に電話や来所で直接相談できる体制を新たに構築するなど各種助成金等の活用促進を図っていく。
⑤ 職業訓練による再就職支援の強化について
【質問】
コロナ禍で求人が減少している業種から人手不足が続く業種に正規雇用として転換できるよう、職業訓練の支援が重要である。そこで都は、コロナ禍の雇用の緊急対策として、職業訓練の受講機会の拡大を図ることで、再就職支援を一層、強化すべきと考えるが、見解を伺う。
【産業労働局長】
職業訓練による再就職支援の強化についてであるが、コロナ禍の雇用環境は業種により大きく異なることから、新たな技能を習得し、正規雇用として他業種への再就職を促進する職業訓練は、効果的な就業支援である。
現在、職業能力開発センターでの、ものづくり分野等の訓練や、民間教育機関のノウハウを活用した委託訓練を実施している。来年度は、緊急対策として、業界の求人ニーズを踏まえ、ITや医療・介護業界等への就職に必要な資格等を取得する都独自の委託訓練を新たに実施していく。また、就労ニーズが高い科目において育児中の女性等が在宅で受講できるオンライン訓練を拡充する。
これらの取組により、職を失った方々の再就職を後押ししていく。
⑥ テレワークを活用した女性の雇用拡大について
【質問】
緊急事態宣言下では、シングルマザーなどが解雇や一時休業に追い込まれ、経済的にもひっ迫しているという状況が生じている。こういったシングルマザーの方で、子どもが小さい場合には、在宅で仕事をするテレワークによる就労が適している。
都において、こうした女性の就労ニーズを踏まえ、テレワークを導入している企業とのマッチングを図る新たなスキームを構築し、女性の就労機会の拡大を図るべきと考えるが、見解を伺う。
【産業労働局長】
テレワークを活用した女性の雇用拡大についてだが、時間や場所に捉われない柔軟な働き方を実現するテレワークは、育児や介護等と仕事の両立を図る女性にとって、就労機会を拡大する有益なツールである。
このため都は来年度、テレワークが可能な企業と就労を希望する女性とのマッチングを図る新たなプログラムを開始する。具体的には、担当アドバイザーによる再就職に向けたキャリアカウンセリングや、OA技能など実践的なスキルを習得するセミナーをオンライン等により実施する。また、セミナー受講者等とテレワーク導入企業との就職面接会を200名規模で開催する。本プログラムでは託児サービスの提供も併せて行い、育児中の方の参加も促進するなど、テレワークの普及を女性の就労機会の拡大へとつなげていく。
⑦ 中小企業団体と連携した事業承継支援について
【質問】
都として中小企業の団体などに協力をしてもらい、事業承継を目指す中小零細企業をグループ化し、このグループを通じて意欲ある後継者とのマッチングを図るなど事業承継を行うスキームを検討し、優秀な技術やノウハウを継続させていくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
中小企業団体と連携した事業承継支援であるが、廃業による技術やノウハウの喪失を防ぐため、複数の企業が連携して事業承継に取り組むことは有効である。
このため、都は来年度より、中小企業団体と連携した新たな事業承継支援を開始する。本事業では、早期の取組着手を促すため、専属のコーディネータが中小企業の掘り起こしと、事業承継に向けた中小企業のネットワークの構築を行う。その後、後継者育成のための勉強会や企業同士の後継者マッチングなど、ネットワークを活かした効果的な取組をサポートする。また、これらの企業に対し、経営者の交代手続きや承継後の事業再構築に要する経費を助成する。中小企業の連携による事業承継の取組を促し、優れた技術等の継承を着実に進めていく。
福祉・医療施策
① 高齢者の肺炎球菌ワクチンの接種について
【質問】
コロナ禍での高齢者肺炎球菌ワクチンの接種率を格段に向上させるため、都は少なくとも4,000円以上に助成額を増額し、定期接種受診者の自己負担を無しにすべきだが、見解を伺う。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
高齢者の肺炎球菌ワクチンの接種についてであるが、肺炎による高齢者の死亡率は高く、日常的に生じる肺炎の約3割から4割は肺炎球菌が原因と考えられている。
このため国は、平成26年に高齢者の肺炎球菌感染症を、定期予防接種を行う疾病に位置付け、65歳となる方などを対象に接種が行われているが、都内の接種率は例年約3割に留まっている。
こうした現状も踏まえ、都は、更なる接種率の向上を図るため、来年度から、都独自の助成制度を設け、自己負担額を軽減する区市町村への補助を行うこととした。
今般の補助では、他の予防接種での自己負担との均衡も考慮して2,500円を限度としており、現在最も多くの自治体で設定されている自己負担4,000円の場合、1,500円の負担となる。
② 新型コロナに関する差別解消の取組について
【質問】
法改正により、国及び地方公共団体に対し、感染者等に対する相談支援や啓発活動を行うものとする責務規定が設けられた。法改正を踏まえ、都においても、新型コロナウイルス感染症に関連する差別解消に、これまで以上に積極的に取り組むべきと考えるが、所見を伺う。
【総務局長】
新型コロナに関する差別解消の取組についてであるが、医療関係者や感染者等への差別は許されるものではなく、その解消に向け啓発等を行うことは重要である。
都は、これまでも、東京都人権プラザにおいて、相談に応じるとともに、「ストップ!コロナ差別」を呼び掛ける啓発ポスターや、知事が直接、都民に訴える動画などを通じて、人権に配慮した冷静な行動をとるよう、都民に向け発信してきた。
加えて、法改正を踏まえ、新たに専門の相談窓口を設置するとともに、感染症への差別・偏見を無くすことを訴えるアニメーション動画を作成し、電車内のデジタルサイネージ等で広く都民に働き掛ける。
今後も、新型コロナウイルス感染症に関連する不当な差別の解消に向け、効果的な啓発等を展開していく。
③ 子供政策について
【質問】
昨年9月に「こども未来会議」がスタートし、活発な議論が交わされていることを評価する。都は、未来会議における議論を軸に、子どもの笑顔があふれる社会の実現のために、子供政策を総合的に進めていくべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
総合的な子供政策の推進についてであるが、持続可能な社会の実現に向け、未来を担う「子供」を守り育て、明るい未来を紡いでいくことが、我々に課せられた責務である。
コロナ禍で、子供と子育て家庭が大きな影響を受けている今だからこそ、東京に暮らす子供と子育て家庭を社会全体で支え、子供を大切にすることを最優先とする「チルドレンファーストの社会」の実現に向けて総力を挙げて取り組んでいかなければならない。
「未来の東京」戦略では、その第一の戦略として「子供の笑顔のための戦略」を掲げ、出産から子育てまでの切れ目のないサポート、子育て家庭に寄り添った経済的な支援、子供を大切にする社会に向けた気運醸成など、幅広い政策を総合的に推進していく。
こうした取組を戦略的に進めるため、今年度立ち上げた「こども未来会議」において、従来の枠組みにとらわれない議論を行うとともに、来年度、子供向けホームページを新たに作成し都政と子供がつながる仕組みを構築するなど、「子供との対話」を重視した取組を展開・発信することで、子供政策をリードしていく。
子育ての楽しさや幸せを何より実感させてくれるのは、子供の笑顔である。子供の目線に立った政策を展開し、次世代に幸せと希望に満ちた社会を引き継いでいく。
④ 東京都出産応援事業について
【質問】
東京都出産応援事業実施に当たっては、幅広い商品を取り揃えるとともに、申込みを分割してできるようにするなど、必要な時に必要な商品を選べる使い勝手の良い仕組みを構築することが重要と考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
東京都出産応援事業についてであるが、都は来年度、コロナ禍で不安を抱えながら出産・育児に臨む方々を社会全体で後押しするため、御党の御要望を受け、本年1月1日以降に子供が生まれた家庭を対象に、10万円分の子育て支援サービスや育児用品等を提供する東京都出産応援事業を実施する。
提供する子育て支援サービスや育児用品等は、訪問型の家事・育児支援サービスのほか、ミルクや離乳食などの食料品、肌着など衣料品、おむつなど消耗品、ベビーカーなど育児用品等、200点以上を取り揃える予定である。
また、個々の商品等の申込みに当たっては、対象家庭が一定期間、10万円分の範囲内で複数回申込みできる仕組みとする予定であり、対象となる家庭の利用しやすさも考慮しながら、準備を進めていく。
⑤ 若年妊婦への支援について
【質問】
コロナ禍で、不安を抱えるケアが必要な母親は増加傾向にあり、特に身体的、精神的な悩みや不安を抱えた若年妊婦への更なる支援が必要である。今後、こうした支援に実績のあるNPOなど民間団体の力も借り、若年妊婦への支援を強化するべきと考えるが、所見を伺う。
【福祉保健局長】
若年妊婦への支援についてであるが、都は、妊娠相談ほっとラインで妊娠や出産に関する相談に看護師等が電話やメールで対応しており、必要に応じて地域の保健センター等の相談につないでいる。
このほっとラインの相談の中で、経済的困窮や社会的孤立、DVなど様々な背景から産科受診等が困難な方を把握した場合には、民間団体を活用し産科等医療機関などへの同行や初回産科受診料への支援も行っている。
来年度からは、この取組を拡充し、福祉事務所や児童相談所など関係機関とのコーディネート業務の実施や、居所が不安定である場合に、次の支援につながるまでの緊急一時的な居場所を確保することとしており、悩みや不安を抱える若年妊婦等に寄り添った支援を民間団体を活用しながら強化していく。
教育施策
① 高校におけるデジタル学習環境の整備について
【質問】
昨年の第四回定例会で、知事からは「今後、高校段階の学びにふさわしい、一人1台の端末整備について検討を進めていく」との答弁があった。そこで、今後の取組と、都議会公明党が早期整備を求めてきた校内無線LAN整備等について伺う。
【教育長】
高校におけるデジタル学習環境の整備についてだが、高校段階の端末は、高度かつ複雑な学習に対応するマルチタスクの性能が必要であり、その利用に当たっては、生徒の興味関心に応じて機能を拡張できる使い勝手の良さが求められる。このため都教育委員会は、学校が推奨する端末を生徒が所有し自由に使えるCYOD方式で整備することとした。令和3年度はその準備として端末の詳細な性能や購入の仕組み等を検討し、令和4年度入学を希望する中学生や保護者への説明等を行っていく。また、デジタル活用の推進に向け、全校でデジタルサポーターを常駐配置することに加え、校内無線LANを計画より1年前倒して整備を行う。
こうした取組を着実に進め、高校段階の学びにふさわしい一人1台端末体制を実現していく。
② 高校段階での一人1台体制の円滑な導入について
【質問】
高校段階における一人1台の端末整備については、保護者負担や世帯所得による差異がないよう、十分に配慮すべきと考える。また、令和4年度からのCYOD導入に向け来年度は一人1台の端末体制の検証を実施すべきと考えるが見解を伺う。
【教育長】
高校段階での一人1台体制の円滑な導入についてだが、CYOD方式では、生徒一人一人が端末を所有することから、保護者負担に十分配慮する必要がある。そのため都教育委員会は、今後、端末購入に向けた保護者支援の在り方について検討していく。
また、令和4年度からの端末整備の開始に向け、日常の授業でのより一層の活用を図るため、来年度、モデル校10校程度において、都教育委員会所有の同一性能端末により、一人1台環境を先行して構築する。モデル校では協働的な学びの場面での効果的な活用手法や、個に応じた指導方法等の検証を行い、成果を全都立学校に普及する。
こうした取組により、令和4年度入学生からのCYOD方式による端末整備とその活用を着実に進めていく。
③ 補助金を受給するまでの期間における支払負担軽減について
【質問】
授業料の実質無償化の対象となった保護者の方でも、現状では授業料をいったん納入しないといけない仕組みとなっている。
都は、申請窓口となっている私学財団とも連携するなどして保護者負担の軽減をするべきであるが、見解を伺う。
【生活文化局長】
私立高校授業料の保護者負担軽減についてであるが、都は現在、国の就学支援金に加え、都の特別奨学金によって、年収約910万円未満の世帯を対象に私立高校等の授業料負担を実質無償化している。
しかし、就学支援金及び特別奨学金の算定には当年度6月頃に確定する申請者の住民税額が必要であり、また、特別奨学金は、その後決定する就学支援金の支給額等を用いるため、その両方ともに支給までに時間を要し、その間、保護者に一定の負担が生じている。
都は、令和3年度予算案において、DX推進の観点からシステム構築に向けた現行制度の調査、分析のための費用を計上しており、これにより、申請者の利便性向上や学校事務の負担軽減、審査の効率化等を図り、就学支援金等の早期支給に向けた取組を進めていく。
④ 都認可以外の通信制高校における授業料負担軽減について
【質問】
都は、都認可以外の通信制高校の状況を把握し、都民の在籍生徒数などの調査結果を明らかにするとともに、新たな仕組みの構築に向けて検討していくとしていた。令和3年度からどのような仕組みで実施しようとしているのか、伺う。
【生活文化局長】
都認可以外の通信制高校における授業料負担軽減についてであるが、都認可以外の通信制高校からは、特別奨学金の支給に必要な生徒個別の授業料額や就学支援金額を都が直接入手することが困難であることや、それらの金額の確定時期が当年度の末頃になる学校があることが課題となっていた。
このため、事業の実施に当たっては、生徒や保護者が授業料額等の証明書類を学校から個別に入手した上で、都に直接申請する方式とするとともに、証明書類の提出前に所得審査を先行して実施する等の工夫を行っていく。
このような新たな仕組みにより、令和3年度から、都認可外通信制高校の生徒保護者に対する支援を実施していく。
⑤ 胃ろうからの注入による給食の提供について
【質問】
都教育委員会は、令和元年度から胃ろうからの初期食の注入モデル事業を実施してきた。このモデル事業の成果を踏まえ、来年度から、胃ろうからの初期食の注入が希望する全ての児童・生徒に可能となるよう準備を進めるべきだが、都の見解を伺う。
【教育長】
胃ろうからの注入による給食の提供についてだが、都立特別支援学校では、口から食事を摂ることが難しく、胃ろうからの注入により栄養を摂取する児童生徒が在籍しており、これまでは、給食ではなく市販又は処方された栄養剤に限って胃ろうからの注入を実施してきた。
都教育委員会では、児童生徒の自然食材からの栄養摂取による健康の保持や、同じ給食を楽しむ食育の充実等の観点から、初期食の給食を胃ろうから注入するモデル事業を令和元年度から実施している。具体的には、安全確保の観点から、食物アレルギー対応のほか、注入方法や緊急時対応等の実施手順について検討してきた。
今後、年度内にガイドラインを策定し、令和3年度以降、準備の整った都立肢体不自由特別支援学校から、順次初期食の注入による給食の提供を実施していく。
⑥ 医療的ケア児の保護者付添い期間について
【質問】
医療的ケア児のケアを学校に引き継ぐため、保護者による付添い期間が長期間にわたることがあり、負担を軽減してほしいとの声があがっている。そこで、都立特別支援学校における医療的ケア児の保護者付添い期間を短縮する今後の取組について、都の見解を伺う。
【教育長】
都立特別支援学校の医療的ケア児の保護者付添いだが、医療的ケア児は、生活リズムや季節等により体調が変化しやすいことから、入学後、学校看護師に対処方法等の引継ぎを行うまでの間、保護者に付添いを依頼している。特に人工呼吸器など、高度なケアが必要な場合は、付添い期間が長期化するケースが生じている。
このため、都教育委員会は、令和3年度から、肢体不自由特別支援学校2校で付添い期間の短縮化に向けたモデル事業に取り組むこととした。具体的には、主任非常勤看護師を配置し、児童の就学前の療育機関等と連携して健康観察を行うなど、入学後の医療的ケア実施のための一連の手順を入学前から開始する。
こうした取組により、医療的ケア児の自立と保護者の負担軽減を図っていく。
環境施策
① 乗用車の100パーセント非ガソリン化について
【質問】
乗用車の100パーセント非ガソリン化に向けて、メーカーが車種を拡大し、価格の低廉化に向かう取組を促すべきだが、都の具体的な取組について見解を伺う。
【環境局長】
乗用車の非ガソリン化に向けた取組についてであるが、自動車のゼロエミッション化を進めていくためには、充電、充填インフラの拡大による利便性の向上や車両価格のコストダウンに加え、多様なガソリン車等に代わるZEVのラインアップを増やしていくことが重要である。
このため、令和3年度は、これまで進めてきたインフラ整備支援を拡充するとともに、車両購入に係る補助単価を1.5倍にするなど導入支援策を強化する。
さらに、自動車メーカーの開発意欲を高めるため、ZEVに対するユーザーのニーズなどの調査を実施し、その結果を踏まえ、メーカーに開発インセンティブを与えるような新たな補助制度の構築に向け検討を進めていく。こうした取組を展開し、2030年の目標達成を目指していく。
② ガソリンスタンドのマルチステーションへの移行について
【質問】
ガソリンスタンドの、電気自動車や燃料電池自動車に対応するマルチステーションへの移行に対する支援などに取り組むべきだが、都の見解を伺う。
【環境局長】
ガソリンスタンドのマルチステーションへの移行に対する支援等についてであるが、自動車の脱炭素化を進める上でも、燃料電池自動車や電気自動車等に対応する多様なエネルギーをガソリンスタンドにおいて供給できるようにすることは重要である。
このため都は、水素ステーションの整備・運営に係る支援策を拡充するとともに、充電設備の設置拡大に向け急速充電器に係る電気料金への補助を新たに追加するなど、ガソリンスタンドでも利用可能な支援策を強化する。
さらに、ガソリンスタンドが脱炭素化に貢献する地域のエネルギー供給拠点となるよう、これらの支援策をパッケージにした提案を行っていく。こうした取組によりガソリンスタンドにおけるエネルギー供給の多様化を図りながら、自動車の脱炭素化を進めていく。
③ 100パーセント非ガソリン化による産業への影響について
【質問】
100パーセント非ガソリン化による産業への影響について、都はガソリンスタンド、自動車修理工場、また多くの部品産業への影響について調査したと聞いているが、その結果と分析、またそれを踏まえた支援を検討すべきだが、見解を伺う。
【環境局長】
非ガソリン化による産業への影響についてであるが、都は、昨年度、乗用車のZEV普及に関する調査を行っており、その中で2020年と比較して、2030年時点で、都内の産業への経済的な影響が、どの程度見込まれるかについても調査を実施した。
その結果、都内では、内燃機関車両の減少等によるガソリン消費の低下や、オイル交換が不要となること等に伴うメンテナンス需要の減少が見込まれる一方、モーター等の部品需要の増加が見込まれるなど、業種により影響が異なっていた。
今後、都は、メーカー等とも連携しながら、ZEV化非ガソリン化の進展などに伴う各業種への影響度合いやその顕在化の状況を把握し、それらを踏まえ、必要な方策について検討を深めていく。
高速道路上の本線料金所の撤廃
【質問】
昨年12月、国は「ETC専用化等による料金所のキャッシュレス化」を発表した。この機を捉え、都としても高速道路の本線上の料金所の撤廃、特に永福料金所の撤去を強力に進めていくべきと考えるが知事の見解を求める。
【知事】
高速道路上の本線料金所の撤廃についてであるが、高速道路上の本線料金所は、交通の流れを阻害していることから、昨年8月、その撤廃などにつながるETCの普及促進について、九都県市を代表して私自ら国土交通大臣に要望した。
こうした取組が実を結び、国は昨年12月、都市部のETC専用化を5年程度で概成させるロードマップを示し、車載器の購入費助成やクレジットカード不要のETCカードの利便性向上などを進めることとした。
さらに、今般、現金利用者の料金収受コストを適切に反映させる観点などから、首都高の新たな料金の方針を示すなど、ETC専用化に向けた取組を加速させており、これらの取組は、将来的な本線料金所の撤廃につながるものである。
都としては、引き続き、国や高速道路会社に対してETCの普及促進を強く働き掛けるなど、できる限り早期の本線料金所の撤廃に向けて取り組んでいく。
ドクターヘリ
① ドクターヘリについて
【質問】
救急医療対策協議会において、基地病院に杏林大学医学部付属病院を選定し、東京都と杏林大学病院が連携しながら、東京のドクターヘリの導入を進めていくことを了承されたと聞く。そこで、具体的な導入時期と運用方式などを明らかにすべきだが、知事の見解を伺う。
【知事】
ドクターヘリについてであるが、ドクターヘリは、医師がヘリコプターに搭乗して速やかに患者のもとに行き、現場や機内で必要な治療を行いながら、医療機関に搬送するものであり、都は多摩地域においてドクターヘリ事業を実施する基地病院として杏林大学医学部付属病院を選定した。
また、基地病院と連携し、ドクターヘリに搭乗する医師等の派遣などを行う協力病院として2か所の救命救急センターを選定するとともに患者を救急車からヘリコプターに引き継ぐランデブーポイントの確保等を進めている。
今後、ドクターヘリに搭載する医療資器材の整備や、運航マニュアルの作成、搭乗訓練等を行うなど、安全性の確保を最優先した上で、できる限り早期に運用を開始できるよう、具体的な取組を進めていく。
② ドクターヘリに関する近隣県との連携について
【質問】
近隣県では既にドクターヘリが導入され、隣接県との相互応援が進んでおり、都はそれらの県から具体的な運用などの情報収集に努めていると聞いている。近隣県との連携に向けた、ドクターヘリの共同運航に関する具体的な検討状況と今後の取組について、見解を伺う。
【福祉保健局長】
ドクターヘリに関する近隣県との連携についてだが、都はこれまで、埼玉県や神奈川県に赴き、今後導入するドクターヘリとの連携に向け、要請方法や対象症例等について意見交換を行ってきた。
また、都における基地病院となる杏林大学医学部付属病院の医師等が、神奈川県の基地病院で実地研修を受けるなど、臨床現場での取組も進めている。
本年5月には、基地病院、協力病院、ドクターヘリ運航会社、東京消防庁等が構成員となる運航調整委員会を設置し、ドクターヘリの運用に関する具体的な内容や、近隣県との連携に必要な取組などについて検討していく。
外濠
① 外濠の水質改善について
【質問】
玉川上水の上流から隅田川まで河川水を流すことにより清流を復活させ、外濠・日本橋周辺だけでなく、多摩周辺でも水辺を楽しめる空間をダイナミックに創出し、水と緑溢れる豊かな都市東京の実現に向け積極的に取り組むべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
水と緑溢れる東京の実現についてであるが、東京の水と緑を一層豊かにし、人々がゆとりと潤いを感じることができる自然と調和したまちを創ることは、持続可能な成熟都市を実現する上で、不可欠な要素である。
多様な魅力にあふれた美しい東京の実現に向け、昨年度策定した戦略ビジョンでは、「水と緑溢れる東京戦略」を掲げ、その中で、外濠については、多摩川から水を引き、かつての玉川上水の姿によみがえらせる可能性を展望しながらまず外濠の浄化を進めることとしている。
この間、外濠に導水するための効果的な方策を幅広く検討し、先日公表した「未来の東京」戦略において、外濠の浄化に向けた水源・水量の確保や、導水路の整備手順を示すとともに、玉川上水の構造物の調査など、プロジェクトの具体的展開を盛り込んでいる。
新型コロナを契機として、自然と便利が融合したまちづくりの重要性がますます高まっている。
あらゆる方策を駆使し、東京全体で、様々な水と緑を生み出すことで、世界に誇る、ゆとりと潤いに満ちた東京を創り上げていく。
② 外濠への導水に向けた取組について
【質問】
外濠への導水に向けて、これまで進めてきた調査検討の進捗状況と今後の取組について明らかにするべきであるが、都の見解を求める。
【東京都技監】
外濠への導水に向けた取組についてであるが、これまで、関係局が連携して、外濠の効果的な水質改善方策を幅広く検討し、水質データに基づくシミュレーションも行い、河川水等の導水の有効性などを確認してきた。
外濠への導水に向けては、現在、関係局が役割分担し玉川上水等の活用可能な既設水路の現況調査や、玉川上水終点の四谷大木戸から、外濠までの、新たな導水路整備に関する調査検討などを、実施中である。
今後の取組については、「未来の東京」戦略において荒川の河川水等の導水に向けた調査・検討や、導水路の整備手順など、プロジェクトの展開を示した。引き続き関係局はもとより、国や地元区とも連携し、水質改善を着実に進め、人々が憩う外濠の水辺を再生していく。
水害対策
① 水害時の広域避難の取組状況について
【質問】
令和元年の台風第19号では、様々な課題が顕在化したことを受け、広域避難の在り方について見直しを行っていると聞いている。このような中で、今月5日に検討会が開催されたとのことであるが、検討状況の内容と今後の取組について、都の見解を求める。
【総務局長】
水害時の広域避難の取組状況についてであるが、東部低地帯において大規模水害が発生した場合、行政区域を超える広域避難を余儀なくされるおそれがある。
このため、都は、国と共同で設置した「首都圏における大規模水害広域避難検討会」において、広域避難の場所や手段の確保などについて検討を進めている。
先般の検討会では、令和元年東日本台風で顕在化した課題を踏まえ、広域避難だけでなく、在宅避難や垂直避難等の現実的な複数の避難行動を組み合わせた分散避難や、広域避難先としての区部東部近傍での安全な施設の確保を新たな検討の方向性とすることを確認した。
こうした分散避難の実現に向け、住民への周知啓発や費用負担などの課題について、都は関係機関と緊密に連携し実効性のある対策の検討を進めていく。
② 大規模水害時の首都高などの活用について
【質問】
東部低地帯などでの大規模水害時に対して、首都高速道路などを避難先として活用することについて、速やかに実現が図られるよう知事が先頭に立って、検討を進めるべきと考えるが、知事の見解を求める。
【知事】
大規模水害時の首都高などの活用についてであるが近年、洪水をはじめ様々な大規模自然災害が相次いで発生していることから、東部低地帯の災害リスクの軽減を図り、水害に対して安全性の高い高台まちづくりを進めることが有効である。
昨年12月、国とともに開催した連絡会議では、私も赤羽国土交通大臣とともに参加し、「災害に強い首都「東京」の形成ビジョン」を取りまとめ、公表した。
ビジョンの中では、大規模水害時に都民の命を守れるよう、高規格堤防による高台づくりを進めるとともに、民間建築物や公共施設等での避難スペースを確保していくことに加え、道路の高架部などの避難先等としての活用について検討をしていくこととした。
現在、地域の避難計画を担う地元自治体とともに、国と都などが連携し、道路の高架部への具体的な避難の方策について、検討を進めている。
首都高速をはじめとする道路高架部等の早期の活用を図り、都民の安全・安心をしっかりと守っていく。
交通施策
① ホームドアの整備について
【質問】
優先的に整備する駅を中心に課題を解決しながら整備を促進するために、都と鉄道事業者による検討の場を新たに設置し、整備予定駅の増加に向けて整備計画の更新を行うよう、都がイニシアチブを取って推進すべき。今後の取組について、都の見解を求める。
【東京都技監】
ホームドアの整備についてであるが、ホームドアの整備を促進するには、鉄道事業者の積極的な取組が不可欠である。整備に当たっては、都は補助制度を設け、事業者の取組を支援するとともに、事業者による整備計画を都のホームページに公表するなど、取組の見える化を図り、事業者の取組を喚起している。
今年度から更に、補助対象駅の拡大と上限額の引上げを行い、支援策を拡充した。今後、こうした支援策の積極的な活用に向け、事業者と課題を共有化し、技術的な方策を検討する場を新たに設ける。また、その検討状況も踏まえながら、整備計画を見直し、整備対象駅を追加することについて、事業者と個別に調整を行っていく。
こうした取組を通じて、ホームドア整備のより一層の推進を働き掛けていく。
② 自転車の幼児同乗に関する規定の見直しについて
【質問】
自転車の乗車人員については、既に35道府県では年齢制限が6歳未満を小学校未就学児童までとする改正が行われている。
新型コロナによって、自転車利用が見直されている今、実情にあった見直しをする必要があると思うが、警視総監の見解を求める。
【警視総監】
自転車の幼児同乗に関する規定の見直しについてであるが、自転車の幼児用座席に同乗させる幼児の年齢制限については、東京都道路交通規則において、「6歳未満の者」と定められており、現在、警視庁では、この年齢制限について、「小学校就学の始期に達するまでの者」と改正することに向けた作業を進めている。
住宅施策
① 都営住宅の高齢者世帯への生活支援について
【質問】
都営住宅では、巡回管理人等による高齢者世帯サポートの取組が行われているが、十分ではない。今後、高齢者が直面する健康問題などを、地域福祉サービスに着実につなげられるよう、高齢者世帯への生活支援機能を充実すべきと考える。都の具体的な対応策を伺う。
【住宅政策本部長】
都営住宅の高齢者世帯への生活支援についてであるが、高齢化や世帯の単身化が進む都営住宅において、高齢者世帯への生活支援は重要な課題であり、現在、指定管理者である東京都住宅供給公社では、巡回管理人への保健福祉に係る研修等を通じて、その福祉的な対応力の向上を図っている。
また、公社のお客さまセンターでは、居住者の緊急時の安否確認を24時間体制で実施しており、より迅速な情報収集及び入室確認等を行うことを目的として、現在、公社と39区市町との間で協定を締結している。
今後、高齢者への生活支援サービスの更なる充実を図るため、都営住宅のある全49区市町との協定締結を目指し、地域福祉を担う基礎的自治体との連携強化に努めていく。
② 都営住宅の居住者間のトラブル対応について
【質問】
都営住宅では、迷惑行為が原因の居住者間トラブルが発生し、当事者では解決困難な事例や、再三の指導で改善されないケースもあり、相談を多く受ける。居住者間のトラブルの解決に向けて、断固とした措置をとり、解決を図るべき。具体的な取組について見解を伺う。
【住宅政策本部長】
都営住宅の居住者間のトラブル対応についてであるが、居住者から相談や通報等があった場合には、指定管理者である東京都住宅供給公社を通じて解決を図っている。
具体的には、公社の窓口センターが現地を訪問して当事者双方の話を伺うなど事実確認を行い、必要に応じて改善に向けた注意や指導を行っている。
原因が都営住宅の不適正使用によるもので、再三の指導でも改善されない場合には、公社の本社が対応に当たるとともに、都と連携して、トラブルの状況に応じてきめ細かな是正指導を行っている。
都として、悪質なルール違反に対しては、公社と連携し、東京都営住宅条例に基づく明渡請求など法的措置も含め、更に、厳正な対応を行い、適正な管理に努めていく。
③ 公社住宅の高齢世帯の家賃負担軽減について
【質問】
長年にわたって公社住宅にお住まいの高齢者のライフステージの変化などの実態を捉え、東京都住宅供給公社として、高齢の長期居住世帯の家賃負担の軽減にも資する新たな支援制度を設けるべきと考えるが、見解を伺う。
【住宅政策本部長】
公社住宅の高齢世帯の家賃負担軽減についてであるが、東京都住宅供給公社では、これまで高齢者世帯等で一定の要件に該当する世帯向けに、家賃改定時の特別減額を実施し、昨年度は4,140世帯の減額を行っている
今後、公社住宅に長年お住まいの方が定年を迎えた後も住み慣れた地域で住み続けられるよう、公社では、来年度、子どもの成長等による生活スタイルの変化に応じより低廉な家賃の公社住宅への住み替えが可能となる新たな支援制度を創設する予定である。
具体的には、主たる生計者が70歳以上で、同一住戸での居住が25年以上の世帯を対象に、住み替えを希望する住宅や間取りを登録して優先あっせんする仕組みを検討する。
④ 都営住宅における集会所Wi―Fi環境の整備について
【質問】
都営住宅の団地集会所に、Wi―Fiルーターを設置する等の環境整備を進めるべきと考えるが、見解を伺う。
【住宅政策本部長】
都営住宅における集会所のWi―Fi環境の整備についてであるが、社会のデジタル化に対応し、高齢化が進む都営住宅においても、居住者がスマートフォン等のデジタル機器を利用した情報収集等ができるようにする必要がある。
こうした機器の普及を図るには、低廉かつ容易にインターネットに接続可能な共用のWi―Fi環境を整備することも有効であり、集会所での整備は、居住者が集まり交流するきっかけを生み、居場所づくりにもつながると期待される。
今後、集会所のWi―Fi環境整備に向けて、関係局や地元区市とも連携しながら、モデル事業を実施し、利用状況や事業効果等を検証していく。
産業施策
① デジタルデバイド対策の取組の具体的な方策について
【質問】
今後のデジタル化の進展に向かっては情報端末を誰もが使いこなすことで、社会全体のデジタルに対する底上げが図られ、新たな社会の発展につながると考える。そこで、今後の都のデジタルデバイド対策の取組の具体的な方策について、宮坂副知事の見解を伺う。
【宮坂副知事】
デジタルデバイド対策の取組の具体的な方策についてであるが、東京のデジタル化の実現において、デジタル技術を活用して、都民のQOLを向上させていくことが私の役割であり、また、どんな人であっても取り残すことなく、行政サービスを提供できることが重要である。
このため、本年4月の東京デジタルファースト条例の施行も契機として、高齢者等のデジタルデバイドの是正に向けた取組を加速する。
そのため、まずは、高齢者にスマートフォンの利便性を理解いただけるよう、地域の団体等と連携し、活用事例等を分かりやすく解説したリーフレットを配布し、スマートフォンへの関心を高めていく。
その上で、端末操作に対する心理的ハードルを下げ、その魅力を実感してもらうために、端末を手に取って試すことのできるスマホ教室を様々な形で開催する。
具体的には、都として、通信事業者等と連携し、標準的な内容を伝える教室を開催していくとともに、教室参加者に対して、希望があれば端末を試しに貸し出す事業を新たに行っていく。
加えて、「地域の底力発展事業助成」においても新たにデジタル活用支援のメニューを設け、「町会・自治会」が主催する教室等、地域におけるデジタルデバイド対策につながる事業を支援していく。
また、都民に身近な区市町村とも緊密に連携しながら高齢者のデジタルデバイド解消によるQOLの向上を図るため、「自分らしく暮らせる“Choju”東京プロジェクト」に取り組むとともに、新たに区市町村が行政手続のオンライン化に向けて実施する先駆的・効果的なデバイド対策をモデル的に実施していく。
相談体制の充実を図りつつ、これらの取組を重層的に展開することで、デジタルデバイドの是正を図り、誰もがデジタルの恩恵を享受することができる社会を目指していく。
② 工事関係書類の電子化について
【質問】
全国に影響を及ぼす都の取組においては、業界の経営者団体や第一線で汗を流す人々の声を踏まえ、様々な関係者の期待に応えられる効果的な電子化を進めていくべきと考える。
現在の取組状況と今後の展開について伺う。
【財務局長】
工事関係書類の電子化についてであるが、情報通信技術を活用した電子化への取組は、ぺーパーレスなどを促進し、働き方改革を実現するだけでなく、新型コロナウイルス感染症拡大防止にも有効である。
このため財務局では構造改革の一環として、国が利用している情報共有システムを改良し、使用頻度が高い9種類の書類を対象に、受注者との協議を経て、電子化のモデル工事を今年度末までに16件開始する予定である。
モデル工事では、書類の提出や決裁、図面や写真を用いた情報共有などをインターネット上で行うことができ、受発注者双方において業務の効率化が期待できる。
今後、受注者の声も聞きながら、電子化の趣旨に沿っているか運用を検証し、その結果を各局へ周知するとともに、対象書類の拡大を検討していく。
東京2020大会
【質問】
新型コロナの諸外国と日本の状況に応じて、様々な場面でのシミュレーションを行い、観客の取り扱いについて十分検討し、その結果を踏まえ、安全安心な大会にするための対策を都民・国民に示し、理解を求めていく必要があると考えるが、知事の見解を求める。
【知事】
東京2020大会についてであるが、安全・安心な大会に向けては、新型コロナ対策が最大の課題であり、現在、コロナ対策調整会議の中間整理に基づき、対策の具体化に取り組んでいるところである。
このうち、観客数の上限や外国人観客の取扱いについては、国内外の感染状況や、渡航制限、検疫等の水際対策、国内外のイベントの実施・対策の状況等を踏まえて、今春に決定することとしている。
一方で、「観客の安全」と「地域の安全」の両立を図る観点から、観客の出入国時の適切な防疫措置や、入国後の行動ルール、体調不良者への対応などの安全対策も重要である。
これらの観客の取扱いについては、現在、専門家の知見も踏まえ、国、組織委員会等の関係者と議論を行っており、IOC、IPC等とも協議の上、調整会議で取りまとめていく。
こうした取組について都民・国民に十分ご理解をいただくことが重要であり、引き続き、国、組織委員会等と連携し、ホームページ、SNS等、様々な媒体を活用するなど、都民・国民に広く発信していく。