中山信行議員の本会議代表質問

東京アラート

【質問】

先ほど、本日の新規陽性者数が30人を越えるという報道あった。5月14日以来の数字だ。知事の対応を問う。

【知事】

本日の新型コロナウイルス陽性者数に関して、本日の陽性者数は34人に上り、他のモニタリング指標もこの数日、厳しくなってきている。

アラートはこの数値を受けて、東京アラートを発することも含めまして、専門家の意見も踏まえて、早急に検討していく。

このアラートは、都民の皆さまに東京の感染症拡大の状況をわかりやすくお伝えするものである。現在のステップを直ちに変更するものではないが、より一層、外出、特に、夜の町へのお出かけを控えていただくことなど、お願いしていくものである。

財政政策

①感染症を乗り越え、新しい社会を目指す取組について

【質問】

これまでの歴史の中でも人類は未知の感染症との戦いを無限の知恵で乗り越え、発展へとつなげてきた。第二波に備えて万全を期す一方、「新しい日常」を定着させ、まずは眼前の感染症を乗り越えて、新しい社会・経済システムを目指すべきと考えるが、見解を伺う。

【知事】

ご指摘の通り、人類は長きにわたる歴史において、多くの感染症を乗り越えて今日までの発展を続けてきた。またわが国は2度のオイルショック、公害問題など負の経験もバネにしながら環境・省エネルギー技術を研ぎ澄ましてきた。危機を乗り越えて未来につなげる。これまでも幾度となく発揮されてきた日本の底力でこの難局を必ずや乗り越えられるとの確信のもとで、都は第2波への備えや新しい日常の定着に向けた取り組みを果敢に進めていく。

具体的には、都内全域における、検査体制の充実、病床、及び宿泊療養施設の確保、院内感染防止対策の強化などを着実に進めるとともに、感染拡大を防ぐ、新たな習慣を根付かせることで、この見えざる敵になんとしても打ち勝つ決意である。そして、その先に何を目指すのか、この間、浮き彫りになった東京の課題を克服すべくデジタルの力を最大限に活用して生活の質を高める。デジタルトランスフォーメーションの加速、テレワークのさらなる定着、オンラインによる教育、医療の推進など、より暮らしやすく働きやすい、学びやすい、さらに一歩進んだ未来を目指さなければいけません。ポストコロナも見据えまして、東京の構造改革に向けた検討を進めていくなど、常に活力に満ち、発展を続ける都市へと、さらなる進化を遂げるべく、道を切り開いていきたいと考えている。

②感染症対応の財政運営について

【質問】

この非常事態に際し、しっかりと財源を確保し、都民の命を守るための切れ目ない感染症対策を実行していくべきと考えるが、見解を伺う。

【知事】

感染症対応の財政運営についてであるが、国の緊急事態宣言は解除されたものの、有効な治療薬やワクチンが実用化されない限り、ウイルスとの闘いはまだ続いており、今後も、感染症防止と経済社会活動の両立を図ることが必要となってくる。

このような状況において、都民の命を守り、そして都民の暮らしを守るために、財源を確保し、必要な施策を途切れることなく実行していくことが、知事としての私の責務である。

本定例会では、財政調整基金に加え、福祉先進都市実現基金なども活用しながら、感染拡大防止協力金の支給や抗原検査・抗体検査の実施、中小企業制度融資の更なる拡充、学校再開に向けた感染症対策などを盛り込んだ総額約5,800億円の補正予算案を提案している。

今後も、都として課せられた使命を確実に果たしていくために、決算剰余金の活用はもとより、基金や都債といったこれまで培ってきた財政の対応能力を最大限に発揮するとともに、予算執行段階での一層の創意工夫を行うなど、財政運営にしっかり目を配りながら、東京の経済、都民の暮らしを全力で守り抜いていく。

経済政策

①家賃に対する支援について

【質問】

わが党はこれまで交付金の増額を国へ知事と協力しながら強く要望を行ってきた。この国の臨時交付金などを活用し、国の賃借料助成への上乗せによる支援を行うべきと考えるが、知事の見解を求める

【知事】

家賃に対する支援についてであるが、新型コロナウイルス感染症の影響により、都内の多くの中小企業は売上が急減し、経営が大変厳しい状況にある。

こうした中、国は、売上が減少した事業者に対して、半年分の家賃の一部を給付する全国一律の支援とともに、地域の実情に応じた地方自治体の独自の取組を地方創生臨時交付金で支援する方針が打ち出されている。

家賃の水準が高い大都市では、影響はとりわけ深刻である。臨時交付金は、こうした実態を踏まえた配分が必要であり、お話にあったご協力もいただき、先日、私自ら国に対して要望を行ってきた。家賃の支援については、国の財源をしっかり活用しながら、国の施策と連携した効果的な支援策について、早急に検討していく。

②緊急融資について

【質問】

都が無利子融資を導入するまでの取組を明らかにするとともに、今後、旧制度の利用者に対し無利子融資への乗り換えを働きかけるべきと考えるが、見解を伺う。

【産業労働局長】

感染症に対応した制度融資についてであるが、都は、3月に緊急融資を開始して以降、中小企業を取り巻く経営環境を踏まえ、制度の充実を図ってきた。資金繰りが厳しくなる年度末に向け、返済期間の延長を可能とする緊急借換を創設するなど支援を強化し、4月末まで約21,000件、約6,700億円の融資を実行した。

先月には、借入れ後3年間の無利子融資を創設しており、今後の更なる資金需要に対応するため、緊急融資等に係る今年度の目標額を2兆5千億円まで引き上げる。

また、無利子融資の開始前に借入れを行った中小企業に対して、金融機関を通じた周知を徹底し、新制度の活用を促していく。

こうした取組により、都内中小企業の資金繰りをしっかりと支えていく。

③感染拡大防止協力金について

【質問】

休業協力金の支給業務体制の更なる強化と審査体制の迅速化を図るとともに、協力金第二弾の申請においては、休業継続の有無にかかわらず、申請の簡略化と支給の迅速化を行うなど、都民の不安と不満を払拭すべきと考えるが、都の見解を求める。

【産業労働局長】

協力金支給の迅速化についてであるが、協力金は厳しい経営状況にありながらも休業要請に応えて頂いた中小事業者に対し支給するもので前例のない取組である。そうした中、一刻も早く支給できるよう職員を約500名と大幅に増やすなど体制を構築した。これにより申請受付分は、ほぼ全て審査に着手しており、今週末までには申請件数の約半数となる累計50,000件を支給し、6月15日の受付終了後、6月末に概ね支給完了の予定である。第二回では、第一回から引き続く休業の場合は必要書類を最小限とし、申請者の負担軽減を図る。また、初めて申請する方でも記入方法が容易に分かる様式に見直すほか、間違いやすい箇所をWEBサイトに掲示するなど丁寧な周知を図る。

これらにより協力金の迅速な支給につなげていく。

④雇用調整助成金の活用促進について

【質問】

わが党は、申請書類の簡素化や助成率の引き上げ、申請に際しての専門家の活用、事業所へのインセンティブの付与などを推進してきた。

都は、こうした改善の内容を積極的に周知するべきと考えるが、併せて、知事の見解を伺う。

【知事】

雇用調整助成金の活用促進についてであるが、新型コロナウイルス感染症により、企業経営は厳しさを増しており、雇用環境にも深刻な影響が及ぶ中、働く方々の雇用の維持は、喫緊の課題となっている。

都はこうした状況を踏まえ、緊急の労働相談窓口を設置し、派遣労働者の雇い止めや、休業時の賃金の支払いなどの問題に対する助言を行うとともに、雇用調整助成金の申請手続きのサポート、さらには、助成金の決定を受けた企業が雇用環境整備に取り組む際の奨励金の支給など、様々な対策を講じている

一方、国においても、雇用調整助成金について申請書類の簡素化をはじめ、助成率や上限額の引き上げ、さらには、支給対象要件の拡大など、制度の拡充が図られている。

都としては、拡充された雇用調整助成金が効果的に活用されるよう、中小企業団体等に広く働きかけるとともに、助成金の対象要件や申請手続き等をわかりやすく解説するオンラインセミナーを新たに実施する。

また、助成金の活用を図りながら雇用を維持した企業の事例をホームページで発信・PRするなどの取組も併せて行っていく。

国とも連携しながら、これらの取組を進めることにより、全力を挙げて働く方々の雇用を守っていく。

⑤職業訓練について

【質問】

都は、職を失った都民向けの訓練や現職として会社に在籍する従業員向けの訓練についてもオンラインで行えるよう対応するべき。加えて、生活困窮者に制度内容をPRするなど、職業訓練の取り組みを積極的に展開すべきであり、併せて見解を求める。

【産業労働局長】

職業訓練の一層の推進についてであるが、感染症の拡大防止と経済社会活動の両立が求められるなか、中小企業の従業員や求職者の方々がオンラインにより、効率的・効果的にスキルアップを図れるよう支援していくことは重要である。

このため都は、新入社員や管理職などの階層別に行う研修や高度で専門的なスキルアップ講座など、中小企業が従業員に対して行う様々なeラーニングの受講経費を助成するとともに、求職者等の知識・技能の向上や資格取得等の支援によって、早期に再就職ができるよう、eラーニングによる民間委託訓練を実施する。

また、職業訓練期間中の生活を支援する給付金制度を広報誌やホームページで周知することにより、多くの求職者が訓練を受講できるよう取り組んでいく。

⑥第二の就職氷河期世代について

【質問】

第二の就職氷河期発生抑制について求職側、求人側の双方に寄り添って、都が雇用・就労の新たな取り組みを開始することに加え、就職活動に際し、情報やアドバイスの不足に直面する学生やアルバイト先の確保に向け支援するべきと考えるが知事の見解を伺う。

【知事】

大学生の就職活動等への支援についてであるが、新型コロナウイルス感染症の影響により、新規の採用を取りやめる企業や、説明会を中止する企業が出ていることに加え、大学等の休校により、就職活動を支援するキャリアセンターも十分に利用できない状況にあるなど、来年度の就職を目指す新卒者は、現在、極めて厳しい事態に直面している。

次世代を担う新卒の若者を、第二の就職氷河期世代とすることなく、個性や能力を活かした職につけるよう支援することは今後の東京の持続的な成長を図る上で重要である。

このため都は、新卒者の就職活動を支援する専用のウェブサイトを立ち上げ、キャリアカウンセリングや就職活動セミナー、企業説明会等のサービスをオンラインで提供する新たな雇用・就業支援を展開していく。

また、大学等に対し、こうした就活ウェブサイトの活用を働きかけるなど、新卒者の支援について、連携して対応していく。

併せて、大学生が学業と生活を両立していけるよう、SNSを活用したアルバイト探しの相談を行うとともに、業態の転換により、新たにオンライン授業を行う学習塾などの求人を開拓してマッチングを図る。

こうした感染の防止に配慮した支援策により、大学生の就職活動等を全力で後押ししていく。

生活福祉施策

①廃棄物処理業者等の安全確保について

【質問】

都は、感染症の流行を踏まえたごみの出し方などの清掃事業者への安全対策について改めて都民への情報発信を強化するとともに、現場のニーズに合った支援を行うべきと考えるが、見解を求める。

【環境局長】

廃棄物処理業者等の安全確保についてであるが、廃棄物の処理や再資源化は、都民生活を維持する上で不可欠な機能であり、事業の安定継続が重要である。

都はこれまで、家庭ごみの出し方等を情報発信するとともに、業界団体へのヒアリング等を通じ、マスク等保護具の調達状況など、現場の実態把握に努めてきた。

今後とも区市町村と連携し、適切なごみの出し方の普及啓発を強化するとともに、業界団体と連携し、収集時等における安全対策について事業者へ周知徹底を図る。

あわせて、感染リスクの長期化に鑑み、当面のマスク等保護具や消毒液などを都が一括調達し、感染リスクが懸念される廃棄物処理業者や資源回収業者へ配布することに加え、業界団体に対し調達ルートの確保に向けた支援を行い、現場の安全確保を後押ししていく。

②路線バスにおける飛沫感染防止について

【質問】

既に透明ビニール・シートなどで応急的な措置が実施され始めているが、恒久的な透明ボードによる固定化に取り組む必要を感じ始めている事業者の声もある。路線バスに対しても飛沫感染防止の取組を促進するべきと考えるが、見解を求める。

【東京都技監】

路線バスにおける飛沫感染防止についてであるが、路線バスは、都民の日常生活や地域の活力を支えるインフラであり、その運行の維持に向け、乗客・乗員の安全・安心を確保していくことは重要である。

路線バスでは、乗客が乗降する際に運転手と近接し、会話が行われることもあるため、飛沫感染の防止が必要である。このため、都内バス事業者は、当面の対策として、運転席と乗客スペースとの間に、ビニールカーテンを設置するなどの対応をしてきている。

今後、「新しい日常」が定着していく中で、バス車内における感染予防策が持続的なものとなるよう、御指摘も踏まえ、都として安全性や耐久性の観点から代替方策の実証的な検証を行うなど、事業者による更なる取組を支援していく。

都民の暮らしを守る支援策

①生活福祉資金について

【質問】

都民を救う手立ての一つが、社会福祉協議会における緊急小口資金や総合支援資金の特例貸付であるが、支援を必要としている都民には非常に重要な事業であり、更なる制度の周知と、より迅速に融資が実行されるよう体制拡充を進めるべきと考えるが、見解を求める。

【福祉保健局長】

生活福祉資金についてであるが、国は、本年3月から、生活福祉資金制度に新型コロナウイルス感染症の影響により収入の減少等があった世帯を対象とした、特例を設けている。

緊急小口資金は、貸付上限額が20万円に引き上げられ、据置期間や償還期限が延長された。また、総合支援資金は、据置期間が延長され、保証人がなくても無利子での貸付けを行うこととされた。

さらに、償還時に、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯については、償還免除ができることとされた。

都内では、受付を開始した3月25日からの2か月で、76,000件を超える申請を受理し、約55,000件、170億円を送金している。

審査・送金を担う東京都社会福祉協議会では、昨年度一年間で1,700件余りだった生活福祉資金の申請件数が、特例貸付だけで一日3,000件程度まで急増したため、職員を大幅に増員し、現在は10日程度で送金している。

先月からは、お話しの労働金庫に加え、新たに郵便局でも申請が可能となっており、都は、こうした情報をホームページに掲載するなど、更なる制度の周知に努めている。また、協議会に対し、都職員や、緊急対策として雇用した学生アルバイトによる業務支援を実施しており、今後も迅速に貸付けを行えるよう、事務処理体制の強化を図っていく。

②TOKYOチャレンジネットについて

【質問】

今後は、チャレンジネットを利用された方が、緊急的な対応に加えて、コロナ禍の収束の目途が立つまでの間、適切な支援を受けられるようにするべきと考える。これまでの支援策の実施状況と拡充について、見解を求める。

【福祉保健局長】

TOKYOチャレンジネットについてであるが、都は、ネットカフェ等に滞在していた方への緊急的な一時宿泊場所としてビジネスホテルを提供しており、5月31日までに、延べ1,072人を受け入れ、そのうち58人は都内居住6か月未満の方である。

その後の居住の場となる一時利用住宅についても、利用期間を原則3か月から4か月に延長するとともに、都営住宅の活用や民間不動産会社等との連携により従来の100戸から374戸まで拡大し、現在、152人が入居している。今後、一時利用住宅を500戸まで拡大するほか、区市の福祉事務所等を経由してビジネスホテルを利用中の方も含め、チャレンジネットの賃貸物件情報を活用し、居住の場の確保に努めるなど継続的な支援に取り組んでいく。

③東京ささエール住宅における家賃低廉化補助の拡充について

【質問】

感染拡大による影響の長期化を踏まえ、余裕をもった期間設定を行うとともに、区市の負担増にならないよう、最大限配慮しつつ、都補助の拡充を果たすべきと考えるが、見解を伺う。

【住宅政策本部長】

東京ささエール住宅における家賃低廉化補助の拡充についてであるが、この補助は、貸主に対し、区市町村の定める額を限度額として、国と併せ、都と区市町村が家賃を低廉化するために行うものである。

国が先般公表した緊急経済対策では、感染症の影響を受け、一時的に収入が減少している世帯を支援するため補助の国費限度額を従来の月額2万円から4万円に引き上げ、総額が月額で最大8万円となるよう拡充された。

これを受け、都においても既に限度額の引き上げを行ったところであり、区市町村に追加の財政負担が生じないよう、二年間、拡充分全額を都が負担することとした

今後、都は、本制度がより広く活用されるよう、区市町村に対する積極的な働きかけを行っていく。

④東京ささエール住宅への設備導入等について

【質問】

今後は、これまでの取組に加え、住宅の魅力向上につながるような設備の導入を図ることが、登録促進につながるものと考える。東京ささエール住宅の付加価値の増強を図るとともに、制度の普及に努め、一層の登録につなげるべきと考えるが、見解を伺う。

【住宅政策本部長】

東京ささエール住宅への設備導入等についてであるが、新型コロナウイルス感染症の影響により、生活に困窮する住宅確保要配慮者に対し、住まいの面からも支援を実施することは重要である。

このため、都は、東京ささエール住宅の貸主がヒートショック対策設備や宅配ボックス等の住宅設備を導入する場合、一戸当たり10万円を上限に、当該費用の三分の二を、今年度末まで、貸主に直接補助する予定である。

これにより、住宅確保要配慮者の安全性や住宅の利便性の向上を図るとともに、東京ささエール住宅の魅力を高め、貸主の登録意欲を更に向上させていく。

今後、都は、不動産専門誌への広告掲載や分かりやすいチラシの作成など、積極的に制度を周知し、一層の登録促進を図っていく。

⑤保育所等の新型コロナウイルス対策について

【質問】

保育所が必要な臨時職の雇用増強を図るための支援に取り組むべき。また、再開後の保育園への通園自粛を求める場合は、ベビーシッターの併用を可能とし、その旨を周知し、現状の十分の十のベビーシッター補助事業の期限を延長すべきと考えるが、見解を求める。

【福祉保健局長】

保育所等の新型コロナウイルス対策についてだが、都はこれまで、保育所等での児童の健康と安全を確保するため、手洗いなど基本的な感染症対策を徹底するよう周知するとともに、マスクを購入し、配布してきた。

こうした取組に加え、現在実施している保育士の負担軽減のための保育補助者等の雇用助成について、設備や遊具の消毒・清掃など感染防止対策に従事する人材の雇上げにも活用できることを区市町村に周知していく。

また、ベビーシッター利用支援事業については、区市町村から登園を控えるよう協力要請を受けて自宅で保育する児童等が対象となることを改めて周知するとともに、協力要請の状況等を踏まえ、今月末までとなっている実施期間の延長を検討する。

⑥保育サービス推進事業について

【質問】

保育サービス推進事業は、現在、全て中止となっている。事業の中止が長引くと、親が地域でのつながりから離れることにもなり、ますます育児不安を抱える。こうした課題を解決するためにも、事業のオンラインでの支援も対象とすべきと考えるが、所見を伺う。

【福祉保健局長】

保育サービス推進事業についてであるが、都は、地域の子育て家庭を対象に、育児不安軽減のための保育所体験や育児相談等を行う保育所の取組を独自に支援している。

新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中、来所による実施は困難となっているが、保護者が悩みを抱え込まないよう、引き続き支援していく必要がある。

このため、オンラインを活用して、親が遊び方や離乳食の食べさせ方などを学び体験できる取組等も補助の対象に加えることとし、地域の子育て家庭が安心して育児を行えるよう、保育所の取組を支援していく。

⑦妊娠中の女性労働者支援について

【質問】

改正指針における母性健康管理措置が十分に活用されるように、企業に取組を促すための支援が必要と考えるが、見解を伺う。

【産業労働局長】

母性健康管理措置の改正指針についてであるが、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中で、国は、事業主に対し、医師等の指導に基づいて、妊娠中の女性労働者に休業等の必要な措置を講じるよう、先月、母性健康管理措置の指針を改正した。

都は、この改正指針への取組を促していくため、賃金規程等を整備し、妊娠中の女性労働者を有給で休業させた企業に対して、奨励金を支給する。また、これらの企業については、就活情報を発信する都の冊子において、「女性にやさしい企業」としてPRするほか、女性求職者向けのイベントや合同就職面接会への参加機会を提供するなど、人材確保に向けた支援も併せて行っていく。

こうした取組により、指針に基づく、妊娠中の女性労働者の休業取得の促進を図っていく。

⑧妊産婦の支援について

【質問】

国の「新型コロナウイルス流行下における妊産婦総合対策事業」を踏まえ、都として、不安を抱える妊婦への分娩前のPCR検査の実施や里帰り出産が困難な妊産婦への支援など対策を講じるべきと考えるが、見解を求める。

【福祉保健局長】

妊産婦への支援についてであるが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、自身のみならず胎児・新生児の健康等について、不安を抱えながら生活している妊産婦がいると聞いている。

今般、国の第二次補正予算案に、お話しの、出産前のPCR検査の実施など、妊産婦に対する総合的な支援が盛り込まれた。

都としては、妊婦の方が安心して出産を迎えられるよう、国事業を踏まえ、PCR検査を希望する方を支援するとともに、里帰り出産が困難な妊産婦への育児支援サービスの提供等を行う区市町村と連携するなど、不安を抱える妊産婦への支援に取り組んでいく。

⑨自殺対策について

【質問】

各種支援策の一覧を活用して、相談者に対して、必要な情報を分かりやすく的確に伝えられるように支援するべきである。一人の命も犠牲にしないという強い決意の下に、こうした生きることの包括的支援を万全に講ずるべきと考えるが、知事の見解を求める。

【知事】

自殺対策についてであるが、新型コロナウイルス感染症への対応による経済的なダメージは生活に大きな影響を及ぼしており、生活困窮等を原因とする自殺リスクの高まりが懸念されている。

自殺リスクを抱える方を支援するためには、福祉、医療、経済、教育等の多様な分野が幅広く連携して自殺対策を推進することが重要である。

都では相談機関に新型コロナウイルス感染症に関連する各種支援策の情報を提供している。

また、感染症の流行に伴う心理的不安に対応するため、今月から、SNS自殺相談と深夜、早朝時間帯などにおける電話相談の回線数や相談員を増やし、相談者の悩みに応じて支援策を案内している。

さらに、区市町村や関係団体が相談事業を実施する上で、相談員の感染リスクを最小限にするよう感染防止策の徹底について周知している。

引き続き、区市町村、関係団体や民間団体と連携しながら、新型コロナウイルス感染症による影響を把握し、具体的な対策の検討を進め、自殺対策に全力で取り組んでいく。

⑩子供の心のケアについて

【質問】

そこで、非対面型相談事業であるSNS相談や「教育相談一般」「イジメ相談ホットライン」等を強化するべきと考えるが、都教育委員会の見解を伺う。

【教育長】

学校の休業に伴う子供の心のケアについてであるが、年度末や年度初めの重要な時期に、長期間学校に通えないという誰も経験したことのない状況の中で、子供は大きな不安を抱えながら過ごしてきた。そうした子供を支えるため、都教育委員会は、教員による子供への定期的な連絡を通した状況把握や福祉等の機関との連携等、学校での取組の徹底を図った。さらに、スクールカウンセラーの派遣回数を増やし、子供や家庭への支援を強化した。

また、学校再開直後は、友人関係など新学期に生じやすい悩みに加え、学習についていけるかという焦りや感染への恐れなど、通常とは異なる様々な不安を多くの子供たちが抱えているということを十分に踏まえ、最優先で心のケアを行っていく必要がある。

そのため都教育委員会は、学校の再開に当たり、全ての子供のストレスの状況を把握し、心配な様子が見られる子供やその保護者と早期に面接を行うよう求めるとともに、都内全ての公立学校を通じて、子供や家庭に、改めて相談機関の連絡先等を案内した。

今後、学校再開に伴う緊急の対応として、都教育相談センターが24時間受け付けている電話相談や、中高生対象に実施しているSNS相談において、それぞれ相談員を増やしていく。こうした相談機能を一層充実させることにより、かけがえのない子供の命を全力で守っていく。

災害対策

①避難所の感染症対策について

【質問】

都は、新型コロナウイルス禍における自然災害との複合災害について、避難方法や避難所の在り方などの対処方針とともに、実際に避難所を開設する方々にも分かりやすいガイドラインを示すなど、早急な取組が必要と考えるが、見解を伺う。

【福祉保健局長】

避難所の感染症対策についてであるが、都は、「避難所管理運営の指針」の中で、適切な換気や手洗い、手指の消毒の実施を定めており、区市町村はこの指針に基づき、避難所の適切な感染防止対策を行うこととしている。

新型コロナウイルス感染症対策に当たっては、四月に発出された国の通知を周知するとともに、都として避難対策全般にわたる留意事項を整理した対処方針を通知した。

今後、対処方針を基に、防災対策と感染症対策の部署が連携し、区市町村の職員や避難所開設に当たる地域の方等に向け、具体的な避難所内のゾーニングや動線、必要な物資の確保等に関する事例やイラストを盛り込んだ分かりやすいガイドラインを早急に作成していく。

②新型コロナウイルスに対する避難所の確保について

【質問】

都は、都立施設を積極的に活用するとともに、ホテル・旅館などの宿泊施設の確保・調整に取り組むべきである。コロナ禍における複合災害時の避難所の確保に向けて区市町村と連携した取組を進めていくべきであるが、都の見解を伺う。

【総務局長】

新型コロナウイルスに対する避難所の確保であるが、災害時に避難所に大勢の住民が集まり、避難所内が過密状態にならないよう、区市町村は、ホテルや旅館を新たに活用するなど、避難者の分散化を図るため、より多くの避難所を確保することが必要である。

一方で、都内におけるホテル等の立地状況は地域によって様々であり、また、区市町村による個別のホテル等との調整には時間も労力も要する。

このため、都があらかじめ、費用負担などホテル等の活用に関する基本的な条件について整理し、宿泊団体と包括的な協定を締結していく。

こうした取組を通じて、区市町村による自らの行政区域を越えたホテルや旅館を含む避難所の円滑な確保を支援していく。

③水害時の都営住宅空き住戸の活用について

【質問】

わが党は昨年の第四回定例会で、都営住宅居住者や地域住民の緊急避難先として、都営住宅の上層階の空き住戸を活用すべきと求めた。住宅政策本部長から地元区からの相談に応じていく、との答弁があったが、その後の検討状況について伺う。

【住宅政策本部長】

水害時の都営住宅空き住戸の活用についてであるが、水害のおそれのある地域において、都営住宅の上層階の空き住戸を緊急避難先として活用することは、災害時における都民の安全・安心の確保に資する。

本年1月以降、複数の区から、緊急避難先としての都営住宅の利用について相談を受けており、都・区の役割分担や鍵の受渡し、室内の点検・清掃など、実務的な課題の解決に向けて調整を重ねてきた。

現在、浸水が発生するおそれが生じたときに、区に空き住戸を速やかに提供できるよう、具体的な手続き等を定める協定について検討を進めている。

今後、調整が進んだ区との間で早急に協定を締結し、台風や大雨による浸水被害に備えていく。

④非常勤職員の災害時の対応について

【質問】

非常勤職員の災害時対応について、都は、想定される業務を示すことなどをとおし、都庁各局や各区市町村に対して実効性のある取組を促すべきと考えるが、見解を伺う。

【総務局長】

非常勤職員の災害時の対応についてであるが、災害発生時には、都民の安全・安心を守るため、非常勤職員は、迅速かつ的確な災害対応を行う必要がある。

具体的な業務内容としては、被害の把握の補助や、避難所・一時滞在施設における電話対応、受付名簿の作成、施設利用者への情報提供、職員の安否確認に係る連絡調整等が想定される。

今後、各局に対して、災害時における対応について明記するよう、非常勤職員の設置要綱を改正するとともに、それぞれの職務実態に応じて、あらかじめ業務内容を検討しておくことを指導していく。あわせて、各区市町村にも都の取組について情報提供していく。

こうした取組を通じて、都と各区市町村における災害時の人員確保の強化につなげていく。

⑤災害時における指定管理施設の対応について

【質問】

災害時に指定管理者が取るべき対応を協定に明記することなどへの善処が必要。都として積極的に対応すべきと考えるが、見解を伺う。また、平時からの備えとして、指定管理者による損害賠償責任保険契約への加入促進を図ることも重要と考えるが、併せて見解を伺う。

【総務局長】

災害時における指定管理施設の対応についてであるが、指定管理施設の管理については、都と指定管理者との間であらかじめ業務分担や業務実施に伴う経費等について十分な協議を行った上で、協定を結び実施している。

災害時の応急対応等については、この業務分担の中で指定管理者が対応しているところであるが、災害対応により取り決めていた業務内容に大きな変動が生じた場合には、都と指定管理者との間で改めて経費負担等についての協議や、御指摘にあった協定の見直しを行うなど、適切に対応していく。

また、施設損害賠償責任保険については、指定管理施設の特性や業務リスクを踏まえた活用等を促進し、平時においても災害時においても、指定管理施設に対する都民の期待に応えられるよう取り組んでいく。

福祉施策

①シルバーパスの一斉更新について

【質問】

毎年9月に約470会場で、更新の手続が行われるが、三密が懸念されるため、郵送による手続を検討すべき。加えて、郵送で一斉更新を図る際には分かりやすい案内とすべき。さらに、多様な媒体を活用した広報に力を入れるべきと考えるが、見解を求める。

【福祉保健局長】

シルバーパスの一斉更新についてであるが、例年9月に、都内各地に会場を設置し、約90万人のシルバーパス利用者に新しいパスを発行しているが、今年度は会場での新型コロナウイルス感染症の感染リスクを考慮して、8月中に更新案内等を発送し、9月末までに新しいパスを郵送することとする。

更新案内は、フローチャートやイラストを用いて手続や注意点を説明するなど分かりやすい内容とする。

また、利用者が適切に更新手続を行うことができるよう、事業の実施主体である東京バス協会とともに、広報東京都やホームページ、ポスターなどの様々な媒体を活用した広報を展開していく。

②修学旅行のキャンセル料支援について

【質問】

3月の予算特別委員会において、保護者負担が発生するキャンセル料について、負担軽減を図る支援策を講じるべきと質問した。四月に成立した国の補正予算も活用しながら、都としてもキャンセル料の保護者負担を軽減する支援を講じていくべきと考えるが、見解を伺う。

【教育長】

修学旅行のキャンセル料の支援についてであるが、国は、本年3月に行った学校に対する一斉休業の要請に伴い、昨年度内に実施予定であった修学旅行の中止等により発生したキャンセル料等について、一人当たり12,060円を上限に補助することを4月に決定した。

都立学校においては、既に、今年度前半の修学旅行等の計画が進んでいたことから、こうした国の補助制度の活用に加え、補助対象期間を本年6月までとした。

また、都立高校の修学旅行のキャンセル料の補助上限額を17,200円とし、海外への語学研修や芸術鑑賞教室等についても補助対象に加えた。

今後、これらの補助制度を活用し、保護者の負担軽減を図っていく。

③安全運転支援装置設置補助制度について

【質問】

都は、高齢者の運転をサポートし、交通事故から都民の命を守る本事業の利用を促進するとともに、9割補助の期間の延長を検討すべきと考える。都の見解を伺う。

【都民安全推進本部長】

安全運転支援装置設置補助制度についてであるが、都は、高齢運転者による交通事故を一件でも減らすため、昨年7月に緊急対策として、安全運転支援装置の購入・設置に対する補助制度を開始し、昨年度は約16,000台の設置を支援した。

補助事業者からは、4月、5月は新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた営業時間の短縮や外出自粛等で、設置件数が減少する見通しであること、また現在は通常営業を再開し、現時点の想定では、8月末にかけ設置需要の増加に対応可能との報告を受けている。

都は、今後、交通機関でのポスター掲示など、本制度の広報を集中的に実施し、早期の設置を促進することとしており、9割補助の期間の延長については、新型コロナの影響や設置促進の取組実績を踏まえ、検討していく

④医療従事者への支援について

【質問】

医療従事者の中には、直接の感染症対応部門でない診療科であっても、感染症患者等の受入れを応援することから、やむを得ず自己負担でホテル等に宿泊している方もいる。こうした医療従事者も宿泊支援の対象とすべきと考えるが、見解を求める。

【福祉保健局長】

医療従事者への支援についてであるが、今般の新型コロナウイルス感染症の流行に当たっては、医療従事者は感染リスクもある環境の下で、長時間にわたる勤務に従事している。

感染症への対応が長期化する中にあって、医療提供体制を維持するためには、従事者それぞれの負担に十分に配慮し、体調管理を適切に行えるようにしなければならない。

そのため、都は、深夜勤務への対応や一時休息のために、ホテル等を借り上げる医療機関を支援することとした。宿泊施設の活用方法は、医療機関によって様々であり、都としては、その実情を踏まえながら柔軟な制度運用を図り、医療従事者の勤務負担の軽減につなげていく。

⑤新型コロナウイルスに係る特殊勤務手当について

【質問】

新型コロナウイルスの感染リスクと常に隣り合わせの業務に携わっている東京消防庁の救急隊員に対して、医療従事者の特殊勤務手当のような制度がないため配慮すべきと考えるが、消防総監の見解を伺う。

【消防総監】

新型コロナウイルスに係る特殊勤務手当についてであるが、東京消防庁では、先般の武漢市からの政府チャーター機による帰国者への対応をはじめ、新型コロナウイルス感染症患者や感染の疑いのある方からの救急要請等に対し、保健所及び福祉保健局と連携して、医療機関等への移送及び搬送を行っている。

このような感染危険等が伴う消防活動に対しては、高度な専門的知識・技術が求められることから、従事する職員の士気の維持向上を図るうえで、遡及して特殊勤務手当の支給が必要であると認識しており、具現化に向けて関係部局との協議を進めていく。

今後も、前例のない災害等に対し、隊員の士気を高める環境を整備し、都民生活の安全の確保に努めていく。

⑥今後の医療提供体制の確保について

【質問】

更に新たな取組として都内に新型コロナ専用病院を開設し、重症者の病床を圧迫しないように中等症の患者を重点的に診療する体制づくりを早急に進めるべきと考えるが、知事の見解を求める。

【知事】

今後の医療提供体制の確保についてであるが、東京は、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症により、かつて経験したことのない闘いの中にある。

都民や事業者の方々に御協力を頂き、国による緊急事態宣言の解除に至ったが、安心して経済社会活動を維持できるよう、今後予想される第二波に備え、医療提供体制を強化する必要がある。

都はこれまで、患者の重症度に応じた病床を確保するほか、軽症者を受け入れる宿泊療養施設を順次開設してきた。

これに加えて、感染者が増加し、重症者の病床がひっ迫する事態となった際に備え、中等症の方向けの臨時的な専用医療施設を新たに確保するため、準備を開始する。

あらゆる事態を想定して、万全の医療提供体制を確保し、東京の総力を結集して、この難局を乗り越えていきたい。

⑦介護事業者に対する支援について

【質問】

介護事業者はマスク等が不足し入手困難な状況に置かれている。また、介護職員を確保するための手当や、訪問サービスを行う際の車両の購入など、新たな負担が必要である。介護崩壊を防ぐためにも、介護事業者に対し十分な支援策を講じるべきだが、見解を求める。

【福祉保健局長】

介護事業者に対する支援についてであるが、都は、介護施設・事業所等に対しマスクを3月下旬に60万枚、5月下旬以降に順次約940万枚、提供するとともに、国の優先供給の仕組みを活用して手指の消毒用エタノールの購入を希望する事業所等を支援している。

また、利用者などに感染者や濃厚接触者が発生した場合でもサービスを継続できるよう、国制度を活用し、感染防止に必要な衛生用品や車両・設備備品の購入、人材確保のための割増手当の支給等、平時には想定されない経費に対する補助を新たに実施する。

さらに、感染防止効果があるとされている手袋、エプロン等を調達し、事業所等に提供することを検討していく。

産業・雇用政策

①就労継続支援事業所に対する支援について

【質問】

都は、発注者側に対し、理解と配慮を求める周知を積極的に行うべきと考える。加えて、発注者と支援施設にとってストレスの少ない受発注や納品が進むよう、都は市区町村と連携して取り組むとともに、受発注の調整に努めるべきと考えるが、併せて見解を求める。

【福祉保健局長】

就労継続支援事業所に対する支援についてであるが、お話しのように、就労継続支援事業所では、新型コロナウイルス感染症の感染予防のため、作業のフォーメーションの変更等が余儀なくされており、生産活動等に影響が生じている場合がある。

こうした状況について発注者の理解が得られるよう、障害者就労施設が受注可能な物品や役務の情報リストを掲載しているホームページに、納期などへの配慮を求める内容を新たに記載することとした。

また、納期等、受注に関する相談について、工賃向上を目的としたネットワークや関係機関等と連携して対応するよう依頼するとともに、一つの自治体で対応できない場合は、他のネットワークなどの相談先を紹介するなど、区市町村等と連携した支援を行っていく。

②居住施設での支援及び助成金の活用について

【質問】

居住施設内での内職を認めない事例を伺っている。加えて、雇用契約を締結しない場合や、締結していても雇用調整助成金に結び付かない事例も見られる。都は、助成金の活用が進むよう、制度の周知や課題の改善に取り組むべきと考えるが、併せて見解を求める。

【福祉保健局長】

居住施設での支援及び助成金の活用についてだが、グループホームに居住しながら就労継続支援B型事業所等に通所している方の中には、今般の新型コロナウイルス感染症の影響で通所を控えている方もいる。

その場合でも、就労継続支援B型事業所が、居宅やグループホームで、できる限りの支援を提供したと区市町村が認めた場合には、報酬算定が可能とされており、都はこうした取扱いを周知するとともに、利用者や各事業所の状況等に応じてサービス提供を柔軟に行うよう依頼していく。

また、就労継続支援A型事業所における雇用調整助成金の活用に関する国通知を区市町村や事業所に周知しており、今後、助成金の活用状況について調査等を行い、実態を把握していく。

③文化芸術活動支援について

【質問】

募集枠を拡大するとともに、感染症対策の段階にあわせた新たな支援を行うには、自宅で演奏をするのが困難との理由で参加できない声や、舞台でパフォーマンスを見せたいとの要望、裏方スタッフへの支援の強化も必要であるという視点を踏まえるべきだが、見解を伺う。

【知事】

「アートにエールを!東京プロジェクト」についてであるが、芸術文化は、人々の創造性を育み、暮らしに安らぎや潤いをもたらすものであり、東京の魅力の源泉でもある。

現在、新型コロナウイルス感染症の影響により、芸術文化に携わる多くの方が活躍の場を失っており、こうした方々への支援は重要である。このため、都は、「アートにエールを!東京プロジェクト」を行うこととした。

先月、自宅等で動画作品を制作するアーティスト等の個人を対象に募集を行ったところ、予定を大幅に超える申込みがあったため、募集人数を4,000人から20,000人に拡大する。

今後は感染症対策の段階に応じ、劇場・ホール等が再開されていくことから、こうした施設を利用して、無観客や入場制限で開催し、一定期間、動画を無料配信する公演に対し、一公演につき200万円を支援する新たな取組を行う。

新たな取組により、アーティストやクリエーターだけでなく、音響や照明、舞台監督などの技術スタッフ、さらには、劇場・ホール等への支援にもつなげ、東京の芸術文化の担い手を広く支援していく。

④NPO法人支援について

【質問】

社会的課題に取り組むNPO法人等への支援について資金繰りが厳しいにも関わらず、社会的課題を解決する為のソーシャルビジネスに積極的に取り組もうとする、意欲あるNPO等の事業者を後押しする為、都はしっかりと支援を行っていくべきだと考えるが見解を伺う。

【産業労働局長】

社会的課題に取り組むNPO法人等への支援であるが、新型コロナウイルス感染症の影響により顕在化した社会的な課題を解決するため、多くのNPO法人等がソーシャルビジネスに取り組んでいる。

このため都では、新しい日常が定着した社会の構築に向けて、こうしたNPO法人等の活動に対する支援を開始する。具体的には、オンラインを活用した子供の学習支援やカウンセリングシステム等の開発に必要な経費やPR経費等について助成を実施する。

また、クラウドファンディングによる事業資金の調達をより一層支援するため、現行の手数料補助を拡充する

これらにより、より多くのNPO法人等が着実に事業を実施し、社会的課題の解決に必要なきめ細かいサービスを提供できるよう後押ししていく。

⑤業態転換について

【質問】

新型コロナというリスクに直面する中、こうしたデジタル技術などを活用しながら、新たなビジネス環境の構築に積極的に踏み出していく中小企業を支援していくことが重要と考えるが、都の見解を求める。

【産業労働局長】

新たなビジネス環境の構築支援についてであるが、今回の感染症の拡大により、中小企業はいわゆる三密回避を前提とした事業展開を求められるなど、その経営環境が大きく変化している。

このため都は、感染症防止と経済社会活動の両立に向けて、非接触型サービスの導入による業態転換を図る中小企業に対する助成を開始する。

具体的には、インターネットによる通販サイトの開設やオンライン配信による学習塾の授業、VRを活用したバーチャルイベントの開催などに必要な機器の導入費用やPR経費等を助成する。

都内中小企業が、非接触型のコミュニケーションを活用した新たなビジネスモデルの構築に取り組めるよう、強力に支援していく。

⑥飲食店等の三密回避について

【質問】

事務所や店舗での営業の再開や従前に近い活況を可能にしていくためには、密閉、密集、密接の三密の解消が欠かせない。そこで、都は三密解消の取組を誘導する呼び水となる助成制度を整えるべきである。見解を求める。

【産業労働局長】

いわゆる三密解消の取組への助成についてであるが、感染症防止のため都や業界団体等が策定したガイドラインでは、密閉空間を避けるための換気、一人当たりのスペースを増やすための座席配置や屋内施設の入場制限などの対策が示されている。

このため都は、中小企業がオフィスや店舗で取り組むガイドラインに沿った対策に対して支援を開始する。

具体的には、空気の流れを考慮した換気装置などの設置に要する費用、ソーシャルディスタンス確保のための店舗内のレイアウト変更や休憩スペースの増設にかかる内装工事費などを助成する。また、国の制度も含め、事業者に対して積極的なPRを行う。こうした取組により、感染症防止と新たな生活様式に対応した中小企業の事業活動との両立を積極的に後押ししていく。

⑦感染症防止に配慮した事業展開のモデルづくりについて

【質問】

感染症防止に配慮した事業展開のモデルづくりについて中小企業がイベントなどを三密を避けながら事業として行うモデルを作り上げることのできるよう、後押しすべきだが、都の見解を伺う

【産業労働局長】

感染症防止に配慮した事業モデルについてであるが、感染症拡大の影響によって、経営環境が大きく変化する中、中小企業の一刻も早い業績回復に向けて、事業の新しい実施方法の構築が必要である。

お話のイベント等の再開に当たっては、施設の座席や利用場所の工夫による人と人との間隔の確保、入場者数や滞在時間の制限などが求められている。

こうした対応を広く浸透させていくため、新たな事業実施に関するノウハウを蓄積し、モデルを構築した上で、広く発信していくことが必要である。

今後、感染症防止と経済活動の両立を図る中小事業者のモデルづくりの取組への支援を検討していく。

⑧医療機関への支援策について

【質問】

医療従事者に対する支援は公・民の格差があってはならず、民間病院についても患者を受け入れた時点から支援すべき。都は、新型コロナウイルス患者を積極・果敢に受け入れた医療機関の経営状況の実態を踏まえ、更なる支援策を講じるべきだが、知事の見解を求める。

【知事】

医療機関への支援策についてであるが、中国武漢市での患者発生に端を発した新型コロナウイルス感染症は、瞬く間に世界各地へと広がった。

わが国においても、政府チャーター機による帰国者の受入れや、横浜港のクルーズ船の対応など、1月、2月から多くの医療機関が患者を受け入れるなど感染症診療の最前線で対応いただいた。

新型コロナウイルス感染症との闘いは、既に数か月にわたっており、現場で懸命の努力をしていただいている医療従事者の皆様には、ただただ感謝の言葉しかない。

都としては、こうした実態も十分に踏まえて、医療従事者に対する特殊勤務手当の支給や新型コロナ外来に対する支援等について、実際に対応を行っていただいた時期に遡って支援の対象とするなど、都民の生命を守る医療機関をしっかりと支えていく。

⑨教訓等を生かした今後の医療提供体制について

【質問】

さらに、非常事態の中で医療機関が経験した貴重な教訓やノウハウ、人材育成、医療用具の備蓄などの課題を整理し、ガイドラインとして今後に生かしていくべきと考えるが、見解を伺う。

【福祉保健局長】

教訓等を生かした今後の医療提供体制についてだが、今般の新型コロナウイルス感染症の流行下にあって、各医療機関には、これまでにない対応を迫られる中、試行錯誤や独自の工夫も行いながら多くの患者を受け入れ、診療を行っていただいた。

その際、医療機関が行った、疑い例を含む患者への具体的な対応方法、適切なベッドコントロールや専用病棟の開設手順、陽性患者とその他の患者の動線設定、院内感染防止等の研修、医療物資の確保などのノウハウは、大変貴重なものである。

都は、これらの情報を取りまとめ、医療機関に周知し、今後の医療提供体制の強化につなげていく。

学校支援

①学校再開における人員の確保について

【質問】

再開にあたって三密対策のもと、分散登校などを経て、安心できる再開の態勢を急ぎ整える必要がある。グループを分けた授業や校内活動実施の上でも教員の増員が必要であり、様々な校内活動に応じた校内消毒の実践には教員以外の人員確保も求められる。見解を求める。

【教育長】

学校再開における人員確保についてであるが、学校の段階的再開に当たっては、学校運営に関するガイドラインに沿って、施設の衛生管理など徹底した感染症対策に取り組むとともに、「三つの密」を回避するため、グループに分かれた学習など、身体的距離を確保した教育活動を行う必要がある。

都教育委員会は、こうした取組を学校が円滑に実施できるよう、教科指導に必要な時間講師を追加で配置するなど校内体制の整備を図ることとした。これに加えて、教材の準備や消毒作業など、教員以外でもできる業務に対応するため、都立学校では大学生等を非常勤職員として活用し、小中学校ではスクール・サポート・スタッフの追加配置を行う。こうした取組により、各学校における児童・生徒の安全と円滑な教育活動を支援していく。

②感染の恐れから登校を控える児童・生徒への学習保障について

【質問】

個別事情について、一定期間は区市町村の教育委員会と連携して丁寧に対応し、これまでのオンライン学習の進展の成果を活かすべきと考える。感染の恐れから登校できない児童・生徒への学習保障について、都教育委員会の見解を伺う。

【教育長】

感染の恐れから登校を控える児童・生徒についてだが、保護者から感染が不安で子供を休ませたいと相談があった場合には、不安となっている事情をよく聴き取るとともに、これに対する学校の対策を十分に説明していく。その上で、校長の判断により欠席扱いとしない、柔軟な取扱いをすることが可能となっている。

こうした児童・生徒については、教員が家庭と連絡を取り、健康状態や学習状況を把握するとともに、臨時休業中におけるICT機器を用いた家庭学習のノウハウを生かし、学校の授業内容や学習課題をオンラインにより提供するなど、個別に対応する。

今後、保護者の理解と協力を得ながら、これらの取組により、児童・生徒の学びを進められるよう、都立学校や区市町村教育委員会に周知を図っていく。

③トイレの手洗いへの自動水栓設置について

【質問】

現在、洋式化工事が段階的に取り組まれつつある各学校のトイレにおいて、衛生面への配慮から、手洗い用の水道蛇口を自動水栓に取り換えていく取組も大事な課題となってくる。トイレの手洗い用の水道蛇口の自動水栓型への切替えを促進すべきと考えるが、見解を伺う。

【教育長】

トイレの手洗いへの自動水栓設置についてであるが、都教育委員会は、トイレ整備を行う区市町村に対し、平成29年度から補助を実施しており、トイレ全体の改修工事の一環として行う、自動水栓の設置も補助対象としている。

今後、区市町村の衛生的なトイレ環境整備の促進に向け、現在、自動水栓を導入している学校の実践例を収集しており、感染リスクを踏まえた整備の在り方や、導入に際しての配慮事項などの情報も含めて、速やかに提供していく。

④トイレ整備支援事業について

【質問】

学校トイレの洋式化工事は、令和二年度が都の補助期限とされている。夏季休業期間の短縮等により、夏休みに予定していた改修工事を延期せざるを得ない学校が増えている。こうしたケースについて、来年度も補助金を受けられるようにすべきと考えるが見解を伺う。

【教育長】

トイレ整備支援事業についてであるが、学校は、児童・生徒が一日の多くの時間を過ごす場所であるとともに、災害時には避難所となることから、安全で衛生的なトイレ等の環境整備は重要である。

公立小中学校においては、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための長期にわたる臨時休業により、夏季休業期間の短縮が見込まれるなど、予定していた工事の来年度への延期を含めた見直しを検討している区市町村がある。

今後、都教育委員会は、こうした状況を把握し、令和二年度に補助金の交付を受けて実施する予定のトイレ改修工事で、新型コロナウイルス感染症の影響により、来年度に延期せざるを得ない場合にも着実な整備ができるよう対応していく。

ポストコロナの予算編成

【質問】

都の予算編成において「感染拡大防止と社会経済活動の両立を図ること」と「新しい日常」を定着させるとともに、SDGsの視点から都の事業を整理し、東京の未来を創る取組を推進していくことが必要と考えるが、知事の決意を伺う。

【知事】

ポストコロナの予算編成についてであるが、世界は、今まさに、新型コロナウイルス感染症との闘いの最中にある。100年に一度ともいわれる、この感染症の脅威を乗り越えるべく、都は、「第二波」に備えた医療提供体制の強化や都民・事業者のセーフティネットの充実とともに、感染症防止と経済社会活動とが両立した新たな社会の構築、すなわち、「新しい日常」の定着に向けて、今、為すべき取組を果敢に推し進めている。

「新しい日常」を定着させ、東京の未来を創るためには、デジタルの力で「人」の生活の質を高めるなど、社会の変革を進める取組も重要であるが、変革を進める中にあっても、「誰一人取り残さない」SDGsの視点を踏まえ、共生社会の実現にも取り組んでいくことが重要である。

今後の予算編成においては、こうした観点から、改めて都の取組を整理し、施策をより磨き上げることで、未来の東京を力強く切り拓いていく。

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