災害対策の強化について
【質問】
重点整備地域の特別な支援メニューを備えた不燃化特区制度については、当初、指定の対象にならなかった地域を新たに加えてほしいとの要望が地元・品川区からも上がっています。東京のさらなる不燃化へ向けて、指定地域の拡充を求めますが、見解を伺います。
【東京都技監】
木密地域の改善についてであるが、都は、重点整備地域を対象に不燃化特区制度を活用して、老朽建築物の建替え・除却への助成など、従来よりも踏み込んだ特別な支援により不燃化に取り組んでいる。
不燃化特区は、木造住宅密集地域の改善を一段と加速させるため、早期に防災性の向上を図るべき地域を区からの申請に基づき、都が指定している。
先月、公表した防災都市づくり推進計画の基本方針案において、その取組を5年間延伸する方針を示した。
今後の制度の活用に当たっては、不燃化特区の進捗状況を踏まえ、新たな課題などについて、地元区との意見交換を十分に行いながら、不燃化を加速させる更なる取組も検討するなど、これまで以上に工夫を加え木造住宅密集地域の改善を強力に推進していく。
【質問】
特定整備路線については、住居や店舗の転居先の確保など住民に寄り添ったきめ細やかな支援策を講じるとともに、家族事情など様々な生活に関わる相談に対応するワンストップ総合相談窓口の内容を拡充すべきと考えるが、見解を伺う。
【建設局長】
特定整備路線の生活再建支援についてであるが、特定整備路線は、市街地の延焼を遮断し、避難路や緊急車両の通行路となるなど、防災上重要な道路である。
用地取得に当たっては、これまで、民間事業者を活用した相談窓口の設置などにより、生活再建を支援してきたが、権利者との合意形成に時間を要している区間もあり、生活再建支援を一層強化する必要がある。
今後、民間事業者の選定に当たり、新設、拡幅等の路線の特徴や、借地が多いなどの地域の実情に合った新たな提案を求めるなど、相談窓口の機能強化を図っていく。また、地元区などとの連携も更に深め、近隣の移転先確保や生活福祉に関する様々な相談に全ての窓口が対応できるようにするなど、関係権利者の生活再建をよりきめ細やかに支援し、事業の推進に全力で取り組んでいく。
【質問】
25年前に阪神淡路大震災を経験し、現在は首都・東京の知事として相次ぐ災害から都民を守るため、無電柱化をはじめとする防災対策の強化について、知事の決意と見解を伺う。
【知事】
無電柱化をはじめとする防災対策の強化についてであるが、東日本大震災以降も、熊本や北海道で震度7を計測する大きな震災が発生しており、首都直下地震がいつ発生してもおかしくない中、対策を一層強化していかねばならない。
私は、平成7年の阪神・淡路大震災で、倒壊した電柱が避難や救助の妨げになったことを目の当たりにしており、国会議員時代から防災の観点で無電柱化の必要性を強く訴えてきた。
知事に就任してからは、都道府県初となる「東京都無電柱化推進条例」を制定し、今年度末には、いわゆるセンター・コア・エリア内の都道における整備は、おおむね完了する見込みである。
しかし、昨年の台風第15号では、記録的な暴風による倒木や電柱倒壊により大規模停電が長期間発生した。私自ら島しょの被害状況を視察したが、島しょ部も含めた都内全域で無電柱化の取組を加速していく必要性を改めて認識した。
今後、災害の経験と教訓を踏まえ、新たに「無電柱化加速化戦略」を策定し、面的に無電柱化を加速させるなど、更なる防災対策の強化に向け、しっかりと取り組んでいく。
【質問】
新たな浸水対策地区はどのように選定していくのか。また、多摩川にある樋門の緊急の取組内容とスケジュールについて伺う。
【下水道局長】
新たな浸水対策についてであるが、激甚化する豪雨等を踏まえ、安全安心の取組を一層推進するため、先月、都で策定した豪雨対策アクションプランの中で、75ミリ対策地区等の追加と樋門の緊急の取組を示した。対策地区の選定に当たっては、最新の流出解析シミュレーション技術を活用し、時間75ミリ降雨があった場合の検証を進めており、検証結果と浸水実績等を踏まえ、令和2年度末までに対策地区を追加する。樋門の緊急の取組としては、樋門の役割等について、既にホームページに掲載し、情報発信を強化した。また、今年の出水期までに、多摩川にある2か所の樋門操作の遠隔化を実施し、下水道局が設置した7つ全ての樋門等で、堤防より宅地側からの操作を可能とする。さらに、地元区市等と樋門の操作情報等を共有する体制を強化していく。
【質問】
都は、多摩・島しょや局所的な被災地の通信障害にも即座に対応できるよう、通信キャリアによる可搬型の通信基地の配備や5Gを活用した災害時にも強い情報通信基盤を確保できるよう連携を図るべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
災害に強い情報通信基盤の確保についてであるが、災害発生時、都民の混乱や二次被害等を防ぐためには、5Gネットワークなどの通信手段により、災害時にも通話やインターネットにつながる環境を整備していくことは極めて重要なことである。
そのため都は、世界最高のモバイルインターネットである「TOKYO Data Highway」を21世紀の基幹インフラである「電波の道」として整備し、いつでも、誰でも、どこでも「つながる東京」の早期の実現を目指し、都のアセットの開放を進めている。
また、災害により通信が途絶えた地域が発生した場合でも迅速に通信環境を回復するため、国や通信事業者と緊密に連携し、移動基地局車や小型可搬型基地局、衛星携帯電話などを有効に活用していく。
これにより、都内全域において災害時にも強く、高度な情報通信基盤の構築に取り組んでいく。
教育について
【質問】
医療的ケアが必要な児童生徒が保護者の対応に頼らずに通学できるよう求め、看護師同乗の専用スクールバスの運行が実施された。人工呼吸器使用の児童生徒は専用スクールバスに乗車できず、保護者の対応に委ねられている。特別支援学校における今後の取組について伺う。
【教育長】
人工呼吸器を使用する子供への取組についてであるが都教育委員会は、特別支援学校での安全な教育環境を整備するため、昨年度から人工呼吸器の管理モデル事業や医療的ケア児専用通学車両の運行等を実施してきた。
人工呼吸器の管理については、来年度から、実施校に主任非常勤看護師を増員するなど、安全な実施に向けた体制整備に取り組み、一人一人の子供の状況を確認した上で、順次校内での保護者の付添いをなくしていく。
専用通学車両については、通学機会の拡充に向けて、人工呼吸器を使用する子供等の安全な車両条件等を確認するため、新たに短期間の試行乗車制度を設けていく。
これらの取組を着実に進め、今後策定する東京都特別支援教育推進計画(第二期)第二次実施計画において、医療的ケアをより一層充実していく。
【質問】
我が党は、医療的ケアが必要な生徒が保護者の対応に頼らずに都立高校で学べるよう支援の充実を求め、都は「一層の充実に向けた検討を行っていく」とし、来年度予算案に計上した。そこで今後、都立高校における医療的ケアの開始に向けて、都の取組を伺う。
【教育長】
都立高校における医療的ケアの実施についてであるが近年の医療技術の進歩や在宅医療の普及により、医療的ケアを必要とする生徒が都立高校に在籍しており、現在は保護者に付き添いを求めている。
こうしたことから今年度、都教育委員会は、生徒の教育環境の充実に向け、都立高校における医療的ケアの検討会を立ち上げ、経管栄養やたんの吸引などを学校で実施できるよう、非常勤看護師の配置や指導医の委嘱などの校内体制を構築することとした。
4月以降、現在都立高校に在籍している医療的ケアが必要な生徒を対象に、保護者からの引継期間を設けるなど、段階的に医療的ケアを実施する。
今後、実施状況を踏まえつつ、安全確保を第一としながら都立高校での医療的ケアの充実に努めていく。
【質問】
これまでのTGGの利用状況を伺うとともに、多摩地域での新たな英語村の設置について、自然豊かな多摩の特性を生かし、例えばイングリッシュキャンプも開催するなど、落ち着いた環境の中で外国語を着実に学べる教育環境の整備を進めるべきと考えるが、見解を伺う。
※TGG・・・東京グローバル・ゲートウェイ。体験型英語学習施設。
【教育長】
多摩地域での体験型英語学習環境の整備であるが、TGGでは、児童生徒が、英語漬けの環境の中で、海外での生活や実社会を体感でき、世界に目を向けるきっかけとなるプログラムを数多く用意している。
具体的には、海外を想定した疑似空間の中での日常生活の体験や、海外の行政機関の協力を得て行う現地と同様の授業等を、英語の習熟度に応じた内容で提供している。こうしたプログラムは、英語の授業や学校行事等の一環として活用され、今年度は約9万人の学校利用を見込む等、順調に利用が拡大している。
今後、多摩地域のニーズ等を把握した上で、TGGのノウハウの活用や、多摩地域ならではの魅力を備えたプログラムの可能性等、具体的な整備方針について検討していく。
羽田空港の機能強化について
【質問】
実機飛行確認の期間、都は独自に騒音測定を行ったが、その最大騒音レベルを明らかにするとともに、今後も引き続き実態に見合った騒音調査を実施し、測定結果を分かりやすく公表していくべきである。見解を求める。
【環境局長】
新飛行経路の騒音モニタリングについてであるが、騒音の発生状況については、航空機騒音を所管する都としても、独自に把握することが重要である。
実機飛行確認にあたっては都内7か所において騒音モニタリングを実施し、翌日には最大騒音レベル、3日後には詳細なデータを公表した。
騒音モニタリングの結果は、最大騒音レベルが北風時で64から78デシベル、南風時で56から86デシベルであった。
また、地点ごとに最大騒音レベルを平均した値は63から77デシベルであった。
都としては、新飛行経路の本格運用後も国や関係区と連携して同様の騒音モニタリングを継続するとともに、都民への丁寧な情報提供に努めていく。
【質問】
住民の意見・要望を受け止めるはずの国の電話相談コールセンターの存在を知らない方が多くおり、さらには何度かけてもつながらないという方からの苦情が相次いだ。そこで都は、国に対しコールセンターの周知と体制の強化を求めるべき。見解を求める。
【東京都技監】
羽田空港の機能強化に関する問合せ先についてであるが、これまでも都は、国に丁寧な情報提供を要請してきた。国は、機能強化に関する問合せ窓口として、平成27年7月から、コールセンターを設置し、ホームページなどにより、その連絡先の周知を図っている。
今回、実機飛行確認に併せて国はコールセンターの機能を拡充したものの、14日間に、合計約700件、特に多い日に1日当たり約100件の問合せを受けており、電話がつながりにくい等、様々な声があったと聞いている。
都としては、来月下旬からの運用開始に向けて、国に対し、コールセンターの幅広い周知や更なる充実を図るなど、都民への丁寧な情報提供の徹底を求めていく。
【質問】
都は、都民から寄せられた意見・要望を踏まえ、大型機は都心上空を飛行する対象から外すなど、騒音についての住民の負担軽減を国に強く求めるべき。見解を求める。
【東京都技監】
新飛行経路における騒音の軽減についてであるが、騒音対策として国は、機体がより小さく、低騒音の機材への転換が進むよう、本年1月から着陸料の更なる見直しを行うなど、運用開始に向けて様々な対策を実施している。
国は、今回の実機飛行確認に併せて、航空機の騒音測定を行っており、期間中に都内16か所の測定地点で、大型機の最大騒音レベルが南風時で53から81デシベルを記録したと公表しており、現在その測定結果を精査しているところである。
都としては、引き続き国に対し、こうした騒音対策の着実な実施を求めるとともに、実機飛行確認時や運用開始後の騒音発生状況等を踏まえ、必要な対策を検討するよう要請していく。
【質問】
一昨年の予算特別委員会でも取り上げたが、この度の実機飛行確認において、部品欠落や落下物事故の状況はどうだったのか伺うとともに、絶対に事故を起こしてはならないという観点から、その万全な対策を国に強く求めるべき。見解を求める。
【東京都技監】
航空機からの落下物等についてであるが、これまで都の要請を受けて国は、落下物対策について航空機のチェック体制の強化などに加え、世界的に類を見ない落下物防止対策の基準を定め、国内外の航空会社に対して義務付けるなど、総合的に対策を実施してきた。
さらに、この基準について、部品の固定方法の改良を追加する見直しを行うなど、適宜強化を図っている。
こうした中で実施された今回の実機飛行確認では、落下物は現時点で確認されておらず、部品欠落の有無については国が精査中である。
都としては、国に対し、安全対策の着実な実施を、運用開始に向けてより強く求めていく。