防災対策について
【質問】
都議会公明党は、現場調査を基に、台風被害に関する提案を重ねてきたが、今回の取組と今後の対応について、知事の見解を求める。
【知事】
今回の風水害に対する検証についてであるが、この秋、首都圏に相次いで襲来した台風により都においても近年経験したことの無い暴風による家屋損壊や豪雨による浸水など大きな被害が発生した。
また、最前線で災害対応に当たる区市町村においては被害状況の把握や住民の避難対応などで様々な困難が生じたと聞いている。
こうした状況を踏まえ、これまでの風水害対策をより一層強化する必要性が高まったことから、副知事をトップとした全庁横断的な検証会議を立ち上げた。
検証に当たっては、区市町村に対するヒアリングや都民からのアンケートを行い、全庁的に課題の抽出を行った。
その結果、連絡要員の派遣をはじめとした区市町村に対する様々な支援策や災害で損傷した河川施設の来年の出水期前までの復旧、護岸の強化など、都議会公明党をはじめとする各会派からの要望も反映し35項目にわたる対策を取りまとめた。
今後も、ソフト・ハード両面にわたるきめ細かな施策に取り組むとともに区市町村等の関係機関との連携を一層強化し、セーフシティ東京を実現していく。
【質問】
都議会公明党の要望を踏まえ、補正予算に盛り込んだ災害救助法の対象となっていない住宅一部損壊への都独自の支援については、修理費用を支払ったものも対象とすべき。また、災害救助法に基づく住宅一部損壊では、修理費用支払済みは対象となっていないが、これについても都として支援すべき。あわせて、知事の見解を求める。
【知事】
一部損壊の住宅への支援についてであるが、今回の台風は、都内の広い範囲で、住宅に大きな被害をもたらした。
このため、被災した都民の、住宅の安全と生活の再建を図ることができるよう、国の支援の対象とならない被災住宅について、新たな補助制度を創設した。
災害救助法に基づく国の応急修理制度では、補修工事が終了し、支払済みのものは対象外としているが、今回の都の制度では、比較的被害が小規模で既に代金を支払済みの工事もあると想定されることなどから、こうした場合も支援の対象とするよう区市町村から要望が出ている。
そこで、本事業は、国の応急修理制度を準用しつつも、区市町村の意向も踏まえ、柔軟に対応すべく、支払済みのものも対象とする。
これに加え、お話しの、支払済みであったために、国の応急修理の支援を受けることができなかった工事についても対象としていく。
この度の台風により、住宅被害に遭われた都民に広く支援が行き渡るよう、区市町村と協力しながら取り組んでいく。
【質問】
市町村の財政負担の緩和を図るため、今回の補正予算に計上した特別交付金を活用し、積極的に支援を図るべきと考えるが、都の見解を伺う。
【総務局長】
市町村災害復旧・復興特別交付金を活用した支援についてであるが、本年9月以降に発生した一連の台風により、多摩・島しょ地域においては、強風による住宅の損壊や河川の氾濫による住宅の浸水など、多くの被害が発生した。
こうした台風被害からの復旧・復興に係る市町村財政への影響は大きいことから、市町村の取組を財政的に支援するため、今回提案している補正予算案に災害復旧・復興特別交付金として25億円を計上している。
この特別交付金は、補助金や特別交付税等を除いた市町村の一般財源による負担分を補完するものであり、一部損壊住宅の補修に要する経費にも活用できるようにすることで、市町村の復旧・復興の取組を強力に後押ししていく。
【質問】
都施設や市区町村において、地震や風水害など、災害の種類に応じた避難先が確保されていることが必要と考えるが、見解を伺う。
【総務局長】
災害の種類に応じた避難先の確保についてであるが、地震や風水害から命を守るには、住民が火災や浸水等の危険から身を守るため、緊急的に避難できる指定緊急避難場所が確保されていることが重要であり、この指定手続は、地震や津波、内水氾濫などの種類ごとに行うこととされている。
これまで都は区市町村に対し、制度の主旨についての周知と早期の指定を促してきたが、災害の種類に応じた指定緊急避難場所の指定手続が進んでいるのは約半数の区市町村に留まっている。
今後、未指定の区市町村に対し、指定の考え方や手順等について防災担当職員に向けた新たな研修を行うなど、早期に災害の種別に応じた避難先の確保がなされるよう、支援を行っていく。
【質問】
全国的に非常勤職員が増えている中、災害時に避難者への対応を誰が担うのか。都は、災害時の人員確保の在り方を点検し、対策を強化すべきと考えるが、見解を伺う。
【総務局長】
災害時の人員確保の在り方についてであるが、都民の安全・安心を守るため、災害の発生時には、都に働く全ての職員の力を結集して、迅速かつ的確な災害対応を行うことが重要である。
御指摘の非常勤職員は、期間が定められた職務に従事し、行政運営を補完する役割を担うものであり、常勤職員とは職務内容や役割、責任の程度などは異なっているが、災害時においては、全体の奉仕者たる公務員として一定の役割を果たすことが求められている。
今後、都の非常勤職員について、それぞれの実態を踏まえ、あらかじめ災害時における業務内容を検討し、職の設置要綱に反映するとともに、その結果を区市町村にも情報提供するなどにより、都と各区市町村における災害時の人員確保の強化につなげていく。
【質問】
東部低地帯の都営住宅の一階や二階などには災害時要援護者や、車いす等の障害者、寝たきりや移動が困難な住民が居住している。
こうした居住者を含め、地域住民のための避難場所として上層階の空き住戸を団地ごとに活用すべきと考えるが都の見解を求める。
【住宅政策本部長】
避難場所としての都営住宅の活用についてであるが、水害のおそれのある地域において、都営住宅を緊急避難先として活用することは、災害時における都民の安心確保に資するものと考える。
空き住戸の活用については、電気・水道などが利用できない環境下での避難生活、室内の修繕・清掃の手配、入退去により空き住戸が随時変更する中での鍵の管理などの様々な課題がある。
今後、避難所を確保し、運営する役割を担う地元区の意向も踏まえ、こうした諸課題を慎重に整理するとともに、上層階にある集会室の活用や、建替え時における上層階への集会室の設置も含め、地元区からの相談に応じていく。
【質問】
多摩川流域においても、新たなタイムラインの策定に向け都は、事業主体である国に働きかけ、取り組むべきである。都の見解を伺う。
【総務局長】
多摩川のタイムラインの策定についてであるが、都をはじめとする防災関係機関が、災害時に発生する状況をあらかじめ想定し、事前に行うべき防災行動を時系列に沿って取りまとめるタイムラインは、災害時の的確な行動を確保する上で重要である。
国は、本年2月、新たなタイムラインの策定に向け、都や神奈川県及び多摩川沿いの区市等と検討会を設置し、災害時の防災関係機関の連携や情報共有の確保などについて検討を進めており、来年の出水期前を目途に取りまとめることとしている。
都としては、今回の検証で明らかになった住民への情報提供や避難情報発信のタイミングなどについて、本検討会に反映させるなど、より実効性のある多摩川のタイムラインの策定に向けて、積極的に取り組んでいく。
【質問】
悪天候においても樋門の操作を確実に行うための対策について伺う。
【下水道局長】
樋門の操作を確実に行うための対策についてであるが、樋門は閉鎖することにより内水氾濫のおそれがあり、操作に当たっては、河川水位のみならず宅地側のマンホールの水位等、様々な状況を的確に把握しながら行うため、樋門の操作は現地に設置してある操作盤等で行う構造が基本である。台風19号では、河川の水位が上昇した際に、猛烈な風等のため作業員の安全確保の観点から、閉鎖作業を実施できない樋門が2か所あった。「大規模風水害検証会議」において、樋門の安全対策について検証した結果、堤防より宅地側からでも樋門の操作を行えるよう遠隔化の検討に着手しており、今後速やかに、遠隔化設備の設置位置等の調査を実施する。加えて、樋門操作時の作業員の安全を確保するため、河川側にある操作盤につながる通路の改良を早急に実施する。
【質問】
地域住民に対し樋門の役割を日常的に周知するとともに、樋門操作等の広域的な情報共有に関して、具体的な取組を急ぐべきである。知事の見解を求める。
【知事】
樋門操作等の広域的な情報共有についてであるが、今回の台風第19号では都内で初めて大雨特別警報が発表され、一部の地域では内水氾濫や川からの溢水による床下・床上浸水などにより住宅にも大きな被害をもたらした。
樋門は、増水した河川から下水道施設等への逆流を防ぎ、水害から地域を守るための重要な施設であることから、その役割を住民の方々に広く周知していくことは重要である。
そのため、平常時から都民の皆様が浸水のリスク等を理解し、水害に備えていただけるよう、樋門の役割や開閉による浸水の危険性等について区市等と連携して、ホームページ等による情報発信を早期に実施する。
また、大雨時における樋門の開閉操作は、隣接する区市等にも影響を及ぼす可能性があることから都と区市等の実務者による協議を開始し、樋門の操作情報を関係区市等で迅速に共有する新たな仕組みを構築する。
こうした取組により、適切な樋門操作と住民への情報提供を行い、大雨による地域の浸水被害対策に万全を期していく。
【質問】
今回の台風による水害では、他県で停電による長期断水もあり、非常時の電力確保は重要である。水道局では、都市ガス等による非常時の電力確保を進めているが、前倒しを図るとともに、燃料の多様化のため、LPガスの活用も検討すべきと考えるが、併せて見解を伺う。
【水道局長】
水道事業における非常時の電力確保についてであるが、水道局では、大規模停電時においても、可能な限り給水を確保できるよう、自家用発電設備の整備を進めており、今年度は、金町浄水場ほか6箇所で整備中である。
一方、整備する用地の取得に時間を要する箇所もあるため、進捗管理を徹底するべく、地権者との粘り強い交渉等を行い、早期の整備完了を目指していく。
また、自家用発電設備の燃料を、都市ガスや軽油などに加え、LPガスを使用し、多様化を図ることは、災害時の給水を継続するためにも重要であると認識している
LPガスを使用した自家用発電設備は、燃料運搬が容易なことや、低騒音等の特性がある。
そのため、こうしたメリットを生かせる多摩地区の小規模な施設等への導入に向け、検討を進めていく。
【質問】
都営地下鉄としてのBCP(※①)やBCM(※②)を考える上で、プライオリティを明確にし、水没から守らねばならない施設の特定や対策を構築することが重要と考えるが、大規模水害時の早期復旧について、見解を求める。
【交通局長】
大規模水害時の都営地下鉄の早期復旧についてだが、交通局では、局版BCPである「危機管理対策計画」に基づき、水害時の早期復旧に向け、車両の避難や駅・トンネルへの止水措置などにより、被害の軽減を図るとともに、施設の被災状況等を踏まえ、迅速に復旧活動に取り組むこととしている。
さらに、近年の豪雨災害の激甚化・頻発化を踏まえ、荒川氾濫のような大規模水害に対しても減災を図るため、局内にPTを設置し、現在、変電設備など運行に不可欠な重要設備ごとに被害想定を改めて精査している。
今後、先般の台風への対応等も踏まえ、施設の浸水対策を強化するとともに、車両避難のタイミングなどについて改めて検証するなど、早期復旧のため、より実効性の高い対策を検討していく。
※① ・BCP:テロや災害、システム障害など危機的状況下に置かれた場合でも、重要な業務が継続できる方策を用意し、生き延びられるようにしておくための計画。
※② ・BCM:企業がビジネスコンティニュイティ(BC)に取り組むうえで、事業継続計画の策定から、その導入・運用・見直しという継続的改善を含む、包括的・統合的な事業継続のためのマネジメントのこと。
【質問】
都立病院・公社病院については、非常用の発電装置の整備などを求めてきた。その上で、水没を防ぐべき設備への対策や水没の危険性が高い地域での診療の代替など、対応策の進み具合について、見解を伺う。
【病院経営本部長】
都立、公社病院の水害への備えについてであるが、昨年度の緊急総点検及び今般の防災対策の検証を通じて、建物への浸水被害の恐れのある病院の対策を進めている。墨東病院は全ての開口部に止水壁を設け、東部地域病院は非常用発電機を屋上に設置することとし、設計を行っている。加えて広尾、大塚、豊島の各病院は地下スロープからの浸水防止を重視した対策に取り組んでいく。また、病院機能に障害が出るような災害時に、医療人材の配分や患者受入の調整等を中心となって行う災害医療コーディネーターに、広尾、墨東、多摩総合の3病院の医師が指定されている。これらの病院では、事前に被害想定を明かさず臨機応変に対応するなど、実践的な訓練を行ってきた。今後も全病院でハード・ソフト両面の水害対策を着実に進め、より万全なものとしていく。
【質問】
都内の中央卸売市場においては、電力の喪失や電気設備の故障などに備えた対策が急務です。非常用電源の確保、故障した機器の迅速な機能回復、施設の使用停止などの機能不全に陥らないための方策などについて、見解を求める。
【中央卸売市場長】
中央卸売市場における水害対策についてであるが、中央卸売市場は、東京都地域防災計画により、発災時の生鮮食料品調達や輸送などの役割を担っている。
こうした役割を果たすため、都は、全11市場の施設の防水工事や非常用発電機の設置を行うとともに、市場業者との食品確保に関する協定締結などを進めてきたが、先般の台風では、一部の施設で漏水等が確認されており、改めて水害への備えを強固にする必要がある。
このため、計画的に施設の整備や改修を進めるとともに、今後、浸水ハザードマップや敷地の利用状況等を踏まえて、電気設備への影響などを検証していく。
あわせて、応急復旧体制の整備や必要な資器材の確保などの取組を着実に進め、発災時に市場に求められる機能の確保に努めていく。
子育て支援について
【質問】
2040年の東京を担い立つのは、子供達であり、AIでは代替できない社会的役割を担い立てる人材に育ってもらう必要がある。幼児教育や保育の無償化が進むこの機に都は、関係者間の自主的な相互啓発の活発化に向けた工夫を積極的に講じていくべきだが見解を伺う。
【知事】
幼児教育・保育の質の向上についてであるが、子供が遊びを通じて環境から学び、生きる力を身に付けるためには、個々の発達過程を踏まえ、保育士が相互に協力し、子供の自発的な発育に適した環境を整え、応答的なやり取りを重ねながら援助することが大切である。
保育所の職員には、こうした専門性が求められるため都は今年度、職員の気付きや成長を促す職場環境づくりについて園長同士が情報共有を図るとともに、若手職員が相互交流を通じて保育実践を学び合うなど、施設間交流の促進等に取り組む区市町村への支援を開始した。
これまで取り組んでいる4区市では、園外活動や障害児保育に関する意見交換等が行われており、今後こうした実践事例の紹介を通じて事業の活用を促進し、幼児教育・保育の質の向上につながる取組を支援していく。
【質問】
長期戦略が描く2040年の東京は、保護者の就労の有無や長短に関わらず望めば全ての家庭で一日に数時間程度の集団保育の効果が享受できる社会としていくべき。長期的な視点に立って幼児教育・保育のあり方について検討を進めるべきと考えるが知事の見解を伺う。
【知事】
将来の幼児期の教育のあり方についてであるが、将来の東京を担う子供達は、無限の可能性を秘めたかけがえのない存在である。子供一人ひとりに着目し、社会全体で育てていくことが、我々に課せられた責務である。
とりわけ、お話しの集団保育のように、幼児期から子供同士が自然に交わることで、人間としての力を身に付けていくことは、生涯にわたる人格形成の基礎を築く上で重要である。
今後、AI化の進展等により、仕事の内容も大きく変化を遂げる中で、非認知能力をいかに育成していくかが重要になっていく。
時代の変化は益々激しく、不確実性が増す中で、既存の価値観やロールモデルに頼るのではなく、一人ひとりが、共感する力や、コミュニケーション能力を高め、自ら人生を切り拓いていくことが求められていく。
こうした観点から、2040年に向けて、子供が個性や能力を存分に活かして自ら伸び、育つ東京が実現できるよう幼少期を含めた教育のあり方について幅広く検討を進めていく。
【質問】
多胎児を育てる家庭にとって、乳児期は授乳やおむつ替えなど特に支援が必要であり、外出の際の移動の困難さ、その後の教育費負担など子供の成長に伴った支援策を検討すべきである。局横断的に連携を図り、支援策を講じるべきと考えるが知事の所見を伺う。
【知事】
多胎児支援に関する局間の連携についてであるが、双子や三つ子などの多胎児を育てる家庭は、同時に2人以上の妊娠・出産・育児をすることに伴う、身体的・精神的負担や経済的な問題など、多胎児ならではの困難に直面する場合も少なくない。
これらの課題に対し、多胎児家庭の保護者からは、家事育児の負担軽減や経済的な援助、子供を預ける場所の確保など、ライフステージに応じた多岐にわたるニーズの声が届いている。
こうしたニーズは、都政の幅広い分野に及ぶものであり、いわゆる福祉の分野のみならず、都庁横断的に横串を刺して支援策を講じることが重要である。
今後、関連する各部門が強固に連携しながら支援策を検討し、着手できるものから迅速に事業化を図っていく。
【質問】
都は、ゆりかご・とうきょう事業の内容の充実を図りながら来年度以降も継続すべきと考える。また、ベビーシッター利用支援事業は在宅子育て家庭も利用できるようにすべきである。総合的に多胎児を育てる家庭への支援策を講じるべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
多胎児を育てる家庭への支援についてであるが、かねてより、都議会公明党の皆様からは、多胎児を育てている御家庭の御苦労についてお話を伺っている。
先日も、御党の御紹介により、現在子育て中の保護者の方々が都庁を訪問され、子供の世話や家事にとにかく人手が足りない、双子が交互に寝たり起きたりして眠れない、食事やトイレ、入浴の時間もままならない、などの、切実なお話をされたことも伺った。
都は、今年度から、子供を在宅で育てる方々の育児や家事に関する不安や負担感を軽減できるよう、ベビーシッターや家事支援サービスの利用に関する支援を開始した。
こうしたサービスが、育児の負担の大きい多胎児を育てる家庭に、もっと届くようにしていかなければならない。
今後、多胎児を育てる家庭をしっかりと支援できるよう、訪問型のサービスを更に充実させ、子育て家庭を支援する環境の整備を全力で進めていく。
環境施策について
【質問】
太陽光発電の固定価格買取制度による買取期間が満了する、いわゆる「卒FIT」を迎える家庭が、買取価格の低下により発電をやめないようにする仕組みも必要であり、「卒FIT」の電力を都有施設の再エネ電力に活用すべきである。知事の見解を求める。
【知事】
都有施設の再生可能エネルギー電力の利用についてであるが、ゼロエミッション東京の実現に向けて、再エネの利用拡大は大きな柱の一つである。
そのため、隗より始めよとして、今年度は都庁舎版RE100に取り組んだところであり、引き続き、様々な都有施設において再エネ電力の利用を進めていくことが重要である。
現在、家庭の太陽光発電について、国の固定価格買取制度による10年間の買取期間が満了し、いわゆる卒FITを迎えた家庭が都内においても生じ始めており、今後加速度的に増えていく。
都内卒FIT家庭の太陽光発電は、地域の重要な再エネ電力として、固定価格買取制度による買取が終了した後も、発電が継続されるよう、しっかりと役立てていかなければならない。
このため、都内産卒FIT電力を都のイニシアティブで活用するとともに、再エネ電力の供給量を高めていく方策などを検討し、都民の身近にある都有施設での再エネ電力100パーセント化を目指していく。
【質問】
多くの方たちに東京の魅力を感じてもらうためにも外濠の水質改善に取り組み、水の都にふさわしいまちを実現することが重要と考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
水の都にふさわしいまちの実現についてであるが、多くの魅力に溢れた美しい東京の実現に向けては、水と緑を一層豊かにし、ゆとりと潤いあるまちをつくることが重要である。
8月に公表した「未来の東京への論点」では、こうした考えの下、玉川上水や河川の清流復活、水辺に顔を向けた街並みの形成、潤いや賑わいのある水と緑の空間の創出などと合わせ外濠の水質浄化を課題の一つとして示した。
外濠については、現在、関係局が連携し、効果的な水質改善方策について幅広く検討を進めている。
東京の都市としての魅力を更に高めていくため、引き続き、外濠の水質改善に向けて関係団体と連携しながら取り組むとともに品格ある都市景観の形成や歴史、文化、水辺を活かした都市の顔づくりなどを進めることにより水の都にふさわしい、美しい東京を実現していく。
【質問】
都は昨年、工業用水道事業の廃止を決めたが、工業用水道廃止後の施設の活用について検討すべきである。また、今後、水質改善方策の具体化には、国や地元区との連携を図るべきと考えるが、あわせて都の見解を伺う。
【東京都技監】
外濠の水質改善についてであるが、都は、現在、外濠の水質等の詳しい調査を行うとともに、関係局が連携し、効果的な水質改善方策について幅広く検討を進めている。河川水などの導水については、方策の一つであるが、水利権や導水ルートの確保、その際の経費など様々な課題がある。今後、工業用水道事業廃止後の施設の活用可能性も含め、これらの課題への対応策について検討していく。
また、外濠は法定外公共物であることから、国はもとより、日常的な維持管理を行う地元区との連携が不可欠である。都は、本年9月には国との連絡会議を立ち上げ水利権の確保等の課題について検討を行っている。今後、地元区の連絡会議への参加を得て連携強化を図り、外濠の水質改善に向けた方策をしっかりと検討していく。
就労支援条例について
【質問】
ソーシャルファームの創設に向けては、意欲を持つ事業者が増えるような認証基準とすることに加え、経営の自立を見届けるまでの支援といった責任ある態度で臨むべき。新たなソーシャルファームが次々と創設され、自立していく取組の構築に向け、知事の見解を伺う。
【知事】
ソーシャルファームについてであるが、今回提案した条例は、就労に困難を抱える方の新たな活躍の場として、ソーシャルファームをこの東京に誕生させ、根付かせることを目標の一つとしている。
そのためには、ソーシャルファームを創設しようとする方に向け、都がソーシャルファームを認証する明確な基準を示すとともに、実効性のある支援策を用意することが重要である。
ソーシャルファームの創設に向けた設備導入支援や事業を軌道に乗せるための一定期間の運営費の助成、加えて、事業の発展を後押しする経営上のアドバイスの実施など、支援の仕組みづくりに取り組んでいく。
今後速やかに、企業経営等の専門家などによる検討会を新たに設置し、具体的な認証基準や、支援策の詳細について検討を進めていく。
これらの取組により、ソーシャルファームの創設を促進し、就労に困難を抱える様々な方が広く活躍する社会の実現を目指していく。
【質問】
都がこれまで実施してきた就労支援施策についても、条例制定をきっかけに課題を整理し、支援内容を拡充すべきと考えるが、都の見解を求める。
【産業労働局長】
就労支援施策の強化についてであるが、今般提案した就労支援に関する条例は、就労を希望する全ての方が、その個性や能力に応じて働けるようにすることを目標としており、そのためには、これまで実施してきた障害者や再就職を目指す女性などに対する就労支援をさらに強化していく必要がある。
具体的には、障害者雇用を促進するため、障害者を初めて雇用する中小企業に対して、採用から定着まで一貫した伴走型の支援を行う施策の検討を進めていく。
また、再就職を目指す女性に対しては、より身近な地域で就労の支援が受けられるように、多摩地域における新たなサポート体制の構築について検討していく。
こうした取組などにより、就労を希望する方々の実情に応じたきめ細かな就労支援を進めていく。
【質問】
就労困難者への支援にあっては、相談・就労・定着までを一連の流れとして捉えて検証し、PDCAサイクルの中で、絶えず支援内容のブラッシュアップを図る体制を構築すべきと考える。見解を求める。
【産業労働局長】
就労に困難を抱える方への支援についてであるが、こうした方々に対して、実情に配慮した効果的な就労支援を行うためには、事業の実施と検証を通じて、経験やノウハウを蓄積しながら、支援手法の改善や支援スキルの向上に不断に取り組んでいく必要がある。
このため都は、今後、しごとセンターにおける、困難を抱える方への相談支援の充実に向けて、支援スタッフや関係機関等による検討会議を定期的に開催するなど、事業効果を検証し、改善策につなげる仕組みを構築していく。また、こうした検証の積み重ねにより得られたノウハウ等を、実践的な支援マニュアルにまとめることも検討していく。
これらの取組を通じて、就労に困難を抱える方に対する支援の強化を図っていく。
【質問】
住宅政策本部では、この「チャレンジネット」事業において、都営住宅を活用して介護職の資格取得中の住まいの提供を実施しているがその対象を介護職以外にも広げ、より幅広い就労困難者の応援を図るべき。見解を求める。
【住宅政策本部長】
都営住宅の就労支援への活用についてであるが、福祉や就労など都のさまざまな就労困難者への施策と連携して、都営住宅ストックを有効活用することは重要である。
介護人材の育成確保に協力するため、介護職場での就労を目指す離職者を対象に、平成21年度から、チャレンジネット事業に都営住宅の住戸を活用しており、平成28年度以降、20戸を提供している。
今後、提供戸数を拡大するとともに、対象を介護職以外での就労を目指すチャレンジネット利用者にも広げ、低収入で住宅に困窮する就労困難者への住宅支援を推進していく。
働き方改革について
【質問】
先の第三回定例会において、工事契約にまつわる提出書類の削減等について、前向きな答弁を得ていたところである。今後、具体的な改善が進むよう、受注業界に対して充分周知し、意見交換を行って臨むよう求めるものであるが、見解を伺う。
【財務局長】
工事関係書類の削減についてであるが、工事関係書類については、公共工事の品質確保や施工管理等の観点から必要なものである。その中で、重複した情報が含まれた書類などについては、関係局が連携し、削減・簡素化の検討を進めてきた。
その結果、本年11月、各局が共通して使用する統一様式32様式のうち、削減等が可能な書類の候補として11様式を抽出するとともに、各局が独自に定めている様式についても候補を抽出した。
今後は年度内に、土木・建築・電気・機械の四業種を対象に、削減等を行うモデル工事を選定していく。
その上で来年度、モデル工事の試行を通じて受注者の意見も聞きながら、削減等の効果や品質確保等における課題を検証し、削減・簡素化の取組を進めていく。
【質問】
書類の削減は、項目数の削減だけでなく、書類レス、提出や保管の電子化というICTを活用した抜本的な負担軽減を同時に進めていくべきである。受注業界と協議し、着手可能な点から改善を進めていくべきと考えるが、見解を伺う。
【財務局長】
ICTを活用した負担軽減の取組についてであるが、公共工事において受注者の負担軽減を図るためには、ICTを活用するなどの生産性向上の取組が重要である。
このため、工事関係書類の削減等を行うモデル工事の試行では、書類の一部を電子メールによる提出とするなど、受注者の省力化を進めていく。
また、財務局では受注者からの提案を採用し、ネットワークカメラから夜間・休日等の現場の映像を受信することにより、警備の省力化につなげた事例もある。
今後も、御指摘の課題を含め、業界との意見交換を行いながら、生産性向上に向け適切に対応していく。
【質問】
都営住宅の建替え工事で実施している女性活躍モデル工事は、発注者指定型に限られている。今後はこれに加え、受注者側の努力で現場に女性の働き手を配置できる場合には、受注者希望型も選択可能としていくべきと考える。見解を求める。
【住宅政策本部長】
女性活躍モデル工事についてであるが、建設業における女性活躍を推進するためには、現場で働きやすい環境整備を進めることが重要である。
都営住宅建替え工事では、女性技術者の配置等を条件に更衣室などの整備を行うモデル工事を平成28年度に試行し、2人の若手女性技術者が活躍している。
一方で、建替え工事の大半を担う中小建設業の団体からは、女性技術者の配置が入札条件となると応札しにくいという意見をいただいている。
そのため、受注者が女性技術者を配置できる場合には契約後であっても受注者からの希望によりモデル工事を選択できる仕組みを導入していく。
来年度から、一定規模以上の建築工事において試行の上、拡大を図り、女性の活躍を推進していく。
【質問】
駅中、駅前などの人通りの多いオープン空間で利用できる宅配ボックスの設置について、その後、都市整備局での検討はどう具体的に進んでいるのか、見解を求める。
【東京都技監】
宅配ボックスの設置についてであるが、宅配便の取扱件数が急増する中、労働力不足に対応するとともに二酸化炭素排出量を抑制するため、再配達の削減などによる物流の効率化を推進する必要がある。
宅配ボックスの普及は、国の検討会においても、再配達の削減に向けた具体策の一つとして示されている。駅等の公共スペースに設置されるオープン型宅配ボックスは、誰でも荷物の受取ができ、利用者の選択肢が増えることにより、利便性向上に資するものである。
現在、オープン型宅配ボックスに関して、設置状況や事業者等の意向、技術開発の動向等について幅広く調査を実施しており、今後、その結果を踏まえ、都としての対応を検討していく。
【質問】
都営住宅でも立地条件が良く、地域住民の利用が多く見込めるなどニーズが高い団地から、複数の配送事業者が使えるようなオープン利用の観点も含めて設置を検討していくべきと考える。住宅政策本部の見解を求める。
【住宅政策本部長】
都営住宅での宅配ボックスの設置についてであるが、集合住宅における宅配ボックスの設置は、居住者の利便性の向上はもとより、物流における再配達の削減、ひいては仕事と生活の両立を目指す上で働き方改革の推進に資するものと考えられる。
都営住宅においては、そのストックを有効活用して、居住者だけでなく周辺住民も、配送事業者各社から荷物を受け取ることの可能なオープン型の宅配ボックスを設置することが、有効である。
今後、複数の団地での試行的な設置について、具体的な場所の選定や公有財産上に設置するための手続に係る検討を進めていく。
【質問】
通勤・通学時での利用を進める観点では、都営地下鉄などでの取組が効果的である。今後、更なる展開を図るべきである。交通局の見解を求める。
【交通局長】
宅配ボックスの設置についてであるが、交通局では、お客様の利便性向上や収益確保はもとより、宅配便の再配達削減による環境負荷の低減等にも資するよう、平成28年度から、駅構内に宅配ボックスの設置を開始しており、現在、14駅に設置している。
加えて、コインロッカーを活用した宅配受取サービスについても、平成29年度から展開しており、現在、12駅で実施している。
今年度は、宅配ボックスを三田線白山駅や大江戸線牛込神楽坂駅など5駅に新たに設置する予定である。
引き続き、設置事業者の要望を踏まえながら、駅構内のスペースを有効に活用し、宅配ボックス等の設置拡大を図っていく。
市場条例の改正について
【質問】
都は今回の条例改正を契機に、市場業者への支援策をどう強化して取引量や取引高の改善を実現するのか、その道筋を具体的に打ち出すべきである。知事の見解を伺う。
【知事】
市場の活性化についてであるが、活気に溢れ、生産者や取引参加者に支持される中央卸売市場を実現することは、永遠の市場のテーマであり、開設者の責務でもある。
今回の条例改正は、市場を取り巻く環境が変化する中で、より活発な取引を可能とする環境を整えるものであり、市場の活性化を図るための土台づくりに他ならない。
この改正を契機として、取扱量の増加につなげるためには、新たな制度への理解を深めるとともに、環境変化に即した工夫ある取組の促進に向け、市場業者を後押ししていくことが重要だ。
このため、改正内容をきめ細かく周知し、新たな取引ルールに関する理解を深めていく。
合わせて、海外も含めた販路拡大など集荷力・販売力の強化等を目指した意欲的な取組を力強く後押しするとともに、その内容を広く共有することで、より多くの市場業者による環境変化に即した事業展開へとつなげていく。
こうした取組を積み重ねることで、産地や実需者との取引の拡大を図り、卸売市場のさらなる活性化を目指していく。
【質問】
開設者である都は、中小零細の仲卸業者の条例改正に伴う不安や戸惑いの声に応え、その経営の安定化に向け、丁寧にサポートしていくべきと考えるが都の見解を求める。
【中央卸売市場長】
仲卸業者の経営の安定化についてであるが、仲卸業者は、市場機能の中核を形成する事業者の一つであり、その多くが中小事業者であることから、経営を安定化することは非常に重要であると認識している。
このため、都では、仲卸業者の経営状況を把握し、助言するとともに、販路開拓など経営全般に関して、公認会計士等の専門家の知見を活用した相談事業を実施することで、より適切な事業展開を図れるよう支援している。また、卸売市場を取り巻く環境の変化に即した対応を促すため、仲卸業者を含めた市場業者の創意工夫ある先駆的な取組を後押ししている。
条例改正を契機として、こうした取組について運用上の改善を図りつつ、積極的に推進することで、仲卸業者の経営の安定化に向けて適切に対応していく。
福祉・医療施策について
【質問】
所信表明では、公社病院を含め、都立病院と一体的に地方独立行政法人に移行させる方針を示したが、これまで進めてきた改革の上に、「なぜ、いま」地方独立行政法人化を進める必要があるのか、知事の見解を伺う。
【知事】
都立・公社病院の地方独立行政法人化の必要性についてであるが、都民がいきいきと豊かに暮らすために医療は欠かせない基盤であり、都立・公社病院は大きな役割を担っている。
今後、超高齢社会の本格化により、医療・介護需要が更に増加することが見込まれる中、都は、東京都地域医療構想を策定し、団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向け、住み慣れた地域で医療から介護まで提供できる体制の構築に向けて取り組んでいる。
地域医療構想の実現に向けて、都立・公社病院は、公的な病院として、民間医療機関等との連携の下、地域の医療水準を向上させるための取組や不足する医療の提供が求められている。
こうした取組を先導的・補完的に行っていくことは、喫緊の課題であり、速やかに取り組まなければならない。
また、2040年代も見据えると、医師や看護師等の担い手不足など医療を取り巻く課題は、より深刻化していることが想定される。
このような時代を迎えても、都民の医療ニーズにしっかりと対応することが必要であり、確実に医療が提供できる体制づくりは待った無しである。
こうしたことから、更なる都立・公社病院改革として、一体的に地方独立行政法人に移行し、14病院のスケールメリットを活かしながら運営できるよう準備を開始することとした。
地方独立行政法人には、柔軟な勤務制度の構築等により医療ニーズに応じた機動的な人材確保が可能になるどの特長がある。
このような特長を最大限に活かし、超高齢社会における多様な医療課題にも的確に対応することで、都の医療政策を力強く推し進める。
このことにより、将来にわたって都民の誰もが質の高い医療を受けられ、安心して暮らせる東京を実現していく。
【質問】
都民が必要とする行政的医療が、将来にわたって十分に担保されるのか、知事の見解を伺う。
【知事】
行政的医療の将来にわたる担保についてであるが、災害医療や感染症医療など、民間の医療機関だけでは対応が困難な行政的医療の提供は、東京の医療のセーフティネットである都立病院が果たさなければならない重要な役割であり、都としての責務である。
地方独立行政法人化した後は、法の定めにより、都知事は、行政的医療を確実に提供するため、都議会の議決を経て策定する中期目標を通して明確な指示を行う。
また、都は、採算の確保が困難となる行政的医療などの経費について、現在と同様に負担する。
こうした仕組みのもとで、柔軟な人材確保など法人ならではの機動的な運営を行うことにより、行政的医療を将来にわたり都民に確実に提供していく。
【質問】
都立病院から公立病院に移行させた検証結果も踏まえ、公社病院の今後の位置付けを明確にすべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
公社病院の今後の位置付けについてであるが、これまで公社病院は、地域の医療機関との連携と役割分担の下、都民が身近な地域で適切な医療を受けられる効率的な地域医療システムの構築を先導してきており、東京における地域医療支援のモデルとなったと評価している。
また、救急医療やがん医療など、地域が必要とする医療を提供しており、まさに地域に根差した病院として歩んできた。
さらに、病院の特性に応じ、精神科医療、感染症医療等の行政的医療を、都立病院と連携しながら提供しており、都民のために不可欠な病院である。
その一方で、公社に移管した病院においても、看護師の定着、事務職員の育成といった人材面や、医薬品・診療材料の費用削減など経営面で、依然として課題が残っていることも事実である。
今後は、都立病院と一体的に地方独立行政法人化することによって、こうした人材面や経営面の課題の解決も図り、これまで培ってきたノウハウを共有するとともに、14病院のスケールメリットやそれぞれの強みを活かしながら、相乗効果によって運営体制を強化する。
このことにより、これまで以上に都民の期待に応えられる病院を目指していく。
【質問】
独法化の前提として、都議会が関与することを通し、都民の意見が反映されることは大事な視点であるが、地方独立行政法人化した病院に対する議会の関与について、知事の見解を伺う。
【知事】
地方独立行政法人化した病院に対する議会の関与についてであるが、地方独立行政法人は、法人が担うべき医療や業務改善等に関する中期目標の策定のほか、収支計画などを含む中期計画の認可や、行政的医療などの経費について都が行う財源措置等についても、議会の議決が法定されている。
こうした点も踏まえながら、都民ニーズを的確に反映できるよう、お話の、法人に対する議会の関与のあり方についても、今後検討していきたい。
【質問】
都議会公明党の提案に対し、都は、東京オリパラ大会の開催を見据え、近隣県とのドクターヘリ受入れを含めた具体的な連携について検討し、救急災害医療体制の強化を図っていくと答弁した。近隣県の連携に向けた検討状況と今後の取組について見解を伺う。
【知事】
ドクターヘリに係る近隣県との連携についてだが、都はこれまで、ドクターヘリを導入している近隣県に赴き、基地病院や緊急離着陸場の選定方法、要請方法について意見交換するとともに、基地病院にも直接訪問し、現場の医師、看護師、更には機長、整備士等と面会し、出動の多い地域や対象となる症例、維持管理に必要な条件などについて確認を行ってきた。
本年9月には、国と地方公共団体等が連携して実施した大規模地震時医療活動訓練において、他県のドクターヘリを活用した患者搬送訓練を行った。
今後、東京2020大会の開催も見据えながら、近隣県との連携に係る具体的な方策について調整を進めていく。
【質問】
東京には多くの要人が訪れ、オリンピック・パラリンピックも開催される。そして、首都直下地震・大規模水害が危惧される。都は東京型ドクターヘリに加え、全国的に展開されているドクターヘリ導入に向け、本腰を入れた検討に着手すべきであるが、知事の見解を伺う。
【福祉保健局長】
ドクターヘリの導入に向けた検討についてだが、現在、東京消防庁と連携し、遠距離運航や夜間飛行が可能な東京型ドクターヘリを、多摩や島しょ地域の救急搬送において運用している。
一方、お話しの小型ヘリを活用したドクターヘリは、短時間での離陸など機動力が高く、効率的な救急医療体制の確保に寄与するものと考えている。
こうしたことから、都の救急医療体制の機能強化に向け、小型ドクターヘリや、東京型ドクターヘリ、救急車、東京DMAT、それぞれの有用性が高い地域などについて、調査を進めている。
今後、救急災害医療分野の専門家や東京都医師会等の関係団体の代表からなる会議で、議論を深めながら、東京型ドクターヘリと連携したドクターヘリの導入に向けた検討を進めていく。
東京2020大会について
【質問】
せめて大会本番期間中だけでもスムーズビズやテレワーク、計画的な休業に企業が取り組めるように財政的な支援を実施すべきである。第三回定例会において、都は具体策を検討すると答弁したが、検討結果について伺う。
【産業労働局長】
TDMの推進に向けた中小企業への支援についてだが、大会の成功に向けては、TDMなどによる円滑な大会輸送の実現と経済活動の維持との両立を図ることが重要であり、都内事業所の99パーセントを占める中小企業の協力を得ていくことが不可欠である。
このため、中小企業のテレワークの導入を引き続き支援するとともに、ご指摘を踏まえ、TDMに協力する中小企業の物流体制の見直し等に伴う負担軽減策を新たに検討していく。とりわけ物流体制の見直しについては、自社への影響調査や物流システムの改修等を先行的に取り組む必要があることから、早急に着手できるよう必要な経費の助成を行うなどの措置を講ずることとした。
こうした支援を着実に展開し、大会時におけるTDMの推進につなげていく。
【質問】
これまでの応援ツアーの実績の確認とともに、福島県内の経済と住民生活回復の足がかりをしっかりと築くためにも、令和二年度も福島県に対する被災地応援ツアーを実施すべきと考えるが、見解を求める。
【産業労働局長】
被災地応援ツアーの実施についてであるが、東日本大震災による被災地復興支援のため、緊急対策の一環として、平成23年9月から実施している。
被災地応援ツアーでは、事業開始から平成30年度までの累計で、宿泊約19万7千泊、日帰り約6万5千人分、教育旅行117件に対する助成を行ってきた。
被災地応援ツアーの実施により、都民による被災地への旅行を促進し、現地での消費を喚起するなど、観光振興により復興を後押ししてきた。
今後、福島県の観光を取り巻く状況や現地の要望を十分に踏まえ、支援を検討していく。
【質問】
都は、チケットを購入した方や、観戦予定だった子ども達の観戦機会の損失を補うために、新国立競技場に入場していただき、パブリックビューイングや催し物を開催するなど、組織委員会に提案していくべきと考えますが、都の見解を求めます。
【オリンピック・パラリンピック準備局長】
マラソンチケット購入者への対応についてであるが、競技会場で観戦することを楽しみにしていた方々から納得の得られる対応を行うことは重要である。
これまで都は、組織委員会に対し、マラソンチケットを購入した方に配慮し、チケットの取扱いについて早期に考え方を示すよう求めてきた。
組織委員会は、現在、チケットの払い戻しを行う方針を示しているが、具体的な内容について、検討を行っていると聞いている。
都としては、ご提案の趣旨も踏まえ、組織委員会に対し、引き続き働きかけていく。
スポーツ振興について
【質問】
東京マラソンにおいて、都民の参加機会を増やし、また連続落選者に配慮した仕組みを講じるべきである。都の見解を伺う。
【オリンピック・パラリンピック準備局長】
東京マラソンのランナー募集についてであるが、東京マラソンは、エリート及び市民ランナー3万8千人が参加する世界有数のマラソンであり、毎年多数のご応募を頂いていることから、高い抽選倍率となっている
このため、より多くの方にご参加頂ける仕組みを構ずることは重要であり、東京マラソン財団では、関係機関と協議しながら段階的に定員を増やしてきた。
また、2020大会からは、都民の参加機会を増やすため、都内居住者を対象とする定員千人の「都民エントリー枠」を新たに創設した。
さらに、3年連続で落選された方に配慮し、2023大会から特別抽選を実施する予定である。
今後も、東京マラソンを通じて、より多くの方々に走る楽しみを提供し、広くスポーツ振興を図っていく。
【質問】
ラグビーワールドカップのレガシーとして、ラグビー文化を定着させるため、積極的に場の確保に取り組むべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
ラグビー文化を定着させるための場の確保についてであるが、ラグビーワールドカップ2019の盛り上がりを一過性のものとせず、ラグビーの楽しさやノーサイドの精神などを文化として定着・継承していくことは重要である。
そのためには、ジュニア世代を含めラグビーに関心を持つ人々が身近な地域で気軽に体験し、継続的に活動できる場を確保していく必要がある。
現在、ラグビーができる都立施設は11か所あり、今後、都立公園の整備等の機会を捉え、ラグビーができる場の整備について検討していく。
あわせて、都内の公立スポーツ施設のうち、ラグビーで活用可能な施設について、情報を集約し都民に提供する。
さらに、民間企業や大学、都立高校をはじめとする教育機関が所有している施設を、都民が気軽にラグビーに取り組める場所として活用できるよう、区市町村とも連携し、取り組んでいく。
ラグビーワールドカップを開催した都市として東京にラグビー文化が定着するよう、継続的に取り組んでいける場の確保に努め、スポーツ都市・東京を実現していく。
【質問】
場の確保に加え、ラグビー文化を定着させるためには、子供たちが続けたくなるよう、魅力に触れる機会を提供することも重要である。子供たちがラグビーに関心を持ち、継続してプレーするための取組をソフト面のレガシーとして進めるべきと考えるが、都の見解を伺う。
【オリンピック・パラリンピック準備局長】
ラグビーワールドカップのソフト面でのレガシーについてであるが、大会をきっかけとして、子供たちがラグビーに取り組める環境を整えていくことは重要である。
都は、様々なイベントの機会を捉えたラグビー体験のほか、大会期間中には被災地と都内の子供たちの観戦招待事業や交流事業を、東京都ラグビーフットボール協会や各地のラグビースクールと協力して実施してきた。
今後は、これまでの事業で培ってきた競技団体等との協力関係を活かしつつ、子供たちがラグビーを楽しみながら、技術力の向上にもつながる取組を検討していく。
こうした取組を通じて、都としても、ラグビーに関心を持った子供たちが競技に取り組める機会を提供し、大会のレガシーに繋げていく。
教育施策について
【質問】
都議会公明党は、そうした児童・生徒へのきめ細かな支援の充実が必要と一貫して訴えてきたが、公立小・中学校における今後の支援の取組について都の見解を伺う。
【教育長】
日本語指導が必要な小・中学生への支援についてだが、都内公立小・中学校では、数十か国語に及ぶ外国語を母語とする子供たちが学んでおり、学校生活に必要な日本語の習得には、一人一人に応じた支援が必要である。
そのため都教育委員会は、日本語指導の資料や教材を作成するとともに、日本語学級設置校や日本語指導が必要な子供が多く在籍する学校に教員を加配するなど、指導の充実を図ってきた。これらに加え、本年度は、家庭等との円滑な会話のために、学校向け多言語翻訳システムを活用する区市町村に補助を行っている。
今後は、日本語学習教材の改訂や、区市町村が行う外部人材の派遣、ICTの活用等への支援について検討するなど、子供たちの学校における学びの充実に向けた取組を推進していく。
【質問】
都立高校においても日本語指導のハンドブックを作成するとともに、日本語指導が必要な生徒への支援の充実に取り組むべきと考えるが、都の見解を求める。
【教育長】
都立高校における日本語指導が必要な生徒への支援についてであるが、都教育委員会は、これまで、日本語指導が必要な生徒の状況に応じて、授業中や放課後等に、学習上必要な日本語や授業内容の理解を促進するため、外部人材を活用した個別の支援等を実施してきた。また、在京外国人生徒対象の募集枠を順次拡大し、令和二年度入学者選抜からは、新たに都立杉並総合高校に募集枠を設置する。
今後、NPOや大学等の外部機関と連携し、生徒の習熟の程度に応じた日本語指導のための教員用テキストの開発や、日本語学習の指導者の確保策、また、言語・文化の違い等から生じる外国人生徒個々の課題解決に向けた取組等について検討し、生徒への支援の充実に取り組んでいく。
【質問】
不登校であっても、民間のフリースクールを含む、多様な学びの場を選択でき、児童・生徒が将来、精神的にも経済的にも自立して豊かな人生を歩めるよう、支援強化を加速していくべきである。都の見解を伺う。
【教育長】
フリースクール等民間施設との連携についてであるが、不登校の状況にある子供には、学校復帰のみを目標とせず、社会的に自立した生活を送ることができるよう、個々に応じた多様な学びの場での支援が必要である。
そのため都教育委員会は、区市町村教育委員会や不登校の相談・学習指導を行うフリースクール等と実施してきた意見交換会を、今年度連携検討委員会へと発展させ、効果的な支援の在り方等について協議している。
今後この協議を踏まえ、フリースクール等に通う子供に関する情報共有や出席の取扱いの在り方等を示した資料を作成し、学校や家庭に配布するとともに、区市町村教育委員会が設置する教育支援センターが、フリースクール等と連携して行う取組を支援するなど、子供が豊かな将来を築くことができるよう取組を進めていく。
小笠原振興について
【質問】
今年度の小笠原航空路における調査の実施状況を踏まえ、取組を更に前へ進めていく必要がある。今後の航空路開設に向けた知事の決意を伺う。
【知事】
小笠原航空路についてであるが、航空路の開設は、島民生活の安定と、国境離島である小笠原諸島の自立的発展を図る上で、極めて重要である。
本年九月、小笠原村長と直接、意見交換を行った際にも、まず、最初に御要望があったのが、航空路の必要性についてであった。村民の安心・安全を守るという観点からも、航空路の開設が村民の皆様の切なる願いであることを、改めて強く感じた。
都は現在、これまで検討してきた案の中から、より実現性の高い洲崎地区活用案に絞り、集中的に検討を行っている。
本年度においては、航空機の開発動向や技術開発の進展に関する調査に加え、現地の地質や気象等について、新たに、より詳細な調査に着手している。
世界自然遺産である小笠原において、貴重な自然環境と調和した実現可能な航空路案が取りまとめられるよう、あらゆる可能性を追求し、国や小笠原村とも緊密に連携を図りながら、検討を更に深めてまいりたい。
【質問】
都は今後、老朽化した都営小笠原住宅の建替えを早期に実施するとともに、建替え後は、村への移管を見据え、維持管理にも配慮が必要になると考えるが、見解を伺う。
【住宅政策本部長】
小笠原住宅の建替えについてであるが、都営小笠原住宅は、通常の公営住宅とは異なり、東京都小笠原住宅条例に基づき、帰島を希望する旧島民の帰島促進などを目的に、都が国の補助を受け、これまで393戸を建設してきた。
このうち、老朽化が進んだ父島清瀬アパートの一部、及び母島沖村アパートについては、居住環境の向上及び自然環境に配慮した住まいづくりを目指し、建替えに向けて、今年度、基本設計や自然環境調査を実施している
また、住宅の維持管理については、現在、都が行っているが、建替え後の維持管理の在り方については、村の意向も踏まえながら、今後検討していく。
引き続き、村と十分に調整しながら、老朽化した小笠原住宅の建替えの早期着工に鋭意努めていく。
【質問】
小笠原、特に母島ではパッションフルーツなどの栽培が盛んである。こうした素晴らしい農作物の供給を増やす農地の確保が重要。都は村と連携し、農地の安定確保などを支援する農業団地を整備しているが、今後更に農地を拡大すべきと考える。見解を求める。
【産業労働局長】
小笠原の農業振興に向けた取組についてであるが、パッションフルーツなど小笠原の特性を生かした農産物の生産を拡大するためには、都と村が連携し、農業生産基盤の整備や農地の利活用を進めることが重要である
都は、小笠原村における農地の安定確保や農業者の経営規模拡大等に向け、昨年度から都が所有する土地を農地として整備したうえで、村に貸し付けている。
村は、その土地を活用して農業団地を運営しており、これまでに延べ約9,200㎡の農地を就農者に提供している。
同敷地には13,000㎡を超える耕作に適した未利用地が存在することから、今後も農業者の需要を踏まえ、本敷地を活用した更なる農地の整備を検討していく。
都営住宅について
【質問】
応募割れしている住戸のある地域では、住戸のあっせん基準を緩和して、家族向け募集住戸については、単身者への応募の道を開くべきである。加えて、応募がない住戸などの募集では、抽選ではなく、いつでも応募できるよう工夫すべきである。見解を求める。
【住宅政策本部長】
都営住宅の募集改善についてであるが、都営住宅は、住宅困窮者に対して社会情勢の変化に応じて的確に供給することが必要である。
都営住宅の応募状況を見ると、利便性の高い都心区などでは応募倍率が高い一方、多摩部の三人用以上の住戸では、応募割れしているものが多くあり、そのうち一部では、応募なしが継続している。
今後、こうした住戸において、世帯人数に応じて提供する住戸の広さと間取りの基準を弾力的に運用し、単身者など少人数世帯向けに募集する戸数を増加させる方策を講じていく。
また、定期募集や毎月募集で応募のなかった住戸について、都民が住宅を必要とするときに速やかに入居できるよう、募集方法を改善していく。
青少年施策について
【質問】
SNSを活用した相談体制が、ネットトラブルや自殺防止の相談とともに、教育に関する悩みにも対応するため、通年で整備されたことを評価する。若ナビαにおいても、SNSによる相談を実施すべきと考えるが、見解を求める。
【都民安全推進本部長】
若者総合相談センター、若ナビαについてであるが、一人でも多くの若者の不安や悩みを受けとめ、支えていくためには、ウェブやSNS等、若者にとってなじみのあるツールを活用するなど、様々な工夫により、相談利用を促す取組が重要である。
このため、区市町村窓口や、大学、専門学校の相談室等へのポスターの配布などの手法に加え、ワンクリックで若ナビαのホームページを閲覧できる、検索連動型のウェブ広告を展開するとともに、ツイッター等による情報発信をこれまで実施してきており、相談件数が増加している。
今後、これまでの取組を踏まえ、不安や悩みを抱えた若者に若ナビαをより一層活用いただけるよう、SNSを活用した相談について検討を進めていく。