谷村孝彦議員の本会議(6月7日)代表質問

経済対策

① 東京都生活応援事業(商品券)について

【質問】

交付金が物価高や生活困窮対策を目的としたものであることや、デジタル活用に課題のある高齢者や低所得者の方々を考慮すれば、紙による発行に、より重きを置くべきである。

プレミアム率や事業主体の区市町村への補助率について、紙とデジタルの実施に格差が生じないよう取り組むべきと考えるが、見解を伺う。

【知事】

東京都生活応援事業についてであるが、原油や資源価格の高騰、円安の進行により電気・ガス料金や様々な生活必需品が値上がりし、都民の生活を圧迫している。

こうした状況を踏まえ、地方創生臨時交付金を活用し、都民生活を守る目的で、キャッシュレスによるポイント還元やプレミアム付き商品券などの取組を行う区市町村を支援していく。

実施に当たっては、プレミアム率の上限をデジタルのみの場合と紙併用の場合、いずれも30パーセントとし、補助率については、それぞれ4分の3、3分の2とすることで、区市町村の工夫をこらした取組を後押ししていく。

様々な厳しい状況に直面する都民の暮らしを区市町村と連携してサポートし、一人ひとりの明日の活力へと繋げていく。

② 中小企業に対する支援について

【質問】

ウクライナ危機を踏まえた新たな制度融資や利子補給の実施とともに、原油価格の高騰や円安の影響などを受ける事業者を支援するよう強く求めてきたが、補正予算による中小企業への支援について、知事の見解を伺う。

【知事】

中小企業に対する支援についてであるが、コロナ禍にウクライナ情勢や円安が加わり、中小企業の経営に大きな影響が生じている。こうした状況のなか、金融と経営の両面からより効果的な支援を行うことは重要である。

中小企業の経営環境を取り巻く様々な状況を踏まえ、その資金繰りを支える制度融資の見直しを図り、新しいメニューを創設する。これにより、信用保証料の補助を充実するとともに、当初1年間に生じる利子の2分の1に助成を行うほか、借入金の返済は最長5年間据え置くことができる仕組みとする。

また、原油価格高騰の影響が長引く中、固定費の削減に加え、新たに、エネルギーコストを減らす工夫や機器の導入に取り組む中小企業を支援する。

さらに、円安等による生産コストの上昇を踏まえ国産品の利用を促すほか、下請取引において適切な価格転嫁ができるよう支援を充実する。輸出を効果的に進めることができるようその手続のサポートや貿易保険の活用を後押しする。

こうした支援により、都内経済を支える中小企業の経営をしっかりと後押ししていく。

③ 団体旅行の安全・安心の確保について

【質問】

団体旅行については関連する事業者も多く経済波及効果が大きいことから、安全・安心に留意しながら、積極的に後押しすべきだが、補正予算での具体的な内容を示しながらどう取り組んでいくのか見解を伺う。

【産業労働局長】

団体旅行の安全・安心の確保についてであるが、コロナ禍で利用が減った団体の旅行を伸ばしていく上で、ツアーにおける感染防止対策を徹底して、観光客の安全・安心の確保を図ることは重要である。

このため都は、団体による旅行を企画する事業者に対し、感染防止対策を行う際に専門家が助言する支援を拡充する。また、観光客同士が密になることの無いよう観光バスの台数を増やす際に必要な経費の最大5分の4を、12万円まで助成するほか、追加の添乗員に要する経費も助成する。さらに、旅行業者が宿泊施設に持ち込む非接触型の体温計や消毒液の噴霧器等を購入する際に必要な経費に助成を行う。

こうした取組により、旅行者が安心して団体旅行を行う環境の整備を後押ししていく。

④ 観光需要の創出について

【質問】

「Go Toトラベル」の実施が検討されており、昨年度末に国から配分された「地方版Go To」の財源の活用も早期に明示していくべき。福島県への被災地応援ツアーについても早期に再開すべきと考える。観光需要創出に向けた知事の見解を伺う。

【知事】

観光需要の創出についてであるが、長引くコロナ禍の影響で、観光産業は大変厳しい状況が続いてきた。現在、感染症のリバウンドを警戒する期間は終わり基本的な感染防止対策を徹底しながら、観光の再開に向けた一歩を踏み出す時期となった。

感染拡大の防止と社会経済活動の両立を図るため、ワクチンの接種をより一層促進することは重要だ。接種を終えた都民の方などが都内の身近な地域を観光できるよう「もっとTokyo」で少しずつ後押しを進める。

「もっとTokyo」はワクチンの3回目接種を受けた都民の方などを対象に、トライアルで実施する。

この取組の成果を踏まえ、これからの感染状況を見ながら「Go Toトラベル事業」が開始となった際には、都外の自治体と協力し、本格的な観光振興に結び付ける。

被災地応援ツアーについても全国の観光振興と足並みを揃える中で展開する。

雇用就業支援

① デジタル人材の育成について

【質問】

出産や育児のために退職し、現在働いていない女性など、多くの方々が職業訓練を受講できる取り組みを進めている。インターネットによるeラーニングは、パソコンと通信環境があれば、どこでも受講可能である。

デジタルスキルを習得し、キャリアアップを図れるよう支援を充実強化すべきと考えるが、見解を伺う。

【産業労働局長】

デジタル人材の育成についてであるが、将来の成長が見込まれるデジタル分野の担い手を増やす上で、非正規雇用の方や女性など、受講者の状況を踏まえて職業訓練をきめ細かく行うことが効果的である。

デジタル分野の訓練を非正規雇用の方がeラーニングで受ける場合、習得の度合いに応じて講師がリモートで個別のサポートを行う。

また、デジタル関係の資格の取得を目指す訓練では、eラーニングで学習をした後、試験の直前に対面で集中的に講義を行い、確実に成果が挙がる仕組みとする。

さらに、女性がデジタル技術を学ぶ訓練では、少人数のクラスに複数の講師を配置して、丁寧な指導を行う。

こうした取組により、デジタル人材の育成を着実に進めていく。

② 多摩地域の雇用就業支援拠点について

【質問】

都は、新たに開設する雇用就業支援拠点において、どのように雇用・就労の支援を展開していくのかを伺う。

【産業労働局長】

多摩地域の雇用就業支援拠点についてであるが、都は、多摩のしごとセンターと労働相談情報センターの機能を立川に移転し新たな支援拠点を設け、求職者や労働者に対するきめ細かなサポートを展開していく。

新たな拠点では、同じ建物に入るハローワークと協力し、女性や非正規雇用の方など様々な求職者向けにセミナーやマッチング支援を行うほか、就業者への労働相談も実施するなどワンストップで対応を行う。

また、土曜日も相談業務を行うほか、リモートで市役所等からも利用できる仕組みとする。さらに、社会人経験の少ない方などに対し、職場実習を含む就業に向けたプログラムを提供するなど、サポートの充実を図る。

こうした取組により、多摩地域における雇用・就労支援の強化に取り組んでいく。

ウクライナ避難民への支援

【質問】

避難民の方同士や、都営住宅及び近隣の住民の方との交流の場を設けるなどの工夫を図るとともに、都営住宅での住まい方などについて母国語による分かりやすい案内を行うべきと考えるが、見解を伺う。

【住宅政策本部長】

ウクライナから避難された方々への生活支援であるが、都営住宅における避難民の方が、地域に溶け込み安心して暮らすためには、団地居住者や近隣住民との良好なコミュニケーションの下で、日本での暮らし方等を理解できるよう支援していくことが必要である。

このため都では、海外との文化交流に知見を持つ団体等と連携して、都営住宅の集会所等で東京みんなでサロンを開催し、地域での交流の機会を提供していく。

また、都営住宅の住まい方の留意点や自治会活動等に加え、地震の経験が少ない避難民の方に役立つ日頃の備えなども記載した「住まいのしおり」のウクライナ語及びロシア語版を新たに作成し配付する。

今後も、避難民の方が抱える生活上の不安などを丁寧に聞き取り、暮らしに寄り添った支援を行っていく。

子供政策

① 子供政策の推進について

【質問】

「東京都こども基本条例」が、都議会公明党の主導で成立し、本年4月には子供政策連携室が新たに設置された。

一方、国では「こども基本法案」や「こども家庭庁設置法案」について審議中。都の先駆的な取組が国を動かしていると言っても過言ではない。都は、子供政策連携室を核に子供政策をしっかりと前に進めるべき。知事の認識を伺う。

【知事】

子供政策の推進についてであるが、時代を切り拓き、この先の未来を担う「子供」を大切に育む。子供の権利を守り、誰一人取り残すことなく全ての子供の健やかな成長を社会全体で後押していかなければならない。

そのため、4月に子供政策連携室を新設し、都政の政策全般を子供目線で捉え直し、総合的に政策を推進する体制を構築した。

子供や子育て家庭が直面する複雑化する課題に対し分野横断的視点から、新たな施策を具体化する。

また、国内外の先進事例の調査・研究や課題抽出等を通じ、既存の枠組みや政策分野の垣根を超えた先進的な取組に挑戦していく。

国では、現在「こども基本法案」と「こども家庭庁設置法案」が審議されている。今後、国とも連携し、子供政策連携室を核に都庁の総力をあげて、実効性ある政策を機動的に推進していく。

② 子供政策を進める上での視点について

【質問】

コロナ禍で支援が必要なヤングケアラーも孤立し、周囲が気付かず、本人の声が届いていない状況がある中、「居場所」に加えて「信頼できる第三者」の存在が重要。今回、立ち上げた推進チームにおいても、人と人との「つながり」という視点を取り入れ、施策の具体化を図るべき。知事の見解を伺う。

【知事】

子供政策を進める上での視点についてであるが、コロナ禍において、対面だけでなく非対面でのコミュニケーションが定着する中、人と人とのつながりの重要性が再認識されている。いかなる状況にあっても、全ての子供・子育て家庭が、様々なつながりの中で、自分らしく生活することができる包摂的な社会を実現していかなければならない。

こうした強い思いをもって子供政策総合推進本部のもとに、組織横断で取り組む6つの推進チームを立ち上げ、人と人とのつながりを重視した、新たな施策や支援の枠組みを構築していく。

例えば、ネウボラ的仕組みの検討に当たっても、人と人とのつながりを紡ぎ出していくことが極めて重要であり、新しい時代にふさわしいリアルとバーチャル双方の視点を取り入れた、東京ならではのシステムを創出していく。

こうした取組を通じて、全ての子供の笑顔を育む、チルドレンファーストの社会を実現していく。

③ 日本語を母語としない児童生徒への支援について

【質問】

日本語を母語としない児童生徒については、日本語教育の充実、就学の促進、キャリア教育など、様々な課題が山積している。推進チームのもとで、日本語を母語としない児童・生徒の実情を踏まえた多岐に渡る支援策について検討すべきと考えるが、見解を求める。

【子供政策連携室長】

日本語を母語としない児童生徒への支援についてだが、日本語指導が必要な児童生徒が増加する中、不就学や学校への適応、居場所の確保、進路・就労といった様々な問題への早急な対応が求められている。

こうした分野横断的な課題に対して、子供政策連携室が核となり、関係局からなるチームを立ち上げ、現在の取組の共有や、児童生徒を取り巻く課題の洗い出しを開始した。

今後、NPO団体や有識者等との意見交換や、国内外の先進事例調査等を行い、学校や地域といった既存の枠組みに捉われない取組を幅広く検討していく。

これらを通じて、日本語を母語としない児童生徒が活躍できる社会の実現に全力で取り組んでいく。

新型コロナ対策

① ワクチンの活用について

【質問】

大量のワクチンが期限切れになることが懸念される。供給不足により、都民の間に不安や不満が広がった時期もあったことを考えれば、貴重なワクチンは無駄なく活用する必要がある。都は都内の状況を正確に把握するとともに効果的な活用を進めていくべき。見解を伺う。

【福祉保健局健康危機管理担当局長】

ワクチンの活用についてであるが、都はこれまで、ワクチンを有効期限の短いものから使用するよう区市町村等に周知するとともに、区市町村間の融通調整を行うなど有効活用を図ってきた。

また、ワクチンの保有状況や接種の進捗、予約状況などを踏まえ、区市町村ごとに供給調整を行っており、今後も区市町村の状況把握に努め、可能な限り余剰ワクチンが生じることのないよう調整していく。

引き続き、区市町村と連携しながら、若者世代を中心に3回目接種を促進するとともに、4回目接種を着実に進め、ワクチンを有効活用していく。

② ワクチンの4回目接種について

【質問】

4回目接種の対象者か否かの判断に曖昧さが残る。また、医療従事者や介護職などへの接種が明確ではない。接種対象者をより明確にし、都民生活の維持に重要な役割を果たしている方々への接種が早期に進むよう取り組むべきだが、見解を伺う。

【福祉保健局健康危機管理担当局長】

ワクチンの4回目接種についてであるが、都は、重症化リスクの高い方に確実に接種を受けていただくため、混乱が生じないよう基礎疾患を有する者等の判断基準の明確化を国に求めている。また、医療機関や薬局等と連携し、接種対象となる基礎疾患の範囲を掲示するほか、かかりつけ医を通じて声掛けを行うなど、区市町村とも協力し対象者への確実な周知に努めていく。

一方、医療従事者や介護従事者等は接種対象とされておらず、関係団体からは医療・介護従事者への4回目接種を検討して欲しいとの声が上がっている。

このため、国に対し、専門家の科学的知見を十分得て、医療従事者や介護従事者等を接種対象に加えるよう要望しており、引き続き、4回目接種の促進に向け必要な取組を進めていく。

③ 新型コロナウイルス感染症の後遺症対策の3点について

【質問】

後遺症の症状と特徴、更には患者への公的支援などの情報を医療機関・医師、都民へ周知すべき。治療・支援などについて、広く理解を深めるべき。都内各地域において、後遺症を診察できる医療機関を配置・拡充し、広く周知すべき。見解を伺う。

【福祉保健局健康危機管理担当局長】

新型コロナ感染症の後遺症対策の3点についてだが、都は、都立・公社病院に後遺症の相談窓口を設置し、症状に応じて医療機関の受診につなげるとともに、相談内容に沿って、生活全般や教育等の各種相談窓口を紹介している。

また、東京iCDCでは、オミクロン株も含めた相談データやデルタ株以前の症例を分析し、その結果を公表するとともに、医療機関等へ周知している。

今後、オミクロン株の陽性者の後遺症についても、症例データを分析し、その内容を速やかに発信するとともに、労災保険などの公的支援の情報についても、医療機関や都民等に広く周知していくことで、後遺症に悩む方を適切に支援していく。

医療従事者等の後遺症への理解促進についてだが、後遺症に悩む都民が、身近な医療機関で適切な医療を受けられるようにするためには、より多くの医療従事者に後遺症への理解を深めていただくことが重要である。

このため都は、東京iCDCがこれまで公表した後遺症の症例データや相談分析の結果を、都内の医療機関に提供するとともに、後遺症の診療の参考とするため、国が発行した「罹患後症状のマネジメント」を、東京都医師会と連携して都内の病院や診療所に周知したほか、保健所にも情報提供している。

今後、東京iCDCにおいて、後遺症治療に当たっている医師等によるセミナーの開催を検討するなど、医療従事者等の後遺症への理解促進に向けた取組を進めていく。

後遺症に対応可能な医療機関についてであるが、都はこれまで、後遺症に対応可能な医療機関の情報を提供するため、約4,000か所の診療・検査医療機関に対し、後遺症の診療に関する調査を行い、対応可能な319か所の医療機関情報を都立・公社病院の相談窓口等で活用してきた。

今後、後遺症の診療が可能な医療機関の更なる増加に向け、医療従事者等の後遺症に関する理解促進を深めるとともに、都内の医療機関に対し、後遺症への対応の可否等に関する調査を幅広く行い、その結果を公表できるよう、医療機関へ丁寧に働きかけていく。

④ シルバーパスの一斉更新について

【質問】

都は、昨年、一昨年と、高齢者の感染拡大防止のため、会場方式から郵送方式に切り替えて一斉更新を実施した。これを踏まえ、都議会公明党は、本年9月の一斉更新も郵送方式で行うよう知事に要望した。

昨年度の郵送方式の実施状況と今年度の取組について、見解を伺う。

【福祉保健局長】

シルバーパスの一斉更新についてであるが、令和元年度まで、毎年9月、都内各地に設置した会場でパスの一斉更新を実施してきたが、2年度と3年度は、新型コロナウイルスの感染拡大リスクの軽減等を図るため、郵送方式で実施している。昨年度は、対象者約103万人に更新案内等を発送し、申請のあった約95万人分のパスを更新した。今年度も、コロナ禍における高齢者の心理的不安等を考慮して、郵送方式での実施に必要な経費を今回の補正予算案に計上しており、8月中に約101万人に更新案内等を発送する予定である。

今後、東京バス協会と連携し、広報東京都やホームページ、ポスターなど様々な媒体により周知するとともに、専用のコールセンターを開設するなど、利用者が円滑に更新手続を行えるよう取り組んでいく。

環境政策

① リチウムイオン電池の回収等について

【質問】

リチウムイオン電池が原因と思われる火災が発生しており、回収に課題がある。

都民にリチウムイオン電池の危険性と安全な廃棄の方法を十分周知するとともに、電池が内蔵された製品をそのまま回収するなど、安全かつ効率的に回収できる仕組みを、都が主導して構築することが重要である。知事の見解を求める。

【知事】

リチウムイオン電池の回収等についてであるが、希少金属を含む製品等のリサイクル促進は、資源の乏しい我が国において、極めて重要である。

現在、こうした取組を行う市区町村の清掃リサイクルの現場では、リチウムイオン電池や、これを内蔵する製品の破損に起因する火災が多発しており、その対策は急務である。

この要因としては、排出方法が分かりにくいことや回収拠点が少ないことから、他のごみと一緒に廃棄されること等がある。

このため、今後、都は、市区町村と連携し、より身近な場所で、電池内蔵製品等を回収するなど収集時等の安全性も確保できるルートを確立する。

あわせて、分別の重要性等の周知徹底を図りながら、この拡大に取り組んでいく。

また、パラジウム等を多く含む、パソコン等のリサイクルを促す、レアメタル緊急回収プロジェクトにおいても、電池内蔵製品等の回収を進める。

こうした、住民の利便性を高める取組を展開し、より安全で、持続可能な資源利用を推進していく。

② 都民への節電に係る取組について

【質問】

都の「家庭の省エネハンドブック」などの省エネ情報を誰もが手に入れやすく生活にいかせるような情報発信や、電力の需給状況に応じて、各自が進んで節電に取り組めるようにすべきと考えるが、都の見解を求める。

【環境局長】

都民への節電に係る取組の推進についてであるが、電力ひっ迫を回避するには、都内におけるエネルギー消費量の約3割を占める家庭部門での節電が重要である。

そのため、まず都民が一元的に節電の具体的な方法を把握できるよう、都は、減らす・創る・蓄めるのHTTポータルサイトを開設した。

今後はSNSなど様々な媒体を活用し、動画などで分かりやすく家庭での節電方法や電力のひっ迫状況の情報発信を強化していく。

さらに、都民の節電行動に加え、電力使用時間帯のシフトを促すことなども重要である。そのため、電気事業者が、タイムリーな節電要請や、それに応じた家庭等へのポイントを付与し、プッシュ型でHTT情報を発信する場合に、その取組を新たに支援する。こうした取組を通じて、都民の協力を得ながら家庭の節電行動を促していく。

③ 省エネ家電への切り替えの促進について

【質問】

家庭における省エネ家電への切り替えをより一層促すため、わが党はゼロエミポイントの対象範囲の拡大をかねてから求めてきた。また、家庭で手頃に省エネがおこなえるLED照明の補助制度創設を求めた。今後の具体的な取り組みについて見解を求める。

【環境局長】

省エネ家電への切り替えの促進についてであるが、家庭部門の電力使用量の約2割は照明であり、都は消費電力の少ないLEDへの切り替えを推進してきたが、未だリビングの約4割は、蛍光灯などのままである。

そこで都は、この夏・この冬の電力ひっ迫への備えとして、更なる家庭の節電を加速するため、東京ゼロエミポイントの対象に、新たに節電効果の高いLED照明器具を加える。あわせて、高齢者など、天井の照明器具を自分で取り替えることに不安な都民を支援するため、取替え作業費用もポイント付与の対象とする。

さらに、エアコンについては、一層の買換えを促すため、省エネラベルで2つ星以上に対象を拡大する。

こうした取組により、LED照明や高効率エアコンなどの省エネ家電への買換えを、より強力に推進する。

④ 都営住宅の断熱性能の向上について

【質問】

建物の省エネ対策では、費用対効果の高い窓の断熱が有効である。今後、都営住宅の建替え時においても、ペアガラスを標準化するなど断熱性能を強化すべきと考える。見解を伺う。

【住宅政策本部長】

都営住宅の断熱性能の向上についてであるが、脱炭素化に加え、居住者の健康確保の観点からも、都営住宅の断熱性能を高めていくことが重要である。

これまで都は、国の公営住宅等整備基準に基づき、いわゆる住宅の品質確保法で定める断熱等性能等級において、最上位の等級4の基準を満たす仕様で都営住宅の建替えを実施してきた。

令和4年4月に国の整備基準が改正されたことも踏まえ、今後、都営住宅の基準設計を見直し、複層ガラスの窓の採用や壁の断熱材の増強などにより、断熱性能をこれまでより約3割高いゼロ・エネルギー・ハウス、いわゆるZEH水準に引き上げていく。

都営住宅におけるこうした率先的な取組により、住宅の脱炭素化を推進していく。

⑤ 都営住宅の共用部照明のLED化について

【質問】

今年度計画している既存住棟へのLED化を確実に完了させるとともに、今後は、目標としている全住棟への設置完了時期を早めるべきと考えるが見解を伺う。

【住宅政策本部長】

都営住宅の共用部照明のLED化についてであるが、脱炭素社会実現に向け、都営住宅においても省エネ性能が高いLED照明の設置を推進することが重要である。

このため都は、令和12年度末の設置完了に向け、建替工事では平成27年度から、既存住棟の改修では平成29年度から、共用部照明のLED化を進めている。

現在、世界的な半導体不足に伴い、照明器具の生産・納入の遅れが懸念されていることから、今年度は改修工事の発注時期の前倒しにより照明器具の確保を図り、計画戸数約2万戸の既存住棟に、着実に設置していく。

今後、改修工事内容の簡素化によるコスト低減などを行い、全体計画の前倒しを図り、都営住宅における共用部照明のLED化の早期完了を目指していく。

⑥ 再生可能エネルギーの自家消費の拡大について

【質問】

再生可能エネルギーで発電した電力を買い取る固定価格買取制度によって発生する発電賦課金も家計を圧迫している。

将来的にはFITによらなくても再エネが電力市場の競争に打ち勝ち、自立的に導入が進むようにする必要があると考える。系統電力の軽減にも寄与する自家消費の拡大をできる限り図るべきと考えるが、知事の見解を求める。

【知事】

再生可能エネルギーの自家消費の拡大についてであるが、エネルギーの大消費地である都は、ゼロエミッション東京の実現に向け、また、災害時等のレジリエンス強化の観点からも再エネの地産地消を最大限進める必要がある。

このため都は、発電した電力をその場で活用できるよう、民間事業者等が都内外に導入する自家消費型再エネ設備等や、家庭への蓄電池の導入に対する支援に取り組んでいく。

また、電力需給ひっ迫への備えとして、再エネ設備への支援拡充に併せ、蓄電池の単独設置への支援や容量上限の引き上げ等の拡充を図るとともに、EV(電気自動車)やV2Hへの支援策も強化する。

こうした取組により、将来的にはFIT制度に頼らずとも、再エネの導入を拡大することができる。

今後とも、再エネの地産地消を進め、2030年カーボンハーフを目指していく。

※V2H…電気自動車等の大容量バッテリーを家の電源として活用するシステム

⑦ 太陽光発電設置の設置義務化について

【質問】

地域事情によっては発電量が十分確保できる太陽光パネルが設置できないこともある。

建築する建築地域の環境、住宅面積、効果的な太陽光パネルの設置可否などに十分配慮して、最終的には都民に選択の余地を残すなど、最終答申に向けて都民の納得と理解を得るべきと考える。知事の見解を求める。

【知事】

新築住宅等への太陽光発電の設置義務化についてであるが、今後の新築建物は、2050年時点で過半数を占める見込みであり、将来の東京の姿を規定することから、新築建物のゼロエミッション化は急務である。

制度の検討に当たっては、日照条件の差異や都内の太陽光発電設備の設置実態等地域特性に配慮した仕組みとすることが重要である。

審議会では、事業者への義務について、日照条件に応じた地域毎の設置率を定めること、また、建物一律ではなく、事業者が敷地特性や個人の意向等を考慮できる仕組みにすべきと示された。

今後は、答申を踏まえ、個人が設置の有無を選択できる弾力的な仕組みを前提に、具体的な義務量や対象となる建物の基準、太陽熱や地中熱利用等による履行方法等について、更に具体的な検討を進めていく。

こうした検討を丁寧に行うと同時に、分かりやすく効果的な情報発信を行うことで、都民や事業者の理解と共感を得ていく。

⑧ 外濠の水辺再生について

【質問】

都議会公明党は、外濠の水質浄化を都議会で繰り返し取り上げ、清流復活を提案してきた。

先日公表された基本計画を踏まえ、人々が憩う外濠の水辺再生を早急に進めていくべきだが、見解を伺う。

【都市整備局長】

外濠の水辺再生についてであるが、水と緑を一層豊かにし、ゆとりと潤いのある東京を実現するには、水辺空間を生かした魅力あるまちづくりを進めることが重要である。

都は、外濠の浄化に向け、下水再生水と荒川河川水を玉川上水路等を経由して導水する概略ルートなどを定めた基本計画を先月公表した。この計画を踏まえ、2030年代半ばの整備完了を目指し、今年度より施設の基本設計を行うなど具体的な取組に着手する。

あわせて、将来にわたり水と緑の空間を残していくため、新たに地元の小学生を対象とした勉強会を開催し、外濠の歴史的価値や維持管理の大切さを伝えていく。

引き続き、国や地元区とも連携しながら人々が憩い地域に親しまれるよう外濠の水辺再生を着実に進めていく

⑨ フードドライブの拡大について

【質問】

都有の施設や区市町村で、フードドライブの窓口設置を図り、未利用食品を有効活用することによって、より一層、食品ロス削減へ向けて取り組むべきと考えるが、見解を求める。

※フードドライブ…家庭からの未利用食品を集め、必要としている団体等に寄付する活動。

【環境局長】

フードドライブの拡大についてであるが、未利用食品の有効活用を進めていくためには、都民、事業者、行政等が連携し、フードドライブを拡大する必要がある。

都はこれまで、区市町村の地域に根差したフードドライブ事業の支援、地元のフードバンクと小売店と連携した優良事例の発信等、各地域の取組を後押ししてきた。

今後、更なる拡大を図るため、都の施設においてイベント等の機会を捉えて寄付窓口を設置し、広く都民にフードドライブへの参加を促していく。

さらに、東京サーキュラーエコノミー推進センターと連携し、区市町村の窓口やイベント時の臨時窓口等の情報を発信することにより、各地域での取組を広げて、未利用食品の有効活用を一層促進していく。

防災対策

① 都立学校の非常災害用備蓄食糧について

【質問】

都立学校において、賞味期限が切れた防災備蓄食糧品が廃棄されている実態がある。また、令和4年度の都教委における防災備蓄食糧品の購入予算額は、約1億円になっている。こうした状況を急ぎ改善を図るべきである。見解を求める。

【教育長】

都立学校の非常災害用備蓄食糧についてであるが、都立学校で保管されているアルファ化米やクラッカー等の備蓄食糧については、食品ロスの観点から、可能な限り有効活用を図ることが重要である。

現在、都立学校においては、賞味期限が迫った備蓄食糧について、防災訓練での活用やNPO団体への提供などの取組を行っているが、一部に留まっており、そのほかは全て廃棄している。

今後、こうした取扱いを早急に見直し、備蓄食糧を有効に活用するための具体的な方策の検討を進め、適切な管理・運用を行っていく。

② 被害想定の見える化と地域防災計画の修正について

【質問】

時系列に沿った今回の被害想定を踏まえて、「被害想定の見える化」を図り、都民に分かりやすく伝えるとともに、今後策定する東京都地域防災計画の修正に反映させていくべきだが、知事の見解を伺う。

【知事】

被害想定の見える化と地域防災計画の修正についてであるが、東京の防災力を強化するためには、都民の防災意識の向上と、実効性ある防災対策が欠かせない。

そのため、今回の被害想定では、ご自宅や避難所など、発災時に身の回りで起こり得る被害の様相をタイムラインに沿って示した。今後は、地域ごとの建物の倒壊や焼失などの被災リスクを見える化したデジタルマップを作成する。

また、災害を我が事として認識し、備えにつなげられるよう世帯構成や居住環境等に応じた、発災後のリスクを分かりやすく伝えていく。

地域防災計画の改定に当たっては、長期にわたるエレベーターやトイレの利用停止といったマンション特有のリスクなど、新たに顕在化した課題にも対応できるよう区市町村や関係機関とともに対策を検討していく。

こうした取組により、実効性ある施策を構築し、東京の災害対応力の強化に取り組んでいく。

③ 都市機能の強靭化について

【質問】

副知事トップの新たな防災の推進組織は、地域防災計画の改定と深く連携し、具体的な成果を示すべき。さらに年度内の都市強靭化に向けた検討内容の公表に加え、公表後もその具体的な進捗をしっかりと監督し、推進を図るべき。知事の見解を求める。

【知事】

都市機能の強靭化についてであるが、気候変動の影響により頻発化・激甚化する風水害、いつ起きてもおかしくない首都直下地震や火山噴火、未知の感染症など、様々な脅威から、都民の命と暮らしを守る対策の強化は待った無しである。

こうした危機感の下、ハード面の備えを更に強化するとともに、ソフト対策も含めた実効性ある対策を講じるなど、災害への備えをアップグレードし、「都市強靭化プロジェクト」として、具体的な施策を年度内に取りまとめていく。

今後、客観的データに基づく様々な検証を通じて災害に強い都市のあるべき姿を示し、それを実現するための政策を練り上げ、「未来の東京」戦略はもとより、地域防災計画をはじめとする関連計画や方針にも的確に反映していく。

計画は、策定して終わりではなく、実行し、確実に成果を挙げることこそが重要である本プロジェクトを推進力として、スピード感を持って対策を進め、強靭で持続可能な東京を創り上げていく。

住宅施策

① 都営住宅等の自治会支援について

【質問】

都は、自治会活動の担い手不足や居住者間トラブルなどの解決のため、「都営住宅」や「都民住宅」において、相談専用ダイヤルの設置や弁護士の法律相談を早期に実施すべきと考えるが、見解を伺う。

【住宅政策本部長】

都営住宅等の自治会支援についてであるが、都営住宅等では居住者の高齢化や居住者間のトラブルの増加等により、自治会役員等が対応に苦慮することが多く、自治会の円滑な運営を支援する取組が必要である。

このため都は自治会専用ダイヤルを本年8月に開設し東京都住宅供給公社の16の窓口センターごとに受付体制を整え、相談に迅速かつ丁寧に対応できるようにする。

また、自治会向けの無料の法律相談を本年9月から開始し、東京都住宅供給公社が委託した弁護士に、自治会役員等が電話で直接相談できる体制を整える。まずは、月に一度法律相談日を設け、利用状況等に応じてその後の展開を検討していく。

こうした取組について、事前に案内のチラシを全自治会へ配付し、きめ細かく周知を図っていく。

② 都営住宅のスマートメーターアプリについて

【質問】

水道局は、都営住宅の建替えにあわせ、スマートメータやスマートフォンアプリの導入を進めている。都議会公明党は高齢者等の安否確認に活用するよう要望してきた。

10月から自動検針が開始され、スマートフォンアプリが稼働するが、その機能と見守りへの活用の仕方について伺う。また、見守り機能の活用については、区市町と連携を図っていくこと等が重要と考えるが見解を伺う。

【水道局長】

スマートフォンアプリについてであるが、本年10月の利用開始を予定しているスマートフォンアプリには、スマートメータを設置したお客さまを対象に異常な使用水量を検知した際に随時通知する機能や、1時間ごとの使用水量を確認できる機能等を搭載することとしており、これらを漏水の早期発見や遠方の親族等による見守りに活用することが可能と考えている。

現在、水道局では、区市町と協定を締結し、検針業務などの際に異常を検知した場合に、区市町の福祉部門などへ情報提供を行っている。

アプリ導入後も、見守り機能の活用に向け、区市町とも連携を図るとともに、都庁各局や他のインフラ企業に加え、見守りサービス等を提供する事業者等との意見交換やニーズの把握を行っていく。

福祉施策

① 高齢者のデジタル活用支援について

【質問】

日常におけるデジタル化が進み、不慣れな高齢者が行政サービスを受けにくくなっている。高齢者がデジタルを活用できるよう一層の支援が必要。スマホ教室・相談会の開催やスマホサポーター事業など、デジタルデバイド対策を早期に進めていくべきだが、見解を伺う。

【デジタルサービス局長】

高齢者のデジタル活用支援についてであるが、都が、昨年度開始した、高齢者向けのスマホ教室や相談会では、参加者にスマートフォンの利便性を実感していただく一方で、利用への不安の声も頂戴している。

そのため、今年度は、実施規模を拡大して、5月から開始するとともに、スマホを安全安心に使うための注意点なども学んでいただいている。

さらに、サポーター制度を立上げ、まずは、講師経験等を有する方に、7月から先行して活動していただく。

今後、同じ目線からの支援が期待できる高齢者や、スマホを使いこなす若者へとサポーターの裾野を広げるため、学生等を有償スタッフとして活用しながら育成プログラムの策定等を進めていく。

こうした取組を通じ、高齢者を地域で支え合うデジタル社会を目指していく。

② 障害者割引とシルバーパスの併用について

【質問】

障害のある高齢者がシルバーパスを使用する際、必要とする介護者のバス運賃割引と併用できるよう取り組むべき。見解を伺う。

【福祉保健局長】

障害者割引とシルバーパスの併用についてであるが、国は、障害者等への運賃割引について、鉄道やバス等の事業者に協力を求めており、多くの事業者は、国の通知等を踏まえ、障害者と介護人の運賃を半額としている。

割引を実施している事業者では、障害者本人がシルバーパスを利用した場合の介護人の運賃の取扱いについて半額とする事業者と、割引を適用しない事業者がある。

都は、障害者の社会参加に向けた環境整備を図るため、事業者に対して、障害者割引とシルバーパスが同時に利用できるよう働きかけ、理解と協力を求めていく。

③ 訪問介護等の事業車両に対する駐車許可申請手続きについて

【質問】

介護・看護・助産等訪問事業車両に対する駐車許可申請手続は、管轄する警察署ごとに手続きを行う必要があるため、事業者の負担が大きくなっている。

これまで求めてきた申請手続きの負担軽減について、現在の警視庁における申請手続緩和への取組状況について伺う。

【警視総監】

訪問介護等の事業車両に対する駐車許可申請手続についてであるが、警視庁では、訪問介護等の社会的な重要性やその業務の実情に鑑みて、申請者の負担の軽減を図るため、この度、申請手続の簡素合理化を行った。

具体的には、これまで訪問先が複数の警察署の管轄区域に及ぶ場合には、それぞれの警察署に申請しなければならなかったが、今回の簡素合理化により、関係する1つの警察署で申請を受理できることとしたほか、駐車許可時間に幅を持たせるなどの見直しを行った。

警視庁としては、新たな駐車許可事務の運用を通じて、申請者の負担軽減と良好な駐車秩序の確立に努めていく。

④ 障害者の就労移行への支援について

【質問】

多様な働き方が求められている現代において、障害の有無に関係なくテレワークが進むよう、都は障害者の就労を支援する機関に専門家の派遣や研修を行うなど、障害者の在宅就労への支援に取り組むべきと考えるが、見解を伺う。

【福祉保健局長】

障害者の就労移行への支援についてであるが、障害者の就労移行を進めるためには、多くの企業で導入が進むテレワークに対応する必要がある。テレワークには、生活リズムを自ら律する能力や、パソコンなどを援助なしで操作するスキルなどが求められるが、現在、テレワークに対応した訓練を体系的に実施している就労移行支援事業所は少ない。

そのため都は、今年度からテレワーク支援に取り組む事業所の先進事例を紹介しながら、在宅の障害者に対する、健康管理の方法やICT機器の操作方法などの効果的な訓練のノウハウを学ぶ事業所向けの研修を開始する。

こうした取組を通じて、就労移行支援事業所の多様な働き方に対応した支援力を向上させることにより、障害者の円滑な就労移行を促進していく。

⑤ 重度障害者等への就労支援について

【質問】

重度障害者は、在宅就労中に訪問介護が使えず就労を困難としている。これに対し、都は区市町村と就労支援を行っているが、現時点では1区にとどまる。今後、区市町村の更なる制度周知を図るなど、重度障害者の就労支援を拡大させていくべきである。見解を伺う。

【福祉保健局長】

重度障害者等への就労支援についてであるが、重度障害者等の職場や通勤等における支援は、IT機器の入力援助や身体介助等を一体的に行う、雇用施策と福祉施策が連携した制度として令和2年度に創設され、現在、都内では1区が実施している。

都はこれまで、区市との会議等を通じ、本制度の活用を働きかけるとともに、制度に関する意見交換を行っており、今年度は、新たに2つの自治体が開始を検討している。

この取組を広げていくためには、先行事例の周知や活用しやすい制度とすることが重要であり、今後、取組実績等を区市町村と共有するほか、国に対しては、具体的な取組事例の収集や制度の簡素化等について提案要求していく。

スポーツ施策

① 東京2020大会後のスポーツ施策の展開について

【質問】

昨年開催された東京2020大会の機運を生かして、スポーツを都民の生活に広く根付かせていくことが重要である。そのために都は、情報の発信の強化、スポーツの機会や施設の増強、支える人材の拡大に取り組むべきと考えるが、見解を伺う。

【生活文化スポーツ局長】

東京大会後のスポーツ振興についてであるが、大会をきっかけとして、スポーツが生活に根付いていくような取組を行うことが重要である。

このため、都のスポーツポータルサイト等でイベント情報を幅広く発信するとともに、順次再開業する新規恒久施設での多様なスポーツ体験や、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を活用した新しい楽しみ方を提供するなど、スポーツに触れる機会を拡大していく。

さらには、選手の経験を活かした競技の普及促進や、ボランティアの活動フィールドの提供など、裾野拡大にも取り組んでいく。

今後も、機を逃さず、大会で得た成果を積極的に活用し、「スポーツフィールド・東京」の実現に繋げていく。

② 国際スポーツ大会の誘致・開催支援について

【質問】

2023年の車いすラグビーのアジア・オセアニアチャンピオンシップの東京開催が決定したが、今後も、スポーツの国際大会が東京で開催されるよう取り組むべきと考えるが、都の見解を求める。

【生活文化スポーツ局長】

国際スポーツ大会の誘致・開催支援についてであるが都は、スポーツの振興と都市のプレゼンス向上を目的に、国際大会を誘致段階から支援している。今年度の支援対象のうち、車いすラグビーのアジア・オセアニアチャンピオンシップは、2023年の東京開催が決定した。

この大会に多くの都民が足を運び、楽しんでいただけるよう、引き続き、大会PR等の支援を行っていく。

また、より多くの観戦機会を提供し一層の振興を図るため、特にパラスポーツについては、幅広い競技や様々な規模の大会を対象とする等、きめ細かく支援している。

こうした取組により、多くの大会が開催され、観戦できるスポーツフィールド・東京の実現を目指していく。

③ 世界陸上について

【質問】

2025年の世界陸上の東京誘致では、東京2020大会の準備で得られた知見やノウハウを活かし、国際的にも評価されたボランティアが再び活躍できるなどの優位性に期待が集まるものと考える。都の取組について、知事の見解を伺う。

【知事】

世界陸上における東京2020大会の知見やノウハウの活用についてであるが、東京2020大会は、史上初となる1年の延期、無観客での開催となったが、関係者と緊密に連携するとともに、都民・国民のご協力を得て、安全に開催することができた。

世界陸上は、200を超える国・地域が参加する世界最高峰のスポーツの祭典である。

このような大規模な国際スポーツ大会では、競技会場の運営や選手・観客の輸送、ボランティアの参画など、東京2020大会で蓄積された経験やノウハウを十分に活かしていくことが重要である。

先月下旬、ワールドアスレティックスの評価パネルが来日した際には、東京側から、コロナ禍での大会開催という困難を乗り越えた東京の運営能力等を丁寧に説明した。

今後の国際大会において、東京2020大会で得た成果を活かし、スポーツフィールド東京の実現につなげていく。

④ デフリンピックについて

【質問】

今般、ブラジルで開催された実際の大会を通じて得た情報や経験を活かし、デフリンピック開催に向けて検討を本格化させて、国や関係機関に対して都の方から積極的に応援を呼びかけていくべきと考えるが、知事の見解を求める。

【知事】

デフリンピックについてであるが、デフリンピックは、選手が躍動する姿を通じて、ろう者やろう文化について理解する機会となる。ろう者自身が運営する国際大会を聞こえる人と一緒につくりあげられることになれば、バリアのない社会実現のきっかけとなる。

ブラジルにおけるデフリンピックの現地調査では、開催都市の実情に合わせた施設整備や簡素な運営、手話や視覚情報などによる情報保障、情報発信拠点でのろう学校の生徒の絵画展示など、大会の実態や運営状況を確認することができた。調査結果を、今後の検討に活用していく。

東京での開催に当たっては、国の財政支援をはじめ競技団体との連携など、様々な関係者の協力が不可欠である。

今後は、都としても、招致主体である全日本ろうあ連盟を積極的に応援し、関係者との連携を深めていく。

⑤ スポーツを通じた被災地支援について

【質問】

今後、被災地の意向もよく確認しつつ、どこまでも寄り添いながら、スポーツを通じた被災地支援に取り組むべきと考えますが、都の見解を伺う。

【生活文化スポーツ局長】

スポーツを通じた被災地支援についてであるが、復興オリンピック・パラリンピックの理念をレガシーとして次世代へ継承することは重要である。

これまで築いてきた被災地との絆を一段と深めるために、5月に「東京国際ユースサッカー大会」をJヴィレッジで初めて開催した。

こうした取組を踏まえ、新たに、被災地の競技会場等も活用して、子供たちを対象としたスポーツの交流事業を計画しており、被災3県と共に準備を進めている。

また、この夏は、被災地の子供たちを1周年記念事業に招待し、大会の感動を共有してもらうほか、これまで交流した都内の野球・サッカーチームと試合等を行う。

引き続き、被災地の意向を十分に踏まえながら、スポーツの力で復興を後押する取組を進めていく。

⑥ スポーツを通じた健康増進について

【質問】

今後、都は、スポーツ振興に取り組む民間の力なども活用し、様々な働き方やライフスタイルの違いに応じて、スポーツを楽しむ機会を積極的に提供することにより、スポーツ実施率の向上を図り、健康増進の取組を進めるべきだが、見解を伺う。

【生活文化スポーツ局長】

スポーツを通じた健康増進についてであるが、スポーツ実施率の向上には、日ごろからスポーツに親しむ機会が少ない働き盛り世代に、きっかけを提供することが重要である。

このため、フィットネスマシンやボッチャ等、仕事帰りに気軽な運動体験ができる「アーバン・フィットネス推進事業」を昨年度初めて丸の内で実施した。

専門家の個別指導などが好評で、アンケートでは約9割の方から運動を「始めたくなった」「更にしたくなった」との回答があった。今年度は、内容を充実させ、多摩地区でも開催するなど、引き続き取り組んでいく。

また、従業員へのスポーツ支援に取り組むスポーツ推進企業の認定など、企業や民間団体等と連携し、働き盛り世代をはじめとした都民の健康増進を図っていく。

都政課題

① 東京空襲資料展について

【質問】

空襲の記憶と記録をしっかりと継承していくために、東京都平和の日の周知を含め、東京空襲資料展の広報を強化充実させるとともに、規模を拡大していくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【生活文化スポーツ局長】

東京空襲資料展の広報強化と規模拡大についてであるが、空襲資料展は、毎年3月10日の東京都平和の日にあわせて開催しており、これまでも、東京都のホームページや広報東京都、新聞などにより、広く周知を図ってきた。

今後は、区市町村の協力も得て、デジタルサイネージやSNSの活用などにより、広報を更に強化していく。

また、都民の平和に対する意識が高まっている今、貴重な資料のデジタル化に着手し、空襲資料展で広く活用していくなど、より多くの都民に見ていただけるような資料展について検討していく。

② 証言映像の公開について

【質問】

製作から20年以上経過していることも踏まえ、貴重な証言映像の公開の仕方を検討していくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【生活文化スポーツ局長】

証言映像の公開についてであるが、戦争の記憶を風化させないためにも、空襲関連資料の活用を図ることは重要である。

証言映像については、製作当時から社会状況も変化しており、より広く活用していくためには、個人情報への配慮が必要である。

そのため、公開に向けては、個人情報の取扱いや当事者の意向などを十分踏まえて、今後、慎重に検討を進めていく。

③ 新空港線について

【質問】

先日、新空港線整備に係る地方負担について、大田区との都区負担が合意に至り、整備に向けて前進することになったことは、大きな成果であり歓迎する。合意に至った経緯とその内容、実現に向けた今後の具体的プロセスについて見解を求める。

【都市整備局長】

新空港線についてであるが、国際都市東京の玄関口としての羽田空港の機能を最大限発揮させるため、鉄道アクセスの充実は重要である。

本路線は、空港アクセスの向上が期待される一方、関係者間の費用負担の在り方等が課題とされてきた。

都と大田区は、令和2年9月に協議の場を設置し、まちづくりの観点等も加味した事業プランの検討や、需要予測等の精査、その結果を踏まえた都区負担等に関する協議を行い、費用負担等について合意に至った。

今後、合意に基づき、区が中心となり、整備主体となる第3セクターの設立や都市鉄道利便増進事業の採択に向けた調整、都市計画手続などの取組を進めていく。

都としては、関係者と必要な協議、調整を進めながらこうした事業化に向けた取組を支援していく。

④ 痴漢対策について

【質問】

交通局においても、女性専用車両の導入拡大に加え、鉄道事業者として、痴漢撲滅に向けて様々な観点から取組を進める必要があると考えるが見解を伺う。

【交通局長】

都営地下鉄等における痴漢対策についてであるが、交通局では、痴漢行為を防止するため、車内防犯カメラの設置や鉄道事業者等と共同での痴漢撲滅キャンペーンの実施、駅係員等による巡回などを継続的に行ってきた。また、新宿線での女性専用車両の運行に加え、現在大江戸線を対象に導入拡大に向けた検討を進めている。

車内防犯カメラについては、令和6年度までに地下鉄と日暮里・舎人ライナーの全車両への設置完了を目指していく。また、痴漢撲滅キャンペーンのほか、重点的に呼びかけを行う独自の対策強化期間を新たに設けるとともに、有識者の意見も聞きながら効果的なポスターを作成し掲示する。さらに、警視庁防犯アプリの活用をホームページやSNS等で促すなど、誰もが安心して利用できる都営交通の実現に向けて、取組を進めていく。

医療施策

① HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の積極的勧奨再開について

【質問】

接種勧奨を差し控えていた時期に接種機会を逃した方に対するキャッチアップ接種の周知や、接種対象者等に対し接種の判断材料とするための必要な情報の提供、また接種後の体調の変化等に対する相談や医療提供を行う体制を充実すべき。見解を伺う。

【福祉保健局健康危機管理担当局長】

HPVワクチンの積極的勧奨再開についてであるが、都は、接種対象者が安心して接種を受けられるよう、ワクチン接種の効果とリスクや、接種後の体調に関する相談窓口、積極的勧奨の差控え期間中に機会を逃した方へのキャッチアップ接種等について、本年3月からホームページで情報発信している。

また、主な対象者が学校に通う若い世代の方であるため、接種後の症状や通学、学習など学校生活に関する相談にも対応できるよう、教育庁や生活文化スポーツ局と連携し、相談体制を整えている。

今後、ワクチンに関する周知を一層進めるとともに、専門的知見を有する医療機関や区市町村との連携を強化し、地域の診療所に対し、接種時の対象者への接し方や副反応が現れた際の対応等について情報提供するなど、安心して接種を受けられる環境整備を進めていく。

② 不妊治療への対応について

【質問】

保険適用外の治療のうち、国が認めた先進医療については、保険診療との併用が可能。しかし、費用は高額で、併用とはいえ負担が大きい。そこで、保険適用の効果、課題について、実態調査を行うとともに、先進医療については助成の検討をしていくべき。見解を伺う。

【福祉保健局長】

不妊治療への対応についてであるが、令和4年4月からの診療報酬の見直しに伴い、これまで自由診療であった不妊治療のうち、採卵から胚移植に至るまでの一連の基本的な診療は保険適用となり、利用者の経済的負担は大幅に軽減された。

保険適用外となった治療の一部は、先進医療として保険診療との併用が特例として認められたものの、先進医療にかかる治療費は全額自己負担であり、経済的な負担となっている。

都は、今後、保険適用後の不妊治療の実施状況等を把握し、不妊に悩む方が安心して治療できるよう、対応を検討していく。

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