たかく則男議員の本会議(6月15日)討論

都議会公明党を代表し、知事提出の全議案に賛成の立場から討論を行います。

長期にわたる新型コロナ禍に加え、ウクライナ危機による原油や原材料の高騰、さらに円安の進行や電力需給ひっ迫の懸念が、東京の経済や都民生活に大きな影響を及ぼしており、スピード感のある対策が強く望まれています。

そのために提案された補正予算案には、都議会公明党が知事に繰り返し緊急要望を重ねてきた内容が数多く盛り込まれました。

なかでも、中小企業制度融資の拡充や生活応援商品券の実施、都立学校の給食支援、短期集中型資格取得支援、ウクライナ避難民への就業支援などの事業は、公明党が国政において、地域の実情に応じて物価高騰対策等に活用できるようにした地方創生臨時交付金を財源とする事業であり、交付金の目的に沿った執行を強く求めるものです。

このうち、プレミアム付き商品券について都議会公明党は、知事緊急要望において、紙とデジタルの実施に格差が生じないよう取り組むことを求め、代表質問や委員会でも高齢者や所得の低い人がデジタルへのアクセスに課題があることを指摘し、重ねて紙による実施の重要性を訴えてきました。

これを受けて都は、プレミアム率の上限について紙もデジタルも同じ30%とし、区市町村への補助率については、デジタルは4分の3、紙併用は3分の2とする考えを示しました。物価高騰や生活困窮への対策という交付金の目的を踏まえ、紙による商品券の実施が進むよう都は配慮すべきです。

中小企業など事業者支援の大きな柱となる制度融資について都は、利子補給の実施をはじめ事業者負担の軽減を求めた都議会公明党の提案を踏まえ、信用保証料の負担軽減とともに、利子についても1年間2分の1の助成を行い、返済は最長5年間据え置くことができるとしました。また、エネルギーコストを減らす工夫や機器の導入に取り組む事業者を支援することなど、中小企業の経営を後押ししていくとしており、厳しい状況の中で奮闘する事業者を積極的に支援するよう強く求めます。

食材高騰の影響を直接受ける学校給食については、迅速な対応が必要です。都は臨時交付金を活用して都立学校給食費の支援を行いますが、ウクライナ危機の長期化も想定し、継続して支援していくべきです。

補正予算案には、都議会公明党が要請してきたエネルギー対策も随所に盛り込まれています。家庭での省エネ対策として、2つ星以上の省エネラベルのついたエアコン購入も東京ゼロエミポイントの対象にしたほか、蛍光灯のLEDへの交換に加え、交換ができない高齢者に対して交換経費もポイント対象にしたことは効果のある取り組みです。

エネルギー対策に関連し都議会公明党は、新築建築物の太陽光発電設置義務化の課題を指摘しました。設置費用が住宅価格に上乗せされてしまえば、発注者である都民への義務化と変わらないとの懸念があります。また、地域事情によっては、発電量が十分に確保できないことも考えられます。

こうした点を踏まえ、都議会公明党は地域の環境などに十分配慮し、最終的には都民に選択の余地を残すなど、都民の納得と理解を得ることを強く求めました。知事は、個人が設置の有無を選択できる弾力的な仕組みを前提に、具体的な検討を進めていく考えを明らかにしました。選択可能にすることは都民理解を進める上でも重要な取り組みと考えます。より丁寧に検討を進めるよう求めます。

都は、今月10日より「もっとTokyo」を試行的に実施し、現在好調な滑り出しとなっています。都議会公明党はこの取り組みについて都外旅行も含め、本格実施すべきと訴えてきました。更に国や地方版GO TOトラベル事業・被災地応援ツアーが早期再開できるよう強く求めます。

次に条例案や他の都政課題についてです。

都道府県では初めて条例を根拠とする都のパートナーシップ宣誓制度は、LGBTQなど性的マイノリティーの当事者の方々が強く実現を望んでいたものです。昨年第2回定例会で都議会公明党議員が紹介者となった請願が全会一致で趣旨採択されたことが、制度実現への大きな契機になりました。

都内在勤・在学まで対象にすることや、原則オンライン申請とするなど、先駆的な内容です。11月の制度スタートに際しては、例えば都庁をレインボーイルミネーションでライトアップすることを含め、広く周知、アピールしていくことを求めます。

東京都男女平等参画基本条例の一部を改正する条例案は、都の政策決定過程に多様な価値観や発想を反映させるため、都の付属機関等の委員構成について、男女の比率を割り当てるクオータ制を導入するもので、わが党が長年にわたり推進し取り組んできたものであります。

今回、条例で都の方針を明確化することにより、区市町村や民間団体の取り組みも促していくことを求めます。

今定例会では、議員提案による「東京都手話言語条例案」が提案されております。手話を必要とする方々が言語としての手話により意思疎通や情報を得るなどの権利を尊重され安心して生活することができる共生社会を目指す上で重要な条例です。また、手話を使わない方やその他の障がい者の方も含め、今後は、情報コミュニケーションのあり方を検討してまいります。

子供政策について、都議会公明党は東京都こども基本条例の制定をリードし、都は本年4月に子供政策連携室を設置しました。子ども政策の着実な推進を求めた都議会公明党に対し、知事は子供政策連携室を核に、都庁の総力をあげて分野横断的施策や先進的な取組など、実効性ある政策を機動的に推進していく考えを示しました。子ども政策の大きな前進を期待するものです。

このほど首都直下地震等による新たな被害想定が示され、時系列に沿った被害想定が明らかにされました。これに対し都議会公明党は、集合住宅の排水管の被害や通信環境確保の課題などが新たに示されたことを踏まえ、「被害の見える化」を図って都民にわかりやすく伝えていくことに加え、地域防災計画の修正に反映させていくよう求めました。

知事は、発災時に身の回りで起こり得る被害の様相をタイムラインに沿って示し、また地域ごとの建物の倒壊や焼失などの被災リスクを見える化したデジタルマップを作成することなどを示しました。また、新たに顕在化した課題に対し、区市町村や関係機関とも対応を検討していくとしました。実効性ある施策の構築を改めて強く求めます。

都議会公明党は、介護や看護、助産など訪問事業者が利用する車両の駐車許可申請の改善も求めました。許可申請は従来、管轄する警察署ごとに手続きする必要があり、事業者の負担が課題になっていました。

警視総監からはひとつの警察署で許可をとれば済むように対応したことが明らかにされました。これは助産師も対象とするものであり、大きな前進です。

公明党は2000年に不妊治療の保険適用を求める署名運動を全国で行い、2004年に助成制度が創設されました。そして今年4月にはようやく人工授精や体外受精などが保険適用になりました。

国が認めた先進医療は保険適用との併用が可能ですが、費用が高額で全額自己負担となっております。この負担軽減に向けて都議会公明党は、保険適用の効果、課題について実態調査を行い、助成の検討を行っていくよう提案しました。

これに対し都は、先進医療に係る治療費は、全額自己負担であり、経済的な負担となっていると述べ、今後保険適用後の不妊治療の実績状況を把握し、不妊に悩む方が安心して治療できるよう対応を検討していく考えを明らかにしました。助成の実現に向けて都が初めて前向きな姿勢を示したものであり、助成開始を待ち望む方々の期待に早期にこたえるよう強く求めるものです。

以上、都議会公明党は、現場の声にさらに耳を傾けながら、都民生活と東京の経済を全力で守っていくことをお誓い申し上げ、討論を終わります。

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