玉川ひでとし議員の本会議(10月5日)討論

去る10月2日、元都議会議長、自由民主党の高島直樹都議会議員がご逝去されました。ご生前のご功績を偲び、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

都議会公明党を代表し、知事提出の全議案に賛成し、議員提出議案第11号に反対の立場から討論を行います。

初めに、物価上昇、燃料高騰に対する経済対策について申し上げます。

都議会公明党は、今月にも策定される国の経済対策の動向を見極め、速やかに補正予算を編成して経済対策を講ずるべきと知事に求めました。これに対し、知事は、当初予算や補正予算で講じた対策を着実に実施するとともに、国の動向を見極めつつ、都民生活と東京の経済をしっかりと守り抜く考えを示しました。長期化する物価上昇、燃料高騰は都民生活に大きな影響を与えています。時機を逸することなく、苦境に立たされている方々への速やかな支援を進めていくことを改めて強く求めます。

次に、インフルエンザとコロナの同時流行についてです。新型コロナの感染者数が依然として高い水準の中、インフルエンザの感染者も急激に増えています。都議会公明党は、インフルエンザとコロナのワクチン接種の適切な情報提供の必要性や、薬の供給不足などの課題に対し、対策を質しました。都は「国に対し、治療薬の安定供給、インフルエンザワクチンの供給の前倒しを求め、コロナワクチンとの同時接種も可能なことについて広く周知するよう要望していく」と答弁しました。医療機関を支え、都民の命と健康を守ることに全力をあげるように強く求めます。また、今回の議案の中には、備蓄用抗インフルエンザウィルス薬の買入れ、売払いについての議案がありますが、感染症対策に万全を期すべきことを申し上げておきます。

次に、子どもの性被害対策についてです。

都議会公明党は、子どもたちを性被害から守る取組が急務であり、都庁各局が連携しながら、都として為すべきことを即座に実行すべきと知事に訴えました。これに対し、知事は、「東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターに新たな専用電話相談窓口を設置し、子どもや保護者が相談しやすい体制の充実を図り、全ての子どもの人権が守られる社会の実現に向けて全力で取り組んでいく」と答弁しました。迅速な対応を改めて強く求めます。

次に、子育て支援についてです。

都議会公明党は、第2回定例会に続き、今定例会の代表質問で、都立・私立を問わず高校授業料の所得制限を撤廃した上で、実質無償化すべきことを求めました。これに対し、知事は、「誰もが個性と能力に応じて希望する教育を受けられる環境を整えられるよう努めていくとともに、子育て世帯の置かれている状況を注視し、議論を深めていく」と答弁しました。全ての子育て世帯の負担軽減を図るため、所得制限を撤廃した高校授業料の実質無償化を早期に実現するよう改めて強く求めます。

次に教育施策についてです。

教員不足が大きな課題となる中、都議会公明党は、教員を十分確保し、育て、支える取組を強化すべきことを訴え、教育における教員の重要性について、知事の見解を求めました。これに対し、知事は、学校教育の中核である教員がやりがいをもって働ける環境を確保することは都の重要な使命であるとの認識を示した上で、一人ひとりの教員が力を発揮できる環境を更に整えていく考えを明らかにしました。

また、都議会公明党は、新規採用教員への支援体制の構築と教職員のメンタルヘルス対策の推進を求め、都からはいずれも前向きな答弁を得たところです。教員が安心して働ける環境づくりを着実に進めるよう強く求めます。

次に、フリースクールへの財政支援についてです。不登校対策の役割も担うフリースクールのニーズが高まっていますが、 利用者の負担も重く高額な費用がかかり、運営は厳しい状況です。都議会公明党は、全ての子ども達に学びの場を提供するために、より踏み込んだ支援をすべきと訴えました。都は「フリースクール等に求められる役割を後押しする方策を検討し、さらに子どもの個性や強みを育む学びについて議論を深める」と答弁しました。既存の枠組みを超えて、新たな対策を打ち出すよう強く求めます。

次に、豪雨対策についてです。

豪雨の更なる激甚化や被害の拡大が懸念される中、都議会公明党は、都民の生命と財産を守るため、中小河川における対策を一層強化推進するよう求めました。これに対し都は、増加する降雨量に対応するため、目標整備水準の引上げのほか、複数の調節池をトンネルで連結するネットワーク化、すなわち地下河川化の新たな整備手法についても検討し、年内に取りまとめる考えを明らかにしました。災害はいつ起きてもおかしくありません。対策の強化に向けた迅速な対応を改めて強く求めます。

次に、高齢者の就労支援についてです。

都議会公明党は、高齢者の働く理由などに変化が生じている現状を踏まえ、シルバー人材センターが地域においてその役割を十分に果たすとともに、時代の変化に応じて、働く意欲のある高齢者のニーズにも対応できるよう幅広い就労機会の提供に積極的に取り組むことを求めました。これに対し、知事は、シルバー人材センターと東京しごと財団が協力しながら、より多くの就業の機会を確保し、高齢者の働く意欲にきめ細かく応えていく考えを示しました。高齢者の意欲に応える積極的な対応を改めて強く求めます。

次に、粒子線治療についてです。

都議会公明党は、重点政策のチャレンジ8に都立病院への粒子線治療の導入を掲げ、提案を積み重ねてきました。これまで知事は、わが党の代表質問に対し、都立病院の粒子線治療施設の整備計画を策定していくことを明らかにしてきましたが、最短の供用開始を計画で明らかにすべきと訴え、整備計画の策定状況と今後の進め方について、都の見解を求めました。これに対し、都は、年内に素案を公表し、パブリックコメントを実施の上、今年度改定予定のがん対策推進計画と併せて、導入機器等を定めた整備計画を策定することを明らかにしました。引き続き、粒子線治療の導入に向け、迅速かつ着実な取組を求めるものです。

次に、被災地支援についてです。

都議会公明党は、被災地産品を普及拡大していくため、豊洲市場の水産仲卸団体が実施している福島県水産物を中心とする常磐ものを販売・PRする事業「夢市・楽座」について、更なる活性化を求めました。これに対し、都は、都主催のイベントとの連携を図るとともに、実効性ある広報を継続して行うなど、消費普及拡大に向けてサポートしていく考えを明らかにしました。

また、わが党提案で実施されている被災地応援ツアーを活用することにより、福島を訪れる旅行者の方々に水産物を食べていただく取組を行うよう知事に対して求めました。これに対し、知事は、被災地応援ツアーで、福島県を訪れる方には、助成額に1千円の上乗せを行うとともに、水産品が安全・安心であることをPRしていく考えを明らかにしました。風評被害の払拭に向けた都の積極的な取組を強く求めます。

次に神宮外苑地区の再開発についてです。神宮外苑地区の再開発については、「イチョウ並木が枯れるのでは」など、心配の声が届いているため、都が責任ある関わり方を取るべきと求めました。都は、事業者がイチョウの根の張り具合を調査し、影響が及ぶ場合は新野球場のセットバックなど計画の見直しを行い、4列のイチョウ並木を全て保存すると明言していることを明らかにし、確実な保全を事業者に強く要請すると答弁しました。都民の不安を払拭するため、引き続き事業者に対して強く働きかけるよう、重ねて強く求めます。

このほか、認知症施策の推進、市販薬の乱用防止対策、火葬に関する検討会議の設置、多摩地域等での農業振興、古着のリサイクルシステムの構築、グリーン水素の製造・活用、宝くじの活性化などについて見解を求め、都からは、いずれも前向きな答弁を得たところであります。

最後に、共産党提案の議員提出議案第11号「東京都シルバーパス条例の一部を改正する条例」について申し上げます。

地方自治法第222条は、首長に対し、新たに予算を要する案件については、予算に見込みが得られるまでの間は、これを議会に提出してはならないとしており、その解釈では、こうした趣旨は、議会の議員が条例案等を提出する場合も尊重されるべきとしております。したがって、予算措置が必要な条例案を提出する場合には、都庁当局と財源の協議を行い、財源の見通しを得るのが責任ある政治態度であると考えます。よって、共産党の条例案には反対いたします。

都議会公明党は、地域に根差したネットワークの力をさらに強化し、現場の声に真摯に耳を傾けながら、東京の経済と都民生活を全力で守っていくことをお誓い申し上げ、討論を終わります。

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