慶野信一議員の本会議(6月12日)討論

都議会公明党を代表し、知事提出の全議案に賛成、議員提出議案第4号に反対の立場から討論を行います。

始めに、子育て世帯への住宅支援についてです。

子育て世代にとって、住まいの問題は深刻です。近年の住宅価格の上昇を背景に、子育て世代や子どもたちが都内から首都圏近郊に転出する動きが続いています。都議会公明党は、空き家の他、社宅やホテルの空室など、既存ストックを活用することで子育て世代向けの住宅として供給することが有効であると主張しました。知事は「都内には空き家など様々な社会ストックがあり、今後、それらを有効活用し、子供を持つ世帯が安心して住めるよう、子育て支援と連携したまちづくりを進めていくことは重要である」との認識を示しました。子育て世代にとって、住まいの問題は深刻であり、支援を着実に進めていくよう求めます。

次に、子供・若者計画についてです。

「東京都子供・若者計画」が今後改定されることを踏まえ、計画の改定に当たっては若者の意見を聴き、反映させることを都議会公明党は都に求めてきました。これに対し都は、計画改定を議論する協議会において、ひきこもり等の当事者から意見を聴くほか、若者部会を新たに設置することを明らかにし、若者から意見を聴く機会の拡大について検討を進めていく考えを示しました。当事者の意見は重要です。若者の意見を反映させ、取組の強化へと繋げていくことを強く求めます。

次に、加齢性難聴支援についてです。

都議会公明党の求めを受け、都は今年度から補聴器購入に係る区市町村補助を開始したところですが、加齢性難聴者の中には一般的な従来の気道型の補聴器がなじまない方もいることから、新たな技術を用いた軟骨伝導イヤホンを、都民サービスを提供する窓口に設置することを都に求めました。

これに対し都は、高齢者等が訪れることが多い都の福祉関係窓口に軟骨伝導イヤホンを試行的に設置するとともに、既にこのイヤホンを設置している都内自治体の利用状況等を把握し、情報提供していくことを明らかにしました。軟骨伝導イヤホンの利用を促進し、難聴者への一層の支援を図るよう求めます。

次に、高齢者施策についてです。

シルバーパスの一斉更新について、夏の更新時期の熱中症予防から会場方式に戻すことなく、今後も郵送方式を継続することを都に求めました。

それに対し都は、今年度も郵送による一斉更新を継続するとともに、円滑な手続きのためにコールセンターを設置することを明らかにしました。都議会公明党は度重ねて主張してきましたが、今後も利用者に寄り添った対応がなされることを改めて求めます。

次に、防災対策についてです。

静岡県熱海市での土石流被害を踏まえ、都議会公明党は盛土による土砂災害の未然防止を求め、都は盛土総点検や関係局による盛土のあり方検討会議の設置などの取組を図ってきました。昨年、盛土規制法が施行され、制度強化のため都は中間検査の対象規模拡大などを定めた条例を制定したことから、これらの新しい法律と条例を的確に運用し、既存・新設の盛土の安全性を確保することを知事に求めました。

これに対し知事は、都内のほぼ全域を規制区域とし、法の規定を強化した条例を運用するとともに、全庁的な体制を構築し、指導監督を強化していく考えを示しました。激甚化する豪雨など、対策は待ったなしです。都民の生命と財産を守るべく、迅速な対策に取り組むことを強く求めます。

次に、中小企業支援についてです。

中小の飲食店などでデジタル化への対応や人手不足など、事業環境の変化に対応するために導入した自動券売機について、7月からの新紙幣発行への対応が課題となっていることから、「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業」を活用した中小企業支援を求めました。

これに対して都は、事業者の経営課題に対して相談対応を行うほか、省力化や売上向上に資する券売機の導入経費に助成する考えを示しました。原材料価格の高騰や人材不足など、厳しい事業環境に直面する中小企業に対する着実な後押しを求めます。

次に、建設資材のリサイクルについてです。

都内の工事現場では解体作業に伴うコンクリートガラが大量に発生し、リサイクルした再生砕石や骨材は供給過多となり、都内で行き場のない状態となっています。再生砕石・骨材の利用拡大に向けた関係部局での検討を都に求め、都は、検討に先駆けて民間工事発注者へヒアリングを実施するほか、大規模開発の事前協議を通した事業者への働きかけを強化する考えが示されました。

このままではコンクリートガラを都外に運搬せざるを得ず、運搬コストの上昇などの影響が考えられます。今後、災害時の有効利用を含め、都有地を活用した一時保管場所の確保を都に強く求めます。

次に、都営住宅の維持管理についてです。

都営住宅共用部の排水管清掃や共益費の徴収など自治会の負担が大きく、共用部の維持管理には多くの課題があります。自治会等の意見を聞き、抜本的に検討していくことを知事に求めました。それに対し知事は、高齢化の更なる進行を見据え、自治会等の意見を幅広く聞き、今後の在り方を検討していく考えを示しました。都営住宅利用者の多くが高齢者であることを踏まえた負担軽減を確実に実施していくことを求めます。

次にカスハラ防止条例について申し上げます。

都議会公明党がカスタマーハラスメント防止への条例化を求めたことを受け、都において条例化への動きが着実に進められていることを評価いたします。カスハラ課題の一つに「迷惑動画」の拡散や誹謗中傷の書き込みなどのSNSを使った行為があり、加害者の特定が難しいケースに幅広く効果が及ぶ内容を検討するとともに、現場ごとの効果的な対策を示すことを知事に求めました。

それに対し知事は、あらゆるカスタマーハラスメントの禁止を社会全体に強く働きかけるための議論を踏まえた条例とその実効性を高めるガイドライン等の検討に着手する考えを明らかにしました。こうした取組を進めるとともに、証拠保全や抑止のために事業者がカメラでの録画や通話の録音ができるよう、機器類の補助を行うことを都に強く求めます。

次に新銀行東京についてです。

2008年度に実施された400億円の追加融資については、当時、赤字や債務超過の中小零細企業5600社が新銀行東京から借り入れをしている実態を踏まえ、これらの会社や家族を守るためにも、新銀行東京を破綻させないよう都議会公明党は追加出資に苦渋の決断をし賛成しました。

共産党が「税金をドブに捨てるようなもの」と言い、当時の民主党は「400億円は泡となって消える」と喧伝したこの追加出資により、どれだけの会社が守られたかとの問いに対して都は、債務超過に陥っていた中小零細企業の概ね8割が融資の完済や事業継続になったことを初めて明かしました。

また、東京TYフィナンシャルグループと経営統合後のきらぼし銀行は順調に業績を伸ばしていることから、今回この400億円の回収を強く求めたことに対して都は、令和8年度、令和10年度に償還し、償還完了を目指すとしていると答弁しました。今後、都は確実に償還されるよう、経営状況を注視していくことを求めておきます。

次に議員提出議案、都立職業能力開発センター条例の一部を改正する条例についてです。

職業能力開発センターの授業料は、国の通知により官民の役割分担の観点から平成19年度より、訓練期間が1年以上にわたる科目について有料化しました。一方、受講生には、国からの失業給付や職業訓練給付金の支給を受けている方も一定数存在しているうえ、住民税非課税世帯の方や生活困窮者、障がい者の授業料をすでに免除するなど様々な支援が行われております。

受講生それぞれの課題に合った就労支援が重要であり、本条例改正案には反対です。

最後に小池知事の2期8年の都政運営についてです。

都議会公明党は、都民の声に耳を傾け、寄り添いながら、小池知事に対し都政課題の提案を重ねてまいりました。

都議会公明党の提案で実現した、私立高校の授業料実質無償化や、高校3年生世代までの医療費無償化、保育料の第二子無償化など、チルドレンファーストの施策展開を共に進めてまいりました。

とりわけ1200日にわたる新型コロナウィルス対策では、65回502項目の緊急要望を行う中で、大規模接種会場や宿泊療養施設の整備、医療従事者の方への支援、後遺症支援など、様々な施策を展開しました。

大きく前進してきた女性活躍の更なる推進を始め、がん治療への粒子線導入、動物愛護センター新設、高速道路上の料金所撤廃、切迫する首都直下地震対策や激甚化する風水害対策など、多くの都政課題はいや増して継続した取り組みが求められております。

小池都政の継続により、こうした政策を確実に前進させていかなければなりません。

東京をもっと!良くするために、小池知事の東京都知事選への3期目の出馬を求め討論を終わります。

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