都政運営
【質問】
都議会公明党は、都民の声に耳を傾け、寄り添いながら、小池知事に対し都政課題について提案を重ねてきた。とりわけ1,200日にわたる新型コロナウイルス対策では、65回502項目の緊急要望を行う中で、ワクチンの大規模接種会場や宿泊療養施設の整備、医療従事者の方への支援、飲食店などへの協力金の支給、コロナ後遺症の支援など多くの施策が実現した。
また、都議会公明党は、私立高校の授業料の実質無償化を提案し、令和6年度からは都立高校・私立高校ともに所得制限のない無償化が実現した。あわせて高校3年生世代までの医療費無償化、第2子の保育料の無償化など、都議会公明党が一貫して主張してきたチルドレンファーストの施策を展開し、子育て・教育支援の負担軽減を実現した。
さらには、女性活躍の推進も、都議会公明党は進めてきた。
加えて、切迫する首都直下地震対策や調節池整備などによる激甚化する風水害対策など、TOKYO強靭化プロジェクトが進んでおり、継続する必要がある。
これらの施策実現は、都議会公明党の主導で実現した新公会計制度による事業評価や全庁横断的に横串を刺し、行政の壁を突破してきた小池知事のリーダーシップによるものと、これまでの取り組みを高く評価するが、この2期8年を振り返り、これまでの取組の総括と今後の都政にかける知事の思いを伺う。
【知事】
知事就任後の取組の総括についてであるが、都民が抱える不安を解消し、未来への明るい展望を描ける社会を築いていくことを念頭に置き、ニーズを的確にくみ取り、常に時代の先を読みながら、御党とも足並みを揃え、政策を実現してきた。
1,200日にも及ぶ新型コロナとの闘いでは、都民生活と東京の経済を守り抜くとの強い決意のもとで、ワクチン接種や宿泊療養施設の整備、保健所の体制強化、医療従事者への支援の充実など、あらゆる手立てを総動員してきた。
また、事業評価の徹底で生み出した財源も活用し、第2子保育料の無償化、高校授業料の実質無償化など、子供目線の政策を国に先駆けて展開してきた。
さらに、100年先も安心して暮らせる東京を目指し、東京強靭化プロジェクトを立ち上げ、調節池の整備、建物の耐震化など、災害対策を強化してきた。
今後も東京、日本の未来を見据え、都がなすべき施策を先手で積極的に展開し、東京を持続可能な都市へと昇華させる。
子育て・若者施策
① 私立高校授業料の実質無償化について
【質問】
都議会公明党は、2016年の知事就任後、初の都議会本会議代表質問において、私立高校の授業料の実質無償化を提案。その後、段階的に所得制限を引き上げる中、令和6年度から所得制限のない無償化が実現した。
令和6年度、所得制限を撤廃してのオンライン申請が6月から始まる。
令和6年度に初めて申請を行う方に分かりやすく周知していくとともに、令和7年度以降は、早期支給により、できるだけ速やかに保護者負担を軽減すべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
私立高校授業料の実質無償化についてであるが、教育は子供の健全な育ちを支える重要な基盤であり、家庭の経済状況にかかわらず、子供たちが将来にわたって安心して学ぶことができる環境を早期に実現する必要がある。
都は、令和6年度から、都内在住の全ての私立学校の生徒が対象となる新たな授業料負担軽減制度を開始し、6月20日から申請を受け付ける。
初めて制度の対象となる方にも確実に申請していただけるよう、学校とも緊密に連携するとともに、リーフレットやSNSなども活用し、周知を徹底する。
今後、より一層速やかな支給が実施可能となるよう国や関係者との間で調整を図りつつ、検討を進めていく。
② 認可外保育施設の0歳から2歳の第2子保育料無償化について
【質問】
都議会公明党は、0歳から2歳の第2子の保育料無償化を知事に提案してきた。それを受け、都は、令和5年10月から無償化をスタートしたが、企業主導型保育をはじめ認可外保育施設については、区市町村によって実施されていない場合があるため、令和6年予算特別委員会において、すべての区市町村で実施できるよう求めた。都は、区市町村に対する認可外保育施設の第2子の無償化の調査を行うとのことだったが、区市町村における実施状況について答弁を求めるとともに、全ての区市町村が実施できるよう取組を進めるべきである。都の見解を伺う。
【福祉局長】
認可外保育施設の第2子の保育料無償化についてだが、都は、令和5年10月に開始した第2子の保育料無償化について、認可外保育施設の実態を詳細に把握するため、令和6年5月、区市町村に対して調査を実施した。
その結果、都の多子世帯に対する補助制度を活用し、企業主導型保育施設を対象として第2子の保育料の負担軽減を行っている自治体は41、令和6年度中に行う予定の自治体は2であった。
今後、調査結果の分析を行い、区市町村ごとの課題や対応状況を把握するとともに、その結果を待機児童対策協議会等で共有し、認可外保育施設での第2子保育料の無償化について、都の補助制度の活用を働きかけていく。
③ 集団生活が難しい障害児等への支援について
【質問】
都は、都議会公明党の提案を受け、令和5年度より「多様な他者との関わりの機会の創出事業」を開始し、令和6年度からは、本事業を利用する児童についても第2子以降の保育料を無償化した。しかし、居宅訪問型保育やベビーシッター利用支援事業については対象となっていない。重い障害などで地域の保育園等に通えない子供が、親の就労の有無に関わらず家族以外の他者と関わることは、子供の発達の観点からも必要なことであると考えるが、都の見解を伺う。
【福祉局長】
集団生活が難しい障害児等への支援についてであるが、都は、障害児等も含め保育を一時的に必要とする保護者に対しては、ベビーシッターによる保育を提供する区市町村を支援している。また、保育所等における医療的ケア児の受入体制を促進するため、区市町村を通じ、看護師等を配置する経費などを補助してきた。
令和6年度からは、多様な他者との関わりの機会創出事業を拡充し、障害児等の受入れを促進している。
今後、できるだけ多くの子供に他者と関わる機会を提供できるよう、集団での生活が難しい医療的ケア児や障害児等の実情について、当事者の声を聴くなどにより把握していく。
④ 子育て世代向けの住宅支援について
【質問】
近年の住宅価格の上昇を背景に、子育て世代や子供たちが都内から首都圏近郊に転出する動きが続いている。都内には様々なストックがある。空き家のほか、社宅やホテルなどの空室等、こうした既存ストックを有効活用することで、子育て世代向けの住宅として、民間の力も活用しながら供給することが有効と考えるが、知事の認識を伺う。
【知事】
子育て世代の住まいの確保についてであるが、子供の健やかな成長と、家族に笑顔の溢れる生活を実現するためには、快適な住環境は何より欠かせない。
子育て世帯が仕事と育児の両立を図るため、生活の基盤となる良質な住まいを安定的に確保できる施策を着実に進めていく必要がある。
子供の育ちを支援する018サポートにより、子育て世帯の経済的な応援を行うほか、子供の安全を確保し、見守りやすい間取りなどの住宅を増やす取組を進める。都営住宅を、結婚を予定する方に優先的に提供する仕組みも開始した。
また、都内には空き家など様々な社会ストックがあり、今後、それらを有効に活用し、子供を持つ世帯が安心して住めるよう、子育て支援と連携したまちづくりを進めていくことは、重要なテーマと認識している。
子育てしやすい住環境の形成により、子供の笑顔溢れるチルドレンファーストの社会を実現していく。
⑤ 子供・若者計画に子供・若者の意見の反映について
【質問】
都議会公明党は、令和5年7月、子どもや若者が主体となる取り組みの強化を求め、知事に要望し、その中で、「東京都子供・若者計画」の改定にあたっては、子どもや若者の意見を適切に反映することを求めた。
「東京都子供・若者計画」の改定に当たっては、若者の意見を聴き、反映させていくべきと考えるが、見解を伺う。
【生活文化スポーツ局生活安全担当局長】
子供・若者計画の改定についてであるが、本計画は、若者の社会的自立の支援を目的としており、コロナ禍を経て、若者の孤独・孤立などの社会課題が顕在化する中、効果的な支援策の検討に当たっては、そうした困難を抱える若者の意見を丁寧に聴き取ることが重要である。
都は、計画の改定を議論する青少年問題協議会において、ひきこもり等の当事者から意見を聴くほか、20代から30代の方々で構成する若者部会を新たに設置し、若者から意見を聴取する機会の拡大を検討する。
これらを通じて若者の意見を議論の中で取り上げ、より実効性のある施策を検討していく。
⑥ 全区市町村で産婦健康診査を受けられる仕組みづくりについて
【質問】
産後うつが、子どもへの虐待や育児放棄の一因となるといわれており、早期発見のために、産後間もない時期の健診が重要である。都では、産婦健診に取り組む区市町村への支援を行っているが、実施しているのは6区市町村にとどまっている。
全ての区市町村における産婦健康診査の取組を進めるため、妊婦健診と同様に、都内共通受診票を用いて、都内の産科医療機関、助産所等、どこでも産婦健診が受けられる仕組みづくりをすべきと考える。都の見解を伺う。
【福祉局長】
産婦健康診査についてであるが、産婦健康診査は、産後うつの予防や、新生児への虐待予防等を図ることを目的としており、実施主体である区市町村が医療機関や助産所への委託により実施している。
都内では居住自治体以外での出産が約半数であるため、産婦が自治体の区域を越えて健診を受診できるよう、広域的な仕組みとすることが重要である。現在、区市町村において、都内共通の受診票の導入に向けた検討が行われており、都は、検討が円滑に進むよう、健診の効果や医療機関における実施状況など、必要な情報を提供している。
今後、全ての自治体で産婦健診が進むよう、都内共通の仕組みの構築に向け、区市町村を後押ししていく。
⑦ 産後ケア事業の支援について
【質問】
産婦健診の結果を踏まえ、支援が必要と認められる産婦が産後ケア事業などの支援につながることが重要だが、産後ケア事業は、区市町村の管内だけでは、委託先の確保が十分ではない。
どの地域においても安心して産後ケアの支援を受けられるよう、広域自治体である都が、区市町村の取組をこれまで以上に積極的に支援すべきであると考えるが、都の見解を伺う。
【福祉局長】
産後ケア事業についてであるが、都は、出産後の母子の心身のケア等を行う産後ケア事業を推進するため、実施主体である区市町村の財政負担について、運営費の全額と施設等整備費の半額を支援してきた。
区市町村の取組を更に進めるためには、委託先となる医療機関等を自治体の区域を越えて確保することが有効であり、都は新たに、都内全ての産科医療機関等に受入可能な人数等の調査をするとともに、区市町村における委託先確保のニーズや確保状況等を確認する。
今後、調査結果を区市町村に共有し、区域を越えた産後ケアの提供を促進していく。
医療・福祉施策
① 視覚障がい者に対する災害時の情報保障について
【質問】
都議会公明党は、文字をスマホで読み取り、音声化する音声コードの積極活用を提案し、都は、「東京くらし防災」など多くの紙媒体への音声コードの添付を進めてきた。
都は、視覚障がい者がより災害情報を得やすくなるよう、積極的に取り組むべきと考えるが、都の見解を伺う。
【総務局長】
視覚障がい者に対する災害時の情報保障についてだが、大規模災害の発生時に、視覚障がいのある方が適切な行動がとれるよう、避難などに必要な情報を的確に提供することが重要である。
そのため都は、防災ブックの音声版を作成し、防災アプリに搭載するなど、配慮が必要な方への適切な情報提供に努めてきた。さらに、地図上の水害リスク情報を音声で提供できる国のシステムを、防災アプリに連携させるなど、一層の利便性の向上を図っていく。
今後、民間事業者等の音声を使った情報提供の取組も調査しながら、災害時に視覚障がいのある方が迅速に避難できるよう、積極的に取り組んでいく。
② 軟骨伝導イヤホンの設置について
※軟骨伝導・・・これまでの気道型、骨伝導型の補聴器やイヤホンの技術と違い、耳の穴をふさがず、周囲の音も聞こえるメリットがあり、これまでの補聴器がなじまない方にも喜ばれている。
【質問】
加齢性難聴者への支援として、軟骨伝導について、都の認識を伺うとともに、都民サービスを直接行う都の様々な窓口に、老眼鏡と同じように「軟骨伝導イヤホン」を設置すべきと考えるが、都の見解を伺う。
【福祉局長】
軟骨伝導イヤホンについてであるが、高齢者や障害者をはじめ、全ての人が円滑にコミュニケーションを図ることができるよう、誰もが必要な情報を容易に入手できる環境を整備することは重要である。
新たに開発された軟骨伝導イヤホンは、加齢等により聴力の低下がみられる方の聞こえを補うものであり、コミュニケーションの選択肢が広がるよう、都は、今後、高齢者や障害者等が訪れることが多い都の福祉関係の窓口に試行的に設置する。
また、このイヤホンを既に設置している都内の自治体における利用状況等も把握し、関係各局や未設置の自治体に情報提供していく。
③ 軟骨伝導普及のための日本各地の中小企業との連携について
【質問】
今後、軟骨伝導の技術を補聴器の機種拡大や通信、音響機器などにも応用を広げていくなど、国際競争力の強化に向けても、都内中小企業と優れた技術を持つ全国の企業との交流の機会を設け、新たな付加価値の創出を東京から促していくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
日本各地の中小企業との連携についてであるが、東京の産業を活性化するためには、日本各地と連携し、双方に高い効果を発揮する取組を行うことが重要である。
このため都は、産業交流展で全国の出展ゾーンを設置し、日本各地の中小企業の優れた製品等を展示している。また、都外を含む出展企業が、自社の技術等をPRする場や、都内のメーカー等と交流や商談を行う機会を提供している。さらに令和6年度は、これまでの開催における来場者等の意見も踏まえ、新製品・新サービスを効果的に発信するためのエリアを新たに設ける。
これらにより、例えば、軟骨伝導のような新技術を持つ全国の企業と都内企業のビジネスマッチングを促進する。
④ 盲ろう児への支援について
【質問】
都議会公明党は、これまで盲ろう者支援の重要性について繰り返し指摘し、特に、先天性の盲ろう児へのきめ細やかな支援が重要であると訴えてきた。都はそれを受けて、令和6年予算特別委員会で、盲ろう者支援センターを移転・拡充し、盲ろう児の支援に取り組むと答弁した。
新たな盲ろう者支援センターでは、盲ろう児支援を充実し、医療・福祉・教育などの連携を図った支援をすべきと考えるが、都の見解を伺う。
【福祉局長】
盲ろう児への支援についてであるが、視覚と聴覚の両方に障害を併せ持つ盲ろう児は、コミュニケーション手段の獲得など、成人の場合とは異なる困難を抱えており、医療、福祉、教育などの関係機関が連携した専門的な対応が必要である。
そのため、令和6年6月10日から新宿区に移転する盲ろう者支援センターでは、支援対象を児童にも拡大し、相談や研修、訓練に係る設備を拡充するとともに、学校や児童発達支援事業所等の職員向け研修会や親同士の交流会の開催、指点字等のコミュニケーション訓練を新たに開始する。
こうした取組を通じ、盲ろうの方のライフステージを通じた切れ目のない支援の充実に取り組んでいく。
⑤ 子宮頸がん検診のHPV検査単独法導入について
【質問】
区市町村が実施する子宮頸がん検診にHPV検査単独法を導入するにあたって、スムーズに実施できるよう、都として必要な支援をすべきと考えるが、都の見解を伺う。
※HPV検査単独法・・・令和6年2月、子宮頸がん検診の国の指針の一部改正で、新たに追加された検査法。30歳以上の方では5年に1回となり、受診者の負担が軽減される一方、検診結果によっては、次回検査のタイミングが変わるため、受診者の受診状況を正確に把握する必要がある
【保健医療局長】
子宮頸がん検診についてであるが、新たに国の指針に追加されたHPV検査単独法は、従来の方法に比べ、一般に検診間隔が長く受診の負担が軽減するため、受診率の向上に繋がることが期待されている。
一方で、結果によりその後の検査の時期や内容が異なるなど運用面が複雑であり、区市町村が個々の陽性者の長期追跡や適切な受診勧奨等を行うための精度管理の体制を整備するほか、検診機関等の理解を得る必要がある。
このため国は、検診の円滑な運用に向けた研修などにより、区市町村を支援することとしており、都は、こうした国の動向等について情報提供するなど、適切に検診を実施できるよう取り組んでいく。
高齢者施策
① シルバーパスの一斉更新について
【質問】
シルバーパスの更新手続は会場方式に替えて、令和2年から新型コロナ対策として郵送方式で実施され、令和5年度も都議会公明党の提案に応え、熱中症対策などの観点から郵送方式で行われた。今後は同様に郵送方式で実施すべきであるが、都の見解を伺う。
【福祉局長】
シルバーパスの一斉更新についてであるが、これまで、シルバーパスの更新は、毎年9月に都内各地に設置した会場で一斉に手続を行っていたが、令和2年度からは、新型コロナ対策等のため郵送方式で実施している。
令和6年度も、利用者の熱中症対策や利便性等の観点から、郵送による一斉更新を継続して実施する。
実施に当たっては、円滑に更新手続が進められるよう、コールセンターを設置するなど、利用者に寄り添いながら、丁寧に対応していく。
② シニア世代のスキルアップ支援について
【質問】
時代の変化に伴い高齢者の就業へのニーズも変化し、現役時代とは異なる新しい職種や業種で働くことを希望する方も増加している。
都は、職業能力開発センターにおいて世代に応じた職業訓練を実施しているが、こうしたニーズに応えていくためにも、意欲あるシニア世代が新たな分野などで活躍できるよう支援を充実させていくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
シニア世代への職業訓練についてであるが、働く意欲のあるシニアの方が新たな技能を身に付け、これまで経験のない事業分野への就業にチャレンジする取組を後押しすることは重要である。
このため都は、職業能力開発センターで高年齢者が受講可能な訓練を実施し、三次元CADや広告美術、介護サービス等の知識や技能習得を幅広く支援している。
令和6年度、就職支援員を増員し、訓練で学んだスキルを活用できる求人を開拓するなど、きめ細かい支援を行い就職に結び付けている。
今後、しごとセンターとの更なる連携やプラチナ・キャリアセンターでのPRにより、新たな分野への就労を希望する高齢者の訓練を促進する。
③ 高齢者のデジタルデバイド対策について
【質問】
行政サービスのデジタル化の進捗に遅れることなく、高齢者のデジタルデバイド対策を進めるためには、スマートフォンの相談会などの取り組み内容のより一層の改善が必要であり、今後、行政や民間の様々なサービスのスマートフォンでの活用など、日常的な利便性の向上につなげていくべきである。
加えて、令和7年度以降の継続実施の意向を早めに表明して、区市町村をはじめ、町会等がより計画的に取り組みやすい環境を整えるべきだが、都の見解を伺う。
なお、在宅時などでは、もっと大きな画面でデジタルサービスを利用したい。また、スマホは苦手だが、テレビのリモコンなら大丈夫だという声も聞く。今後、都は、家庭で普及しているテレビを活用した、垣根の低いデジタルデバイド対策を進めるよう強く要望する。
【デジタルサービス局長】
高齢者のデジタルデバイド対策についてであるが、これまでデジタルに不慣れな方を対象に、スマートフォンの体験会や区市町村等と連携した気軽な相談の場を設け、この3年間で約44,000人に参加いただいた。
令和6年度は、スマホの困り事に対応する相談会を倍増し、1,200回以上開催するとともに、これまで体験会のみだった都営住宅や町会・自治会でも、新たに相談会を実施する。さらに、身近な場所でスマホを通じて交流できる場の拡大に向け、新たに区市町村に費用の2分の1を補助し、自治体のアプリやSNSの使い方等も仲間と学べる環境を充実させる。
こうした継続的な取組を進め、誰一人取り残されないデジタル社会の実現を目指していく。
防災施策
① 盛土の安全対策について
【質問】
都議会公明党は、盛土による土砂災害の未然防止に向け、都独自の対策を打ち出すべきと提言し、都は、令和3年12月に、盛土のあり方検討会議を設置し、不適正盛土の把握について、人工衛星データなどを活用する方針を示した。また、令和5年5月に盛土規制法が施行され、制度の強化のため、都独自の中間検査、対象規模の拡大などの条例を制定した。そして、令和6年7月に盛土規制法に基づく制度に移行し、規制区域の指定を行うとしている。
都は、新しい法律と条例を的確に運用し、庁内連携し都民のために既存・新設の盛土の安全性を確保すべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
盛土の安全対策についてであるが、熱海市で発生した土石流災害を教訓に、盛土による災害から都民の生命・財産を守ることが都の責務である。
このため、都内のほぼ全域を規制区域とし、法の規定を強化した条例を運用するとともに、不適正盛土に対する全庁的な体制を構築し、指導監督を強化していく。
さらに、都独自の取組として、人工衛星データや都民投稿ツールを活用した 不適正盛土の監視に加え、危険な宅地擁壁の所有者等に対する補助制度の運用も開始する。
こうした取組を通じて、実効性の高い盛土対策を推進することにより、都民の安全・安心を確保していく。
② 島しょ町村の災害対策について
【質問】
都議会公明党は、島しょ地域の災害対策強化のため、令和5年11月に小笠原諸島を、令和6年4月には三宅島を視察・調査した。
都が令和4年に見直した被害想定では、マグニチュード9クラスの南海トラフ巨大地震が発生した場合、島しょ地域では津波により、950人を超える人的被害が発生すると想定されている。
津波や火山噴火が発生した際に最も重要となる島民等の避難計画について、都は、島しょ町村と連携し、適時適切に見直しを図り、備えを万全にしておくべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
島しょ町村の災害対策についてであるが、島しょ地域は、豊かな自然に囲まれている一方、津波や火山噴火など様々な災害リスクを抱えており、ひとたび災害が起きれば、甚大な被害につながる。
知事就任以来、何度も島しょを訪れ、先日も、大島、三宅島、八丈島を訪問した。現地の状況を自らの目でつぶさに確認し、そこに暮らす方々の声も直接伺いながら、津波避難施設の設置や護岸・砂防施設の整備、都道や港・空港における無電柱化の推進など、防災力の向上に取り組んできた。
また、ハード対策のみならず、最新の知見に基づき、南海トラフ地震や火山噴火等を想定した各島の津波避難計画や、6つの火山ごとの避難計画の策定など、町村や関係機関と一体となった対策も進めている。
「備えよ常に」の精神で、各町村と緊密に連携し、島民の安全・安心を確保していく。
③ 島しょにおける発災時の適切な避難行動の取組について
【質問】
いざ大規模災害が発生した場合に、島民が適切に避難行動を取れるよう、都としてもしっかり対策を講じていくべきと考えるが、見解を伺う。
【総務局長】
発災時の適切な避難行動のための取組についてだが、平時から島民の防災意識を高めるとともに、災害時に必要な情報を確実に提供できる手段を確保することは重要である。
都は、噴火時の避難方法や日頃の備え等をまとめた火山防災マップを作成するともに、令和5年度、地域ごとに想定される最大の津波高等を防災アプリで閲覧可能にした。
令和6年度は、島民の意識向上を図るため、津波発生から浸水までの状況をリアルにイメージできる動画を作成する。また、各町村が実施する情報発信の好事例を共有するなど、地域の実情に応じた、より効果的な災害情報の提供に繋げていく。
④ 小笠原における防災対策について
【質問】
小笠原においては「小笠原諸島振興開発計画」(素案)が公表され、防災対策も位置付けられたが、内地から1,000キロメートル離れた小笠原の地理的特性も踏まえ、計画の実効性を高め、取組を着実に実行していくべきである。見解を伺う。
【総務局長】
小笠原における防災対策についてであるが、都は数次にわたる小笠原諸島振興開発計画において、災害に対する備えを重要な課題として位置付け、砂防施設の整備や浄水施設の高台移転、津波浸水ハザードマップの配布等、地域防災力向上の取組を実施してきた。
今般の計画素案では、見直し後の南海トラフ地震による被害想定等を踏まえ、対策を一層強化することとしており、津波避難道路となる都道行文線の着実な整備のほか、災害時の通信手段強化に向けたモバイル衛星通信機器の令和6年度中の配備等を進めていく。
今後、計画の成果を毎年度公表しつつ、国や村とも緊密に連携し取り組むことで、小笠原の防災力の更なる強化を図っていく。
⑤ 災害時におけるドローンの活用について
【質問】
災害活動においてドローンによる情報収集は重要であることから、東京消防庁のドローンを増強すべきと考えるが、大規模災害時に向けた、ドローンの活用や人材育成についての消防庁の見解を伺う。
【消防総監】
大規模災害時のドローンの活用についてであるが、ドローンは、その機動性の高さから災害時における情報収集手段として有効である。
このため、葛飾区にある即応対処部隊に13機、八王子市にある消防救助機動部隊に3機のドローンを配置するとともに、外部機関の研修なども活用し、安全かつ迅速にドローンを操縦できる人材を育成している。
令和6年度は、震災時等の情報収集体制を強化するため、有線給電による長時間飛行が可能なドローンを導入する予定である。
今後は、ドローンの更なる活用方策と効果的な配置について検証し、災害活動体制の強化に努めていく。
⑥ ドローンの物流への活用について
【質問】
都は令和5年度、檜原村や青梅市で、生活必需品の輸送など、様々な用途を想定したドローン物流の実証実験を実施した。
能登半島地震でも、被災地への物資輸送にドローンが活躍したとのことであり、発災時を見据え、平時から、物流へのドローン活用に取り組んでいくことが重要である。
現在、多くの都民が高層住宅に暮らしており、災害時に停電でエレベーターが停止すると、特に高齢者や障がい者にとって、食料や水を運ぶことが困難になると懸念される。
都は、民間と連携し、ドローン物流を社会で実現するために更に取組を進め、都民の利便性向上につなげていくべきと考えるが、見解を伺う。
【デジタルサービス局長】
ドローンの物流への活用についてであるが、物流の効率化を図るとともに、都民の利便性向上を目指し、民間と連携したドローンの活用を進めることが重要である。都はこれまで、事業者とともに、ドローンによる生活必需品等の物資輸送に取り組み、令和5年度には有人地帯における目視外飛行、いわゆるレベル4での輸送を行った。令和6年度は、買い物に不便を抱える都民が多い山間部で、多様な飛行ルートを設定し、複数機を使用して、実際のビジネスを想定した実証を行う。
今後、災害時も含め、都心部など人口密集地域での活用を見据えて、民間サービスとしての社会実装を早期に実現できるよう、都として支援を進めていく。
産業政策
① 中小企業の取引適正化について
【質問】
長引くエネルギーや原材料価格の高騰などにより、都内中小企業の事業活動におけるコストが増加し続けている。特に、弱い立場にある下請企業は、コスト増加分の価格上乗せが難しく、企業努力だけでは状況の打開は困難である。
そのため、国は下請企業を訪問して、取引上の問題点などの聞き取り調査を行う下請Gメンを設置している。
都は、中小企業振興公社の取り組みなどを通じて、こうした国の取り組みと連携しているが、取引の適正化が一層図られるよう、更に都内の中小企業に寄り添い課題の解決に向け、効果的なサポートに取り組むべきであると考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
中小企業の取引適正化についてであるが、事業活動に必要な原材料の高騰や円安により中小企業の経営に大きな影響が生じている。こうした厳しい経営環境を乗り越え、将来に向け事業が継続できるよう、きめ細かな支援を行うことは必要だ。
中小企業が適正な価格で取引を行えるよう、法令や企業実務に詳しい専門家が取引の適正なルールなどをアドバイスしている。また、年間1,800を超える企業に個別巡回し、相談対応を行っている。
令和6年度からは、原価管理アドバイザーの派遣による価格交渉に必要なコスト計算等のノウハウの提供を開始し、支援の充実を図っている。
こうした取組を通じて、東京の産業の基盤である中小企業の経営をしっかりと支えていく。
② 建設や運輸の事業者の働き方改革について
【質問】
都議会公明党は、建設、運輸業の事業者に対し、令和6年4月から時間外労働の上限規制が適用される、いわゆる2024年問題について、適切な対応を求めてきた。
上限規制が適用されてから既に2か月が経過した中でも、多くの現場は人手不足など厳しい状況に悩んでいる。相談対応などをより丁寧に行い、支援を継続していくべきであると考えるが、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
建設や運輸の事業者の働き方改革についてであるが、建設や運輸の中小企業が、時間外労働の上限規制を遵守し事業を継続できるよう支援を行うことは必要である。
都は令和6年度、都内事業者に対して5月初旬までに延べ4,000回を超える事業の周知を行い、ニーズを聞き取った上で専門家が巡回訪問し、時間外労働の縮減に向けた助言を開始している。
具体的には、社会保険労務士等が効果的な人材確保の方法や、業務効率化につながるデジタルの活用など、会社ごとの状況に応じたアドバイスを行っている。今後は十分な納期の確保など経営面からの支援にもつなげていく。
これにより、建設や運輸の中小企業の支援を進める。
③ 運輸事業者の人材確保について
【質問】
ドライバー確保の新たな活路が広がるよう、業界団体が行う免許取得支援制度が効果的に運用され、成果につながる支援をすべきであると考えるが、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
運輸事業者の人材確保についてであるが、運転手の時間外労働規制に対応し、人材確保に取り組む中小企業を後押しすることは必要である。
これまで都は、業界団体が中小企業の人材確保のために行う取組に対して、経費の助成などを実施してきた。
令和6年度は、年度当初から速やかに受付を開始するとともに、ドライバー確保に取り組む団体への助成限度額を5,000万円に引き上げるなど、支援の強化を図っている。
実施に当たり、免許取得支援など運転手確保に効果的な取組について、関連団体への個別周知や相談対応をよりきめ細かく行い、サポートを充実していく。
これにより、中小企業の計画的な人材確保を促進する。
④ 高速道路の料金体系について
【質問】
ドライバー不足への対応には、ロードプライシングの適正化も重要である。
ロードプライシングは、運転時間も短縮され、働き方改革としても大事な課題だが、深夜運転が余儀なくされるような傾向が強まれば、ドライバー不足対策としてはマイナスである。
一方、ロードプライシングの取り組みの中には、渋滞が発生しやすい都心部を回避する、迂回ルートへの誘導を図る料金割引の取り組みも含まれている。
都は、ドライバー不足という喫緊の最重要課題についても、効果のあるロードプライシングなど、高速料金制度の在り方を国へ提案するべきであるが、見解を伺う。
※ロードプライシング・・・特定の道路や地域、時間帯における自動車利用者に対して課金することにより、自動車利用の合理化や交通行動の転換を促し、自動車交通量の抑制を図る施策
【東京都技監】
高速道路の料金体系についてであるが、円滑な物流の確保に向けては、一層の効率化を図ることが重要であり、渋滞緩和や料金負担の軽減に取り組む必要がある。これまで、都心の渋滞を招く通過交通を圏央道や外環へと誘導するため、迂回料金を引き下げるとともに、物流事業者等に適用される大口多頻度割引を拡充してきた。令和6年4月に、国の会議が開催され、高速道路の料金体系について、検討していくことが示された。
都としては、ドライバーなど労働力不足が深刻化している現状を踏まえ、国などの関係機関に料金体系の見直しを働きかけるなど、一体的で利用しやすい高速道路の料金体系の実現に向けて取り組んでいく。
⑤ 中小企業における外国人材確保への支援について
【質問】
国は令和5年度、在留資格である特定技能制度を拡充し、外国人材を受け入れる門戸を大きく広げ、外国人材が国内でより継続的に働くことができるようにした。
そこで都は、都議会公明党の主張を受け、令和5年にはじめて、外国人材向けの合同企業説明会をアジアの主要大都市の現地で開催するとともに、外国人材と中小企業をつなぐマッチングなどに取り組んでいる。
都は今後、こうした取り組みに更に力を入れ、特定技能などの制度を企業が適切に活用し、人材を確保できるよう支援を強化すべきと考えるが、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
中小企業における外国人材確保への支援についてだが、中小企業が事業の継続と発展に向け、外国人材の獲得を目指す取組を後押しすることは重要である。
都は、中小企業でのインターンシップのほか、合同企業説明会を4か国においてオンラインに加え現地でも実施している。令和6年度は参加企業数を拡大するとともに、企業が行う日本語研修への支援の充実を図っている。
また、特定技能制度により就職を目指す外国人とその受入れを希望する企業に対し、制度を円滑に利用するための支援を行っている。
令和6年度は、国の制度改正への理解を深め、活用を促すセミナーを新たに開催するなど、取組を強化していく。
⑥ 外国人の地域における共生について
【質問】
外国人に日本での暮らしに必要なルールやマナーを知っていただき、地域社会においても永く共生していただけるよう支援していくべきである。都の見解を伺う。
【生活文化スポーツ局長】
外国人の地域における共生についてであるが、外国人が日本人とともに地域社会で安心して暮らしていくためには、生活に関わる正しい情報を迷わず入手できることが重要である。
そこで都は、令和6年度、区市町村とも連携し、「多文化共生ポータルサイト」で、ゴミの出し方など日常生活に必要な情報を一元的に集約し発信する。また、このサイトのQRコードを掲載したカードを、区市町村窓口や町会等を通じて、新たに住民となる外国人に配布する。
これらの取組を通じ、外国人が地域の一員として暮らしていけるようサポートをしていく。
⑦ 中小企業の新紙幣対応機器導入に対する支援について
【質問】
中小の飲食店などは、人手不足解消や感染防止対策のため、自動券売機を導入しているところもあるが、令和6年7月から新しい紙幣が発行され、それに対応できる機器導入の支援を求める声が挙がっている。
都は、中小企業が経営環境の変化に適切に対応できるよう、「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業」を開始しているが、新紙幣への対応策は、本来、国がやるべきだが、都としても丁寧に相談に応じながら、この事業を活用して、中小企業の取組を後押しする必要があると考えるが、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
中小企業の新たな事業環境への対応についてであるが、中小企業が事業の発展を図る上で、様々な経営環境の変化に対応できるよう支援を行うことは重要である。
このため都は、事業者の経営課題に対して相談対応を行うほか、中小企業が創意工夫を生かして、事業を発展させる取組への支援を開始した。
具体的には、決済の効率化に加え、売上データの集計や商品画像の表示、多言語対応など、省力化や売上向上に資する機能を有する券売機の導入を行う場合、その経費に関して助成を行う。また、導入の効果が確実に得られるよう専門家を派遣し、フォローアップを実施する。
これらにより中小企業の経営を着実に後押ししていく。
※参考
助成率 | 助成対象経費の2/3以内 |
助成限度額 | 800万円 |
⑧ 再生砕石、再生骨材の利用拡大について
【質問】
都内の工事現場では、解体作業に伴うコンクリートガラが大量に発生し、不法投棄の誘引など、環境への負荷等の影響が考えられる。
そこで、公共や民間の工事への再生砕石、骨材の利用拡大を関係部局で検討すべきだが、見解を伺う。
今後、災害時の有効利用を含め、都有地を活用した一時保管場所の確保を、都に強く求める。
【東京都技監】
再生砕石、再生骨材の利用拡大についてであるが、建設リサイクルを推進するためには、官民の関係者が一丸となって取り組むことが重要である。
これまで、都は、関係局と連携し、再生砕石などの利用拡大について課題を共有しながら、公共工事における利用拡大に取り組んできた。
引き続き、都の発注工事での使用実績を積み重ねるとともに、今後、利用拡大に関する検討に先駆けて、民間工事発注者へ関係局とヒアリングを実施するほか、大規模開発の事前協議を通した事業者への働きかけを強化する。
こうした取組により、再生砕石などの一層の利用を促進していく。
⑨ 回収骨材のリサイクル推進について
【質問】
余った生コンクリートは生コン工場に戻され、産業廃棄物として処理されている。業界団体によれば、これを洗浄などすれば、砂や砂利という元の骨材に戻る。
都は、余剰の生コンクリートをリサイクルした回収骨材の利用をガイドラインに取り入れ、都発注工事においても利用を図り、また民需においても進めていくべきである。そこで、回収骨材、グリーン骨材の利用促進や残コン、戻りコンの削減について、見解を伺う。
【東京都技監】
回収骨材のリサイクル推進についてであるが、資源循環や廃棄物の排出抑制を図るためには、建設資材の有効な再利用とともに、適切な発注管理による建設資材の製造、使用が重要である。
回収骨材を使用した生コンクリートの利用については今後、工事の受発注者や製造者にヒアリングを行い、供給や利用の実態を調査し、課題を把握していく。
また、余剰となる生コンクリートの削減については、優良事例を紹介する動画を新たに作成、周知するなどして、工事の受発注者の取組を促していく。
こうした取組を通じて、官民が連携した建設資源循環を推進していく。
⑩ 資源循環におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進について
【質問】
都議会公明党はこれまで、産業廃棄物処理業界において、業務改善に向けたDXの活用を提案しているが、都はこれを積極的に押し進め支援をしていくべきである。知事に見解を求める。
【知事】
資源循環におけるDXの推進についてであるが、脱炭素や資源の有効利用に繋がる循環経済を実現するには、デジタルの力を用いて、回収や選別等のプロセスを高度化し、持続可能な循環システムを構築することが重要である。
これまで都は、日々の快適な環境を支える廃棄物の関連事業者に対し、ICTを活かした処理の効率化を助言するほか、プラスチックのリサイクル等に向けた仕組みづくりをサポートしてきた。
令和6年度からは、廃棄物処理のDXを導入する事業者に対して支援を開始する。AIによる最適な収集のルートづくりや、リサイクルできる素材の自動選別など、最先端の技術を活用した新たなビジネスモデルの構築に繋げていく。
優れた取組や創意工夫を業界全体に広げ、サーキュラーエコノミーへの転換を加速していく。
※サーキュラーエコノミー・・・廃棄物をなくし、資源を循環させ、自然を再生するための循環型の新しい経済システム
⑪ 多摩産材の生産量の増加に向けた伐採・搬出の取組強化について
【質問】
多摩産材の生産量の増加に向けて、スギやヒノキ等の伐採や搬出、運搬などの実施について、取組を強化すべきと考えるが、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
多摩産材の伐採・搬出についてであるが、森林循環の促進に向けては、多摩産材の利用が進むよう、伐採現場の状況を踏まえながら、需要に応じて生産量を増やしていくことが重要である。
このため都は、東京特有の急峻な地形でも、林業事業者が効率的に伐採・搬出ができるよう、林道等の整備を進めるとともに先進的な林業機械を導入し貸与している。
令和6年度はこうした取組に加え、搬出が難しい山奥での伐採を進めるため、ヘリコプターを活用した搬出を都が所有する森林で開始する。輸送コストや安全性等について検証し、効果的な搬出につなげていく。
これらにより多摩産材の供給量の拡大を図っていく。
⑫ 多摩産材の情報発信について
【質問】
多摩産材等を活用したい建築関係者が、製材や製品に関する情報を入手して、購入が進み取引が拡大していくよう支援していくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
多摩産材の情報発信についてであるが、多摩産材の利用を一層進める上で、円滑に調達できるようサポートし、取引の拡大に繋げることは重要である。
このため都は、令和5年秋に、多摩産材に関する情報提供を行う拠点を多摩地域に加え区部にも設置し、建築関係者等と製材所とのマッチングなどの取組を充実した。
令和6年度は、こうした取組に加え、木材製品を扱う展示商談会にブースを設け、出展しているメーカーに、多摩産材の良さや供給に関する情報を提供し、その活用を働きかける。
こうした取組により、多摩産材のPRを強化し、東京の林業振興につなげていく。
⑬ 農業を活用した食育の推進について
【質問】
子ども達が農業に触れる機会は少なく、都心部では、東京で野菜が作られていることを知らない子どももいると聞く。
都議会公明党は、子ども達が農業を学べる機会の重要性を主張し、都は、令和6年6月下旬に、親子で参加できる「東京de収穫体験フェスティバル」を開催する予定である。
イベントの実施に当たっては、参加後も食育に取り組めるよう、工夫すべきと考えるが、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
食育の推進についてであるが、子供の食への関心を高めるには、知識の習得や食について考える機会を継続していくことが必要である。
このため都は、毎年「食育フェア」を開催し、食に関わる様々な団体の協力を得ながら、農産物の特徴や農業の役割などを、クイズやパネル展示等で発信してきた。
加えて、令和6年6月下旬に、農業関係団体とも連携し、親子で料理や収穫などを体験できるイベントを開催する。実施に当たっては、体験で使用した野菜の料理レシピのほか、ブルーベリーの苗や家庭菜園用の種を提供するとともに、畑では生産者から栽培での工夫を伝える等、参加後も東京農業の魅力を親子で話し合えるようにする。
住宅政策
① 都営住宅の共用部の維持管理について
【質問】
都営住宅の共用部の維持管理については、自治体の負担や共益費徴収が課題となっている。
都営住宅の名義人の約7割が65歳以上となった今、都営住宅の大家である都は、共用部の維持管理を抜本的に検討する大きな転換点を迎えており、まずは自治会等の意見を聞いて、検討していくべきである。知事の見解を伺う。
【知事】
都営住宅の共用部の維持管理についてであるが、都営住宅は、都民の住宅セーフティネットの中核として重要な役割を担っている。居住者の高齢化が進み、自治会の担い手が減少する中、自治会の活動を持続可能なものとしていくことが求められている。
このため、都は、東京みんなでサロンや大学と連携した学生入居に取り組んでいる。また、共用部の維持管理の負担を軽減するため、希望する団地について、都が居住者から、代行に要する経費を含めて共益費として徴収し、管理業務の一部を実施する制度も導入している。
高齢化の更なる進行を見据え、自治会等の意見を幅広く伺い、今後の在り方と課題を検討し、居住者の良好な居住環境を確保していく。
② 都営住宅における移動販売について
【質問】
近年、高齢化の進展や商店街の衰退により、移動販売の実施を求める声が、都内でも広がっており、都議会公明党は、都営住宅などでの促進を強く求めてきた。
移動販売には、高齢者の孤立を防ぐ効果や、コミュニティの活性化などの効果も期待されているが、こうしたメリットが一層発揮されるためには、移動販売を活用した交流の機会の創出などの好事例の収集と周知に加え、実施事業者、団地自治会などの声を把握することが重要である。
移動販売の取組の充実に向けた方針と最新の拡充状況について、併せて見解を伺う。
【住宅政策本部長】
都営住宅における移動販売についてであるが、移動販売サービスは、居住者の利便性向上や地域コミュニティ活性化に寄与するものであり、現在、11区11市1町で、実施数は113まで順調に拡大している。
令和6年度、都は、更なる充実に向け、様々な取組事例を把握するため、アンケートを実施する。具体的には、移動販売をはじめとした買物弱者支援事業の実施主体である区市町を通じて、移動販売を実施している団地の自治会や事業者に、令和6年6月下旬を目途に回答を依頼していく。
また、回答を踏まえ現地取材も行い、年内に好事例や利用者の声等を取りまとめ、広く発信することで、自治会や事業者による更なる工夫・改善につなげていく。
都政課題
① 築地まちづくりについて
【質問】
都議会公明党は、築地のまちづくりについて、大規模集客施設だけでなく、水と緑が織りなす東京の新たな都民の憩いの場の創出や、築地場外市場との連携で食文化の発信拠点とするなど、世界の主要都市の一つである東京にふさわしいまちづくりを訴えてきた。
また、多くの人が来街することから、交通アクセスや周辺混雑対策についても、地元区との協議を促進させていくことが重要であると指摘してきた。
さらに、知事はかつて、築地市場の再開発方針について、築地の食文化を生かすとも述べていた。
都心に残された貴重な一等地である築地市場跡地について、地元のため、都民全体の利益のために、いかなる魅力を提供していくのか、知事の見解を伺う。
【知事】
築地まちづくりについてであるが、本事業は、都心とベイエリアを効果的に結び付け、将来にわたって東京の発展をけん引する重要なプロジェクトである。
今回の提案では、国際水準のスポーツ大会や、日本の食を堪能できるフードホールなどにより、国内外から多くの人々を呼び込むとともに、地下鉄新駅の整備も見据えながら、EV船や空飛ぶクルマなど、未来の技術も取り込んだ交通結節点の形成などが示されている。
今後、地元区を含めた関係者との協議を加速させ、安全で快適な東京の新たな玄関口を整備するとともに、場外市場とも連携したにぎわいの創出や、食文化の効果的な発信などにより、周辺地域との相乗効果をもたらしながら、東京そして都民にとっての価値の向上に寄与する、魅力的なまちの実現を目指していく。
② SNSによるカスタマーハラスメントについて
【質問】
令和5年の定例会で都議会公明党が、カスタマーハラスメント防止への条例化を求めた結果、知事は、令和6年第1回定例会で正式に検討を表明し、その後の専門家による会議では、公明党が求めたガイドラインの作成も含めた議論が重ねられ、条例化への動きが着実に進められている。
条例化の検討に当たり、特に深刻なネットやSNSへの書き込みなど、加害者の特定が難しいケースについても幅広く効果が及ぶ内容を検討するとともに、現場ごとの効果的な対策も示していくべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
SNSによるカスタマーハラスメントについてだが、インターネットの普及などにより、様々な現場でカスタマーハラスメントの被害が深刻化している。こうした視点で、効果のあるルールづくりを進めていかなければならない。
この間、検討会議では、ウェブ上での誹謗中傷や匿名による加害行為に対し、条例は有効に機能するとの見解が明らかになった。都としてあらゆるカスタマーハラスメントの禁止を社会全体に強く働きかけることが求められている。
今後、こうした議論を踏まえた条例と、その実効性を高めるガイドライン等の検討に着手する。
その中で、SNS上の行為を含む幅広いハラスメントから働く方を守り、現場で役立つ効果的な対応策を広めていく。
③ デフリンピックに向けた取組について
【質問】
令和6年予算特別委員会における、都議会公明党のデフリンピックに関する質問に対し、都は、デフリンピック関係者を招いた研修を、生活文化スポーツ局だけではなく、他局も含めた職員を対象に実施することや、当事者団体と身近に協働する体制を構築していくとの答弁があった。
デフリンピック大会に向けた都の職員研修の内容を具体的に明らかにすることを求める。加えて、研修や職員派遣など、都庁の職員が、大会後も引き続き、ろう者への理解と共感を深め、共生社会の実現に一層貢献していくべきと考えるが、見解を求める。
【生活文化スポーツ局長】
デフリンピックに向けた取組についてであるが、大会成功のためには、都の職員が率先して、ろう者の文化について学び、理解を深めることが重要である。
そこで、デフアスリートを講師に招聘し、デフリンピックの意義や大会への思いなどについて、職員向けの講演会を実施した。さらに、ろう者とのコミュニケーションの一助となるよう、日本手話に加え、国際手話を学ぶ研修会を開催する。
また、全日本ろうあ連盟に令和6年度から職員を派遣するなど、当事者と協働できる体制も強化している。
こうした取組を通じて大会を成功させ、ろう者の文化や手話言語への理解促進につなげていく。
④ パラスポーツへの支援について
【質問】
先のパラリンピック大会を契機に、様々な障害者スポーツの団体が寄付金などを募る取り組みを継続させている。デフスポーツの当事者団体も、大会後、同様の取り組みを開始するものと予想されるが、障害者スポーツへの理解やそれを支えるための寄付文化の醸成といっても、先のパラリンピックやデフリンピックの開催だけで、十分に環境が整うとは言えない。
大会後の各障害者スポーツ団体による自助努力の取組を都民に周知し、都も補助金の継続や充実、クラウドファンディングの取組を整えるなど、資金的にも、人的サポートの上でも、都民の関心を末永く醸成できる環境を創出すべきと考えるが、都の見解を伺う。
【生活文化スポーツ局長】
パラスポーツへの支援についてであるが、デフリンピックを契機に、デフスポーツを含むパラスポーツを広く支える気運を高めていくことが重要である。
都はこれまで、選手や競技団体の活動経費を助成してきたほか、団体を応援する都民や企業を増やせるよう、効果的な広報に関する研修を実施するなど、団体の発信力を高める取組も行っている。
さらに、企業や競技団体等とのマッチングのための交流会も実施し、大会用具の提供等の協賛につなげている。
今後、こうした取組を含め、お話の多くの都民や企業にパラスポーツを支えていただける環境整備を、一層推進していく。
⑤ 新銀行東京への出資について
【質問】
都は2008年度に、融資を受けている多くの中小零細企業を救済するために、新銀行東京に対して400億円の優先株による追加出資を実施した。
この際、議会を二分する議論が行われ、共産党は議会質問において、「都民の税金をどぶに捨てるようなもの」と主張し、当時の民主党は、「追加出資の400億円は泡となって消える」と、チラシを作ってまいていた。
都議会公明党は、当時、赤字や債務超過の多くの中小零細企業が新銀行東京から借入れをしている実態を踏まえ、新銀行東京を破綻させることにより、これらの会社や家族までもが路頭に迷うことになると判断し、苦渋の決断をし、賛成した。
その際、400億円の追加出資を棄損させず、将来的に回収することを、東京都に強く求めた。
2008年度に実施された新銀行東京への400億円の追加出資により、赤字や債務超過に陥っていた中小零細企業は、新銀行東京が経営統合されるまでにどれくらい救済されたか、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
新銀行東京への追加出資についてであるが、平成20年当時において、都が新銀行東京の事業清算等を選択した場合には、赤字や債務超過となっていた約5,600社の企業は、事業の継続が困難となるおそれがあったため、追加出資を行った。
これにより、経営統合時点で、おおむね8割の企業が融資の完済、あるいは事業継続に至っている。
⑥ 優先株式による追加出資の回収について
【質問】
新銀行東京に対する400億円の優先株式による追加出資は、いつ回収できるのか、大株主でもある都の見解を伺う。
【産業労働局長】
優先株式への対応についてであるが、東京きらぼしフィナンシャルグループは、今般公表した中期経営計画において、都に対して、令和8年度、令和10年度に償還し、償還を完了することを目指す、としている。
都としては、この取組を注視していく。