令和7年3月28日
都議会公明党 幹事長 東村邦浩
1.本日、令和7年第一回定例会が閉会しました。都議会公明党は、令和7年度当初予算審議などにおいて、具体的な提案を基に、物価高騰対策、子供・教育施策、若者支援、医療施策、福祉・高齢者施策、産業労働施策、住宅施策、防災施策などで、活発な論戦を展開しました。

2.令和7年度一般会計当初予算は、前年度比7,050億円増となる9兆1,580億円となりました。事業評価も、過去最高となる1,303億円の財源を確保する中で編成されたものであるとともに、保育料の第一子無償化など、わが党のこれまでの政策提言が幅広い分野で反映されており評価します。今後も、急激な景気変動にも耐えられるよう更なる基金の積立などに取り組むとともに、改めて、発生主義に基づく新公会計制度によるメリットを生かした事業評価を多角的に実施して、財政基盤の一層の強化に取り組むことを求めるものです。
3.物価高騰対策については、都議会公明党は全ての都民を対象にした物価高騰対策をこれまで重ねて求めてきました。都が今回、東京都公式アプリを活用したキャンペーンにより、15歳以上の全都民に、一人当たり7,000ポイントを支給することから、そもそもスマホを持っていない方でも参加できる手立てを講じることを求めました。都は、区市町村補助によるスマホ購入経費助成の取組を検討していく考えを明らかにしました。速やかな支援の実施を強く求めるものです。
4.全ての子供が英語を話せる東京を目指すべきとの考えから、オンライン学習などを積極的に活用したマンツーマン英会話レッスンなど、各区市町村立小中学校でのネーティブ人材の、一層の活用に向けた支援を求めました。知事は、ネーティブ人材による教員への新たな講座開設や、区市町村での人材の活用に向けた課題等の把握を行っていくことを、明らかにしました。区市町村の教育現場で、様々な選択肢を組み合わせた英語教育の推進が可能となるよう、財政支援を含む、実効性に富んだ都による支援策を求めるものです。
5.地域医療の確保については、都議会公明党の強い要請に応え、都は予算案の中で、都政史上初となる、国の診療報酬への上乗せとも言える民間病院への支援に踏み出すとしたことから、その決断について、知事に見解を求めました。知事は、診療報酬では物価等の地域差が十分に加味されていないことなどを踏まえ、緊急的かつ臨時的に全ての民間病院を対象として支援する考えを示しました。画期的な取組を高く評価するとともに、地域医療機関の経営の危機につながる社会状況が続く限り、支援を持続させることも視野に入れ、都民の命と健康を守り抜くことを求めるものです。
6.介護DXについては、働きながら家族の介護をするビジネスケアラーの手続き負担の軽減などのため、介護DXを進めることを求めました。知事は、国や区市町村と連携し、働きながら介護に取り組む多忙なミドル層の負担軽減につながる介護DXを進めていく考えを明らかにしました。政策DXによる都民サービスの向上を都が牽引していくことを求めるものです。
7.都議会公明党の度重なる要望により予算化された、シルバーパスのICカード化と利用者負担額を、20,510円から12,000円への軽減については、高齢者の社会参画を推進するため、高く評価します。高齢者の社会参画の一層の促進のため、今後は多摩都市モノレールやコミュニティバスへの対象拡大を求めます。
8.持続的な賃上げへの取組については、中小企業の生産性を向上させ、賃上げへとつなげるための財政支援や公労使の合意形成を進めていくことを求めました。知事は、中小企業への補助金の補助率引上げや新たな奨励金による後押しを行うとともに、公労使会議など様々な場で意見交換を行っていく考えを明らかにしました。全ての現役世帯が賃上げの実感を得られるよう、知事のリーダーシップによる、賃上げ環境の創出を求めるものです。
9.都議会公明党の提案に基づき予算化される、アフォーダブル住宅の供給促進の取組については、子育て世帯などが住みやすい住宅とするよう、家賃を市場相場の6割程度へと引き下げることを求めました。知事は、家賃の引下げ幅に応じたファンドの出資利回りの設定などにより、低廉な住宅提供に向けた取り組みを実施する考えを明らかにしました。アフォーダブル住宅を必要とする、都内の子育て家庭や若者への住宅提供を、スピード感を持って実施することを求めるものです。
10.防災対策については、ハード対策はもちろん、トイレ・キッチン・ベッドなど、女性や子供の多様な視点での避難所環境改善といった、ソフト対策を進めていくことを求めました。知事は、雑魚寝の解消、トイレ環境の確保など、避難所改革に着手することや、女性や子供のほか要配慮者への対応など、防災対策を強化する考えを示しました。現場に即した効果的な対策を進めるとともに、救援物資倉庫におけるDX化を活用した省人化の促進、災害時の円滑な救援物資輸送に向けたシミュレーション訓練、都立公園駐車場などの都有施設の災害時の有効活用など、ハード・ソフトの両面からの防災力の強化を求めるものです。
11.八潮市の道路陥没を受けた取組ついては、都内の道路下に張り巡らされた下水道管の効果的な保守点検や、更新に取り組むことを求めました。都は、下水道管の内部をテレビカメラで確認し、補修の実施や再構築を計画的に行っているとともに、AIなどの先端技術を活用した効果的な手法の開発を進めていく考えを示しました。今後も弛まぬ維持管理の下、都民の命と暮らしを守ることを求めるものです。
12.都議会公明党がこれまで繰り返し訴えてきたホームドア設置については、技術的課題への対応に加え、財源確保が不可欠であることから、補助制度の拡充などを求めました。都は、事業者に都が直接補助する制度を創設し、特別支援学校の最寄駅では補助上限を拡充する考えを明らかにしました。事業者の取組を強力に支援していくことを求めるものです。
13.都議会公明党が長年にわたって強く訴えてきた、高速道路の本線料金所の撤廃については、永福料金所をはじめとする料金所の撤廃に向けた取組の開始を求めました。知事は、自ら国土交通大臣に要望した結果、来年度末には首都高の都内ETC専用化の整備率が3割から8割へと大きく向上するとともに、本線料金所撤廃に向けた取組を開始し、必要な予算を計上したことを明らかにしました。取組を加速していくことを求めるものです。
14.羽田空港と新宿駅を結ぶ空港アクセス線西山手ルートについては、昨年の第一回定例会でも実現を求めたところであり、今後の都の取組について見解を求めました。知事は、JR東日本との連携に加え、今年度から国の協力等を得ながら具体化に向けた検討を行っており、積極的に協議を進めていく考えを示しました。多摩地域の都民の利便性向上に資する取組であるため、着実に進めていくことを求めるものです。
15.農地保全については、中小企業の事業承継税制を参考に、都内兼業農家の農地を相続税の対象外とすることに向けた、国への要望見直しを求めました。知事は、相続税の猶予などを国へ要望する考えを明らかにしました。貴重な東京の農地を守り抜く抜本的な取組の強化を求めるものです。
16.宿泊税については、インバウンドによる高額な宿泊の増加などを踏まえ、15,000円以下を免税、15,000円を超える場合には定率課税とすることを改めて提案しました。知事は、東京都税制調査会からの報告を参考にしつつ、調査などを進めてきており、年内を目途に宿泊税の見直し素案を示す考えを明らかにしました。インバウンドの増加による課題対応の財源とするためにも、速やかな見直しを求めるものです。
17.闇バイトによる、凶悪強盗事件の多発化を踏まえた都議会公明党の緊急の提案に応え、都が広く都内全域の住宅を対象にして、防犯カメラ、カメラ付きインターホン、防犯用窓ガラスフィルムなどについて、区市町村を窓口とする購入・設置経費補助を打ち出したことについて、居住形態の相違を問わない補助の適用や、身体の不自由などから来訪者対応に困難を抱える都営住宅の居住者に向けた支援などを求めました。都は、いずれも前向きに検討する旨の答弁しており、評価します。区市町村や利用者が都施策を円滑かつ早期に利用できるよう配慮に努めることを求めるものです。
18.都議会自民党による収支報告書への不記載に端を発した事案については、都議会公明党は、速やかな政治倫理審査会の設置を実現するための条例整備を提案し、議会の過半数の賛同を得て新たな委員会が設置され、検討が開始されています。より良い条例の制定を目指す中で必要な知見を得るべく、有識者や事案当事者の参考人招致を実現すべきと主張しており、条例の早期の施行を目指すとともに、都民目線に適い、かつ、整合性のとれた再発防止体制の確立を進める決意です。
19.都議会公明党は、今後とも東京の経済と都民生活を守るため、現場の声をしっかりと踏まえながら、都政のかじ取り役として具体的な政策提言を重ねてまいります。