家計応援計画 教育費の負担のかからない東京
① 学校の教材費や学用品などの無償化
【質問】
負担軽減の方法について、教材費や学用品の購入に際しては、個人個人が教材をそろえるのではなく、学校において備え付けるなどの方法も含めて、都として検討すべきである。そこで、国内外の先進事例を調査し、教材費や学用品などの負担軽減策を検討し、展開していくべきと考えるが、都教育委員会の見解を伺う。
【教育長】
都立高校の教材などについて、学校が用意し、生徒による共同の利用や複数の学年にわたり活用できる工夫を進める視点は重要である。
海外において教材に関し貸与や学校での備え付けの方法を導入している事例の紹介などもある。
今後、外国などを含め様々な取り組みについて実情の把握を進め、良い事例については、都立高校での教育に役立てる。
② バスの通学定期代を低額にする「学生パス」の導入
【質問】
教育費の負担軽減を考える時には、通学費も対象に軽減策を検討していくべきと考える。都議会公明党は、バスの通学定期を低額でおさえる学生パスを提案している。都として、こうしたいわゆる学生パスの導入について検討すべきと考える。あわせて知事の見解を伺う。
【知事】
学生等が安心して学ぶことができる環境を確保していくことは重要である。国の「子供の学習費調査報告書」によれば、各家庭は、学校教育費として、授業料や教科書代のほか、通学費など様々なものを負担している。
ご提案の「学生パス」については、地域や家庭ごとの通学にかかる負担額の状況なども踏まえ、学生等の通学費に係る現状と課題に関し、国や交通事業者などとともに整理する必要があるものと認識しており、引き続き、様々な観点から調査していく。
③ 誰もが英語を話せる東京へ・ネーティブ人材の活用
【質問】
都議会公明党は、英語教育についてネーティブ人材の活用や、オンライン英会話などのデジタル技術の活用を提案してきた。この提案を受け、都教育委員会は、区市町村立小中学校におけるネーティブ人材の活用状況を調査し、今後の施策展開に反映するとの答弁を第二回定例会で行った。小中学生がネーティブの生の英語に触れ、英語を話す機会を増やしていくことが重要である。そこで、調査結果を踏まえ、積極的な施策展開を図るべきと考えるが、都の見解を伺う。
【教育長】
東京の子供たちが、ネーティブの英語を聞き取り話す機会を増やすことで、将来の国際的な様々な分野で活躍できるよう支援する事は重要である。
都教育委員会は、公立の小中学校での外国語教育に関する調査を行い、ネーティブ人材による指導の状況等を把握した。これにより授業の中でネーティブと会話をする機会の一層の確保のほか学校外での取り組みへのニーズが明らかとなっている。
これを受け、今後、ネーティブ人材やデジタルによるオンライン英会話の活用の後押しのほか、夏休みを利用したネーティブとの交流にも力を入れる。
私立幼稚園の保護者への支援の充実を
【質問】
令和元年の幼児教育無償化で、私立幼稚園については国と都の補助により都内平均保育料まで補助することで実質無償化が実現した。しかし、あくまでもこの補助額は令和元年の平均保育料であり、昨今の物価高騰や最低賃金の上昇などによるその後の保育料上昇により、無償化と言い難い状況になっている。現下の保育料が反映されるよう、保護者への補助を拡充させるべきと考えるが、都の見解を伺う。
【生活文化局長】
都民が安心して子育てを行うことができるよう、希望する幼児教育を子に受けさせることができる環境の整備は重要である。
そこで、都は令和元年の幼児教育無償化の際、私立幼稚園について、国制度に加え、都独自の補助を行い、都内平均保育料まで支援した。
また、都内の区・市なども独自の支援を行っており、一定の水準まで負担軽減が図られている。
都は、本制度に責任を持つ国に、保育料の上昇等を踏まえた支援の拡充を継続して要望するとともに、動向を注視していく。
区市町村の幼稚園での2歳児保育の保護者負担軽減事業推進を
【質問】
都は、都議会公明党の提案を受け、保護者の就労の有無に関わらず、未就学の子供を保育所等で受け入れ、子供の育ちの支援を令和5年度に開始し、令和7年9月からは保育料を無償化している。各自治体の実情において事業規模は大小あるものの、令和6年度は41自治体まで事業を実施しており、認可保育所や認定こども園だけでなく、幼稚園など様々な施設で利用できる環境が広がっている。しかし、2歳児から受け入れを進めている幼稚園もこの事業で支援することは制度上可能であるものの、ほとんどの区市町村で本事業が幼稚園に活用されていない現状である。都は、幼稚園での2歳児保育にも活用が進むよう、区市町村の一層の理解促進を進めるべきである。都の見解を伺う。
【福祉局長】
乳幼児期から多様な他者と関わりを持ち、子供が健やかに成長できるよう、都は保護者の就労等の有無にかかわらず、保育所等で子供を定期的に預かる取り組みを推進している。この事業では、運営費や開設準備経費等を支援しており、認可保育所や認定こども園に加え、幼稚園も対象としている。
今後、より多くの施設で事業を活用できるよう関係局と連携し、保育所や幼稚園等での取組事例を取りまとめて区市町村に周知を行い、事業の実施を積極的に働きかけていく。
家計応援計画 現役世帯の所得が増える東京
① 中小企業の賃金アップを
【質問】
現役世帯の所得を増やすための賃金アップに向けて、行政、企業、そして働く従業員が同じ意識に立って協力していくことが不可欠である。都は、カスタマーハラスメント防止条例を制定する際に会議体を設置した経験を活かし、賃金アップに向けて公労使会議を設置すべきであると考える。
また、賃金アップの取り組みにおいては、中小企業の協力が重要となる。都は、中小企業に対して設備投資の補助率を4分の3まで引き上げ、設備投資をしやすい環境を作り、生産性を上げて賃金アップを後押しする取り組みを行っているが、この補助を受けている中小企業は、令和7年度において110社程度しかなく、中小企業の賃上げを大きく後押ししているとは言えない。
そこで、この補助スキームの予算規模を大幅に引き上げ、中小企業の賃上げの流れを加速化していくべきと考えるが、併せて知事の見解を伺う。
【知事】
働く方が安心して生活できる環境を整えるため、都内経済の活性化を図り、物価上昇を上回る賃上げを確かなものとしていく必要がある。
企業の生産性を高め、得られた付加価値を働く方々に分配する流れを作るためには、性別等による賃金格差の是正や雇用形態も考慮しながら、全体の賃上げにつなげていくことが重要である。
中小企業が生産効率の高い設備を導入し、計画的に賃上げする場合に手厚く助成するほか、賃上げなど従業員の働きがいを高める取り組みに対し奨励金を支給する等、幅広く支援している。
今後、都や経済団体、労働団体のトップが集まる公労使会議などにおいて、賃上げの成果の波及に向けた呼びかけを行う。
また、中小企業から、生産性を高める支援を活用し、持続的な賃上げに繋げたという声を頂いており、今後、こうした取り組みなども強力に進めていく。
② 働きながら介護する人の負担を軽減する「介護DX」導入を
【質問】
現役世代の所得が増加しない要因の一つとして、ビジネスケアラーの介護による離職の問題があると言われている。家族が要介護者や認知症になった場合、特別養護老人ホームなどの空き状況を調べるのが大変だという声を聞く。仮に空きがあっても、施設に提出する書類を入手するために区市町村の手続きをする部署を何か所も回らなければならず、多大な労力と時間を要し、その結果、離職をして自宅で介護をするという選択をするケースが増えてきている。
そこで、マイナンバーカードを活用して、都内各自治体の介護に関するシステムを共通化し、入所する施設とも連係ができるなど、ビジネスケアラーがデジタルで施設探しや施設への手続きなどを負担なく行えるようにする「介護DX」を国や区市町村とも連携して実現すべきと考えるが、宮坂副知事の見解を伺う。
【宮坂副知事】
介護に関わる都民の負担を軽減するには、より便利なサービスへと変革していくことが重要である。
令和7年度、都は国と意見交換するとともに、局横断の検討チームを立ち上げ、当事者や現場の声を施策に反映するため、介護経験者や区市町村へ聞き取りを行った。
知りたい情報にすぐ辿り着けない、窓口での手続が煩雑などの様々な声も踏まえ、現在、デジタルを活用した介護サービスの利便性向上につながる取り組みを検討している。
ビジネスケアラーの介護離職を生まないためにも、都民の負担を軽減し手取り時間を創出する介護DXの実現に向け、国や区市町村とも連携しながら積極的に取り組んでいく。
家計応援計画 物価高に負けない東京
① 東京アプリのポイント増額を
※東京アプリ・・・スマホ1つで東京都の行政サービスが受けられることを目指しており、マイナンバーカードと連携するとお買い物に使えるポイントがもらえます
【質問】
東京都公式アプリの普及促進と都民生活の応援に向けて、7000ポイントを付与するキャンペーンにおいて、物価高騰対策として、7,000円分のポイントを10,000円分のポイントにアップすべきとの都議会公明党の主張に対し、知事は「社会経済情勢や国の経済対策の動向などを見極めながら、財政状況も踏まえ検討する」と答弁した。東京アプリの現在の取り組み状況について、知事の見解を伺う。
【知事】
都民と都政の新たな接点となるもの、それが東京アプリである。様々な手続きやサービスを一元化して、都民の利便性を格段に高めたい。
こうした思いの下、都民生活に役立つ情報にアクセスしやすくするとともに、令和7年10月にはポイント交換先の決済事業者を拡大し、その実施に向け最終的な検証を行うなど、着実に進めていく。
お話の物価高騰対策については、今後、社会経済情勢などを見極めながら検討していく。
キャンペーンを契機として、都民とつながる日常生活に欠かせないプラットフォームへと東京アプリを進化させていく。
② 物価高騰対策の申請手続きの簡素化と支援期間のさらなる延長を
【質問】
原材料や光熱費の高騰により、保育所や介護サービスなどの福祉施設、医療機関や運輸事業者等の運営は深刻な影響を受けている。都議会公明党の強い主張により、都は令和6年度補正予算において「物価高騰緊急対策事業」を実施し、さらに、当初令和6年9月末までの支援期間を令和7年12月まで延長したことを評価する。しかし、支援の継続に当たっては、事業者の立場に立った簡素な手続きとするなど、きめ細かな配慮が必要である。加えて、物価高騰は今後も続くことが見込まれる。都は補正予算を編成し、支援期間をさらに令和8年3月まで延長し、事業者の経営を下支えしていくべきと考えるが、知事の見解を求める。
【知事】
長引く物価高騰の影響により、事業者等は、依然として厳しい環境に置かれている。このため、価格転嫁が難しい医療機関等を下支えすべく、令和7年9月30日までとしていた物価高騰緊急対策事業の支援期間を、令和7年12月末まで延長することとした。
支援期間の延長に当たっては、事業者の視点に立ち、申請手続きが煩雑とならぬよう、既に申請いただいている情報を有効に活用するなど、手続きの簡略化を進めていく。
お話の物価高騰対策については、今後、社会経済情勢や国の経済対策の動向等を見極めながら、検討していく。
③ 市場家賃の6割程度の家賃でのアフォーダブル住宅を
※アフォーダブル住宅・・・特に子育て世帯や若者が手頃な価格で居住できるようにする賃貸住宅で、都と民間が共同出資して空き家や中古物件を改修して貸し出す仕組み
【質問】
都議会公明党は、令和6年第一回定例会からアフォーダブル住宅の制度を提案してきた。令和7年第一回定例会の代表質問では、アフォーダブル住宅の導入に際しては子育て世帯や若者に市場家賃の6割程度で住宅を提供できるようにすべきと主張。知事は、「事業者の家賃が可能な限り引き下げられるようインセンティブを高め、子育て世帯等に配慮した住みやすい住宅が極力低廉に供給されるよう取り組む」と答弁した。
そこで、現時点でのアフォーダブル住宅導入に向けての取り組みについて、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
都は現在、運営事業者の募集に対する複数の応募を受け、各社の提案内容について、専門機関による適正調査を実施している。令和7年10月には、その内容も踏まえ、外部有識者を交えた選定委員会において、事業者を選定する。
選定に当たっては、事業者の経営の健全性や実現性等の観点から審査していくが、特に供給戸数や住戸の広さ・間取り等と共に、家賃設定を最重点項目として評価していく。
このような取り組みを通じて官民が連携し、低廉なアフォーダブル住宅の供給を推進していく。
住宅政策審議会に諮り、速やかな住宅価格高騰対策を
【質問】
都議会公明党が令和7年3月の予算特別委員会において、投機的な取引によるマンション価格高騰対策を求めたことに対して、都は、「都内全てのマンションの実態調査を実施し、その結果を活用してマンションを取り巻く様々な課題について、住宅政策審議会等において学識経験者や業界団体等の意見を伺っていく」と答弁した。住宅マスタープラン改定の時期を迎え、住宅政策審議会の開催時期を明らかにし、住宅価格高騰に対して、様々な施策を重層的に展開し、都民が安心して住宅を確保できる環境を速やかに整備していくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【住宅政策本部長】
住宅価格など、住生活を取り巻く環境が変化する中、都民が多様な選択肢からニーズに応じた住まいを適切に選択できる環境整備が重要である。
都は、都民の主要な居住形態であるマンションについて、管理状況等の実態調査を実施しており、その中で価格に影響を及ぼす可能性がある区分所有者の入れ替わりや、空室の状況等も調査する。
こうした調査結果を活用するとともに、住宅価格に関する適切な情報発信の対応など、今後の施策の方向性を令和7年11月に諮問予定の住宅政策審議会で幅広く議論いただき、住宅マスタープランの改定につなげていく。
家計応援計画 安全で安心な東京
① 都民の生活を守る洪水対策・地下河川の事業化を
【質問】
平成17年9月の台風14号の豪雨により、都内で約170ha、約6千棟もの甚大な浸水被害が発生して以来、都議会公明党は、洪水による被害から都民の生活を守るため、都が実施している護岸や調節池の整備を強く後押ししてきた。そこで、平成17年から現在までの20年間の中小河川における洪水対策の取り組みと、都がTOKYO強靭化プロジェクト事業に明記している『地下河川の事業化』の今後の取り組みについて、都の見解を伺う。
【建設局長】
水害を防ぐためには、護岸や調節池の整備が重要である。
約6千棟が浸水した平成17年の豪雨以降、都は、護岸26キロメートルと善福寺川調節池等14か所の調節池を整備し、治水対策を進めてきた。
令和7年度は、神田川等の護岸や石神井川等、5河川で調節池の整備を進めるとともに、妙正寺川及び柳瀬川で新たな調節池の設計に着手する。
また、環状七号線地下広域調節池と連結する仮称目黒川流域調節池を東京湾までつなぐ地下河川では、事業化に向けた取り組みとして、トンネルの基本構造等の検討を進めていく。
こうした取り組みにより、水害対策を着実に進める。
② 避難所のQOL向上への支援を
※QOL・・・クオリティ・オブ・ライフ「生活の質」のこと
【質問】
都議会公明党は、災害関連死を防ぐためにも、災害時のトイレ対策など避難所のQOLの向上が必要であると訴え、避難所を運営する区市町村を支援すべきと提案してきた。都は、避難所運営指針を令和7年3月に策定し、トイレ環境の確保や簡易ベッドの備蓄など、区市町村支援への補助事業を現在実施している。取り組みのより一層の推進のため、令和7年度開始した補助事業について、区市町村の意見を聞きながら、補助金の増額や補助率アップ、また補助品目を増やすなど、区市町村の取り組みを後押しするための検討をすべきと考えるが、都の見解を伺う。
【総務局長】
発災時における避難所の環境を確保することは重要である。このため都は、区市町村の取り組みを支援する補助制度を導入し、丁寧に周知してきた。
具体的には、令和7年5月、区市町村長に概要を説明するとともに、令和7年6月には、実務担当者向けの説明会を実施した。また、令和7年8月には、圧縮ベッドや自己処理型トイレなど避難所で活用できる資器材の展示会を行った。
現在、申請に向けて、各区市町村からの個別の相談に応じ、具体的な調整を行っている。今後も意見を聞きながら、本制度が活用され、避難所の環境改善が進むよう、区市町村と一層緊密に連携していく。
4年前の都議選重点政策 チャレンジ8
① 陽子線治療施設の整備を
※陽子線治療施設・・・放射線治療の一種である粒子線治療は、これまでの治療と比べ、がん病巣への集中的な照射が可能で、体への負担も少なく、仕事等との両立が可能な治療法だが、現在都内にはない
【質問】
都議会公明党は、都立病院への粒子線治療の導入について、民間医療機関では提供が困難な行政的医療を担う都立病院こそが粒子線治療を導入すべきと提案し、他県の先行施設の視察を重ねながら提案をしてきた。その結果、都は令和6年3月に粒子線治療施設整備計画を策定し、都立駒込病院に陽子線治療施設を整備することとなり、令和7年5月に整備事業者が決定した。
そこで、陽子線治療施設の整備について、現在の進捗状況と今後の取り組みについて、都の見解を伺う。
【保健医療局長】
都立病院は、行政的医療及び専門的医療等を安定的かつ継続的に提供し、都における良質な医療サービスの確保に取り組んでいる。
こうした役割を踏まえ、都民のがん治療の選択肢が広がるよう、駒込病院において陽子線治療施設を整備する。施設には、病巣の形が複雑ながんなどにも高精度に陽子線を照射できる治療室を2室設置する。令和8年度中の着工を目指し、現在、施設の詳細な設計や土壌汚染調査に着手している。
今後、放射線治療医や医学物理士などの人材確保、育成等を行い、令和12年度の運用開始に向け、着実に準備を進めていく。
② 動物愛護相談センターの新規開設について
【質問】
都議会公明党はこれまで、動物愛護相談センターの新規開設を掲げ、質疑を繰り返してきた。
都は、動物愛護相談センター整備基本計画(第一次)を公表し、今後のセンターの在り方や必要な機能、整備の進め方などを再整理しており、今後は具体的な候補地の検討を進めるとともに、候補地における整備の考え方を検討している。
令和8年4月には、東京において、世界獣医師会大会が予定されていることから、東京都の動物との共生社会にむけた取り組みやワンヘルスの重要性をこの機を捉えて発信すべき。また、動物愛護相談センターの新規開設に向けての今後の展開と併せて、知事の見解を伺う。
※ワンヘルス・・・人・動物・環境の健康が密接に関連しているという考え方に基づき、これらの健康を統合的に捉え、分野を超えて連携し、共通の課題解決を目指すアプローチ
【知事】
都は、人と動物との共生社会を目指し、ワンヘルスの理念も踏まえ、飼い主への適正飼養の啓発や保護動物の譲渡推進などに取り組んでいる。
令和8年4月には世界獣医師会大会が東京で開催される。この大会において、都の取り組みとともに、この理念を広く発信していく。
また、動物愛護施策の中核的な役割を担う動物愛護相談センターについては、都民に開かれ、より親しみやすい施設として整備する。
現在、新たなセンターの整備に向けた基本計画について、令和7年度末の策定を目指し検討を進めている。動物との共生を推進する拠点として、センターの機能強化を行うなど、動物愛護施策の充実に取り組んでいく。
医療施策
① 都立病院で不妊治療外来の開設を
【質問】
令和4年4月に体外受精や顕微授精等の不妊治療が保険適用されたことを受け、保険適用された治療と併用して実施される先進医療の費用助成も都議会公明党の提案から都は実施し、併せて大塚病院など5つの都立病院に不妊治療に関する相談窓口を設置した。
出生数が減少する一方で、不妊治療の保険適用後、体外受精などの生殖補助医療による出生数は増加している。都立病院でも、相談に加え、不妊治療のニーズに的確に対応すべきであることから、都議会公明党は、不妊治療を都立病院で行うことを提案してきた。
その結果、都立大塚病院での不妊治療外来開設に向け準備をしているが、現在の進捗と今後の取り組みについて、都の見解を伺う。
【保健医療局長】
大塚病院は、周産期医療や女性医療に強みを持ち、女性総合外来や専門外来が連携して様々な疾患に対応している。こうした特色を生かし、不妊治療においても、地域の医療機関では対応が困難な内科疾患等の合併症患者にも対応していく。
現在、診療開始に向け、不妊治療に必要な施設整備を進めるとともに、治療に不可欠な生殖医療専門医や胚培養士の具体的な人選を行っている。
不妊治療の相談から検査、治療、分娩まで切れ目なく対応し、望む人誰もが子供を産み育てられる社会の実現に貢献していく。
② 民間地域病院への財政支援の継続を
【質問】
診療報酬が全国一律の中、人件費や物価高騰により資機材の高い東京の民間地域病院は、令和6年度、約68%の病院が財政赤字を抱えていた。令和7年度においては、都議会公明党の強い要請により、都は、民間地域病院の基本ベッド料に入院患者1人1日当たり580円の財政支援を実施し、当面の危機を乗り越えることができた。
本来、国が診療報酬を地域の物価状況に合わせて加算すべきだが、国においては、ようやく検討が始まったばかりである。
都は、令和7年度、改めて都内、民間地域病院の経営実態を調査するが、民間病院に対する都の支援金の交付状況を伺うとともに、その実態調査を踏まえ、令和8年度も民間地域病院への財政支援を検討すべきと考えるが、都の見解を伺う。
【保健医療局長】
都内では民間病院の割合が全国に比べ高い中、急激な物価高騰などが病院運営を圧迫している。
本来、こうした課題は国が診療報酬などで対応すべきだが、都は令和7年度、入院患者数に応じた支援金を四半期毎に民間病院へ交付する緊急・臨時支援事業を開始している。第一・四半期は、入院実績のあった566病院全てに対し交付した。
また、都内の医療を取り巻く状況について、医療機関や都民等へ調査を行っており、病院の経営状況等の把握・分析を進めている。この調査結果を踏まえ、国への提案要求や都の医療政策の検討を進め、持続可能な地域医療体制を確保していく。
防災対策
① 首都直下地震の廃棄物処理の対応力強化を
【質問】
都は、能登半島地震発災直後から職員を派遣し、膨大に発生した被災建物の公費解体や処理等に係る技術支援を実施し、都議会公明党の要請を踏まえ、令和6年9月からは、区市町村の協力も得て、都内清掃工場で災害廃棄物を受け入れ、まもなく、広域的な支援を終了する見込みとなった。
首都直下地震等で発生する膨大な災害廃棄物を迅速に処理するためには、全国からも円滑に広域的な応援がいただけるよう、平時から様々な主体と連携したシステムを構築しておくことが重要である。
都は、能登半島支援での経験や教訓を活かし、首都直下地震に備えた災害廃棄物処理の対応力強化につなげていくべきと考えるが、都の見解を求める。
【環境局長】
能登支援での広域処理の知見を活かし、自治体等と共に災害対応力を強化することが重要である。
都は、能登半島地震を機に製造した鉄道コンテナを活用し、区市町村の協力の下、区部6か所、多摩13か所の清掃工場で可燃物を受け入れ、迅速な処理に貢献してきた。また、現地に職員を派遣し、実行計画の策定や仮置場の運営等を支援してきた。これらのノウハウを基に、区市町村や業界団体等と連携し、仮置場の迅速な設置方法等を学ぶ講座を行うほか、実践的な訓練により専門人材の育成を図る。
国や他県とも平時から連携を深め、実効性の高い広域的な支援体制の構築を目指す。
② 区部における下水道の浸水対策を着実に進めよ
【質問】
令和7年9月11日に関東地方を大雨が襲い、世田谷区では1時間あたり92ミリ、品川区では120ミリ、目黒区では134ミリの猛烈な雨が降り、都内複数箇所で浸水被害が発生した。
このような被害を早期に軽減させるため、都は67の地域を重点地区と定め、下水道施設の整備を進めているが、施設整備には長い時間がかかることから、現在、完成している地区は29地区となっている。今回の浸水被害地域のほとんどは、重点地区であり、施設整備を進めている地域であった。
そこで、重点地区に定められている地域の整備効果を早期に発揮させる工夫を着実に進めていくべきであるが、都の見解を求める。
【下水道局長】
幹線など規模の大きな施設整備には時間を要するため、整備効果を早期に発揮させる工夫を行うことが重要である。
このため、一部完成した施設を暫定的に貯留施設として稼働させており、具体的には、現在事業中の重点地区19地区のうち、9地区で暫定貯留を実施している。その貯留容量は合計約15万立方メートルに及び、25メートルプール約500杯分に相当する。
今後、第二立会川幹線や蛇崩川増強幹線などにおいて、事業の進捗に合わせ、暫定貯留の容量を拡大していく。これらの取り組みを一層推進し、浸水被害の早期軽減に向けて取り組んでいく。
③ 下水道調査のわかりやすい情報発信と作業員の安全対策を
【質問】
埼玉県で道路が陥没した事故と同様の事故が都内でも発生するのではないかとの都民の不安は大きいものがある。こうした状況を踏まえ、国は、内径2メートル以上で布設から30年以上が経過した大規模下水道管を対象に、全国一斉の特別重点調査を要請しており、都においても約527kmでこの調査を実施し、優先調査個所約18kmの調査を概ね終え、確認された損傷は軽微で局所的であったと公表した。
残り約509kmの調査についても、基本的に人が管内に入り目視で行う方法で実施されるが、令和7年8月には埼玉県行田市において調査中の作業員4名が硫化水素中毒により死亡する事故が発生した。
そこで、都における全国特別重点調査の実施状況や結果について、都民に対し分かりやすく情報発信するとともに、作業員の安全を十分に確保しつつ、効率的な調査を進めていくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【下水道局長】
下水道管内の調査状況や結果については、区市町村にきめ細かく情報提供するとともに、局のホームページに新たに動画等を配信するなど、都民に分かりやすく公表していく。
また、調査の安全確保としては、無人カメラ調査機に加え、令和7年度からはドローンを試行的に導入するなど、工夫して調査を実施している。
さらに、将来の効率的な調査に向けて、下水道管内に設置した通信用光ファイバーを地中の異状を検知するセンサーとして活用し、下水道管の損傷を推定する新たな技術の開発にも着手する。
今後も、新技術を活用しながら、下水道管の点検や調査の安全性と効率性を高めていく。
交通施策
① 地域公共交通の充実を
【質問】
昨今、バスの運転手不足等も影響し、バスの減便や路線廃止を余儀なくされるなど、地域公共交通の確保は喫緊の課題である。
都議会公明党はかねてより、地域公共交通の充実のため、財政支援や技術的支援等の拡充を都に求めてきた。都内では、グリーンスローモビリティ等のように、地域の移動を細かくサポートし、手頃な運賃で持続的な地域公共交通実現に取り組んでいくべきである。
東京における地域公共交通の基本方針の改定に当たっては、自治体が地域住民のニーズに的確に対応できる対策を講じる方針とすべきと考えるが、都の見解を伺う。
※グリーンスローモビリティ・・・時速20km未満で公道を走ることができる電動車を活用した小型移動サービスで、低炭素型交通を目指すもの
【東京都技監】
地域公共交通の取り組みを加速し、誰もが移動しやすく、自由自在な交流が可能な都市を実現することが重要である。
都はこれまで、デマンド交通やグリーンスローモビリティの実証運行などに取り組む13区市町を支援し、利用者のニーズや地域特性にきめ細かく対応した移動手段の導入を後押ししてきた。
基本方針の改定に当たっては、実証運行の結果も踏まえ、身近な生活圏において、デマンド交通などの更なる活用を検討していく。
今後、様々な移動手段が連携し、地域の実情に応じた利便性の高いネットワークの形成に向け取り組んでいく。
※デマンド交通・・・利用者が希望する経路や時間に合わせてより柔軟に運行される地域公共交通
② シルバーパスの抜本的改善を
【質問】
都議会公明党は、高齢者の社会参加と健康増進のために、シルバーパスの果たす役割の重要性を踏まえ、実施から25年が経過している現行制度を抜本的に改善すべきと提案してきた。それを受け、都は、令和7年10月1日から20,510円の利用者負担を12,000円に引き下げを実施した。
そこで、多摩都市モノレールへの利用拡大を改めて要望するとともに、ICカード化の開始時期について明らかにすべきと考えるが、都の見解を伺う。
【福祉局長】
シルバーパスは、現行制度となってから四半世紀が経過し、平均寿命、健康寿命の延伸や交通事情の変化、地域における移動手段の多様化など、本事業をめぐる環境は大きく変化している。
このような状況の変化を踏まえ、ICカード化により利用実態を把握しながら、制度の改善に向けて検討していく。
ICカード化については、シルバーパスの対象交通機関で利用されているパスモを採用し、令和8年10月以降、できるだけ早期の移行を目指し、東京バス協会や関係機関と調整を進めていく。
公立学校の課題
① 公立小中学校の普通教室の空調更新を
【質問】
都議会公明党の要請に応じ、公立小中学校の普通教室の空調は100%整備されたが、2026年度以降、耐用年数の15年を迎えようとしている。今回の更新は、当時の整備費と比べて、人件費の上昇や資機材の高騰により、現状の国単価では、実工事費と大きく乖離することが見込まれる。
そのため、都議会公明党が第一回定例会において、都による財政支援の制度を検討していくべきと主張したことに対し、教育長は、区市町村の実態や整備に必要な現場の経費の動向を調べ、課題整理を行うと答弁した。そこで、これらの調査状況を踏まえた都の支援について、都教育委員会の見解を伺う。
【教育長】
小中学校に通う児童や生徒のため、学習を行う上で良好な環境を整備することは重要である。都教育委員会では、小中学校の普通教室の空調機器の導入を支援し、全校での設置を実現した。このサポートによるものを含め、普通教室の空調に関し、更新時期を迎えている場合がある。
こうした状況の中、都教育委員会は、普通教室の空調の更新について、実態や整備等に係る調査を進めている。これに併せ、区市町村による更新の進め方や経費の実情等に基づく課題整理も行っている。
国や区市町村の動向を踏まえながら、普通教室の空調更新を行う場合に必要となる対応を検討する。
② 教員業務のデジタル化による働き方改革を
【質問】
教員の働き方改革を実現するためには、デジタルの力を最大限活用し、業務の効率化を図ることが重要である。そのため、都議会公明党は、区市町村立学校で統一した校務DXを進めるよう求めてきた。
都は令和7年度、統合型校務支援システム等の共通化に向けた検討を行うが、DX化を効果的に進めるためには、区市町村に統一的な方針をしっかりと示していくべきである。また、統合型校務支援システムには数多くの個人情報が記録されているため、細心の注意を払ってセキュリティ確保の仕組みを構築していくべきである。併せて見解を伺う。
【教育長】
公立の小中学校の教員の働き方改革を進めるため、業務内容を入力するシステムについて、安全性を十分に確保し改善を進めることは重要である。
小中学校の教員が日々の仕事に係る内容を入力する統合型校務支援システムは、現在、区市町村ごとに異なり、教員の負担となっている。
このため、都教育委員会は、同システムを共通化するための方針を令和7年10月に策定し、対応を推進する。この取り組みに当たって、個人情報の保護などセキュリティの高さが不可欠であり、そのための基準を令和7年度中に作成する。今後、各自治体のシステム更新に合わせ、令和10年度から共通化を段階的に実施する。
文化スポーツ施策
① 世界陸上の経験を今後の国際スポーツ大会に生かせ
【質問】
日本で3回目、東京では2回目となる世界陸上2025は、約200カ国・約2,000名もの選手が参加する国際大会となった。
都議会公明党は、東京2020大会を踏まえ、世界陸上の開催に当たっては、契約関係の情報を原則公開するなど、都民、国民の信頼と理解を得るためのガバナンス確保に向けた取り組みを具体化するよう強く主張してきた。
我が会派の指摘に対し、都は、大会を運営する世界陸上財団とともにどのように対応してきたのか、また、今後も今回の経験を国際スポーツ大会に生かしていくべきと考えるが、都の見解を伺う。
※ガバナンス・・・組織の管理体制と統治の仕組みのことで、東京2020で企業の透明性や責任感の欠如が問題視され重要視されるようになった
【スポーツ推進本部長】
都は、ガバナンス確保に向けた取り組み等を取りまとめたガイドラインを示すとともに、世界陸上財団による取り組み状況を確認してきた。
世界陸上財団においては、役員の選任に当たって、外部有識者が参画する選考委員会を設置し、選考方針を策定した上で選任の手続きを進めた。
また、契約関係については、都と財団で外部有識者が参画する調達管理会議を設置し、経費及び手続きの適正性を確認の上、議事録等の情報を公開している。
こうした取り組みの成果を今後の東京で開催する大会にも生かし、都民・国民の信頼と理解を得られるよう、関係者と共有していく。
② 被災地の子供観戦招待の成果をデフリンピックにも繋げ
【質問】
都議会公明党は、東日本大震災や、能登半島地震の被災地の子供たちに夢や希望を届けるため、スポーツを通じた交流の実施を一貫して要望し、取り組んできた。今回の世界陸上では、子供たちの観戦招待が実現し、スポーツの持つ力を子供たちに伝える非常に有意義な取り組みとなった。次は、デフリンピックにおいても、スポーツの素晴らしさと共に、困難に挑戦するデフアスリートの姿を直接観戦する機会を提供していくことが重要である。
そこで、世界陸上での被災地の子供観戦招待の成果をデフリンピックにも繋げていくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【スポーツ推進本部長】
世界陸上では、東北三県と石川県の子供たちを観戦招待した。子供たちからは、トップアスリートが繰り広げる熱戦に迫力を感じ、自分も世界の舞台で活躍したい等の声が寄せられるなど、特別な体験を提供することができた。
また、デフリンピックでは、被災地の聴覚障害の子供たちを観戦に招待する。躍動するデフアスリートの姿を間近に見ることで、同じ障害のある子供たちが自らの可能性を信じ、困難に挑戦する勇気を育む機会としていく。
今後もスポーツを通じて、子供たちにとって未来に向けた大きな励みとなるよう取り組んでいく。
③ デフリンピックを契機にデジタルを活用した情報保障の充実を
【質問】
都議会公明党は、前回デフリンピックブラジル大会への職員派遣や、ICTの活用や文化芸術分野での情報保障など、多岐にわたる提案を行ってきた。
こうした取り組みから都民生活の中に新しい変化が生まれ、聴覚障がい者がより暮らしやすい街へと少しでも前進することが重要である。今後、大会を契機に、障がいへの都民の理解を一層推進することや、新たなデジタル技術を活用した情報補償の普及啓発などを更に進めるべきと考えるが、都の見解を伺う。
【福祉局長】
都はデフリンピックの開催も見据え、手話言語の普及促進に取り組むとともに、ユニバーサルコミュニケーション機器を導入する区市町村を支援し、最新のデジタル技術の活用を促進してきた。
令和7年度からは、音声による言語と、手話や文字を双方向に変換する対話型AIコミュニケーションシステムを実用化する3か年の事業を開始した。
また、スタートアップと協働し、障害の特性に応じた配慮やコミュニケーション方法を疑似体験できるデジタルコンテンツを作成する。
こうした取り組みを進め、デジタルを活用した障害者の情報保障を一層推進していく。
④ 江戸東京博物館に東京空襲関連の実物資料も常時展示を
【質問】
都議会公明党は、戦争の記憶を風化させず次世代に伝えていくため、空襲関連資料のデジタル化や、東京空襲資料展の開催会場を増やすよう提案してきた。
都は、多くの人が訪れる江戸東京博物館のリニューアルオープン後、東京空襲関連の証言映像を常時視聴できるよう取り組みを進めているが、証言映像のみならず、実物資料も常時展示するべきと考えるが、都の見解を伺う。
【生活文化局長】
都は、東京都平和の日条例を制定し、3月10日の記念式典をはじめ、資料展などで活用している。
令和8年春にリニューアルオープンを予定している江戸東京博物館においては、東京空襲の証言映像を常時視聴できることとしており、今後、企画検討委員会の意見も伺いながら、資料活用を検討していく。
都政の喫緊の課題
① リチウムイオン電池の発火防止対策を
【質問】
廃棄物処理の過程における発熱・発火を原因とする収集運搬車両や廃棄物処理施設の火災事故が急増している。また、家庭内で携帯電話をモバイルバッテリーで充電中に発火した火災が発生している。
都は、これまで都議会公明党の要請により、ホームページやポスターの掲示、動画などで、リチウムイオン電池の捨て方など啓発を進めてきたが、特に関心の薄い層や外国人などの理解は不十分である。
そこで、都は、廃棄物処理業者が安全にリチウムイオン電池を取り除く取り組みを支援するとともに、ごみを捨てる機会が増える年末に向けて、都民への啓発を一層強化すべきであるが、都の見解を伺う。
【環境局長】
リチウムイオン電池による廃棄物処理過程での火災事故の防止には、電池内蔵製品や分別方法への正しい理解や、処理時の安全確保が重要である。
都はこれまで、内蔵製品の具体例に加え、廃棄時のポイントを視覚的に訴えるポスターや動画を作成し、区市町村や経済団体を通じて、都民や事業者に幅広く発信するキャンペーンを展開してきた。
今後は、区市町村と連携したイベント回収や、多言語ポスターの作成等により、関心の薄い層や外国人等に働きかけていく。
また、処理過程での実態等を踏まえた火災の未然防止に繋がる対策を検討する。これらの啓発や取り組みにより火災の防止を図る。
② 違法な民泊施設の利用防止を
【質問】
住宅宿泊事業による民泊は、旅館業に伴う許可制ではなく届出制であり、騒音やゴミの不法投棄などで周辺住民とのトラブルや苦情が多く発生している。許可や届出すら行っていない、いわゆる違法民泊では、法令等で求められる防火や衛生確保の措置を行っておらず、火災の危険性もあり、都民の安全な生活を守る観点から、看過することはできない。
こうした実情を踏まえ、違法な宿泊施設が安易に旅行者に利用されないよう、国とも連携して取り組みを進めるべきと考えるが、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
地域住民の生活への影響が懸念される違法な宿泊施設が利用されないよう、様々な関係機関と連携して対応することは重要である。
都は現在、住宅宿泊事業の施設を仲介する事業者のウェブサイトを監視し、無許可や無届が疑われる場合には、所管の保健所に連絡することにより、違法な施設の掲載の削除につなげている。
今後は、住宅宿泊事業者の届出情報を一元管理し、仲介業者を監督する国に対し、仲介業者がリアルタイムで届出情報を確認できる仕組みの構築や、違法施設の掲載を防ぐための指導強化等を求める。これにより、住宅宿泊事業の適正な運営を図る。
③ 住宅宿泊事業における規制強化を
【質問】
東京23区で民泊の規制条例がない5区のうち4区が、地域指定や日数制限などの条例制定をする動きがある。やがては規制条例のない多摩地域が焦点となり、現に、調布市において民泊の増加で苦情が出始めている。
そこで、都が所管するエリアにおいても、営業上の日数を、条例の制定で規制すべきと考えるが、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
住宅宿泊事業は、旅行者の多様な宿泊需要に応えることができる一方で、地域の生活環境との調和に配慮することが必要である。
住宅宿泊事業法では、生活環境の悪化防止のため合理的に必要な範囲内で、自治体が条例で区域を定め、事業の実施期間を制限できるとしている。
都は独自に事業の適正な運営に向けたガイドラインを策定・周知しており、保健所設置区市を除く都の所管区域の市町村を通じて地域の実情を把握し、ガイドラインを適切に見直すなど、市町村の意見を踏まえ、住宅宿泊事業の適正な運営が図られるよう対応を行っていく。
暑さ対策
① 東京ゼロエミポイントの拡充について
【質問】
都議会公明党は令和7年8月、連日の猛暑を踏まえ、高齢の方や障害のある方のエアコン購入の負担を極力少なくするべく、東京ゼロエミポイントの支援拡充を緊急要望し、都は速やかに支援拡充をした。販売も好調であることから、令和8年度の支援継続と必要に応じた財政措置も強く要望する。
一方、エアコン新商品の入れ替わり時期と重なり、一部では在庫不足が生じ入荷時期が令和8年の1月から3月になるとの声も聞く。省エネ性能の高いエアコンを購入したい方々にしっかり支援が行きわたるよう、業界と連携することが重要と考えるが、都の取り組みと、改めて、施策拡充を決断した知事の見解を伺う。
※東京ゼロエミポイント・・・都が実施している、ご家庭の省エネ行動を促すための支援制度で、都民が都内の住宅において、より省エネ性能の高い家電への買替等をした場合(エアコン、冷蔵庫、給湯器、LED照明器具)、ゼロエミポイント相当分がその場で値引きとなる
【知事】
令和7年は、観測史上最も暑い夏となり、熱中症の救急搬送も、調査開始以来、最も多くなるなど、気候変動は、都民生活に深い影響を及ぼしており、速やかに実効性ある対策を行う必要がある。
特に、高齢者や障害者は暑さに対するリスクが高いことから、省エネエアコンの購入を強力に後押しすることで、省エネ対策にもつながる緊急的な取り組みを行った。
多くの方々にこの取り組みを御活用頂くよう、区市町村や民生委員等の協力を得て積極的に情報発信を行うとともに、都民ニーズや市場の供給状況等を踏まえ、業界と連携した取り組みを更に進めていく。
あらゆる施策を総動員し、災害級ともいえる暑さに対応しながら、脱炭素化の歩みを加速させていく。
② 低所得者世帯へのエアコン設置の支援を
【質問】
福祉施策として、低所得者へのエアコン設置を支援すべきと考える。区市町村において、独自補助を行っている場合もあると聞いている。そうした実態も調査し、都として支援の検討を開始すべきである。都の見解を伺う。
【福祉局長】
熱中症の予防には、エアコンの適切な利用が有効とされており、都は、区市町村を通じて、高齢者や障害者等に対し、適切な利用を周知している。
区市町村においては、エアコンの購入費等について、住民税非課税の高齢者や障害者のほか、児童扶養手当受給者、課税世帯を含む省エネルギー性能の高い機器の購入者などを対象に、様々な独自の支援を実施している。
今後、都としてこうした実態を把握していく。
火葬料金の格差是正のための協議会の設置を
【質問】
都議会公明党は、公営火葬場の新設や火葬料金認可制などの問題に取り組むため、令和2年から区議会や国会議員とプロジェクトチームを立ち上げ、都や国に対策を求めてきた。こうした中、23区内にある9つの火葬場の内、6つの民間火葬場が、令和8年度から区民葬という、低額な火葬料金を廃止すると発表したため、福岡厚生労働大臣に対し、墓地埋葬法改正を含む要望書を提出し、知事も所信表明で法の見直しを国に求めていくと表明した。
都は、火葬という公共の福祉を永続的に公正に提供していくために、特別区長会や関係者と民間火葬場のあり方について検討会を設置し、協議を開始するべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
都民が将来にわたって安心して火葬が行える体制を確保することが重要である。
国内の火葬場の多くは基礎自治体が運営しているが、都内には歴史的背景から民間火葬場が多く存在する。
火葬は人の一生にとって不可欠なものであり、火葬場には高い公共性や継続性が求められる。
今後、都内の火葬場の現状を精緻に把握する中で事業者へのヒアリングを行うとともに、指導監督権限を有する特別区と緊密に連携し、火葬場の経営管理が適切に行われる方策など、火葬場について様々な観点から検討していく。
都民に極力負担が生じない無電柱化を
【質問】
大規模地震などの災害はいつ起きてもおかしくなく、電柱の倒壊により停電、通信障害などの被害に見舞われる可能性があり、無電柱化は都の重要な防災対策である。
このため、都は、無電柱化を進める支援策として、3千平米未満の開発は無電柱化費用の5分の4で最大1,600万円、3千平米以上は3分の2で最大4,000万円の補助を行っている。
このたび知事は、開発許可を受けて行う宅地開発において、無電柱化を推進する全国初の条例制定を目指すと表明したが、この補助を引き上げなければ、不動産取引価格に転嫁されるなど、最終的には都民の負担が増す恐れがある。
無電柱化の推進に向け、今後の進め方について答弁を求めるとともに、都民に極力負担が生じないように取り組むべきと考えるが、併せて知事の見解を伺う。
【知事】
東京の防災機能を強化するためには、道路のみならず、まちづくりの機会を捉えた無電柱化の推進が必要である。
都は、民間事業者が行う宅地開発の無電柱化の取り組みを進めており、実効性を更に高めていくため、有識者による検討会を設置した。
検討会での条例による無電柱化実施の届出の義務や違反対応等についての検討を経て、条例の基本的な考え方を取りまとめており、現在、広く都民の意見を聴いている。
今後は、条例提案に向け関係者に対して丁寧な説明を行い、理解と協力を得るとともに、国等とコスト縮減に向けた課題を共有するなど、宅地開発における無電柱化を一層推進していく。
都営住宅等事業会計の消費税未申告問題
【質問】
現行の消費税法の規定に対する理解が不十分であったために、長年にわたり消費税の申告義務を果たしていなかったことは、都民からの信頼を損なうものであり、こうしたことが二度と起こらないよう、取り組むべきである。
そもそも都営住宅の事業は平成13年度までは一般会計で行われていたことから、収入に関わる消費税と支出に関わる消費税とが同額とみなされ、納税の必要はなかった。平成14年度から収支を明確化するという理由で一般会計から分離して特別会計が設置され納税義務が生じることになった。しかし、低所得世帯のセーフティーネットである都営住宅の場合、入居者の家賃収入で建設コストや大規模修繕のコストを賄うのは無理があり、会計を区分する意味がない。現在、47都道府県で公営住宅の事業について特別会計にしているのは、東京都をはじめとする12の都道府県だけである。
今後、都は、都営住宅事業会計については、一般会計に戻すことも視野に、その会計の在り方を検討すべきと考えるが、中村副知事の見解を伺う。
【中村副知事】
都は、平成14年度に経理の明確化のために、都営住宅等事業において特別会計を設置している。
今回の消費税未申告について、徹底した原因究明を行うために総務局が監察を行っている。その結果を踏まえ、徹底した再発防止策など必要な措置を講じ、これにより都民の皆様の信頼回復に努めていく。
都営住宅が住宅セーフティーネットの中核としての機能を果たせるよう、全国の公的住宅の状況を把握するなどとともに、安定的な事業運営に向け、様々な観点から検討していく。