ダイバーシティ 子ども・教育政策
① 子供の国際感覚を豊かにする機会を増やせ
【質問】
子供の頃から多様性について学ぶことは、他者との違いを受け入れ、共感力やコミュニケーション能力を育む上で非常に重要である。自国の伝統や文化に親しむとともに、様々な文化に触れ、国際感覚を豊かにする機会を増やしていくべきと考えるが、知事の見解を求める。
【知事】
次の時代を担う子供は大いなる可能性を秘めている。日本と世界を知り、グローバルな素養を磨くことで、自らの可能性を大きく広げ、世界を舞台に活躍してほしい。
こうした思いの下、子供政策強化の方針において、組織横断のリーディングプロジェクトに「グローバルな感覚を育む機会の創出」を新たに位置付けた。
幼児期も含め、早期から多文化に親しみ、世界の多様性を体感できるよう、子供の成長・発達段階に応じて、学校内外で国際感覚を育む取り組みを切れ目なく展開していく。
こうした取り組みを通じて、多様な価値観や文化の違いを超えて夢に向かってチャレンジする子供を全力で後押ししていく。
② 公立学校の国際交流の推進を
【質問】
都内にいながら各国大使館などとの交流や、海外の学校の児童・生徒とオンライン等を活用した交流をすることは、児童・生徒にとって大変貴重な国際交流の機会となる。都内の公立学校において、国際交流を実施する学校を増やし、交流を一層推進していけるよう、都教育委員会は、今後支援を更に充実させていくべきである。都教育委員会の見解を求める。
【教育長】
公立学校の児童や生徒が、将来に向け世界で活躍するため、海外の子供たちや外交官等と交流をできる機会の確保を図ることは重要である。
これまで都教育委員会は、TEPROに窓口を設け、公立学校を海外の学校や都内の大使館に紹介し、国際交流をサポートする対応を進めている。
これにより、児童等がリモートの画面を通じ、外国の学校と互いの文化を紹介する取り組みや外交官が小学校等を訪問し交流する機会作りを実施している。
今後、これらの事例の発信を強化するとともに、TEPROでの取り組みの一層の推進に力を入れていく。
※TEPRO・・・公益財団法人東京都教育支援機構のこと。東京都教育委員会が設立したもので、都内公立学校を多角的に支援する団体
③ 自閉症や情緒障害のある子どもへのさらなる支援の充実を
【質問】
各学校現場で自閉症や情緒障害のある子どもへのより良い指導を行うためにはどのような対策が求められているのか、調査・分析を行い、さらなる支援の充実を図るべきと考えるが、都教育委員会の見解を伺う。
【教育長】
自閉症や情緒障害のある子どもたちを公立の小中学校の特別支援学級において適切に指導する上で、教員の力を高めていくことは重要である。
これまで都教育委員会は、そうした学級を設ける区市町村からの要請により、巡回相談や教員への研修などを行ってきた。自閉症等のある子どものための特別支援学級と効果的な指導のできる教員の確保を図る必要性は高まっている。
今後、自閉症や情緒障害のある子どもへの現場での教育に係る知識やスキルへのニーズをきめ細かく収集する取り組みに力を入れる。こうした情報を活用し、特別支援学校による小中学校への支援の充実を進める。
女性の活躍推進
① 女性活躍を阻むあらゆる暴力の根絶を
【質問】
令和7年8月に神戸で発生した女性殺害事件を契機に、わが党には「夜道が怖い」「一人で歩く時心配」など、自分がいつ犯罪被害に遭うか分からず不安だ、との声が女性やその家族から多く寄せられている。
都の男女平等参画推進総合計画の改定においても、女性の活躍を阻むあらゆる暴力の根絶に向けて議論すべきと考えるが、都の見解を伺う。
【生活文化局長】
ストーカー行為、痴漢や盗撮等の迷惑行為、配偶者暴力などは重大な人権侵害である。
都では、東京都男女平等参画審議会を設置し、男女平等参画推進総合計画の改定に当たっての基本的考え方を諮問しており、現在、男女間の暴力をはじめ、女性の活躍を阻む要因やその対策などについて議論されている。
女性活躍を阻害するあらゆる暴力の根絶を計画に位置付け、庁内各局とも連携した取り組みを行いながら、男女平等参画に向けた環境整備を推進していく。
② 女性の犯罪被害防止対策の強化を
【質問】
女性の活躍を推進するため、安心して生活できる環境を整えることは大変重要である。これは行政だけでなく、社会全体の責任でもあると考える。女性が犯罪被害に遭いやすい盗撮、痴漢、ストーカーなどは、被害を受けたことで心身に深い傷を負い、今も苦しんでいる人が少なくない。こうした卑劣な行為は断じて許されるものではない。女性が安心して暮らせるよう、安全対策を強化すべきと考えるが、都の見解を伺う。
【都民安全総合対策本部長】
都では、ノウハウを持つ専門講師による講習会を実施するとともに、被害防止のためのポイントや相談窓口を記載したリーフレットを大学等に配布するなど防犯対策の周知を図っている。
また、令和7年度新たに大学生と協働して、女性が被害に遭いやすい事例に基づき、犯罪の未然防止のため現場に居合わせた第三者が見て見ぬふりをしないことを啓発する動画を作成し気運を醸成するなど、若者の視点を盛り込んだ施策を推進していく。
都民がストーカー・盗撮等卑劣な犯罪行為に遭わないよう、今後も当事者の視点に立って効果的な施策の実現に努めていく。
福祉施策
① ひとり親の就業支援の充実を
【質問】
ひとり親の方からはSNSで求人情報を得ることが多いと聞くため、SNSの更なる工夫や動画を使った効果的な周知を行うべきと考える。また、ひとり親の方が希望する仕事に就けるよう、求職者の希望に合う求人の開拓を更に行い、産業労働局等とも連携を図りながら、ひとり親の就職支援を行うべきと考える。併せて都の見解を求める。
【福祉局長】
都は、支援を必要とするひとり親を確実に就業相談等につなぐため、ひとり親への支援策等をまとめたポータルサイトにより、様々な就労支援情報を発信している。
また、ひとり親家庭支援センターにおいて、企業等を訪問して求人を開拓し、求職者の個々の状況に合わせた多様な職業を紹介している。
今後、SNS等も活用して効果的な広報を行うとともに、関係機関と連携して、求人の新規開拓を一層進め、ひとり親の就業支援の充実に取り組んでいく。
② 養育費確保支援事業が各自治体で実施されるよう支援を
【質問】
都は各自治体を通じて養育費確保支援事業を行い、養育費の取り決めに関するアドバイスや専門家への相談支援等の支援を行っている。子供の養育環境を安定させる上で、養育費を受けることは重要と考えるが、受けている世帯は、約3割程度に留まっている。
令和8年、改正民法が施行され、先取特権の付与などが導入されるなど、養育費に関する相談支援の充実が求められると考えるが、8市が未実施であり、事業を行っている区市でも支援メニューに差がある。
未実施の自治体の支援を行うとともに、事業の全てのメニューが各自治体で実施されるよう、都として支援をすべきと考えるが、都の見解を求める。
【福祉局長】
都は、ひとり親家庭の生活の安定を図るため、養育費の立替保証や養育費の取り決めを行う際の公正証書の作成等に要する費用を助成する区市を支援している。
令和7年度は、弁護士等による養育費の履行確保のための専門相談を行う際の費用を新たに補助するとともに、区市負担分を全額負担するなど支援を拡充している。
離婚後の子の養育に関する民法改正も踏まえ、こうした養育費確保の取り組みが着実に進むよう、未実施の自治体に対し、きめ細かく働きかけていく。
学校体育館の断熱対策
【質問】
省エネやCO2削減の観点からも断熱について取り組むことは重要である。
都は、順次体育館の断熱性を高める工事を行っているが、改築等に合わせた対応では改善が進むまでに長い時間を要する可能性がある。例えば、ある小学校では遮熱シートを体育館天井に貼ることで気温が3℃ほど下がるといった効果が確認されている。こうした簡易な方法であっても、効果がある対策をできるところからまず取り組むべきと考えるが、都の見解を伺う。
【教育長】
夏の暑さの厳しさが増す中、都立高校の体育館での教育環境を確保する上で、施設の断熱対策を適切に進めることは重要である。
これまで都教育委員会は、都立高校の体育館に空調機器の導入を進め、令和4年度までに対応を完了した。また、高校の校舎の改築等に合わせ、体育館に断熱性を高める工事を行う取り組みも進めている。これに当たっては、都の「省エネ・再エネ東京仕様」のルールに則り行っている。
今後、断熱性の高い様々な事例を取り組みに反映しながら、計画的に対応を進めていく。
がん対策 東京都版防がんMAPの作成を
【質問】
都内に住むがん患者から東京都版防がんMAPを作成してほしいという強い要望が都議会公明党にあった。がん患者がネット上の誤った情報に左右されないためにも、この防がんMAPを作成すべきである。都は、こうした防がんMAPの取り組みを参考に、がんに関する情報を都民にわかりやすく提供していくべきと考えるが、都の見解を伺う。
※防がんMAP・・・がんと言われても動揺しないために、がん患者が現在の置かれている状況(治療の各段階)で知りたい情報を簡単に知ることができるよう、地図のようにMAP形式にしたもの
【保健医療局長】
がん患者やその家族が、がんに関する正しい情報を入手できる環境の整備は重要である。
このため、都は、東京都がんポータルサイトで、がんに関する情報を一元的に提供している。令和7年4月には、がんと診断されてから患者が経験する過程に沿って、必要な情報を容易に入手できるようリニューアルを行った。
また、サイトを紹介するチラシには、目的に合わせて適切な情報につながるQRコードを掲載し、周知を図っている。
今後、防がんMAP等、民間団体の取り組みも参考に、患者や家族にとってさらに分かりやすい情報提供に努めていく。
HPVワクチンの男性への接種
【質問】
都議会公明党の提案で、HPVワクチンの男性への接種について、都は自治体への支援を令和6年度から開始したが、これまでの実績を伺うとともに、この度、男性への接種が承認された9価ワクチンも含め、さらに多くの自治体で取り組みが進むようにすべきと考えるが、都の見解を伺う。
※HPVワクチン・・・HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンは、子宮頸がんの原因となる特定のHPVの感染を防ぐためのワクチン
【保健医療局長】
都は、定期接種化されるまでの措置として、令和6年度から4価ワクチンを対象に区市町村への接種費用の補助を実施しており、令和7年度は42自治体が活用している。
引き続き、本事業の趣旨について、実施主体である区市町村に対し、様々な機会を捉え丁寧に説明することで、補助事業の活用を促していく。
また、令和7年8月、より高い予防効果を期待できる9価ワクチンが男性への接種にも適応拡大された。今後、ワクチンの供給量等も注視の上、都の対応について検討していく。
日暮里・舎人ライナー
① 日暮里・舎人ライナーの災害対策
【質問】
都議会公明党は日暮里・舎人ライナーについて、約10万以上の署名を集め、開業の後押しをし、今では足立区をはじめとする沿線住民の生活や通勤・通学を支える欠くことのできない重要な交通インフラとなった。
令和3年10月7日の地震により、同ライナーで脱輪事故が発生した。翌日早朝には公明党の国会や区議会と連携して現場調査を行い、足立区長と共に緊密に連携しながら、国と都に対し、都営バスの増便や貸し切りバスの活用による代替輸送力の確保、事故原因の徹底究明、そして震災時における再発防止策を強く要望した。
災害時の安全確保と、万が一運行停止となった場合の輸送手段の確保は、まさに区民、都民の命と暮らしを守る要である。公明党の要望を踏まえたこれまでの対策と施設整備の概要、今後の計画について、都の見解を伺う。
【交通局長】
令和3年の地震に伴い発生した脱輪事故について、国の運輸安全委員会による原因究明・勧告を踏まえ、これまで関係局と連携し、再発防止策を取りまとめ、令和7年5月に実施計画書を国に提出した。
具体的には、事故現場付近において、車両が走行路から逸脱することを防止する固定案内板を令和8年度までに設置する。また、構造物自体の揺れを低減するダンパーを令和10年度までに設置することとしており、現在設計を進めている。
今後、関係機関との協議を進め、地元の理解を得ながら、対策に着実に取り組んでいく。
② バスを活用した実証実験の利用者拡大を
【質問】
国土交通省は、令和7年7月、三大都市圏都市鉄道の2024年度混雑率調査の結果を発表した。混雑率は、日暮里・舎人ライナーが5年連続で最も高い結果となり、朝の通勤時間帯では大変な混雑が続いている。
混雑緩和の改善に向けては、都議会公明党として長年要望を重ねているが、この度、令和7年12月末から令和8年3月まで、朝の通勤時間帯に、江北駅から西日暮里駅・日暮里駅へと民間バスを運行する実証実験が行われる。しかし、今回の実証実験の利用対象者は、定期券所持者に限られている。朝の混雑を避けたいと考える高齢の方や障がい者手帳をお持ちの方なども利用できるよう、利用対象者の拡大が必要と考えるが、都の見解を伺う。
【交通局長】
交通局では、これまでも、日暮里・舎人ライナーの混雑対策に最優先で取り組んできた。令和7年1月、足立区からの要望を受け、更なる混雑緩和に向けた実証実験を実施することとし、方向性に関して、先般、区と合意した。
本実験の対象利用者は、対象区間となる通勤定期券又は通学定期券を所有している方を予定している。一方、東京都シルバーパスや障害のある方が利用可能な無料乗車券等の所有者のうち対象区間を通常利用している方の取り扱いについては、現在、区と協議を進めているところである。
江北給水所
① 上部利用のにぎわい施設について
【質問】
足立区の江北給水所は、上部利用について地域住民から多くの期待や要望が公明党に寄せられ、都議会公明党も繰り返し質疑を重ねてきた。
今後整備される温浴施設については、区内に限らず、多くの方に足を運んでいただき、地域全体のにぎわいにつなげることが重要である。足立区とも緊密に連携しながら、エリアデザインに掲げるにぎわい創出にも資するとともに、区外からも訪れやすく地域経済にも貢献する施設としていくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【水道局長】
江北給水所は、交通至便の好立地であることから、水道局では、収益確保の一環として、様々な用途での利活用を検討してきた。
これまで、配水池上部という事業上の制約や立地特性なども勘案した上で、具体的な施設の要件を整理した結果、公募により温浴施設を運営する事業者を選定した。
今後、地域の声も聞きながら、施設の運営事業者と協議を行い、地元区のエリアデザイン計画にも沿った、広く人々が集うにぎわいの創出や、健康とスポーツといった視点を踏まえた施設となるよう、整備を着実に進めていく。
② 上部に設置する駐車場は地域住民の便益に資するべき
【質問】
江北給水所に隣接する多目的スポーツ施設の駐車場は台数が少ないと聞いている。例えば、スポーツの大会開催時は、江北給水所上部の駐車場を利用できるようにして、地域住民の便益に資するべきと考えるが、都の見解を伺う。
【水道局長】
温浴施設の駐車場を隣接する多目的スポーツ施設の利用者に一部開放することは、当該施設の利便性向上に加え、近隣の違法駐車の抑制にもつながるものと認識している。
こうした観点から、水道局では、地元区からの要望も踏まえ、区や関係者と協議を重ねてきており、温浴施設の来場者以外の方が駐車場を利用できるようにする。
今後は、対象とする台数や時間帯など、利用に当たっての具体的な条件を、施設の運営事業者と整理していく。
③ 災害時の連携について
【質問】
江北給水所は区民の飲料水確保のための大切な拠点である。今後整備される温浴施設は、災害時に入浴が可能な施設でもあり、こうした観点も踏まえることが重要である。今後、施設運営者や足立区とも連携して、災害時の対策に取り組むべきと考えるが、都の見解を伺う。
【水道局長】
給水所は、地震等により断水が発生した場合には、応急給水を行う重要な防災拠点となる。
このため、水道局では、江北給水所の上部利用に当たり、発災時の応急給水や他都市からの応援受入れに必要な環境を確保することを条件とし、施設の運営事業者を選定した。
今後、地元区の意見も聞きながら、事業者と災害時における具体的な連携内容について協議を重ねた上で協定を締結し、強固な連携体制を構築する。
これらにより、平時における利活用と災害時対応の強化の両面から、江北給水所の上部利用の取り組みを進めていく。