まつば多美子議員の予算特別委員会(3月22日)しめくくり総括質疑

経済対策

① ウクライナ情勢の影響を受けた中小企業に対する支援について

【質問】

都議会公明党は3月15日、小池都知事に「ウクライナ危機への対応に関する緊急要望」を行い、利子補給をするなど新たな制度融資での支援を強化するよう求めたが、都の対応について見解を求める。

【産業労働局長】

ウクライナ情勢の影響により中小企業を取り巻く経営環境は厳しい状況が続いている。

このため都は、緊急の制度融資メニューを今月15日から開始しており、新年度も4月から3か月間実施する都は、約163億円を金融機関等に預託し、銀行等がこれを活用し、480億円の融資を行うことを可能とする。

また、この借入れに係る企業の負担を抑えるため、信用保証料について、都は、小規模事業者に対して4分の3、その他の事業者に対して3分の2を引き続き助成する。

今後、東京の産業を取り巻く状況の推移を見極めながら、利子補給を含めた中小企業への様々な支援について検討していく。

② トリガー条項の凍結解除について

【質問】

原油高騰の状況を踏まえれば、トリガー条項の凍結解除は必要と考える。実際に凍結解除になった場合、全国自治体の減収見込みは年間で約5千億円と報道されているが、都財政への影響はどの程度と想定されるか。また、それについての都の対応について見解を求める。

【財務局長】

原油価格の高騰は、経済活動や都民生活に大きな影響を及ぼしており、現在、国において、いわゆる「トリガー条項」の凍結解除について、議論されているものと認識している。

お尋ねの「トリガー条項」の発動による都財政への影響額は、対象となる期間にもよるが、1年間継続した場合、軽油引取税と地方揮発油譲与税の合計で、約190億円程度の減収が見込まれる。

今後、国において、「トリガー条項」の凍結解除による経済への効果に加えて、減収となる自治体への財源補填等についても、セットで議論されるものと考えており、国の動向や社会経済情勢等を注視していく。

③ ウクライナ情勢の影響を受けた運輸関連の会社への支援について

【質問】

コロナ禍でも大きな影響を受けている都内のバス事業者やタクシー事業者に対し、支援すべきと、知事緊急要望でも求めたところだが、都の取組について見解を求める。

【産業労働局長】

ウクライナ情勢による原油価格の高騰が続く中、運輸関連の会社は、事業運営で燃料代の占める割合が高いため、経営に大きな影響が生じる懸念がある。

都は、今月15日から専門家を中小企業に派遣し、電力料金等の削減に役立つ助言を行うほか、それに基づき機器等を導入する経費に助成を行っている。

価格高騰の長期化が、経営に及ぼす影響を踏まえ、都は、助成金の支援の規模を3倍にまで拡充する。この事業により、運輸関連の営業所へ省エネに詳しいアドバイザーを派遣し、所内で使う電気等のエネルギーを抑える助言とその実現に必要な経費の助成を進めていく。

こうした取組により、厳しい経営環境にある中小企業をサポートしていく。

④ 生活困窮者への支援の拡充について

【質問】

ウクライナ危機が長期化する様相にあり、生活に困窮する方々が増えてくることから、都は緊急一時宿泊場所や必要な資金への支援を大幅に拡充すべきと考えるが、見解を伺う。

【福祉保健局長】

ウクライナ危機による物価上昇などにより、仕事や住まいを失う方が増加するおそれがあることから、都は、TOKYOチャレンジネットに緊急生活相談窓口を速やかに設置した。

さらに、影響の長期化を考慮し、年間を通じてこの相談窓口を設置するとともに、緊急的な一時宿泊場所についても、利用者の増が見込まれることから、規模を倍増することとした。

また、チャレンジネットの支援対象者の生活に必要な資金を貸し付けるサポート特別貸付の上限額を、20万円から30万円に引き上げ、借入れしやすくするなどの見直しを図り、生活に困窮する方の支援に向けた取組をより一層推進していく。

⑤ フードパントリーや子供食堂への支援について

【質問】

ロシアの生産シェアが大きい小麦などの原材料価格が急騰し、地域で食を支援する活動を進めているフードパントリーや子供食堂にも価格高騰の影響が及んでいる。地域におけるこれらの活動に支障を来すことがないよう支援を進めるべき。具体策について、見解を伺う。

【福祉保健局長】

ウクライナ危機による原油や食料等の価格上昇を通じて、都民生活に影響が生じることが想定される中、地域における食の支援活動は重要である。

このため都は、生活に困窮する方に食を提供し、適切な支援機関へつなぐフードパントリーを運営する区市町村社会福祉協議会や民間団体等に、緊急的な支援を行うこととした。

具体的には、これまでの立上げ経費の補助に加え、食料調達や輸送などにかかるランニングコストや設備購入の経費等について、1か所当たり約200万円を上限に補助する。

また、地域で食事を提供する子供食堂に対しても、実施回数を増やすなど活動の充実や、立上げに必要な設備にかかる経費などを、1か所当たり50万円を上限に区市町村を通じて支援する。

⑥ ウクライナからの避難者への支援について

【質問】

都内の親戚等を頼って既にウクライナから避難してきた方々が、都営住宅に入居後、生活に困らないよう必要な備品の準備などに配慮した上で、国からの要請を待たず、速やかに都営住宅を提供すべきだが見解を伺う。

【住宅政策本部長】

都は、ウクライナからの避難を余儀なくされ、当面の住まいの確保が困難な方を対象に、都営住宅を無償で提供することとし、既に100戸を確保した。

都が開設した相談窓口には、東京に避難された方々から、今後の住まいについての相談が寄せられており、都営住宅への入居を希望する方が速やかに入居できるよう照明器具やガスコンロ、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、布団、カーテン等の用意を始めている。

今後、避難者の方が置かれている個別の事情や要望等を丁寧に聞き取り、一人ひとりに寄り添った支援を行っていく。

子ども・子育て施策

① 子供政策について

【質問】

「チルドレンファースト」の社会の実現に向けて、子供や子育て家庭の実情を踏まえ、子供政策を総合的に推進するとともに、子供の最善の利益の観点から、現在の法律や制度の壁を超えて、子供を中心に置いた先進的な政策に果敢にチャレンジすべき。知事の決意を伺う。

【知事】

大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在である子供を「チルドレンファースト」の視点に立って、社会全体で守り育て、明るい未来を紡いでいく。これが我々に課せられた責務である。

こうした強い思いをもって、「子供政策連携室」を新たに設置し、子供や子育て家庭が直面する課題に向き合い、分野横断的に子供政策の企画立案・総合調整を図っていく。

また、従来の枠組みに捉われず、「子供の笑顔のために真に求められるものは何か」という観点から、新たな取組の検討を進めていく。国内外の先進的な子供施策の調査・研究を踏まえ、幅広い視点から、こども未来会議で議論を深めていく。

子供政策連携室を核に、子供たちが将来に夢と希望を持っていきいきと活躍できる東京の実現に向けて、都庁の総力を挙げて子供政策を強力に推進していく。

② こども基本条例の効果的な発信について

【質問】

こども基本条例について、子供自身や周囲の大人が条例の内容を理解できるよう、分かりやすく的確なメッセージを発信すべきである。普及啓発に当たっては、様々な媒体を用いて、効果的な発信を行うべきと考えるが、見解を伺う。

【福祉保健局長】

子供があらゆる場面で社会の一員として尊重され、健やかに育つ環境を整備するという、こども基本条例の理念を実現するには、子供をはじめ、全ての都民に条例の内容を理解していただくことが必要である。

都は来年度、編集・検討委員会を設置し、子供の年齢や発達段階に応じて、条例の内容などを説明する数種類のリーフレットを検討するとともに、子供たちにメッセージが届くよう、多様な媒体の活用など効果的な情報発信の手法を検討する。

子供たちの意見も聴きながら、普及啓発ツールを有効に活用して、学校や関係機関、区市町村と連携し、様々な機会を捉えて条例の趣旨を広く周知していく。

③ 子供の意見表明等に係る区市町村支援の制度設計について

【質問】

子供の意見表明や参加の促進、権利擁護の充実を図る取組が少しでも前に進むよう、区市町村が更なる充実を図ることや、初めて取り組む区市町村が最初の一歩を踏み出せるよう後押しするような仕組みとする工夫が必要と考える。どう制度設計していくのか、見解を伺う。

【福祉保健局長】

都は、子供の意見表明、参加の促進や権利擁護の充実に取り組む区市町村を包括補助で支援しており、現在、6区市がこの補助を活用して、子供会議など子供が参加する仕組みづくりや、子供の権利を守る子供相談室の運営などに取り組んでいる。

来年度は、この6区市も含め、子供の権利を尊重し、擁護するための施策を計画して、新たな取組を開始する場合、補助率を現行の2分の1から10分の10に引き上げる。

多くの区市町村でこの取組が進むよう、具体的な取組事例を示すとともに、対象となる事業の要件などについて、区市町村の意見を聴きながら検討し、幅広く支援していく。

④ 東京都出産応援事業の実施状況について

【質問】

東京都出産応援事業の実施状況について、伺う。

【福祉保健局長】

都は、コロナ禍において、不安を抱えながら出産・育児に臨む方々を社会全体で後押しするため、子供1人当たり10万円分の子育て支援サービスや育児用品などを提供する、東京都出産応援事業を今年度から開始した。

先月末までに約8万5千世帯に活用されており、「都が育児を応援してくれてありがたい。」など、数多くの感謝の声を頂いている。

また、都民の具体的なニーズを把握して施策の参考にできるよう、利用登録の際に、専用ウェブサイトで、年代や居住地域などのほか、都の子供・子育て施策の利用状況や子育て支援に関する意見、要望などについて、アンケートを実施している。

⑤ 東京都出産応援事業に係るアンケートについて

【質問】

本アンケートは子育て家庭のニーズを把握できるものであり、貴重な都の財産である。これをしっかりと生かすべきと考えるが、見解を伺う。

【福祉保健局長】

このアンケートは、出産応援事業を利用する年間約10万世帯を対象に行うものであり、利用登録した全ての家庭から確実に回答を頂き、都の施策についての認知度や活用状況、要望などを直接確認できる貴重なツールである。

頂いた御意見を踏まえ、速やかに対応可能な、子育て支援情報の提供方法の改善などを行っており、今後さらに、アンケートの内容を居住地域や年代等と併せしっかりと分析し、施策構築に生かしていきたい。

また、来年度、子供政策連携室が設置されることも踏まえ、関係各局と連携し、様々な分野で子育て家庭のニーズが施策に反映されるよう、分析結果を最大限活用していく。

⑥ 妊婦健康診査の公費負担等について

【質問】

現在、都内区市町村や関係機関の合意により、14回分まで一定の公費負担を受け、共通受診券を用いて都内医療機関で受診できる体制を取っている。まず、14回分の公費負担を受けられるようになった時期と、受診票を用いた現在の健康診査の仕組みについて、伺う。

【福祉保健局長】

都内では、現在、妊娠届出を行った妊婦に区市町村が受診票を交付し、都内医療機関での妊婦健康診査の際にこの受診票を提出することで、公費負担により受診が可能となっている。

平成21年度から、公費負担額を超えた場合などを除き、14回まで自己負担なく受診が可能となっており、令和3年度の公費負担額は、1回目の健康診査が10,850円、2回目以降は5,070円となっている。

助産所や都外医療機関で受診する場合は、原則として受診票による公費負担の対象外であり、償還払いで対応している。

⑦ 妊婦健康診査に係る区市町村の取組について

【質問】

独自に助産所で受診票を使用できる市もあると聞いている。都民の利便性を向上するため、現在実施していない区市町村において、助産所で受診票を使えるようにすべきだが、見解を伺う。

【福祉保健局長】

現在把握しているところ、都内では、八王子市と東村山市が、独自に市内及び近隣市の助産所と契約を締結し、受診票を使用して妊婦健康診査を受診できる体制をとっている。

助産所での受診票の取扱いを、早期に都内全域で統一するには、事務処理上の課題があるが、今後、妊婦の方の利便性の向上に向け、区市町村での取組が進むよう、八王子市や東村山市のような、助産所での受診時に償還払いを不要とする取扱いについて、各自治体の判断で可能であることを通知する。

また、他道府県において、償還払いを不要とする取扱いとしている事例について把握し、今後の参考にしていく。

⑧ 多胎児妊婦に係る支援の充実について

【質問】

多胎児を妊娠している妊婦の健康診査は、公費負担のある14回の範囲で収まらない場合があると聞いている。そこで、支援を充実すべきと考えるが、見解を伺う。

【福祉保健局長】

多胎妊婦は、単胎妊婦に比べて妊婦健康診査の受診間隔が短く、公費負担を行っている14回を超えることがある。

このため都は、来年度から、多胎妊婦の15回目以降の健診費用を負担する区市町村を新たに支援していく。

具体的には、健診に要する費用のうち、妊婦1人当たり5回を上限に、区市町村負担分の2分の1を補助することとしている。

現在までに2万4千件を超える取組を支援しており、今後、感染状況の推移を踏まえながら、中小企業が厳しい経営環境に対応できるよう、事業の進め方を検討していく。

⑨ ヤングケアラーへの支援について

【質問】

学校において、ヤングケアラーを早期に発見し適切な支援につなげることはもとより、子供がヤングケアラーについて知り、いざ困ったときには、相談できる窓口があることや、行政サービスを受けられることについて理解できるようにすべきである。見解を求める。

【教育長】

学校では、教員が子供の生活リズムの乱れや、服装、忘れ物の状態等の変化を捉え、関係機関と連携し、ヤングケアラーへの支援を行っている。

これに加え、子供自身が、家族のケアや家事に対する過度の負担を担っていることに気付き、自分から支援を求めることができるようにしていくためには、子供がヤングケアラーについて理解できるよう働きかける必要がある。

そのため都教育委員会は、ヤングケアラーの現状や、利用できる支援サービスに関する資料を作成し、区市町村の担当者と連携した福祉に関する授業でその活用を促し、子供自身の気付きや理解につなげていく。

⑩ 障害者の社会参加の促進について

【質問】

都は、放課後等デイサービスなどにおいて、学齢期の障害児などが良好な対人関係やマナーなど、社会生活におけるスキルを身に付けるための訓練機会を提供されるよう、施策を進めるべきと考えるが、見解を伺う。

【福祉保健局長】

知的障害のある方などが地域で自立した生活を送るには、対人関係や自己管理などのスキルを身に付けることが重要であり、適切な支援や訓練を行える人材の育成が必要である。

都は今年度、障害児通所事業所等に対し、こうした訓練の実施状況などを調査したほか、学識経験者等から現状と課題など意見を聴取した。

今月には、区市町村や事業所の職員等を対象に、支援事例の紹介などを行う講演会を開催するとともに、来年度からは、福祉・医療・教育などの関係者による検討会を設置し、今年度の調査結果を分析し、支援の在り方について検討していく。

都市課題

① 都の審議会等における女性委員任用率算定の考え方について

【質問】

都の審議会等における女性委員任用率算定の考え方について伺う。

【生活文化局長】

都の審議会等においては、専門性や多様性などの観点から幅広い意見を都の政策・方針決定過程において反映するため、学識経験者、専門的知見を有する方など様々な立場の委員を任用している。

女性委員任用率については、審議会等の設置根拠となっている法律や条例等の規定において役職が指定されている委員、区市町村の長などは、都の裁量で決めることができないため、男女を問わず算定対象外とした上で、目標値を定め、女性委員の積極的な任用を図っている。

② 東京都防災会議条例等の改正について

【質問】

知事は今定例会の施政方針において、「防災会議及び国民保護協議会における女性委員の拡大に繋がる条例案を提案した」と表明した。そこで、改めて東京都防災会議条例等の改正の狙いについて、知事に伺う。

【知事】

東日本大震災や熊本地震など、過去の大規模災害の教訓として、女性や要配慮者などの視点に立った避難所運営や備蓄品の確保等の必要性が明らかになった。

このため、都はこれまで、東京都防災会議条例を2度改正し、女性委員の拡大を図り、避難所における乳児用液体ミルクの確保や、「避難所管理運営の指針」の改訂など、女性や要配慮者などの視点を踏まえた対策を進めてきた。

今後の地域防災計画の修正に当たっては、計画の実効性を向上させるため、医療や福祉、ボランティアなど、防災に関わる様々な分野から、女性等の視点を取り入れていく。

このため、防災会議条例を改めて改正し、女性をはじめとした多様な視点を反映できる体制を構築することとした。

こうした取組により、災害への備えをより一層強化し、都民の安全・安心の確保に向け全力で取り組んでいく。

③ 地域防災計画の修正について

【質問】

新たな地域防災計画の策定に当たり、その検討段階において、女性の視点を踏まえた検討を進めていくべきと考えるが、都の見解を求める。

【総務局長】

女性の視点に立った防災対策を進めるため、熊本地震などの被災地支援の経験を有する女性職員を集めたPTを新たに設置する。

このPTでは、各職員の被災地での経験を活かし、現在の地域防災計画を改めて点検するとともに、避難所運営の改善や、災害用物資の充実など、防災対策の実効性を高めるための検討を全庁横断的に進めていく。

さらに、実際に被災した住民の方や、被災地での支援経験が豊富なボランティアの方からも、女性から見た被災現場での課題等をお聴きすることなどにより、幅広い女性の視点を計画の検討段階から積極的に取り入れていく。

こうしたきめ細かな取組を通じて、女性の視点を取り入れた防災対策をより一層充実・強化させていく。

④ 善福寺川における洪水対策について

【質問】

善福寺川における洪水対策についてハード・ソフト両面から伺う。

【建設局長】

善福寺川では、豪雨に対する安全性を高めるため、これまで都は護岸や調節池の整備を着実に進めてきている。

今年度は、大成橋下流等で護岸整備を進めるとともに、和田堀公園調節池では取水施設が完成し、今月末に稼働を開始する。さらに、青梅街道などの地下を活用したトンネル式の新たな調節池の基本設計を進めており、令和4年度は概略的な施工計画の検討等を実施していく。

これらの対策に加え、住民の迅速な避難につながるソフト対策も重要である。このため、来年度は、河川監視カメラを2か所で増設し、映像を公開するとともに、区の監視カメラの映像についても、都の水防災総合情報システムから、直接アクセスできるよう改良していく。

こうしたハード、ソフト両面からの取組により、善福寺川の豪雨対策を一層推進していく。

⑤ 水害時の首都高活用について

【質問】

江東5区では、首都高への避難は命を守るためのやむを得ない選択だが、住民が押し寄せ事故が発生すれば悪影響となる。都は、国との連携はもちろん、関係自治体と協力し、緊急避難に際し必要なルールの策定を急ぐべきと考えるが見解を伺う。

【東京都技監】

首都高は、災害時に救援物資の輸送などを確保する役割がある一方、大部分が高架構造であることから、大規模水害時に、やむを得ず逃げ遅れた方々の命を守る緊急的な安全確保先としての活用が考えられる。

こうした中、本年1月、国や関係自治体などが参加する高台まちづくりワーキンググループにおいて、首都高をはじめとする道路高架部等を、災害時の警戒レベル5における緊急安全確保先の1つとして検討していくことを関係者で確認した。

引き続き、地域の実情を踏まえ、救援物資の輸送などの機能の確保との関係などに加え、首都高への安全な避難誘導のルールづくりについても検討を進め、早期の活用に向け取り組んでいく。

⑥ 高台まちづくりについて

【質問】

高台まちづくりのモデル地区は、江戸川区内の3箇所となっているが、今後は、江東5区をはじめ、希望する自治体の要望に応え、モデル地区の拡大を図るべきと思うが、見解を求める。

【東京都技監】

高台まちづくりについては、国との連絡会議で取りまとめたビジョンを踏まえ、地区特性を踏まえた事業化の推進に向けて、現在、国や関係区と共に、江戸川区の3地区について先行的に検討している。

一方で、それぞれの区の行政区域全体を対象とした高台まちづくりの方針についても検討を進めており、例えば足立区では、災害に強い拠点づくりの観点から検討している。

今後、全体方針の検討を深度化するとともに、新田地区をモデル地区に追加するなど、高台まちづくりが実践できるよう、都としても国と共に取り組んでいく。

国やワーキンググループに参画する関係7区と連携し検討対象の拡大を図りながら、水害に対して安全な高台まちづくりを推進していく。

⑦ 都立滝山公園について

【質問】

滝山公園は、「丘陵地公園」から「史跡公園」へと踏み出し、滝山城跡の遺構の保存と活用の両立を図りながら、公園整備を進めていくべきと考える。そのための計画を策定すべきと考えるが、都の見解を伺う。

【建設局長】

都立滝山公園は、多摩川沿いの加住丘陵の東端部に位置し、雑木林などの自然豊かな公園であり、その一部は国の史跡滝山城跡に指定されている。

これまで、城跡の遺構を来園者に分かりやすく伝えるため、空堀や曲輪などの草刈りや間伐を重点的に行うとともに、解説板の設置等を進めてきた。一方で、一部の遺構については、長年の風雨等による影響も確認されていることから、修復等に取り組む必要がある。

このため、来年度から、計画的な修復等による遺構の保存や一層の活用を図ることを目的に、文化財保護法に基づく保存活用計画の策定に着手する。

引き続き、国や地元市等と連携しながら、滝山城跡の貴重な遺構を適切に次世代に継承していくため、史跡の保存活用を含めた滝山公園の整備に取り組んでいく。

⑧ 和田堀公園における杉並区ドッグランの整備について

【質問】

和田堀公園における杉並区営ドッグラン設置に関する協議状況について伺う。

【建設局長】

都立公園にドッグランを設置する場合には、設置可能な場所の確保、駐車場の確保、ボランティア団体等の協力、近隣住民の理解の4つを全て満たす必要がある。

都が計画した12公園への設置は完了しているが、このたび杉並区から、和田堀公園において区自らがドッグランを設置し運営することについて申し入れがあった。これを受けて、都は、ドッグランの設置に必要な条件を満たすことを前提に、現在、設置可能な場所の選定や運営管理の方法等について区と協議を行っている。あわせて、近隣住民の理解を得られるよう、丁寧な説明を行うことを区に求めている。

都立公園では初めてとなる、区市町村が運営するドッグランの設置に向けて、引き続き区との協議を進めていく。

女性活躍推進

① 都営地下鉄での女性専用車両拡大について

【質問】

早期に女性専用車両を拡大していくためにも、例えば、他の鉄道事業者と相互直通運転をしていない大江戸線から、具体的な検討を進めるべきと考えるが、見解を伺う。

【交通局長】

都営地下鉄では、痴漢行為を防止するため、痴漢撲滅キャンペーンの実施、車内防犯カメラの整備、新宿線での女性専用車両の運行を継続的に実施してきた。

痴漢は犯罪で決して許されない行為であるが、都営地下鉄でも、依然として一定の被害の申し出を受けている。こうした中、コロナ禍以降、各路線の混雑率は全体的に低下しており、女性専用車両の導入拡大に伴う他の車両への影響は比較的小さくなると想定される。

導入拡大に向けて、まずは利用者の規模が最も大きく痴漢通報件数も相対的に多い大江戸線を対象に、朝ラッシュ時間帯の詳細な利用実態や新宿線への導入で得られた知見・ノウハウ等を踏まえながら検討していく。

多くのお客様のご理解とご協力を得ながら、誰もが安心して利用できる環境づくりを推進していく。

② 女性活躍推進企業等との合同就職面接会について

【質問】

都は、厳しい雇用環境に置かれている女性の早期の再就職を実現するため、マッチング機会の充実を図るなど、就業支援を強化するべきと考えるが、見解を伺う。

【産業労働局長】

都は来年度、コロナ禍で雇い止めなどにより離職した女性の再就職をサポートするため、新たなマッチング支援を実施する。

具体的には、育児や介護と両立を図ることのできるテレワーク等の多様な勤務形態を導入し、女性が働きやすい職場を作り表彰された企業など、約200社が参加する大規模な就職面接会を開催する。この会場では、セミナーを実施し、非正規から正規雇用での再就職に役立つ資格取得等の情報の提供も行う。これに加え、ライフ・ワーク・バランスを推進するイベントを一体的に開催し女性が柔軟な働き方等を学ぶ機会を提供する。

これらの取組により、女性の早期の再就職を後押ししていく。

③ 女性のデジタル人材の育成について

【質問】

都は、デジタル分野の職務経験の少ない女性求職者の方に対し、デジタル人材としての基礎的な知識・技能を付与するため、育児中の女性も参加できる能力開発支援を行うべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

都は来年度、女性が実践的なデジタルスキルを習得する職業訓練を開始し、DX(デジタル・トランスフォーメーション)に対応できる人材を積極的に採用するIT企業等への就職をサポートする。

具体的には、デジタル分野の業務経験の少ない女性が事務処理ソフトの操作から、クラウドを用いた業務運営ローコードを使ったシステム開発までを、短期間で学ぶ訓練を300人の規模で実施する。この訓練を身近な場所で受講できるよう、都内10か所に託児サービス付きの会場を設け、育児中の女性も参加しやすい取組とする。

また、訓練修了後、パソコンやWi‐Fi機器を貸与し、eラーニングによるスキル向上を支援する。

こうした取組により、女性がデジタルスキルを身に付け、就業できるよう後押ししていく。

医療施策

【質問】

都として、休日・全夜間診療事業を継続できるようにするため、時間外労働の上限規制適用後も、引き続き大学病院から医師が派遣され、地域の医療体制が確保できるよう、現段階から国に対して働きかけを行うべきと考えるが、見解を伺う。

【福祉保健局長】

医師の働き方改革を推進するため、令和6年4月から時間外労働の上限規制が適用されることになっており、現在、医療機関において、適切な労務管理に向けた取組や医師労働時間短縮計画の策定などが進められている。

都は、医療機関に医業経営や医療労務管理のアドバイザーを派遣するなど、計画策定を支援している。

また、大学医局からの医師確保が困難となり、医師不足による救急医療の縮小などの地域医療への影響が生じないよう、国に対し、医師の働き方改革の取組状況を検証することや、医療機関の経営状況を踏まえた実効性のある支援を行うことなどを提案要求していく。

大規模なパラスポーツ大会の調査

【質問】

デフリンピックの開催に向けて取組を加速するためにも、ブラジル大会の状況を把握し、都として対応すべきと考えるが、知事の見解を伺う。

【知事】

都はこれまで、パラスポーツの国際大会を支援するため、様々な調査を実施してきた。

中でも、デフリンピックは聴覚障がい者のための総合的な国際大会であり、国の財政支援をはじめ、様々な関係者の協力が必要であるが、パラスポーツの一層の発展とともに共生社会の実現に繋がるものと考えている。

5月に開催予定のブラジル大会については、開催地であるカシアス・ド・スル市における、競技や輸送などの具体的な運営状況を調査する。

また、聴覚障がい者の大会ならではの情報保障などのアクセシビリティへの対応や配慮について、実態を把握する。

こうした調査なども踏まえ、都としてのデフリンピックへの対応を速やかに検討していく。

今後とも、様々なパラスポーツの国際大会が東京で開催できるよう取り組んでいく。

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