都議会公明党を代表し、知事提出の全議案に賛成し、議員提出議案第21号及び第22号に反対する立場から討論を行います。
初めに、第226号議案、令和3年度一般会計補正予算(第17号)について申し上げます。
新型コロナの感染は、落ち着いているものの、オミクロン株の発生や年末年始等の人流が増大する期間を控え、感染防止策の強化は、引き続き、都政の重要な課題です。
また、長引くコロナ禍や原油価格の高騰等の影響により、苦境に立たされてきた飲食店や観光業等の事業者からは、一刻も早く正常な経済活動を取り戻してほしいとの強い要望が寄せられています。都議会公明党は、こうした切実な声を受け止め、11月24日、知事に新型コロナ感染拡大防止と経済活動の再生に関する緊急要望を行いました。これらの我が党の要望に応え、都が、総額1,047億円の補正予算案を編成したことを評価するものです。
一方、オミクロン株の感染が世界で拡大の様相を呈しており、国内でも新たな感染者が確認される等、予断を許さない状況です。こうした危機意識から、先の代表質問において、万が一、オミクロン株による感染が急拡大した場合の迅速な対応を求めました。これに対し、知事は、宿泊療養施設を都内の濃厚接触者の待機施設にするとともに、陽性者の検体のゲノム解析や東京都健康安全研究センターが独自に構築した変異株PCR検査手法を実施していること、また、この検査手法を近隣県と共有するほか、民間検査機関にも拡大すること、さらに、今後、陽性者が見つかった場合には、濃厚接触者の範囲を広げて積極的疫学調査を行う等、複合的な対策を先手、先手で講じることで、都民の安全を確保していく考えを明らかにしました。
感染第6波から都民を守るためにも万全の備えを強く求めるものです。
次に、年末年始の支援についてです。
打撃を受けている事業者や厳しい生活の渦中にある都民に対して、年末年始の支援策を適切に講じていく必要性を訴える我が党の主張を踏まえて、知事は、事業者向けのつなぎ融資による金融支援や緊急の就職面接会の開催、TOKYOチャレンジネットの拡充等、都民や事業者が安心して年末年始を送るための様々な対策を講じる考えを明らかにしました。着実な取り組みを強く求めます。
次に、雇用対策についてです。
コロナ禍で雇用不安を抱える非正規雇用者等に対し、新たな分野で働くためのスキル取得等の再就職支援や、女性の早期の再就職に向けた就業支援の強化を主張しました。これに対し、都は、非正規雇用者向けの新たなスキル取得のための支援等の事業規模を拡充すること、女性の働きやすい職場として表彰した企業等が参加する新たな就職面接会の開催やマッチング機会の充実を図ること等、いずれも前向きに検討する方針を明らかにしました。積極的に支援を進めるよう強く求めるものです。
次に、文化施策についてです。
先の第3回定例会で表明された、文化プログラムの成果とコロナ禍で得た経験を基に、新たな文化戦略を策定する方針を踏まえ、その策定に当たっては、「文化芸術立都・東京」を実現する戦略とすべきと主張しました。これに対し、知事は、東京が今後も成熟していくためには、世界を魅了する東京独自の文化や芸術が絶えず生み出され、都民の生活がより豊かになることが重要との認識を示しました。
新たな文化戦略の中で特に、新進芸術家や芸術団体への支援の拡充と情報発信の充実の観点を踏まえ、明確なメッセージを発信していくことを改めて強く求めるものです。
次に、我が党の政策目標、チャレンジ8に掲げる3つのテーマについて申し上げます。
1点目は、高校生までの医療費無償化についてです。
助成対象を高校3年生まで広げつつある全国自治体の動きも踏まえ、都は、高校3年生までの医療費無償化を早期に実施し、全国を牽引すべきです。これに対し、知事は、先行自治体を含め調査を行う等、状況の把握に努めると答弁しましたが、都内の各自治体と必要な協議を行いながら、早期に実現することを改めて強く求めるものです。
2点目は、重粒子線治療についてです。
先の第3回定例会において答弁を得た、重粒子線治療施設導入に関する調査検討状況を質すとともに、採算性の検証等に必要な調査費の計上など、最新のがん対策について検討すべきと主張しました。これに対し、知事は、事業採算性の検証を含め、最新のがん対策について検討する考えを明らかにしました。
働きながらでも、がんの治療を受けられるようにしていくことが重要であり、そのために重粒子線治療施設の導入を改めて強く求めます。
3点目は、動物保護についてです。
都の動物愛護相談センターの新設に当たっては、医療を十分に提供できる態勢の構築が不可欠と指摘しました。これに対し、知事は、センターに必要な機能について、専門家等の意見を十分に聞きながら検討を進めていく旨を答弁しました。
新設するセンターは、本来の動物保護付きの施設にすることを改めて求めるものです。
次に、高校生一人1台端末の導入についてです。
都議会公明党は、時代を切り拓く子どもたちが等しくデジタル機器を使いこなし、存分に学べる環境を保護者の経済的負担とならないように配慮しながら整備すべきことを一貫して求めてきました。知事が所信表明で、「高校段階の一人1台端末に係る保護者負担額を3万円とし、さらに多子世帯にも支援する」と明らかにしたことを踏まえ、先の代表質問において、改めて見解を求めました。これに対し、知事は、令和4年度入学生から端末購入に係る保護者負担を定額とする補助制度を創設するとともに、多子世帯の負担を軽減するため、多子世帯の保護者負担額の2分の1を支援する考えを明らかにしました。
未来を担う子どもたちが、自己の可能性を広げることのできる教育環境の実現に向けて、強力に取組を進めていくことを強く求めます。
次に、同性パートナーシップについてです。
都議会公明党は、同性パートナーシップ制度の創設を粘り強く訴えてきました。先の代表質問においても、当事者や有識者から寄せられた意見を踏まえて検討を加速し、来年度からの制度開始を主張しました。これに対し、知事は、制度の来年度内の導入に向けて、今年度に基本的な考え方を示す考えを明らかにしました。
制度内容を十分検討し、来年度早期に創設するよう、改めて強く求めるものです。
次に、東京ベイeSGまちづくり戦略と築地地区都有地活用事業の実施方針についてです。
東京の成長の要となるベイエリアの将来像を実現するために、まちづくり戦略にはSDGsの達成が果たされた絵姿を示し、都は、持続可能な社会モデルの構築をリードすべきです。また、都議会公明党は、ベイエリアの発展の核となる築地まちづくりについて、地元区との連携を重視しつつ、都民の夢と希望を育み、世界の主要都市に類のないロケーションを生かしたまちづくりとすることを訴えてきました。さらに、築地周辺の資源を生かし、新たな文化と歴史を発信する拠点を形成することを求めるものです。
次に、日本共産党による議員提出議案についてです。
共産党は、3年前も同趣旨の条例案を提出していますが、その際にも本会議討論で厳しく指摘したことを、改めて申し上げます。
共産党案では、合わせて約90億円となる巨額の費用を必要とする事業でありながら、その財源について、地方自治法が求める首長である知事との事前の調整が図られておらず、財源確保の見通しが全くもって不透明です。当時も既にこれらの問題点を指摘されていたにもかかわらず、今回も実現に向け何らの汗をかくことのないまま提出しています。こうした手法は、受け狙いのパフォーマンスであり、全く無責任であると厳しく指弾するものです。
最後に、一昨日、都が発表した、新型コロナに感染し、本年8月14日に自宅で亡くなられた方の事案について申し上げます。
8月6日に病院の検査で陽性になったにもかかわらず、病院が保健所に発症届を提出せず、本人に保健所から5日経っても連絡がない事から、本人が保健所に直接電話をしましたが、保健所も対応をしなかったため、8月14日に亡くなられました。亡くなられたご本人及びご遺族は、本当に無念であったと思います。当該病院及び都の責任は、重大です。
しかも、この案件は、8月18日に所管の福祉保健局が知ったにもかかわらず、一昨日まで都は発表しませんでした。
今後、都は、当該保健所を含む福祉保健局の責任の所在を明らかにするとともに、二度とこのような事案が発生しないよう、体制整備は勿論のこと、組織の体質改善にも取り組むべきであると強く求めるものです。
以上、都議会公明党は、地域に根差したネットワークの力を強みに、都民の声と真摯に向き合い、生命と暮らしを守り、経済の回復に向けて、現場主義で都政をリードすることをお誓い申し上げ、討論を終わります。