新型コロナウイルス対策
① 大規模接種会場を活用したワクチン接種について
【質問】
大規模接種会場での知見を活用し、現在、1日の感染者の中で最も多く、行動範囲も広い20代の若者や学生に国や都の施設などによる大規模会場を設置し、医療人材派遣会社を活用したワクチン接種を行い、感染拡大を効果的に予防していくべきだが、知事の見解を伺う。
【知事】
大規模接種会場を活用したワクチン接種についてであるが、ワクチンは、新型コロナウイルス感染症を抑え込んでいくための有効な手段であり、まさにゲーム・チェンジャーである。
そのため都は、今月8日から東京2020大会の会場施設を活用した「東京都築地ワクチン接種センター」を開設し、警察や消防関係者等を対象に接種を開始する。また、ワクチン接種を更に加速させるため、今後の大規模接種会場の設置についても現在検討を進めている。
その対象については、エッセンシャルワーカーや教育関係者、交通・運輸業務の従事者など、様々な御提案や要望を頂いており、専門家の方からは、行動範囲の広い20代の若者などへの接種も選択肢の1つと伺っている。
会場の設置場所についても、地域バランスなどを考慮する必要があることから、「ワクチンチーム」も活用しながら、早急に区市町村と調整していく。
また、東京都看護協会や歯科医師会、お申し出を頂いた有志の方に接種への協力を依頼するとともに、医療人材派遣会社も活用し、接種を担う医療人材の確保を進めていく。
区市町村や関係団体等と引き続き連携しながら、1日も早い接種の完了に向け、全力で取り組んでいく。
② 新型コロナ感染症の医療提供体制について
【質問】
感染拡大傾向の続く東京は、入院の必要な患者を速やかに受け入れられるよう、早急に取り組むべきと考える。都は新たに回復期支援病院への参加協力を要請すべきである。併せて見解を伺う。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
新型コロナ感染症の医療提供体制についてであるが、都は今後の感染拡大に備え、都が要請した場合に通常医療を制限するなどにより、新型コロナ患者のために転用する病床を含め、最大確保病床として6,044床まで確保することとしている。
加えて、これらの病床を有効に活用するため、新型コロナ治療後で回復期の患者の転院を受け入れる病床を、回復期支援病院で約1,000床確保している。
引き続き、感染状況や各医療機関の実情を踏まえ病床の転用を要請していくとともに、回復期支援病院についても、患者の受入謝金や転院搬送経費等の支援策を活用しながら、説明会や個別の働きかけにより新規参加を呼びかけ、更なる病床の確保を進めるなど、患者の病状に応じた医療提供体制を着実に整備していく。
③ 宿泊療養施設の利用促進について
【質問】
都は、宿泊療養を徹底するとともに、活用をしやすくするために、療養施設に入るまでの待機時間の短縮化、宿泊療養者に聞き取りを踏まえた療養環境の改善等に取り組むべきと考えるが、見解を伺う。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
宿泊療養施設の利用促進についてであるが、都は、軽症者等について宿泊療養を原則とし、対象となる方に直接、宿泊療養の趣旨等を丁寧に説明し、理解を求めており、現在、保健所から依頼を受けた翌日には、全ての方が宿泊療養施設に入所可能となっている。
本年4月からは、高齢者と同居している方など、家庭内感染のリスクが高い方等が、保健所から依頼を受けたその日に入所できるよう、手続に要する時間を短縮し、これまでに200人以上の方が即日に入所するなど、より早期の入所が可能となっている。
また、入所者のアンケート調査結果を踏まえ、食事内容の見直しなど療養環境の改善を進めていくこととしており、今後とも宿泊療養施設の利用促進に取り組んでいく。
④ 新型コロナ陽性者の急増や急変に備えた対応について
【質問】
患者急増時、病状を踏まえ、円滑に入院や療養につなぐとともに、急変時の受入体制を確保することが必要である。感染者の急増や急変に備えた対応を早急に検討すべきだが、見解を伺う。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
新型コロナ陽性者の急増や急変に備えた対応だが、都は現在、「療養/入院判断フロー」を活用して、入院や宿泊療養の円滑な調整や判定を行っているほか、新規陽性者数が急増する事態に備え、フローの運用について専門家や関係機関等と意見交換している。
また、本年4月から、東京都医師会や夜間休日に往診等を実施している事業者と連携し、自宅療養者の体調が悪化した際に、医師による速やかな電話・オンライン診療や往診を開始するとともに、往診する医師が緊急時に活用できるよう、酸素濃縮装置の確保も進めている。
さらに、自宅等で療養中の患者が急変した場合の救急搬送先として、都立・公社病院を中心に受入体制を確保するなど、引き続き患者の急増・急変時にも適切に医療を提供できる体制の整備に取り組んでいく。
⑤ 商店街の感染症対策の後押しについて
【質問】
繁華街にある商店街でのPCR検査をモデル的に実施するとともに、そこで得られたノウハウ等を活かして、都内に多くある商店街でのPCR検査の取組を普及させ、感染症対策と経済活動を両立させていくべきと考えるが、都の見解を求める。
【産業労働局長】
商店街の感染症対策の後押しについてであるが、商店街は、身近な買い物や飲食の場として、人々が交流する地域コミュニティの中心であり、感染症対策の徹底と経済活動を両立させていくことは重要である。
このため、現在都では繁華街にある商店街の協力を得て、まだ発熱等の症状がない段階でのPCR検査のモデル実施に向けて準備を進めている。
具体的には、検査ブースを設けて飲食店等の従業員や来街者から検体を採取し、原則翌日に検査結果を通知する仕組みを検討している。
今後、モデル事例の成果を検証し、多くの商店街がPCR検査を用いた感染拡大防止に取り組めるよう支援していく。
⑥ 中小企業の人材確保等について
【質問】
奨学金を利用している学生の皆さんが、人手不足であるITや建設業などの分野の中小企業へ就労した場合には、奨学金の返済負担を軽減する支援策を都として検討すべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
中小企業の人材確保等についてであるが、デジタル社会の進展や労働力人口の減少が見込まれる中、ITや建設などの業界においては、人手不足が大きな課題となっている。
とりわけ採用活動に十分な経費や時間をかけることができない中小企業の状況は深刻であり将来、企業の中核として経営やマネジメントを担う優秀な若手人材の確保は喫緊の課題である。
こうした中、都はこれまで業界団体と連携した採用活動の支援や、職業訓練等による人材育成などに取り組んできた。
一方、現在、大学等で学んでいる学生の中には奨学金の受給者も多く、コロナ禍で職に就くことができない方や収入に余裕がない方などにとって、奨学金の返済が負担になっているという調査結果もある。
今後、都内産業の動向や業態・業種の就業状況を見据え、人材確保に課題を抱える中小企業と奨学金返済負担の軽減を必要とする若者の双方に、効果的な方策を検討していく。
⑦ 東京都中小企業者等月次支援給付金について
【質問】
「東京都中小企業者等月次支援給付金」を活用し、可能な限り多くの事業者を支援すべきと考えるが具体的な内容について伺う。
【産業労働局長】
東京都中小企業者等月次支援給付金についてであるが、都内中小企業の経営環境は依然として厳しく、都の景況調査では、新型コロナ感染症の発生前と比べ、約4割の事業者が30パーセント以上売上を減少させている。
このため都は、臨時交付金を活用し、国の月次支援金の支給要件である50パーセント以上の売上減少を30パーセント以上まで緩和する。その際、都独自で6月までの3か月分で最大30万円を支給するなど、国の制度では対象とならない中小企業についても幅広く支援する。また、国の月次支援金に、酒類販売事業者には3か月合計で最大60万円、その他の事業者には15万円を上乗せすることで、売上が大きく減少した中小企業へのサポートも充実する。
今後とも、緊急事態措置等の影響を受けた中小企業の経営を着実に下支えしていく。
⑧ 公立小中学校のICT支援員の配置状況について
【質問】
教員のスキルを向上させ、自信をもって授業に臨むことが大事である。ICT支援員の配置支援を今年度は、重点目標として取り組むべきと考えるが、進捗状況について伺う。
【教育長】
公立小中学校のICT支援員の配置状況であるが、全ての区市町村で1人1台端末が整備されたことから今後はこれまでの授業にデジタルを組み込み、学習活動を一層充実させていくことが必要である。
このため都教育委員会は今年度も、端末導入後の円滑な活用を支援する1校1名の支援員の配置を可能とする取組を継続し、区市町村教育委員会を支援している。これまで、46の区市町村が活用しており、各学校に配置された支援員は、端末の設定や校内での教員研修、授業等で教員と連携しながら端末活用の促進を図っている。
今後、こうした取組に加え、全教員のデジタル活用能力の向上を図るため、各校での中核となる教員向けの研修を実施し、校内での利活用推進体制の構築を図り、児童生徒の学習の充実に向け取り組んでいく。
⑨ 子供食堂への支援について
【質問】
昨年度は配食や宅食についても、子供食堂の活動を継続できるように、年間で170万円の支援を都と区市町村で行ってきたが、令和3年度は減額された。昨年以上にコロナの感染が拡大している現状を考えれば、むしろ支援を充実すべきと考えるが、見解を伺う。
【福祉保健局長】
子供食堂への支援についてであるが、都は、昨年度、コロナ禍においても、子供食堂が食事の提供を通じて子供たちの生活状況を把握できるよう、クーラーボックスなどの資機材の購入といったイニシャルコストも含め、配食・宅食の実施に必要な経費を支援してきた。今年度は、主に集合して食事をする本来の子供食堂への支援を予定していたが、第3回目の緊急事態宣言が発令されるなど、依然として厳しい状況が続く中、食堂の開催に代えて配食・宅食が増えており、御会派の要望も踏まえ、今回、緊急対応策として、包括補助の中で、配食・宅食への補助を、年12万円から60万円に見直し、補助率10分の10で支援する。
今後も、区市町村と連携して、子供と家庭を必要な支援につなげる子供食堂の取組を支援していく。
⑩ 都立学校における生理用品の配備について
【質問】
令和3年予算特別委員会において、「生理の貧困」を取り上げ、また、教育長宛てに「緊急要望」を行った。都教委は早期にこの課題解決に向けて取組を進めていくべきだと考えるが、都立学校における生理用品の配備に向けた検討状況と今後の取組について伺う。
【教育長】
都立学校における生理用品の配備についてであるが、これまで、学校の保健室では、児童・生徒の必要に応じて、養護教諭等から生理用品の提供を行っている。
今般のコロナ禍により、経済的な理由等で入手が難しい子供たちがいることが浮き彫りになった。
こうしたことから、都立学校においても、児童・生徒がいつでも入手できる環境を整える必要がある。
そのため、本年5月から、都立学校7校の女性用トイレに、先行して生理用品を配備し、配置場所や補給方法等、管理上の課題の整理等を進めている。
今後は、これらの先行実施校での取組状況を踏まえ、児童・生徒が安心して学校生活を過ごせるよう、本年9月から、全校で実施していく。
⑪ シルバーパスの一斉更新について
【質問】
都は昨年度、シルバーパスの一斉更新について、新型コロナの感染防止の観点から、会場方式から郵送方式に切り替えて実施した。都議会公明党は、本年9月の一斉更新も郵送方式で行うよう、知事に要望している。昨年度の実施状況と今年度の取組について、見解を伺う。
【福祉保健局長】
シルバーパスの一斉更新についてであるが、例年9月に、都内各地に会場を設置し、利用者に新しいパスを発行しているが、昨年度は、会場での新型コロナウイルス感染症の感染リスクを考慮し、郵送方式により約94万人分のパスを更新した。
今年度も、コロナ禍における高齢者の心理的不安等を考慮し、昨年度と同様、郵送による一斉更新を実施するため、必要な経費を今回の補正予算案に計上しており、対象者約104万人へ、8月中に更新案内等を発送し、9月末までに新しいパスを郵送することとしている。
実施に当たっては、広報東京都やホームページ、ポスターなどの様々な媒体を活用して周知を図るとともに、専用のコールセンターを開設するなど、利用者が円滑に更新手続を行えるよう取り組んでいく。
オリンピック・パラリンピック
① 安全な五輪開催について
【質問】
大会時には海外から選手・大会関係者を合わせて数万人が来日する。長い歴史の中で初めて延期を余儀なくされた経緯から、万全の対策を講じることが重要であり、安全な大会開催に向けた道筋を数値を含め明確に示すべきであるが、知事の見解を伺う。
【知事】
東京2020大会についてであるが、史上初の延期となった大会を成功に導くためには、安全・安心な環境を整えることが最優先であり、実効性のあるコロナ対策を行うことが重要である。
そのため、都、国、組織委員会等で構成されるコロナ対策調整会議において、専門家も参画し、水際対策、入国後の行動、健康管理の徹底など国内外の国際大会やプロスポーツで得られた知見も踏まえながら、幅広く議論を行っており、その結果を選手、大会関係者が守るべきルールとしてプレイブックにまとめている。
本年4月には、選手村滞在期間を競技終了後2日後までにするなど最短にするほか、入国前検査を複数回にするなど変異株に対応した対策の具体化を行ったところであり、今後、さらに、テストイベントや最新の知見をもとに最終版を策定する。
これらの取組は、大会参加者はもとより、日本に居住する方の安全を守るためのものでもあり、WHOからも、リスク管理を確実にするための正しい判断と取組への努力として評価されている。
なお、最近のテストイベント等においては、海外アスリート等を含め、700人以上が参加したが、陽性者は、空港検疫で隔離された1名のみであった。
海外から来日する大会関係者については、安全・安心な大会を実現するために、IOC、IPCに対し、約18万人から7万8千人と来日人数を半減以下にするなどの削減の徹底や、行動管理、健康管理の徹底を求めている。
また、大会時の医療体制については、引き続き、地域の医療への影響が出ないよう、丁寧に調整していく。
引き続き、感染の再拡大を防ぎ、徹底的に抑え込むため、現下のコロナ対策に全力で取り組むとともに、関係機関と連携・協力し、安全・安心な大会の開催に向け、着実に準備を進めていく。
② シティキャストのコロナ対策について
【質問】
シティキャストについては様々なコロナ対策が行われるが、やはり、検査を行うことが一層の安全性を高めることにつながる。それは地域の安全・安心にとっても重要である。シティキャストについて、検査の実施も含めコロナ対策を万全にする必要があるが、見解を伺う。
【オリンピック・パラリンピック準備局長】
シティキャストのコロナ対策についてであるが、シティキャストの活動にあたっては、感染予防マニュアルにのっとり、検温や体調の確認、体調不良時の活動回避、マスク着用や手洗い・手指消毒の徹底などの対策を着実に実施していく。
また、検査は、無症状感染者のスクリーニングを行えることから、本人の健康管理はもとより、周囲への感染防止にもつながる点で効果がある。
このため、現在、変異株に対応した追加的対策として、大会関係者に対する検査のあり方について、国や組織委員会と実務的な調整を行っている。
今後、この調整状況や、観客数の検討状況も踏まえ、検査の実施も含め、シティキャストの効果的なコロナ対策について検討していく。
③ 文化芸術振興について
【質問】
文化は人を楽しませ、心を豊かにする欠かすことのできないものである。こうした観点からスポーツと両輪の関係にある文化プログラムを着実に実施して大会を成功に導くとともに多くの都民が文化芸術に触れる機会を拡大するための仕組みを作るべきである。所見を伺う。
【生活文化局長】
文化芸術振興についてであるが、文化芸術は、都市の魅力を形成する要素となるだけでなく、人々を支え、感動や生きる喜びをもたらす極めて重要なものである。
これまで都は、コロナ禍において、文化活動の担い手であるアーティストやスタッフ等を支援するため、「アートにエールを!東京プロジェクト」を実施してきた。
また、オリンピック・パラリンピックに向け、多彩な文化プログラムを、感染対策を十分講じながら開催し、オンライン配信なども活用し広く世界に発信していく。
今年度後半には、多くの都民が文化芸術に触れていただけるよう、音楽や演劇、映画、伝統芸能など幅広い分野のアーティストや団体が参加できる大規模なフェスティバル等への支援を行う。開催に当たっては、誰もが気軽に参加できるイベントとなるよう工夫を凝らしていく。
④ 平和の祭典について
【質問】
大会の開催を通じて世界平和を希求することは、オリパラ大会だけが有する価値であり、恒久平和を願う日本、そしてその首都東京こそが、平和のメッセージを発信するときである。平和の祭典としての取組状況について、明快な答弁を求める。
【オリンピック・パラリンピック準備局長】
2020大会における平和への取組についてであるが、オリンピック憲章では平和な社会の推進がうたわれており、民族や国境を越えた平和の祭典として大会を成功させ、次世代に引き継ぐことが重要である。
これまでも、国連総会で59日間のオリンピック休戦決議の採択や、難民選手団の参加が実現するほか、ボランティア研修を通じ大会と平和についての理解を深めるなど、組織委員会等と連携して取り組んできた。
大会中には、選手が平和への祈りを込めてサインするモニュメント、休戦ムラールを選手村に設置するほか、日比谷公園での各国大使館等による文化発信を通じ国際理解を促進する。橋本会長も、国際オリンピック休戦センターの理事に就任しており、組織委員会とともに、世界へ平和のメッセージを伝えていく。
⑤ 同性パートナーシップ制度の推進について
【質問】
都議会公明党は、同性パートナーシップ制度の実現を本会議や予算特別委員会で主張してきた。5月31日の総務委員会でわが党議員が紹介議員となった請願が趣旨採択された。都は、これを踏まえ、制度創設に踏み出すべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
同性パートナーシップ制度の推進についてであるが、いかなる種類の差別も許されないという、オリンピック憲章に唱われる人権尊重の理念を広く浸透させていく上で、全ての都民が個人として尊重されることが重要である。
都はこれまで、性自認及び性的指向に関する基本計画を策定し、性的マイノリティの方々を対象とした取組を進めるとともに同性パートナーシップ制度について導入事例などの情報収集を行ってきた。
パートナーシップ制度は、婚姻関係に関わるものであるが、関係法令等との整合の下で この制度を導入することで、性的マイノリティ当事者の人権の尊重が図られ、多様な性に関する都民の理解も進むという効果が期待できる。
今年度、当事者の切実な声や都民の意見を幅広く把握するための実態調査を実施し、都としての同性パートナーシップ制度の検討を進めていく。
子ども・子育て施策
① 東京都こども基本条例の施行に伴う都の取組について
【質問】
東京都こども基本条例は、子どもの権利条約の精神にのっとり、子供施策を総合的に推進することを都の責務として定めたものである。東京都こども基本条例が施行されたことによる、都の取組について、見解を伺う。
【福祉保健局長】
東京都こども基本条例の施行に伴う都の取組についてであるが、都の施策全般について、子供の目線に立って推進するという条例の趣旨を実現するため、本年4月、子供・子育て施策推進本部に、庁内22局、35名からなる部会を設置し、各局が連携して取組を進めることとした。
また、都の現状を把握するため、各局での子供を対象とした広報・広聴の状況等の調査を実施するとともに、子供の意見表明や、学校や地域社会等への参加促進の考え方等について、有識者にヒアリングを実施している。
今後、これらを踏まえ、「未来の東京」戦略に掲げる子供施策のヴァージョンアップに向け、子供の視点を施策に反映する仕組みや、子供に分かりやすく条例の内容を伝える普及啓発の手法について検討していく。
② 教師のヤングケアラーへの支援について
【質問】
ヤングケアラーの子供は、家族の世話をするのを当たり前と考え、自分から言い出せない現状がある。教師がケアラーを見つけて支援につなげる仕組みを作るべき。教師のケアラー支援の研修会を行い、子供への支援を強化すべきと考えるが、都教育委員会の見解を伺う。
【教育長】
教師のヤングケアラーへの支援についてであるが、教職員は日常的に子供と接していることから、子供や家庭が抱える様々な課題を早期に発見し、スクールソーシャルワーカー等と連携しながら、福祉等の支援につなげてきた。国の調査で明らかになったヤングケアラーについても、同様の取組を進めていく必要がある。
これまで都教育委員会は、子供を取り巻く状況を把握するためのアンケート例として、学校生活のほかに、家庭や家族等に関する質問項目を加え、学校が子供の小さな変化を見逃さないよう促してきた。
今後、教職員がヤングケアラーの現状について理解を深められるよう、SSW等と連携して対応した事例等を生活指導担当教員の連絡会で共有し、各学校の研修等で理解促進を図るなど、子供への支援を強化していく。
③ ヤングケアラーについて
【質問】
ヤングケアラーの子供は、自分から言い出さない現状があり、教師が、家庭訪問等をして発覚するケースが見受けられる。教育と福祉分野の連携強化が必要である。ワンストップの窓口の設置や教育部門と福祉部門の連携の在り方について、見解を伺う。
【福祉保健局長】
ヤングケアラーについてであるが、ヤングケアラーは、本人や家族に自覚がないなどの理由から、支援が必要であっても表面化しにくいと言われている。こうした子供を早期に発見し、適切な支援につなげるには、福祉・教育など様々な関係機関が緊密に連携することが必要である。
そのため、都は現在、子供・子育て施策推進本部のもとに、関係各局で構成する連絡会を立ち上げる準備を進めている。
今後、ヤングケアラーと思われる子供やその家庭を早期に把握し、状況に応じた適切なサービスにつなげられるよう、相談支援体制の充実や、福祉・教育をはじめとする関係機関の連携の在り方などについて、具体的に検討していく。
④ 不妊治療の保険適用に伴う都立・公社病院の取組について
【質問】
地域医療を担い都民に身近な都立・公社病院においても、この機を捉え、民間医療機関との役割分担を図りながら不妊治療により一層取り組むことが重要である。都の見解を求める。
【病院経営本部長】
都立・公社病院での不妊治療についてであるが、不妊治療には、現在保険適用である排卵誘発療法等と、保険適用外となる体外受精や顕微授精等がある。
体外受精や顕微授精等の不妊治療を実施するためには、生殖医療専門医等の人材を確保するとともに、培養器などを備えた胚培養施設や専門の外来ブース等の整備が必要である。現在、都立・公社病院では墨東病院や豊島病院などにおいて、治療を受けるに当たり不安を持つ方への丁寧な相談対応や、不妊症の原因検査を行いその結果に応じ排卵誘発療法などの治療を行っている。
今後、産科のある都立・公社病院で生殖医療や生殖心理等の専門人材の育成や確保を進めること等により、相談や診療体制の更なる充実強化を図るとともに他の医療機関との連携を強化していく。
動物愛護管理施策の今後の取り組み
【質問】
本年3月、東京都動物愛護管理推進計画が改正され、人と動物との調和の取れた共生社会の実現を目指すための施策展開が明らかに示された。本計画のもと動物愛護管理施策の今後の取組について、見解を伺う。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
動物愛護管理施策の今後の取組についてであるが、動物愛護管理法の改正や動物愛護管理審議会の答申を踏まえ、本年3月に改定した動物愛護管理推進計画では、施策展開の方向性として、動物の適正飼養の啓発と徹底、動物の致死処分数の更なる減少を目指した取組の推進、事業者等による動物の適正な取扱いの推進、動物由来感染症・災害時への対応強化の4つを掲げている。
また、これら施策の推進の中核を担う動物愛護相談センターについては、機能強化に取り組むこととしている。
今後、本計画に基づき、都民、事業者、ボランティア、獣医師会等の関係団体や区市町村と連携しながら、人と動物との調和のとれた共生社会の実現に向け、動物愛護管理施策を推進していく。
学校現場におけるパワー・ハラスメント対策
【質問】
パワハラの問題解決にあたっては、コンプライアンスを強化し第三者による検討委員会を設置すべきである。教育長の見解を伺う。
【教育長】
学校現場におけるパワー・ハラスメント対策であるが、悩みを抱える教員がいつでも安心して相談できる窓口を整備するとともに、解決を図る仕組みを確実に機能させていくことが重要である。
これまで都教育委員会では、都立学校の教職員に対しては、学校経営支援センターに相談窓口を設置したほか都の外部弁護士による電話相談など第三者への相談も可能である旨を周知している。また、昨年度には全公立学校の教職員を対象に電子メールによる相談受付を導入し、相談しやすい環境を整えてきた。
今後、相談者の思いを受け止め、解決に向けて適切に対応できるよう、第三者の更なる活用について検討していく。こうした取組により、教職員の働きやすい学校現場の実現を図っていく。
待機児童対策
① 「共産が認可保育所増設」はウソ
【質問】
最近、共産党が、平成25年第3回定例会で保育所の用地購入補助を設ける条例案を提出したことで、認可保育所増設に大きく貢献したと、党首を先頭に喧伝している。
この条例案は、公立と社会福祉法人立の保育所のみを対象とするものであり、圧倒的多数で否決されて“空振り”に終わったにも係わらず、“この条例案を受けて都が認可保育所増設へと舵を切った”としており、それにより認可保育所が増えたと言い張っている。
そこで、そもそもこうしたことを受けて、都が認可保育所増設に舵を切ったという事実はあるのか、ないのか。また、現在、保育所の用地購入費補助は行っているのか、梶原副知事に伺う。
【梶原副知事】
保育サービスの充実についてであるが、「保育の実施主体である区市町村が、認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育、家庭的保育などの地域の様々な保育資源を活用して整備する。」
こうした考えの下、都は保育サービスを整備する区市町村の取組を支援してきており、現在でもこの考えに変わりはない。
また、これまで都は、平成20年度に開始した「保育サービス拡充緊急三か年事業」以降、「次世代育成支援東京都行動計画(後期)」や「東京都子供・子育て支援総合計画」等において、保育サービス利用児童数等の具体的な目標数を定め、取組を進めてきた。
さらに、小池知事就任後は、待機児童解消を都政の最重要課題の1つに位置付け、就任直後の平成28年9月には、「待機児童解消に向けた緊急対策」を策定した。それ以降、「保育所等の整備促進」、「人材の確保・定着の支援」、「利用者支援の充実」の3つを柱に、保育サービスの拡充に取り組み、平成28年度当初予算では978億円だった保育関係予算は、今年度、1,984億円と倍増した。
こうした取組の結果、平成28年4月に8,466人であった待機児童数は、本年4月の速報値ベースで、1,000人を切る見込みとなっている。
なお、保育所の用地購入費補助については、これまで行っていない。
② 増加したのは共産が批判していた私立の認可保育所のほう
【質問】
共産党は一貫して公設の認可保育所増設を主張し、都が進める多様な保育サービスを否定してきている。株式会社などの私立保育所を“安上がりな保育”“園庭がない”などと批判している。
しかし、現在増えている認可保育所の多くは、私立の認可保育所ではないか。
そこで、小池知事が就任した平成28年と昨年4月の都内における認可保育所の設置数と主な設置主体の内訳について、梶原副知事に伺う。
【梶原副知事】
認可保育所の設置数についてであるが、都内の認可保育所の設置数は、平成28年4月の2,342か所から、令和2年4月には、3,325か所となり、983か所増加した。
その内訳をみると、この間、公立保育所は、901か所から838か所に減少する一方、私立保育所は、1,441か所から2,487か所に増加している。
また、私立保育所の主な設置主体別の内訳は、社会福祉法人が、943か所から1,207か所へと264か所の増、株式会社が、382か所から1,104か所へと722か所の大幅な増加となっている。