北口つよし議員の本会議(2月24日)一般質問

環境対策

① グリーン水素の製造と活用について

※グリーン水素…再生可能エネルギー由来の電力を利用して、水を電気分解し生成される水素

【質問】

都は民間によるグリーン水素の生成・活用を後押しするとともに、都も普及に向けてグリーン水素の活用を積極的に進めるべきと考えるが、見解を伺う。

【産業労働局長】

グリーン水素の製造と活用についてであるが、東京でゼロエミッションを実現するため、再生可能エネルギーにより水素を生産し、活用する取り組みを進めることは重要である。

このため都は、令和5年度、プラントメーカーの提案に基づき、工場などの敷地の中で、水素の生産から活用まで一体的に行う民間の取り組みを後押しする。また、都有地において、都がグリーン水素を最先端の技術を用い、生産する取り組みを開始する。さらに都は、グリーン水素の製造等で実績のある山梨県と協定を結んでおり、令和5年度、同県で生産された水素の活用を開始する。

これらにより、グリーン水素の普及拡大を適切に進めていく。

② 電気自動車(EV)への充電能力の強化についてex

【質問】

世界では、より高出力の充電器の設置が急速に進んでいる。

日本でも高出力の充電器に対応する車種が出始めており、今後は少なくとも出力100キロワットを超える超急速充電器の整備が必要。

世界的なEVシフトも見据え、事業者による高出力の充電インフラの整備をしっかりと後押しすべきと考えるが、知事の見解を伺う。

【知事】

電気自動車への充電能力の強化についてであるが、脱炭素化に向けて、世界各国はEVの開発にしのぎを削り、一度の充電で走行できる距離は大幅に伸びている。これに合わせ、充電のスピードを高める技術も日進月歩で進み、その設置箇所も増えている。

世界に遅れることなく、充電能力の高い機器を増やすことは、EVの普及に向けた重要テーマの1つである。身近な様々な場所に、超急速で充電のできるスポットを広げるため、事業者の取り組みを強力に後押しするのは不可欠だ。

そこで、都は、充電のスピードを飛躍的に高めた機器の設置に対する支援を大幅に充実する。また、これを整備する事業者に対し、充電機器の維持管理や電力の使用に係るコストの軽減につながるサポートを拡充することで、東京にふさわしい利便性の高い充電のインフラを速やかに作り上げていく。

こうした取り組みを通じて、EVの普及を更に加速し、脱炭素社会の実現をしっかりと進めていく。

③ 省エネ家電への買換え促進について

【質問】

都議会公明党は、省エネ家電への買換えを促す東京ゼロエミポイント事業の拡充と継続を要望し、都は要望を踏まえ、令和4年7月にはLED照明機器を新たに対象とするなど、都民がより取り組みやすい制度への充実を図るとともに、令和5年度も事業が継続して実施されることになった。

そこで、これまでの成果と今後のさらなる省エネ家電への買換え促進策について、都の見解を求める。

【環境局長】

省エネ家電への買換え促進についてであるが、都内の部門別エネルギー消費量は、家庭部門が唯一増加しており、その対策は喫緊の課題である。そのため都は、省エネとなる家電への買換えを促す東京ゼロエミポイント事業を令和元年から実施し、拡充を図ってきた。

令和3年度同期比で4割増の申請を受付けており、累計で約65万台と着実に買換えが進んでいる。家庭における省エネ対策を更に推進するため、今後、対象機器に応じた付与ポイントを概ね2割引き上げ、家電買換えを強力に後押しする。

こうした取り組みをHTT普及啓発とも連動させ、広く都民に活用を促すことで、脱炭素で省エネな生活を実現していく。

※HTT…電力を、減らす(H)・創る(T)・蓄める(T)

④ 生物多様性保全に向けた外来種対策について

【質問】

東京の野生生物は、外来種の捕食等により数が減少し絶滅危惧種が増えている。都内の生物多様性の保全に向け、希少な野生生物を守るために、区市町村や各種団体とも連携して、積極的に外来種対策を進めるべきと考えるが、都の見解を伺う。

【環境局長】

生物多様性保全に向けた外来種対策についてであるが、希少種の保全を図るには、生態系被害を及ぼす外来種の対策を多様な主体と連携して進めることが重要である。

都はこれまで、対策強化に向け、区市町村やNPOへの被害状況調査や専門家ヒアリングなどを実施している。

令和5年度、優先的対策種を選定し、効果的な対策のあり方をまとめた方針策定に着手する。これに先行し、特に対策が急務のアカミミガメとアメリカザリガニについて普及啓発や実務者向け手引きの作成に取り組んでいく。

区市町村や環境団体等と共に対策を進めて希少種保全につなげ、良好な生物多様性の保全と回復を図っていく。

災害対策

① 関係区と連携した水害普及啓発について

【質問】

都は、江東5区と連携し、各家庭に水害リスク等を記載した診断書を直接通知する新しい事業、「我が家・我が事」プロジェクトを、浸水リスクの高いエリアなどに対象を拡大して実施するとともに、ネットを活用する若い世代などにも、本事業を積極的に発信していくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【総務局長】

関係区と連携した水害普及啓発についてであるが、風水害時に住民の適切な避難行動を促すためには、予め水害リスク等をわかりやすく周知する必要がある。

都は令和4年度、居住地ごとの水害リスクや推奨される避難行動等を「診断書」としてまとめ、参加者に配布する事業を実施した。アンケートでも多くの参加者が「自宅周辺にここまでリスクがあるとは思わなかった」と回答しており、自身の水害リスクを認識する契機となっている。令和5年度は、浸水リスクの高い地域を対象に、診断書を各戸配布する事業を新たに実施する。その際、若い世代にも関心を持ってもらえるよう発信方法を工夫する。

こうした取り組みを通じ、普及啓発の実効性を一層高める。

② 垂直避難について

【質問】

都もマンションや商業施設など、既存の建物を活用した緊急時の垂直避難先確保に向けて、率先して取り組む必要があると考えるが、都の見解を伺う。

【都市整備局長】

垂直避難についてであるが、東部低地帯での水害への備えとして、都では都有施設の活用、地元自治体では既存建物等の活用による緊急時の垂直避難先の確保に取り組んでいる。各区では商業施設等と避難者受入れに係る協定を締結しているほか、葛飾区では建物の新設・改修時における退避空間整備への独自の補助を開始している。一方、国が令和3年度設けた退避空間整備に対する補助制度は、規模要件が厳しく活用が進んでいないが、都から国へ補助要件の緩和を求めた結果、令和5年度より要件緩和が実現することとなった。

今後とも、更なる垂直避難先の確保に向け取り組んでいく

障がい者施策

【質問】

障がい者の社会進出のきっかけとして、スポーツの果たす役割は重要である。

障がいの有無に関係なく、障がい者と健常者がともにプレーをする中で、障がい者は自信を深め、健常者はより障がいを理解する。

真の共生社会の実現に向けて、障がい者と健常者が一緒にスポーツの楽しさや魅力を味わい、交流できるスポーツ大会を開催すべきと考えるが、今後の都の取り組みについて見解を伺う。

【生活文化スポーツ局長】

スポーツを通じた交流機会の提供についてであるが、障害のある人とない人が共にスポーツをする中で、お互いを理解し、尊重し合うことは重要である。

都は、東京2020大会のレガシーとして、誰もが参加できるボッチャ大会を開催してきた。全国大会の出場権が与えられるこの大会は、真剣勝負の場であり、貴重な交流の機会となっている。また、東京都障害者スポーツ大会においても、障害のある人とない人が共にスポーツに親しみ、競い合う競技を行っている。令和5年度も新たな競技を実施することで、参加者の裾野拡大につなげ、相互理解を図っていく。

今後も、こうした取り組みにより、交流機会の創出に努めスポーツを通じた共生社会の実現を目指していく。

教育施策

① 私立学校のデジタル環境整備について

【質問】

都はタブレット等、ハード整備に関する補助を実施している。一方で、学校関係者からは、端末を使用した効果的な授業方法や、児童生徒の端末操作をサポートする支援員配置などのサポートを望む声も聞いている。

私立学校のデジタル環境整備において、支援員配置など、ソフト面での支援も必要と考えるが、都の見解を求める。

【生活文化スポーツ局長】

私立学校のデジタル環境整備についてであるが、これからの時代に求められる多様な学びを提供するためには、デジタル機器の導入に係るハード面での支援とともに、機器を活用した教育を推進するためのソフト面での支援が重要である。

そのため、これまで行ってきた私立学校デジタル教育環境整備費補助事業において、教育用端末や電子黒板、校内無線LAN等の整備に係る補助に加え、令和5年度からは、機器の活用に際し専門的な知見を持つアドバイザー等の助言支援や研修などを受けられるよう、補助対象を拡充する。

こうした取り組みにより、私立学校のデジタル教育環境の充実を一層後押ししていく。

② 中途退職した教員の復帰支援について

【質問】

令和5年度からカムバック採用を新設とのことだが、中途退職者が再度教職を目指す場合、教壇を降りてから時間が経過し、不安を覚えるケースも少なくない。

復帰を目指す人材に対して、復帰条件の緩和と共に、不安を取り除くための支援をすべきと考えるが、見解を伺う。

【教育長】

中途退職した教員の復帰支援についてであるが、都教育委員会では、介護等で中途退職した都の公立学校教員が改めて教員を目指す場合、一定の要件に基づき一次選考を全て免除する、カムバック採用を新たに開始する。

さらに、教員復帰者やいわゆるペーパーティーチャー向けに、大学等と連携し、模擬授業等の実践的な講習を実施するなど、教育現場から離れていた人も、安心して着任できる仕組みを整える。

これらの取り組みにより、経験者を含む多様な層から着実に教員確保を図っていく。

③ 教育実習生の受入れに対する支援について

【質問】

教員を目指す学生が初めて教育現場に触れる機会が教育実習である。学生が子どもや現役教員と接し、有意義な経験を得ることで、教員になりたいとの思いを強く持てるようにすることが大切である。

教育実習生受け入れに対しても更なる支援をすべきだが、見解を求める。

【教育長】

教育実習生の受入れに対する支援についてであるが、教育実習は、学生が実地体験を通して、教員として必要な知識や心構えを学ぶとともに、教員志望を固める重要な機会である。

このため都教育委員会は、実習生への接し方のポイントを各学校に周知するほか、受入れを行う区市町村教育委員会に対し、実習生が授業準備に使う端末等や、担当教員が実習生の指導に専念するためのサポート人材に係る経費を補助するモデル事業を新たに実施する。

これらにより、教育実習生がより意義のある経験ができるよう、各学校を支援していく。

④ 都立高校における生徒の心のケアについて

【質問】

都教育委員会は、都立高校をモデル校として、生徒が自分のスマートフォン等から心身の状況を入力し、教員が確認するシステムの実証研究を行っている。

実証研究の成果を踏まえ、システムを早期に全都立高校に導入すべきと考えるが、都教育委員会の見解を求める。

【教育長】

都立高校における生徒の心のケアについてであるが、都教育委員会は、令和3年度、都立高校の生徒の心身の変化を把握するためのシステムの実証研究を行った。その結果、生徒からは、教員に相談したいという意思を伝えやすくなった等の感想が、教員からは、必要な支援を迅速に行うことができるようになった等の報告があった。

これらの成果を踏まえ、令和5年3月より、全ての都立高校でこのシステムを活用できるようにし、相談体制の一層の充実を図っていく。

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