まつば多美子議員の予算特別委員会(3月7日)代表総括質疑

財政

① コロナ対策経費と財源内訳について

【質問】

都は、都議会公明党の政策提言を踏まえ、累次に渡る補正予算を編成し、コロナ禍に柔軟に対応してきた。今後もこうした突発的な財政需要を想定した財政運営を行わなければならない。そこで、令和2年度から令和4年度における、年間のコロナ対策経費と、国の財源、都の財源の内訳について伺う。

【財務局長】

令和2年度決算における、医療提供体制の確保や社会経済活動を支える取り組みなど、コロナ対策経費は、全体で1兆7,406億円であり、このうち、国からの財源が全体の45パーセントで7,898億円、都の財源が残りの55パーセントで9,508億円となっている。

令和3年度決算におけるコロナ対策経費は、全体で2兆5,628億円、このうち、国からの財源が84パーセントで2兆1,411億円、都の財源が16パーセントで4,217億円である。

また、令和4年度の予算額では、コロナ対策経費全体で1兆1,938億円、このうち、国からの財源が72パーセントで8,575億円、都の財源が28パーセントで3,362億円となっている。

② 財政運営について

【質問】

都の財政運営における基金の重要性について、令和5年度末における基金全体の残高見込み、財政調整基金の残高見込みと併せて、知事の認識を伺う。

【知事】

都の歳入構造は、法人二税の占める割合が高く、景気動向の影響を受けやすい特徴を有しており、リーマンショックの際には、1年間で約1兆円もの税収減に見舞われた。

加えて、都は地方交付税の不交付団体でもあり、他の自治体以上に自立的な財政運営を行っていかなければならない。突発的な財政需要や税収減などのリスクに備えつつ、100年先も豊かさに溢れる持続可能な東京を築き上げていく。

そのためには、強固な財政基盤の堅持が不可欠であり、中でも、基金は、財政運営上重要な役割を担っている。

こうした認識の下、令和4年度最終補正予算において、新たに3つの基金を創設するなど、基金残高の確保に努めており、5年度末における基金全体の残高は、1.7兆円、財政調整基金の残高は、6千億円となる見込みである。

高齢化の進行や都市の強靱化、産業構造の転換など、東京が抱える課題への対応を図りつつ、今後とも、都民の暮らしを守るための積極的な施策を継続的に展開していくことができるよう、基金の戦略的な活用を含め、持続可能な財政運営に努めていく。

③ 事業評価の取り組みの経緯と財源確保額の推移について

【質問】

都議会公明党が推進してきた複式簿記・発生主義による公会計制度も分析のツールとして活用した事業評価の取り組みにより、継続的に事業見直しを行っていくことが重要である。そこで、これまでの事業評価の取り組みの経緯と、財源確保額の推移について伺う。

【財務局長】

事業評価は、財政再建期に集中的に実施した事業見直しの成果を踏まえ、財政再建達成後も見直し努力を継続する仕組みとして再構築したものである。限られた財源の中で、都政の諸課題に対応するため、事業の効率性、実効性の向上、無駄をなくす取り組みの徹底へと繋げている。

評価に当たっては、資産等のストック情報や減価償却費などを含めた真のコスト情報を明らかにする新公会計制度を分析のツールとして活用するとともに、全ての事業に終期を設定し、事後検証を徹底するなど、毎年度創意工夫を凝らしながら、着実に実績を積み重ねてきた。

こうした取り組みにより、令和5年度予算編成では約1,141億円の財源を確保し、事業評価の取り組みを開始した平成19年度以降17年間の合計で約8,800億円の財源確保へと繋げた。

耐震化促進税制

【質問】

都議会公明党が度重ねて訴えてきた新耐震基準の耐震化について、第1回定例会の代表質問で令和5年度の予算案での対応について見解を求め、都からは、診断や設計、改修について、旧耐震と同様の助成を開始するとの答弁があった。

令和5年度から助成を開始することから、平成12年以前に建築された新耐震基準の木造住宅を改修した場合も、耐震化促進税制の軽減対象に加えることができないか、都の見解を伺う。

【主税局長】

都は、23区内において、昭和57年1月1日以前から所在する旧耐震基準に基づき建築された住宅を、令和6年3月31日までに耐震改修した場合に、国の減額制度に上乗せをし、固定資産税及び都市計画税の減免を行っている。

平成12年以前に建築された新耐震基準の木造住宅を改修した場合も、耐震化促進税制の軽減対象に加えることについては、都の新たな助成制度及び区における助成制度の導入状況等との整合性や、減免対象となる建物の確認方法等といった課題がある。

令和5年度末に適用期限を迎える国制度の動向も注視しつつ、関係局とも連携しながら制度と実務の両面から課題解決に向けた検討を行っていく。

子ども・子育て施策

① 幼児教育・集団保育の充実について

【質問】

幼児教育・保育の充実に向け、望めば全てのご家庭で集団保育の効果が享受できる社会の実現が望まれるが、改めて「親の就労の有無にかかわらない集団保育」の実現に向けた知事の決意と基本認識を伺う。

【知事】

子供は、未来を担うかけがえのない存在である。チルドレンファーストの視点から社会全体で子供を大切に育むことは、私たちに課せられた責務である。

好奇心旺盛な子供たちが発達の早い段階からできるだけたくさんの学びや経験の機会に触れることは、未来を切り拓き、生きる力を育む上で重要である。

このため、就労の有無といった「親の事情」ではなく、「子供の最善の利益」という観点から幼児教育・保育のあり方を捉え直し、子供を主体とした「子育ち」支援に取り組んでいく。

② 幼稚園等における多様な他者との関わりの機会の創出について

【質問】

令和5年度から開始される「幼児期における多様な他者との関わりの機会の創出」事業については、受け入れ対象施設を保育所等としているが、幼稚園や幼稚園型の認定こども園も対象となるか。また、対象となる場合、幼稚園等に対して事業について周知していくことも重要だが、見解を伺う。

【生活文化スポーツ局長】

この事業では、都内の幼稚園や幼稚園型認定こども園も対象となっている。希望する園が事業に円滑に参加できるよう、事業主体となる各区市町村と連携して周知を行うとともに、都から私立幼稚園団体に対しても重ねて情報提供を行う等の取り組みを行っていく。

③ 利用料の保護者負担軽減について

【質問】

多様な他者との関わりの機会の創出事業に関する第1回定例会の代表質問で、利用料について、都からは、低所得世帯等を対象に負担を軽減するとの答弁があった。一部の報道では、「利用料は保護者が負担する」とされていたため、改めて、利用料の考え方を伺う。

【福祉保健局長】

本事業における利用者負担額は、幼稚園や保育所等の施設種別を問わず、原則、1日当たり2,200円、月額44,000円を上限に、各施設において設定することとしているが、家庭の経済状況等にかかわらず、より多くの児童が利用できるよう、低所得世帯等の利用者負担を軽減する。

具体的には、年収360万円未満の世帯や、要支援家庭等を対象に、区市町村が利用料の負担を軽減する場合、都が経費の一部を補助する。

④ 集団保育の充実に係る保育料の第2子無償化について

【質問】

令和5年度から、保育料の第2子無償化がスタートすることもあり、本事業を利用する家庭の利用料についても、低所得世帯に加え、第2子以降については無償化することを改めて提案するが、都の見解を伺う。

【福祉保健局長】

本事業は令和5年度から開始する取り組みであり、保育所等での実施状況や在宅子育て家庭のニーズ等も把握しながら利用料も含め今後の事業の在り方について検討していく。

⑤ 実施施設数及び受入れ児童数の見込みについて

【質問】

令和5年度の予算案では、多様な他者との関わりの機会の創出事業は、24億円となっている。実施施設数及び受入れ児童数の見込みを伺う。

【福祉保健局長】

本事業の実施施設数は、一時預かり事業を実施している約1,300施設のうち、2割が取り組むと想定して、約260と見込んでいる。

受入れ児童数については、週1回から2回、多いケースでは週4回など、施設が実情に応じて受入れ頻度を定めることとなるが、年間延べ62万4千人を想定している。

⑥ 出産応援事業アンケートの活用について

【質問】

令和4年度のアンケートの分析に関する取り組み状況を伺うとともに、令和5年度、子育てニーズを幅広く把握し、「幼児期における多様な他者との関わりの機会創出」事業の参考にすべきと考えるが、都の取り組みについて見解を求める。

【福祉保健局長】

出産応援事業のアンケートでは、世帯構成などの基本的な項目について聞くとともに、都の子供・子育て施策の認知度や活用状況、要望などについて調査している。

令和4年度は、世帯構成などを集計し、居住地域別の子供の人数等の状況について分析したほか、子育てに関するアンケート結果を母子保健事業等の参考にしている。

今後も、施策の参考とするため、適宜項目の見直しを行いながら、子育て家庭のニーズを把握し、事業の検討に活用していく。

⑦ 認証保育所への施設改修支援について

【質問】

認証保育所の制度創設から20年以上が経過し、施設が老朽化し、改築や改修の必要に迫られている施設もある。都は認証保育所へ定員増を行う際の改修費等を最大3,700万円の助成をしているが、老朽化した施設の改修や移転等に伴う経費にも柔軟に補助すべき。見解を伺う。

【福祉保健局長】

都はこれまで、認証保育所の増床や移転に要する改修経費等について、定員増を伴う場合に補助し、事業者の負担軽減を図ってきた。

認証保育所は、都の保育施策の重要な柱の1つとして、大都市特有の多様な利用者ニーズに対応し、保育サービスの充実に貢献している。

認証保育所が、引き続きより良い保育環境でサービスを提供できるよう、定員増を伴わない施設の改修や移転等について、補助制度の柔軟な運用を検討していく。

⑧ 助産所における妊婦健康診査について

【質問】

令和4年の予算特別委員会で助産所での妊婦健康診査の受診票利用を都内全域で進めるよう求め、都は区市町村単位での取り組みが進むよう通知し、他県の事例も把握し今後の参考にすると答弁した。

助産所における妊婦健康診査の受診票に関し、その後の取り組みについて伺う。

【福祉保健局長】

都は令和4年4月、助産所での妊婦健康診査について、助産所と自治体が個別に契約することで、受診票の利用が可能であることを区市町村に通知した。

これを受け、複数の自治体が実施に向けた具体的な検討を始め、府中市、国分寺市、福生市の3市が新たに取り組みを開始し、現在、5市で受診票が利用されている。

また、助産所で県内共通の受診票等を利用可能としている他県の事例について聴き取りを行い、それらを参考に、都が関係団体と一括で契約する手法を区市町村に提案した。その上で、区市の代表との検討会を令和4年11月と令和5年1月に開催し、都内共通の方法で進める方向性を取りまとめた。

⑨ 助産所における受診票利用について

【質問】

検討会を実施して方向性を取りまとめたとのことだが、受診票の助産所での利用を速やかに開始すべきだが、見解を求める。

【福祉保健局長】

都は現在、助産所で行う検査内容や、助産所と医療機関との連携など、助産所での受診票利用の際に整理が必要な事項について、区市町村や関係機関と具体的に協議している。

引き続き協議を進め、令和5年度には、妊婦健康診査の受診票を助産所でも利用できるよう取り組んでいく。

⑩ アウトリーチ(訪問支援)型の相談事業について

【質問】

教員の中には、業務が多忙であることなどからメンタル面で疲れ、病気休職に入る方も多いと聞いている。教員が普段から悩みなどを気軽に相談でき、心身の健康を維持できるような環境を作ることが大切である。

都教育委員会は令和4年度から、教員を対象としたアウトリーチ型の相談事業を新たに開始している。令和5年度は、事業を拡充するとともに、働きやすい環境整備につなげるように取り組むべき。見解を求める。

【教育長】

都教育委員会は、教員のメンタルヘルスサポートを強化するため、令和4年度、臨床心理士等が小中学校を訪問し、その学校の全教員と面談するアウトリーチ型相談事業を2自治体で開始した。

令和5年度は、対象を30自治体に大幅に拡大するとともに、小学校において病気休職から復帰する全教員を対象とした相談事業も新たに開始する。

本事業では、学校ごとに面談結果を分析し、職場の現状や改善点をまとめ、区市町村教育委員会や各学校に提供することで、教員が安心して働ける環境づくりを推進していく。

⑪ 新規採用教員への支援について

【質問】

教員が安心して継続的に活躍できるようにするためには、新規採用教員への支援こそが重要であると考えるが、取り組みについて伺う。

【教育長】

都教育委員会では、学級担任として全教科を担当する小学校で、すべての新規採用教員に対し、日頃の業務の悩みなどを相談しやすいよう、アウトリーチ型の相談事業を新たに開始する。

また、小中学校を巡回して新規採用教員に対し、授業の進め方や子供への接し方等についての助言を重点的に行うため、定年退職した管理職等を新たに確保する。

こうした取り組みにより、新規採用教員が安心して職務に取り組める環境を整える。

⑫ 産休育業代替教員の前倒し任用について

【質問】

令和4年第4回定例会での都議会公明党の代表質問に対し、産休育業代替教員を産休や育業の期間より前倒しで任用できるようにする、国は年度当初に限っているが、都教委は年度内いつでも任用できるとの答弁があった。

国の方針を上回る意欲的な取り組みだが、その内容や狙いについて具体的な説明を求める。

【教育長】

国は、小中学校における産休等取得に係る代替教員を確保するため、年度当初に限り前倒し任用できることとしており、8月以降の産休等は対象とならない。

一方、都は、高等学校、特別支援学校を含む全ての公立学校を対象に、産休等の開始時期によらず、最大4か月前から、いつでも代替教員を前倒しで任用できることとする。

年間を通じた柔軟な前倒し任用により、代替教員が確保できたタイミングで任用することが可能となるとともに、産休等を取得する教員と代替教員との十分な引継ぎ期間を確保することができる。

こうした取り組みにより、教員が安心して出産・育児に専念できるとともに、子供にとっても安定的な教育環境を整えていく。

⑬ 夜間中学の現状について

【質問】

国においては、全ての都道府県において夜間中学を設置することを目指しており、令和4年4月現在、公立の夜間中学は、15都道府県に40校設置されている。全国的な設置が促進される中、都における夜間中学の現状について伺う。

【教育長】

都内には夜間学級を設置する中学校が8校あり、令和4年5月現在、214名の生徒が在籍している。そのうち約8割の生徒が中国語やネパール語等を母語とする外国籍の生徒である。

各校においては、生徒の日本語の習得状況に合わせてクラス分けを行うなど、きめ細かい指導を実施している。

また、卒業生の半数以上が、定時制高校に進学しており、こうした生徒の多くは、日本国内で安定的に働ける就職の実現を目指し、夜間学級在籍時から継続して、日本語や教科の学習を行っている。

⑭ 夜間中学と定時制高校の連携強化について

【質問】

様々な課題を抱える生徒を受け入れる定時制高校の存在は大切である。

また、増加する日本語指導が必要なクラスでは、中学の3年間だけでは日常会話の習得がやっとであり、教科を学ぶための日本語を習熟するには高校までの継続した学習が必要である。

将来の新たな人材群輩出に向けて、夜間中学と定時制高校の連携を強化する取り組みを行うべきと考えるが、見解を伺う。

【教育長】

都教育委員会はこれまで、区市が設置する中学校夜間学級の日本語指導が必要な生徒を支援するため、日本語学級を設置する学校への教員配置や、高校への進学に当たって、全日制高校8校において、在京外国人枠を設定した入試を実施している。

今後、外国人生徒等に対する支援を強化するため、夜間学級に対する日本語指導員や通訳などの人材の紹介を行う。

また、中学校の夜間学級卒業後に定時制高校等に進学する生徒に対し、切れ目のない継続的な支援を行うため、日本語指導方法や就職等に関する意見交換など、夜間学級と定時制高校等とのより具体的な連携方策について検討していく。

経済対策

① 奨学金返還の負担軽減事業の周知について

【質問】

令和3年度に都議会公明党が提案し、都が令和3年度に補正予算を組んでスタートした奨学金の返済支援による中小企業の人材確保支援について、学生の利用実績はまだ20名を超える程度であり、まずは学生や卒業生にこの事業をもっと知ってもらう必要がある。

奨学金返還の事業の利用を始めた方々を支援し、事業の魅力を多くの学生に伝えていくべきだが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

都は、中小企業の人材確保に向け、建設、IT、ものづくり分野の企業が、技術者として学生等を採用した場合、その奨学金返還を支援する事業を行っている。

この支援について、現在まで、130の中小企業が参加し、建築の設計担当者やプログラマーのほか、製品開発のエンジニアなど中小企業で採用することが難しい技術職に、26名の就職の内定が実現した。

今後は、就職した方が1年間の勤務を経て、奨学金の返済負担を抑えるに当たり、本事業の効果的な利用方法についてきめ細かい相談対応を行う。また、大学等の学生向けの出張講座や説明会で、事業を使うメリットを紹介するなど、学生による利用を増やす取り組みを進める。

これにより中小企業の人材確保を支援する。

② 女性の就労支援の強化について

【質問】

様々な事情を抱える女性が、それぞれの状況に応じて、自宅等でも就職の準備に取り組めるよう、就労支援を強化すべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

都は令和5年度、育児や介護などにより仕事を離れた女性が、限られた時間を活用し効果的に就職活動を行う後押しを継続的に実施する。

具体的には、再就職を目指す女性に対し、オンラインにより、就職のサポート経験の豊かな専門家が助言を行う取り組みを開始する。これにより、就職活動や家庭と仕事の両立に役立つノウハウをきめ細かく提供する。

また、再就職を円滑に進め、家庭との両立を図りながら職場で活躍する女性社員のモデル事例のほか、そうした女性の受入れを進める会社をウェブで紹介する。さらに、求人の増える時期に合わせ、令和6年1月、5千人が参加するオンラインのセミナーも開催する。

これらにより、女性の就業を後押しする。

③ 女性デジタル人材の育成支援について

【質問】

都議会公明党は、女性が活躍の場を広げる可能性がある分野であることから、女性デジタル人材育成に重点を置いて取り組むことを提案してきた。

女性が高度なデジタルスキルを習得し、正社員として活躍できるよう学習から就職までを伴走型できめ細かく支援を行っていくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

都は令和5年度、高度なIT技術を使う女性のプログラマーを育成するため、東京しごとセンターで能力開発と就職支援を一体的に行う取り組みを、100名の規模で開始する。

具体的には、非正規雇用や求職中の女性向けに、IT業界等でプログラミングの業務を行う場合の仕事内容や勤務の状況をきめ細かく紹介するガイダンスを開く。

これに参加された方に対し、限られた時間を効果的に活用しeラーニングにより高度なプログラミングの技術を習得できる半年間の訓練を実施する。

また、受講生一人ひとりに専門家が付き、訓練を適切に進めるための助言を行う。さらに、訓練の途中から、就職を見据え求人企業の紹介を行う仕組みとする。

これによりデジタル分野での女性の活躍を後押しする。

④ 女性活躍の推進について

【質問】

今後、いわゆる「年収の壁」や職場における女性リーダーの活躍の後れ等の課題に正面から向き合い、新しく設置する有識者会議でも取り上げていくべきである。あわせて、気運醸成等を進めていくとのことだが、具体的な取り組みについて都の見解を伺う。

【産業労働局長】

働く女性が、国の税金や社会保険の仕組みを理由に勤務時間を抑える状況を減らすとともに、社内でマネジメントを担う立場に就く割合を増やすことは重要である。

このため都は、就労や生活に関する国の諸制度や会社組織の状況等をテーマとする有識者会議を新たに設け、今月、第1回目を開催する。これにより、学識経験者や経営者、働き手の代表等が議論を行い、その中で女性の就業に係る「年収の壁」や女性管理職を増やす上での課題等も検討する。これらの議論を踏まえ、国への提案要求を行うほか、働く時間と収入の関係についての理解を深め、女性管理職の活躍事例も幅広く発信するイベントを経済団体等と連携して開催する。

これらにより、職場における女性の活躍を後押しする。

⑤ 東京しごとセンターでの求職者支援強化について

【質問】

デジタル化の進展などにより産業構造の転換が進む中、年齢や性別に関わらず、就労を希望する全ての方が必要となる知識やスキルを身につけ、希望する分野で活躍できるよう、都の就労支援施設や職業能力開発施設の機能強化を進めていくことが重要である。

しごとセンター校の設置を契機に、東京しごとセンターを訪れる求職者支援を強化すべきと考える。あわせて、女性の求職者への支援についても都の見解を伺う。

【産業労働局長】

東京の産業の担い手を育成するため、能力開発に取り組むきっかけを増やし、優れた職業訓練を受け確実に就職できるよう支援することは重要である。

このため都は、東京しごとセンターの建物内に、多様な実習を見学し体験できる仕組みを持つ訓練校を新設することとし、令和6年度の開設を目指す。これにより、しごとセンターを訪れる様々な年代の求職者が、その意欲や適性に応じ能力開発に関心を持つよう後押しする。

女性の求職者については、センターの専門のアドバイザーが、希望や状況を聞き相談に乗り、それに応じた実習を体験する案内を行う。また、都内13の職業能力開発センター等も紹介し、職業訓練につなげていく。

こうした取り組みにより能力開発を通じた就業を支援する。

⑥ 被災地応援ツアーの実施について

【質問】

東日本大震災後、都議会公明党は直ちに現地に入り、現地の要望を受け、当時の石原知事に申し入れし、知事の即断でスタートしたのが被災地応援ツアーである。

被災地応援ツアーにより、福島県の観光需要は一時、震災前の80パーセントまで回復したが、新型コロナの影響により事業が停止し、また観光需要は落ち込んでしまった。

このような状況を踏まえ、令和5年度も引き続き、福島県に対する被災地応援ツアーを実施すべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

被災地応援ツアーは、東日本大震災による復興支援のため、緊急対策の一環として平成23年9月より開始した。令和2年の12月に感染拡大の影響により、事業を停止したが、令和4年10月に全国旅行支援の活用に合わせて再開したところである。

これにより、令和4年度、福島県への旅行者を対象に宿泊2万泊、日帰り1万5千人分について、その費用の一部を助成している。また、都内の学校の福島への教育旅行や県が浜通り地方などの振興に向け推進するホープツーリズムへの支援も進めている。

令和5年度についても、福島県の観光を取り巻く状況や現地の要望等を踏まえ、被災地応援ツアーを実施し、震災復興を後押ししていく。

文化・芸術施策

① サポートセンターのワンストップ機能整備について

【質問】

今回、新年度予算案に、仮称東京芸術文化活動サポートセンター設置の予算が盛り込まれている。

設置されるサポートセンターは、多様な相談に対応し、ワンストップ対応が可能となる機能を整備すべきと考えるが、サポートセンターの概要について見解を伺う。

【生活文化スポーツ局長】

アーティスト等の持続的な活動を支え、新たな活動につなげていくため、サポートセンター機能を整備する。

オンラインを活用した相談窓口を設置し、ジャンルや経験を問わず、多くのアーティストやスタッフからの契約や著作権をはじめとした法律相談等に対応する。

また、都の助成事業に加え、国や民間の事業やフェスティバル、アワードの情報を一元的に提供する。

さらに、確定申告や資金調達など、活動に必要なノウハウやスキルを身に付けられる講座等も実施する。

今後、外部の専門家等とも連携し、アーティスト等を支援するハブとして、総合的にサポートを行っていく。

② 地域の芸術文化活動に対する支援について

【質問】

東京のここかしこに芸術文化の活気を生み出すために、地域の芸術文化活動に対し、さらなる支援を拡充していくべきと考えるが、見解を伺う。

【生活文化スポーツ局長】

東京の芸術文化において、地域で活動する団体や担い手の方々の多彩な活動は大きな魅力となっている。

そのため、令和5年度から、地域の文化団体やNPOなどが行う文化活動に対する助成の規模を拡充するとともに、多くの方々が参加し、地域の活性化にもつながる事業には新たに200万円の区分を設定し、支援を強化する。

さらに、令和4年度から開始した2千万円が上限の芸術文化の魅力を創出する助成も活用し、まちなかを舞台にした大規模フェスティバルなどを支援することで、地域の魅力を発信していく。

こうした様々な規模の活動にもきめ細かな支援を行うことで、東京の芸術文化全体の活力向上につなげていく。

③ 子どもの芸術文化に親しむ環境づくりについて

【質問】

豊かな感性の子どもたちが本物の芸術文化に触れることは、心を育み、人間性を高めることにつながっていく。

芸術文化団体とも連携しつつ、子どもが芸術文化に親しむ環境づくりを一層充実させていくべきですが、見解を伺う。

【生活文化スポーツ局長】

都では、東京文化戦略2030において、キッズ・ユース・プロジェクトを掲げ、子供や若者が良質な芸術文化に触れる機会を提供している。

子供たちのミュージアムデビューを応援するプログラムや、演劇や音楽のプロのアーティストと舞台作品を作り上げる事業など、様々な取り組みを展開してきた。

令和5年度は、教育庁の体験事業に協力し、芸術文化団体等と連携して、例えば演者との交流やバックステージツアーといった、鑑賞にとどまらない、心に残る体験メニューを充実するなど、子供たちがより深く芸術文化に親しむ環境づくりを進めていく。

結婚支援

① 結婚支援事業について

【質問】

結婚を望む方の様々な悩みに寄り添っていくことは大事なことである。

結婚に関する悩みや相談事にも応えることができる結婚相談窓口が必要だと考えるが、デジタルの活用を含めて見解を伺う。

【生活文化スポーツ局長】

都のアンケートでは、結婚に関心を持ちながらも、出会いの機会がないことや将来への不安などから婚活に至っていない人が多い。

都は令和5年度、結婚支援マッチング事業において、出会いの機会の創出に併せ、WEBにより気軽に相談できる事業も実施する。具体的には、イベントやセミナーなどその人にあった婚活方法の紹介やコミュニケーションに関する助言、将来の子育てなどへの支援策も案内し、相談者の不安や悩みに応えていく。

こうした取り組みを通じ、結婚を希望しながらも一歩を踏み出せない人の後押しをしていく。

② 結婚・婚活支援について

【質問】

結婚、婚活支援についての知事の思いを伺う。

【知事】

婚活支援について、知事就任以来、様々なイベントなどを催すなどして、また民間と連携しながら、様々な機会を作ってきた。

少子化の1つの原因として、未婚化・晩婚化が言われている。

特に未婚化の部分については、出会いの機会をいかにして作るのか、リアル、AIなども活用したマッチングなど、様々な時代に応じた方法もあると思う。

いずれにしても、個人の自由だが、その機会を作る、そうやって結婚に対しての様々な社会的、そして生活、働き方、これらを取り巻く環境を整えていくことも必要ではないかと思い、都として、今後とも、応援、後押しをしていきたいと考えている。

③ 最新技術を活用した各局のDX(デジタル・トランスフォーメーション)支援について

【質問】

都民を対象に相談やアドバイスを行うサービスでは、対話型AIなど、最新技術の活用が期待される。こうした各局のサービスが効果的なものになるよう、デジタルサービス局が、企画段階から技術面のサポートをしていくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【デジタルサービス局長】

令和5年度から、各局が重点的に取り組むDX案件について、当局が企画立案段階から参画し、上流工程からの協働体制により、質の高いサービス開発に取り組む。

当局のデジタル人材が有している様々な専門分野の知見を活かして、効果的なサポートを行っていく。例えば結婚や子育ての相談やアドバイスでは、AIを活用して最適な情報提供や相談対応につなげる。

また、蓄積されたデータを分析して支援ニーズを把握し、施策にフィードバックするなどの取り組みを進めていく対話型AI等日々進化する最新技術の動向も取り入れながら、都民に真に役立つサービス創出に取り組んでいく。

住宅施策

① 都営住宅・公社住宅の生活ルール周知の多言語対応について

【質問】

都は、今後、入居者の国籍の多様化に応じて、「住まいのしおり」の対応言語の数を増やすべきと考える。また、公社住宅でも同様の取り組みを進めるべきと考えるが、併せて、見解を伺う。

【住宅政策本部長】

都営住宅・公社住宅では、外国人を含め、居住者が住まい方のルールを守り、自治会等に協力しながら、コミュニティの維持を図っていくことが必要である。

これまで、4か国語の冊子・チラシの配布や、東京都住宅供給公社の窓口において通訳端末の使用等により、外国人居住者に対し、日常生活上のルールを周知してきた。

今後、自治会等が、外国人居住者に説明を行う場合の課題を確認することなどにより、都営住宅・公社住宅とも、現行の4か国語以外の言語を用いる居住者への住まい方ルールの周知について、対応を検討していく。

② 都営住宅での大学連携による自治会活動支援について

【質問】

高齢化の状況が特に著しい都営住宅でのコミュニティ支援について、都は、大学と連携して、学生の都営住宅への入居によって、団地内のコミュニティ支援を図る取り組みをスタートさせている。地元自治体と大学との連携が成立することを前提に、他の都営住宅においても積極的に進捗を図るべきと考えるが、見解を伺う。

【住宅政策本部長】

都営住宅の居住者の高齢化、単身化が進む中で団地自治会の活動や地域の活性化を図ることは重要である。

都は現在、都内6つの大学と連携し、学生が都営住宅に入居して自治会活動を支援する取り組みを進めている。

墨田区内の団地では、学生が自治会と協力して、共用部分の清掃や資源回収運動に継続的に取り組むなど、活性化に貢献している。都は、自治会と学生との円滑なコミュニケーションを図るため、定例的な懇談の場を設け必要なサポートを行っている。

今後は、この取り組みについて、地元自治体とも連携を図りながら更なる大学の参加を働きかけ、他の都営住宅においても積極的に推進していく。

③ 都営住宅使用料・公社住宅家賃の多様な支払方法について

【質問】

都は、キャッシュレス決済の進展が著しい昨今の社会的動向も踏まえ、都営住宅や公社住宅において、クレジットカードなどでの使用料の支払が可能となるようにすべきと考える。見解を伺う。

【住宅政策本部長】

都営住宅使用料及び公社住宅家賃の支払については、居住者の利便性や収納率の向上につながる方法とすることが重要である。

現在、都営住宅で約8割、公社住宅で9割以上の居住者が、指定の金融機関からの口座振替を利用している。

今後、都営住宅では、令和8年度を目途に再構築を進めている都営住宅管理総合システムに、キャッシュレス決済機能を反映できるよう、使用料の支払方法について検討していく。公社住宅では、令和5年度から敷金など入居時の初期費用の支払において、クレジットカード決済を導入する。また、家賃等についても、キャッシュレス決済ができる方法を検討していく。

④ 東京こどもすくすく住宅の供給に向けた安全対策の支援について

【質問】

都は、令和5年度予算において、既存の「東京都子育て支援住宅認定制度」を再構築するとしている。

制度の再構築に当たっては、急増するマンションからの幼児の転落事故対策に必要なベランダへの補助錠の設置など、乳幼児を不慮の事故から守り安全性の確保を図るための工夫を最優先に、広く活用が進む事業とするべきと考えるが、見解を伺う。

【住宅政策本部長】

都はこれまで、子育てに適した優良な住宅の供給に意欲的な事業者に対し、認定制度により後押ししてきた。

令和5年度は、更に供給を加速させるため、認定基準の適合度合に応じて認定モデルを3段階に拡大するとともに各モデルに応じた補助限度額等を設定した上で整備費に対して直接補助を行い、幅広い事業者の取り組みを促す。

各モデルとも安全に関する基準の適合を必須とし、現在策定中の新たな認定基準において、御指摘のバルコニー等からの転落防止のための窓への補助錠の設置等を盛り込むことについて、制度の開始に向け検討していく。

⑤ 東京こどもすくすく住宅の補助制度について

【質問】

子育てに適した特徴を備えた住まいという点で、フルスペックの住まいだけ推奨するのではなく、様々なラインナップの住まいとして提供できれば、本制度の活用がより進むものと期待する。

具体的な補助内容について、見解を求める。

【住宅政策本部長】

補助の実施に当たり、各認定モデルに応じ、分譲と賃貸、新築と改修の区分ごとに補助額等を設定する。

具体的には、子供の安全性の向上に特化したセーフティモデルでは、賃貸住宅の新築及び改修で一戸当たり最大50万円、専有部や共用部における子育てに配慮した設備等を事業者の判断により幅広く選択できるセレクトモデルでは、同様に最大100万円、設備等の更なる充実に加え、居住者の交流機会創出等のソフト面も重視したアドバンストモデルでは、同様に最大200万円を補助する。

こうした取り組みにより、事業者の創意工夫を生かしながら、子育てに配慮した住宅の供給を推進していく。

スポーツ施策

① パラスポーツの環境整備について

【質問】

デフスポーツやパラスポーツのすそ野の拡大のためには、聴覚障がい者などへの情報提供への配慮や、身体障がい者などが利用しやすい、建物内での施設間移動におけるバリアフリー化などの点でも、官民問わず改善が進むよう、環境整備を働きかけるべきと考えるが、見解を求める。

【生活文化スポーツ局長】

都はこれまで、スポーツ施設におけるスタッフの配慮や小型ホワイトボードを使用した情報伝達方法の工夫等の好事例を掲載したマニュアルの周知に取り組んできた。

令和4年度、東京2020大会や障害者差別解消法改正等を契機とした事例を収集し、改訂を進めている。

令和5年度は、新たに、希望する区市町村スポーツ施設に対してアドバイザーを派遣し、障害のある方のスポーツ施設の利用促進に向けた改善等の取り組みを後押ししていく。また、民間スポーツ施設には、新たなマニュアルを活用した研修を実施し、きめ細かく普及を図っていく。

こうした取り組みなどを通じ、障害のある方が身近な地域でスポーツに親しめるよう、環境整備を一層促進する。

② デフアスリートの育成について

【質問】

特にデフリンピックでは、あと2年余りの間にアスリートの育成を急ぐ必要があり、時間的猶予がない。

聴覚障がいの当事者団体、一般の競技団体、特別支援学校などとの連携を深め、積極的なアプローチで次世代を担う選手の掘り起こしを行うべきと考えるが、都の見解を伺う。

※デフリンピック…耳の聞こえない選手のための国際的なスポーツ大会

【生活文化スポーツ局長】

都はこれまで、国際大会等を目指すパラアスリートを輩出するための体験会を実施しており、令和4年度から、聴覚障害者も対象に加えた。

バドミントンと自転車の体験会を実施したところ、その中から、競技団体主催の強化合宿への参加者が出るなど新たな選手発掘につながった。

令和5年度は、デフスポーツの体験会を2回実施し、体験できる競技数も拡大する。さらに、チラシ配布やポスター掲示、WEB広告の配信に加え、一般の競技団体等にも周知広報の協力を一層働きかけ、より多くの聴覚障害者の参加を促していく。

③ デフアスリートの競技力向上スタッフ支援について

【質問】

都は、個々のデフアスリートを支える人やデフスポーツ競技団体の支援を行うべきと考えるが、都の見解を伺う。

【生活文化スポーツ局長】

都はこれまで、デフアスリートを含むパラアスリートの競技力向上を図るため、都の認定選手と共に競技に参加する一部のスタッフに、大会参加費等を支援してきた。

令和5年度は、コーチやトレーナー、競技指導を受ける上で必要となる手話通訳者など、選手を支える様々なスタッフに対象を拡大し、最大10万円の経費支援を行う。

また、デフスポーツの中央競技団体が都内で行う競技大会の開催や普及啓発イベント等に対して、1団体当たり250万円を上限とする補助事業を開始する。

今後とも、こうした取り組みを通じて、デフアスリートを含むパラアスリートの競技力向上を後押ししていく。

東京くらし防災

【質問】

女性視点の防災ブックである「東京くらし防災」のリニューアルに当たっては、これまでの災害などから得られた経験や被災者の声を踏まえ、専門的な知見に基づき一層役立つ内容とし、都民の皆様一人ひとりが、その情報をもとに防災対策を進めるよう取り組むべきだが、見解を伺う。

【総務局長】

都は「東京くらし防災」のリニューアルに向け、先月、要配慮者に関する防災の専門家や出版物の編集者など、6名の委員からなる編集・検討委員会を新たに設置した。

第1回の委員会では、多くの命を守るため、女性に加え、高齢者や障害者など、様々な立場の人々が発災時に抱える課題を知る機会にすべき、取るべき行動がより具体的にわかる記述とすべきなど多くの意見をいただいた。

引き続き委員と議論を重ね、リニューアルした「東京くらし防災」を全世帯へ配布し活用していただくことで、自助・共助の更なる促進につなげていく。

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