防災対策
① 妙正寺川における治水対策について
【質問】
2005年、東京を豪雨が襲い、地元・中野区では妙正寺川が氾濫し甚大な被害が発生した。この水害の際、環七地下調整池のトンネルが妙正寺川の下まで掘られていたが吸水施設がなかったため水を取り込めなかった。この取水施設の供用の前倒しなど全力で推進してきたが、豪雨被害から現在まで、妙正寺川において都が進めてきた対策と今後の取組について伺う。
【東京都技監】
妙正寺川における治水対策についてであるが、水害から都民の命と暮らしを守るためには、護岸と調節池の整備を着実に進めていくことが重要である。
2005年の浸水被害を受け、環七通りより下流約3.9キロメートル区間における護岸等の整備と、環状七号線地下調節池に妙正寺川からの洪水も取水する施設の整備を緊急的に行った。加えて、環七通り上流部では、都営住宅の建て替えにあわせて整備した鷺宮調節池で取水を開始したことから、上流に向けた護岸整備を進め、現在、八幡橋付近で工事を実施している。
引き続き、新たな調節池の検討も進めながら、護岸整備を推進していく。
② 都民への水防災情報の提供について
【質問】
川の水位や調整池の稼働状況、大雨への効果などの的確な情報を発信していくべきだ。都民へのわかりやすい情報提供並びに妙正寺川における河川監視カメラの整備状況について伺う。
【東京都技監】
都民への水防災情報の提供についてであるが、水害から都民の命と暮らしを守るためには河川情報の発信などのソフト対策を実施していくことも重要である。
都は、都民の水害への意識を高めてもらうため、大雨警報発表時などにおける総降雨量や最高水位、調節池の貯留量等の実績をまとめて、令和5年8月からホームページでの公表を開始した。また、妙正寺川の河川監視カメラについては、現在、千歳橋など2か所の映像を「東京都水防チャンネル」で公開しており、令和5年度は天神橋など2か所でカメラを新たに設置し、映像を公開していく。
今後とも、護岸等の整備に加え、水防災情報の発信を強化していくことで、豪雨に対する安全性を高めていく。
環境施策
① 山の日の意義と自然への理解促進について
【質問】
全国大会では、首都東京の特色を十分生かした内容となるよう工夫し、より多くの人が楽しみ、山の日の意義や自然への理解を深められるよう取り組むべきである。8月末、大会の実行委員会が設立され、会長に就任された知事の見解を求める。
【知事】
山の日の意義と自然への理解促進についてであるが、東京は、都内最高峰の雲取山や島しょ部の自然のほか、都心にも緑が溢れる多様で豊かな自然と都市機能が調和する都市である。
この美しい自然環境を次世代に引き継ぐために、令和6年8月に開催する「山の日全国大会」を捉えて、都民の自然への理解を醸成し、持続的な環境保全や自然体験活動等を促進していく。
このため、8月、山の専門家や区市町村などで構成する実行委員会を設立した。
今後、委員の意見も頂きながら、自然の魅力が体感できるプログラムや山の多面的な機能を啓発するイベントを東京全体で開催していく。
これらを通じ、多くの都民に、山に親しみ、足を運ぶ機会を提供し、美しく豊かな自然を次世代へ引き継いでいく。
② 人とクマが共存できる環境整備について
【質問】
気候変動による森の食べ物不足も要因となり、人里にクマが出没するニュースを見聞するが、私はかねて森の動物と共存できる環境整備を都に求めてきた。これまでの取組とその効果について、都の見解を伺う。
【環境局長】
人とクマが共存できる環境整備についてであるが、絶滅危惧種のツキノワグマは、狩猟が禁止されているが、樹皮剥ぎ等の林業被害だけでなく、人身被害もあることから人とクマが遭遇しないための対策が重要である。
このため都は、クマが近づきやすい環境をなくすため集落周辺の草刈りや電気柵を設置するほか、地元の奥多摩町と連携した見回り等を実施している。また、クマと遭遇した際の対処方法などをまとめ、ホームページ等を通じ啓発している。これらの取組を講じた場所では、クマの出没がなくなるなどの効果を挙げている。
今後とも、人と野生鳥獣が共存できる環境を目指し、地元自治体と連携し、様々な対策を推進していく。
③ 自然林の保全・創出に向けた取組について
【質問】
自然保護団体が人工林の多い多摩の山々の中で一定の山林を確保し、自然の森づくりに取り組んでいる。都は生物多様性の観点から自然林の保全・創出に向け具体的な取り組みを進めるべきである。見解を求める。
【環境局長】
自然林の保全・創出に向けた取組について、手入れが行き届かない人工林は、荒廃が進み、動植物の生息環境の悪化や、土砂の流出を招くことから適切な管理が重要である。
都は、森林の公益的機能を回復させることを目的に、多摩地域におけるスギ等の人工林で間伐を行っている。具体的には、森林所有者や地元自治体と連携し、これまで約8,030ヘクタールで間伐を実施した。この結果、日照が入り新たに下草が生え、雨水の浸透を促すとともに、実の成る広葉樹が育つなど森林が再生されつつある。
こうした取組を着実に推進し、針葉樹と広葉樹が混じった生物多様性豊かな森林環境を実現していく。
動物施策
① 動物愛護相談センターの整備について
【質問】
都議会公明党は、政策の柱チャレンジ8で、保護機能をしっかり持つ動物愛護センターの整備を掲げ、推進してきた。都は令和4年、センター整備に向けた検討会議を設け協議を重ね、令和5年度、基本計画を策定するとしている。新たなセンターの整備には施設内容のほか設置場所も重要。一方、しっかりとした動物保護機能は継続して殺処分をなくすため重要。新施設整備に向けた見解を伺う。
【保健医療局長】
動物愛護相談センターの整備についてであるが、動物愛護相談センターは、人と動物との調和のとれた共生社会の実現に向け、都の動物愛護管理施策を進める上で中核を担う施設である。
現在、都内3か所の施設は、普及啓発や動物譲渡、事業者の監視指導など様々な役割を担っており、センターを都民に身近な動物との共生推進拠点とするには、動物福祉に配慮した飼養環境の向上やボランティアとの合同譲渡会の開催など、令和4年度の整備検討会での意見も踏まえ、更なる機能強化が必要である。
今後、こうした視点を踏まえ、令和5年度策定する基本計画の中で、センターの機能の在り方を示していく。
② 獣医系大学との協働について
【質問】
動物保護施策を進めるためには動物シェルター「保護施設」が不可欠。専門的な知見や高度な医療体制を持つ民間との協働も有効な選択肢と考える。都内にはいくつかの獣医系学部を持つ大学があるが、こうした社会資源との協働について、見解を求める。
【保健医療局長】
獣医系大学との協働についてであるが、動物愛護管理施策を推進するに当たり、専門的な知見を持つ獣医系大学との協働は重要であり、都は、動物愛護相談センターに保護された動物の飼養管理に関する助言等の協力をいただいている。
また、大学側からは、都と連携した取組は学生の育成等に資すると聞いており、センターの整備検討会においても、獣医系大学を含めた関係者との協働促進が重要との意見をいただいている。
今後、センターに保護された動物の治療や、動物愛護に関する普及啓発への協力など、様々な形で獣医系大学との協働が進められるよう検討していく。
③ ボランティアへの支援について
【質問】
愛護動物の殺処分をなくすために大きな役割を果たしているのがボランティア団体である。動物を引き取り、新たな飼い主探しに取り組んでいるほか、子猫へのミルクボランティアにも取り組んでいる。都はボランティアへの支援を強化すべき。都の取組について伺う。
【保健医療局長】
ボランティアへの支援についてであるが、都の登録譲渡団体をはじめボランティア団体には、動物の譲渡機会の拡大や飼い主のいない猫対策等においてこれまでも大きな役割を果たしていただいている。
都は、動物愛護相談センターの譲渡事業に協力するボランティアに対し、離乳前の子猫や負傷動物等を譲渡する際に、ミルクや保護具等を提供している。
また、動物愛護活動のノウハウをもつボランティアと協力し、動物の一時保護や譲渡等の取組を行う区市町村を包括補助により支援している。
今後も、こうした取組を進め、区市町村と連携を図りながら動物の譲渡等を行うボランティアを支援していく。
生活・文化施策
① バリアフリー芸術の推進について
【質問】
障がい者自らが作品制作に取り組む活動や、「生の芸術」といわれるアール・ブリュットのほか、パラアートやバリアフリー映画の振興を提案してきた。文化・芸術はあらゆる人々の心と心をつなぐ力がある。バリアフリー芸術はそれを更に大きく広げる可能性があり、都は芸術におけるバリアフリーの取組を一層支援すべきである。答弁を求める。
【生活文化スポーツ局長】
バリアフリー芸術の推進についてであるが、あらゆる人々が芸術文化を鑑賞できることに加え、担い手として参画できる環境をつくることは重要である。
都はこれまで、都立文化施設において障害のある方のための特別鑑賞会を行うとともに、発表の場の提供やアール・ブリュットの普及など様々な取組を展開してきた。
また、民間団体等が行う東京の芸術文化の魅力を創出するイベントの際に、手話通訳などの鑑賞サポートの費用を上乗せする助成も実施してきた。
デフリンピックを見据え、団体等の意欲的な取組を後押しするなど東京2020大会のレガシーを発展させ共生社会実現につながる施策を積極的に展開していく。
② バリアフリー芸術について
【質問】
特別支援学校において、視覚や聴覚など様々な障害のある子供たちが、絵画や演劇などの芸術に触れる機会を、バリアフリーの視点から充実させていくべきと考えるが、都教育委員会の見解を求める。
【教育長】
障害のある子供たちが芸術に触れる取組であるが、都立特別支援学校では、視覚や聴覚などに障害のある子供たちが、鑑賞や表現の喜びを味わうことができるよう、様々な工夫を凝らした芸術教育を行っている。
例えば、盲学校では、絵画を立体的に表現した模型に触れることができる美術館の見学や、音声ガイドを活用した演劇鑑賞などを行っている。また、ろう学校では、手話で演じる劇団によるワークショップや、手拍子を頼りに音楽に合わせてダンスを踊る体験などを行っている。
都教育委員会は、こうした効果的な取組の共有化を図り、学校における芸術体験を充実させることにより、子供たちの芸術への関心を一層高められるようにしていく。
交通対策
【質問】
野方駅より西の区間の鉄道立体化については、野方駅西側の野方1号踏切が除去できない事態が心配されている。野方駅から井荻駅付近の鉄道立体化に伴う、野方1号踏切について見解を伺う。
【東京都技監】
西武新宿線の野方1号踏切の除却についてであるが、都は、過年度実施した連続立体交差事業の調査において、野方駅直近の本踏切は残存することで検討している。
一方、中野区においては、野方駅周辺のまちづくりを考える上で、本踏切の解消は重要な課題であることからその方策を検討している。
本踏切を除却するためには、既設の道路立体箇所の再整備が必要となることから、費用負担を含む事業スキームなど整理すべき課題があり、その解決に向けて区と意見交換を行っている。
今後とも、地元区や鉄道事業者と連携しながら、鉄道立体化に向けて着実に取り組んでいく。
人権施策
① パートナーシップ宣誓制度の都外自治体との連携
【質問】
令和4年11月の制度スタート以来、多くの申請が寄せられ、9月21日時点で915組に受理証明書が交付された。都の制度は都内在勤・在学者も対象。それぞれの自治体で申請・証明された当事者の方々が転居した場合でも、改めて申請の必要がないよう、都は相互協定を結ぶなどして、利便性の向上を図るべきと考えるが、見解を伺う。
【総務局長】
パートナーシップ宣誓制度の都外自治体との連携についてであるが、都はこれまでも、当事者の方々の利便性向上のためには、パートナーシップ宣誓制度を持つ首都圏などの自治体との連携が必要と考え、情報収集や意見交換を実施してきた。
今後、パートナーシップ宣誓制度システムに新たに導入したアンケート機能等を活用し、広域的利用に際しての利便性等について、利用者の声を把握する。
あわせて制度を導入している首都圏の自治体との情報交換を通じ、ニーズや課題の共有を図り、受理証明書の活用策などの検討を行っていく。
② パートナーシップ宣誓制度に事実婚の方々も対象にすることについて
【質問】
都議会公明党は第2回定例会代表質問で、パートナー関係に課題を抱える異性事実婚の方々も都の宣誓制度の対象に加えるよう提案した。改めて都に実施を求めるが、事実婚の方々を取り巻く課題やその解消について知事の見解を伺う。
【知事】
事実婚の方々の課題についてであるが、全ての都民が自分らしく生活し、多様性が尊重され、誰もが認め合う共生社会を実現することは重要である。
事実婚は、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあり、法律婚に準じ社会保険や公的年金などの各種制度において所定の手続を経ることにより一定の権利等が認められていると認識している。
しかしながら、不動産購入時のペアローン利用や病院での手続など、民間サービス等の分野で制約が存在している。
今後都は、各業界等の関係者へのヒアリング等を速やかに実施し、困りごとの実態について十分に把握するとともに、民間事業者等に対し、事実婚当事者へのサービスが適切に提供されるよう積極的に働きかけていく。
こうした取組により、事実婚当事者の方々の暮らしやすい環境づくりにつなげていく。