斉藤やすひろ議員の本会議(2月28日)一般質問

水害対策

① 目黒川の洪水対策について

【質問】

気候変動による気温上昇に伴い、将来の降雨量がさらに増加するなど水害のリスクが高まると予測される。気候変動の影響を見据えて、目黒川の洪水対策を一層推進することが重要であると考えるが、都の見解を伺う。

【東京都技監】

気候変動を見据えた目黒川の対策についてであるが、水害から都民の命と暮らしを守るには、今後の気候変動の影響を踏まえて洪水対策を進めることが重要である。

都は、年超過確率20分の1規模の降雨に対応するため、令和4年度に仮称目黒川流域調節池を事業化し、早期の工事着手に向けて、現在基本設計等を進めている。

また、令和5年末に策定した「気候変動を踏まえた河川施設のあり方」を受けて、新たな整備手法として、環七地下広域調節池と連結する目黒川流域調節池を、さらに東京湾までつなぐ地下河川の事業化に向けた取組に令和6年度着手する。

こうした取組により豪雨に対する安全性を高めていく。

② マンションの災害時のトイレ対策について

【質問】

災害時に在宅避難を継続するには、トイレを不安なく利用できる状況にあることが重要である。都は、令和5年度から発災直後の備えとして簡易トイレ等の補助を実施しているが、トイレの不安なく在宅避難を継続していくため、都内マンションにおける排水管の対策を強化すべきと考えるが、見解を伺う。

【住宅政策本部長】

マンションの災害時のトイレ対策についてであるが、在宅避難継続のためには、発災後の応急的な対策に加え、トイレの早期利用再開に向けた備えが重要である。

都はこれまで、東京とどまるマンションを対象に簡易トイレ等への補助を行うとともに、防災ブック等により、発災後、排水管の点検が終わるまでトイレを利用しないルールなどについて普及啓発を実施してきた。

令和6年度、トイレの利用再開に向けた点検方法の例等を示すガイドライン作成や、登録マンションを対象に被災時に損傷のおそれが大きい古い排水管の事前点検を開始し、関係団体等と連携し管理組合等に普及促進していく。

これらにより災害時の生活継続を支援していく。

※登録マンション・・・耐震性や非常用電源設備の設置が認められ、防災マニュアルを策定している「東京とどまるマンション」のこと

③ マンション実態調査の防災対策への活用について

【質問】

マンション等の共同住宅は、都内の約3分の2の世帯が居住する主要な居住形態である。災害時に都内の多くのマンションで自宅での生活が可能となり、東京全体での防災力を向上させるためにも、マンション等の実態を調査し、効果的な施策を講じる必要があると考えるが、見解を伺う。

【住宅政策本部長】

マンション実態調査の防災対策への活用についてだが、良質なマンションストック形成のためには、耐震性、防災、環境性能等の現状を把握の上、効果的な施策を行うことが重要である。

都はこれまで管理状況届出制度により、高経年の分譲マンションの管理状況等を把握し、管理の適正化や耐震化等の施策を実施してきた。

これに加え、令和6年度から都内全ての分譲、賃貸マンションの戸数、階数等の規模、立地等の調査を行い、この中で、浸水リスクや備蓄状況等も把握し、在宅避難の実効性を高める施策立案にいかして行く。

これにより安心して住み続けられる東京を実現する。

環境金融

① 東京港におけるブルーカーボンの取組について

※ブルーカーボン・・・陸上で吸収、貯蔵されるCO2をグリーンボンドと呼び、藻場等の海洋生態系に取り込まれた炭素をブルーカーボンと呼ぶ。グリーンカーボンよりも長期間貯留されるため、注目が集まっている。

【質問】

ブルーカーボンの取組を推進するため、藻場の整備を着実に進めるとともに、海草等の生育を促進させる方策についても検討すべきと考えるが、都の見解を伺う。

【港湾局長】

東京港でのブルーカーボンの取組についてであるが、ブルーカーボンの取組を推進するためには、海草等を生育する藻場を創出することが重要である。

このため、都は令和5年度から、東京港内においてワカメとアマモの移植により藻場を整備する取組に着手しており、令和5年度は、お台場海浜公園など4か所において、新たな移植方法も用いながら藻場の創出を進めている。

現在、有識者からご意見をいただきながら、アマモ等の成長を効果的に促進させる方策や魚による食害への対策等について分析・検討しているところであり、これらを踏まえた藻場の整備方法等に関する方針を令和6年夏に策定し、ブルーカーボンの取組の更なる推進につなげていく。

② ブルーボンドについて

【質問】

東京港における藻場創出の資金調達手段として、都債によるブルーボンドの活用を図っていくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【財務局長】

ブルーボンドの活用についてであるが、ブルーボンドは、グリーンボンドの一つであり、海洋環境の保全等に資する事業に使途を限定した上で発行する債券である。

東京港における藻場の創出は、脱炭素社会の実現に向けたブルーカーボンの取組であり、投資を通じて都の環境施策を推進し、都民や企業のオーナーシップ意識の喚起を目的とする、東京グリーン・ブルーボンドとも親和性の高い施策である。

このため、今後、国際的な原則に基づき、充当事業の適格性等を評価する第三者機関との調整を行いながら、令和6年度の活用に向けて取り組んでいく。

③ ブルーファイナンスの活性化について

【質問】

新たなSDGs投資として、ブルーファイナンス(海洋利用による環境経済活動の資金調達)市場は大きな可能性を秘めている。多くの海を有する都が、ブルーファイナンス市場における先導的な地位を確立することは、サステナブルファイナンスを巡る国際的な競争に勝つためにも重要である。都としてブルーファイナンスを牽引していくべきと考えるが、知事の見解を伺う。

【知事】

ブルーファイナンスについてであるが、四方を海に囲まれた我が国において、海洋環境と資源を適切に保全しながら、持続的な経済発展を目指す取組を金融の力で後押ししていくことは重要である。

国際的なガイドラインが整備されたこともあり、近年、沿岸部の生態系によるCO2の吸収・固定能力に着目した藻場の整備や、海運の脱炭素化など、ブルーファイナンスによる資金調達の実践例が生まれつつある。

こうした黎明期にある市場の発展に向けて、都は令和6年度、民間企業によるブルーファイナンスの外部評価に要する費用を、国とあわせて全額補助する新たな取組を、全国の自治体に先駆けて開始する。

さらに、都自らブルーボンドを発行するなどによりブルーファイナンスの取組を推進していく。

廃棄衣料品の資源化

【質問】

サーキュラーエコノミーとは、廃棄物をなくし、資源を循環させ、自然を再生するための循環型の新しい経済システムである。サーキュラーエコノミーへの移行推進を掲げる都は、廃棄衣料品の回収に尽力する基礎自治体を支援するとともに、都内においてもポリエステル水平リサイクル(廃棄されたポリエステル製の衣類を再度ポリエステル原料に戻すこと)の実現に向けた取組を推進すべきである。都の見解を伺う。

【環境局長】

衣料品のリサイクルについてであるが、サーキュラーエコノミーの実現に向けて、衣類を始め様々な資源を循環利用していくことは重要である。

都は令和5年度、水平リサイクル技術の社会実装を目指す事業者と連携した取組を進めている。

また、自治体向けに国や衣料品3R関連事業者による勉強会を実施し、回収量拡大に向けた機運を高めるとともに、令和6年度は、区市町村への財政支援も実施する。

今後、自治体による廃棄衣類の回収量の推移や、メーカーによるリサイクル技術の進展・施設整備の動向等を注視し、衣料品の資源循環の拡大策を検討していく。

福祉・教育施策

① 乳児の脳を守る取組みについて

【質問】

軽度外傷性脳損傷(MTBI)は、交通事故やスポーツ、転倒などで頭を打ち、脳震盪などを起こした後、しばらくしてから重度の高次脳機能障害に至ることもある脳損傷である。乳児においては、激しく揺さぶられることでMTBIを発症することがあるが、ほとんど知られていない。都は、乳幼児期の事故防止学習ソフトに乳児の脳をMTBIなどから守るために、その危険性を啓発する情報を新たに掲載するとともに、母子健康手帳も活用して啓発に取り組んでいくべきである。都の見解を伺う。

【福祉局長】

軽度外傷性脳損傷についてであるが、軽度外傷性脳損傷、いわゆるMTBIは、頭を強く打った衝撃等により発症する脳損傷の一つである。

都は、MTBIの理解促進に向けた普及啓発を行う区市町村を、包括補助により支援している。

また、現在更新中の乳幼児期の事故防止学習ソフトに、MTBIに関する内容も新たに盛り込み、更新後は、区市町村に対して、母子健康手帳に学習ソフトのリンクを掲載するよう働きかけを行うなど、一層の啓発に取り組んでいく。

② 医療的ケア児の保護者付添い負担軽減について

【質問】

医療的ケア児の保護者付添い期間を短縮する取組が進んでいるが、人工呼吸器などを使用する医療的ケア児は、引き継ぐケアの種類が多く、長期にわたる場合もある。この短縮化については、更なる推進が必要と考える。都の見解を伺う。

【教育長】

医療的ケア児の保護者付添いについてだが、都教育委員会は、令和5年度から都立特別支援学校全校で保護者付添い期間の短縮化に向けた取組を本格実施している。

人工呼吸器管理等の高度な医療的ケアの場合は、学校看護師への引継等のため、保護者による付添いが一定期間必要となっている。

令和6年度から新たに、就学前から担当する医師等と協力して、効率的にケアを引き継ぐ取組により、付添い期間の短縮化を進め、保護者負担の一層の軽減を図る。

③ 校外学習時の医療的ケアについて

【質問】

学校によっては、校外学習時に依然として保護者の付添いをお願いされる場合もある。保護者付添い負担軽減の観点から、校外学習時の実施体制についてさらなる拡充を行うべきと考える。都の見解を伺う。

【教育長】

校外学習時の医療的ケアについてであるが、医療的ケアが必要な児童生徒が保護者の付添いなく学校生活を送るためには、看護師等のケアを担える人材を確保する必要がある。

都教育委員会はこれまで、医療的ケア児の増加に伴い、非常勤看護師を配置するなど対応してきたが、校内での医療的ケア実施体制が不足する場合などには、校外学習時に保護者へ付添いを依頼することもある。

令和6年度から、校内体制とは別途、校外学習に対応する非常勤看護師を配置する体制を新たに確保し、保護者付添いの解消に向けた取組を更に強化していく。

都市整備

① 特定整備路線補助第46号線について

【質問】

都は、首都直下地震に備えて、補助第46号線目黒本町地区及び原町・洗足地区について、地元住民の要望に最大限応えつつ、道路整備を早期に進めるべきであるが、都の見解を伺う。

【都市整備局長】

特定整備路線補助第46号線についてであるが、特定整備路線は、市街地の延焼を遮断し、避難路や緊急車両の通行路となるなど、防災上極めて重要な道路である。

目黒本町地区は、令和3年度に暫定の交通開放を行っており、令和6年度、整備が完了する予定である。

原町・洗足地区は、現在の用地取得率が約96パーセントであり、令和5年度、排水管設置工事に着手した。

両地区とも安全で快適な歩行空間の確保などに向け、関係機関との調整を行っている。

今後も、地元へ丁寧に説明し、理解と協力を得ながら事業完了に向け着実に取り組んでいく。

② 踏切対策について

【質問】

都は、従来の踏切対策基本方針の改定を行うとともに、自由が丘駅周辺の鉄道立体化早期事業化に向けて取り組むべきである。鉄道立体化事業と関連の深い、都の令和6年度の踏切対策に関する検討内容について見解を伺う。

【都市整備局長】

踏切対策についてであるが、都内には約1,040箇所の踏切が存在し、交通渋滞やまちの分断などの課題が残されている。

踏切対策基本方針の策定後、15年以上が経過しており、令和5年度は同方針において、踏切の遮断時間等を勘案し抽出した重点踏切を対象に、現地調査等を実施した。

その結果、踏切対策が着実に進捗している一方、歩行者等の踏切交通遮断量が大幅に増加するなど、新たに課題が生じている踏切が存在していることも確認した。

令和6年度は、踏切対策の実施状況を把握するため、新たに重点踏切以外の踏切も対象に現地調査を実施するなど基本方針の検証を行う。

③ パークマネジメントマスタープランについて

【質問】

都は都立公園についてパークマネジメントマスタープラン(今後10年間に東京が目指す公園づくりの指針)を改定予定だが、都立公園が一層都民に親しまれるよう、地元の意見を踏まえながら公園の整備や管理に取り組むことをマスタープランに盛り込むべきだが、都の見解を伺う。

【東京都技監】

パークマネジメントマスタープランについてであるが、公園の整備や管理に地域住民等の意見を生かしていくことは重要である。

都はこれまで、地域の意見を踏まえた遊具の検討や広場利用のルールづくりなどを行ってきている。林試の森公園においても、令和5年度開園した入口広場に駐輪場を設置するなど地域の声を踏まえた取組を行っており、今後の拡張整備に当たっても、パークミーティングを活用し、意見を聞くこととしている。

こうした地域の意見を生かす取組を、令和6年3月策定するマスタープランに位置付け、都民と共に進める公園づくりを積極的に推進していく。

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