2案に絞られた政治倫理条例案を集中審議
~パーティーだけでなく、すべての収入を見える化せよ~

人権やハラスメントまで含めた包括的な政治倫理条例に

東京都議会は5月28日、第12回政治倫理条例検討委員会(高倉良生委員長)で自民党元事務局長を参考人招致し、意見聴取を行ったが、概ね事前に本人から提出された回答書に沿った内容となった。高倉委員長からは、5月30日に議長あてに現在の検討状況を報告し、6月2日の議会運営委員会の理事会への報告と説明を行う旨が発表された。同理事会では当初出されていた4つの案が2つの案に絞られ、提案された。これを受け6月3日の第13回政治倫理条例検討委員会では、公明党と都民ファーストの共同案と日本共産党・立憲民主党・ミライ会議の共同案の趣旨説明と検討が行われた。

公明党の中山信行議員は、政治倫理基準の点で、寄付や政治資金パーティーの大会など、全ての政治資金の活動の源となる収入について、預貯金口座に1回記帳することを義務付けること、会計処理に関しては、連座的な効果を見込んで、監督責任を議員に課すということ、道義的な責任が問われる場合には、たとえ刑事的な責任が問われなかったとしても、説明責任を果たさなければならないこと、そして、議員としての任期が始まる時点で、この条例を遵守することを誓約する書面を議長に提出すること、さらに政治倫理審査会が開かれた場合には、その求めに応じる義務があることを明記したことを強調した。また、審査会の位置付けについては、議員を全く含まない専門家だけによる第三者的な機関として、常設とし、議長に対して、例えば政治資金規正法等の関係法令を議員が学習する機会をつくり、法改正された場合には注意喚起を促すことを審査会が求めることができるという規定等を盛り込んだとの説明があった。

これに対して共産党から「実効性のある東京らしさ」が条例案のどこにあるかとの質問に対して、共同提案者の都民ファーストからは、求めていた連座的な取り組みを含めた会計責任者の監督責任と再発防止の取り組みを明記するとともに、審査会の第三者性の確立によって、外部有識者がチェック機能を十分に働かせることができるという点が東京らしい新たな取り組みだと主張した。

さらにこの東京らしさ、実効性の確保という点については、公明党の北口つよし議員からも、誓約書を書いてしっかりと条例の遵守を約束していくことや全国初の制定となった東京都カスタマーハラスメント防止条例の遵守などまでも含めて謳われていることも東京らしさにつながると主張した。

また、共産党の主張する政治資金パーティーの禁止規定を盛り込むべきという点について、都民ファーストからは、今回の問題は、政治資金規正法に認められている政治資金パーティーそのものの問題ではなく、そこにおける収支のあり方で、しっかりと再発防止を図っていくべきことだと主張した。

さらに中山議員からは、いわゆる「中抜き」という問題は政治資金パーティーだけでなく、寄付であれ何であれ起こり得る問題であるので、政治資金パーティーだけをやめればいいという問題ではない。要するに、寄付であろうが、パーティーの対価であろうが、それを中抜きしようと思う悪い人がいればできてしまう。それをさせないためには、やはり預貯金口座に記録するという方法しかない。そのための政治倫理基準というものを我々は提案しているとの明快な説明があった。

6月4日には、引き続き2本の条例案について検討が重ねられたが、特に今回の条例を包括的なものにするのか政治資金に限定するものにするかという点と、政治資金パーティーを禁止するのかしないのかという点が引き続き論議された。共産党からは、人権やハラスメントまで含めるのは乱暴だとしたのに対し、中山議員からは、これから新たにハラスメント防止条例や人権条例を作ろうとしているのではなく、既に東京都にはそれらの条例や対策が整備されており、それを都民や事業者に守っていただくよう呼びかけている立場にある者がその規範に反する行動をとらないようにするのは当然であると主張した。この点に関しては、自民党からも、公明党・都問ファースト共同案の政治倫理基準を一つ一つ読み上げ、これに反対する人がいるのか、議論の余地があるとは思えない。共産党の倫理観がわからないとの発言もあった。また、政治資金パーティーだけにこだわるのではなく、寄付でも起こり得る話であるので、その違いについて共産党からは説得力ある説明がないとも指摘があった。

高倉委員長からは、委員会では2つの案が並立しており、現状では歩み寄りや一本化が難しい状況である。従って、これまでの議論については、後日、議長に対して追加報告として提出する予定であること、また第2回定例会に向けた議運理事会にもこの2案が提出されている現状にあることから、この日の委員会は終了とされた。


以下のリンクをクリックすると、都議会公明党、都民ファーストの会・東京都議団が共同提案し、東京都議会自由民主党が提案に加わって、6月6日の本会議に上程され可決された条例の最終版PDFがダウンロードできます。
東京都議会議員の政治倫理に関する条例(案)

この記事に関するお問合せは

都議会公明党 TEL:03-5320-7250 まで

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