物価高騰対策
① 学生パスの導入を
【質問】
都内で大学に通う学生から、電車における通勤定期に対する通学定期の割引率に比べ、バスは割引率が低く、バス料金が大きく負担になっているとの声があった。JRや都営地下鉄の場合、通勤定期に対する通学定期の割引率は約50%になっている。
通学定期の割引率を参考に、都内のバスに対する小学生から大学生までの低額の学生パスの導入を検討し、希望する学生に対して提供していくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【子供政策連携室長】
学生等が安心して学ぶことができる環境を確保していくことは重要である。
一方で、バスの運賃や通学定期購入者への割引は、交通事業者それぞれの経営判断により設定されており、国や自治体等により、家庭の経済状況や通学距離等を勘案した通学費への支援もなされている。
こうした状況を踏まえ、学生等の通学費に係る現状と課題について、国や交通事業者などと共に整理する必要があるものと認識している。
② つながるキャンペーンのポイントを10,000ポイントに増額を
【質問】
現在、都民は、お米価格の高騰など、物価上昇により家計の生計が打撃を受けている。一方、東京都の税収は好調であると仄聞している。
決算時に生じる財源を活用して、物価高騰対策として、令和7年秋にスマホを活用して支給するポイントを7,000円から10,000円に増額してはどうかと考える。知事の見解を伺う。
【知事】
都はこれまでも、国の交付金や繰越金等を活用し、LPガスを利用する家庭の負担軽減や、医療機関・中小事業者等への支援など、物価高騰の影響を踏まえた重層的な対策を講じてきている。
また、令和6年度最終補正予算では、令和7年秋頃の本人認証を契機とした東京アプリの普及促進と都民生活の応援に向けて、7,000ポイントを付与するキャンペーンを実施することとした。今後、物価高騰対策については、社会経済情勢や、国の経済対策の動向等を見極めながら、財政状況も踏まえ検討していく。
東京アプリ
① 操作に不慣れな方やスマホを持っていない方への手立てを
【質問】
ポイントを付与するつながるキャンペーンは、多くの都民から期待の声をいただいている一方、デジタルに不慣れな方や視覚障がいがある方などから、自分は東京アプリを活用できないのではないかと不安の声をいただいている。
都議会公明党は、令和7年第1回定例会の代表質問で、操作が不慣れな方やスマホを持っていない方々もキャンペーンに参加できるよう手立てを講じるべきと、都に求めた。特に高齢者は、アプリのダウンロードの方法やアプリの操作が分からないなどの悩みを抱えやすいため、スマホの購入時からきめ細かなサポートを行うべきと考えるが、見解を伺う。
【デジタルサービス局長】
より多くの方々にアプリを使っていただくためには、様々な場面に応じた支援を行うことが重要である。
都は、アプリに対応したスマホを初めて購入する高齢者を対象に、3万円を上限として、本人認証等の機能を備えた機種の購入費を助成する区市町村を支援する。さらに、円滑なアプリ登録や助成の申請ができるよう、購入店舗がワンストップでサポートする体制を整える。
また、つながるキャンペーンの実施に合わせて、コールセンター機能を拡充し、デジタルに不慣れな方からの様々な問合せにも対応する。こうした取り組みにより、都民が利用しやすい環境を整え、アプリの一層の普及につなげていく。
② スマホ操作が難しい障がい者等は代理手続きを
【質問】
デジタルに不慣れな高齢者やスマホでの操作が難しい視覚障がい者、さらに知的障がい者や認知症の方々も含め、東京アプリの利便性をすべての人が享受できるようにすることが重要である。このような方々は、ご自身で東京アプリを介して行政サービスを利用することができないため、ご家族等の代理者が手続きを行えるよう配慮して行く必要がある。様々な障がい等を抱える方々も、東京アプリの利便性を享受できるようにすべきと考えるが、見解を伺う。
【デジタルサービス局長】
誰一人取り残されず、多くの都民が東京アプリを通じて快適なサービスを受けられることが重要である。
都は、区市町村と連携し、視覚や聴覚に障害のある方を対象としたスマホ教室を通じて、東京アプリの使い方を学べる機会を提供する。
また、スマホの利用が困難な知的障害等を抱える方については、ご家族などが代理で手続等を行う必要がある。
その際、本人との関係性に関して、なりすまし防止等の観点から、厳格な確認が必要となるなどの課題があるため、都としては、誰もが使いやすいアプリの構築に向け、制度運用面や技術面などから検討を進める。
水道料金の基本料金無償化
① 水道の基本料金無償化に期待される効果について
【質問】
今回の水道の基本料金無償化を受け、日本共産党都議団は、「共産党が提案すれば、都政が動く」とこぞって喧伝している。しかしながら、先の令和7年第1回定例会代表質問で、日本共産党都議団が主張していたのは、「水道料金の10%、消費税分の値下げ」である。
都議会公明党の要請を受けて今回行われる措置は、一般会計の財源を活用することで、水道の基本料金を無償化し、現下の都民の暮らしと健康を守るとともに、基幹インフラの維持・更新にも目配せし、将来にわたる都民の安全・安心に配慮したものである。今回の水道基本料金の無償化の経緯と、期待される効果について、知事の見解を伺う。
【知事】
物価高騰の影響が続く中、今夏に予想される猛暑において、都民がエアコン等の利用を控えることのないよう、都民の命と健康と暮らしを守ることが重要である。
令和7年5月19日には、課題意識を共有する、公明党、自由民主党、都民ファーストの会の3会派の皆様方から、ご要望を頂いた。
こうしたことを踏まえ、都がスピード感をもって独自になし得る対策について検討し、今夏に限り、4か月分の水道料金の基本料金を無償とする。
今回の取り組みにより、都民の光熱水費を抑え、生活費の軽減を図るとともに、今夏に予想される猛暑においても、都民が安心して暮らせる環境を整えていく。
② 10%値下げを求める主張について
【質問】
今回の無償化と将来にわたる水道インフラの維持更新について、都の水道サービスを担う立場としてどのように認識しているか。10%の値下げを求める主張に対する考え方を含め、水道局長の見解を伺う。
【水道局長】
水道事業は、独立採算制及び受益者負担を原則としており、施設の維持管理・更新をはじめ、サービスを適切に提供するために必要な経費を、利用者に料金として応分の負担をしていただくことにより成り立っている。
今回の措置は、物価高騰や今夏の猛暑の予想を踏まえ、都民の命と健康と暮らしを守るため、一般会計からの補填を受け、水道の基本料金を無償とするものである。
お話しの、水道料金を単純に10%引き下げるようなことは、今夏に限り臨時的に行う今回の措置とは異なり、水道事業に必要な費用が賄われなくなることにつながり、公営企業の原則と相容れないものである。
アドバイザー派遣で中小企業の賃上げ支援
【質問】
都議会公明党は、各種の国策とも連携し、令和7年からの5年間で、都内現役世帯の平均収入において約200万円の増額を目指している。現役世帯の収入増を図る上では、就労先の企業や事業所の純益増が最も確実な近道である。一方、賃上げしたいが、何をどう改善すればよいかわからない経営者も多く存在する。
都は、都議会公明党の要望に応え、令和6年度から、DX化を中心に無料のアドバイザー派遣を開始し、助成金も活用して、生産効率を高め、かなりの確率で賃金増につなげている。本事業を通し、どのようなDX化、機器やソフトの導入が賃金増に結び付くのかが判明すれば、賃金増を目指す中小企業にとって、極めて有益な情報となる。また、助成金は利用していなくても、アドバイザーの派遣などによって経営の改善が進み、賃金増を果している可能性もある。
都は、アドバイザー派遣での成果を細かく調査・分析して、ノウハウの普及拡大を図り、都内の多くの中小企業での賃金増に結び付けるべきと考えるが、見解を伺う。
【産業労働局長】
中小企業が生産性の向上や高付加価値化を図り、収益を確保することで事業を発展させ、持続的な賃金の引上げにつなげることは重要である。そのため、都は、専用の相談窓口で、賃上げに必要な経営の分析や社内規定の整備などを助言するほか、DXの専門家が企業を巡回し、最新の設備やシステムの提案から導入後のフォローまでを一貫してサポートしている。
また、提案の実現に必要な機器等を導入する際に手厚い助成を行っており、着実に申請事業者の計画的な賃上げにつなげている。
今後は、業種別の取組事例を分析し、ノウハウを分かりやすく発信することで、中小企業の更なる賃上げを後押しする。
夏の酷暑対策
① 公共工事中断・中止に伴う必要経費の補填について
【質問】
令和7年6月から、働く現場における熱中症対策が義務化され、WBGT・暑さ指数に基づく迅速・的確な対応が求められる。今夏は殺人的な暑さが予想されるため、都議会公明党は令和7年5月19日、働く人々の命を断固守るべく、知事に対し、対策の強化を求めた。
都は、都発注の各工事現場において、暑さ指数を把握できる環境の後押しや、工事中断について、受注者等に適切な対応を求めるべきである。加えて、ウェアラブル機器などの購入や中断・中止に伴う工期延長については、必要経費が補填されるべきだが、見解を伺う。
【財務局長】
屋外での長時間作業を伴うなど、熱中症のリスクを抱えている工事現場においては、WBGT値に応じた対策の実施が重要である。このため、WBGT値を計測する機器を当初から工事費に含め、その設置を工事現場に求めるとともに、計測値が31以上の場合は、現場の状況を踏まえ、作業の一時的な中止を含めた検討を行うなど、適切な対策を実施するよう監督員から受注者に助言を行っていく。
あわせて、ウェアラブル機器や電動ファン付きウエア等の対策及び工期変更に伴う経費についても、受注者の要請に対応する等、暑さ対策の取り組みの実効性を高めていく。
② 中小企業の酷暑対策支援強化について
【質問】
熱中症対策の義務化では、都内の中小企業も対象となり、屋内・屋外の別を問わずに、屋内で即時・的確に取り組める予防対策の強化が必要である。
産業労働局は、令和7年度、テレワークを新たに開始することを条件に、電動ファン付きウエアや保冷剤付きの作業着などへの幅広い補助を開始する。
しかし、自宅やサテライトオフィスなどのテレワーク化になじまない業種や、まだ十分に対応できていない企業でも、この幅広い暑さ対策の補助を利用できようにするべきである。
加えて、中小企業は、費用や工事期間などの課題から、本格的な断熱・遮熱工事を選択しにくい実情を抱えている。その点、最近では、放射熱を大幅にカットできる断熱・遮熱素材や塗装製品など、コストパフォーマンスに優れ、消費電力の抑制でも効果が期待され、暑さ指数の軽減に役立つ新しい技術が登場している。夏場を前に積極的に紹介し、導入負担も軽減して、活用の進展を図るべきである。酷暑対策に取り組む中小企業への支援の強化について、併せて都の見解を求める。
【産業労働局長】
中小企業の酷暑対策の推進として、労働環境整備や省エネへの取り組みの後押しは重要である。
都は、テレワークを推進する事業において、屋外現場から会社にデジタル機器で業務報告する取り組みも対象にしている。この事業では、テレワークに要する経費に併せて、猛暑時の屋外作業用に電動ファン付きウエア等を貸与する取り組みに係る費用も、令和7年度新たに支援する。
省エネ設備の導入等の支援事業では、除湿効果のある高効率空調設備に加え、新たに、温度変動を抑える遮熱シートの更新への補助も行う。今後、区市町村等とも連携し、設備の導入事例等を広く速やかに周知する。これらにより、暑さ対策を含む職場環境改善と省エネの取り組みを推進する。
③ 教育現場での熱中症警戒強化について
【質問】
生徒の安全確保のため、熱中症対策の徹底が必要である。そのため、暑さ指数の考え方を全ての教職員が理解し教育活動を継続できるよう、暑さ指数を測定できる機器や、生徒の体温を把握できるウェアラブルな機器整備など、熱中症の警戒強化をすべきだが、見解を伺う。
【教育長】
夏の暑さが厳しさを増す中、公立学校の教職員が熱中症について、より正確な知識等をもつことは重要である。
このため、都教育委員会は熱中症対策のガイドラインを作り、公立学校に周知をしている。この取り組みに関し、熱中症の警戒アラートの説明をよりきめ細かく行い、チェックリストも示し、活用を促す改定を令和7年6月上旬に実施する。
また、全都立学校に暑さ指数測定器を導入するほか、体温の上昇を知らせる腕時計型の最新の機器を8校約5,000人に配布し、屋外実習や部活動等で効果検証を行う。
これらの取り組みを区市町村教育委員会と共有し、熱中症対策を強化する。
都立高校トイレの快適性向上
【質問】
都議会公明党の提案で、トイレの洋式化や全都立高校の女子トイレに生理用品の配備をしているが、その上で、温水洗浄機能付きトイレの設置を進めるなど、都立高校施設の快適性の向上を図っていくべきと考える。教育長の見解を伺う。
【教育長】
都立高校において、生徒が校内での生活を快適に過ごす上で、設備の使いやすさやその機能の向上を図るほか、利便性を高める工夫を進めることは重要である。
都教育委員会は、現在までに、学校生活に不可欠なトイレの洋式化を約9割まで進めており、今後は温水洗浄機能の付いたものを増やす取り組みにも力を入れる。
また、子供たちは経済的な理由等で生理用品の入手の難しい場合がある。このため、全ての高校の女性用トイレに生理用品を置き、その管理や補給を適切に実施している。これらにより、都立高校での生活の快適性を高める。
就業支援・労働環境
① 障害福祉の訪問系サービスの暑さ対策を
【質問】
障害福祉サービスの居宅介護や重度訪問介護、同行援護なども暑い街中を移動するため、命に及ぶ危険を伴う。そこで、障害福祉での訪問系サービスを提供する事業者に対しても、酷暑を耐え忍ぶ暑さ対策グッズの購入経費の補助を実施するべきと考えるが、見解を伺う。
【福祉局長】
障害者の訪問系サービスの安定的な提供を支える人材を確保するためには、事業者において、熱中症予防など職場環境の整備を行うことが重要である。
訪問系サービスには、視覚障害者への外出のための支援や、行動障害等のある方に対する危険回避のための同行支援など、利用者とともに外出するサービスがあり、障害特性に応じて様々な配慮をしながら提供されている。
訪問系サービスにおける暑さへの対応については、今後、事業者へのヒアリングなどを通じて実態把握に努めていく。
② 工事受注に必要な資格者の増加支援を
【質問】
都は、中小建設系企業での工事受注に必要な資格者の増加に向け、支援を強化し、その利用の普及を図るべきである。加えて、資格の取得後も、大企業には転職せず、中小企業への引き続きの就労が選択されるよう支援するべきと考えるが、併せて都の見解を伺う。
【産業労働局長】
建設や建築分野の中小企業で働く人のキャリアアップを支援するとともに、従業員の定着につながる職場環境づくりを後押しすることは重要である。
都は、職業能力開発センターの在職者向け訓練で、現場の施工管理等に必要な資格取得や建築用CADの技能習得を後押しするほか、令和7年度はオンラインによる建築士の受験対策を開始するなど担い手の育成に努めている。
また、社員の定着等に向け、資格手当の導入など、資格の取得や活用に資する制度の整備を行う企業に、最大40万円の奨励金を支給する取り組みを令和7年7月から開始する。
これらにより、中小企業の人材育成を着実に支援する。
③ 取り組みやすい資格試験制度への改善を
【質問】
建設系企業の経営者は、若手技術者が取り組みやすい試験制度への改善を望んでいる。建設工事に必要な有資格者不足は、企業側だけの問題ではなく、官民に亘り、様々な新築や維持更新を困難にして、社会機能の停滞やマヒを招く深刻な問題である。都は、建設系企業での受注応募に必要な資格者の増加に向け、業界団体と連携しつつ、若い技術者がより意欲を抱きやすい試験への改善を国に求めるべきである。見解を伺う。
【東京都技監】
建設業の高齢化と若者離れが深刻化する中、都市の強靭化等に対応する様々な施設の設計や施工管理等を着実に行うには、資格を有する技術人材の確保が重要である。
都はこれまで、DXの活用などによる品質管理や業務の効率化等について、全庁横断的に知見を共有し、関係団体等とも連携して建設業の魅力を発信している。
また、都発注工事においては、工事関係書類の削減等を推進し、建設業の働き方改革を後押ししている。
今後、関係団体と連携して取り組みを進めるとともに、技術人材の安定確保に向け、社会状況に応じた資格制度の在り方の検討等を、制度を所管する国に働き掛けていく。
④ 奨学金返還支援の対象要件を30代まで拡大を
【質問】
中小企業人材確保のための奨学金返還支援事業は、都議会公明党の提案により創設された、人手不足の建設やIT、ものづくり分野の企業に就職をした学生等に3年間にわたって最大で150万円の奨学金の返済を都と中小企業で支援するものである。
この事業は貴重な若手人材の採用につながっていることから、高い評価を受けているが、20代という年齢の要件を更に広げてほしいという声も聞かれる。
令和7年の予算特別委員会において、30代の転職者を含め、より多くの若者がチャレンジできるようにすべきとの都議会公明党の質問に対し、都からは、労働市場の動向等を踏まえた支援の在り方を検討するとの答弁があった。奨学金返還支援事業における年齢要件のこれまでの検討状況と今後の取り組みについて、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
中小の建設、IT、ものづくり分野の企業が、学生を将来の技術面の中核人材として採用し、定着を図る上で、奨学金の返還の負担を減らす支援は効果的である。
都はこれまで、企業や学生等への周知や要件の見直しを行うことで利用促進を図り、令和4年の募集開始以来、180名を超える採用・内定につなげた。
労働市場では、30歳前後において転職等による人材の流動性が高まっており、中小企業の若手人材の採用では、30代前半を対象とする求人も多い状況を確認している。
こうした状況を踏まえた対応を行い、中小企業の中核人材の獲得を後押ししていく。
小児インフルエンザ経鼻ワクチン接種への補助
【質問】
都議会公明党は令和7年第1回定例会で、経鼻ワクチンへの補助を実施する区市町村に対し支援するべきであると求め、都は、今季の接種実績と流通を注視すると答弁したが、接種実績の調査結果はどうだったのか。改めて、区市町村に対する経鼻ワクチンへの補助をすべきと考えるが、見解を伺う。
【保健医療局長】
都は令和6年度より、子育て支援の観点から、注射による2回接種が必要な13歳未満の自己負担額が、1回接種の13歳以上と同程度になるよう、注射による接種費用を助成する区市町村への補助を行っている。
令和6年10月から流通が始まった経鼻ワクチンについて、独自に接種費用を助成した6自治体への調査では、経鼻ワクチンを選択した方は接種者の1割未満であり、そのうちの多くが13歳未満であった。また、注射に比べて親子ともに接種への負担感が減少した等の声があった。
都は、こうした自治体や医療機関の状況、ワクチンの供給見込み等を踏まえ、対応を検討していく。
介護老人保健施設の改修等に対する支援を
【質問】
都内における介護老人保健施設は、退院後のリハビリテーションや在宅復帰を通じて、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるための要である。
令和7年4月に行われた東京都老人保健施設協会の調査では、築20年を超えている施設が実に7割以上を占めており、建物や設備の老朽化が進み、更新時期を迎えているにもかかわらず、財源の問題で十分な対応ができていないのが実情である。その理由として挙げられていたのが、現状の都の補助では、老朽化した施設の改修や建て替えに対して、財政的に対応できないということである。東京の介護サービス基盤を担う介護老人保健施設が、超高齢社会において確かな役割を果たすことができるよう、現在の補助率2分の1を3分の2まで引き上げるなど、支援の充実を図るべきと考えるが、都の見解を伺う。
【福祉局長】
介護老人保健施設は、高齢者が病院から在宅生活へと復帰する拠点として、地域包括ケアシステムに不可欠な施設である。
都は、建築費高騰に対応するため、大規模改修等に関する補助に物価スライド方式を導入するとともに、令和7年度からは、入所者を一時的に移転させつつ、建物の構造部分を残して全面的な改良を行う工事に対する補助や、老朽化した空調設備の更新に特化した補助を新設しており、これらの支援策が各施設で一層活用されるよう努めていく。併せて、老朽化の状況や今後の改修の予定など、現場の実情を調査していく。
シルバーパスの更新手続きを簡単に
【質問】
シルバーパスの一斉更新は、令和2年度以降、郵送方式で実施している。令和6年度は1,000円パス対象者全員の所得確認を実施したことで、手続きが難しい等の声があった。そこで、手続きの方法を簡単にし、利便性を高めるとともに、分かりやすい広報をするべきである。見解を求める。
【福祉局長】
シルバーパスの一斉更新は、新型コロナを契機に令和2年度から郵送方式を導入し、令和6年度からは、利用者負担額が1,000円の方への所得額の確認を再開した。
令和7年度は、更新案内等を分かりやすく刷新するとともに、コールセンターの回線数拡充や時間の延長を行うほか、手続に不安を抱える方に対応するため、都内郵便局55か所にて対面相談を行う。
また、マイナポータルと連携して所得額を確認し、スマートフォンで申請できる方式を導入する。
利用者が一層円滑に更新手続を行えるよう、こうした取り組みを進めていく。
すべての子供が英語を話せる東京へ
【質問】
子供たちが公教育の中で、英語を話すことができるようになり、人生の選択肢が広がるように、すべての子供が英語を話せる東京を目指すべきであると考える。令和7年第1回定例会において、都議会公明党が、区市町村立小中学校においてネーティブ人材の活用ができるよう提案したことに対し、都教育委員会は、区市町村における課題やニーズの把握を行うとの答弁があった。その後の進捗状況と今後の取り組みについて見解を求める。
【教育長】
公立の小中学校において、子供たちの英語の聞き取りや会話の力を高めるため、ネーティブ人材の活用に係る状況等を把握することは必要である。
都教育委員会は、現在、公立の小中学校での外国語の教育に関する調査を進めており、この中で、ネーティブ人材による指導の状況等についての項目も設けている。
具体的には、外国語の授業で教員をサポートするネーティブ人材等の配置のほか、オンライン英会話の導入の現状について調べている。また、夏休みなどの短期間、外国人と交流する機会の提供の様子も把握する。
これらの結果について、今後の外国語教育の施策展開に反映する。
防犯対策
① ストーカー犯罪を発生させない取り組みについて
【質問】
川崎市で発生したストーカー殺人事件では、都民の間にも不安が広がり、今後、警視庁管内で同様の事案が発生した場合の対応について、関心が高まっている。ストーカー犯罪に端を発した殺人事件などの重大犯罪を発生させないための警視庁の取り組みについて、警視総監の見解を伺う。
【警視総監】
ストーカー事案をはじめとする人身安全関連事案に対する取り組みについてであるが、警視庁では、人身安全関連事案は、事態が急展開して重大事件に発展するおそれが極めて高いことを念頭に、事案の認知時から関係部門が連携し、本部が確実に関与した上で、あらゆる法令を適用した検挙措置等により、加害行為の防止を図っている。また、被害者の避難措置等の保護対策を徹底するなど、取り得る措置を講じているところであり、被害者が被害の届出をためらうなどした場合であっても、親族等に働き掛け及び説得を行い、事態の危険性等を見極めた上、被害の届出がなくとも事件化を図っている。
引き続き、被害者等の安全確保を最優先に、関係機関と連携し、迅速かつ的確な事案対処を徹底していく。
② 都営住宅におけるカメラ付きインターホンの設置推進を
【質問】
都議会公明党は、令和6年第4回定例会において、闇バイト等による凶悪犯罪を防ぐため、カメラ付きインターホン等の普及が不可欠であると考え、緊急対策の実施を提案した。
これに対し都は、小池知事の英断により、今後、全都を対象に、防犯機器を2分の1負担で整備を進めることになるが、低所得者世帯での活用の促進には、さらなる負担の軽減が必要である。そこで、都議会公明党は、都が管理する都営住宅では、カメラ付きインターホンの普及に向け、障害や要介護状態などから玄関への移動が困難な入居者を対象に、特別な配慮を講じるよう、令和7年3月の予算特別委員会で提案し、前向きな答弁を得ていたところである。都は、都営住宅でのカメラ付きインターホンの設置推進に向け、新たな事業のスキームを明らかにするべきである。見解を伺う。
【住宅政策本部長】
都は、令和7年7月から順次、玄関までの移動や対面での対応が困難な身体状況にある要介護3以上及び聴覚、肢体不自由の身体障害者手帳4級以上の居住者を対象として、カメラ付きインターホンを設置し、機器の仕様や設置方法、費用対効果等を検討して、課題整理を行う調査に取り組んでいく。
③ 都営住宅のごみ置き場等へ防犯カメラの設置拡大を
【質問】
都営住宅での防犯対策では、団地外からのごみの不法投棄や自転車の盗難防止も課題となっている。都営住宅は、地域に親しむため構造的に開放された設計であり、その分、防犯カメラを望む声が高まっている。都は、カメラ付きインターホンでの設置を進めるこの機会を捉え、現状はエレベーターに限られている防犯カメラを、ごみの集積場と駐輪場にも拡大するべきと考える。見解を伺う。
【住宅政策本部長】
都営住宅の安全性を確保していくことは重要である。
都はこれまで、ごみ置き場や駐輪場の整備にあたり、周囲からの見通しを良くすることで防犯性を確保している。また、防犯カメラについては、自治会等が、共用部の日常管理として都の承認を受け、地元自治体の補助金を活用するなどして、設置している。
今後、防犯カメラが設置されていない団地に関し、プライバシー保護や居住者の合意形成、経費負担などの課題を含め、都として自治会等へのヒアリングを行うなど、実態を把握していく。
水害対策
① 河川における水害対策の着実な推進を
【質問】
気候変動を見据えると、豪雨に対する都民の安全・安心を確保するためには、水害対策の着実な推進が重要となる。河川における水害対策の取り組みについて、見解を伺う。
【建設局長】
豪雨から都民の命と暮らしを守るためには、ハード、ソフト両面から効果的に対策を進めることが重要である。
ハード対策では、豪雨に大きな効果を発揮する調節池の整備を推進しており、令和6年8月の台風10号の際には、11か所の調節池で洪水を取水して、下流の水位を低下させた。現在、8か所で工事を進めており、このうち境川木曽東調節池では、令和7年秋に取水を開始する。
ソフト対策では、174か所で河川監視カメラの映像を公開しており、令和7年度15か所増設する。また、水位周知河川の指定拡大など避難につながる情報発信を充実していく。
こうした取り組みにより、豪雨に対する安全性を高めていく。
② 大規模地下街の浸水対策の強化を
【質問】
水害リスクが高まるなか、都心部には12の大規模地下街等があり、浸水時に多くの要避難者が想定される。先日、報道でAIを活用した災害時の避難支援システムの開発が取り上げられていたが、地下街においては、浸水実績をもとにリスクの低い出入口をAI等で予測し、避難誘導する仕組みを検討していくことも必要と考える。現在都は、地下空間浸水対策ガイドラインの改定作業を行っているが、進捗とその後の取り組みについて、見解を伺う。
【東京都技監】
激甚化する豪雨への備えとして、浸水リスクの高い地下空間で対策を強化していくことは重要である。
令和7年度立ち上げた検討委員会では、浸水実績や洪水ハザードマップの分析による対応策や、地元自治体や施設管理者等の役割の明確化などについて議論している。
一部の大規模地下街等においては、AI等を活用した浸水時の避難計画や、地元自治体からの避難情報を踏まえたタイムラインの作成などを検討していく。
今後は、令和7年8月までにガイドラインを改定し、地元自治体の地域防災計画へ反映するなど、地下街を利用する都民等の安全性向上に繋げていく。