医療・福祉施策
① 医療的ケア児への支援について
【質問】
医療的ケア児に対する更なる支援を検討するため、医療的ケア児の実態を把握するとともに、支援を行う事業者などの状況について、調査を行っていると聞いているが、調査内容と今後の方向性について、見解を伺う。
【福祉保健局長】
医療的ケア児への支援についてであるが、医療的ケアが必要な障害児が、地域で個々の心身の状況に応じて生活するためには、在宅生活を支えるサービスの充実が重要である。
都は現在、医療的ケア児への支援について検討するため、医療的ケア児の生活実態のほか、サービスを提供する事業者の受入状況やサービス内容などについて調査している。
今後、関係機関で構成する医療的ケア児支援地域協議会などにおいて、調査結果を分析しながら対応策を検討する予定であり、こうした検討も踏まえながら、在宅レスパイト事業や短期入所事業など、医療的ケア児とその家族を支援する施策を推進していく。
② 医療的ケア児を支援する看護師の育成について
【質問】
医療的ケア児の支援に関心のある看護師の育成を進めることは重要だが、都の取組について、伺う。
【福祉保健局長】
医療的ケア児を支援する看護師の育成についてだが、都は現在、訪問看護ステーションの看護師等を対象に、医療的ケア児等に特有な症状や看護の方法、家族との接し方など、在宅での支援に必要な知識や技術を習得するための研修を実施している。
来年度からは、医療的ケア児に対応できる放課後等デイサービスや児童発達支援を増やすため、新たに受入れを予定している事業所を中心に、実践的な支援方法に関する研修を開始する。
今後、医療的ケア児支援地域協議会等での議論も踏まえながら、支援を担う人材の効果的な確保・育成策について更に検討を進めていく。
③ AYA世代のがん患者の相談支援について
【質問】
昨年9月、都内にAYA世代がん相談情報センターを2か所開設したことは高く評価する。患者の置かれているライフステージは様々であり、相談内容も多様であることから、患者に寄り添った相談支援を更に充実していくべきと考える。見解を伺う。
【福祉保健局長】
AYA世代のがん患者の相談支援についてであるが、AYA世代のがんは、患者が少なく希少がんが多いため、相談事例の蓄積が難しい一方、治療や副作用で生じる外見の変化を補うアピアランスケアや教育、就労などの相談が多く、こうした特性に応じた支援が重要である。
このため都は、AYA世代がん相談情報センターを2か所設置し、悩みや不安等の相談を受けるとともに、身近な相談窓口の紹介や、患者サロン等の交流の場の確保などを進めている。
さらに、センターで収集した相談情報を、がん診療連携拠点病院等へ提供し、相談支援の質の向上を図ることとしており、こうした取組を通じ、AYA世代のがん患者やその家族のライフステージに応じた相談支援の充実を図っていく。
④ AYA世代がん患者に対する取組について
【質問】
小児総合医療センターでのAYA世代がん患者に対するこれまでの取組と、今後AYA世代の患者に寄り添った支援の強化が必要であると考えるが、見解を求める。
【病院経営本部長】
AYA世代がん患者に対する取組についてであるが、小児総合医療センターでは、現在、多様ながん疾患の治療に加え、AYA世代がん相談情報センターを設置し、患者やそのご家族等に対して様々な悩みや疑問等に応じるとともに、研修会などを開催している。
一方で、AYA世代のがん患者は増加傾向にあるため、診療や患者支援の強化が必要である。
このため、来年度から医師やソーシャルワーカー等の専門人材の確保・育成を進め、がんゲノム等の高度先進医療の提供体制を強化するとともに、就学や就職、出産など多様なニーズに対応できるよう相談体制を拡充する。
さらに、Wi-Fiを備えたAYAルームや専用病床の整備を進め、AYA世代の患者が安心して治療を受けられる環境を提供し、より一層の支援に取り組んでいく。
⑤ 生殖機能温存治療費助成事業について
【質問】
昨年9月に開始された生殖機能温存治療費助成事業は、とても重要な支援である。本事業を多くのがん患者に知っていただくよう周知が必要だと考えるが、見解を伺う。
【福祉保健局長】
生殖機能温存治療費助成事業についてであるが、将来、子供を持つことを希望する思春期や若年成人のAYA世代のがん患者やその家族に対し、本事業を広く周知することは重要である。
都は、東京都がんポータルサイトに本事業の情報を掲載するほか、がん患者団体等で構成されるがんネットワーク東京が開催するフォーラムで、本事業を周知してきた。
また、がん診療連携拠点病院や特定不妊治療費助成事業の指定医療機関、区市町村や保健所等を通じ、事業内容を記載したパンフレットを配布している。
今後とも、都民に対し、動画の配信やSNSなどを活用しながら、効果的な広報を展開していく。
⑥ AYA世代がん患者の療養生活について
【質問】
都内8つの市区町村では独自に費用助成を行っているが、都も支援すべき。我が党は2017年の都議会定例会で支援すべきと質問したのに対し、患者や家族への必要な支援を検討していくと答弁されたが、見解を伺う。
【福祉保健局長】
AYA世代がん患者の療養生活についてであるが、AYA世代のがん患者は、就学、就労、結婚等の時期と治療の時期が重なることから、進学や就職の機会の減少や治療の影響による外見の変化、不妊等に対する支援や療養環境の充実などが重要である。
このため都は、多様なニーズに応じた支援体制と、介護保険制度と同様の仕組みの構築などを国に提案要求するとともに、今年度から、生殖機能温存治療費助成事業を開始し、支援の充実を図っている。
今後とも、AYA世代がん患者が、り患する前と変わらず自分らしく生活できるよう、がん対策推進協議会やAYA世代がんワーキンググループにおいて、専門家や患者の意見を聴きながら、療養生活の充実に向けた総合的な支援体制を検討していく。
水害対策
① 避難の取組について
【質問】
予想される雨量に応じた浸水想定の作成や中川の堤防を活用した避難ルートの確保など、東部低地帯における水害時の避難につながる取組について見解を伺う。
【建設局長】
東部低地帯における水害時の避難についてであるが、水害から都民の命を守るためには、避難の実効性を高める取組を推進していくことが重要である。
このため都は、洪水ハザードマップの基となる浸水予想区域図について、想定しうる最大の降雨を用いた改定を進め、令和2年度に完了した。さらに、自治体等がより的確な避難の判断を行えるよう、令和4年度からは、発生する可能性がより高い降雨強度に対応した浸水予想区域図の作成に向けて取り組んでいく。
また、多様な避難ルートを確保するため、中川では、堤防上部の通路を使って地盤が高い地域へ移動できるよう、横断する葛西橋などにより分断されている通路の連続化に向けて取り組んでいく。
こうした取組を、区等と連携して着実に進めていく。
② 高台まちづくりについて
【質問】
江戸川区では、小岩駅周辺地区等3地区がモデル地区に指定され、中でも船堀地区は、国の支援スキームを全国で初めて活用し、水害時の避難スペース等の確保に向けた検討を進めている。都もこうした取組に積極的に支援すべきと考えるが、見解を伺う。
【東京都技監】
高台まちづくりについてであるが、都は、モデル地区の地区特性を踏まえ、高台まちづくりのビジョンで示した方策を適用できるよう、国や地元7区と共にワーキンググループを設置し、地区ごとに検討を進めている。
このうち船堀地区では、地元江戸川区において、国が昨年夏に創設した支援スキームである都市安全確保拠点整備事業を全国で初めて活用し、将来的に浸水区域外への避難用通路にもなる建物間の連絡デッキの整備等の検討を行っており、都はこうした取組を後押しするため、来年度から、区に対し新たに支援を行う。
今後とも国や区等と連携を図りながら、高台まちづくりに取り組んでいく。
③ 篠崎公園の高台化の取組について
【質問】
都は、国や区と連携の上、篠崎公園の高台化の実現に早急に取り組むべきであるが、篠崎公園の高台化に向けた今後の取組について、都の見解を伺う。
【建設局長】
篠崎公園の高台化の取組についてであるが、東部低地帯において、水害時の避難場所となる高台を整備することは重要であり、都は、篠崎公園において、高台化や江戸川堤防への避難路の確保に取り組んでいる。
江戸川沿いの区域については、昨年12月に、国や区と高台化事業の施行協定を締結した。これに基づき、都は、来年度から公園施設の撤去や移設等を行い、国は、令和5年度から、高規格堤防の盛土工事を実施する予定である。また、柴又街道沿いの区域においては、都は、引き続き用地の取得を進めるとともに、来年度から高台化に向けた埋設物の移設工事に着手する。
今後とも、篠崎公園の防災機能を強化するため、地元の理解や協力を得ながら、高台化の取組を着実に進めていく。
④ 広域避難先確保と運営の実効性向上について
【質問】
大規模風水害に備え、都が目標とする広域避難先74万人分の確保を早急に進める必要がある。そこで、広域避難先を更に確保するとともに、運営方法を具体化し、広域避難の実効性を高めていくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【総務局長】
広域避難先確保と運営の実効性向上についてであるが、東部低地帯における大規模風水害発生時は、多くの都民が、行政区域を越える避難を余儀なくされるため、広域避難先を確保し、円滑に運営することが重要である。
このため都は、昨年9月の国立オリンピックセンターに続き、本年1月には、台東区にある東京藝術大学と広域避難に関する協定を新たに締結した。
また、こうした広域避難先の運営を円滑に行うため、関係区や施設管理者との間で、具体的な運営方法について調整を進め、年度末までに手順等を定めたガイドラインを取りまとめる。
今後、更なる避難先の確保を進めるとともに、運営体制の整備を図ることにより、広域避難の実効性を一層向上させていく。
⑤ 大規模水害時の首都高などの活用について
【質問】
建物の高層階などへの避難と異なり、首都高は、自動車専用道路のため、避難先として活用するには、避難者の安全対策などに課題がある。こうした課題を1つずつ解決し、首都高の活用を早期に実現すべきと考えるが、都の見解を伺う。
【東京都技監】
大規模水害時の首都高などの活用についてであるが、首都高は、災害時に救援物資の輸送などを確保する役割がある一方、大部分が高架構造であることから、大規模水害時に、やむを得ず逃げ遅れた方々の命を守る緊急的な安全確保先としての活用が考えられる。
これまで、国との連絡会議のもと設置した高台まちづくりワーキンググループにおいて、地域の実情を踏まえ救援物資の輸送などの機能の確保との関係や、首都高への安全な避難の誘導経路とタイミング、避難スペースなどについて検討してきている。
引き続き、地元区が策定する避難計画も踏まえて検討を進め、早期の活用に向け取り組んでいく。
⑥ 避難行動要支援者の個別避難計画について
【質問】
都は、区市町村における個別避難計画作成が進むよう、先進事例を共有するとともに、計画の見直しを進める区市町村を支援し、計画を実行性のあるものとすべきと考えるが、見解を伺う。
【福祉保健局長】
避難行動要支援者の個別避難計画についてであるが、個別避難計画は、都内では約7割の区市町村で作成が進められているが、災害時に円滑かつ迅速に避難するためには、避難計画の実効性を確保する必要がある。
国は今年度、防災や福祉等の関係部署が共同で地域の実情に応じた取組を行う自治体を支援するモデル事業を実施している。都内で選定された江戸川区では、要支援者の状況を把握しているケアマネジャー等による計画作成が進められており、今後、福祉避難所での受入訓練や地域関係者との課題検討等を行っていく。
都は、区市町村の担当者を対象とした研修会でこうした取組を紹介するとともに、来年度からは、訓練等での検証を踏まえた計画の見直しなどに取り組む区市町村を包括補助で支援し、計画の実効性を高めていく。
公園施策
【質問】
葛西臨海公園や新たな葛西臨海水族園について、葛西海浜公園とも連携しながら更なる魅力向上を図っていくべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
葛西臨海公園の更なる魅力向上についてであるが、葛西臨海公園は、多様な海の生物を観覧できる葛西臨海水族園や100種類以上の野鳥が観察できる鳥類園などを有し、ラムサール条約に登録された葛西海浜公園のなぎさとともに、自然を身近に感じ、多様なレクリエーションが楽しめる場となっている。
このような特性を生かし、公園内に来月完成する展望デッキでは、渡り鳥や干潟について、イラストや写真で学びながら、海浜公園の東なぎさを一望できるようにした。
また、新たな葛西臨海水族園では、海の生態系や環境問題を学べる展示を行いSDGsの実現に向けた取組を推進する。
さらに、PFI事業者のノウハウを発揮させ、光や音、映像などの演出やICT等の最先端技術を活用し、海を体感できる空間を演出する。
こうした取組を進め、サステナブル・リカバリーの象徴として、葛西臨海公園一帯の魅力を更に向上させるとともに広く世界に発信していく。