玉川ひでとし議員の本会議(2月25日)一般質問

防災

① 震災の節目を捉えた都の取組について

【質問】

阪神淡路大震災から27年が過ぎ、東日本大震災から間もなく11年となり、関東大震災からは今年の9月で99年となる。関東大震災から100年という節目に向かって、都として何を発信していくか。今から準備を進めていくべきと考えるが、知事の見解を求める。

【知事】

震災の節目を捉えた都の取組についてであるが、東京は、これまで幾度かの大きな危機を克服しながら発展してきた。

関東大震災から来年で100年、当時、帝都復興院総裁として震災後の復興にあたった後藤新平は、震災の教訓を踏まえ、世界初となる耐震基準の策定を進めるなど、今日の震災・復興対策の骨格を築いた。

巨大地震は、その後も時と場所を選ばず発生してきた。

私自身、阪神・淡路大震災の悲惨な光景は今でも忘れない。

いかにして都民の命を守れるのか、その想いが知事としての原動力となっている。

東日本大震災から11年が経過しようとする今、都の震災対策の礎となる被害想定の見直しに取り組んでいる。

今後、この想定を元に、都市の強靭化や災害時のオペレーションの精度を高め、ハード・ソフト両面から不断に備えを固めていく。

関東大震災から100年の節目を捉え、都の防災対策を効果的・戦略的に発信することにより都民・事業者・行政が一体となって、東京全体の防災力を高めていく。

② 防災訓練の実施について

【質問】

東京都が毎年実施してきた総合防災訓練も今年度は実施されなかったが、コロナ禍に則した訓練の在り方を考え、小池知事を本部長とした東京都の総合防災訓練は実施すべきと考えるが、都の見解を求める。

【総務局長】

防災訓練の実施についてであるが、昨年10月、都内で震度5強の地震が発生するなど、大規模な自然災害への備えが喫緊の課題となっている。

都はこれまで、毎年度、区市町村や関係機関と連携し、都民参加型の総合防災訓練や、地震、津波、風水害等を想定した実践的な図上訓練を実施してきた。

来年度実施予定の品川区との合同総合防災訓練では、基本的な感染症対策の徹底や、コロナ禍での避難所運営など、感染症との複合災害を想定した訓練の準備を進めている。なお、今年度、新型コロナウイルス感染症の影響等を踏まえ、開催を見送った東村山市との合同総合防災訓練は、令和5年度に改めて開催する予定である。

今後とも防災訓練を継続的に実施し、災害対処における区市町村や関係機関等との連携を強化していく。

③ 若年層への防災に関する普及啓発について

【質問】

防災への意識が低いとされる若年層に向けて、従前とは違った新たな切り口で、クイズ形式で防災学習ができる東京都防災模試への若者の参加を増やす工夫を凝らすとともに、防災アプリのより一層の普及を図るなどの取組を進めていくべきと考えるが、都の見解を求める。

【総務局長】

若年層への防災に関する普及啓発についてであるが、地域の防災力を向上させるためには、防災への関心が低いとされる若年層の意識の向上が不可欠である。

都はこれまで、防災への取組を分かりやすくまとめた東京防災や防災アプリ等により、広く都民に対し防災行動の事例紹介などを行ってきた。

また、高等学校等に対しても、東京都防災模試のPRを行い、既に8万人を超える都民等の参加を得ている。

来年度は、著名人による出題やサイトのデザインの改善を図るとともに、PR動画等をSNSやユーチューブで発信することにより、若年層の模試への参加やアプリの利用を一層促進していく。

若年層に対して効果的な普及啓発を継続的に行い、防災意識の更なる向上を図っていく。

④ 地域防災力の向上に資する防災教育について

【質問】

幅広い年齢層に対して防災教育を実施することは重要で、被災地に学ぶことは大変有意義である。被災者の体験談や語り部の貴重な経験を生かすとともに、家庭で家族と一緒に防災を学べる取組としていくなど、今後の事業で実施していくべきと考えるが、都の見解を求める。

【総務局長】

地域防災力の向上に資する防災教育についてであるが、過去の被災の体験から得られた教訓は説得性が高く、こうした教訓を防災教育に生かすことは重要である。

都はこれまで、地域の自主防災組織を対象とした学習セミナーや、子育て世代を対象とした出前教室などにおいて、東日本大震災の被災者の体験などを取り入れた講座を開催してきた。

来年度は、各種講座のカリキュラムにおいて、被災者の体験談を更に増やすなど、内容を充実させる。

また、オンラインやDVDを活用し、家族や、幅広い年齢層が利用しやすい講義方法とすることで防災意識の向上を図る。

今後も、事業に創意工夫を凝らすことを通じ、更に実効性のある防災教育を進めていく。

⑤ 地域における夜間防災訓練の普及について

【質問】

地元の大田区のある町会では、町会内の公園や隣接する中学校の校庭を会場として、夕方から夜にかけて夜間防災訓練を実施している。まずは、夜間の災害発生を想定した防災訓練を実施することの重要性を、地域レベルから広く普及すべきと考えるが、都の見解を求める。

【総務局長】

地域における夜間防災訓練の普及についてであるが、災害は昼夜を問わず発生するため、地域の防災力の向上において、夜間の災害対応を学ぶことは重要である。

都はこれまで、夜間に発生する災害への心構えを、各種の防災講座で呼びかけるとともに、夜間の防災訓練を実施した町会・自治会等の活動を、防災ホームページで紹介してきた。

来年度は、町会等を対象とした防災の専門家による学習セミナーで、夜間の発災時における具体的な備えや、地域における夜間防災訓練の重要性を取り上げるなど、内容を充実させていく。

こうした取組を通じて、地域防災力の一層の向上を図っていく。

⑥ 都立高校の地域と連携した防災訓練について

【質問】

都立高校においても、地域と連携した防災訓練の更なる充実を図るべきと考える。都教育委員会の見解を求める。

【教育長】

都立高校の地域と連携した防災訓練についてであるが、都立高校が、発災時の様々な状況において、地域の一員として共に安全を支えるためには、地域の区市町村や関係機関との協力関係を日頃から築いていくことが重要である。

そのため、各学校において、教職員や生徒が、区市町村の防災担当や消防団等と協議しながら、避難所の設営や避難者の誘導、炊き出し訓練などの運営訓練に取り組んでいる。

今後、都教育委員会は、優れた防災訓練に関する実践発表会を実施し、各学校でその内容を共有して、生徒の被災した際の対応力や地域の安全を支える能力を育むなど、地域と連携した防災訓練の更なる充実を図っていく。

防災教育

① 都立高校生の防災意識と実践力の向上について

【質問】

都立高校において、生徒の防災意識を向上し、防災に関わる実践力を育成することが重要と考える。都教育委員会の見解を求める。

【教育長】

都立高校生の防災意識と実践力の向上についてだが、生徒の防災意識と実践力を高めるため、各学校が協働的・体験的な防災教育に取り組むことが重要である。

このため、都教育委員会が今年度から指定した研究校では、区市町村の防災担当等と協力し、地域の実情を踏まえた課題解決策を検討・提案する学習を推進して意識の啓発につなげている。また、全ての都立高校で生徒による防災活動支援隊を編成して、自校の防災活動を立案し、地域の防災訓練に参加するなどの取組を行っている。

今後、各研究校において、大学や被災地等から招いた防災の専門家等との交流の機会を設け、そこで得た専門的な知識や体験を生かした学習内容の充実を図る。また、その成果を全都立高校に周知し、地域社会に貢献できる生徒の育成を図っていく。

② 防災教育における共助の精神の学びについて

【質問】

児童・生徒たちの「成長」が、「防災教育」を通じた「共助の精神」の学びに期待されるものと考えるが、都教育委員会の見解を求める。

【教育長】

防災教育における共助の精神の学びについてであるが、防災教育においては、自ら的確に判断して行動する力を育成するとともに、他者や社会の安全に貢献できる資質・能力を育成することが重要である。

都教育委員会は、子供たちが主体的に防災について調べ、考えるための教材「防災ノート」を配布している。学校ではこの教材を活用し、避難所で高齢者の話し相手となったり小さな子供と遊んだりする等、思いやりの心をもつことを学んでいる。さらに、高校生が地域の防災訓練に参加し、園児の手を引いたり、車椅子を押したりしながら安全に避難するなど体験活動も行われている。

こうした取組を通して、自他の命を守る力を育てるとともに、他者を思いやり、互いに助け合うことのできる豊かな心を育んでいく。

健康増進

① 公衆浴場の利用者拡大のための支援について

【質問】

銭湯を守るためには利用者を増やしていくことが持続可能な支援対策となる。メディアなどで銭湯が取り上げられ、若年層の利用が増加しているとの声もある。このような客層の変化をとらえて、新たな取組に臨む銭湯に対する支援を強化すべきと考える。都の見解を求める。

【生活文化局長】

公衆浴場の利用者拡大のための支援についてであるが、都はこれまでも公衆浴場組合が行う利用者拡大に向けた様々な取組を支援してきた。

浴場組合では、都の補助金を活用し、若者や外国人など新たな利用者の拡大に向けて、動画や漫画を用いたPRやホームページの多言語化を行うほか、銭湯の楽しみ方を披露し合う銭湯サポーターフォーラムの開催などを通じて、銭湯の魅力発信に努めてきた。

さらに、専門家の助言を受け、入りやすい店づくりにも取り組んでいる。

利用者の増加は、経営の安定化に大きく寄与するものであり、都は、浴場組合が新たな工夫を凝らして行う取組を支援するとともに、こうした事例を広く発信していく。

② 高齢者支援における公衆浴場の活用について

【質問】

高齢者の健康増進や介護予防、見守り支援など、地域の高齢者を支えていく拠点として銭湯を活用していくべきだと考えるが、見解を伺う。

【福祉保健局長】

高齢者支援における公衆浴場の活用についてであるが、都は、日常業務において高齢者と接する機会の多い事業者・団体と協定を締結し、地域における高齢者の見守りなどを推進している。

東京都公衆浴場業生活衛生同業組合とは、平成28年度に協定を締結し、組合に加盟している公衆浴場が、見守りへの協力や認知症の方への支援、消費者被害の防止などの活動に取り組んでいる。

また、公衆浴場を活用して、栄養指導や体操教室、演芸や趣味の披露など、高齢者の健康増進や介護予防、社会参加の促進に取り組む区市町村を包括補助で支援しており、引き続き、様々な地域資源を活用して高齢者を支える区市町村の取組を支援していく。

中央卸売市場

【質問】

今般、公表された中央卸売市場の経営計画(案)においても、市場事業のサステナブル化がうたわれており、ぜひ、中央卸売市場における環境対策への取組を積極的に進めるべきと考えるが、都の見解を伺う。

【中央卸売市場長】

中央卸売市場における環境対策についてであるが、市場がSDGsを踏まえ、持続可能な社会の実現に寄与していくためには、市場運営に伴う環境負荷の低減に、率先して取り組むことが重要である。

このため、大田市場等において照明器具のLED化を拡大するとともに、各市場で使用される発泡スチロール製容器についても、廃プラスチック削減の観点から、リサイクルの高度化に取り組んでいく。また、小型特殊自動車のZEV化を一層推進するほか、市場業者の冷蔵庫等についてグリーン冷媒機器への更新を支援するなど、環境負荷の低減に向けた新たな取組にも着手する。

これらを推進するに当たっては、市場業者の方々と協力し、普及啓発を図りながら、積極的に取り組んでいく。

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