物価高対策
① 物価急騰等に対応するための都の率先行動について
【質問】
過去に例のない物価急騰に対しては、都庁及び都の政策連携団体をあげて、既存事業の見直しと具体的な対策の立案が進むよう、リーダーシップを発揮し、成果を上げるべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
ロシアによるウクライナ侵攻から半年以上が経過し、長期化の様相を呈している。ここに歴史的な円安も相まって、エネルギー、原材料や食料などの価格が上昇し続けており、都民生活をはじめ、社会全体に影響を及ぼしている。
こうした状況に対応するため、5月にエネルギー等対策本部を設置し、電力の確保はもとより、都民の暮らしや事業者の活動を守るための取り組みなど、迅速に対策を講じてきた。
加えて、今回、東京の経済を守り抜くため、原油価格や資材の高騰等に対する緊急対策や価格転嫁が困難な事業者等への直接的な支援など、これまでから一歩踏み込んだ施策を補正予算に盛り込んだ。
幾重にも重なる危機に対し、今こそ、政策連携団体も含め、都庁が一丸となって立ち向かわなければならない。従来の延長線上の取り組みだけではなく、様々な手立てを先手先手で講じることで、都民の生活を守り、将来の経済成長へとつなげていく。
② 工事契約における物価変動への対応について
【質問】
都は、単品スライドの見直しについて、運用の開始を急ぎ、全ての工事契約に適用を求めて周知徹底するとともに、臨時的措置として年内に今一度、単価契約の価格改定を行うべき。あわせて、これらについて政策連携団体に対しても実施を求めるべきであるが見解を伺う。
【財務局長】
現下の社会経済情勢の中で、鋼材等主要資材の価格上昇は例年にない水準に達していることから、都は、単品スライドについて、実情をより適切に反映できるよう国に準じて9月1日から運用を見直している。運用開始日以降の事業者からの請求に確実に対応できるよう、本見直し内容を改めて庁内に周知徹底していく。
一方、多数の項目からなり、今後の工事数量が不確定な単価契約は、スライド条項を直接適用すると、混乱を生じさせる懸念があることから、緊急的な対応として、受注者との協議に基づき、最新の資材価格を契約単価に反映する運用を検討していく。
これらの運用の見直しは、関係局と連携し、政策連携団体に対しても活用へ向けて働きかけを行っていく。
③ 都民生活を守る取り組みについて
【質問】
物価高騰の影響が長期化する中、都民生活にも深刻な影響を与えている。特に生活に困窮する高齢者などの暮らしは、ますます苦しい立場に立たされることが懸念される。今後、生活が苦しい方への支援について更なる検討が必要と考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
ウクライナ危機の長期化や歴史的な円安の進行に伴い、物価高騰等の影響が拡大しており、都民の暮らしの重しとなっている。
都は、仕事と住まいを失った方等への支援に加え、本定例会に提案した補正予算案には、低所得のひとり親世帯などへの支援の充実に必要な経費を計上している。
燃料費や物価の高騰が今後も拡大し、更に深刻な事態が生じる場合、高齢者をはじめ、生活に困窮する方々がより困難な状況に陥ることが懸念される。
こうした方々への支援の実施は、区市町村との連携が必要であり、社会情勢を見据えながら、関係者とともに必要な対応を検討していく。
④ 子ども食堂への支援について
【質問】
現在、子ども食堂には、都から区市町村を通じた補助金として、運営費月3万円が補助されている。物価高騰の影響により、運営が立ち行かなくなっていることは明らか。子ども食堂への緊急的な支援として、運営費の補助の増額をすべき。見解を求める。
【福祉保健局長】
都は、コロナ禍において、集合して食事することが困難な中でも、子供食堂が、食事の提供を継続できるよう、令和2年度から、会食等における感染対策費を上乗せするほか、配食・宅食の実施に必要なワゴン車のリースやクーラーボックスなどの経費を支援している。
また、今年度は新たに、物価高騰を踏まえ、子供食堂の立上げに必要な設備等の経費も補助している。
現在、子供食堂の運営状況を把握するため、補助実績のある子供食堂に対し、食材の調達や実施場所の確保、周知方法等についてアンケート調査を行っており、今後この結果も踏まえ、必要な支援を検討し、区市町村と連携しながら、子供食堂の活動の充実に向け取り組んでいく。
中小企業支援
① 中小企業の中核人材の確保について
【質問】
中小企業を支える中核人材の確保に向けた支援について、現在の都の取り組みと今後の展開について、見解を求める。
【産業労働局長】
東京の中小企業がデジタル化の進展など様々な経営環境の変化に適切に対応する上で、新たな事業展開や社内の体制整備の中心となる人材の確保は必要である。
こうした中核人材の確保に向け、都は、中小企業に知識やノウハウを提供するセミナーを開催するほか、採用の計画づくりや方法に関して相談窓口やコンサルタントの派遣により、きめの細かい助言を行ってきた。また、経営者向けに、中核人材の育成に役立つ講座を開き、その内容の実践を専門家がサポートしている。
今後は、中核人材の確保をより効果的に進めることができるよう、金融機関や経済団体等と連携し人材マッチングの態勢づくりなどの支援を検討していく。
② 中小企業の人材の確保と定着の支援について
【質問】
若手社員向けの住まいの確保など、社員満足度を高め、人材確保・定着につながる中小企業の取り組みを都として後押ししていくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
中小企業が若手の人材を採用しその定着を図る上で、仕事のやりがいや働きやすさを高めるほか、安心で快適な生活を送るためのサポートを行うことが重要である。
これまで都は、中小企業の採用活動や従業員の定着に向けた取り組みを後押しするため、窓口相談やセミナーの開催により、会社の事業を分かりやすく伝える方法や柔軟で働きやすい勤務条件の導入に関わる知識やノウハウの提供を行ってきた。
今後は、中小企業の社員が日常生活を送る際に重要な住まいや食事のほか、健康の維持などの面から会社のサポートが充実するよう支援を検討する。
こうした取り組みにより、中小企業で若手の人材が活躍できるよう後押しを進めていく。
③ 中小企業の人材育成の支援について
【質問】
都内中小企業の経営体力の回復をコスト面から支援するとともに、国の税額控除制度を活用して都内中小企業がオフ・ザ・ジョブ研修を実施して人材の育成の推進を図る場合などに、都はその研修費用を補助していくべきと考えるが、見解を伺う。
【産業労働局長】
東京の中小企業が、厳しい経営環境の続く中、将来に向け事業の継続と発展を図る上で、社員の力を伸ばし労働生産性を高める取り組みは重要である。
このため都は、中小企業が従業員に対し、仕事で必要となる技能を高めノウハウを学ぶ訓練や研修を社内においてオフ・ザ・ジョブ・トレーニングで実施した場合、その経費の一部に助成を行っている。
今後は、こうした支援の規模を拡充するほか、オフ・ザ・ジョブ・トレーニングに取り組む中小企業を増やすため、経済団体と協力して事業内容のPRを進める。
こうした取り組みにより、中小企業の人材育成を着実に後押ししていく。
④ 中小企業のデジタル化に向けた支援について
【質問】
コロナ禍で経営的に厳しい状況にある中小企業でも、デジタル化が進むよう、都事業の拡充、運用の改善に向け、早急に方針を決め、年内にも都内中小企業での活用を広めていくべきである。見解を求める。
【産業労働局長】
東京の中小企業が厳しい経営環境を克服する上で、デジタルの技術を活用して業務を効率化し、経営の改善に結び付けることは重要である。
都は現在、中小企業の業務運営の効率化を後押しするため、様々な事務などのデジタル化に必要となる経費について助成を行っている。一方で、最新のデジタル技術により、社内での業務にクラウドの仕組みなどを活用する事例は着実に増えている。
このため、中小企業の事務手続に関わるデジタル化の加速に向け、助成規模の拡充を図るとともに、支援内容のPRの強化を行う。
これにより、中小企業の経営力の向上を着実に後押ししていく。
新型コロナ対策
① 新型コロナの後遺症対策について
【質問】
都議会公明党は、新型コロナウイルス後遺症について、都の対応を求めてきた。①後遺症の症例の分析と周知、②医師・薬剤師等への研修会の開催、③後遺症に対応できる医療機関の拡充と周知など、具体的な対応と強化を求めるが、都の取り組み状況について、答弁を求める。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
後遺症は、年齢や基礎疾患の有無などにかかわらず、全ての方に起こる可能性があり、診断や治療等の知見を集積し、的確に情報を発信していくことが重要である。
都は先般、東京iCDCの専門家の協力を得て、都立病院におけるオミクロン株の症例データを分析するとともに、その内容や最新の情報も含め、後遺症リーフレットを改訂した。また、後遺症への医療従事者等の理解促進に向け、治療に当たっている医師等によるセミナーを開催し、約1,000名の医師や薬剤師等が聴講した。
さらに、都民が身近な医療機関で受診できるよう、後遺症に対応している402の医療機関を公表したところであり、今後、後遺症への対応が可能な医療機関の更なる増加に向け、取り組みを進めていく。
② 後遺症に関する医療機関の連携について
【質問】
コロナ後遺症への現段階の治療は対症療法しかない。しかし、効果があった治療や薬剤の事例が増えてきたことから、患者が後遺症の治療につながりやすくなるよう、医療機関相互の連携を促進すべき。見解を求める。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
後遺症に悩む都民が、適切な医療を受けられるようにするには、患者に身近な医療機関から、後遺症の症状の種類や程度に応じて、対応可能な医療機関へと円滑につなげていくことが重要である。
そのため、都は今後、倦怠感や咳などの症状別や、地域別にまとめた後遺症対応医療機関リストを作成し、東京都医師会の協力も得ながら、地域の診療所などへ情報提供することで、かかりつけ医等から後遺症対応医療機関へ患者を確実につなげていく。
さらに、症状が重いケースなどにも対応している専門的な医療機関の治療内容を都が取りまとめ、他の医療機関向けに研修会を開催して情報を共有するなど、都民がより適切な医療を受けられるよう取り組んでいく。
③ 宿泊療養施設の受入体制について
【質問】
現在、新規感染者数は減少してきているものの、油断はできない状況である。第7波において宿泊療養を希望される方も多く、宿泊療養施設を拡大したが、第8波に向けて、多摩地域も含め万全の体制を整えるべきと考える。見解を求める。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
都は、今夏の感染拡大において、病床を補完する宿泊療養施設の機能をより発揮させるため、これまで70歳未満としていた入所者の対象年齢の上限をなくすとともに、重症化リスクのある方に優先的に入所いただくなどの対応を行った。
また、入所時に、療養される方の健康状態をより迅速に把握するため、AIを活用した問診を導入するなど運営を効率化し、第6波を上回る療養者を受け入れた。
今後、宿泊療養を希望する都民が円滑に施設に入所できるよう、居室利用の更なる効率化を図るほか、入所の際の施設までの移動の負担を軽減するため、多摩地域を含め、感染状況に応じた適切な受入体制の整備に取り組んでいく。
④ 緊急時に対応した医療体制について
【質問】
平時は患者を収容せず訓練のみ行い、災害やパンデミックなどの非常時において、一気に患者を収容できる規模の危機対応専用病院または臨時医療施設の設置を検討すべき。見解を求める。
【福祉保健局長】
都は、新型コロナウイルス感染症の患者を適切に受け入れられるよう、感染症入院重点医療機関等による受入体制に加え、都有施設等を活用した臨時の医療施設を設置し、病床確保に努めている。また、災害時に患者を迅速に受け入れるため、重症患者に対応する災害拠点病院や、中等症患者に対応する災害拠点連携病院を整備するなど、重層的な体制を確保している。
一方、災害や感染拡大時に医療施設を稼働させるためには、医師・看護師等の医療人材の確保が不可欠であり、民間医療機関の人材ひっ迫状況等にも配慮が必要である。
災害時や感染症流行時の医療体制の在り方については、こうした課題を踏まえ、関係機関等との連携の下、検討し、体制の強化を図っていく。
ユニバーサルデザインタクシーの整備補助
【質問】
都議会公明党は改めて、9月5日、環境局に対し、半導体部品の輸入停滞により、利用者の好評を呼んでいたUDタクシーの納品遅れの現状を伝え、本年度で打ち切ることを予定していた都の補助事業を、来年度も実施するよう求めた。それが大きな契機となって、今回の26億円の補正予案の編成に結びついたものと考える。
UDタクシーの整備補助について、今回の補正予算において、令和5年度事業で執行予定分も含める効果について見解を求める。
【環境局長】
ユニバーサルデザインタクシー、いわゆるUDタクシーの補助を補正予算とした効果についてであるが、都は、UDタクシーに、平成28年度から補助を開始し、これまでに1万5千台以上に対して実施してきた。
昨今の燃料価格の高騰等によって、環境性能が高いUDタクシーへのニーズが高まっている。一方で御党からも補助期限の今年度内の納車が困難なため、発注をためらう事業者があるとのお話を伺っている。
そこで、来年度の納車でも、確実に補助金が受給できることを明らかにすることで、早くから安心して発注してもらうため、今般、補助期間を令和5年度まで延長し必要な経費として約26億円を計上した。
今後、タクシー事業者や業界団体等に、補助期間の延長等について丁寧に説明し、普及拡大に取り組んでいく。
全国旅行支援
【質問】
都としても全国旅行支援を実施すべきであり、効果を一層高めるためには、現在トライアル実施している、いわゆる都民割「もっとTokyo」を本格実施するとともに、「被災地応援ツアー」もあわせて行うべきと考えるが見解を伺う。
【産業労働局長】
東京の観光産業の回復を後押しするため、国の全国旅行支援の仕組みなどを活用し、都内での旅行者を増やす取組は効果的である。
国では、全国旅行支援を来月11日から開始するが、この仕組みを使い、都道府県が観光客を誘致する場合には、旅行代金の助成やクーポンの提供が可能となる。都では、開始の時期について専門家からの意見を踏まえ適切に判断を行う。
また、全国旅行支援の活用に合わせ、都民の都内観光への助成事業を本格的に展開する。さらに、これらと足並みを揃え、被災地応援ツアーも開始する。
こうした取組により、東京の観光産業の振興を着実に進めていく。
子ども施策
① 子育て支援について
【質問】
夫婦が望む子どもの数が2.32人であるのに対し、東京の合計特殊出生率は1.08と乖離している。
国が、3歳児からの幼児教育の無償化を実施した際、都は、都議会公明党の要望を受け、0歳児から2歳児までの保育料について、第3子から保育料を無償化、第2子については、保育料の半額を補助する制度を実施した。
子育てにおいて誰もが希望をかなえられる社会を実現するため、0歳児から2歳児までの子育て世帯の経済的負担の軽減を含め、施策の充実を図るべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
次世代に幸せと希望に満ちた子どもの笑顔が溢れる社会を引き継ぐため、少子化の問題には正面から向き合っていかなくてはならない。
そのため、誰もが希望する子供の数を持つことができ、安心して子育てができる環境を整えることが重要である。
結婚や出産、子育てだけではなく、働き方や人とのつながり、経済的な面も含めて子供を持ちたいという思いを諦めることのないよう、このような課題に政策分野の垣根を超えて対策を強化していく必要がある。
今後、さらに子供を産み育てやすい社会の実現に向けて、全力で取り組んでいく。
② 私立高校授業料の保護者負担軽減について
【質問】
実質無償化の対象となっても、授業料を一旦納入し、所得審査後に償還されるため、保護者の負担が重いとの都議会公明党の指摘に対し、都は、「申請、審査のオンライン化や所得審査に必要な税額取得の自動化のためのシステムを構築する」と答弁しており、保護者の負担軽減のために償還までの期間を早める取り組みを早急に実施すべきであるが、見解を求める。
【生活文化スポーツ局長】
補助金の支給早期化に向けては、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を活用し、申請手続の簡素化及び審査事務の効率化を実現することが重要である。
そのため、保護者や学校がスマートフォンやパソコンを利用して簡便に申請や確認ができるようにするとともに、所得審査に必要な税額情報をマイナンバーから自動的に取得する新たなシステムを構築する。
こうした新たな仕組みを利用者が安心して活用できるよう、都民の意見や専門家の評価もいただきながら、万全な情報管理体制を整備していく。
引き続き、令和5年度からの補助金の支給早期化に向け着実に取り組んでいく。
③ 子どもの置き去り防止への取り組みについて
【質問】
これまでも、痛ましい事故が起こるたびに、注意喚起や普及啓発といった対処がされているが、残念ながら依然として、毎年多くの子ども達が事故にあっている。
ヒューマンエラーを補う技術の導入など実施可能な対策を速やかに講じるとともに、組織横断の推進チームを活用しながら、新たな安全確保策を検討すべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
先般、送迎バスに子供が取り残され亡くなるという痛ましい事故が起こった。亡くなられたお子様のご冥福をお祈りするとともにご家族の皆様に心よりお悔やみを申し上げる。
子供たちにとって、安全安心な場所であるはずの保育所、幼稚園、認定こども園等において、二度とこのような悲しい出来事を繰り返してはならない。
今回の事故を受け、各施設に対する緊急点検に加え、実地調査やヒアリング、オンライン講習会を実施する。また、直ぐに実施可能な対策や、導入可能なデジタル技術を活用した取り組みを財政的に支援する。
さらに、子供の安全安心をテーマとした組織横断の推進チームにおいて、科学的なエビデンスに基づいた事故予防策を戦略的に展開することにより、子供が安心して暮らせる社会を実現していく。
教育施策
① 日本語指導に関する調査について
【質問】
都議会公明党は一貫して、日本語を母語としない子ども達一人ひとりの実情に寄り添った教育の重要性を訴えてきた。
日本と外国の架け橋となる人材として成長を願う立場から、日本語指導を必要とする生徒たちの直近の実態を把握するとともに、新たな取り組みに対して教員が抱える課題について調査を行うべきと考えるが、都教育委員会の見解を伺う。
【教育長】
都立高校等において、個別指導を受ける必要がある生徒に対し、日本語の能力に応じた「特別の教育課程」を適切に実施することができるよう、組織的な指導体制を構築することが重要である。
そのため、都教育委員会は、日本語指導が必要な生徒が在籍する学校に対して、「特別の教育課程」の対象と想定される生徒の人数や、指導を行うに当たっての課題等について把握するための調査を開始したところである。
この調査の結果を踏まえ、各学校において、円滑に「特別の教育課程」が行われるよう指導・助言を行っていく。
② 特別の教育課程における外部人材の確保と教員の育成について
【質問】
日本語指導コーディネーターや日本語指導支援員などの人材確保と育成を確実に図るべき。その上で、特別の教育課程による日本語指導が必要な生徒が在籍する全ての学校に日本語指導支援員を配置すべき。併せて、見解を求める。
【教育長】
都教育委員会は、現在、日本語指導を必要とする生徒が在籍する都立高校において、必要に応じ、東京学校支援機構TEPRO(ティープロ)やNPO等と連携し、日本語指導に関わる外部人材の活用を支援しており、来年度以降について、「特別の教育課程」を実施する学校に外部人材を確保できるよう引き続き検討を進めていく。
また、「特別の教育課程」を実施する都立高校において、日本語指導をコーディネートする教員を対象とした独自の研修を実施するなど、組織的な指導体制の構築と教員の指導力の向上を図っていく。
③ 日本語指導の体制について
【質問】
日本語を母語としない小・中・高の児童生徒たちに一層充実した教育を行えるよう、日本語教育を推進する専門部署を設置するなど、教育庁の体制を整備すべき。見解を求める。
【教育長】
日本語指導の体制についてであるが、日本語を母語としない子供が、学校生活を円滑に送るためには、一人ひとりの状況に応じた日本語指導を充実することが重要である。都教育委員会は、今後、関係局や区市町村等関係団体と連携を深めつつ体制を整備し、都内公立学校における日本語指導を充実していく。
④ 教員確保に向けた対策について
【質問】
現在大学では、教職課程を履修しながらも、途中で教員になることを諦めたり、教員以外の道を志望したりする学生もおり、教員確保のためには、学生や大学の状況を把握し、実態に応じた対策を検討すべきと考えるが、見解を伺う。
【教育長】
採用選考における応募者の増加に向けて、今年度、複数の教員養成大学の教授や学生から聞き取りを行った。
これにより、教育現場の状況や教員のライフスタイル、都独自の研修や若手教員への支援など、志望を固めるための情報が十分に伝わっていないことがわかった。
これらを踏まえ、大学説明会や個別相談会のほか、10月に初めて開催する採用セミナー「TOKYO教育フェスタ」などにおいて、詳細な情報発信を行っていく。
「TOKYO教育フェスタ」では、現職教員との座談会や給与・休暇制度、キャリアプランの紹介など、教職の魅力をリアルに伝え、幅広く応募を促進していく。
⑤ 教員確保に向けた選考制度の改善について
【質問】
教員の確保に向け、それぞれの任用形態ごとに選考の仕組みを改善する必要がある。例えば、選考試験の大学3年生での実施や時間講師の選考時期の見直しなど、早期に人材を確保する取組を検討していくことが必要だと考えるが、選考制度の改善に向けて、見解を伺う。
【教育長】
教員を確保するためには、幅広い人材を発掘できるよう選考の仕組みを整えることが重要である。
都教育委員会では、今年度から、採用選考において、社会人を対象に合格後に免許取得を目指せる仕組みを開始したほか、臨時的任用教員の募集を通年で行うこととした。また、時間講師の選考時期を早めることとしている。
こうした取り組みに加え、学生や社会人が、より教員を目指しやすい選考制度を多角的に検討し、教員の確保に努めていく。
⑥ 教員確保に向けた勤務条件の改善等について
【質問】
教員の確保や質の向上に向けては、長時間労働の改善とともに一日も早い教職調整額の見直しが必要であると考えるが、都教育委員会の見解を伺う。
【教育長】
教員確保に向けた勤務条件の改善等についてであるが、都教育委員会は、平成29年度に勤務実態調査を実施し、その結果等を踏まえて策定した「学校における働き方改革推進プラン」に基づき、スクールサポートスタッフや部活動指導員の活用等、様々な取り組みを進めている。
一方、給与のあり方については、現在、国において、教員の勤務実態調査を実施しており、その結果等を踏まえ、いわゆる給特法のあり方等について検討していくこととしている。
今後、こうした国の動向を注視するとともに、国への働きかけについても検討していく。
医療・福祉施策
① 不妊治療への助成と都民への周知について
【質問】
本年4月から不妊治療の保険診療が拡充されたが、保険適用外となった治療の一部について、保険診療との併用が特例で認められたものの、全額自己負担であることから、都議会公明党が助成を求めてきた。
今回の補正予算に4月までさかのぼって助成することが盛り込まれた。
助成制度の概要と今後の具体的な進め方について見解を求める。
【福祉保健局長】
本年4月から、不妊治療が保険適用されたが、都は、保険適用となった治療とともに行われる先進医療の自己負担の7割について、1回の治療につき15万円を上限に助成することとし、補正予算案に計上した。助成の適用時期は、保険適用と合わせて本年4月1日とする。
まずは、現在治療を受けている方が、先進医療をためらわずに受診できるよう、不妊治療の実施医療機関に対し、助成対象となる治療や助成額などについて、診療時の説明を依頼する。
さらに、令和5年1月の申請受付開始に向け、ホームページ等を通じて制度の概要を早期に周知するとともに、申請手続に関するリーフレットを作成し、医療機関や区市町村に配布するなど、不妊治療を希望する方に確実に情報が届くよう取り組んでいく。
② 都立病院における不妊治療について
【質問】
都議会公明党の要請を受け、令和4年4月から、都立病院で不妊治療の相談窓口を開設するとともに、PT(プロジェクトチーム)を設置して都立病院が不妊治療において果たすべき役割等の検討を開始している。これまでの相談窓口の実績と現在のPTでの検討状況について答弁を求める。
【福祉保健局長】
今年度から大塚病院など5つの都立病院で開始した不妊治療の相談窓口では、先月までの5か月間で62件の相談を受け付けた。主な内容は、治療費や助成金等の費用面や、不妊への不安・治療方法の悩みであり、必要に応じて不妊治療を行う医療機関を紹介している。
また、本年4月に設置したPTでは、都立病院の産科医が中心となって、今後取り組むべき不妊治療について、これまでの相談内容等を踏まえた具体的な議論をしている。
不妊治療に対する都民の期待に応えられるよう着実に検討を進めるとともに、不安や悩みを抱える方々に寄り添いながら丁寧に相談対応を行っていく。
③ 若い世代の歯科健診について
【質問】
高校卒業後、40歳までの間に法定の歯科健診がないため、成人後の学生や社会人は、歯科健診の習慣化が困難。20代、30代から、かかりつけ歯科医での定期的な歯科健診や予防処置を継続的に受診できるような取り組みを進めるべき。見解を伺う。
【福祉保健局長】
歯周病などの歯科疾患は、糖尿病、心疾患など全身の健康と深く関わるとされており、その予防や早期発見のため、歯科健診を定期的に受診することは重要である。
高校卒業後は、学校歯科医による健診や指導の機会がなくなり、歯周病等のリスクが高まる傾向にあるため、都は、定期的な口腔衛生管理の重要性等を解説したリーフレットなどで普及啓発するとともに、若い世代の歯科健診に取り組む区市町村を支援している。
来年度の歯科保健推進計画の改定に向け、今後、18歳から30歳を対象に、健診受診状況やかかりつけ歯科医の有無等について調査を実施し、その結果も踏まえ、若い世代の歯科健診受診がより一層進むよう、取り組みを推進していく。
④ 保護児童の口腔ケアについて
【質問】
児童虐待の早期発見・対応のため、平成14年度に東京都医師会が都の一時保護所等の入所児童を対象に口腔内実態調査を行った。虐待の早期発見・対応に結び付けるため、20年ぶりに歯科医師会が実施する保護児童の口腔内実態把握について支援すべき。見解を求める。
【福祉保健局長】
都は、平成14年度に、東京都歯科医師会と連携して児童虐待と口腔内の状況に関する調査を実施しており、その結果、一時保護された被虐待児童は、一般の児童に比べて虫歯が多いことが明らかになった。
こうした結果なども踏まえ、都の全ての一時保護所を歯科衛生士が月1回訪問し、児童に対して、歯の正しい磨き方や食生活を指導するとともに、口腔内を確認し、虫歯などの症状があった場合には、必要に応じて歯科医への通院などにつなげている。
保護児童の歯と口腔の健康の保持・増進は重要であり、こうした歯科保健指導の実施状況を踏まえた保護児童の口腔実態を把握するため、東京都歯科医師会が今年度実施する調査に協力していく。
⑤ フレイル予防等の取り組みについて
【質問】
口腔機能が衰えるオーラルフレイルや筋肉の量が減少していくサルコペニアについては、歯科医療従事者の専門性の向上や、都民への普及啓発が重要であり、東京都歯科医師会と連携し、こうした取り組みを進めるべき。見解を求める。
【福祉保健局長】
口腔機能の低下は身体機能の低下と密接に関わるとされており、フレイル予防等のためには、いわゆるオーラルフレイル対策に早期から取り組むことが重要である。
このため都は、東京都歯科医師会に委託して、歯科医師等を対象に研修会を実施しており、在宅患者に対して早期から多職種で連携して取り組んだ口腔ケア事例を講義内容に盛り込むなど、知識の向上に取り組んでいる。
今後、都歯科医師会をはじめとする関係団体とも連携し、高齢者一人ひとりの身体機能、口腔機能に応じた効果的なリハビリテーションを実施するため、地域の医療機関と歯科医師との連携を推進するとともに、口腔ケアの大切さに関する都民への更なる啓発を行うなど、フレイル予防等の取り組みを推進していく。
住宅施策
① 都営住宅の事業用空き住戸について
【質問】
都議会公明党はかねてから、建て替え事業での移転用や被災者支援用に活用してきた都営住宅の事業用空き住戸の必要数を効率的に分析し、新規入居者の公募戸数を増やすように求めてきた。
そこで、その空き住戸の情報を管理する事務においても、新たに電子管理システムを稼働させるなどして、事業用空き住戸数を縮減し、募集に活用していくべきである。見解を伺う。
【住宅政策本部長】
都は、都営住宅の建替事業を計画的に推進するため、対象世帯数以上の事業用空き住戸を居住者に提示することにより、円滑な移転につなげている。
このため、一定数の事業用空き住戸が必要であるが、希望がなかった住戸の中には、引き続き他団地の建替事業用として長期間保有せざるを得ないものもあった。
そこで、都営住宅の管理システムから抽出した空き住戸データを活用して保有状況を容易に分析できる新たなツールを導入した上で、建替計画を見据えて必要性を精査し、活用見込の低い住戸は公募用等に切り替えていく。
今後、更なるデジタルの活用を図ることで、建替事業に必要な戸数は確保しながら、事業用空き住戸数を段階的に縮減し、ストックを有効活用していく。
② 公社住宅を「ささエール住宅」の専用住宅に活用することについて
【質問】
公社住宅を東京ささエール住宅として家賃低廉化補助の適用を可能とする専用住宅で活用していくことが、民間住宅へ波及させていくためにも効果的である。
都議会公明党は第1回定例会の代表質問でもその実施を求めてきた。
家賃負担の面で住宅確保に困窮する都民の期待に、都は年内にも具体的な成果で応えるべきだが、見解を伺う。
【住宅政策本部長】
公社住宅は、重層的な住宅セーフティネット機能の一翼を担っており、その機能の一層の強化が必要である。
これまで、公社は地元自治体の意向を踏まえながら、空き住戸を専用住宅として活用する検討を進め、複数の区市と具体化に向けた協議を行ってきた。
来月には、足立区との間で、児童養護施設等退所者及びひとり親世帯を対象とした専用住宅の提供に関する協定を締結する。年内に入居者の募集を開始する予定であり、家賃低廉化補助により入居者支援を行う。
今後は、他の自治体に対しても、その意向等を確認しながら積極的に協議を行い、公社住宅の専用住宅としての活用を広く進めていく。
環境施策
① カーボンハーフ実現に向けた条例制度の改正について
【質問】
都議会公明党は第2回定例会代表質問で、太陽光発電設備を建築する地域の環境・住宅面積、効果的な太陽光パネルの設置可否などに十分配慮し、最終的には都民に選択の余地を残すなど、最終答申に向けて納得と理解を得るべきだと知事に求めた。
今回発表された基本方針では、戸建て住宅を建築・購入する都民や事業者への支援の方向性なども打ち出された。
今後は、支援の具体策をより魅力的なものとしていくとともに、義務化というマイナスイメージではなく、地球温暖化対策をより一層効果的に進める推進条例という位置づけで、都民に周知・広報していけるように取り組むべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
2050年脱炭素社会の実現に向けては、住宅供給事業者と、住まい手である都民の理解と共感を得ながら、住宅やビルなど建物が集積する東京の特性を踏まえ、建物の環境性能の向上を図ることが重要である。
そのため、今般創設する新制度では、1棟当たりの太陽光パネルの基準量を2キロワットとし、屋根面積が20平方メートル未満の住宅等を除外可能とする。また、日照条件等を考慮し、事業者が供給する建物全体で設置基準の達成を求める仕組みとする。
さらに、住宅供給事業者が住まい手に対し、住宅の断熱・省エネ、再エネ等の環境性能に関する説明を行う制度とする。
その上で、注文住宅の施主等は、再エネ導入等について必要な措置を講ずるよう努め、注文等について判断する。
また、建売分譲住宅の購入者等は、環境性能等の理解を深め、購入等について判断する。
都は、このような環境負荷の低減に努めるという住まい手の判断を支援するため、環境配慮に加え、経済性・快適性・防災性等のメリットを分かりやすく発信していく。
また、各主体の行動を促進するため、効果的な支援策を練り上げ、直ちに実施する。
我々現役世代の責任ある行動が未来を形づくるという認識の下、子供たちに誇れる東京を残していくためにも、再生可能エネルギーを最大限活用した環境性能の高い住宅の供給を着実に進めることで脱炭素社会を実現していく。
② 制度の円滑な実施に向けた取り組みについて
【質問】
制度の円滑な施行に向けては、ハウスメーカーなど事業者の意見等を聴取し、支援の在り方等を検討するとともに、国や都の住宅政策部門とも連携し、事業者にとって使い勝手のよい制度としていくべきだが、都の見解を求める。
【環境局長】
新制度の導入に向けては、現場の実態を踏まえた事業者の理解と共感を得ることが重要である。
これまで、関係団体や大手ハウスメーカー等と意見交換を重ねる中で、十分な準備期間の確保や初期費用の懸念、報告手続きの簡素化について強い要望が寄せられた。
都は、初期費用なしで太陽光発電設備を設置するサービスへの新たな支援や補助制度の拡充を検討する。
また、報告手続きは、国の制度に準じて簡素化を図り、事業者の負担軽減に配慮する。なお、事業者の準備や都民への周知を図る観点から令和7年4月を施行日とした。
今後、関係部局と共に省エネ・再エネ住宅推進プラットフォーム等を通じ、事業者の理解を一層深め、国とも連携を図りながら、実効性のある制度としていく。
③ 住宅の省エネに資する断熱・遮熱について
【質問】
都は「HTT(減らす・創る・蓄める)」推進の一環として、住宅の省エネに資する断熱・遮熱製品の利用を推進すべきである。見解を求める。
【環境局長】
住宅における熱の出入りの多くは窓からであり、比較的費用のかかる高断熱窓などの改修だけでなく、都民自身が手軽な作業で断熱できる製品の利用も有効である。
そのため、都は、今年度から窓の断熱性を向上できる断熱フィルムなどの利用に対し支援を行う区市町村への補助を開始した。
今後、区市町村による支援の実態を踏まえ、更にこの補助制度を利用頂けるよう断熱・遮熱技術を活用した製品を幅広く対象とするなど柔軟に対応していく。
こうした取り組みを通じて、区市町村及び都民と一体となりながら、断熱・遮熱性能を確保し、住宅の環境性能を高めていく。
④ エアコンの消費電力の抑制について
【質問】
省エネ性能に優れた機器への取り換えの推進だけでなく、新たに室外機に着目したエアコンの消費電力の抑制を図るべきであり、より即効的に補助を活用できるよう改善すべきである。見解を求める。
【環境局長】
建物における冷暖房のエネルギー消費は2割以上であり、その省エネ化には設備の買換えだけでなく、既に設置されている機器を効率的に運用することも重要である。
そのため、住宅については今年度から開始した簡易な省エネ対策への区市町村を通じた補助において、室外機への対策を対象として明確化し、多くの区市町村に活用を促していく。併せて、都民が一層利用し易い支援とするための更なる拡充も検討していく。また中小企業が専門家の提案により設備の電力使用を抑えるシステム等の導入を支援している。
今後は事業者が自ら計画を作り、省エネに役立つ機器を導入する取組への支援を検討する。
こうした取り組みを通じて、様々な省エネ対策を後押しし、2030年カーボンハーフを実現していく。
⑤ 人工排熱対策について
【質問】
都は今後、業界団体と連携しながら、効果的な排熱抑制策の立案に向け、検討を開始するべきである。知事の見解を求める。
【知事】
近年、夏の暑さは厳しさを増しており、熱中症予防のためには空調の適切な使用は不可欠であるが、都市の暑さ対策の上からは人工排熱を抑制していくことも重要である。
建物からの排熱を抑制するには、高断熱化や高効率な空調設備の導入など、建物の環境性能を高めていくことが有効な手段である。
そのため都は、排熱対策を含めたガイドラインを策定するとともに、大規模な開発での空調排熱を有効利用する地域冷暖房の活用などを誘導してきた。
今後、お話の既存建物を含め制度の強化や支援策の検討を行い、事業者の取組を促進することで、人工排熱対策と脱炭素化を同時に進めていく。
パートナーシップ宣誓制度
① パートナーシップ宣誓制度について
【質問】
都議会公明党は都民や民間事業者の理解を促進するとともに、制度の周知を図るため、テレビ討論会や総務委員会で都庁舎をレインボーカラーでライトアップしてはどうかと提案してきた。
そこで、制度の開始に向けた都の広報や周知の対応について、知事の見解を求める。
【知事】
多様な性に関する理解を促進し、ダイバーシティ東京を実現するためには、制度創設の意義を広く都民に周知し、社会に浸透させていくことが重要である。
制度開始に向けては、ホームページや広報東京都などによるPRに加え、新たに作成した動画を、SNS等を活用して発信し、制度を分かりやすく紹介するなど、効果的な周知に取り組んでいく。
さらに、多様性を認め合うことの大切さをより多くの都民の皆様に効果的に伝えるため、受付を開始する10月11日と、制度を開始する11月1日に合わせ、都庁舎とレインボーブリッジをレインボーカラーにライトアップし、機運の醸成を図っていく。
こうした取り組みを通じて、制度の普及を図り、一人ひとりがお互いを認め合い、尊重し合う社会を実現していく。
② パートナーシップ宣誓制度の活用について
【質問】
今定例会には都職員や教職員等の福利厚生制度等を改善する条例改正案が提出された。そこで、制度創設に合わせた都の取り組みと、都の政策連携団体への対応、制度開始に向けた都内自治体との連携、さらには民間への理解と対応を求める都の取り組みについて伺う。
【総務局長】
制度創設と合わせて、都はもとより、政策連携団体や都内自治体、民間事業者等、様々な主体で制度が活用されていくことが重要である。
本定例会においては、都職員の福利厚生等で制度を活用するため、条例改正案を提出しており、今後は政策連携団体にも、都の見直しを踏まえた対応を促していく。
また、パートナーシップ宣誓制度を広く普及していくため、当事者に身近な都内自治体においても、都の制度を活用した行政サービスの提供が図られるよう、各自治体の状況にも配慮し、丁寧に協議を重ねていく。
さらに、民間事業者に対しては、多様な性の理解の促進と合わせて、顧客向けサービスや社内福利厚生において都の制度の活用が広がるよう、協力を呼び掛けていく。
③ 公社住宅におけるパートナーシップ宣誓制度の活用について
【質問】
都の政策連携団体とも連携して、それぞれの団体が提供する都民サービスでも前向きに取り組んでいくべきである。公社住宅でのパートナーシップ宣誓制度の活用を、都における宣誓制度の導入と同時に実現すべきと考えるが、見解を伺う。
【住宅政策本部長】
ダイバーシティ東京を実現するためには、都の住宅政策の一翼を担う公社においても、パートナーシップ関係にある当事者の方々に配慮しながら、居住支援を図っていくことが重要である。公社住宅では、これまで、ルームシェア制度により一部の住戸において、パートナーシップ関係にある方々の入居も可能としてきた。
今後は、都のパートナーシップ宣誓制度が施行される11月1日に併せ、全ての公社住宅を入居申込の対象とするほか、パートナーシップ制度を導入している他の自治体で証明を受けた方の入居申込も可能とする。
こうした取り組みを通じて、誰もが安心して暮らしやすい居住環境を整備していく。
都政課題
① 手話の拡大に向けた取り組みについて
【質問】
都議会公明党が推進してきた2025年のデフリンピック大会の東京開催が決定された。東京開催のためには、手話の一層の普及拡大が必要だ。
手話イベントなどについて当事者団体と連携し工夫すべき。また、様々な分野で専門用語の人材育成が進んでいない。今後は当事者が日常生活での手話人口増加の実感や、様々な分野での活躍が広がることを目標に加えて、手話拡大に取り組むべきと考える。見解を求める。
【福祉保健局長】
手話を必要とする人がいきいきと活躍できる社会を実現するには、手話のできる都民を増やし、様々な生活場面で手話が使える機会を増やしていくことが必要である。
都は、手話への関心を広く高めるため、障害者団体等と連携し、基本的な手話を紹介したパンフレットの作成や、大学と連携した若年層向けイベントなどを実施している。
今後、学齢児等を主な対象に体験型のイベントを行う予定であり、障害者団体等とも連携して参加を呼び掛けていく。
また、手話通訳者や手話通訳士などの養成に当たり、昨年度からは医療や法律等の専門分野にも対応できるよう取り組んでおり、今後、専門性の更なる強化を検討していく。
② 動物愛護相談センターの整備について
【質問】
「都民等との協働による動物との共生推進拠点の整備検討会」では、共生推進拠点として必要な機能等を議論すると聞いている。動物保護の機能を有する共生推進拠点の早期実現のため、候補地の選定を含め検討を進めるべき。
新たなセンター整備に向けた取り組みを伺う。
【知事】
センターは、人と動物との調和のとれた共生社会の実現に向け、普及啓発や動物譲渡など、都が行う取組の中核を担う施設である。その整備に当たっては、必要な機能の確保や利便性などを勘案するほか、動物愛護の取り組みを都民と共に推進する施設とすることが重要である。
先月、センターの施設像や機能を具体的に検討する会議を設置し、動物福祉に配慮した飼養管理や国内外の施設の事例等について、ボランティアや獣医学などの専門家から意見を頂いた。
今後、検討を精力的に進め、その結果を年度内に取りまとめ、整備に生かしていくことで、センターを都民に身近な動物との共生推進拠点としていく。
③ 新耐震基準の住宅の耐震化について
【質問】
先の被害想定の見直しを踏まえ、今後は、新耐震基準の住宅についても、新たに補助を実施するなどして、地震被害の更なる低減を図るべきである。加えて新耐震基準の住宅が抱える不安の解消につながる工夫の事例についても都民や事業者に周知するべきである。都の見解を伺う。
【都市整備局長】
平成28年の熊本地震において、平成12年に基準が強化される以前に建築された新耐震基準の木造住宅の一部に倒壊等の被害が見られたことから、都は、区市町村と連携し、所有者が自ら安全点検を行うよう普及啓発などに取り組んでいる。
本年5月、10年ぶりに改定された新たな被害想定において、こうした耐震基準の建築物の耐震化が進むと、人的被害や建物被害が更に軽減されることが示された。
これらを踏まえ、地震による建物被害を更に軽減していくためには、安全点検の結果を踏まえた具体的な取組を促していくことが重要であることから、新耐震基準の木造住宅の耐震化に対して、普及啓発の更なる強化や、支援の在り方を検討していく。
④ 連続立体交差事業について
【質問】
東武伊勢崎線鐘ヶ淵駅付近は高架化されておらず、南北の避難道路が鐘ヶ淵踏切で遮断され防災上の課題があることから、都議会公明党はかねてから立体化を推進してきた。
防災力向上のため、鐘ケ淵駅付近の鉄道立体化に向けた取り組みを加速していくべきと考えるが、見解を求める。
【東京都技監】
鉄道立体化は、交通渋滞や踏切事故の解消とともに、鉄道により分断された市街地の一体性を高めることから地域のまちづくりと併せて進めていく必要がある。
墨田区ではこれまでに、まちづくりの基本的な計画を策定するとともに、その具体化に向け取り組んでいる。また、鉄道と交差する道路についても、都が補助第120号線の整備を進めており、区が、新たに交差する道路について整備に向けた準備を進めている。
こうした状況を踏まえ、この度、鉄道立体化の可能性の検討を行う箇所として、事業候補区間に位置付けた。
地元区や鉄道事業者と連携して積極的に取り組んでいく。
⑤ 都民を豊かにするデジタルサービスについて
【質問】
都は、デジタル・トランスフォーメーションの推進強化に向け、新団体の設立構想を発表したが、デジタル化はそれ自体が目的ではなく、都民生活がどれだけ豊かになるかが鍵である。例えば、母子保健手帳や身体障害者手帳の申請手続きをオンライン化することにより、わざわざ役所に出向かずとも手続きが可能となるなど、暮らしが豊かになったと実感できるようなサービスを実施すべき。知事の所見を伺う。
【知事】
手続のデジタル化や、便利で使いやすいサービスなど、障がいのある方や子育て世代を含め、誰もがデジタルの恩恵を実感できる社会の実現が、DX、デジタルトランスフォーメーションが目指すものである。
この取り組みを更に強力に推し進めるため、この度、新団体「GovTech(ガブテック)東京」の設立構想を打ち出した。新団体では、高度専門人材を多数確保し、これまでの枠に捉われない発想で、個々人のニーズに対応したプッシュ型支援などの質の高いサービスを開発・提供していくことを目指す。
都と協働して、各局事業の企画立案段階から参画するとともに、都民に分かりやすく使いやすいサービスデザインの徹底や、ユーザーテストによる都民の声の反映を通じて、品質の改善を推進する。
子育てや福祉など、共通化による効果の高い分野で区市町村と連携・協働したサービスを提供するなど、住民ニーズに寄り添った取組を進める。
都と新団体、区市町村の強力な連携により、オール東京での更なるDXを推進し、都民が生活の質の向上を実感できる社会を実現していく。