小磯善彦議員の本会議(9月29日)一般質問

福祉・医療施策

 大規模国際イベントでの感染症対策について

【質問】

東京都として今後、大規模国際イベントが開催される際には、感染症の流入に関するリスク評価を行い、東京2020大会での様々な取り組みを生かして、予防ワクチンの接種体制を含めた感染症対策に取り組むべきと考えるが、見解を求める。

【知事】

海外から多くの方が訪れる大規模国際イベントでは、感染症のリスクに応じた対策を講じることが重要である。

東京2020大会では、コロナ禍という状況の中で、国、組織委員会と一体となって、水際対策や健康管理、行動管理等を徹底し、大会における新型コロナの感染拡大を防止した。

また、輸入感染症についてリスク評価を行い、組織委員会と連携して、医療スタッフに対する髄膜炎菌ワクチンの接種などの対策を実施した。

今後、大会でのこうした取り組みを生かし、東京iCDCの専門家等の知見も得ながら、大規模国際イベントの安全・安心な開催に向け、主催者と連携して感染症対策に取り組んでいく。

 医療費の適正化について

【質問】

バイオシミラーは、先行バイオ医薬品と同等の有効性が認められた後続医薬品であるが、その価格は先行医薬品の7割程度で薬剤費の負担が軽減される大きなメリットがある。

都の医療費適正化計画は、来年度に改定が検討されるが、医療費適正化を図るため、バイオシミラーの使用促進を盛り込むべきであるが、見解を求める。

【福祉保健局長】

医療費の適正化についてであるが、高齢化に伴う医療費の増大が見込まれる中、持続可能な医療保険制度の確保を図るため、都は、国の基本方針に基づき、来年度までを期間とする第三期東京都医療費適正化計画を策定し、生活習慣病の重症化予防や後発医薬品の使用促進などに取り組んでいる。

バイオシミラーは、先行バイオ医薬品と同等の効果で低価格のため、国は、その使用による医療費適正化効果を踏まえ、使用促進の目標値を今年度中に設定することとしている。

こうした国の動向や、適正化計画の次期改定に向け示される基本方針等を踏まえ、バイオシミラーも含めた後発医薬品の使用促進などによる医療費の適正化について、医療関係者等の意見も聴きながら、都の実情に応じた取組を検討していく。

 最先端がん治療の方向性に関する検討について

【質問】

都は今年度、重粒子線治療を含む最先端がん治療の方向性に関する調査を行うこととなった。

そこで、地方独立行政法人東京都立病院機構が行う調査状況を確認するとともに調査検討については、都と法人が連携を図り進めることが重要だが、見解を伺う。

【福祉保健局長】

今年度、地方独立行政法人東京都立病院機構が行う調査では、がん治療における手術療法、薬物療法、放射線療法等の現状のほか、現在、研究・開発段階にある最先端がん治療法の詳細や今後の技術動向等を整理した上で、患者数見込みや他の医療機関での導入状況、事業採算性等を取りまとめる予定である。

調査に当たっては、都立病院の医師のがん医療に関する豊富な知見や、民間事業者の有する粒子線治療を含むがん治療関連業務のノウハウを活用していく。

都は、この調査の進捗状況を定期的に確認し、年度内に報告を受けることとしており、都と法人が連携して着実に取り組んでいく。

 障がい者割引に対応したICカードについて

【質問】

障がい者の方が公共交通機関などで割引を受ける場合、毎回窓口で障がい者手帳を提示し、駅員などに確認してもらわなければならず、大きな負担となっているため、都議会公明党は議会質問、国交大臣への要望などに取り組んできた。

その結果、交通事業者で構成する関東ICカード相互利用協議会が来年3月に新たなICカードサービスを開始することになった。

新たなICカードサービスに当たって、都議会公明党は、これまでと同様、障がい者のみならず介護者も割引が適用されるよう都に求めてきた。

制度の概要など問合せが多く、都は、なるべく早く情報を伝達し、協議会と連携して取り組むべきだが、見解を伺う。

【都市整備局長】

誰もが生き生きと生活できる都市を実現する上で、公共交通のバリアフリー化を促進することは重要である。

このICカードの導入により、鉄道やバスの利用の都度、障害者手帳を呈示する手続が不要となることから、都は国と連携し、事業者に導入を働きかけてきた。

本年9月、交通事業者で構成する協議会は、割引対象の障害者本人だけでなく介護者も対象として、来年の3月中にサービス開始予定であることや、首都圏などのスイカ・パスモエリアの鉄道やバスで、このカードが使えるようになること、駅の窓口等で購入可能となることを発表した。

都としても、サービスの詳細な内容や手続等について利用者にしっかり周知するよう、関係者に求めていく。

 障がい者用ICカードサービスについて

【質問】

交通局では、都内在住の身体障がい者、知的障がい者の方などには無料乗車券を発行しており、手帳を提示することなく無料で都営交通を利用できる。

新しいICカードの導入に当たり、無料乗車券との連携を求めたが、本サービスの都営交通での利用範囲と合わせ都の取組について答弁を求める。

【交通局長】

このサービスは、対象となる障害者本人に加え、同行する介護者が、障害者手帳等を呈示することなく自動改札機等の利用で割引が受けられるものであり、来年3月にサービスを開始する。都営交通では、地下鉄をはじめ都営バス、東京さくらトラム、日暮里・舎人ライナーでご利用いただけることとなる。

また、交通局では、都内在住の身体障害者、知的障害者の方等に都営交通無料乗車券を発行している。この乗車券については、関東ICカード相互利用協議会と調整を進め、来春のサービス開始と同時に、障がい者用ICカードと一体化し、ご利用いただけることとなった。

引き続き、円滑なサービス開始に向けて準備を進めていく。

 トイレ等への杖ホルダーなどの設置について

【質問】

骨折で入院し杖を使う生活をした際、不自由を感じたのが、杖を立てかけることができる杖ホルダーがないトイレやカウンターである。立てかけてもすぐ倒れるので、拾い上げるのに一苦労する。

都は、杖ホルダーなどの設置が進むよう取り組むべき。見解を求める。

【福祉保健局長】

都は、高齢者や障害者等が円滑に施設を利用できるよう、福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルに、利用者に配慮した望ましい整備項目を掲載している。

その中で、カウンターや店舗内のレジ前等に、杖を立てかける場所を設けた例や、車椅子使用者対応トイレや一般トイレに、杖を掛けるフックを設置した例を示している。

こうしたマニュアルの内容について、今後、都内の公共交通機関や店舗の管理者等で構成する連絡協議会等で改めて周知することで、事業者団体等や区市町村に、杖ホルダーの設置など、利用者に配慮した対応を促していく。

 サニタリーボックス及び杖ホルダー等の設置について

【質問】

都営地下鉄のトイレ、券売機付近等に杖ホルダー等を設置するとともに、障がい等のある方が安心して都営地下鉄を利用できるよう、男性トイレの個室にサニタリーボックスの設置を進めるべきだが、都の見解を求める。

【交通局長】

都営地下鉄では、全ての車椅子使用者対応トイレ及び女性用トイレに、サニタリーボックスを設置している。

今後、前立腺がんなどにより尿漏れパッド等を使用しているお客様により安心してご利用いただけるよう、男性用トイレ内にある簡易型車椅子使用者用個室にもサニタリーボックスを設置していく。

また、杖ホルダー等については、これまで、トイレの改良工事によるほか、駅係員のサービス推進活動の一環として設置しており、全駅のトイレや券売機付近等へ設置を進めていく。

今後とも、誰もが安心して都営地下鉄を利用できる環境づくりに取り組んでいく。

街づくり

 外濠の浄化について

【質問】

都議会公明党は、一刻も早い新たな水源の導入など、都の総力を挙げて対策すべきと何度も訴えてきたところ、都は、本年5月に外濠浄化に向けた基本計画を公表し、河川水の導水が必要であり、そのための施設整備の完了を2030年代半ばに目指すとしている。

都は事業期間の短縮に向けて様々な工夫を行うとともに、2024年度から整備完了までの間、必要となる対策についても取り組むべきと考えるが、見解を伺う。

【都市整備局長】

水の都東京を実現するためには、歴史的財産である外濠の水質改善の取り組みを進め、都民に癒しの場を提供するとともに、品格ある景観を形成していくことが重要である。

外濠の水質改善に向けては、新たな導水路の整備など恒久的な取組を基本計画として取りまとめた。

今後は、早期完成を目指して、既存施設等を最大限活用する検討を行い、導水路の設計など施設整備に取り組んでいく。

また、完成するまでの水質改善に向けて、アオコの発生を抑制するため、暫定的な対策を継続するとともに、新たな流入水として、地下鉄トンネルの湧き水などの活用を検討していく。

引き続き、国や地元区とも連携しながら人々が憩い地域に親しまれるよう外濠の水辺再生を着実に進めていく。

 「外濠浄化プロジェクト」へのグリーンボンドの活用について

【質問】

令和2年第1回定例定で、外濠浄化プロジェクト推進のため、グリーンボンドによる資金調達を提案した。いくつもの局にまたがる外濠浄化に向けた事業の本格化が今後見込まれる中、都民や企業の共感を得ながらグリーンボンドの活用を図っていくべきと考えるが、所見を伺う。

【財務局長】

グリーンボンドは、CO2削減や自然環境保全など環境問題の解決に資する事業に使途を限定した債券であり、都では、国際的な原則に基づき、第三者機関の評価を取得し、適格性や透明性を確保した上で発行している。

こうした中、「外濠浄化プロジェクト」は、「水の都東京」を甦らせるため、東京の歴史的財産である外濠の水質改善を進めるものであり、都の環境施策を推進し、都民や企業のオーナーシップ意識の喚起を目的とする東京グリーンボンドとも親和性のあるものと認識している。

このため、外濠の水質浄化に対するグリーンボンドの充当については、今後、事業の進捗状況に応じた経費の性質や内容、環境改善効果などを踏まえ、第三者機関と調整を行いながら、可否の検討を進めていく。

 外濠の子ども向け勉強会について

【質問】

本年第2回定例会における都議会公明党の代表質問に対し、新たに地元の小学生を対象とした外濠浄化について勉強会を開催するとの答弁があった。

子ども向け勉強会の具体的な開催状況について伺う。

【都市整備局長】

将来にわたり「水と緑の空間」を残していくためには子供達に外濠の歴史的価値や維持管理の大切さを伝え、水辺環境を学ぶ機会を充実させていくことが重要である。

このため、本年6月から7月にかけて、地元新宿区と連携して地域の小学生を対象に子供向け勉強会を開催し座学での歴史授業や現地での水辺見学を実施した。

子供達からは外濠の未来への展望などについて、パソコンで作成した資料やポスターなど様々な形式で発表が行われ、水辺環境の重要性や水質改善に向けた心掛けなど、子供ならではの率直な意見が多く出された。

引き続き、関係区と連携を図りながら、子供向け勉強会を通じて子供との対話や意見聴取に努め、外濠の水辺空間を生かした魅力あるまちづくりにつなげていく。

 多摩都市モノレールの町田方面延伸について

【質問】

多摩都市モノレールの町田方面延伸について、都は、3年間かけて綿密に検討したルート検討委員会でのデータ、議論をもとに、地元市が進めるまちづくりを支援するとともに、今後の導入空間となる道路計画を見据え、スピード感を持って検討を進めるべき。都の見解を求める。

【都市整備局長】

延伸により、開業区間と一体となり南北方向の拠点が結ばれ、多摩地域の活力や魅力が更に向上する。

延伸に向けては、収支採算性の確保等に加え、導入空間となり得る道路整備が課題であるため、学識経験者等から成る委員会でルートを選定し、公表した。

このルートを基に、町田市と多摩市は、まちづくり構想の令和5年度の策定を目指し、先月、検討会を立ち上げたところであり、需要創出に向けた新たな沿線開発等のまちづくりに加え、リニア中央新幹線の新駅開業等による広域的な集客も想定し、検討を進めている。

都としては、検討会に参画し、さきの委員会での成果も生かして地元市が進めるまちづくりの取組を支援するなど、関係者と事業化について協議・調整を進めていく。

土砂災害対策

【質問】

都議会公明党は、これまで盛土による土砂災害の未然防止に向け、現行法制度の不備について検討を求め、また、国へ積極的に提言し、更に都独自策を打ち出すべきと提言してきた。

都のこれまでの取り組み状況と今後の安全確保対策について見解を伺う。

【都市整備局長】

都は、昨年12月に、関係6局で「盛土のあり方検討会議」を設置し、現行法令の運用上の課題などの共有化や国の動きの把握などに努めてきた。

その後成立した盛土規制法は、土地の用途にかかわらず、危険な盛土等を包括的に規制するものとなっており課題の解決に有効であると認識している。

都は、令和6年度を目途に新たな法に基づく制度に移行するため、規制区域の指定に向けて、今回の補正予算により基礎調査に着手するとともに、許可対象の拡大も踏まえ、庁内連携などを強化する。

さらに、国に対しては、必要な支援などを引き続き求めていく。

こうした取り組みにより、都民の安全を確保していく。

環境施策

【質問】

今後ZEV(ゼロエミッション・ビークル)の普及を更に加速させるため、住宅や事業所、コインパーキング、そしてパーキングメーター設置区間などの公道も含め、様々な場所に充電設備を整備して、これまで以上に利便性を高めていくことが必要であるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

ZEVの普及に向け、車両購入の支援に合わせ様々な場所で速やかに充電のできる仕組みの整備が重要である。

これまで都は、住宅や商業施設のほか駐車場に充電設備を導入する場合、国と協力し自己負担の生じない支援を行ってきた。また、充電設備の集合住宅への円滑な導入を図る協議会を設立したほか、今後は事業所がEVとの間で充放電のできる設備導入への助成も開始する。

さらに、今年度末までにパーキングメーターのある都道等に駐車時間内で急速な充電のできる機器を設置し、1年間の試験運用を行い、利用の度合いや歩行者、他の車両への影響等の課題を調べ本格運用に向け検討を行う。

こうした取組により、日々の暮らしで身近な、様々な場所での充電を可能としZEVの普及に結び付ける。

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