時間外労働の上限規制を踏まえた働き方改革を
求める緊急要望

わが国の土木・建設業界は、恒常的な担い手不足に直面しており、国は、「働き方改革関連法」を成立させ、2024年から罰則付きの時間外労働の上限規制の適用開始を予定するなど、長時間労働の是正を進めている。
 
都内においても、同業界における若手人材の不足は深刻であり、都は都議会公明党などの要請に基づき、週休2日制の導入や工事関係書類の削減簡素化などを進め、働き方改革や女性活躍の推進などを進めている。

しかし、建設現場で働く技能労働者の給与体系は、依然として日給月給が多く、現状のままで全面的な週休二日制に移行すれば技能者の生活に深刻な影響を及ぼすことは必至である。

加えて、都が発注する道路、上下水道管などの公共インフラの維持更新工事などにおいては、常設作業帯の設置が困難な環境下にある場合が多く、現場での作業時間以外に準備や跡片づけ、資材置き場との往復等で1日に3時間程度必要な現場も存在するなど、現状のままでは時間外労働の月単位上限に違反するとの不安の声が多く業界から寄せられている。

こうした課題への対応においては、業界側だけの努力では困難であり、発注者の強い後押しが必要であり、国も、各級管理者による道路工事などにおいて、発注者側の柔軟な対処を求める通知をすでに発している。

とりわけ、都の公共工事の動向は、民間の受発注の在り方に与える影響の度合いが大きく、行政主体自らが法改正の主旨を踏まえた模範の取組の姿勢を示されるべきと考える。

よって、下記の点について、善処を図られるよう強く要望する。

1.週休二日制の完全実施に際しては、これまで6日間で得ていた収入を5日間で確保できるよう労務費の補正率を1.2(6日/5日)以上に是正する必要がある。

都は国に基準の迅速な改定を求めるとともに、実現までの間、都独自の救済措置を実施されたい。

2.常設作業帯の設置が困難な環境下にある場合、一日の作業時間の全体が基本8時間以内に収まるよう、落札した受注者ごとの作業条件に合わせて、作業現場での実労働時間を踏まえた柔軟かつ積極的な設計変更に努められたい。

併せて、作業現場での実労働時間の縮減が適切に実施されても、工事履行に必要な一日当たりの基本的な経費は一定であることから、工事予算額の算定の基礎となる時間単価についても、落札した受注者の作業条件に合わせて柔軟かつ積極的な設計変更に努められたい。

3.また、今後、作業現場で実作業時間の縮減を適切に進める上で、工事全体の履行に必要な施工期間についても必要な延伸が確保されるよう、柔軟かつ積極的な設計変更に努められたい。

4.更に罰則付きの時間外労働の上限規制の適用への対応は、基本、落札後の設計変更によって対応されることになる。しかし、一部において、設計変更の取扱いにかかる基本原則が守られず、受注者側の設計変更の意向が書面化されることなく、かつ、口頭で拒否の旨が伝えられるような事例が見受けられる。2024年改正労働基準法の主旨に沿い、必要な設計変更が確実に実施されるよう、都として定めている取り扱いルールの再徹底を図られたい。

5.上記のほか、契約履行の確認に要する請求根拠などの説明資料などをはじめとする工事関係書類の削減・簡素化については、都庁各局間の相互の連携を深め、不断の見直しに努められたい。

以上


令和3年9月27日

本日15:30、都議会公明党は小池知事宛に、標記の件について緊急要望を行いましたので、お知らせします。武市敬副知事が対応しました。

働き方改革が進む中、建設現場で働く技能労働者の給与体系は、依然として日給月給が多く、現状のままで全面的な週休二日制に移行すれば技能者の生活に深刻な影響を及ぼすことは必至であり、現場によっては、時間外労働の月単位上限に違反するとの不安の声が多く業界から寄せられていることから、別紙の要望を行いました。

席上、武市副知事より「ご要望については、対応可能なところから速やかに取り組みを進めていきます。」とのコメントがありました。

なお、要望は、東村邦浩幹事長、中山信行幹事長代理、かつまたさとし、北口つよしの各都議が行いました。

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