伊藤こういち議員の本会議(2月25日)一般質問

防災対策

① 風水害に備えた都民への普及啓発について

【質問】

私は、都民の自主的な避難行動につながるマイタイムラインの作成や、複数の情報を重ね水害リスクを肌で実感できる映像、さらにVRを活用した災害の疑似体験などの取組を提案してきたが、こうした提案に対し、都が実施した取組について伺う。

【総務局長】

風水害に備えた都民への普及啓発についてであるが、災害から命を守るためには、都民一人ひとりがリスクを正しく理解し、備えを万全にすることが重要である。

都はこれまで、東京マイタイムラインを制作し、学校や区市町村等に配布するとともにその作成方法などを学習できるセミナーの開催や動画の配信など、都民によるマイタイムラインの作成を支援する取組を実施してきた。

また、東京都防災アプリに水害リスクマップの機能を搭載し、水害時における地域の危険性をより分かりやすく確認できるようにするとともに、早期避難の重要性について理解を深めてもらうために、風水害の脅威を疑似体験できるVR動画を配信している。

今後も、これらのツールを効果的に活用し、様々な機会を捉えて普及啓発に取り組んでいく。

② 防災情報の発信について

【質問】

情報が多くの都民に活用されるよう周知を徹底するとともに、分かりやすさについても改善を重ね、さらに機能の拡充も図るべきと考えるが、見解を伺う。

【総務局長】

防災情報の発信についてであるが、都民の防災意識を向上させるためには、防災情報を充実させ、広く周知することが重要である。

都は、東京くらし防災など、防災情報を集約した防災アプリについて、防災の日など様々な機会を捉えて周知を行っている。今後は、より簡単な操作で情報を入手できるよう、アプリのメニュー画面の改善を図るとともに、避難所の開設状況やバリアフリー情報、マイタイムラインの作成機能を追加し、情報の充実を図っていく。また、台風の接近など、風水害時の早めの避難行動を促すため、主要駅周辺にあるデジタルサイネージを活用し、注意喚起のメッセージを新たに配信する。

こうした取組を継続していくことにより、都民へ向けた情報発信を強化し、適切な防災行動につなげていく。

③ VRの活用について

【質問】

東京消防庁が実施しているVRを活用した災害の疑似体験について、その実績や効果を伺うとともに、今後更に防災教育や訓練の充実に活用すべきと考えるが見解を伺う。

【消防総監】

VRの活用についてであるが、首都直下地震の発生に備え、リアルな災害体験により学習効果を高め、防災に関心のない方々にも参加してもらえる、魅力ある訓練の提供を目的にVR防災体験車を導入した。

平成30年4月の運用開始からこれまでに、約11万人が体験し、家具類の転倒・落下・移動防止対策をはじめとした都民の防災意識の向上に大きな効果をあげている。更に今年度、本所・池袋・立川の各防災館に新たにVR防災体験コーナーを設置し、より多くの方が体験できる環境を整備した。

今後とも、都民の防災行動力を高めるため、バーチャルリアリティー技術等を活用し、より学習効果の高い魅力ある防災訓練を提供していく。

都民の暮らしと命を守る施策

① スマート東京について

【質問】

新しい「未来の東京」を具現化していく中で、最先端技術の活用については、利便性の向上のみならず、まずは「都民の命を守る」、安全・安心のために使っていくことが重要だと考えるが、スマート東京の実現に向けた知事の所見を伺う。

【知事】

スマート東京の実現についてであるが、先般公表した「未来の東京」戦略では、全体を貫く「基本戦略」の1つにデジタルトランスフォーメーションを掲げ、最先端技術の積極的な活用により、都市全体がスマート化し、全ての人が快適に暮らし働くことができる社会の構築を目指している。

とりわけ、安全・安心については、都民の希望と活力の大前提であることから、最先端技術を「都民の命を守る」ために駆使することは、重要な視点である。

そこで、「未来の東京」戦略では、都営住宅におけるAI等の最先端技術を活用した単身高齢者の見守りや、AI水位予測による水門の開閉操作支援、島しょ地域における5Gを活用した遠隔医療など、都民の安全・安心を実現していくための様々な取組を盛り込んだ。

新型コロナが世界中で猛威を振るう中で、最先端技術の実装は、更にスピードを増している。

世界からの遅れを取り戻すべく、「未来の東京」戦略をスピーディーに展開し、安全・安心で、人間らしい幸せな暮らしができる、「スマート東京」を実現していく。

② スマートメータの導入について

【質問】

見守りとして期待される水道スマートメータトライアルプロジェクトの取組を着実に実施するとともに、都営・公社住宅への導入を含めて取組を加速すべきである。そして検証結果を活かし、将来的には一般家屋を含め全戸展開すべきと考えるが、見解を伺う。

【水道局長】

スマートメータの導入についてであるが、水道局では、昨年3月に策定した「水道スマートメータトライアルプロジェクト実施プラン」に基づき、検針業務の効率化やお客さまサービスの向上等を目的に、令和4年度から令和6年度までの3年間に、スマートメータの先行導入を行うこととしている。

現在、同プラン策定時より3万個多い約13万個を導入することとしており、都営住宅等についても建替え時に導入していく。

今後、導入効果を検証するとともに、見える化・見守りサービスの具体的な内容を検討し、2030年代までに、水道メータの交換時期に合わせて、既存の都営住宅や公社住宅、民間マンション等の集合住宅や一般家屋、更には事業所等を含めた全戸導入につなげていく。

③ スマートメータのデータ活用について

【質問】

トライアルプロジェクトの中でもスマートメータから得られるデータを見守りサービスにつなげる方策について、検討すべきと考えるが、見解を伺う。

【水道局長】

スマートメータのデータ活用についてであるが、スマートメータの導入により、1時間ごとの使用水量を毎日把握することが可能となる。また、一定時間の連続使用等を感知した場合には、その都度、把握できるようにすることも検討している。

これらのデータを利用し、長時間の水の不使用や連続使用等、使用水量の変化を、離れて暮らしているご家族等の連絡先に通知することにより、高齢者や子どもの安否確認に活用できる可能性があると考えている。

このため、今後実施するトライアルプロジェクトの中で、お客さまのニーズや技術的な課題等について検証を行っていくとともに、見守りサービス提供事業者等との連携の方策についても検討していく。

④ 小児がんや難病の子供等への支援について

【質問】

都は、「東京こどもホスピス」の設立の実現に向けて、まずは都としての施策の位置付けを検討すべきである。その上で、財政支援、人的支援に加えて、多摩メディカルキャンパスの敷地の一部を提供するなど、大胆な支援策を講じるべきだが、併せて見解を伺う。

【福祉保健局長】

小児がんや難病の子供等への支援についてであるが、完治が難しい小児がんや難病等を抱えながら、在宅で療養する子供やその家族が、孤独にならず暮らすことができる環境づくりは重要である。

お話しの「こどもホスピス」の事例は、在宅で療養している子供や家族に「居場所」を提供する施設であるが、病院や療育施設等と異なり、法令等に基づく施設としての位置付けがない。

都は現在、都内で施設を運営する意向のある事業者から、コンセプトや構想を進める際の課題などについて、話を伺っている。

今後、提供を検討しているサービス内容等を伺い計画が具体化した段階で、施策の位置付けなど、対応を検討していく。

高校段階の一人1台環境のモデル実施

【質問】

高校段階で途切れることなく学ぶ環境が円滑に接続できるよう都はモデル事業を実施すること表明しました。令和3年度に実施する都立学校における一人1台端末による学習のモデル事業について、その具体的方法と内容を伺う。

【教育長】

高校段階の一人1台環境のモデル実施についてだが、都教育委員会は、高校の一人1台端末について、各校の推奨する端末を生徒の所有とするCYOD方式により、令和4年度入学生から整備する。

来年度は先行して、都教育委員会所有の同一性能端末により、一人1台環境で学習を進めるモデル校を、都立高校及び特別支援学校から10校程度指定する。モデル校では生徒の興味関心に応じた探究活動や生徒同士の協働学習等における端末の活用とともに、生徒一人一人に応じた指導への効果的な活用などを検証する。また、使用ルールや接続上のトラブル等への対処方法も策定する。

こうしたモデル校の成果を全都立学校に普及させ、CYOD方式による一人1台体制が円滑に導入できるよう着実に準備していく。

交通施策

① 羽田空港の新飛行経路について

【質問】

国交大臣からは「新経路の固定化を回避する方策を早急に検討するため、検討会を立ち上げる」との表明があり、既に2回の検討会が開かれた。この検討状況について、都が国から受けている報告内容を明らかにして頂きたい。また、この検討会について都の認識を伺う。

【東京都技監】

羽田空港の新飛行経路についてであるが、将来にわたって東京が国際競争力をもって持続的な発展を続けていくためには、国内外に豊富なネットワークを有する羽田空港の機能強化を図ることが不可欠である。

国は、地元区の意見等を踏まえ、昨年、羽田新経路の固定化回避に係る技術的な方策について、現在の滑走路の使い方を前提として多角的に検討する会を設置した。昨年末に技術的選択肢として12通りの飛行方式を洗い出し、今年度中に複数に絞り込み、羽田空港で運用可能かどうかの観点を含めメリットデメリットを整理するとしている。都としては、騒音軽減や技術的な観点から、羽田新経路の固定化を回避するための方策について、適切に検討が進められるものと受け止めている。引き続き国に対し、騒音・安全対策の着実な実施を求めていく。

② 羽田空港アクセス線について

【質問】

西山手ルートについても東京都が全面的に協力し、2029年度運行予定の東山手ルートと合わせて運行できるようにJR東日本と協議を行っていくべきと考えるが、都の見解を求める。

【東京都技監】

羽田空港アクセス線についてであるが、本路線は、国の答申において、東山手ルート、西山手ルートなど3ルートが示されている。このうち、東山手ルートについては、JR東日本が、本年1月に、新設区間の鉄道事業許可を受けるなど、工事着手に向けた手続が進んでいる。

お話の西山手ルートについては、りんかい線やJR埼京線など既存路線と接続することで、多摩方面も含めた広範囲にわたる空港アクセス利便性の向上が期待される。

先日公表した「未来の東京」戦略の案では、西山手ルートを含めて、都としての取組の方向性を、示したところであり、東山手ルートの進捗状況等を勘案しながら、事業スキームの構築に向けた、国やJR東日本等との協議、調整を積極的に進めていく。

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