東村邦浩議員の本会議代表質問

新型コロナウイルス対策について

【質問】

新型コロナウイルス対策について、都のコールセンターや各保健所の電話相談窓口への相談は大幅に増加しつつある。そのため、専門機関とも協力しながら、24時間の相談体制を構築するなど、より一層の強化を図るべきである。知事の見解を伺う。

【知事】

新型コロナウイルス感染症の相談体制についてだが、新型コロナウイルス感染症は、中国を中心に短期間で急速な広がりを見せており、いまだ未解明の部分も多い感染症であることから、都民の皆様に、正しい情報を伝え、不安を解消していくことが重要である。

このため、都では、都民の皆様に冷静な正しい行動をとっていただけるよう都のホームページに専用サイトを設け、トップページにバナーを掲載したほか、電話で相談を受け付けるコールセンターを開設した。

また、感染の可能性がある方からの相談を24時間体制で受け付ける、「帰国者・接触者電話相談センター」を設置し、感染が疑われる場合には、他の患者との接触を避けて受診することが可能な「帰国者・接触者外来」で受け入れる体制を整えている。

さらに、2月28日からは、コールセンターについて、より多くの都民からの相談に対応できるよう、回線を増設するとともに、英語、中国語、韓国語による対応や聴覚に障害のある方へのファクシミリによる相談の受付を開始するなど、体制を充実させる。

今後の感染の状況も踏まえながら、関係機関とも連携し、より都民が利用しやすい新型コロナウイルス感染症に関する相談及び正確な情報発信に努めていく。

【質問】

都は、感染が疑われる人に対して外来診療を行う医療機関や、入院が必要な患者を受け入れる医療機関の体制拡充を早急に進めるべきである。また、これら以外の民間医療機関では、必要な医療資機材の提供を推進することも急務である。あわせて知事の見解を伺う。

【知事】

今後の感染拡大を想定した医療体制についてであるが、都は今月、新型コロナウイルス感染症の発生以降、入院患者を受け入れる感染症指定医療機関や、帰国者・接触者外来を開設する診療協力医療機関に加え、指定二次救急医療機関等を対象に、説明会を2回開催し、患者の受入体制の確保を働きかけた。このうち、受入体制を確保している医療機関に対しては、医療従事者用の防護服を提供している。現在、都内では、患者数が増加しつつあり、感染源が不明な患者や重症患者も発生している。

こうした状況を受け、先般の対策本部において、東京都医師会などの有識者から、今後の感染拡大の可能性を見据え、速やかに医療体制を整備するよう御意見を頂いた。

また、昨日、国は新型コロナウイルス対策本部で、感染の拡大に備えた対策の基本方針を決定した。

今後、これらを踏まえながら、国や多くの医療関係者等と緊密に連携し、医療体制の強化を迅速に進めていく。あわせて、マスクや消毒薬等の安定的な流通について、引き続き国に働きかけていくとともに、医療機関と調整の上、必要な防護服を提供するなど、医療従事者の安全を確保し、患者を確実に診療する体制を構築していく。

【質問】

感染症に対応できる多摩総合医療センターは現在、感染症指定医療機関になっていない。国は、二次医療圏に一か所設置でよいとしているが、機能の強化を図り、感染症指定医療機関の指定に向けて取組を進めていくべきである。知事の見解を伺う。

【知事】

多摩総合医療センターの感染症指定医療機関への指定についてであるが、現在、都内には、感染症法に基づく感染症指定医療機関が12あり、これらの医療機関を中心に感染症医療体制を構築している。1,300万人の都民が暮らし、海外との往来が活発な大都市である東京においては、海外から感染症が侵入し、拡大するリスクが高い。このため、将来の新興・再興感染症の発生に備え、感染症医療提供体制を更に強化していくことが必要である。

今回の補正予算案では、多摩総合医療センターにおける施設を改修し、一部の病床において、二類感染症相当の感染症患者を受け入れることのできる設備面の整備を図ることとした。今後、多摩総合医療センターの感染症指定医療機関としての指定に向けて準備を進めていく。

【質問】

今回の新型コロナウイルスの感染では、クルーズ船で多くの感染者が出た。今回の教訓を踏まえれば、将来に備え、1,000人規模で感染症の経過観察ができる施設を、既存施設の改修も含めて検討すべきと考える。知事の見解を求める。

【知事】

感染症に対する今後の備えについてであるが、今回の新型コロナウイルス対策に当たっては、中国武漢市から帰国された在留邦人の方々や大型クルーズ船に乗船されていた方々に対して国内で適切に経過観察を行う施設の確保について課題があったと考えている。

こうした認識の下、今後新たに発生する感染症への備えの一つとして、感染の疑いがある方々に対して経過観察可能な施設の整備について、来年度から検討を始める。

具体的には、経過観察可能な施設として必要な機能や規模、施設の立地条件やコスト、平時における活用方法や運営体制等について年内を目途に調査検討を実施する。

都民の皆様方や東京を訪れる方々の生命と健康を守っていくため、新型コロナウイルス感染症対策の更なる強化を行いながら、今回の事態を教訓として将来を見据えた取組にも目を向け、都民の安全・安心の確保に努めていく。

【質問】

感染拡大が日本経済に大きく影響しており、特に観光業や、サプライチェーンを含めた事業に係る中小零細企業への支援が必要だ。また、都発注案件でも部品調達ができず納期に対応できない事業者への柔軟な対応が必要だが、併せて知事の見解を伺う。

【知事】

新型コロナウイルス感染症に対する中小企業への支援についてであるが、感染症の流行に伴って懸念される、サプライチェーンの寸断といった経済への影響を最小限に抑える観点から、中小・小規模企業への支援を迅速に進めていくことは重要である。

そのため、中小企業の資金繰りや経営に関する特別相談窓口を直ちに設置するとともに、私も自ら、中小企業団体の方々から厳しい経営の状況を直接伺うなど、日々刻々と変化する現場の実態を把握してきた。

こうした声を真摯に受け止め、切れ目なく対策を進める必要があることから、今回、さらなる支援の充実を図った。

資金面からの支援では、融資目標額を1,000億円とする緊急融資制度を創設し、信用保証料の全額を都が補助するなど、中小企業の大幅な負担軽減を図る。

本融資では、感染症による影響が広範にわたっていることを踏まえ、一定の売上減少などがある幅広い中小企業が利用できるようにするとともに、資金使途についても、当面の運転資金や設備投資など様々な活用ができることとする。

また、感染拡大に伴い、厳しい状況に直面している中小企業に対し、経営や法律の専門家を無料で派遣するとともに、国内外への販路開拓支援も強化する。

加えて、都発注工事の工期の延伸について受注者から申し入れがあった場合は、必要に応じて延伸を行うなど、円滑な工事の進捗に努めていく。

こうした支援を速やかに開始し、都内中小企業が安心して事業活動を継続できるよう、全力を挙げて取り組んでいく。

【質問】

都内の介護施設など高齢者関連施設に対し、マスクや消毒薬等の支援をしていくべきである。都の支援だけでなく、区市町村が備蓄するマスク等の活用も働きかけるべきであるが、知事の見解を伺う。

【知事】

高齢者施設での感染対策への支援についてであるが、先日、都内の介護施設の職員が新型コロナウイルスに感染する事例が発生した。

高齢者は感染症で重症化しやすいため、各施設では、感染対策委員会を設置し、感染症対策のための指針を策定して職員への周知を図るなど、日頃から感染症の予防や拡大防止に取り組んでいる。

都では、毎年、感染症の流行に備えて、施設の管理者や看護師などを対象に研修を実施している。今回の新型コロナウイルス発生後は、国の通知やマニュアルに基づき、マスクの着用や手洗い等の励行、職員や入所者の健康状態の把握など、施設内感染対策の徹底について、注意喚起を行っている。

都は、マスクや消毒薬等の必要な衛生資材の安定的な流通について、国に緊急要望を行っており、患者数の増加を踏まえ、高齢者施設等についても、現場の状況を把握するとともに、衛生資材が安定的に供給されるよう改めて国に働きかけていく。

さらに、衛生資材を取り扱う業界団体に対して、高齢者施設等への優先供給を要請するとともに、区市町村に対しても、必要に応じて備蓄資材の提供など適切な支援を行うよう協力を求めていく。

【質問】

学校、幼稚園、保育園などに通う子供たちのことも心配である。予防に必要な対応とともに、子供や教職員に発症者が出た場合、速やかに対処できるようあらかじめ準備しておくべきと考えるが、知事の見解を求める。

【知事】

新型コロナウイルスに関する学校、幼稚園、保育所等への対応についてであるが、新型コロナウイルスの感染を予防するためには、まずは、手洗いや咳エチケットなどの基本的な感染症対策の徹底が重要である。都は、これまでも、国や区市町村と連携しながら、学校、幼稚園、保育所等においても、子供や教職員が、このような対策を講じるよう周知してきた。

また、保護者との緊密な連携のもと、健康観察を徹底して行い、子供に発熱等の風邪の症状が見られるときは、無理をせずに自宅で休養するよう促し、教職員にも、同様の対応を求めている。

さらに、感染のおそれが生じた場合には、学校や幼稚園については、保健所、学校及び設置者の間で情報を共有するとともに、子供には、出席停止の措置を取り、教職員には、出勤を抑制することとしている。保育所等については、都、保健所を設置する市又は特別区が、登園や出勤を避けるよう要請することとしている。

都立学校においては、始業時間の繰下げなど、公共交通機関の混雑時を避けた登下校を実施するほか、学年末考査を終了した学校から、順次、春休みを前倒しするとともに、卒業式の参列規模の縮小や、時間短縮を図るなどの対応を行っていく。

今後、都は、状況の変化に的確に対応して、感染の拡大防止に努めるとともに、発生した場合には、学校の一部又は全部、感染者がいない学校の臨時休業等を含め、速やかに対応し、子供たちの安全・安心を守っていく。

予算について

【質問】

さらに、健全な財政基盤を維持しながら、絶えず事業等の見直しを行い、時代の変化に迅速・的確に対応していく上でも、決算についての議論を、翌年度の予算編成に生かしていくことが重要と考えるが、知事の見解を伺う。

【知事】

時代の変化に的確に対応する予算編成についてであるが、激甚化する自然災害への備えや人口減少・少子高齢化への対応など、都政を取り巻く課題へ的確に対応していくためには絶えず施策の見直しを図っていくことが不可欠である。

私も出席した先般の決算特別委員会においては、現場の実情を踏まえた真摯な議論が行われたが、一つひとつの事業に磨きをかけ、施策を進化させるためには、決算などを踏まえ、各事業の効果を検証し、浮かび上がってきた課題に対して的確に策を講じていくことが重要である。

令和二年度予算では、これまでに明らかになった課題を踏まえ、例えば、ICTやAI等の最先端技術を活用した水門等の遠隔監視制御に関する検討をはじめとする豪雨災害への備えや子育てにおいて多くの課題を抱える多子・多胎児世帯への支援を充実するなど取組の強化を図っている。

今後とも、事業評価における事後検証の徹底等を含め、決算から予算編成、事業の執行に至るPDCAサイクルを有効に機能させることで、一つひとつの事業を磨き上げ、健全な財政基盤を確保するとともに時代の変化に的確に対応した積極的な施策展開を図っていく。

私立高校の授業料実質無償化について

【質問】

この度、国の私立高校授業料実質無償化にあわせて、都の特別奨学金制度を拡充し、予算案に年収約910万未満の世帯まで拡充することと、多子世帯の授業料負担軽減が盛り込まれた。この経緯と具体的内容について知事の見解を求める。

【知事】

高校授業料の負担軽減についてであるが、家庭の経済状況によって、子供たちの将来の希望が閉ざされてはならない。

都は、私立高校等に在学する生徒の保護者の経済的負担を軽減するため、平成29年度に特別奨学金制度を大幅に拡充し、年収約760万円未満の世帯まで授業料の実質無償化を実現したが、対象となる世帯の範囲は、都立高校と異なっていた。

そこで、このたび国の就学支援金制度が拡充されたことから、この財源を活用し、都の特別奨学金の対象を、既に都立高校において授業料無償化の対象となっている年収約910万円未満の世帯まで拡大することとした。

また、多子世帯における学費負担を考慮し、年収約910万円を上回る世帯でも、扶養する23歳未満の子供が3人以上いる場合には、私立高校や都立高校に通う生徒一人あたり、公立高校授業料の半額相当の授業料負担を軽減することとした。

これからも、東京の未来を切り拓く「人」に焦点を当てた支援によって、誰もが希望する教育を受けられる環境を整えていく。

【質問】

国の就学支援金では、都道府県認可の全ての通信制高校が無償化の対象となっているが、都の特別奨学金では他の道府県認可校は対象としていない。他の道府県認可の通信制高校に通う生徒の家庭まで都の実質無償化の対象に加えるべきと考えるが、知事の見解を求める。

【知事】

東京都認可以外の通信制高校の授業料負担軽減についてであるが、通信制高校については、履修単位数に応じて生徒一人ずつ異なる授業料等を正確に把握する必要があるため、特別奨学金は、指導監督権限のある都認可の通信制高校に在籍する生徒を対象にしている。

一方、都民の中には、都認可以外の通信制高校に在籍する生徒も少なからずおり、施策の公平性の観点から、こうした生徒も特別奨学金の対象としてほしいとの声がある。

しかしながら、都の指導監督権限が及ばない都認可以外の通信制高校からは、特別奨学金の支給に必要な生徒一人ひとりの授業料等の情報を得ることが困難である。

こうしたことから、都認可以外の通信制高校に在籍する生徒の授業料負担軽減を行うためには、新たな仕組みが必要であり、今後、その方策について検討する。

子ども施策について

【質問】

多胎児支援の具体的な内容の答弁を求めるとともに、双子や三つ子など多胎児の家庭が利用しやすく、多胎児家庭に寄り添った制度とすべきと考えるが、見解を伺う。

【福祉保健局長】

多胎児を育てる家庭への支援についてであるが、多胎児を育てる家庭は、同時に2人以上の育児をすることに伴う様々な困難に直面する場合も少なくない。

そのため都は、来年度から、多胎児家庭に対して、予防接種や乳幼児健診など、母子保健事業を利用する際の移動経費の支援、家事・育児や外出時の支援を行うサポーターの派遣、ベビーシッターを活用した一時預かり等の支援のほか、多胎育児の経験者との交流会等を行う区市町村の取組への支援を開始する。

多くの多胎児家庭にこれらの支援が届き、負担軽減を実感していただけるよう、区市町村に対し、早期の事業実施に向けて積極的に働きかけるとともに、申請方法の工夫など利便性への配慮についても求めていく。

【質問】

国土交通省では、双子ベビーカーを折りたたまずにバスに乗車するに当たっての安全性の検証を進めており、近くその検証結果を取りまとめると聞いている。交通局としての具体的な取組状況について、見解を求める。

【交通局長】

双子用ベビーカーのバスへの乗車についてであるが、双子用ベビーカーを利用されているお客様より、ベビーカーにお子様を乗せたままバスに乗車させてほしいとの声が寄せられている一方、その際の安全性については確認されていないことから、交通局では、国土交通省に検証を行うよう申し入れてきた。

これを受け、子育て関連団体等も参加した国の実証試験が行われることとなり、交通局では、営業所の敷地や車両を提供するなど必要な協力を行った。

現在、国土交通省が、試験結果を踏まえ、学識経験者等の意見も聞きながら、安全にご乗車いただくための統一的なルールを取りまとめていると聞いており、交通局としても、事業者としての知見を提供するなど、引き続き積極的に協力していく。

医療政策について

【質問】

都は、不育症の方々への支援をさらに充実させるべく、仕事と治療の両立支援について、企業の職場環境整備を後押しすべきと考えるが、見解を求める。

【産業労働局長】

不育症と仕事の両立への支援についてであるが、不育症は、検査・治療に時間を要し、本人の体力的な負担も大きいことから、不妊症と同様に、その治療と仕事が両立するよう職場の環境整備や理解の促進を図ることが重要である。

このため都は、不妊治療と仕事の両立を図る休暇制度を整備する企業への奨励金について、来年度から、不育症のための制度整備も対象に加え、奨励金を十万円加算するとともに、支援企業の規模を拡大する。

さらに、不育症に対する都民や企業の理解促進に向けて、女性活躍を進めるイベントのほか、トレインチャンネルやSNSを活用して、普及啓発を行っていく。

こうした取組により、不育症の方が、検査や治療を受けながら仕事を続けられる環境づくりを進めていく。

【質問】

予防接種の再接種について検討している国に対して、結論を急ぐよう強く求めるとともに、先行して支援を実施する市区町村に対しては、来年度から速やかに支援を実施すべきであるが、見解を伺う。

【福祉保健局長】

治療により免疫が消失した方の再接種についてだが、予防接種の実施に当たっては、使用するワクチンの有効性や、安全性が確認されていることが重要であり、都は、昨年から国に対し、再接種の扱いについて、安全性や有効性の観点から必要な検討を進め、早期に考え方を示すよう提案要求を行っている。

国は、現在、再接種の定期接種化に関し、対象となる方への支援の在り方や接種の努力義務についての考え方、接種年齢など、様々な観点から検討を行っており、都は、国に対して引き続き、早期に考え方を示すよう求めていく。

また、既に再接種に関して助成を行っている区市町村に対して、来年度から都としても支援を開始し、治療後の再接種を行う方々の経済的負担の軽減を図っていく。

犯罪被害者等支援条例について

【質問】

都は、犯罪被害者や遺族への転居費用の助成制度を新たに導入する。これは、被害による精神的負担により、被害者等が自宅に住めないケースがあるからである。この制度の導入は、都道府県では都が初めてであるが、転居費用助成の具体的な内容について伺う。

【総務局長】

犯罪被害者等への転居費用の助成についてであるが、有識者懇談会の議論や実態調査等により、自宅が殺人事件の現場となった場合や、性犯罪事件において自宅を知る加害者から更なる被害を受ける恐れがある場合等、被害者が自宅に住み続けられない状況に置かれているにもかかわらず、転居費用を捻出できない例が少なくないという実態が明らかになった。

このため、都は、都道府県として初めて、被害者等が転居を余儀なくされる際に必要となる費用の助成制度を導入することとし、殺人、性犯罪等身体犯の被害者及びその御家族に対し、20万円を上限に、転居費用の実費を支給する。

これにより、犯罪被害者等が安心して住める住居を確保し、速やかに生活再建できるよう支援していく。

【質問】

犯罪被害者に対して、犯罪被害により当面必要となる経費を給付することで、経済的な負担を軽減し、被害者等が日常生活や社会生活を早く回復できるよう、見舞金制度の創設を訴えてきた。そこで、見舞金制度を導入した経緯と具体的な内容について、知事の見解を伺う。

【知事】

犯罪被害者等への見舞金制度についてであるが、犯罪の被害に遭われた方及びその御家族は、犯罪による直接的な被害に加えて、身体的、精神的、経済的に困難な状況に直面しており、被害直後から途切れることのない支援が重要である。

条例案の検討にあわせて行った被害者等への実態調査等においては、犯罪に遭った結果、医療費や裁判費用等の支出を余儀なくされた、あるいは、収入が減り生活が苦しくなった等の理由により、行政による経済的な支援を望む声が多数寄せられた。

こうした状況や都議会公明党をはじめとする各会派からの御要望を踏まえ、見舞金制度を新たに創設し、国による犯罪被害者給付金の支給までの間、当面必要となる経費に充てるため、被害者遺族に対して30万円、重症を負った被害者本人に10万円を給付する。

この取組により、被害者等の生活再建の第一歩を後押しし、誰もが安心して暮らしていける都市東京の実現につなげていく。

東京オリパラ大会について

【質問】

低学年児童が利用するバス駐停車場の確保や、ラストマイルの混雑緩和など、安全対策が求められるが、都教育委員会の対応について、見解を伺う。

【教育長】

子供の競技観戦における安全対策についてであるが、競技観戦は、オリンピック・パラリンピック教育の一環として行うものであり、安全を第一に実施していく。

そのため都教育委員会は、ラストマイルの混雑緩和を図ることを目的として、一般客の来場が集中する時間帯を避け、学校ごとに時間差を設けて入退場できるよう、割り振りを行う。また、会場への動線や救護所の所在等を含む、観戦に係る情報を引率者向けに解説した「観戦の手引」を配布し、全校対象の説明会を実施するなど、学校の安全な引率体制を支援していく。

さらに、区市町村が行う会場近辺までのバス移動については、利用希望の状況を把握し、駐停車場の確保等に向けて、引き続き関係機関と調整を図っていく。

【質問】

クールスポットを一度に利用できる人数に上限があることから観戦の時間帯を調整するなど、会場内の暑さ対策に万全を期していくべきと考える。見解を伺う。

【教育長】

会場内の暑さ対策についてであるが、競技観戦に当たり、暑さの影響を受けやすい低年齢の子供に対しては、原則として暑さの和らぐパラリンピック期間の屋内競技を割り当てることとしている。

また、引率教員が会場内の動線や救護所などを確認することができる機会を事前に設定し、子供たちの安全な引率に向けた準備を着実に行う。観戦当日は、子供専用のクールスポットを設置し、入場前に涼む場とするとともに、競技観戦中、具合が悪くなった子供の休憩場所としても活用する。さらに、熱中症を防止するため、一人一人に暑さ対策グッズと飲料水を配布する。

こうした取組を確実に進め、関係機関と連携を図りながら暑さ対策のより一層の徹底を図っていく。

【質問】

暑さ対策として、水遊びや水を浴びることができるエリアの設置やシャワーを放水するキャストを配置するなど、多様な取り組みが効果的と考えますが、都の見解を求める。

【オリンピック・パラリンピック準備局長】

ライブサイトの暑さ対策についてであるが、屋外の会場においては、水分補給を適切に行うこととともに、外部からも体を冷やすことは有効である。

これまでも、都では様々なイベントにおいて暑さ対策に取り組み、昨年夏のテストイベントでは冷風機やミストシャワー等を設置したほか、過去大会時のライブサイトにおいては、大会パートナーの協力による水遊びコーナー等を設けた。

大会時には、多くの観客で賑わうことが見込まれる大規模会場にミストシャワーを設置するほか、すべての屋外会場で携行型ミストを導入する等、幅広い対応を検討する。引き続き、様々な主体の協力も得ながら、誰もが安心してライブサイトを楽しむことができるよう取り組んでいく。

【質問】

以前より大会の記憶を後世に長く伝える施設の整備を求めてきた。特にパラ大会の記録とパラスポーツの魅力を伝えることが重要。都庁展望台や東京スポーツスクエア等多くの人が集まる施設を活用し、パラも含む大会の記念施設を整備すべきと考えるが、見解を求める。

【オリンピック・パラリンピック準備局長】

大会の記憶を伝える施設についてであるが、メダルや聖火リレーのトーチ等の記念品や記録等のアーカイブ資産を、大会を象徴する資産として将来に引き継いでいくことは重要である。

こうした資産を保存、展示し、大会の感動と興奮を分かち合うことはもとより、大会を契機に取り組んできた持続可能性や東京の文化の発信など、開催都市としての多様な施策をレガシーとして様々な場面で都民等へ発信する。特に、パラリンピックを契機としたパラスポーツの振興等の取組を効果的に伝える展示等を検討する。

そのため、都におけるアーカイブ資産の展示のあり方について、多くの方に魅力を感じていただけるよう、スポーツ関連の都有施設の活用なども含め、JOC等関係機関との調整のもと具体的に検討し、方針を策定する。

【質問】

予期しえなかった事態への対応など、都民・国民の不安を払しょくし、安全・安心な大会を実現するため、財政面においても機動的な措置を講じることができるようにしておく必要があると考えるが、都の見解を伺う。

【オリンピック・パラリンピック準備局長】

大会経費における財政面での対応についてであるが、大会経費については、これまでも、都立新規恒久施設の整備費用の削減や、組織委員会と連携してIOCに要件緩和を求めるなど、経費の縮減に取り組むとともに組織委員会に対して、増収努力を行い、収入確保を図るよう求めてきた。

そうした中で、大会経費V4においては、組織委員会の増収が図られ、これを財源として今後予期せずに発生し得る事態等に対処するため、予備費が計上されている

今後、大会が間近に迫る中で、安全・安心を確保し、大会を成功させていくためには、こうしたことを踏まえ引き続き、コスト管理や執行統制を行うとともに、状況に応じて、機動的な対応が図れるよう、組織委員会とともに取り組んでいく必要があると考えている。

【質問】

大会の決算が黒字となり剰余金が生じた場合の取扱いについて、大枠の合意における負担など担っている責任に相応していくべきと組織委員会に主張すべきである。知事の見解を伺う。

【知事】

大会における剰余金についてであるが、大会経費については、大枠の合意に基づき、組織委員会、東京都、国がそれぞれの役割分担、経費負担を担いながら連携して、大会の準備を進めてきた。

一方で、開催都市契約では、剰余金の分配についてJOCに20%、IOCに20%、組織委員会に60%とされており、これはJOCと協議の上、日本におけるスポーツの全般的な利益のために使用することとされている。

大会における剰余金が生じる場合には、こうしたことを踏まえて対応する必要があると考える。

組織委員会の収支については今後、大会本番の運営など様々な業務が具体化し、新たな経費が必要となることが見込まれる中においても、まずは、赤字を出すことのないよう取り組んでいく必要がある。

そのため、新たに、組織委員会の収入と支出について毎月報告を受け、収支を確認するとともに、その内容を公表していく。

仮に、組織委員会の収支が黒字となり剰余金が生じる場合には、大会経費を組織委員会、東京都、国が負担していることも踏まえ、組織委員会及び関係者により、その取扱いを慎重に決めるべきものと考えており、都民のご理解がいただけるよう取り組んでいく。

都立・公社病院について

【質問】

都立病院の現在の経営形態で、いかなる課題があって独法化する判断に至ったのか、都の考えを伺う。

【病院経営本部長】

都立病院の地方独立行政法人化についてであるが、都立病院は、感染症医療や周産期医療など民間医療機関だけでは対応が困難な行政的医療等を確実に提供し、都民の生命と健康を守る使命を果たし続けていかなければならない。

そのためには、超高齢社会の本格化や医療の担い手不足など医療課題が深刻化していく中でも、医療環境の変化や都民ニーズに迅速かつ柔軟に対応できる病院運営を実現することが必要不可欠である。

こうしたことから、都立病院は、これまでも都民の医療ニーズに対応するため、地方自治法や地方公務員法等の範囲内において様々な工夫を凝らし、医療提供体制の強化や患者サービスの充実に取り組んできた。しかし、現行の経営形態には法令等の制度的制約があり、医療ニーズの変化に応じたタイムリーな人材確保の面や設備整備の面で機動的な対応が困難な状況である。

行政的医療等を確実に提供し続けるためには、こうした制度的制約を一体的に解決しなければならず、地方独立行政法人が最もふさわしい経営形態であると判断した。

医療環境の変化に確実に対応できるよう、地方独立行政法人への移行に向け、準備を着実に進める。

【質問】

都立病院の現在の経営形態についての課題、独法化による解決策について、具体的に伺う。

【病院経営本部長】

人材確保の課題と解決策についてであるが、現行の経営形態では、人員は毎年度の要求、調整を経て、東京都職員定数条例により年度末に次年度の定数が決定されるため、医療ニーズに機動的に対応した人材確保が困難であり、職員を配置するまでにタイムラグが生じている。

例えば、2年に一度行われる診療報酬改定において民間医療機関等が改定時期に合わせて人員体制の整備を図るところ、現在は診療報酬が改定された年度に人員増を要求し、翌年度に定数措置されるため、採用選考を経て実際に職員が配置されるまでに診療報酬改定から約一年を要しているのが現状である。

また、薬剤師など職種によっては、定数措置された年度の採用選考となることから、配置されるまでに更なる時間を要しており、新たな体制での診療を迅速に行えないケースが生じている。

地方独立行政法人化することで、より柔軟な人員配置や医療現場の実情に合った勤務制度の構築など今以上に働きやすい勤務環境の整備等により、機動的な人材確保が可能となるため、今後、その仕組みの具体化を進めていく。

【質問】

現在の経営形態についての課題、独法化による解決策について、具体的に伺う。

【病院経営本部長】

医療機器整備の課題と解決策についてであるが、現行の経営形態では、予算は、地方自治法による予算単年度主義のルールのもと、定数と同様に、毎年度の要求、調整を経て、議会の議決により、次年度の予算が決定される。このため、医療ニーズに対応した迅速な医療機器の整備が困難であり、設置まで一定の期間を要している。

例えば、手術用支援ロボットなど高額医療機器を導入する場合、定められた時期に導入費用の予算要求手続を行い、予算措置の裏付けの下、翌年度に契約手続を行う。結果的に、予算要求から機器が設置されるまで一年以上を要しているのが現状であり、医療ニーズへの迅速な対応が困難となっている。

地方独立行政法人化することで、中期計画の期間内での整備時期の変更や年度をまたぐ契約手続を柔軟・機動的に行うこと等が可能となるため、今後、具体的な制度設計を進めていく。

住宅施策について

【質問】

我が党が提唱してきた不動産業者などへのインセンティブ付与の詳細を明らかにするとともに、都民、利用者からみて信頼に値する事業者による本制度の活用を進め、一層の登録促進を図るべきであるが、見解を伺う。

【住宅政策本部長】

セーフティネット住宅の登録促進についてであるが、登録の促進に当たっては、貸主や不動産事業者の登録に向けた協力を促すため、インセンティブの付与など、効果的な施策が必要である。

都は、来年度から、空き家等の専用住宅への登録を条件に、貸主や事業者に対し、それぞれ一戸当たり5万円の報奨金を交付する制度を開始する予定である。

本制度の適正な運用を図るため、都の居住支援協議会の構成員である不動産団体への所属や、居住支援法人との連携を報奨金の申請条件とすることなど、信頼性の高い事業者等に利用されるような仕組みとしていく。

今後、貸主の不安を軽減するための施策と合わせ、本制度を積極的に展開していくことにより、セーフティネット住宅の登録を更に促進していく。

【質問】

制度内容が広く認識されれば、補助制度の発足を求める声は大きく高まる。都独自の愛称をつけたこの機に、様々な広報ツールなどを用いて広く都民全体に制度の周知を積極的に図るべきであるが、見解を伺う。

【住宅政策本部長】

住宅セーフティネット制度の周知についてであるが、住宅確保要配慮者の居住の安定を確保するためには、制度の認知度向上を図り、都民の理解を深め、制度が活用されやすい環境を整備することが重要である。都は、分かりやすいパンフレット等を作成し、不動産団体等の協力を得て周知を図るとともに、区市町村に補助制度導入を促している。特に貸主には広報東京都で登録メリットを解説するなど登録意欲の向上を図っている。

今後は、先行する自治体の取組事例の紹介等、区市町村への働きかけを効果的に行っていく。また、住生活月間等のイベントも活用するとともに、SNSや広報誌等様々な媒体において、都独自につけたセーフティネット住宅の愛称「東京ささエール住宅」を用いたPRを展開するなど、都民向け広報を更に充実させていく。

【質問】

入居者が設置した浴室の設備更新について、都設置対応への切り替えを求める声が数多く寄せられている。そこで都営住宅における浴室の設備更新について、令和2年度予算で具体的な対策を開始すべきと考えるが、見解を求める。

【住宅政策本部長】

都営住宅の浴室の設備更新についてであるが、これまで都は建替えや空き家修繕の際に浴室設備を更新してきたが、それ以前から居住者が住み続けている住戸では、いまだに更新が済んでいないものが残っている。

このため、居住中の住戸についても、浴室設備を都設置に切り替える事業を、来年度から試行する。

事業を計画的・効果的に進めるため、建替え対象ではない、昭和50年代及び耐震改修済みの昭和40年代の住棟のうち、バリアフリー化されたまたぎの低い浴槽の設置が可能な住棟を対象に、都による更新を行う。

あわせて、故障した浴室設備についても、当面は優先順位を設け、住戸ごとに都による更新を行う。

今後、試行結果を検証した上で、居住者が設置した浴室設備の更新に努めていく。

【質問】

集会所等を活用して「東京みんなでサロン」という居場所づくりを進めることは意義がある。町会やNPOなどが、地域で取り組んでいる例もあるが、このような活動も活かしながら、「東京みんなでサロン」を展開していくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【住宅政策本部長】

都営住宅の「東京みんなでサロン」についてであるが世帯の高齢化・単身化が進む都営住宅において、居住者や地域の方々が食事等を楽しみながら交流を深める「東京みんなでサロン」は、地域コミュニティの活性化や緩やかな見守りの実現に資するものである。

実施に当たっては、地域活動を担う団体や、社会貢献事業に取り組む民間事業者などが行っているコミュニティ活性化の取組を活かして、それぞれの地域の実情に合わせた居場所づくりにつながるよう工夫を凝らし、早期にモデル事業を開始する。

今後、地元区市等との連携を図り、お話のフレイル対策に資するイベント等も積極的に取り入れながら「東京みんなでサロン」を展開していく。

【質問】

近隣に店舗等のない都営住宅の高齢の居住者の方からは、買い物に行けず困っているとの声が、数多くある。今後の超高齢社会を見据え買い物弱者対策として都営住宅においても店舗等を活用すべきと考えるが、都の見解を求める。

【住宅政策本部長】

都営住宅における買い物弱者対策についてであるが、都営住宅において、団地内又は近隣の店舗等の閉店等により買い物をする場所がなくなり、高齢の居住者等が不便を感じている団地もある。

このため、居住者の日常生活の利便性向上とコミュニティの活性化のため、地元自治体と連携して移動販売を実施しており、今後も移動販売サービスの周知や地元自治体への働きかけなどにより、拡大を推進していく。

お話のコンビニエンスストア等の店舗の設置については、店舗事業の採算性、公有財産上の取扱いなど課題があるが、都営住宅における地域の居場所づくりを検討していく中で、今後重要となる買い物弱者への支援の観点も含め、事業者ヒアリング等の調査を行っていく。

福祉・安全施策について

【質問】

デマンド型シャトルのような新しい移動サービスを活用して得られた今回の実証実験の成果や課題について伺う。

【戦略政策情報推進本部長】

移動サービスに係る実証成果についてであるが、MaaSにより移動の利便性の向上を図るためには、地域特性を踏まえて様々な移動サービスを組み合わせることが重要である。今年度、都は臨海副都心エリア及び竹芝エリアにおいて、相乗り移動サービスを取り入れた実証実験を実施した。

実証実験実施者からは、回遊性を向上させるための新たな移動サービスとして有効との評価があり、利用者からも「これまで勝どきからお台場まで行きにくかったが、座れて行けたので便利だった」等の好意的な声をいただいた。

一方、今回の実証実験は無料で移動サービスを提供し、ニーズを把握すること等に力点を置いたが、今後は料金設定等が課題になると認識している。

【質問】

今回の実証実験を踏まえ、都内の交通不便地域においてMaaSのような新しい移動サービスの社会実装に取り組むべきと考えるが、都の見解を伺う。

【戦略政策情報推進本部長】

交通不便地域における移動サービスについてであるが今後、都内では人口減少や、路線バス・タクシーの運転者不足による移動サービスの低下が懸念され、特に、御指摘の交通不便地域においては、移動手段の確保が求められる。

こうした状況において、MaaSの社会実装による新たな移動サービスの提供を、都が支援することは重要である。

現在国が検討しているタクシーの相乗り制度や、将来実用化が見込まれる自動運転システム等の活用も含め、交通不便地域における新しい移動サービスを取り入れたMaaSの社会実装モデルを早期に構築し、普及を図っていく。

【質問】

昨年の第一回定例会の代表質問で「警視庁による認知機能検査の実施枠の拡大を図り、各教習所が高齢者講習の受講人員枠の拡大ができるよう努める。」と答弁され、1年が経過したが、警視庁の取組について伺う。

【警視総監】

高齢者講習の受講人員枠の拡大に係る取組についてであるが、警視庁では、従来、教習所において実施していた高齢者講習及び認知機能検査のうち、認知機能検査を警察施設において実施することで、教習所における高齢者講習の実施枠の拡大を図ってきた。昨年5月には江東運転免許試験場、10月には警視庁滝野川庁舎においても認知機能検査を新たに実施したところであり、本年4月中には、八王子市内の警察施設においても開始する予定である。

これらの取組により、本年4月以降は、全ての対象者に対する認知機能検査を警察施設で実施できる体制が整う予定である。

防災対策について

【質問】

都は、今後のスケジュールを含む目安となる期限を示し、防災都市づくり推進計画の改定に取り組む中で、決め手となる対策の具体化を急ぐべきと考えるが、見解を伺う。

【東京都技監】

木密対策についてであるが、これまで都は、防災都市づくり推進計画に基づき、木密地域の不燃化に取り組んできた。

1月には、推進計画の基本方針の改定案を取りまとめ不燃化特区制度の更なる活用に加え、無接道敷地での建替えの促進や、高齢者の住み替えの円滑化など、一歩踏み込んだ取組を新たに展開していくこととした。

今年度末を目途に基本方針を定めるとともに、来年度に、整備プログラムを取りまとめていく。

今後、区に対し、新たに各整備地域内の不燃化の現状や将来の見通しなどを詳細に示した地域別カルテを提供し、目標達成に向けて強化すべき事業の実施などを促しながら、地区ごとの特性に応じた実効性のある取組の展開につなげていく。

【質問】

防災対策の枠組みを超えて、良質な景観の形成や商店街振興などの他分野とも連携する、新しいステージに立った木密対策を進めるべきと考えるが、見解を伺う。

【東京都技監】

新しいステージに立った木密対策についてであるが、都内に約8,600ha存在する木密地域の改善に当たっては、魅力的な街並みの将来像を描くことが重要であり、都は、基本方針案において、地域特性を生かした街並みづくりを促進する考えを示した。

この考えを早期に具体化するために、都は、計画の改定に先立ち、来年度から、防災性の向上と併せて、地域特性を生かした街並みづくりのモデル的な取組を行う区への支援を、新たに開始する。また、商店街等、地域の持続的な発展のため、建替えや事業継続の際に、経営面での課題等に対応できる専門家を派遣するなど、ソフト面の支援においても関係部局とより密に連携していく。

こうした取組により、災害の脅威から都民を守る、強靭で美しい東京を実現していく。

【質問】

民間病院での非常用発電装置について、令和2年度は、連携病院についても、様々な施策に取り組むと聞いている。そこで、災害拠点病院の機能強化に向けた今後の取組について、見解を伺う。

【福祉保健局長】

災害拠点連携病院の機能強化についてであるが、災害拠点連携病院は、大規模災害発生時に、災害拠点病院を補完し、主に中等症患者又は容体の安定した重症患者の収容等を行う役割を担っている。

近年の大規模化・多様化する自然災害の状況を踏まえ、都は、災害拠点連携病院がより円滑に多数の傷病者を受け入れられるよう、来年度から新たに、BCPの策定や、待合室等での医療処置に使用する医療用ガス配管の整備などへの支援を実施する。

また、長時間にわたる停電時においても、病院機能を維持できるよう、可搬型発電機等の資器材や自家発電機、移動電源車からの給電を可能とする電源接続盤の整備を支援するとともに、都においても移動電源車の確保を図るなど、災害時の医療提供体制の強化を進めていく。

【質問】

中圧管は、国や都の補助制度も、病院敷地内でのガス管敷設にしか適用できない。都は、都市ガスを燃料とする自家発電機への燃料供給について、自らも調査を実施するなど、検討に取り掛かるべきであると考えるが、見解を伺う。

【福祉保健局長】

病院の自家発電機への燃料供給についてであるが、現在、多くの病院では、災害時に備え、重油などの液体燃料を使用する自家発電機を導入しているが、一部の病院では、地震にも強いとされる中圧ガス管を敷設し、自家発電機に都市ガスを供給する方式を導入している。

御指摘の中圧ガス管を活用した燃料供給は、安定的な供給を確保する上で重要な課題と受け止めており、病院で導入した事例を把握するとともに、ガス事業者から情報収集を行っていく。

今後は、ガス事業者から得た情報や、自家発電機の燃料確保に係る様々な取組事例について、防災訓練説明会等の機会を活用し紹介するなど、病院がそれぞれの土地や建物の強度などに応じて、災害時に備えた体制を整備できるよう支援していく。

【質問】

多摩の河川の安全性を早急に向上させていくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【建設局長】

多摩地域を流れる河川の強化についてであるが、台風第19号で被災した多摩の河川については、護岸崩壊箇所の出水期までの本復旧に加え、各河川の特性を踏まえ、安全性の早期向上を図ることが重要である。

このため、溢水が発生した南浅川をはじめ7河川では、河道の蛇行区間や狭隘箇所等を把握する調査に着手しており、その結果を踏まえ、局所改良によるボトルネック解消や湾曲部の護岸の強化に取り組む。また、洪水時の川の流れに支障がないよう樹木の伐採や堆積土砂のしゅんせつを適切に実施する。さらに、多摩川などを管理する国に対して、洪水処理能力向上のため河道掘削などの推進を求めていく。

今後、多摩地域を流れる河川の更なる安全性向上に向け、着実に取り組んでいく。

産業施策について

【質問】

中小企業での導入モデルを広く公募し、具体的な事例を創出するとともに、その効果を検証し、中小企業に幅広く発信していくべきと考えるが、見解を伺う。

【産業労働局長】

中小企業の工場等における5Gの活用についてだが5Gは、工場における機器類のリアルタイムでの一元的管理などに活用することで、ものづくり分野での生産性を飛躍的に向上させる可能性がある。

こうした中、多くの中小企業にその活用を促していくためには、導入モデルを示して、そのメリットを実感できるようにすることが重要である。

都は来年度、モデル企業を創出するため、自社工場に5Gを先駆的に導入する中小企業に対して、無線設備の整備等に必要な経費の5分の4を、最長3年にわたり、1億2千万円を上限に支援する。

あわせて、こうしたモデル企業での導入成果を積極的に情報発信し、中小企業の5G導入による生産性の向上等を促進していく。

【質問】

都は、5Gの技術を活用し、新たな製品やサービスの開発に取り組むスタートアップへの支援を進めるべきと考えるが、見解を伺う。

【産業労働局長】

5Gを活用するスタートアップへの支援であるが経済のグローバル化や高齢化等に伴い東京が直面する課題を解決するためには、5Gを活用した新たなビジネスを生み出すスタートアップへの支援が重要である。

このため都は来年度、5Gの通信環境を提供できる大手キャリアと連携し、スタートアップ支援の新たなプロジェクトを開始する。プロジェクトでは、都が医療や福祉などの課題を示して選定した複数のコーディネーターを通じて、有望なスタートアップを掘り起こし、大手キャリアの協力のもと、都を中心に三者が一体となり開発支援を行う。

こうした取組により、スタートアップによる5Gの技術を活用した製品・サービスの創出を加速し、誰もが快適で質の高い生活を送れる東京を実現していく。

【質問】

ユニバーサルデザインタクシーを中小のタクシー事業者も含めて計画的に普及させていくためには、2021年度以降の都の支援方針を早急に打ち出すべきと考える。知事の見解を求める。

【知事】

ユニバーサルデザインタクシーについてであるが、世界に誇る日本の環境技術とおもてなしの心を集約したユニバーサルデザインタクシーの普及は、東京2020大会のレガシーともなる重要な取組である。

令和2年度予算案に計上している補助金の執行により、来年度には都内タクシー台数の約3分の1に相当する1万6千台がユニバーサルデザインタクシーに切り替わる見込みである。

これにより、誰もが利用しやすく、CO2排出量の少ない都市交通が実現されるが、環境負荷の低減に向けて、さらなる普及やご指摘のような将来のユニバーサルデザインタクシーのZEV化なども視野に入れていく必要がある。

今後とも、業界団体の意見も十分に聞きながら、長期的視点に立って、環境にも優しいユニバーサルデザインタクシーの普及に努めていく。

【質問】

ユニバーサルデザインタクシーに対しては、乗車拒否や車いすの乗車に時間がかかるなどの指摘もある。こうした課題を解消するには、都の補助金交付の条件としているドライバーの講習と事業所ごとの車いす乗車練習を徹底すべきと考える。都の見解を求める。

【環境局長】

ユニバーサルデザインタクシーへの車いすの乗降についてであるが、国は、車いす利用者に対する乗車拒否は道路運送法に違反するものであり、厳正に対処することを業界団体へ通知している。また、メーカーではスロープの設置が容易になるよう、改善を行っている。

都は今年度より、乗務員が車いす利用者のスムーズな乗降支援方法を学ぶ認証機関による研修の修了と、定期的な社内研修の実施を補助条件に追加した。

今後とも、補助申請受付時に実施している研修修了の確認を確実に行うとともに、国や業界団体とも連携して社内研修の実施状況を適切に把握し、必要に応じて改善を求めていく。

【質問】

都においても、国の支援メニューも踏まえて、交通費を支援対象に加えるなど、就職氷河期世代の方が、支援プログラムを受けている間に生活に困窮することがないよう、生活実態を踏まえた支援に踏み出すべきと考えるが、知事の見解を求める。

【知事】

就職氷河期世代への就労支援についてであるが、就職氷河期世代には、長期にわたり非正規雇用が続くことなどにより、スキルアップの機会に恵まれないことに加え、経済的に不安定な状況に置かれている方が数多くおり、こうした状況を踏まえた支援を行っていく必要がある。

このため都は、しごとセンターにおいて、氷河期世代の方が基本的な職務スキルを身に付け、正規雇用を目指す支援プログラムを実施しており、経済的な心配をせずにプログラムに参加できるよう交通費等に活用できる奨励金を支給している。

さらに、来年度からは、氷河期世代の方が、実際の企業現場で、派遣社員としてスキルを磨き、派遣先企業で正規雇用として就職できるよう、新たな支援事業を開始する。この事業の実施に当たっては、氷河期世代の方の生活面をサポートするため、派遣期間中の賃金と交通費を併せて支給していく。

これらのきめの細かい支援により、就職氷河期世代の方の安定した就労を後押ししていく。

【質問】

若者が抵抗感少なく相談を求められるように、LINEなどのSNSを活用した相談態勢の整備を図るべき。就活セクハラの根絶に向け、国とも連携を図りながら、企業側と若者の双方への効果的な取組を進めるべきと考えるが見解を求める。

【知事】

就職活動中のセクシュアルハラスメントについてだが セクハラは、働く方の個人としての尊厳を不当に傷つける社会的に許されない行為であり、労働者はもとより、就職活動中の学生等に対しても、あってはならないものである。

今般国が改正した指針においても、事業主に対し、就職活動中のセクハラ防止に関して適切な対応を求めている。

都は、この指針の実効性を高めていくため、国に対し、事業主への助言・指導など、対策の一層の強化を働きかけるとともに、都においても、独自の対策を講じていく。

まず、事業主に対しては、経済団体等と連携しながら、新たに、就職活動中のセクハラ防止に関するセミナーの開催や、啓発冊子の配布など、普及啓発を進めていく。

また、就職活動中の方に向けては、学生などが利用しやすいよう、SNS等を活用して相談に応じる仕組みを新たに作り上げ、国とも連携し、事業主に対して相談内容を踏まえた対応を図っていく。

これらの対策により、就職活動中のセクハラ防止を強力に推進していく。

教育について

【質問】

今後、市区町村が追加する整備計画の内容も補助対象とすべきである。都立高校の学校体育館の空調設置状況と併せて、都の見解を求める。

【教育長】

学校の体育館等の空調設置についてであるが、学校体育館等は、児童・生徒が日常的に活動する場であるとともに、非常災害時には避難所等としての役割も果たすことから、安全性の確保や防災機能の強化への取組を促進させることは重要である。

都立高校の体育館については、昨年夏までに20校で整備を完了しており、本年夏までに、さらに100校程度における整備完了を目指し、現在、導入機種や設置場所の確認等の準備を進めている。一方、区市町村立小・中学校には、令和3年度末までを事業期間とした計画的な整備に対し、着実な支援を実施している。

都教育委員会は、今後、区市町村がこれまでの整備計画に、新たな学校体育館等を加えて空調設置する場合にも整備が行えるよう、具体的な対応策を検討していく。

【質問】

教職員の相談窓口において、来所又は電話による受付に加えて、新たに電子メールでの相談受付を設置すべきである。教育長の見解を伺う。

【教育長】

教職員向けのパワーハラスメント相談であるが、学校において、ハラスメントはあってはならないことである。悩みを抱える教職員がいつでも安心して相談できる環境を整備し、早期に対応することが重要である。

現在、都内公立学校では、各学校の校長や副校長が相談に応じるほか、各教育委員会に設置されている相談窓口等においても、来所や電話により相談を受け付けている。

今後は、都教育委員会において、更に相談しやすい環境を整えるため、令和2年度から全ての公立学校教職員を対象に電子メールによる相談受付を開始する。受け付けた相談については、区市町村教育委員会等と情報共有し、事情を丁寧に聞き取った上で、早期解決に向けて適切に対応していく。

【質問】

学校におけるパワーハラスメントについて、各教職員の状況を把握するための調査をすべきである。教育長の見解を伺う。

【教育長】

学校におけるパワーハラスメントに係る調査であるがパワーハラスメント対策に当たっては、教職員の状況を把握した上で、その結果を未然防止や問題解決の取組に生かすことが重要である。

都教育委員会では、これまでも区市町村教育委員会に対して相談窓口設置をはじめとした対応策の強化を促すとともに、教職員向けに啓発資料を作成するなど、あらゆる機会を通して対策を進めてきた。

こうした取組に加え、今後、都教育委員会では、教職員のパワーハラスメントに関する実態及び意識や捉え方等について調査を実施することで、教職員の意識啓発を図るとともに、調査結果を活用し、各職層向けの研修や相談体制を充実するなど、パワーハラスメントの防止と解決に努めていく。

地域力向上について

【質問】

近年急増している外国人のスムーズな地域受け入れなど、都が緊急に取り組むべき施策につながる地域の取組については、地域の底力発展事業の特例措置として手厚い支援を継続すべきと考えるが、知事の見解を伺う。

【知事】

地域の底力発展事業助成の特例措置についてであるが町会・自治会は、防犯・防災、高齢者見守りなど都民生活の安全・安心の確保、魅力ある地域づくりにおいて大きな役割を果たしており、また、都内におけるオリンピック・パラリンピックの気運醸成についても多大なご協力をいただいている。

お話のように、現在、都内に住む外国人は57万人を超え、今後更に増加が予想される。こうした中で、地域によっては、ゴミ出しや騒音の問題など、トラブルも発生していると聞いている。これは、生活習慣や文化の違い、コミュニケーション不足などが原因と考えられる。

多文化共生社会づくりを推進していくためには、地域コミュニティの中核である町会・自治会が中心となって、在住外国人を地域の一員として受け入れる意識を高めていくことが重要である。

このため、こうした町会・自治会の多文化共生社会づくりに資する活動に対して、地域の底力発展事業助成の補助率に関する特例措置を適用し、その取組を支援していく。

こうした取組を通じ、日本人も外国人も、仲良く暮らす社会を築き、地域コミュニティを活性化していく。

【質問】

防犯カメラの整備は犯罪抑止や事件の早期解決に大きな力を発揮する公共性の高い取組である。都は、町会、自治会、商店街の維持管理費負担を軽減すべきと考えるが、都の見解を求める。

【都民安全推進本部長】

防犯カメラの維持管理費負担の軽減についてであるが地域の防犯力の向上のためには、多くの防犯ボランティア人材を育成するとともに、町会・自治会、商店街等による防犯カメラの設置を促進するなど、多様な見守りの目を増やしていくことが効果的である。

都は、これまでも町会・自治会、商店街等に対し、防犯カメラ設置費用などの一部を補助している。

これに加え、来年度は、地域の防犯力の維持向上に取り組む町会・自治会、商店街等の負担を軽減するため、お話の、電気料金や共架料などの経費の一部について新たに補助を実施する。

今後とも、犯罪が起こりにくく、誰もが安心して暮らせる社会の実現を目指し、区市町村と連携しながら、地域の安全安心の取組を積極的に支援していく。

環境施策について

【質問】

外濠での対策を速やかに実施することが不可欠であると考えるが、今後の取組について、知事の見解を伺う。

【知事】

外濠の水質改善についてであるが、水と緑を一層豊かにし、ゆとりと潤いのある東京を実現するには、水辺空間を生かした魅力ある都市の顔づくり進めることが重要である。

12月に公表した「未来の東京」戦略ビジョンにおいては、東京の歴史的財産である外濠の水質改善を進め、都心で働く人々に癒しの場を提供するとともに、品格ある景観の形成による地域全体の活性化を図る「外濠浄化プロジェクト」を提示した。

外濠の水質浄化に向けては、これまでも、庁内関係局が連携して、効果的な改善方策を幅広く検討し、河川水等の導水の有効性などを確認してきた。

今後は、外濠に導水するための水源・水量の確保や導水路の整備方法等について検討を進めるなど、国や地元区などとも連携して、外濠浄化プロジェクトを着実に進め、水の都にふさわしいまちに潤いを与える東京を実現していく。

【質問】

毎年度の進捗状況や目標達成の見通しを「ゼロエミッション東京白書」として明らかにし、進捗状況に応じて適切な見直しも図る必要があると考えるが、都の見解を求める。

【環境局長】

ゼロエミッション東京戦略の進捗状況の公表と取組の見直しについてであるが、気候危機に立ち向かうためには、戦略に基づき、一つ一つの政策を、着実かつスピード感を持って実行していくことが重要と認識している。

このため、毎年度、戦略に掲げる目標や取組の進捗状況等を把握し、報告書としてとりまとめ、公開・周知することで、都民や事業者等の理解と行動を促進する。

また、環境審議会等の専門家の意見も聞きながら、進捗状況を多角的に分析、検証し、時機を逸することなく見直し等を検討する。

今後、PDCAサイクルの持続的な取組により、目標や施策のバージョンアップを図りながら、2050年ゼロエミッション東京の実現を目指していく。

【質問】

世界各地の自治体では「気候非常事態」を宣言し、行動を呼びかける動きが広がり、国内でもその動きが始まっている。「気候危機行動宣言」を出した都は、こうした諸都市とも緊密に連携し、取組のリーダーシップ役を担っていくべきと考えるが、知事の見解を求める。

【知事】

気候危機に対する諸都市との連携についてであるが、気候変動の問題に立ち向かうためには、危機感を表明し訴えるだけでなく、「行動」を起こすことが重要である。

このため、都は、気候の危機的な状況を広く発信する「気候非常事態」という表現を超えて、その状況に立ち向かう行動をより強く表明するために「気候危機行動宣言」を表明した。

ゼロエミッション東京戦略において取りまとめたビジョン、具体的取組、ロードマップをもとに対策を講じ、都民や企業をはじめ、国や区市町村など、あらゆる主体に共感と協働を呼びかけ、共に気候危機に立ち向かう行動を推進していく。

気候変動対策にはバウンダリー、つまり境がなく、国・都市それぞれが対策を進めなければ間に合わない。

都は、世界の大都市の責務として、リーダーシップを発揮し、私が副議長を務めるC40やイクレイなどのグローバルネットワーク、また、国内の広域都市連携の枠組みも活用しながら、都の先進的な取組の共有、連携の強化を図り、国内外の脱炭素化に向けて行動を起こしていく。

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