古城まさお議員の本会議討論

都議会公明党を代表し、知事提出の全ての議案に賛成し、その他の議員提出議案に反対する立場から討論を行います。

初めに、第184号議案、令和元年度東京都一般会計補正予算案について申し上げます。

都議会公明党は、今般の台風被害に際して、区部・多摩・島しょの都内各地で被災現場をつぶさに調査し、国会議員や区市町村議員とのネットワークを生かして、届けられた切実な声をふまえ、知事、都庁各局をはじめ関係機関に対して、早期の生活再建と復旧・復興に向けた取り組みを要望してきました。

9月24日には、台風15号の住宅損壊の支援について知事へ緊急要望しました。都営住宅を利用した住宅確保とともに、従来全く支援がなかった住宅の一部損壊について、新たな制度構築も含めて支援をしっかり行うよう求めました。

台風19号が通過した10月13日にも直ちに知事へ要望を行い、その中で都営住宅の提供と住宅の一部損壊に対する支援制度の構築や支援内容の拡充を図るよう求めました。

補正予算案には、我が党の強い要望を受け、台風被害からの復旧・復興への取り組みに加え、風水害対策の強化に向けた取り組みが盛り込まれており、高く評価します。

さらに12月10日の代表質問では、住宅の一部損壊への都独自の支援制度について既に修理費を支払った場合も対象にすること、また、災害救助法に基づく国の住宅一部損壊支援についても、対象にならない修理代金支払い済み工事も都が支援するよう求めました。

これに対し知事から、支払い済みも支援対象にするとともに、国の応急修理の支援を受けることができなかった工事についても都が支援する方針が表明されました。また、支援にあたっての市町村の負担軽減のため、補正予算に盛り込まれた特別交付金も活用できるようにするとの考えも示されました。

事業の早期実施に向けて、各自治体との調整を鋭意進めるとともに、引き続き、復旧事業の迅速な取り組みと、風水害対策の更なる強化を求めるものです。

次に、第215号議案、都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例についてです。

本条例には、就労に困難を抱える方々を支援するソーシャルファームが柱の一つとして据えられています。事業収入を主な収入としながら、支援の必要な方々を一定以上雇用するこの事業形態の運営は、決して容易なことではありません。

これを踏まえ我が党は、ソーシャルファームに対する都の支援は都内の経済活動の実態にあったものとし、加えて、事業立ち上げから経営の自立を見届けるまで支援することを訴えました。

これに対して知事は、ソーシャルファームの創設に向けた設備導入支援や、事業を軌道に乗せるための一定期間の運営費の助成、事業の発展を後押しする経営上のアドバイスの実施など、支援の仕組みづくりに取り組む方針を明らかにしました。

誰もが自らの意欲と能力を活かして輝くことができる社会を実現して行くためにも、着実な実施を求めます。

次に、第216号議案、東京都中央卸売市場条例の一部を改正する条例についてです。

我が党は、今回の条例改正を契機として、市場業者への支援強化による取引量や取引高の改善を実現する道筋を具体的に打ち出すよう訴えました。

知事は、改正内容をきめ細かく周知して、新たな取引ルールに関する理解を深めていくことや、海外も含めた販路の拡大など、集荷力、販売力の強化などを目指した意欲的な取り組みを力強く後押しをすることにより、より多くの市場業者による環境変化に即した事業展開へとつなげ、産地や実需者との取引の拡大を図る方針を表明しました。

併せて、市場を構成する事業者、とりわけ中小零細の仲卸業者の不安や戸惑いの声に応え、その経営の安定化に向け、丁寧にサポートしていくことを求めます。

続いて、個別課題について申し上げます。

まず、幼児教育・保育についてです。

幼児教育・保育の無償化が始まり、2か月半が経過しました。これは長年、公明党が取り組んできた大きな成果であり、未来の宝である子どもたちを、社会全体で育てていく大きな一歩になったと言えます。また、我が党の強い要請を踏まえ、都において、多子世帯への独自補助を開始したことを改めて評価します。

一方で、幼児教育・保育の質の確保は必須であり、将来世代の育成という観点から、長期的な視点に立って検討していくことが重要です。また、多胎児を育てることは、精神的にも身体的にも負担が大きく、授乳やおむつ替えといった家庭内での対応に加え、公共交通機関での移動の問題など、多胎児を育てる家庭が抱える問題は、あらゆるところにある、と言わざるを得ません。だからこそ、都庁内の各局が連携しあい、総合的に支援を行っていかなければなりません。

こうした我が党の問題意識に対し、知事は、2040年に向けて子供が個性や能力を十分に活かし、自ら伸び・育つことができるよう幼少期を含めた教育のあり方について幅広い検討を行う方針を表明しました。また、多胎育児支援については、ライフステージに応じた多岐にわたるニーズがあることを踏まえ、福祉の分野にとどまらず、都庁横断的に、各部門が強固に連携しながら迅速に事業化を図ると答弁しました。

人口減少社会を迎える中で、東京の将来を担う子どもたちの育成に向けて、取組を着実に前に進めていくことを求めます。

次に、都立・公社病院の地方独立行政法人化についてです。

知事は今定例会で、都立病院と東京都保健医療公社病院を地方独立行政法人へ一体的に移行させていく方針を表明しました。

長きにわたり運営されてきた現在の体制から、なぜ、今、独法化へと舵を切っていく必要があるのかを問う我が党の代表質問に対し、知事は、独法化の必要性として、団塊の世代が後期高齢者となる2025年、さらにはその先の2040年を見据え、医師や看護師など医療の担い手不足など医療を取り巻く課題の深刻化が想定される中、14病院のスケールメリットを活かして将来にわたって都民の誰もが質の高い医療を受けられ、安心して暮らせる東京を実現していくと答弁しました。また、採算の確保が困難となる行政的医療などの経費について、現在と同様に負担していくこと、さらに、法人に対する議会の関与のあり方についても、今後検討していく方針が示されました。

都立病院は、感染症医療、災害医療、島しょ医療などの行政的医療や高度専門医療を担い、また、公社病院は地域の医療機関と連携し、重要な役割を担ってきました。したがって、地方独法化については、都民の理解と納得のもとに進められるべきものであり、さらに十分な議論を行うよう求めます。

次に、ドクターヘリについてです。

ドクターヘリは、都議会公明党の推進による東京消防庁の消防ヘリを活用した「東京型ドクターヘリ」が契機となり、全国展開の道が開かれました。現在、43道府県で53機が導入されています。そこで、病院から直接離発着する小型ドクターヘリを都でも導入することを訴えました。

これに対し知事は、今後、専門家や東京都医師会等の関係団体の代表からなる会議で、東京型ドクターヘリと連携したドクターヘリの導入に向けた検討を進めていくとの方針を明らかにしました。

小型ドクターヘリは、短時間での離陸など機動力が高く、効率的な救急医療体制の確保に寄与するものであり、検討を加速させていくことを求めます。

次に環境対策についてであります。

2009年から始まった太陽光発電の固定価格買取制度について、わが党は、買取保証期間が終了する、いわゆる「卒FIT」を迎える家庭が、買取価格の低下により発電をやめないようにする仕組みが必要であり、卒FITの電力を都有施設の再エネ電力として活用するよう提案しました。

これに対し知事は、都内産の卒FIT電力を都のイニシアティブで活用するとともに、都民の身近にある都有施設での再エネ電力100%化を目指すと答弁しました。再生エネルギーの活用促進は、国連が提唱するSDGsの視点からも重要であり、取り組みを着実に進展させることを求めます。

最後に、甚大な災害にもつながる気候変動への対応について申し上げます。都は2050年のCO2排出量実質ゼロに貢献する取り組みのロードマップを盛り込んだゼロエミッション東京戦略を年内に示すとしています。この戦略策定を機に、気候変動の事態に果敢に挑戦する都の姿を内外に強くアピールするよう求めて、討論を終わります。

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