就職氷河期世代への支援について
【質問】
新たな長期計画の策定に当たっては、就職氷河期世代をはじめ、誰もが明るい未来に向けて活躍できるような施策を積極的に検討していくべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
新たな長期計画についてであるが、現在策定を進めている新たな長期計画は、今後起こりうる社会の大きな変化を想定し、その上で、東京の将来像や、その実現に向けて為すべき政策を示す、東京の長期的な羅針盤となるものである。
今後、東京は、人口減少や更なる少子高齢化の進展など、これまで経験したことのない多くの課題に対応していかなければならない。お話しの「就職氷河期世代」の方々が抱える問題も、その一つである。
私が目指すのは、「人が輝く東京」であり、誰もが、希望に応じて、いつでも、いくつになってもチャレンジできる社会を実現していくことである。
そのため、長期計画では、就職氷河期世代の問題も含め、これまで取り組んできた施策の成果や課題を分析した上で、新たな施策を練り上げ、誰もがいきいきと活躍できる、明るい東京の未来の姿を都民の皆様に示していきたい。
若者の就職支援について
【質問】
就職氷河期世代には数多くの人材が埋もれており、経済的・社会的損失は計り知れない。そこで、就職氷河期世代が50代に達する前に就労支援の取組を強化すべき。加えて、就職氷河期世代がアクセスしやすい就労支援サービスとすべき。併せて、知事の見解を求める。
【知事】
就職氷河期世代への就業支援についてであるが、「就職氷河期世代」には、新卒時に非正規の職を余儀なくされ、その後も職を転々とすることなどにより、スキルアップの機会に恵まれず、正規雇用への転職が困難な方が多くいる。
現在、こうした氷河期世代の方は、中高年にさしかかる年代となり、不安定な就労や生活が長期にわたり続くことで、将来に向けた不安を抱える方もいる。
都はこれまで、氷河期世代の方が正規雇用で働くことを支援するため、実践的なスキルを磨くプログラムを実施し、企業とのマッチングや職場への定着支援を進めてきた。
今後は、企業の人材確保が活発化している状況も踏まえて、氷河期世代に向けた、こうした支援の更なる浸透を図り、安定した就労や将来への不安解消につなげていく必要がある。
このため、将来の生活設計やキャリアアップをテーマとしたセミナーを新たに開催し、氷河期世代の方への啓発を行っていく。また、ハローワークや区市町村とも連携し、都の支援事業の周知を図り、SNS等も活用して働きかけを行い、正規雇用を目指すプログラムに誘導していく。
今後、国等との連携を一層強化しながら、就職氷河期世代の方の安定した就労を支援していく。
自殺防止について
【質問】
SNSを活用した自殺相談について、SNS相談から支援機関への適切な橋渡しや、SNSの相談時間の延長、SNSの特徴に留意した相談技術の向上などを踏まえ、誰一人置き去りにしない社会に向けて、SNS相談の充実に取り組むべきと考えるが、見解を伺う。
【福祉保健局長】
都は、若年層の自殺防止対策を強化するため、平成29年度及び平成30年度に、LINEを活用した自殺相談窓口を試行的に開設し、モデル実施を行った。
この試行から得られたノウハウを生かし、LINE相談をきっかけとして、電話や対面での相談につなげる手法を盛り込むなどマニュアルを充実させるとともに、具体的な対応事例を基に相談員向けの研修や事例検討を行うなど、準備を重ね、今年度から本格実施を開始した。
今後、LINEを活用した自殺相談が、都民にとってより分かりやすく、相談しやすいものとなるよう、相談者の状況を把握し、対応事例等を蓄積して相談員のスキルアップを図るとともに、相談体制を工夫していく。
【質問】
子どものSOSに応え、心の拠り所となるように、都教育相談センターとも連携を図り、一層の相談対応力の向上を図るべきと考えるが、都教育委員会の見解を伺う。
【教育長】
SNS教育相談対応の質の向上についてであるが、子供の不安や悩みの解消に向けて、SNSによる相談が有効に機能するためには、相談員が様々な専門的知見に基づき、適切に返信することが求められる。
そのため、今年度から通年で実施しているSNS相談における相談員に臨床心理士等を充てるとともに、経験豊富なスーパーバイザーが、返信内容等について助言する体制を構築している。また、重篤な内容については、都教育相談センターの助言を受けることとしている。
今後、SNS相談が一層効果を挙げられるよう、LINEでのやり取りについて、定期的に都教育相談センターの心理職等が検証を行うとともに、同センターが蓄積してきた電話等での対応事例を、相談員対象の研修に活用するなどして、相談員の対応力向上を図っていく。
難病患者支援について
【質問】
難病患者や家族を支援する医療費助成の趣旨に鑑み、特定医療費受給者証を持ち運びやすいサイズで発行し、併せて折りたためるようにするなどして自己負担上限額管理票を付随させる工夫を施すべきと考えるが、見解を伺う。
【福祉保健局長】
難病医療費助成制度の医療受給者証についてであるが、平成27年に施行された難病法では、医療受給者証の記載事項は定められたものの、受給者証の大きさや自己負担上限額管理票を付随させるかについては規定がなく、自治体の判断に委ねられている。
都は、文字の見やすさを重視し、受給者証をA5判にするとともに、管理票は、受給者証の記載内容が変更されても継続して使用できるよう別冊としているが、受給者証と管理票を一体化し、都より小さいもので運用している自治体もあることは承知している。
国では、法施行から5年以内を目途に、医療費の支給事務等について検討を加えることとしており、都は、国の動向を注視しつつ、患者のニーズや指定医療 機関の意向も踏まえ、御指摘の課題を含め、検討を行っていく。
【質問】
難病医療費助成の申請や更新に当たっては、既に一部自治体で実施されている郵送による受付も可能にするなど、患者負担の軽減に取り組むべきと考えるが、見解を伺う。
【福祉保健局長】
難病医療費助成の申請・更新手続についてであるが、都では、難病医療費助成の申請を、日常生活に身近な保健サービスを提供する区市町村の窓口で受け付けている。
申請時の提出書類については、国の省令や要綱で規定されているが、提出書類を解説したパンフレットを作成し、丁寧に説明するとともに、窓口でマイナンバーを確認することで提出書類の一部を省略するなど、申請者の利便性に配慮している。
また、難病患者の状況に応じて、郵送による申請も受け付けている自治体もあり、今後、区市町村向け説明会等で、事例を交えながら郵送での受付も可能なことを説明していくなど、こうした取組を通じて難病患者の申請・更新手続の負担軽減を図っていく。
首都大学東京について
【質問】
首都大学東京は、東京の課題解決に一層寄与していくことが重要であり、例えば、国連アカデミック・インパクト(UNAI)に加盟するなど、SDGsの取組が進むよう、都として積極的に支援すべきと考えるが、見解を伺う。
【総務局長】
首都大学東京のSDGsに向けた取組の推進についてであるが、首都大学東京では、東京が抱える大都市の課題解決に向けて子供の貧困や気候変動などに関して特色ある研究を推進している。また、シニア層に体系的な学びの場を提供する「プレミアム・カレッジ」を開講するなど、生涯学習の機会を促進する取組も進めており、これらは、国連が掲げるSDGsの達成にもつながるものである。
一方、御指摘のとおり、国連と世界の高等教育機関との連携を促すプログラムである国連アカデミック・インパクトに加盟し、SDGsの達成に向けて積極的な取組を行っている大学もある。
今後、首都大学東京がより一層SDGsに向けた取組を展開できるよう、都として必要な支援を行っていく。
まちづくりについて
【質問】
新宿グランドターミナルへの再編について、障がい者や高齢者、ベビーカーを利用する親子をはじめ、誰もが安心して、心軽やかに移動できるよう、分かりやすく、利用しやすい空間を整備すべきと考えるが、見解を伺う。
【東京都技監】
都は地元区や鉄道事業者と連携し、更新期を迎えた駅ビルと駅、駅前広場を一体的に再編することとしている。
再編に当たっては、新たなまちづくりの視点として、歩行者中心で交流や賑わいを生む空間への転換を掲げている。
このため、線路上空にデッキを新設し東西のまちをつなぐとともに駅前広場を人中心に再構成していく。また、バリアフリー化を推進し、人の円滑な移動を図っていく。
こうした整備を着実に進めるために、駅の改良や駅ビルの機能更新と連携しながら、都が施行者となり、土地区画整理事業を実施していく。
この夏から、地元区とともに都市計画手続に着手するなど、関係者と連携して、誰もが利用しやすい機能的なターミナルへの再編に取り組んでいく。
【質問】
淀橋市場について、卸売市場を取り巻く環境の変化に対応していくため、市場の特性を踏まえた創意工夫や老朽化設備の更新が重要である。業界関係者も強く願うように、市場名に「新宿」を冠するなど「新宿淀橋ブランド」を掲げ、魅力向上と活性化に取り組むべきと考えるが、見解を伺う。
【中央卸売市場長】
淀橋市場の魅力向上についてであるが、卸売市場の魅力を高め、専門小売店や量販店などの実需者に支持されるためには、それぞれの市場が特色を活かして、活性化に取り組んでいくことが重要である。
このため、淀橋市場では、昨年3月、他市場に先駆けて策定した経営展望により、様々な取組を進めている。
具体的には、都民向けの「淀橋市場まつり」や、専門小売店と連携して毎月開催する「淀橋市場の日」では、産地から特色ある野菜や果物を集荷したうえで、「新宿淀橋ブランド」として提供し、販売力を強化している。
また、低温施設を活用して、量販店の加工・パッケージ需要に対応していくこととしており、これらの事業を通じて淀橋市場が実需者や消費者に魅力ある市場となるよう引き続き都と業界が一体となって取り組んでいく。
【質問】
戸山公園は、新宿区内における多目的運動広場と防災機能を持った貴重な公園であり、今後も、区民をはじめ、より多くの人が利用できる整備が必要である。取得済み用地の活用も含め、スポーツ機能と防災機能の強化に取り組むべきである。都の見解を伺う。
【建設局長】
戸山公園の機能強化についてであるが、新宿区にある本公園は、大学や都営住宅等に隣接する計画面積約25.1ヘクタールの公園で、これまでに約18.6ヘクタールを開園している。
本公園は、スポーツを楽しむ学生や地域住民の利用者が多いことや、震災時の避難場所であることから、都は健康づくりの場や防災機能の強化・充実等を目指して整備に取り組んでいる。
具体的には、現在、平成27年度に取得した用地の将来の在り方について、地元区と連携し検討を進めるとともに、開園した区域においては停電時も点灯する照明灯や防災トイレ等の整備を実施している。
引き続き、都民の多様なニーズに対応できるよう、戸山公園の機能の一層の強化に取り組んでいく。