教育施策
① チャレンジスクールの拡充について
【質問】
現在、倍率の関係で希望者全員が入学できる状況ではない。
これまで生きづらさを抱えながらも、再チャレンジを決意した子ども達全員に、学びの場を提供するため、不登校経験や高校での中退経験を持つ生徒が通うチャレンジスクールを拡充するべきと考えるが、都の見解を伺う。
【教育長】
チャレンジスクールの拡充についてであるが、チャレンジスクールにおける入学者選抜の応募倍率は依然として高い状況にあり、都教育委員会は令和7年度、立川市に多摩地域初となるチャレンジスクールの開校を予定している。
立川地区チャレンジスクールでは、基礎・基本を重視したきめ細かい学習指導や、生徒のニーズに応える幅広い選択科目の設置に加え、将来、社会で自立する意欲を育むため、福祉施設や保育所と連携した就業体験やボランティア活動なども行うこととしている。
令和5年度には開設準備室を設置し、具体的な教育課程の編成など、着実に準備を進めていく。
② チャレンジスクールにおける生徒への支援について
【質問】
困難さや生きづらさを抱える生徒が多いチャレンジスクールにこそ、教員だけではなく、様々な立場の大人が親身に子ども達に関わり、支援していくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【教育長】
チャレンジスクールにおける生徒への支援についてであるが、チャレンジスクールでは、スクールカウンセラーを週2日配置し、教育相談機能の充実を図るとともに、ユースソーシャルワーカー等からなる自立支援チームを派遣し、福祉的な支援や就労に向けた支援を行っている。
また、精神科医を学校医として任用し、心理面で不安や悩みを抱える生徒に対して医学的な知見に基づいた助言を行うなど、重層的な支援体制を整備している。
今後、経験豊富なユースソーシャルワーカーを増員し対応力を強化するなど、生徒の目線に立った支援の充実に努めていく。
※ユースソーシャルワーカー…若者の主体的な自立を支援する「ユースワーカー」の機能と、生活や家庭などの諸問題の解決と軽減を図る「ソーシャルワーカー」の機能を一体化したもの
③ 障がいのある都立学校生への就労支援について
【質問】
全ての都立学校の障がい等で困難さを抱える生徒が就労し、社会の中で自分らしく活躍できるよう、職場定着まで支援する体制を構築すべきと考えるが、見解を伺う。
【教育長】
障害のある都立学校生への就労支援であるが、都教育委員会は、都立特別支援学校高等部において、生徒の障害特性に応じて就労に必要となる能力を伸長させた上で、就職から職場定着までを支援するなど、職業教育の充実に取り組んでいる。
今後は、都立高校においても、発達障害等により困難を抱える生徒の就労に向け、必要となるビジネスマナーや具体的な就労スキルなどを身に付けさせるとともに、障害特性に応じたインターンシップや就労先の開拓、就職後に職場定着するまでを一体的に支援するなどの就労支援事業を実施する。
こうした取り組みを通じ、都立学校に在籍する障害のある生徒の就労を支援していく。
子育て支援施策
① ファミリー・アテンダントについて
※ファミリー・アテンダント…子育て家庭の抱える日常的な不安や悩みに寄り添い、継続支援する
【質問】
先行して実施する市区町村との連携により都がモデルケースをしっかり作り上げ、その成果を都内に広めていくべきと考えるが、見解を伺う。
【子供政策連携室長】
ファミリー・アテンダントについてであるが、コロナ禍の影響等により、子育て家庭の感じる孤独や不安が増す中、子育て家庭とつながり、日常的な不安や悩みに寄り添い支援していくことは重要である。
このため、都は令和5年度より、地域の民間団体等の人材を活用し、アウトリーチ型支援を行うファミリー・アテンダント事業に取り組む区市町村に対する補助制度を創設する。また、その担い手となる人材の質を確保するため、相談内容に応じた傾聴スキルを習得するための実践的な研修を都が企画・実施し、区市町村の取り組みを人材面からサポートする。
これらを通じて、区市町村の地域特性を活かしながら事業の実効性を高め、都内全域への展開につなげていく。
② グリーフケアについて
※グリーフケア…大切な人を失って深い悲しみを抱える人に寄り添い支えて、立ち直ることができるようにサポートする
【質問】
女性の7人に1人が流産を経験するといわれており、厚労省の調査によると、死産、流産後に深い悲しみによって約6割の方が日常生活への支障を抱えたとのことである。
妊娠、出産事業を進める際は、このような方々の心に寄り添ったグリーフケアにも取り組むべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
グリーフケアについてであるが、流産や死産などで子供を失うという体験は、家族にとって耐え難く悲しい出来事であり、心情に寄り添った丁寧なケアが必要である。
都は、保健師や同じ体験をした方などによる電話相談を実施し、様々な悩みに対応するとともに必要な支援等の情報を提供している。また、妊産婦への支援を担う区市町村の職員等を対象に、遺族への適切な支援等についての研修を行い、知識と技術の向上を図っている。
妊娠や出産に係る支援に当たっては、かけがえのない子供を亡くされた方にも十分配慮し区市町村と連携しながら、それぞれの事情に寄り添った支援をきめ細かく実施していく。
③ グリーフケアに取り組む企業への支援について
【質問】
都は、不妊治療や不育症治療と仕事の両立に取り組む企業を応援する研修・奨励金事業を進めているが、本事業にもグリーフケアの視点を取り入れるべきと考えるが、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
グリーフケアに取り組む企業への支援についてだが、出産を望みながら、それが叶わない女性を支える職場づくりは重要である。都では、不育症や不妊症の治療を行う社員のため、休暇制度の導入を図る会社に奨励金を支給している。また、それらの治療に係る基礎知識や労務管理のポイント等を学べる研修を経営者や人事担当者に行ってきた。こうした中、流産や死産を経験した方の心身の負担を和らげるサポートであるグリーフケアへのニーズは高まっている。
今後は、経営者等への研修の中で、グリーフケアに向けた職場の配慮や休暇制度の仕組みのほか、柔軟な勤務方法の重要性について、きめ細かい説明を行う。これにより職場でのグリーフケアを後押ししていく。
防災対策
① 「東京くらし防災」について
【質問】
「東京くらし防災」については、女性の視点はもちろんのこと、高齢者や障がい者など、配慮が必要な方々の視点も踏まえてバージョンアップする必要があると考えるが、都の見解を伺う。
【総務局長】
「東京くらし防災」についてであるが、災害から自分や家族、地域を守るためには、一人ひとりの日頃からの備えや地域での助け合いが重要である。
このため都は、「東京防災」に加え、女性ならではの目線を活かした「東京くらし防災」により、日常の暮らしの中で災害に備えられるよう、普及啓発を行ってきた。
「東京くらし防災」の発行から約5年が経ち、社会情勢の変化や頻発する風水害、新型コロナの流行など新たな災害も経験してきた。
この間得られた知見や被災者の声を踏まえ、女性の視点に加え、高齢者や障害者など、より多様な目線から、命を守るための情報を充実させるきめ細かな普及啓発を行い、自助・共助の意識を高める。
② 災害時のトイレ確保に向けた取り組みについて
【質問】
災害が直接の原因ではなく、発災後の様々な要因で亡くなる、いわゆる災害関連死を防ぐ対策も重要。中でも人が健康に生活するために必要なトイレの確保は大きな課題の1つである。
令和4年の4月には内閣府の避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインが改定され、下水道処理区域内でも災害時に備えて浄化槽を整備することがトイレの確保を図る上で有効とする内容が追記されたことからも、災害時における新たな技術活用も都として検討すべき。
そこで、新たな技術の活用も視野に入れつつ、様々なトイレのメリット・デメリットを踏まえながら、災害時のトイレ確保に向けた取り組みを着実に進めるべきと考えるが、見解を伺う。
【総務局長】
災害時のトイレ確保に向けた取り組みについてであるが、大規模地震発生時には、被災者用のトイレが不足するため、家庭の備蓄を促すだけでなく、行政の側での確保も重要である。
このため都は、先般公表した東京都地域防災計画の修正素案において、2030年度までの目標として、災害時のトイレ空白エリアの解消を掲げた。
災害時のトイレは、簡易型、マンホール型、自己処理型など、種類によって、確保できる数量や処理能力等が大きく異なる。このため今後は、区市町村等と連携し、各トイレの配備状況等の把握に努め、様々な種類のトイレを組み合わせ、必要数の確保に取り組んでいく。
こうした取り組みで、災害時の生活環境の確保を図る。
都立公園
【質問】
都がパークマネジメントマスタープランに掲げる「民間活力の導入により、都立公園の魅力を更に高め、東京の活性化に寄与する」という目標を達成するため、民間との連携を更に推進していくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【東京都技監】
都立公園における官民連携の推進についてであるが、都立公園に新たな賑わいを創出し、魅力や価値を高めるために、民間の力を活用することは効果的である。
都は、緑とオープンスペースがもたらす公園の本来機能を確保しつつ、利用者ニーズや採算性等を踏まえ官民連携を推進し、浮間公園等でカフェ等を設置し新たな魅力を創出した。また現在、パークPFI制度により、明治公園等の整備を進めており、日比谷公園大音楽堂においても、更なる賑わい創出を目指し再整備を進めていく。
今後も、民間のアイデアやノウハウを活かす官民連携の取り組みを更に進め、都立公園の魅力を向上させていく。
中央卸売市場(板橋市場)
【質問】
板橋市場の基本構想を作成するに当たり、地域と一体となって、まちの魅力向上につながる取り組みを検討すべきと考えるが、見解を伺う。
【中央卸売市場長】
板橋市場における地域連携の取り組みについてであるが、中央卸売市場は、生鮮品等の安定的供給という役割に加え、市場が持つ賑わいや活気等の魅力に触れる機会を提供して、卸売市場に対する理解を深め、豊かな食文化を発信するなど、地域社会に貢献する役割を果たすことが重要である。
これまで板橋市場では、市場まつりの開催や、地元の小学生等を対象とした社会科見学の受入れ等、地域の方々と一体となった取り組みを行ってきた。
令和5年度予定している基本構想の策定に当たっては、野菜や果物に対する知識を育む食育活動や、切り花の魅力を引き出すフラワーアレンジメント教室の開催など、他市場で好評であった事例も参考にしながら、地域社会との交流を更に充実させる観点から取り組んでいく。