細田いさむ議員の本会議(2月22日)一般質問

都市整備

① 地下鉄8号線延伸と浸水対策について

【質問】

地下鉄8号線延伸の計画ルートは、枝川、東陽町、千田、千石など、東京都交通局浸水対策施設整備計画において示された浸水区域に位置している。

本路線の浸水対策も含めて、延伸事業の早期実現に向けた今後の取り組みについて伺う。

【都市整備局長】

地下鉄8号線の延伸についてであるが、本路線は、東西線の混雑緩和はもとより、臨海地域の更なる発展にも寄与する重要な路線である。

都は、令和4年8月に都市計画素案の説明会を実施するなど、都市計画と環境影響評価の手続に着手している。

また、本路線のルート及び新駅は、最大5メートルの浸水が予想される区域に位置しており、東京メトロが駅出入口等における浸水対策を含めて設計を行っている。

引き続き、関係者と連携し、2030年代半ばの開業を目指し、令和5年度、都市計画案等の説明会を開催するなど、事業化に向けた手続を着実に実施していく。

② 都心部・臨海地域地下鉄と浸水対策について

【質問】

都心部・臨海地域地下鉄については、完全防水に向けた浸水対策を進めるべきである。

この対応を含めて、本路線の事業化に向けた今後の取り組みについて、都の見解を伺う。

【都市整備局長】

都心部・臨海地域地下鉄についてであるが、本路線は、都心部と臨海部とをつなぐ基幹的な交通基盤、いわば、背骨としての役割が期待されている。

令和4年11月、国の参画も得た事業計画検討会において、ルートや駅の位置を含めた事業計画案を取りまとめた。

この事業計画案を基に、都は計画のブラッシュアップと事業主体の検討を進めていくこととしており、こうした検討の中で、浸水対策についても配慮し対応していく。

引き続き、国を含めた関係者と連携して検討を進めるなど、この路線の早期事業化に向けた取り組みを加速していく。

環境施策

① 東京港における脱炭素化のためのブルーカーボンの取り組みについて

【質問】

CO2吸収源対策としてブルーカーボンの取り組みを進めていくことは極めて重要である。

都は、東京港におけるワカメやアマモ等を育む藻場等の創出を積極的に推進していくべきであるが、現在の取り組み状況と今後の取り組みについて伺う。

【港湾局長】

東京港におけるブルーカーボンの取り組みについてだが、CO2の吸収源として期待されているワカメやアマモなどの藻場等を創出していくことは重要である。

このため、都は令和4年度、海水の濁りや水流等の現況調査を踏まえて選定した港内の2か所にワカメとアマモを移植し、生育状況の検証を進めているところである。

令和5年度はこの検証結果を基にして生育環境の改善策の検討を進めるとともに、具体的な藻場等の整備箇所や整備方法、整備スケジュール等について取りまとめていく。

今後とも都は、脱炭素社会の実現に向け、ブルーカーボンの取り組みを着実に進めていく。

② 環境に配慮した船舶の導入について

【質問】

水素を燃料とする船舶や電力を動力とする船舶など、脱炭素化に貢献する研究開発を一層促進させるため、都は、脱炭素社会の実現に向け、東京港や河川などにおいて環境に配慮した船舶を率先して導入すべきと考えるが、見解を伺う。

【港湾局長】

環境に配慮した船舶の導入についてであるが、水素や蓄電池を使用する船舶には、軽油等を使用する従来型の船に比較して航行できる時間が短いといった課題があり、更なる技術開発が必要な状況にある。

このため都は、東京港や河川などで使用する小型船に水素エネルギー等を動力とする船舶を新たに導入するとともに、航行時間や航行速度等のデータの蓄積を通じ、技術開発に貢献する取り組みを行うことなどにより、環境に配慮した船舶の普及拡大につなげていく。

令和5年度は、具体的な船舶の設計に着手し、令和8年度の導入に向け着実に取り組みを進めていく。

防災対策

① 防災船による災害対応力の強化について

【質問】

特に傷病者の搬送には、救急医療の関係者との連携は不可欠である。また、平常時の船の活用も防災教育に役立つ活用など検討が必要である。こうした課題を踏まえて防災船を活用した災害対応力を高める取り組みについて伺う。 

【東京都技監】

防災船による災害対応力の強化についてであるが、建設局が所有する船舶は、水上バスとして水辺環境に触れ合う機会を提供するほか、東京都地域防災計画において、物資及び人員搬送等の役割が位置付けられている。

現在の船舶は発災時の活動に必要なスペースが限られ、老朽化も進んでいる。このため、令和7年度の就航に向けて新たに防災船を建造することとし、座席を可動式とするなど、物資や傷病者の搬送に適した構造とする。

今後、関係機関と連携し、発災時の運用に加えて、防災意識の啓発等、平常時の活用についても幅広く検討を進め、災害対応力を強化していく。

② 防災船着場の利用料金について

【質問】

令和5年3月末までとなっている防災船着場の利用料半額の措置を延長し、舟運事業者の利用を促進していくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【東京都技監】

防災船着場の利用料金についてであるが、防災船着場は、災害時における物資の輸送等を目的に設置した施設であり、平常時においても一般船舶の利用を促進していくことは重要である。これまでに、越中島など6か所の船着場を順次一般開放し、令和4年は葛西臨海公園を夏の期間中開放するなど利用促進を図ってきた。

また、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた舟運事業者の支援として、令和2年8月末から令和5年3月末まで、利用料金の割引を実施している。

4月以降については、船着場の利用状況や今後の社会経済状況等を踏まえ、適切に対応していく。

③ デジタル教材「防災ノート」の活用について

【質問】

都内の中学校で行ったHUGを視察し、生徒たちが様々な意見を出し合って被災者を助けようと取り組んでいるワークショップの姿を確認した。

このような防災教育を推進するため、「防災ノート」の活用を広く進めていくべきと考えるが教育長の見解を求める。

※HUG(ハグ)…避難所運営ゲーム。チームを組んで実際に避難所を運営する立場から、さまざまな課題を想定してクリアするための対処法を考えていく。

【教育長】

デジタル教材「防災ノート」の活用についてであるが、都教育委員会は、これまで冊子形式で都内全ての児童・生徒に配布してきた「防災ノート」を、令和4年度からデジタル化し、各学校における防災教育の推進を図ってきた。

また、この教材で学んだ知識を更に深めるため、学校での避難所運営講座や、防災施設で保護者と共に行うVR体験などの体験活動の実施を支援している。

今後、「防災ノート」の活用を促すデジタルポスターを作成し、子供たちの1人1台端末を通じて、子供と保護者等に一層の周知を図っていく。

④ 災害時におけるドクターヘリの活用について

【質問】

令和4年3月末に運航を開始し、まもなく1年となる東京都ドクターヘリは、出動回数も増加し、救急救命の搬送が着実に効果を発揮してきている。都の防災計画では、ヘリコプター等の運用も明記されている。災害時のドクターヘリの活用について知事の見解を伺う。

【知事】

災害時におけるドクターヘリの活用についてであるが、都は、令和4年3月からドクターヘリの運航を開始し、これまで多くの重症、重篤な患者を、治療しながら迅速に病院へ搬送してきた。

ドクターヘリは、震災等により幹線道路が寸断され、救急車が活動できない場合でも、患者を搬送することが可能である。その特性を生かし、都は現在、災害時の活用に向け、離着陸場所の安全確保や傷病者の受入調整、指揮命令系統の確認などの検討を進めている。

今後、具体的な運用方法を定め、平時に加え、災害時においても、ドクターヘリを有効に活用し、救急災害医療体制の強化を図っていく。

子ども・若者支援

ケアリーバーの支援強化について

【質問】

ケアリーバーの自立支援強化について、国の事業では18歳を超えて20歳までの措置延長をした方が、措置解除後も施設などの支援を受けながら安定した生活が送れるように、アパートを借り上げる施設などを支援しており、最大22歳まで使えるようになっている。

都は令和4年度より、こうした国事業の対象にならないケアリーバーを支援するため、1年間の居住費の支援策を開始した。

令和4年の予算特別委員会で都議会公明党は、都の行った実態調査に言及し、離職した人の9割が3年未満に退職していることから、居住支援期間を延長するよう求めた。令和5年度は期間の更なる延長を行い、支援を強化していくべき。都の見解を伺う。

※ケアリーバー…児童養護施設や里親など社会的養護の下で育ち、保護(ケア)から離れた子ども

【福祉保健局長】

ケアリーバーに対する支援についてであるが、都は令和4年度から、児童養護施設の退所者等を支援するため、18歳で措置解除となった方にアパートなどを借り上げる施設等に、1年分の経費を独自に補助している。

支援を受けているケアリーバーや事業者等からは、職場や学校など新しい環境への適応や人間関係の構築に一定の時間がかかるとの声があった。

こうしたケアリーバーの実態や、大学等の修学年限も踏まえ、令和5年度から、支援期間を最長4年間、22歳の年度末まで延長する。さらに、自立援助ホームの退所者も新たに対象に加えるなど、ケアリーバーへの支援を一層強化していく。

産業労働

労働者協同組合の活動支援について

【質問】

労働者組合法は、持続可能で活力のある地域社会を実現するため、労働者らが自ら資金を出し、話し合いながらともに働く協働労働を行う団体に法人格を認めるものであり、令和4年10月に施行された。

法律が施行されたことの意義や労働者協同組合への期待について都の認識を確認するとともに、区市町村との連携や組合活動の支援、法人格の取得支援などについて、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

労働者協同組合についてであるが、労働者協同組合は、介護や子育てなど地域の様々なニーズに応じた事業を行い多様な就労機会を創出することが期待できる。これを地域課題を解決する担い手として区市町村と連携して活動の促進を図ることは重要である。

このため都は、令和4年10月から組合設立の受付が始まるに当たり、相談の窓口を設け、説明会を開催するほか、専用のウェブサイトやワークショップを通じて活動事例などを幅広く紹介してきた。さらに、組合との連携に向け、庁内や区市町村に内容の周知を図った。

今後は、組合の設立や運営を学ぶ機会を年間を通じて提供し、法人格の取得を目指す団体等へきめ細かい支援を行うほか、ウェブサイトでの事例発信を増やす。これらにより労働者協同組合の活動を後押ししていく。

まちづくり

太鼓橋などの道路橋のバリアフリー化について

【質問】

特に整備の必要性が高い既設道路橋について、バリアフリー化を積極的に進めるべきと考えるが、都の見解を伺う。

【東京都技監】

既設道路橋のバリアフリー化についてであるが、高齢者や障害者など全ての人が安全で円滑に移動するためには、橋梁を含めた道路のバリアフリー化を進めていくことが重要である。

都は、令和4年5月に整備方針を策定し、丸八橋や隅田川大橋など6橋について、優先的に整備を検討する橋梁に選定した。現在、実現に向けた課題を抽出し、エレベーターや人道橋など現場状況に適した整備手法の検討や、地元自治体など関係機関との調整等を行っている。

引き続き、既設道路橋のバリアフリー化の取り組みを進め誰もが利用しやすい、質の高い道路空間を創出していく。

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