中小企業支援施策
① 中小企業に就職する若者に対する住宅の借上げへの支援について
【質問】
一昨年に我が党で、青年、学生を対象に独自の政策アンケートを行い、2番目に多かったのは若者の家賃補助の要望だった。
今定例会の代表質問で、若手人材の確保や定着に向けた中小企業の取り組みに対する令和5年度の都の支援について見解を求め、産業労働局長から家賃補助をしていく旨の答弁を得た。
中小企業に就職する若者に対する家賃補助の事業内容について、見解を求める。
【産業労働局長】
中小企業が若手の人材を採用しその定着を図るため、従業員の生活面での満足度を高める取り組みを計画的に進めることができるよう、都は新たなサポートを実施する。
この支援の中で、会社が若手の社員のために住宅を新たに借り上げる場合の経費について、その2分の1を年間200万円を上限に助成する。
② 従業員の食生活等をサポートする企業の取り組みへの支援について
【質問】
食のサポートを行っている福利厚生は満足度が高く、健康経営に取り組んでいる中小企業は離職率が低いとのデータもある。
従業員の食生活や健康をサポートする企業の取り組みを支援していくべきだが、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
中小企業による若手人材の確保等に向けた支援では、従業員に栄養バランスの良い食事を提供する場合や、健康の維持や向上に結び付くサービスを提供する取り組みを新たに行う場合、それぞれ年間50万円を上限に2分の1の助成を実施する。
また、これらを社員のための住宅の借上げと合わせ全て行い、総合的なサポートを進める場合、年間300万円まで助成する。
③ 若手社員の定着に向けた継続的な支援について
【質問】
企業におけるサポートが一過性のものではなく、企業が継続して取り組んでいけるような支援が必要と考えるが、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
中小企業が若手の従業員の定着を図る上でその生活面の満足度を高める取り組みを継続して行うことは重要である。
都の支援では、会社への助成を3年にわたり行うことができるほか、専門家を派遣し、若手の社員の定着につながる一定の期間の取り組みとなる計画づくりに向け、助言を行う。
④ 専門家の活用について
【質問】
人事や労務の制度づくりに精通した社会保険労務士などを活用し、企業の取り組み内容を確認し助言していくべきだが、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
都の支援では、若手の社員が少なく、その採用を効果的に進める必要のある中小企業に対し、社員が安心で快適な生活を送る環境をつくる取り組みを後押しする。
このため、仕事と生活の両立を進めるための様々な知識を持つ社会保険労務士などの専門家を会社に派遣し、福利厚生の充実に向けた計画づくりに関し助言を行う。
障がい者支援
① カード形式の障害者手帳について
【質問】
障害者手帳は紙の形式のみから、令和2年10月にカード形式も選択できるようにしたが、令和4年度の交付実績とカードを選択した割合について伺う。
【福祉保健局長】
都は、これまで紙の形式のみであった障害者手帳について、国の省令改正を踏まえ、令和2年10月からカード形式の手帳を希望に応じて選択できるようにした。
令和4年4月から12月までの手帳の交付実績と、そのうちカード形式を選択した割合は、身体障害者手帳が2万4,776件で約68パーセント、愛の手帳が6,504件で約74パーセント、精神障害者保健福祉手帳が6万6,976件で約46パーセントとなっている。
② 精神障害者保健福祉手帳の有効期限について
【質問】
精神障害者保健福祉手帳は2年に1回の更新が法令で義務付けられているが、ほとんどの区市町村で更新のお知らせなどがない。更新の申請が遅くなると現在の手帳の期限までに次の手帳の交付が間に合わず、手帳保持の空白期間が生じ、身分を証明するものがなく行政サービスも受けられず困っていると聞く。周知の方法が重要だと考えるが見解を求める。
【福祉保健局長】
精神障害者保健福祉手帳の有効期限は、法令等により2年間と定められており、有効期限の3か月前から更新手続が行える旨を手帳に記載するとともに、都のホームページでも周知している。
また、更新手続の案内や有効期限に関する注意喚起のチラシを作成し、手続を行う区市町村の窓口などで配布している。
【要望事項】
それでは駄目だ。ホームページや手帳に書いてあるだけでは、精神障がい者は気付かない。ショートメールやSMSを活用した仕組みづくりとすべきである。
③ カラー写真による障害者手帳のカード発行について
【質問】
当事者の方から、障害者手帳のカード発行に際し、カラー写真を提出したにも関わらず、発行された障害者手帳のカードの顔写真が白黒だったと相談があった。
国で発行しているマイナンバーカードなどはカラーであるが、なぜ、障がい者だけカラーで提出した写真が白黒で出てくるような対応をしているのか。差別をしていると疑われてもおかしくない状況だ。
速やかにカラー写真で発行をするべきと考えるが、都の見解を求める。
【福祉保健局長】
障害者手帳は長期にわたって使用するため、国は耐久性や偽造防止を求めており、都は、早期にカード化を図るため、耐久性等が確実である白黒のレーザー印刷により発行することとした。
今後、耐久性等の観点から、カラー印刷が可能であることなどを更に確認の上、検討を進め、令和5年度には、カラー写真によるカードの発行ができるよう取り組んでいく。
下水道
① 三河島水再生センターの水処理施設の整備計画について
【質問】
三河島水再生センターは、老朽化が進行しており、施設の再構築が必要とされている。そこで、三河島水再生センターの再構築計画ついて伺う。
【下水道局長】
下水道局では、下水道施設の老朽化対策とあわせて耐震性や維持管理性の向上などを図るため、再構築を計画的に推進している。
このうち、水再生センターの再構築では、工事期間中の水処理能力などが不足することから、先行して代替施設を整備している。
三河島水再生センターにおいては、近接する東尾久浄化センターに水処理施設を先行的に整備し、三河島水再生センターに流入している下水の一部を処理することで、再構築を進めていく。
今後は、荒川区との協議などを行い、令和7年度までに東尾久浄化センターの水処理施設の整備に着手する。
② 尾久の原公園の整備について
【質問】
地元区の意向も踏まえながら、東尾久浄化センターの水処理施設の上部を公園として利用していくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【東京都技監】
隅田川沿いに位置する尾久の原公園は、区部東部の水と緑のネットワークを形成する拠点であるとともに、避難場所として防災上も重要な都立公園である。
これまで、草地広場など子供の遊び場や、トンボ池やデッキ等の自然観察の場のほか、防災機能の向上を図るため、非常用照明や防災トイレ等を整備してきた。
隣接する東尾久浄化センターの水処理施設は覆蓋化される予定であり、完成後、その上部を公園として整備していく。
③ 尾久の原公園の拡張整備について
【質問】
将来、浄化センター上部に公園を拡張整備する際には、スーパー堤防の高さまで盛り土をして台地を造り、命を守る丘にしていただきたいと思うが、都の見解を伺う。
【東京都技監】
本公園の拡張整備に当たっては、水処理施設の上部に公園整備のための盛り土を行うことになっており、その際に地盤面がスーパー堤防の高さとなるようにしていく。
今後、地元区や下水道局と連携を図りながら、都民に親しまれる公園づくりに取り組んでいく。
災害時の物流
① 災害時の支援物資の物流体制について
【質問】
被災者が必要とする物資を遅滞なく確実に避難所等へ輸送するための体制を確保すべきと考えるが、見解を伺う。
【総務局長】
都は、発災時、国や他道府県からの支援物資を受入れ、区市町村の地域内輸送拠点等まで輸送することになっている。
必要とされる物資を供給するため、令和3年度から全国レベルで物資の輸送や調達を支援するシステムを導入し、区市町村のニーズと支援物資を効率的に需給調整できる仕組みを確保した。
また、令和4年度は、このシステムを活用し、多摩広域防災拠点において、物流事業者と連携し、物資の受入れや払出しについての実動訓練を実施した。
今後は、訓練を通じて浮き彫りになった課題を踏まえ、マニュアルの改善等を図ることにより、オペレーションの実効性を一層高めていく。
② 災害時の物資輸送手段の充実について
【質問】
フードデリバリー業界の最大手の会社と懇談し、現在、全国に配達パートナーは10万人以上、東京都内だけで6万人を超えるパートナーがいると伺った。
避難所に物資を取りに来ることができない被災者が多くいることなども踏まえ、自転車や徒歩で動けるようになってきた時には、被災者対応を行う区市町村や様々な関係機関とも連携しながら、物資を確実に届けられるよう、物資輸送手段として今後検討すべきと考えるが、見解を伺う。
【総務局長】
災害時には、広域輸送基地から地域内輸送拠点等に物資を輸送する東京都と、地域内輸送拠点等から被災者への物資の提供を行う区市町村が、相互に連携しながら支援を行うことになっている。
このため、都は、物資輸送に関する区市町村との連絡会を開催し、地域内輸送拠点の運営や物流事業者との連携方法等についての意見交換等を行ってきた。
区市町村にとっては、発災時に在宅避難を行う被災者等に対する物資の提供方法が課題となるため、引き続き都が開催するこの連絡会において、被災者への物資支援の在り方について幅広く議論を重ねていく。
環境施策
① 大気環境の改善について
【質問】
大気環境の更なる改善に向けて、九都県市や関東近県など周辺自治体との連携を深めていくとともに、都民や事業者の関心を高めていく取り組みを進める必要があると考えるが、都の見解を求める。
【環境局長】
大気環境の更なる改善に向けては、周辺自治体や都民・事業者など多様な主体と連携・協働し、共に取り組みを進めていくことが重要である。
そのため都は、周辺自治体と共に、大気汚染物質の削減対策を検討する連絡会を設け、汚染物質の移動状況の把握や発生源の特定に取り組むなど、広域的な対策を推進している。
また、大気環境改善に関する都民・事業者の機運醸成に向けてクリアスカイ事業を展開しており、令和5年度は、新たに、子どもや若年層向けに、大気環境改善に資する身近な取り組みなどをわかりやすく説明した動画等を作成するなど、事業内容を拡充して実施する。
今後、新たな取り組みも着実に実施しながら、大気環境の更なる向上を図っていく。
② 排出ガス以外から発生する粉塵の削減について
【質問】
タイヤやブレーキなど排出ガス以外から発生する粉塵の割合が相対的に高まってきている。タイヤを始めとした排出ガス以外から発生する粉塵の削減に取り組んでいくことが必要であると考えるが、都の見解を求める。
【環境局長】
都内ではディーゼル車規制等により自動車排出ガス由来のPM(粒子状物質)は大きく減少したものの、タイヤやブレーキなど排出ガス以外から発生する粉塵については、ZEVの普及が進んでも、引き続き発生するものと考えられる。
安全運転や燃費向上を目的に加速・減速の抑制等を行うエコドライブは、タイヤやブレーキ等の摩耗低減にもつながる。都は九都県市と連携し、効果や具体的なポイントを記載したホームページやチラシ等により、幅広くエコドライブの普及啓発を行っている。
EUにおいては、排出ガス以外から発生する粉塵について規制に向けた動きがあるほか、国においてブレーキ粉塵の調査方法の検討が行われている。
今後、都は業界関係者等から知見を収集・蓄積していく。
※ZEV(ゼロエミッション・ビークル)…走行時に二酸化炭素等の排出ガスを出さない電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)、プラグインハイブリット自動車(PHV)のこと
③ 持続可能な都市づくりについて
【質問】
自動車タイヤから発生する粉塵など、今日、問題提起した課題を含め、幅広い環境課題にしっかりと取り組み、持続可能な都市東京をつくっていくための知事の見解を伺う。
【知事】
東京の持続的な成長とより良質な都市環境の確保のためには、エネルギーの脱炭素化はもとより、新たな課題を含む幅広い分野における更なる施策の深化が必要である。
都は、令和4年9月に環境基本計画を改定し、PM2.5の2030年目標を強化するなど、都民・事業者の共感を得ながら各分野の環境課題の包括的な解決を図る施策を展開している。
東京が50年、100年先も豊かさにあふれる持続可能な都市であり続けるため、都民・事業者等との連携・協働を一層強化し、あらゆる施策を総動員していく。
東京港
① コンテナふ頭周辺での交通混雑について
【質問】
東京港のコンテナふ頭周辺で、交通混雑が発生する原因について、伺う。
【港湾局長】
首都圏の生活と産業を支える東京港では、近年、貨物処理能力を大幅に超える量のコンテナ貨物を取り扱う状態が続いており、その結果、コンテナターミナルでの貨物の引き渡し作業に時間がかかっている状況にある。
加えて、荷主はトラック事業者に対して、コンテナターミナルから引き取った貨物を朝一番に納品するよう指示する傾向があるため、納品前日の午後、特に夕方にコンテナ車両がターミナルへ集中している。
こうしたことがコンテナターミナル周辺で交通混雑が発生する主な原因であると認識している。
② コンテナターミナルにおけるトラックの長時間待機について
【質問】
混雑の原因は、時間が集中すること、貨物処理能力をそもそも超えていること、この2つがある。
これに対してターミナル運営事業者はどのような対応を行っているのか、伺う。
【港湾局長】
通常、コンテナターミナルの現場では、コンテナ貨物について、船への揚げ積みと、トラックへの受け渡しを同時並行で行っている。
一方、世界の主要港を結ぶコンテナ船は、国外の港での混雑や台風等の影響で運航スケジュールが大幅に乱れることがあり、その結果、コンテナ船の東京港への寄港が異常に集中することがある。
こうした場合、グローバルなサプライチェーンの維持・回復に向けて、ターミナル運営事業者は、船への貨物の揚げ積みを優先して対応している。
このため、運営事業者は臨時の作業体制を確保するなど、できる限りの対応をしているものの、トラックへの受け渡しに要する時間が通常より長くなると聞いている。
③ 東京港の機能強化について
【質問】
都は、港湾機能の強化に向けて、新たなターミナルの整備を行うとともに既存ふ頭の再整備も進めていくべきだが、見解を伺う。
【港湾局長】
増加するコンテナ貨物取扱量に適切に対応するためには、新規ふ頭の整備等を進め、港湾機能の抜本的な強化を図ることが必要である。
このため都は、中央防波堤外側地区において、平成29年にY1ターミナルを、令和2年にY2ターミナルをそれぞれ新たに供用開始したところであり、令和5年度はY3ターミナルの整備を進めていく。また、増加するアジア貨物の取扱い拠点である青海コンテナふ頭においては、一ターミナル当たりのヤード面積の拡張や効率的な荷役機械への更新など、ターミナル営業を続けながら再編整備を進め、貨物処理能力の強化を図っていく。
④ 交通混雑解消に向けた予約の拡大について
【質問】
都は令和4年度、東京港の9か所のターミナルのうち2か所で予約制を実施しているが、令和5年度は実施ターミナル数を更に拡大すべきであると考える。都の見解を伺う。
【港湾局長】
東京港のふ頭周辺の交通混雑を解消するためには、ゲート前待機時間の削減に効果のあるコンテナ搬出入予約制の取り組みを拡大していくことが重要である。
一方で、東京港には1日に約1万台のトラックが来場しており、予約制の導入により現場のオペレーションに多大な影響が生じる可能性があることから、専門的な知見の下、効果検証と改善を図りながら、慎重に対応していく必要がある。
このため、都は、令和5年度から新たに、専門家による相談体制を整えるなど、予約制を導入しようとする事業者を強力に後押しすることで、実施ターミナル数を2か所から5か所へ拡大することを目指す。
今後も都は、東京港が首都圏を支える国際物流拠点としての役割を果たしていけるよう取り組みを進めていく。