斉藤やすひろ議員の予算特別委員会(3月8日)総括質疑

環境政策

① 生物多様性の保全・回復に向けた知事の決意について

【質問】

「生物多様性の保全・回復」は、あらゆる担い手と共に取り組むべき課題。この重要課題に当たっても、東京都がリーダーシップを担うべきと考える。持続可能な社会の創出に向けての知事の決意を伺う。

【知事】

「未来の東京」戦略が目指す持続可能で生物多様性に富んだ都市をつくるためには、今を生きる我々が共通の課題認識のもと、行動を起こさねばならない。

令和4年末のCOP15では、2030年までに生物多様性を回復軌道に乗せるため、ビジネス分野での取り組み強化が盛り込まれるなど、多様な主体による行動の加速が今後の鍵を握っている。

先日開催したG―NETSやシティテック東京では各国の都市やスタートアップなどが参加し、生物多様性を含む環境分野の知見と技術の交流など、東京から新たな価値を世界に発信した。

こうした国内外の動向も注視しながら、新たに策定する生物多様性地域戦略を踏まえ、都民、NPO、企業、大学等、多様な主体と連携し、生物多様性の保全と回復などの取り組みを進め、持続可能な社会を実現していく。

※G―NETS…持続可能な社会を目指し、世界の都市が抱える共通課題の解決に向けた議論や知見の共有等を行うための、東京発の新たな国際ネットワーク

② 企業によるNbsの取り組みの促進について

※NbS…自然の力を活用して、生態系と人々に恩恵をもたらしながら、社会的な課題を解決すること。人と自然にとってWin-Winの関係を目指すという考え方

【質問】

自然の機能を活用した社会的課題の解決策、NbSの視点も企業の活動として重要。また、企業活動を消費者である都民が知ることで、商品選択などの行動にも繋がっていく。そこで、NbSの取り組みについて、多くの企業が実践できるよう促すべきと考える。都の見解を伺う。

【環境局長】

企業によるNbSの取り組みを推進するためには、その意義や重要性を企業が理解し、実践できるよう、都は啓発や機運醸成を行っていくことが重要である。

現在策定中の地域戦略では、緑地における雨水浸透や植物の蒸散作用など自然が有する多面的な機能を、防災や暑さ対策など様々な社会的課題の解決に活用するNbSの取り組みを広めていく必要があるとしている。

そのため令和5年度新たに、NbSを実践している企業の取り組み事例をホームページ等で紹介するとともに、実践企業が参加する普及啓発イベントを開催する。この中で、取り組みのきっかけや内容とその効果などを幅広く収集・発信し、企業の機運醸成と都民の意識向上を図っていく。

こうした取り組みにより、NbSを実践する企業の裾野を広げ、自然と共生する社会を目指していく。

中小企業支援

ESG投資に係る専門・中核人材の確保支援について

※ESG投資…Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の単語の頭文字をつなげたもの。環境や社会に配慮して事業を行っていて、適切なガバナンス(企業統治)がなされている会社に投資しようというのがESG投資

【質問】

デジタルや脱炭素など、ESG投資の潮流を踏まえた中長期の課題に対応できる人材の確保を求めている企業がある。

企業からの相談を待つだけでなく、担当者が企業に出向いて悩みを聞き、経営面のサポートができる機関とも連携して、人材マッチングから定着まで着実に支援していくべきだが、新しい専門・中核人材戦略センターの具体的な仕組みについて、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

中小企業が新たな事業展開や社内の体制整備の中心となる人材確保を図ることは経営上の重要な課題である。

こうした中核人材の確保を目指す中小企業からの相談に応じ、都は、採用の方法やその計画づくりに関し、窓口等で様々な助言を行ってきた。

令和5年度は、金融機関や経済団体等と協力し、専門家が中小企業に出向き、中核人材の必要性を説明した上で、そのマッチングから定着までを一貫してサポートする。また、採用に当たり、民間の人材紹介のサービスを利用する場合等に必要な経費に対し、最大3分の2の助成を行う。さらに、大企業などで力を培った人材とその採用を図る中小企業との交流会等も開催する。

これにより、中小企業の中核人材の確保を後押しする。

災害対策

① 仮称目黒川流域調節池の効果と令和5年度の取り組みについて

【質問】

都は、TOKYO強靭化プロジェクトを策定し、激甚化する風水害から都民を守るため、河川整備をさらに推進することとしている。

仮称目黒川流域調節池について、環状7号線の地下広域調節池と連結することによる効果及び令和5年度の取り組みについて伺う。

【東京都技監】

仮称目黒川流域調節池は、年超過確率20分の1規模の降雨に対応するため整備するものであり、河川整備計画に位置付けた上流3支川の調節池をトンネル式で一体的に整備する、貯留量約47万立米の施設である。

本調節池は、環状7号線地下広域調節池と連結することで、総容量約190万立米の施設として機能する。これにより、調節池容量の相互融通機能が目黒川流域まで拡充され、より広範囲の豪雨への対応も可能となる。

令和5年度は引き続き、将来の地下河川化も見据え、立坑の構造や工法の比較検討などを進めるとともに、関係機関との協議等を実施していく。

こうした取り組みにより豪雨に対する安全性を高めていく。

② 東京防災学習セミナーの見直しと質の向上について

【質問】

マンション防災について、今後都は、東京防災学習セミナーの内容を見直し、更に質を上げることで受講者を増やしていくことが必要と考えるが、見解を伺う。

【総務局長】

都はこれまで、東京防災学習セミナーや東京防災ホリデーセミナーの中でマンション防災のコースを設け、マニュアル作成や備蓄の必要性などについての講義を実施してきた。

令和4年度に公表した新たな被害想定では、長期間エレベーターが停止したり、トイレが使えなくなるなど、マンションにおける様々な防災上の課題が示された。

このため、令和5年度は、マンション防災について、従来のセミナーの内容を充実させ、マンションに精通した専門講師を派遣するとともに、最新の情報も取り入れながら、より質の高い講義を実施していく。

③ マンション管理組合と連携した防災力の強化について

【質問】

都内のマンション防災を徹底するためには、平時からマンション施策を展開している住宅政策本部の取り組みを、総務局総合防災部や関係団体と連携しながら一層強化すべきだが、見解を伺う。

【住宅政策本部長】

都は分譲マンションの適正管理や円滑な再生の促進を通じて、良質なマンションストックの形成を図ってきた。

令和5年度は、耐震化の取り組みの強化に加え、倒壊の危険性が高いピロティ階の改修等の後押しや、管理組合の防災力向上等を支援する事業を開始するほか、名称を変更した「東京とどまるマンション」の普及などに積極的に取り組んでいく。

関係局や区市町村、マンション管理に関わる団体等と緊密に連携しながら、災害時における安全な居住の持続に向けて着実に施策を展開していく。

※東京とどまるマンション…エレベーターや水道の利用に必要な非常用電源の確保や防災マニュアル策定等の防災対策を講じた「災害による停電時でも、住み慣れた自宅での生活を継続」しやすいマンション

住宅政策

① 空き家対策について

【質問】

都は、ワンストップ相談事業を実施し、専門家の派遣なども行っており評判も良いが、相談実績を見ると、まだ十分とは言えない数字である。

ワンストップ相談事業を都民にもっと知ってもらい、更に活用されるよう取り組むべきと考えるが、都の見解を伺う。

【住宅政策本部長】

これまで都は、民間事業者が行う空き家ワンストップ相談窓口への支援を通じ、相談対応を強化してきた。

空き家問題の解決のためには、相談対応の実効性を一層高めていくことが不可欠であり、令和5年度は、旧耐震基準の建物や地域活性化施設としての利活用など、より困難度の高い相談の解決に対する民間事業者へのインセンティブを拡充する。

また、税務部門と連携し、令和5年6月に送付予定の固定資産税等の納税通知書に、新たに空き家の利活用に関するチラシを同封して啓発を図るとともに、ワンストップ相談窓口の活用を促すことにより、相談窓口の更なる利用促進を図っていく。

② 住宅リフォームについて

【質問】

都民が安心して住宅リフォームに取り組めるよう、普及啓発を強化すべきと考えるが、都の見解を伺う。

【住宅政策本部長】

都はこれまで、都民が安心して住宅リフォームを行えるよう、ガイドブック等により普及啓発を行ってきた。

今般、リフォームの促進に向け、計画から工事等の流れに沿って、補助金や相談窓口などの情報を分かりやすく紹介する内容に全面改訂した。今後、区市町村や東京都省エネ・再エネ住宅推進プラットフォームの会員団体等と連携し、都民への普及啓発に取り組む。

あわせて、リフォーム後の戸建住宅をモデルハウスとして公開する取り組みにおいて、都民の主要な居住形態であるマンション等も対象に加えるなど、リフォームの効果を体感できる場を広く提供していく。

③ 既存住宅の流通促進について

【質問】

都として、既存住宅の流通促進に向けた取り組みを強化すべきと考えるが、見解を伺う。

【住宅政策本部長】

既存住宅の流通促進に向けては、建物状況調査や既存住宅売買瑕疵保険、住宅履歴情報の3つの仕組みの活用とともに、既存住宅の価値の適正な評価が重要である。

都はこれまで、既存住宅の売買に当たって参考となるポイントをまとめた「東京既存住宅ガイドブック」などによる普及啓発を進めるとともに、国に対して既存住宅流通の活性化に向けた提案要求を行ってきた。

令和5年度は、民間事業者による、既存住宅を良質な住宅に改修して適正な評価の下で販売する取り組みや、建物状況調査等の3つの仕組みに関する普及啓発の取り組みに対する支援を開始し、都民が既存住宅を安心して売買できる市場環境の整備を図っていく。

都市づくり

① 自由ヶ丘のまちづくりに対する都の支援について

【質問】

自由が丘駅周辺については、ウォーカブルなまちづくりを進めるため、鉄道立体化が望ましい姿だが、目黒区が中心となり策定した「自由が丘駅周辺地区都市基盤整備構想(案)」の策定に当たり、都が行ってきた支援について伺う。

【都市整備局長】

東急大井町線、東横線の自由が丘駅付近は、都の踏切対策基本方針において、鉄道立体化の検討対象区間に位置付けられている。

鉄道立体化は、地域におけるまちづくりと大きく連動することから、地元区が主体となり、地域の将来像やまちづくり方針等について検討する必要がある。

また、本区間は未整備の都市計画道路と3箇所で交差しており、道路整備計画との整合も、まちづくりと併せて地元区が検討していく必要がある。

都は、地元の目黒区が都市基盤整備構想(案)の策定に向け、令和3年度から実施してきた検討に対し、国と共に助言を行い、技術的な支援を実施してきた。

② 踏切対策について

【質問】

自由が丘駅周辺は、平成16年度に策定された東京都の踏切対策基本方針の中では、鉄道立体化の検討対象区間に選ばれているが、策定から15年が経過しているため、踏切を取り巻く環境は大きく変わっていると思う。

踏切対策について、令和5年度の都の検討内容を伺う。

【都市整備局長】

都は、踏切対策基本方針策定後も鉄道事業者等と連携し、踏切対策を進めてきたが、都内には1,050箇所程度の踏切が存在し、交通渋滞やまちの分断などの課題が残されている。

基本方針策定後15年以上が経過し、各踏切の状況や取り巻く環境は変化していると考えられる。

令和5年度、都は、基本方針における重点踏切を対象に現地調査を行い、これまでの対策実績や、踏切問題の改善状況を把握し、方針の検証を行う。

③ 自由が丘駅周辺の鉄道立体化早期事業化について

【質問】

自由が丘駅周辺の鉄道立体化は、目黒区と世田谷区の悲願である。

早期事業化に向けた、都の見解を伺う。

【都市整備局長】

都内の鉄道立体化については、これまでも、地元自治体による沿線まちづくりの検討状況や、交差道路の整備計画の具体化などを十分に踏まえ、事業化等に取り組んできた。

本区間は、東急大井町線と東横線の3つの駅を含み、目黒区と世田谷区にまたがる区間のため、両区が歩調を合わせて沿線まちづくり等に取り組むことが必要である。

令和5年度、両区は連携し、大井町線・東横線の開かずの踏切解消に向け、まずは調査等を実施すると聞いている。

都は、地元区が行うまちづくりや道路整備計画の具体化等の取り組みを引き続き支援し、適切に対応していく。

スポーツ

① 都立公園におけるラグビー場整備の進捗状況について

【質問】

都議会公明党は2019年の日本大会開催都市としてのレガシーを未来に残すべきだとして、ハード面ではラグビーの公式戦ができる球技場を提案したが、これまでの進捗状況を伺う。

【東京都技監】

都は、代々木公園など3公園の球技場について、天候による影響を受けにくい人工芝を導入すると共に、ラグビーやサッカーの公式試合の基準に適合するよう、改修や新規整備を進めている。

令和4年11月には、代々木公園の球技場の改修が完了し、高井戸公園では、令和5年の夏頃の供用開始を目途に、新施設の整備を行っている。

また、現在改修を進めている府中の森公園については令和6年度に供用を開始する予定である。

引き続き、多くの都民がスポーツに親しめる公園づくりに取り組んでいく。

② ラグビーワールドカップ2019のレガシーについて

【質問】

令和5年度は、新たに少年少女がラグビーに親しめる機会を提供するとともに、被災地交流事業については、2019年ワールドカップの舞台として世界に復興をアピールする場ともなった岩手県の釜石鵜住居復興スタジアムで実施することを提案するが、見解を伺う。

【生活文化スポーツ局長】

レガシーを継承し、東京のラグビー機運を高める取り組みは重要である。都は、令和4年度、TOKYO RUGBY MONTHにおいて初めて、女子を対象とした交流・体験イベントを代々木公園で行ったほか、東京のリーグワンチームによるプレシーズンマッチを駒沢オリンピック公園に1万人の観客を集めて実施した。

令和5年度は、体験会等を継続するとともに、ワールドカップフランス大会のパブリックビューイングを実施し、機運のさらなる醸成を図る。さらに、被災地との交流事業については、岩手県での実施を計画しており、被災地との絆がより強固なものとなるよう取り組んでいく。

教育

都内小中学校での新聞配備の充実について

【質問】

国は、主権者教育に新聞が果たす役割と重要性を認識して、学習指導要領にその重要性を明記するとともに、平成24年度から学校図書館図書整備等5か年計画で、地方財政措置を講じている。

都は、都内の公立学校での新聞の配備状況を調査しており、新聞の配備率は小学校60パーセント、中学校73.9パーセント、高校が100パーセントと、比較すると小中学校がまだ低い。

今後、都内小中学校での新聞配備の充実を図るべきと考えるが、都教育委員会の見解を伺う。

【教育長】

都教育委員会では、令和4年度、国の「学校図書館図書整備等5か年計画」を踏まえ、都内公立小中学校における学校図書館等への新聞の配備状況とあわせ、その活用状況を調査した。

各学校では、国語、社会、総合的な学習の時間における調べ学習等での活用を図るとともに、新聞記事と関連図書を並べて展示し、児童生徒の興味・関心を喚起するなど、今回の調査により様々な新聞の活用事例が集められた。

今後は、国の計画と合わせ、これらの活用事例について各学校に周知し、新聞配備の促進が図られるよう、区市町村教育委員会と連携して取り組んでいく。

道路づくり

① 補助第26号線の整備について

【質問】

補助第26号線(目黒中央)の現在の状況と令和5年度の取り組みについて伺う。

【東京都技監】

現在、目黒通りから駒沢通りまでの760メートルの区間で事業中であり、令和5年1月末時点の用地取得率は約99パーセントである。

このうち、駒沢通りから油面通りまでの約460メートルの区間では、事業効果の早期発現のため、令和4年6月に歩道部分を先行的に開放した。

目黒通りから油面通りまでの区間では、令和4年度、排水管設置工事を実施しており、令和5年度は、電線共同溝設置工事や街路築造工事などを進めることとしている。

引き続き、地元の理解と協力を得ながら、着実に事業を推進していく。

タイトルとURLをコピーしました