医療
① 在宅レスパイト・就労等支援事業について
※レスパイト…住宅で乳幼児や障がい者、高齢者などを介護(育児)している家族に、一時的に代替して支援し、リフレッシュしてもらうこと
【質問】
在宅レスパイト事業は年間96時間が利用限度で、利用者から時間数を拡大してほしいとの声が多い。令和4年の厚生委員会でも質問したが、医療的ケア児の保護者支援は大変重要であり、時間数を拡大し、医療的ケア児とその家族への更なる支援を求めるが、見解を伺う。
【福祉保健局長】
都は、医療的ケア児等の家族の休養や就労を支援するため、訪問看護師を家庭に派遣し、家族に代わって一定時間医療的ケア等を行う区市町村の取り組みを、在宅レスパイト・就労等支援事業で支援している。
令和5年度からは、保護者のニーズ等を踏まえ、利用上限時間を、年間96時間から144時間に引き上げ、医療的ケア児とその家族に対する支援の充実を図っていく。
② 訪問看護ステーションの拡充について
【質問】
在宅レスパイト・就労支援事業を進めるに当たっては、家族に代わって在宅で医療的ケアを担う看護師、訪問看護ステーションの存在が重要であり、地域で医療的ケア児に対応できる訪問看護ステーションを拡充することが急務と考えるが、見解を求める。
【福祉保健局長】
都は現在、医療的ケア児等への訪問経験がない看護師等を対象に、特有の症状や、症状に応じた在宅看護の方法などの講習を実施している。
令和5年度からは、より多くの看護師が医療的ケア児に対応できるよう、呼吸管理などの基礎的な看護技術を学ぶ実技研修や、訪問看護に同行する実践的な研修を実施する。
また、医療的ケア児に新たに対応する訪問看護ステーションに対して、必要な備品購入等への支援も行うなどこうした取り組みを通じて、ステーションの更なる拡充を図っていく。
③ 短期入所拡充の体制整備について
【質問】
医療的ケア児支援センターでも家族等から相談が寄せられ、ショートステイの促進が求められている。医療的ケア児やその家族への在宅生活を支える上で家族のレスパイト、行事への参加などで介護ができない場合にショートステイの充実は必須と考えるが、見解を伺う。
【福祉保健局長】
都は、障害児とその家族の在宅生活を支えるため、病院や重症心身障害児の入所施設などで重症心身障害児を主な対象とする短期入所の体制整備を図っている。
令和5年度から、医療的ケア児に対応できる短期入所を更に拡充するため、病院のほか、医療機能を有する福祉施設などを対象として、人員配置や医療機器の整備への支援を行うとともに、開設時のポイントなどを紹介する説明会や、個別の事前相談、訪問を行い、事業実施を働きかけていく。
こうした取り組みにより、医療的ケア児とその家族が在宅で安心して暮らすための環境整備を一層進めていく。
④ 医療的ケア児の保護者付添い期間短縮化の体制整備について
【質問】
医療的ケア児の入学前に保育所等で健康観察を行い、入学後の保護者付添い期間を短縮する事業を早急に全校で本格実施すべきと考える。
その際には、校内で医療的ケアを実施する看護師が不足しないように対応すべきと考えるが、見解を伺う。
【教育長】
都立特別支援学校では、医療的ケア児の入学後に保護者の付添い期間を短縮する事業を実施しており、入学前から学校看護師が保育所等を訪問し、健康観察を実施するとともに、医療的ケアの内容の引継ぎを受けている。
このように看護師が保育所等を訪問し学校を離れている間も、校内における在校生の医療的ケアを安全に実施できる体制を確保する必要がある。
そこで、都教育委員会は、必要となる非常勤看護師を追加配置することで体制を整え、令和5年度から本事業を本格実施する。
⑤ 付添いを行う保護者のテレワーク支援について
【質問】
医療的ケア児支援法の趣旨を鑑みれば、やむを得ず付添いを依頼する場合でも、学校でも保護者が離職しなくて済むようにテレワーク等で仕事ができるスペースなどの環境の確保が必要と考えるが、見解を伺う。
【教育長】
付添いが継続している児童・生徒についても、一人ひとりの体調の安定状況等を確認しながら、順次校内での保護者の付添いがなくせるようにしている。
それでもなお、付添いが続く場合には、テレワークにより就労を継続する保護者を支援するため、校内において、新たにモバイルWi‐Fiルーターを貸与するとともに、モデル校にテレワークブースを設置することにより、テレワーク環境を整備していく。
⑥ 医療的ケア児の保護者の福祉タクシー立替分の負担軽減について
【質問】
医療的ケア児が安心して通学できるよう、福祉タクシー利用に係る立替分を毎月でも精算できるようにすべきと考える。また、修学旅行等の宿泊学習でも、付添いの費用は保護者の負担となっており、こうした経済的な負担を軽減すべきと考えるが、見解を伺う。
【教育長】
特別支援学校への就学に関する経費については、就学奨励費の支給により負担を軽減している。
医療的ケア児が利用する福祉タクシー料金は就学奨励費の対象であり、これまで学期末の精算としていたが、令和5年度からは申請に応じて随時精算を可能とする。
また、宿泊学習の保護者付添い経費については、これまで家庭の収入に応じて保護者負担が生じていたが、家庭の収入によらず全額を就学奨励費で負担するよう改善する。
これらにより、医療的ケア児の就学に関する経済的負担を軽減していく。
婚活支援
① 切れ目のない支援の重要性について
【質問】
少子化対策は待ったなしであり、公明党は令和4年11月に「子育て応援トータルプラン」として少子化・人口減少の克服に向けた具体策を示した。
出会いから結婚、妊娠・出産、子どもの成長に至るまでの切れ目のない子育て支援の重要性について、知事の見解を伺う。
【知事】
私は国会議員時代から、婚活・街コン推進議員連盟など、数多くの議員連盟を立ち上げ、女性活躍や少子化対策に取り組んできた。チルドレンファーストの社会の実現こそ未来への投資であるとの考えの下、都知事就任後も子供・女性政策の実践に加速度的に取り組んできた。
少子化は想定を上回るペースで進行しており、その要因は、未婚化・晩婚化、教育費や住居費の負担、仕事と育児の両立の困難さ、雇用の不安定化など、多岐にわたっている。このため、結婚支援の拡充をはじめ、ライフステージを切れ目なく支援する対策を充実強化し、迅速に取り組んでいくこととした。
「結婚を希望する人々が一歩踏み出せるよう背中を後押しする」、「妊娠、出産から、生まれた子供が健やかに成長するまで、継続的に寄り添って支えていく」、こうした考えに立ち、少子化対策を強力かつ迅速に推し進め、望む人誰もが、結婚、出産、子育てをしやすい社会の実現を目指していく。
② 出会いのきっかけ創出での各局連携について
【質問】
令和5年度予算案では新たに、出会いのきっかけ創出プロジェクトとして、交流イベントを実施するとしているが、各局の持つ資源を有効活用するなど、庁内連携を更にすすめるとともに、民間の知恵をフルに活かした、東京ならではの交流イベントとするべきだが、都の見解を伺う。
【生活文化スポーツ局長】
都は令和5年度、都の有する資源を最大限活かした多様な交流イベントを開催する。
例えば、競技場で一緒にスポーツ体験を楽しんだり、隅田川や東京湾でのクルージングなど、東京の魅力を体感しながら交流するイベントを検討している。
実施に当たっては、アイデアを民間から募集し、結婚を望む人が気軽に楽しく参加できるよう工夫する。
今後、こうした取り組みが、より効果的に実施できるよう庁内連携を強化し、都を挙げて結婚への応援気運を高めていく。
③ マッチングアプリで利用者が被害にあわない取り組みについて
【質問】
マッチングアプリを利用する本人にとってもまた家族にとってもまずは安心・安全が何よりも重要である。利用者が被害にあわないような取り組みを都が行うことが重要と考えるが、見解を伺う。
【生活文化スポーツ局長】
マッチングアプリの利用について、業界では、自主基準ガイドラインを作成している。都は、これに基づき運用している事業者の紹介なども行う。
一方、アプリで知り合った人から、投資などの儲け話を持ちかけられて、借金を勧められ、高額な契約をさせられたなどの相談が増えている。そのため、令和5年度は、利用に関して更なる注意喚起を行うとともに、消費者トラブルについての相談対応を強化する。
これらの取り組みにより、婚活に関心のある人が、安心して利用できる環境を整備していく。
スポーツ施策
① 都立公園におけるスケートボード広場整備について
【質問】
東京都では、東京2020大会後の人気の高まりなどを踏まえ、また、多くの方からの要望を受け、都立公園におけるスケートボード場の整備を拡充することになった。
令和4年度は都立公園でのスケートボード広場の整備の設置場所や整備内容についての調査を実施しているとのことですが、今後、調査結果を踏まえ、どのように整備に取り組んでいくのか伺う。
【東京都技監】
都立公園では、東京2020大会後の人気の高まりを踏まえ、スケートボードができる広場を拡充することとしている。
今後の整備に向けて、令和4年度は、利用に伴う騒音の影響や安全に利用できる場所などを調査し、公園利用者や地域住民の理解を得られるような施設の条件を検討してきた。
令和5年度、候補となる場所、施設の内容、管理運営のあり方などを示した基本的な考え方を取りまとめ、それに基づき設計に着手する予定である。
② 駒沢公園SS(ストリートスポーツ)広場の再整備について
【質問】
都立公園初、スケートボードの聖地といわれる駒沢公園SS広場こそ、今まで以上に都民に親しまれ、安全かつ快適に利用できるスケートボードパークとして再整備も含めて検討していくべきと考えるが見解を問う。
【東京都技監】
駒沢公園のスケートボードを楽しめる広場は、大変人気があり、特に休日には多くの方に利用されている。
このため、日頃より利用者が安全かつ快適に利用できるよう、施設の維持補修等を適切に行うとともに、混雑時には利用者間で譲り合うルールを設定するなど、安全な管理に努めている。
今後、施設の老朽化や公園の利用状況などを踏まえ、更に利用しやすい広場となるよう取り組んでいく。
防災対策
① 野川及び仙川の新たな調節池整備の加速化について
【質問】
河川氾濫を防ぎ、水害から都民の命と暮らしを守るためには、野川、仙川の調節池の整備をより一層スピードアップしていくことが重要である。
野川及び仙川の新たな調節池整備に向けた取り組みについて伺う。
【東京都技監】
水害から都民の命と暮らしを守るためには、護岸の整備と併せて、豪雨に対して大きな効果を発揮する調節池の整備を推進することが重要である。
野川流域河川整備計画では、野川において総容量約80万立米、仙川において約26万立米の新たな調節池の整備を位置付けている。
現在、その候補地や構造形式の選定などの検討を進めており、このうち仙川で、令和5年度、貯留量約4万立米の仮称仙川第一調節池を事業化し、関係機関との協議を進めながら、基本設計を実施していく。
今後、新たな調節池の事業化に向けた検討を加速し、野川流域の安全性を高めていく。
② 下水道事業における浸水対策の加速化について
【質問】
下水道局では令和4年、下水道浸水対策計画2022を策定し、世田谷区内の代沢、八幡山、南烏山の3地域を含む都内10地区を新たな重点区域に選定し、計画的に浸水対策を推進することになった。
TOKYO強靭化プロジェクトの推進に合わせ、下水道事業の浸水対策をスピードアップ・レベルアップして取り組むべきと考えるが、見解を伺う。
【下水道局長】
下水道局では、長期的な視点で浸水対策を推進するため、令和4年3月に計画期間を15年とする下水道浸水対策計画2022を策定した。本計画では、区部の目標整備水準を1時間50ミリ降雨から75ミリ降雨へとレベルアップするとともに、浸水実績に加え、流出解析シミュレーションにおいて、床上相当の浸水のまとまった発生が予測された地域を対象に、10地区を新たに重点地区として位置付けた。
このうち、世田谷区内の3地区において、令和4年度から調査設計に取り組んでおり、他の地区についても、早期事業化を図っていく。
今後、令和5年度改定予定の東京都豪雨対策基本方針を踏まえ、気候変動に対応した浸水対策を更に進めていく。
③ 特別区消防団の分団本部施設の早期整備について
【質問】
消防団は仕事を持ちながら、災害が発生した際には地域防災のリーダーとして、平時、非常時を問わず、地域に密着し住民の安心と安全を守る重要な責務を担っている。
地元世田谷区の消防団からは活動拠点となる分団本部施設の早期整備を強く求める声が上がっている。
そこで、現在の特別区での分断本部の設置状況を含め、消防総監の見解を伺う。
【消防総監】
特別区消防団の分団本部施設は、平時はもとより、大規模災害時等に消防団員が参集し、長時間の活動を行うための拠点として重要な施設である。
このため、東京消防庁では、分団本部施設の規模、機能及び設備が十分でない分団や老朽化の著しい施設を優先して整備に取り組んでおり、現在、面積要件などの基準を満たす施設は、全体の約85パーセントにあたる375棟である。
今後、都有地の更なる活用を図るとともに、各区をはじめ関係機関と連携して用地を確保するなど、分団本部施設の計画的な整備に努めていく。
④ 不燃化加速のための支援の拡充について
【質問】
これまで以上に不燃化を加速させる観点からも、今後、重点整備地域を含む、整備地域全体への支援を更に拡充すべきである。不燃化特区制度の効果に対する都の認識と併せて、見解を伺う。
【都市整備局長】
不燃化特区制度は、重点整備地域において、老朽建築物の除却や建築設計への助成など特別な支援を行うことで、重点整備地域外の整備地域よりも不燃領域率を向上させ、市街地の不燃化を確実にけん引してきた。
更なる不燃化に向け、不燃化特区制度の支援メニューに、令和5年度から、建築工事への助成を新たに追加する。
あわせて、重点整備地域外の整備地域でも、新たに、老朽建築物の除却や建築設計への助成などの支援を開始する。
これらの取り組みにより木密地域の不燃化を加速していく
⑤ 私道等無電柱化の取り組みの拡充について
【質問】
大規模地震や大型台風などの自然災害では、電柱倒壊による道路閉塞や断線等により、避難や救急活動への支障、また、停電や通信障害が生じている。
無電柱化の推進は喫緊の課題であり、重点整備地域での私道等の無電柱化の取り組みを着実に加速させるべきである。取り組みでの課題を踏まえ見解を伺う。
【都市整備局長】
木密地域では、震災時における避難や消火救援活動をより効果的に進めるため、区道に接続する私道等の無電柱化を推進することが重要であるが、私道等は幅員が狭く、権利関係が複雑であるなどの課題がある。
都は、令和4年度から重点整備地域において、私道等における無電柱化に対する補助を開始しており、まずは、無電柱化計画のある路線に接続する私道等について、区が行う土地権利調査等を支援している。
令和5年度から、災害時の危険度が高いエリアである、整備地域と防災再開発促進地区を補助の対象地域に追加し無電柱化の更なる面的展開を図っていく。
福祉
障がい者施設で製造した食品の都立学校での販売について
【質問】
障がい者施設で作成したパンやクッキーなどの食品を、区が主催するイベントや区立施設、都立施設で販売を実施している。今後、都立高校においても福祉事業所への販売場所の提供が進むよう取り組むべきと考えるが、都教育委員会の見解を伺う。
【教育長】
都立学校では、現在、23校において障害者施設で製造したパンなどの食品の出張販売等が行われている。
出張販売等が行われている学校からは、「手作りで、非常に丁寧に作られているのがわかる」「価格が安く、味も良い」などの声が聞かれる。
今後、都教育委員会は、こうした学校の事例について、多くの都立学校に紹介するなど、各学校の実態に応じた取り組みが促進されるよう、情報提供を行っていく。