玉川ひでとし議員の本会議(6月14日)一般質問

エネルギー

① 水素エネルギーの利活用の拡大について

【質問】

空港臨海エリアにおける水素の利活用拡大とパイプラインを含めた水素供給ネットワークの構築に向けた検討を進めるため、6月1日に、東京都、川崎市、私の地元の大田区との三者で連携協定が締結された。

水素エネルギーの利活用拡大の意義と今後の展望について、知事の見解を伺う。

【知事】

水素エネルギーの利活用の拡大についてであるが、東京でのゼロエミッションの実現に向けて、再生可能エネルギーの利用を増やすとともに、水素を始めとする新エネルギーの活用を進めていくことは不可欠である。

特に水素は、様々な資源から生み出すことができ、太陽光発電などで作ったエネルギーを長期間にわたり大量に蓄え、電力需要に応じ速やかに活用できるなどのメリットを持ち、この普及に力を入れることは重要である。

これからの水素の利活用の道筋を作るため、空港とものづくり産業の集積を持ち、水素活用のポテンシャルの高い大田区と、供給の拠点づくりを進める川崎市と協定を結んだ。

水素に関して新たな技術を生み出す競争は国際的に厳しさを増しており、東京での様々な技術開発を後押しし、その成果の社会実装の早期実現を図る。

これらにより、水素エネルギーの利活用を進め、ゼロエミッション東京の実現に繋げる。

② ペロブスカイト太陽電池の実用化について

【質問】

次世代の太陽電池のペロブスカイト太陽電池は、薄い、軽い、曲がるという特徴を有するため、建物の壁などに設置できる可能性があり、東京の特性である狭隘(きょうあい)な住宅などが多い中でも幅広く活用できるのではないかと考える。

次世代太陽電池は、再エネの利用拡大に希望をもたらす新たな技術であると考えるが、こうした新技術の確立を後押しする今回の取り組みに対する意義や期待について伺う。

【環境局長】

次世代太陽電池の実用化についてであるが、脱炭素化を強力に推進するため、再生可能エネルギーの導入を拡大していくことは重要である。

そのため、都は、日本で生まれた次世代技術であり、設置場所の大幅な拡大が期待できるペロブスカイト太陽電池の早期社会実装化を促進していく。先般、開発企業との共同研究として、この太陽電池の特徴を生かし、国内の下水道施設で初めて、森ヶ崎水再生センターの水処理施設の覆蓋に設置した。今後2年半をかけて、発電効率の測定や耐腐食性能等を検証していく。

また、実用化後、都有施設への率先導入を図るなど、次世代太陽電池の技術開発と普及を後押ししていく。

睡眠

① 睡眠の重要性に係る普及啓発について

【質問】

睡眠不足が続くと、ホルモンの分泌や自律神経の働きに影響を及ぼし、生活習慣病へのリスクが高まる。

心身の健康を保つためには、適切な休養をとることが必要であり、十分な睡眠は欠かせない。

都民の健康増進のため、睡眠の重要性について普及啓発を進めるべきと考えるが、知事の見解を伺う。

【知事】

睡眠に係る普及啓発についてであるが、心身の健康を保つためには、睡眠は欠かせない大切な生活習慣である。

都は、東京都健康推進プラン21において、睡眠の充足感に関する目標を掲げ、適切な睡眠に向けた工夫や睡眠不足が心身に及ぼす影響などを啓発してきた。

また、働く世代では残業など働き方が関連するため、働く人の睡眠を守る環境整備が重要であり、企業経営者等に対する啓発も行っている。

今後、都民一人ひとりが、ライフステージに応じた適切な睡眠への理解を一層深めるための取り組みを進め、都民の健やかで心豊かな生活の実現につなげていく。

② 睡眠障害に関する理解促進について

【質問】

睡眠時無呼吸症候群の検査は、病院に宿泊して機器を装着して行うものから、今では自宅でも可能な簡易的なものまである。

睡眠時無呼吸症候群をはじめとする睡眠障害について、都民が検査を気軽に受けられるような取り組みが必要と考えるが、都の見解を伺う。

【福祉保健局長】

睡眠障害に関する理解促進についてであるが、睡眠の充足感が感じられない場合は、睡眠時無呼吸症候群等の睡眠障害の可能性があり、睡眠障害は生活習慣病のリスクを高めると言われている。

このため都は、これまでも、睡眠の重要性を啓発するパンフレットなどにおいて、不眠症状が見られる疾患を紹介するほか、かかりつけ医や専門医への相談を促してきた。

今後も、睡眠の意義や適切な睡眠の取り方とともに、睡眠時無呼吸症候群等の睡眠障害について、正しい知識や早期受診の重要性をホームページに掲載するなど都民の理解促進に努めていく。

③ 中小企業で働く方の睡眠の確保について

【質問】

質の高い睡眠の確保は、中小企業で働く従業員の健康増進や企業における生産性向上の観点から重要である。

中小企業における従業員の睡眠確保への取り組みについて、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

中小企業で働く方の睡眠の確保についてであるが、中小企業が、社員の健康を守り、その仕事の能率を高めるため、質の良い睡眠を十分に確保できるよう働き方改革と職場環境の改善を図ることは重要である。

このため都は、長時間労働を減らすほか、従業員が勤務を終わり、次に出勤するまでの間に睡眠時間等を確保するルールを導入するよう働きかけを行っている。

また、ライフ・ワーク・バランスを推進するイベントにおいて、仕事の合間に体を休め快適に睡眠を取ることのできる時間帯やスペースを設けた会社を紹介している。

働き方の見直しに役立つ情報を学ぶセミナー等で、今後、社員の良質な睡眠が仕事の集中力を高め健康の維持につながることを伝える機会を増やす工夫を行う。

国民健康保険

① 国民健康保険加入者の健康増進について

【質問】

区市町村は特定健診など保健事業を実施している。こうした取り組みは健康増進に繋がり、医療費抑制効果も期待できる。

都は広域的な自治体として、個々の区市町村では把握できない情報の提供やデータの分析など、区市町村の健康増進に向けた取り組みを支援すべき。見解を伺う。

【福祉保健局長】

国民健康保険加入者の健康増進についてであるが、都は、区市町村が地域の健康課題に応じた取り組みを実施できるよう、広域的な立場から医療費等に関するデータ分析結果の提供や専門家等と連携した助言を行ってきた。

令和5年度は、区市町村が保健事業の実施計画を改定する年度のため、都は、都内共通の評価指標を設定するとともに、計画策定の手順や記載事項を示すなど事業の評価・見直しを円滑に実施できるよう支援する。

また、特定健診の受診率向上対策や地区医師会等と連携した重症化予防に向けた取り組み等の好事例を共有し、国の交付金等を活用した事業実施を働きかけるなど、引き続き区市町村を支援していく。

② 国民健康保険の均等割保険料に係る軽減措置について

【質問】

国は令和4年度、未就学児の均等割保険料を5割軽減する措置を開始したが、今後の対象者や軽減割合の拡大は、引き続き地方自治体と協議していくとしている。

子供の均等割保険料に係る軽減措置の拡充について、都の見解を伺う。

【福祉保健局長】

国民健康保険の均等割保険料についてであるが、国民健康保険制度では、全ての被保険者が等しく保険給付を受ける権利があり、子供を含めた被保険者の人数に応じて一定の負担が生じる仕組みとされている。

国は、令和4年度から未就学児の均等割保険料を半額に軽減し、軽減相当分を国と地方自治体の公費で支援する制度を開始したが、対象は未就学児にとどまっている。

都は、国に対し、子育て世帯の経済的負担の軽減という趣旨を鑑み、子供の均等割保険料軽減の対象について18歳未満までの拡大と、それに伴う必要な財政措置を行うよう要望するとともに、全国知事会等とも連携していく。

象牙取引規制

【質問】

ワシントン条約により、国際的な象牙の取引は原則禁止となった。

このような背景がある中、東京2020大会時の訪日外国人による象牙の違法な海外持ち出しへの懸念など、国際的な関心の高まりを受け、都は、象牙取引規制に関する有識者会議を設置した。

有識者会議の提言も踏まえた条例制定や効果的方法の検討など、今後、都は象牙取引の適正化を強化すべきと考えるが、都の見解を伺う。

【政策企画局長】

象牙取引規制についてであるが、都は、有識者会議の提言を踏まえ、水際対策の強化等を国に要請するとともに、事業者と連携した違法持出防止の取り組みを2020大会時から継続して実施している。また、令和4年のCOP19の際は、都の取り組みやスタンスをPRペーパーやウェブ広告により国際社会に発信した。

今後はインバウンドが増加する機を捉え、これまでの取り組みに加え、新たに、訪日旅行者向けに、国外持出防止を呼び掛ける訴求力の高い動画などを作成し、空港や観光地等において配信していく。

さらに、SNS広告を戦略的に活用するなど、国際情勢等も踏まえながら、象牙の違法取引の根絶に向けた取り組みを強化していく。

河川整備

【質問】

私の地元、大田区の大森西地域を流れる二級河川である内川も、河川施設整備計画に基づき、耐震対策が実施されてきている。

今後も内川の耐震対策と共に、現場の意見を反映し、地域に愛される、より良い空間となるよう河川整備を行うべきと考えるが、都の見解を求める。

【東京都技監】

内川における河川整備についてであるが、東部低地帯において、水害から都民の命と暮らしを守るためには、堤防などの損傷を防ぐ耐震対策を進めていくことが重要である。

都は、「東部低地帯の河川施設整備計画」に基づき、これまでに堤防約0.2キロメートル及び内川排水機場など2施設の耐震・耐水対策を実施してきた。

令和5年3月には、対策の範囲を拡大した「第二期整備計画」に基づき、内川水門上流からJR東海道本線下流までの延長2.5キロメートルについて、耐震護岸の基本設計に着手した。

引き続き、設計を進めるとともに、護岸上部における植栽等の整備について、地元大田区と連携・調整を図りながら取り組んでいく。

島しょ地域でのオンラインを活用した進学支援

【質問】

島しょ地域の高校生の大学進学に当たっての不安を解消していくには、受験や内地での生活を実際に経験している同世代の人たちから、その体験や生活面での注意点などを聞くことが効果的であり、ICT技術等を活用した取り組みが重要だと考えるが、都の見解を伺う。

【教育長】

島しょ地域における大学への進学支援についてだが、都教育委員会では、令和4年度、都立八丈高校及び大島高校において、「オンラインチューター事業」を開始した。現在内地の大学等に通う卒業生が、オンラインで在校生の大学入試や進学後の生活に関する相談に応じている。

受験生からは、勉強方法や島外でのくらしについての不安の解消に役立てることが出来たとの声があった。また学校からも、生徒のモチベーションの向上や学習習慣の改善などを実感したとの声が寄せられている。

今後とも、島しょ地域の高校との協力を密にし、大学進学を目指す高校生を支援していく。

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