古城まさお議員の本会議(6月14日)一般質問

就職氷河期世代の就業支援

【質問】

安定した就労を目指す就職氷河期世代が、より速やかに正規雇用へと結び付く支援を一層強化させていくべきであるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

就職氷河期世代に対する就業支援についてであるが、就職氷河期に入社ができず、不安定な就労や生活の続く方々が中高年層となる中、速やかな就業を効果的に実現する後押しは不可欠である。

これまで都は、仕事の経験に応じ、一定の期間で業務のスキルを高めるプログラムを提供するほか、最長6か月間、派遣社員として働いた上で正規雇用となるサポートなどを行ってきた。

令和5年度は、速やかに正社員としての採用を実現するため、セミナーで就職活動のノウハウを学んだ後、専門家に希望の職種や条件を相談し、複数の会社との面接に臨むマッチングの機会を都内各地で合計6回提供する。

これにより、就職氷河期世代の就業を後押しする。

都市の整備

① 外濠浄化プロジェクトの水循環への効果について

【質問】

都議会公明党は、1967年(昭和42年)に決定した東京の未来構想、緑の森と噴水の中にそびえる高層都市大東京以来、玉川上水上流の多摩地域から、外濠、日本橋、東京湾まで、河川水の導水で清流を復活させる水と緑の回廊・国際都市東京の実現を提言してきた。

外濠浄化プロジェクトは、東京が誇る貴重な水辺空間である外濠や日本橋川の水質改善に資するなど、東京の水循環に重要な効果をもたらすプロジェクトであると考えるが、知事の見解を伺う。

【知事】

外濠浄化プロジェクトの水循環への効果について、水は生活にゆとりや潤いをもたらす資源であり、東京が持続可能な成長を続けるためには、良好な水循環の形成が重要である。

山から川、海、そして空へと、姿、形を変え、水は地球を循環しており、都市においては、水源から水道、下水道を通り、河川や海へと循環する水の「環」が存在する。

都は、外濠浄化プロジェクトに取り組み、外濠の水質改善に向けて、荒川河川水や下水再生水を玉川上水路等を活用して導水する予定である。この取り組みにより、日本橋川を経て東京湾への水循環が形成される。

今後も、緑や水辺を生かした都市空間の整備を進め、都民が水の恵みを享受できる良好な水循環の実現を目指していく。

② 新宿グランドターミナル再編について

【質問】

1885年(明治18年)の新宿駅開業以来、鉄道とともに発展してきた駅周辺では、2040年代の実現を目指す新宿グランドターミナルの再編に向けたプロジェクトが動き出した。

地域住民や百貨店でお買い物をされる方々から、2040年代という遠い将来は待ち望めないとの切実な思いや、副都心建設当時の槌音(つちおと)を懐かしむ思い出話し等、期待と不安が入り交じった声も寄せられている。

新宿グランドターミナル再編は、大規模かつ長期にわたることから、まちの過去、現在、未来への変遷などを可視化するなど、分かりやすく情報発信していくことが重要であるが、見解を伺う。

【都市整備局長】

新宿の拠点再整備についてであるが、新宿駅は乗降客が多く、長期間にわたり複数の事業が段階的に進むことから、官民が連携し、駅利用者へ事業等に関する情報を適切に発信していくことが重要である。

事業への理解やまちづくりの機運を高めるため、令和4年度、民間事業者と共にポスターやプロモーション動画を作成し、駅での掲示や電車内での放映など、グランドターミナルの将来イメージ等を情報発信している。

令和5年度は、官民連携の下、エリアマネジメント協議会を設立し、更なる周知拡大を図るとともに、順次、建替えの進む民間ビルの完成後の姿を示すなど、事業の進捗状況を踏まえた情報発信を継続的に行っていく。

③ 西新宿のバリアフリー動線の確保について

【質問】

都と新宿区は令和5年3月、西新宿地区再整備方針を策定している。例えば、西口駅前広場から続く動く歩道が果たす機能を新宿中央公園まで延伸することや、都庁前駅と各街区を結ぶバリアフリー動線の確保など、誰もが安心して心軽やかに移動でき、分かりやすく利用しやすいまちづくりを進めるべきだが、見解を伺う。

【都市整備局長】

西新宿のまちづくりについてであるが、西新宿地区は、新宿副都心建設から半世紀が経過し、社会状況や周辺環境の変化に対応した、人中心のウォーカブルな都市空間への再編が必要である。

このため、先般、西新宿地区再整備方針を策定し、道路と街区が一体となった歩行空間の創出や、まちの高低差を解消するエレベーター等、誰もが快適に移動できるバリアフリー動線や案内誘導の拡充、歩行者の回遊性を高めるモビリティの実装などに取り組むこととしている。

今後、将来の民間の建替えや大規模改修などの機会も捉え、関係者が連携して、東京の新しいライフスタイルを創造・実現するまちを目指して、取り組みを進めていく。

④ 都庁周辺の空間再編について

【質問】

都庁周辺の空間再編に向けては、民間事業者だけでなく、本地区の地権者である東京都も、再整備に関する検討を進める必要がある。

都自らがリーダーシップを発揮して、都庁周辺の空間再編について検討し、西新宿地区のまちづくりをけん引していくべきだが、知事の見解を伺う。

【知事】

都庁周辺の空間再編についてであるが、都庁舎は西新宿を象徴する建物であり、多様な人々が集い、交流できる空間への再編に向けて、都が率先して取り組むことが重要である。

このため、都庁周辺において新宿駅から中央公園につながる道路と都民広場を、快適で誰もが居心地良く一体的に利用できる空間の検討に着手する。

また、その効果をいち早く体感できるよう、令和4年度に引き続き、大人から子どもまで楽しめるイベントを都民広場で行う。

これらの取り組みを積極的に進めることで、西新宿の再整備を先導し、安心して楽しく歩ける「人」が主役のまちづくりに取り組んでいく。

⑤ 西新宿のスマートシティの取り組みについて

※スマートシティ…情報通信技術をフル活用し、都市の運営とサービスの効率を最適化して市民とつながること

【質問】

まちの再整備方針も策定され、これから大きく変貌を遂げようとする西新宿の更なる発展に向けて、地域の魅力を高めるスマートサービスの実装を着実に進めていくべきと考える。見解を伺う。

【デジタルサービス局長】

西新宿のスマートシティの取り組みについてであるが、街の再整備に際して魅力を高めるには、住民や企業など様々な主体と共に先端サービスの実装に取り組むことが重要である。都は令和4年度、地元企業に加え技術や知見を持つ大学やスタートアップと連携したコンソーシアムを設立し、自動配送など5分野で技術開発を進め、令和4年11月にはXR(クロスリアリティー)の常設施設が開業し、実装につながった。

令和5年度、新たに公募する3テーマを加え、8分野で実装に向け取り組みを拡充する。こうした取り組みを広く発信する秋のイベントでは、様々なスマートサービスを都民に体験していただき、その意見を実装に向け活かしていく。

今後も地域と共に取り組みを進め、「西新宿モデル」の更なる推進を図り、街の魅力向上につなげていく。

※XR(クロスリアリティー)…VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などを組み合わせ、仮想と現実の世界を融合させる技術。

⑥ 人中心の飯田橋駅周辺基盤整備について

【質問】

階段しかない飯田橋歩道橋や地下鉄出入口について、駅前や沿道の老朽化した施設の機能更新と併せて、エレベーターなど、駅とまちをつなぐバリアフリー動線の確保や、安心して移動できる歩行者ネットワークの形成などを訴えてきた。

これに対し、都は令和5年4月、飯田橋駅周辺基盤整備方針を取りまとめたが、駅周辺で設立されている複数の再開発準備組合などの周辺開発とも連携し、人中心の基盤整備を推進すべきと考えるが、見解を伺う。

【都市整備局長】

飯田橋駅周辺基盤整備についてであるが、飯田橋駅周辺は、駅や歩道橋、地下鉄の出入口等が混雑しており、バリアフリー動線にも課題があることから、駅周辺の再開発事業と連携して必要な動線やゆとりある広場空間などを確保することが合理的かつ効果的である。

都は、現在、地元区や鉄道事業者等と共に、基盤整備方針で示した駅前広場や歩行者デッキなどの整備内容や複数の駅周辺開発と連携した段階的な整備手法などについて検討を進めている。

引き続き、駅とまちが一体となった、便利でにぎわいのある、人中心の交通結節点の整備に取り組んでいく。

都立大久保病院の女性医療センター開設

【質問】

都議会公明党は、令和4年の第4回定例会で、女性の医療ニーズに応えるため、都立病院において女性特有の疾患にワンストップで対応できる体制を提案し、これを受けて知事は、都立大久保病院に、女性特有の疾患の早期発見、早期治療などの機能を持つ女性医療センターを設ける方針を表明した。

速やかに、都立大久保病院において女性医療センターを開設すべきだが、見解を伺う。

【福祉保健局長】

都立大久保病院の女性への医療についてであるが、大久保病院に7月1日開設する女性医療センターでは、乳がんや月経困難症に加え、女性ホルモンに関係して生じる様々な症状等に、婦人科、乳腺外科等が連携して治療する体制を構築するとともに、診察室に会話漏れ防止機器を設置するなどプライバシーにも配慮する。

また、大久保病院が行う痛みのないMRI乳がん検診について、患者の利便性に配慮してウェブ予約を導入し、24時間受け付けるとともに、連携する医療機関等に検診の利用を積極的に働きかけていく。

さらに、仕事と治療の両立を後押しするため、患者の同意を得て勤務先の産業医と治療計画等を共有するなど、患者の状況に応じたきめ細かな支援を行っていく。

新宿淀橋市場

【質問】

今後も、地域住民やホテル、飲食店などにとって、なくてはならない存在としてその役割を果たすには、老朽化が進む施設の更新はもとより、狭隘(きょうあい)な用地を一層有効的に活用しながら、物流の効率化や多様化する食のニーズに機敏に対応する必要があり、新宿淀橋市場を都市型市場のモデルとなる施設として整備すべきであるが、見解を求める。

【中央卸売市場長】

淀橋市場拡張整備事業の推進についてであるが、都心部の新宿に立地する淀橋市場が、今後も青果物の安定供給を担っていくには、施設の老朽化対応や狭隘な用地を活かした市場の機能強化を図ることが重要である。

このため都は、市場関係者との協議を踏まえ、老朽化した事務所棟を建替え、合わせて、取引先のニーズに対応した加工パッケージエリアを施設内に整備する。

さらに、効率的な物流と利便性の高い市場運営のモデルとなるよう、市場関係者による自動立体冷蔵倉庫や、商品の自動搬送化に繋がる先端技術の導入に向けた取り組みを、補助事業により後押しする。

こうした取り組みにより、淀橋市場が地域における青果物流通の拠点としての役割を将来にわたって果たすことができるよう、事業を着実に推進していく。

道路・公園・住宅の整備

① 補助第74号線(諏訪通り)の整備について

【質問】

補助第74号線(諏訪通り)が中野方面に直進できない小滝橋交差点では、本事業に伴って車両交通の流れが改善されるとともに、諏訪通り沿線の早稲田大学早稲田キャンパスや戸山公園、落合中央公園など、広域避難場所への避難路としても役割が期待される。

補助第74号線(諏訪通り)の早期開通に取り組むべきだが、見解を求める。

【東京都技監】

補助第74号線の取り組み状況についてであるが、本路線は千代田区九段北2丁目から杉並区上井草4丁目に至る延長約15キロメートルの地域幹線道路である。

このうち、新宿区大久保3丁目から高田馬場4丁目までの650メートルの区間で事業中であり、本区間の整備と合わせ、近傍の小滝橋交差点を改良し中野方面への直進を可能にすることで、東西の交通の円滑化が図られる。また、鉄道交差部における大型の緊急車両の通行が可能となるなど、地域の防災性が向上する。

現在、本線トンネルの年内の交通開放を目指し、街路築造工事やトンネル内の設備工事等を実施している。

引き続き、地元の理解と協力を得ながら、着実に事業を推進していく。

② 戸山公園の整備促進について

【質問】

都が2015年(平成27年)に取得した国有地について、2019年(平成31年)の第2回定例会で早期整備を求めたが、取得から8年経過した今も、いまだフェンスに囲まれ、雑然と草木が茂ったままである。

戸山公園は、多目的運動広場と防災機能を持つ貴重な公園であり、今後の整備について、取得済み用地の活用も含め、区民や多くの人々が快適に利用できるよう、新宿区と連携を密にして取り組むべきだが、見解を求める。

【東京都技監】

戸山公園の整備についてであるが、本公園は、これまで運動広場やアスレチック広場を整備し、スポーツやレクリエーションの場として親しまれている。

また、避難場所に指定されていることから、非常用照明や発電設備等を整備するとともに、災害時にも利用できる防災トイレに順次更新するなど、防災機能の向上を図っている。

今後は、運動広場に隣接した取得済みの用地について地元区とも連携し、広場としての利用に向けた準備を進めると共に、引き続き園路などの改修も行い、安全で誰もが快適に利用できる公園づくりを進めていく。

③ 都営住宅の耐震化について

【質問】

都は、2025年度(令和7年度)末までに都営住宅の耐震化率100パーセントの目標を掲げている。

令和7年度の目標年限まで残り3年を切っており、その達成には、実効性のある取り組みが不可欠である。戸山ハイツアパートにおける耐震改修の取り組み状況について見解を伺う。

【住宅政策本部長】

都営住宅の耐震化についてであるが、都は、令和7年度末の耐震化完了に向け、併存店舗付き住棟の耐震改修に重点的に取り組んでいる。

現在、営業継続希望の権利者とは耐震改修の合意形成を図るとともに、転出希望の権利者からは店舗買取を進めている。今後、折衝状況等を踏まえ、耐震改修の実施が困難な場合は、建替えや撤去も視野に手法を見直す。

戸山ハイツアパートでは、対象の4棟のうち1棟において新たに工事の合意が得られた。また、2棟は設計中であり、残る1棟は設計に向け合意形成を進めている。

引き続き、耐震化の目標達成に向け取り組んでいく。

観光振興

【質問】

観光には、地域の魅力を再発見し、愛着と誇りを高める潜在力があると考える。

コロナ禍で深刻な影響を受けた都内の観光を活性化し、持続的な東京の成長につなげていくためには、地域住民の観光資源に対する理解を促すとともに、観光客受入れへの気運を高めていくべきであるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

地域での観光振興の気運醸成についてであるが、都内の各地域への来訪者を増やす上で、住民や様々な主体が観光の重要性を理解して、誘客に向けて取り組みを進めることは重要である。

これまで都は、大学と連携してシンポジウムを開催し観光による地域活性化の事例などを幅広く発信してきた。また、地元の観光関連団体と協力し、地域での旅行者の受入れに向けた気運を高めるキャンペーンを実施している。

これらに加え、令和5年度、観光の重要性を理解する方を増やすため、若者が都内の様々な地域の文化を学ぶとともに、新しい集客施設などの様子に触れ、それらの魅力をSNSを通じ紹介するプログラムを実施する。

これらにより、都内観光の活性化を図る。

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