かつまたさとし議員の本会議(12月13日)一般質問

下水再生リンを活用した肥料化

【質問】

都議会公明党は、資源の宝庫である下水に含まれる肥料成分リンなどの資源化を提言してきた。下水再生リンのポテンシャルが高い都と全国農業協同組合連合会とが連携し、肥料の広域利用に向け、実効性のある取組を進めていくべきと考えるが、知事の見解を伺う。

【知事】

下水再生リンの広域での肥料利用についてであるが、全国の下水処理量の1割を占める都が、多量の下水汚泥からリンを回収し、肥料として広域的な利用に全国で初めて取り組み、肥料の国産化に乗り出すことは、食料安全保障の観点からも大きな意義がある。

そのため、JA全農と連携し、下水再生リンの流通経路の確保や農業者の理解醸成に向け、ニーズにあった肥料の開発や、市場・流通調査などに取り組んでいく。

令和6年1月には、下水汚泥から良質なリンを効果的に回収するリン回収・肥料化施設を砂町水再生センターで稼働させ、肥料の開発に着手する。

今後、これらの取組を通じて、下水再生リンの広域での肥料利用を推進し、肥料の国産化と安定的な供給に貢献していく。

薬の服用

① 国民健康保険加入者の医薬品適正使用について

【質問】

大田区は、都が都薬剤師会とモデル実施した重複多剤服薬管理指導事業に参加し、地区薬剤師会と連携し、医薬品適正使用の取組を進めている。この取組の成果と課題を明らかにし、地域における重複多剤服薬者対策の拡充に向けた取組を行うべきと考えるが、見解を伺う。

【保健医療局長】

国民健康保険加入者の医薬品適正使用についてだが、都は令和2年度から、区市町村がレセプトデータを元に把握した重複・多剤服薬者に対して、地域の薬剤師が訪問指導を行うモデル事業を実施し、重複・多剤服薬の解消や医療費の削減につなげてきた。

令和5年度からは、モデル事業の成果等を踏まえ、本人の同意が必要な訪問指導に限らず、適正服薬の啓発や薬局での残薬管理の相談など、区市町村が各地域の薬剤師会と連携し、幅広い取組ができるよう支援している。

今後、適正な服薬を推進するため、本事業の活用を区市町村に広く呼び掛けるなど、地域での取組が一層進むよう支援していく。

② オーバードーズ等薬物乱用防止対策について

【質問】

都の薬物乱用対策推進計画令和5年度改定では、小学生への意識啓発を更に強化する取組を行うとともに、社会問題化している市販薬のオーバードーズ対策や、違法薬物使用者への再犯防止の取組も計画に盛り込むべきである。見解を求める。

※オーバードーズ…薬局やドラッグストアで購入できる風邪薬や咳止めなどを大量・頻回に服用すること。

【保健医療局長】

薬物乱用防止対策についてであるが、都は、薬物乱用対策推進計画に基づき、関係機関や地域団体と連携した啓発活動、規制や取締り、相談支援体制の充実など、総合的な対策に取り組んでいる。

令和5年度予定する計画の改定に当たり、若者等による市販薬のオーバードーズが社会問題化していることを受け薬局等への監視指導の強化や、医薬品の適正使用に関する小学生向け教材の作成・配布など、若年層を対象とした普及啓発の推進のほか、薬物乱用者への再乱用防止に向けた継続的な支援の充実等について検討している。

今後、関係機関等との連携を密にし、薬物乱用防止対策の取組を一層推進していく。

環境施策

【質問】

照明のLED化は、脱炭素化に資する取組であり、学校照明のLED化も有効な方策である。しかし、国の補助制度では、リース契約は対象外となっている。リース契約による整備について、補助を受けられない区市町村の学校照明のLED化が進むよう、都として取り組むべきである。見解を求める。

【教育長】

区市町村立学校施設のLED化推進についてだが、都教育委員会は、区市町村に対し、国の補助制度を活用し、学校施設の整備が進められるよう支援するとともに、国に対し、補助率の引上げや補助対象の拡大等を要望している。

リース契約による学校施設のLED整備については、今後、学校施設における整備手法や導入効果などに関する情報収集を進めていく。あわせて、国に対して、リース契約を活用した施設整備について、補助の対象とすることを要望していく。

島しょ地域の防災対策

【質問】

小笠原父島の都道240号行文線は命をつなぐ大変重要な防災避難道路である。自然環境に配慮しながら、早急にそして着実に事業を進めるべきであるが、見解を求める。

【東京都技監】

小笠原村の都道行文線の取組状況についてであるが、父島では、ひとたび津波が発生すると、島内の生命線である都道湾岸通りが寸断され、集落や避難所が孤立し、救助、救援活動の大きな支障となる恐れがある。

このため、湾岸通りの代替路となる行文線で未開通となっている約700メートルの区間を整備することとした

本区間については、世界自然遺産である小笠原の景観や動植物の生態系等を考慮し、自然環境の専門家を交えた会議において環境保全対策を検討してきた。その助言を踏まえ、令和5年10月に準備工事に着手した。

引き続き、自然環境の保全に配慮しながら、防災力向上に資する本区間の早期整備に取り組んでいく。

瑞江葬儀所の火葬件数

【質問】

都内の死亡者は、令和4年まで16年連続で増加し、2040年にはピークを迎える。需要に見合う火葬件数の確保が重要である。瑞江葬儀所は、老朽化に伴い建て替えを行っており、新施設は令和7年5月に供用を開始するが、施設機能が更新するこの機を捉え、火葬件数の増加に対応していくべきと考えるが、見解を伺う。

【東京都技監】

瑞江葬儀所についてであるが、令和7年に供用を開始する予定の新施設は、最新の火葬炉を備えており、排煙設備等の環境性能が改善することにより、地元の理解のもと火葬件数を増やすことが可能となる。

この新施設の機能を十分に生かすことで、現在1日25件の火葬可能件数を30件にするとともに、年間の稼働日数を300日から350日に増やしていく。これにより、年間の火葬可能件数は、7,500件から約10,000件に拡大する。

新たな葬儀所においても、公営葬儀所としての役割を的確に果たしていく。

海辺の魅力発信

【質問】

都は、水門の撤去等を引き続き着実に進めるとともに、大田区が整備する海辺の散策路についても早期の整備が図られるよう、区に対し積極的に協力していくべきと考えるが、見解を伺う。

【港湾局長】

大田区による運河沿いの散策路の整備についてだが、都は、貴船水門等の4つの水門について背後の河川の大部分が埋め立てられたため防潮堤を整備した上で撤去することとしており、その後、地元区が散策路の一部となる歩道橋を水門跡地の河口に整備する計画となっている。

これまでに貴船水門及び呑川水門の撤去が完了し、水門跡地で地元区による歩道橋の整備事業が進められている。

残る2か所の水門についても、現在撤去及び防潮堤の整備を進めており、事業の着実な推進を図るとともに、地元区が早期に歩道橋整備に着手できるよう、引き続き工事スケジュールに関する情報提供や、工事を進めるに当たっての連絡調整などを緊密に行っていく。

呑川新橋架け替え工事の早期整備

【質問】

放射第17号線の吞川新橋の架け替えについて、事業が長期化している。早期の整備完了を目指し、工事を更に加速させるべきと考えるが、見解を伺う。

【東京都技監】

放射第17号線についてであるが、本路線は、大田区大森東2丁目から同区羽田2丁目に至る約3.5キロメートルの骨格幹線道路であり、東京都と神奈川県とを結ぶ重要な路線である。

このうち、呑川区間では、拡幅に伴う呑川新橋の架け替えを行っており、現道の交通を確保する必要から3分割で施工している。これまでに1期施工として上流側の架設を完了させ、現在、交通を切り替えたうえで、2期施工として下流側左岸の新設橋台の構築等を進めている令和5年度内には、右岸側の下部工事にも着手する予定である。

引き続き、整備効果の早期発現に向け、地元の理解と協力を得ながら、着実に事業を推進していく。

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