伊藤こういち議員の本会議(12月13日)一般質問

事故防止対策

① 乳幼児期の事故防止学習ソフトについて

【質問】

乳幼児期の事故防止学習ソフトは、令和5年度中に更新が行われるが、つかまり立ちや一人歩きができるようになった時期に起こる転倒によって頭を打つ事故など、従来の学習ソフトでは取り上げていなかった事故事例も盛り込むとともに、完成したこの学習ソフトを積極的に周知・活用していくべきである。見解を求める。

【福祉局長】

乳幼児期の事故防止学習ソフトについてであるが、都は現在、平成19年度に作成した「乳幼児期の事故防止学習ソフト」の更新に向け、脳神経外科医や、子供の事故防止の専門家から意見を聴きながら、掲載する事故事例の充実やデザインの見直しに取り組んでいる。

事例については、現在掲載しているベビーベッドでの窒息や浴槽での溺水等に加えて、ボタン電池やアルコール消毒液の誤飲、転倒により頭を打つ事故などを新たに盛り込む予定である。

今後、更新したソフトを、保育所や幼稚園、区市町村の保健センター、子育てひろば、児童館等を通じて都民に広く周知し、活用されるよう取り組んでいく。

② 日常生活における事故防止への取組について

【質問】

東京消防庁は、これまでの救急搬送事例を基に、日常生活事故防止動画(子ども編)を作成したが、今後の日常生活事故の防止への取組について見解を伺う。

【消防総監】

日常生活で生じる事故の防止についてであるが、東京消防庁管内では、令和4年中に日常生活で生じた事故により、18歳未満の子どもが約16,000名救急搬送され、そのうち4名の方が亡くなられている。

これまで、リーフレットの配布、立川防災館でのARを活用した事故の擬似体験等を通じた注意喚起により、日常生活で生じる事故を防ぐ取組を推進してきた。

これらの取組に加え、本年度は子どもの発達段階に応じた事故事例や対策を啓発するためのアニメーション動画を制作し、YouTubeで配信するとともに、防火防災訓練等で活用していく。

今後、関係機関と連携して普及啓発をさらに推進し、日常生活で生じる事故の防止に努めていく。

③ 子供の事故予防対策について

【質問】

都議会公明党の提案で子供政策連携室が設置され、取組が推進されていることを評価する。今度は、子育て中の方や子供に関わる方、子供の目線から安全対策を講じる様々な分野の方たちが必要な情報にすぐに辿り着けるように、オール都庁で連携して取組を進めていくべきと考えるが、見解を伺う。

【子供政策連携室長】

各局連携による子供の事故情報発信についてであるが、現在、製品事故や日常生活における事故など、様々な子供の事故情報が行政分野ごとに個別に存在している。

しかし、子供の年齢や成長・発達段階に応じて事故の種類やリスクは変化することから、子供の成長に合った予防策等を分野横断的にユーザー目線で分かりやすく伝えることが重要である。このため、子供を事故から守る環境づくりをテーマとした組織横断の推進チームにおいて、各局の普及啓発に横串を刺し、乳幼児・小中・高校生等の各年齢層に生じやすい具体的な事故事例や予防策を体系的に取りまとめたハンドブックを作成・発信する

こうした取組を通じて、各局と連携した事故情報の発信に取り組んでいく。

④ 「子供の事故防止推進月間」の設定について

【質問】

児童虐待防止と同様、子供の事故防止についても社会全体で取り組まなければならない重要なことである。例えば、子供を取り巻く新しい生活が始まる時期、また、事故の発生が増加傾向にある春頃に「子どもの事故防止推進月間」を都として設定するなど、様々な工夫を凝らし、都民の関心を高める気運醸成を図るべきと考えるが、見解を伺う。

【子供政策連携室長】

子供の事故予防の普及啓発についてであるが、社会全体で子供の事故予防に向けた気運を醸成するためには、訴求力のある媒体を活用しながら、ユーザー目線に立って戦略的に広報を行っていくことが重要である。

このため、都では、新たにウェブサイトを開設し、安全な環境づくりの重要性や、各局における事故予防の取組等を発信していく。また、子育て家庭に身近なデジタル広告や、人気のあるインフルエンサー等も活用し、ウェブサイトと連動した広報を積極的に展開していく。

さらに、事故予防策の提言を公表する、2月から3月までを重点啓発期間として、集中的に広報活動するなど、事故予防に向けた理解促進を図っていく。

⑤ 子供目線での事故予防の取組について

【質問】

子供政策強化の方針2023に「子供の事故実態や行動特性の分析など、子供の事故予防に資する基礎研究に取り組む」とある。こうした研究成果を活かし、関係各局が連携しながら子供目線で体験できる様々な機会を創出していくことが重要と考えるが、見解を伺う。

【子供政策連携室長】

子供目線に立った事故予防の取組についてであるが、都は、子供の事故予防策を研究・開発するため、3か年を上限とした、基礎研究を開始したところである。

基礎研究では、子供の事故実態の把握や、事故につながる子供の行動特性の科学的な分析を行い、学校現場や子育て家庭で役立つ啓発ツール等を開発していく。

また、東京消防庁防災館等の関係各局の施設で基礎研究の成果を効果的に発信するとともに、子供の安全な商品見本市であるセーフティグッズフェア等のイベントなどの機会を捉えて、子供の事故実態を踏まえた体験型の取組を充実させていく。これらの取組を通じて、エビデンスに基づいた事故予防を多角的に展開していく。

⑥ 子供の事故予防への取組姿勢について

【質問】

東京、そして我が国の未来を担うかけがえのない子供たちの命を守るため、小池知事が先頭に立って子供の事故防止に取り組むべきである。知事の見解を伺う。

【知事】

子供の事故予防についてであるが、次代を担う子どもたちは社会の宝である。その尊い命を、不慮の事故から守ることは、我々大人に課せられた責務である。

しかしながら、転落、転倒、誤飲など、家庭内外での不慮の事故が依然として発生している。

大人の注意力や子供への呼びかけだけで事故を減らすことはできない。

子供の行動特性を踏まえ、エビデンスベースで、「変えられるものを変えていく」という視点を強化し子供を取り巻く環境そのものを変えていくことが重要である。

こうした考え方に基づき子供が事故から守られ、安心してチャレンジできる社会を実現していく。

福祉・医療施策

① 産後ケア事業について

【質問】

母親が必要な時に、どの地域でも安心して産後ケアを受けられるよう、運営・施設整備支援や実施場所を増やせるよう情報提供が重要である。里帰りの方にも対応すべき。広域自治体である都は、区市町村の取組を後押しすべきだが、見解を伺う。

【福祉局長】

産後ケア事業についてであるが、本事業は出産後の母子等に対して心身のケアや育児のサポート等を行う取組であるが、実施主体である区市町村では、財源の確保や、委託先である医療機関や助産所の確保などが課題となっている。

このため都は、本事業の区市町村負担分について、運営費の全額と整備費の2分の1を補助している。

今後、委託先の確保につながるよう、医療機関の取組状況などを広域的に把握し、区市町村に提供していく。さらに、里帰り先で産後ケアを利用した場合も助成が受けられるよう、他自治体の実施事例を紹介するなど、産後ケア事業の推進に向けて区市町村を支援していく。

② こどもホスピスについて

【質問】

都は、小児がんや難病の子供等への支援として、制度の整備や施設整備のための財政支援などの課題解決へ向けて、国に積極的に働きかけるとともに、施設を運営する意向がある団体からも意見を聴きながら、「東京こどもホスピス」が一日も早く実現できるように取り組むべきであるが、見解を伺う。

※こどもホスピス…小児がんなどの重い病気や障がいがある子供やその家族が、休息を取ったり、短期滞在したり、子供に遊びや学びの場を提供し、家族の精神的なサポートも担うなど、自宅と病院の中間的な施設のこと。

【福祉局長】

小児がんや難病の子供等への支援についてであるが、完治が難しい小児がんや難病等を抱えながら、在宅で療養する子供やその家族が、孤独にならず暮らすことができる環境づくりは重要である。いわゆる「こどもホスピス」は、こうした子供や家族に居場所を提供する施設であるが、現在、法令等に基づく位置付けがない。

都は、都内で施設を運営する意向のある事業者と、提供予定のサービス内容や支援対象、執行体制、設置・運営に向けた課題等について、適宜、意見交換している。

令和5年度、国において「こどもホスピス」に関する実態調査を実施しており、引き続き、事業者から話を伺いながら、国の動向を注視しつつ必要な対応を検討していく。

小笠原の一層の産業振興について

【質問】

海上輸送補助については、魚介類や野菜・果物等の生鮮品のみが対象であり、島の業者からは伊豆諸島と同じく、加工品や原材料、梱包材も支援対象として欲しいとの要望がある。都は、地元の声を聴きながら小笠原の一層の産業振興を図るべきだが、見解を伺う。

【総務局長】

小笠原諸島の生産物貨物運賃補助についてであるが、本土から1,000キロメートル離れ、地理的制約のある小笠原諸島において、島の生産物の運搬に要する経費を軽減することは産業振興を図る上で重要である。

都は、現在、小笠原諸島の魚介類や農産物等を対象に海上輸送費の支援を行っている。近年、農業や漁業の生産物等を加工した商品も多様化し、島の魅力発信、観光振興を図る上で欠かせない。産業の活性化と島民生活の安定に繋げていくため、現在は支援の対象外である加工品や梱包資材等の輸送実態について、令和5年度調査を実施しており、今後、速やかに調査のとりまとめ等を行っていく。

防災対策

① 地域の特性に応じた防災アプリの改修について

【質問】

災害に備え必要なことは、自分の身に起こり得るリスクをまずは知ることである。都は、島しょ地域をはじめとした地域の特性に応じた災害リスクを把握できるよう、東京都防災アプリを改修すべきと考えるが、見解を伺う。

【総務局長】

防災アプリの改修についてであるが、都民一人一人が災害を自分事として捉え、自宅や勤務先など地域特性に応じ、適切に備えることが重要である。

このため都は、防災アプリに風水害からの避難行動を整理できる東京マイ・タイムラインや、地域の危険性を分かりやすく確認できる水害リスクマップなど、災害リスクを身近なものとして捉えられる機能を追加してきた。

加えて、島しょ地域における津波の浸水や区部の低地帯における液状化など、より地域特性に応じた情報を簡単に閲覧できるよう検討しており、これらを踏まえアプリの改修を進めていく。こうした取組により、都民の速やかな防災行動に繋げていく。

② 東京港における防災船着場について

【質問】

都は、災害時に水路を活用した輸送体制の強化を図れるよう、品川区八潮地域における防災船着場を住民生活に身近で有効な場所に整備すべきであるが、見解を伺う。

【港湾局長】

東京港における防災船着場についてであるが、東京の沿岸部は、周りを海や運河で囲まれた埋立地が多く存在することから、災害発生時には陸上輸送に加え船舶による水上輸送を活用することが有効である。

このため都は東京港防災船着場整備計画に基づき、区や民間事業者と連携し、防災船着場を38か所設置することとし、これまでに34か所の整備が完了した。

品川区八潮地域においては、備蓄倉庫に近接し、発災時に広域避難場所や大規模救出・救助活動の拠点となる大井ふ頭中央海浜公園に防災船着場を整備している。新たな防災船着場については、地元区とともにその必要性などについて検討していく。

舟運の活性化

【質問】

舟運の活性化は、水辺のにぎわいを創出し、都民に水辺の魅力をさらに実感していただける絶好の機会であり、重要な取組である。航路を更に拡大していくべきと考えるが、見解を伺う。

【都市整備局長】

舟運の活性化についてであるが、東京には川、海、運河などの水辺があり、その資源を生かして、多くの人々でにぎわう水の都を再生していくためには、舟運の活性化が重要である。

都は、令和5年4月に舟旅通勤に対する補助を創設しており、これを活用して、10月の日本橋・豊洲間の運航に続き、令和6年春には晴海・日の出間が開設される予定である。

また、令和4年度、天王洲・五反田間など6つの航路で実施した社会実験では多くの利用があり、更なる航路の拡大が期待できることから、今後、新たな航路を運航する事業者の募集を行う。引き続き、舟運の活性化に取り組み東京の魅力を高めていく。

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