まつば多美子議員の予算特別委員会(3月12日)代表総括質疑

財政

① 事業評価について

【質問】

都議会公明党は、今から20年以上も前から、従来の会計手法を抜本的に改める新たな公会計制度の導入を訴え、効率的、効果的な行政運営の実現を目指してきた。都は、都議会公明党の提案を踏まえ、平成18年度に新公会計制度を導入し、事業評価の取組を開始することで、継続的に事業の見直しを重ねてきたが、平成19年度予算編成以降の事業評価の取組の成果と財源確保額について、説明を求める。

【財務局長】

都は、限られた財源の中、都政の諸課題に対応するため、予算編成の一環として事業評価を実施しており、無駄をなくす取組の徹底や、一つひとつの事業の効率性・実効性の向上に取り組んでいる。

評価に当たっては、事業別財務諸表を活用した分析、事業終期の設定による事後検証の徹底、専門的視点からのチェックなど、毎年度創意工夫を凝らしながら、着実に実績を積み重ねてきた。

こうした取組により、令和6年度予算編成では過去最高となる1,266億円の財源を確保し、事業評価の取組を開始した平成19年度以降、18年間の合計で約1兆円の財源確保へと繋げたところである。

② 財政運営について

【質問】

景気の影響を受けやすい歳入構造にある都が持続可能な財政運営を行うため、また、今後も東京の抱える課題に着実に対応していくため、基金や都債を戦略的に活用し、急激な景気変動などにも耐え得る、強靭な財政基盤を確保すべきと考えるが、知事の見解を伺う。

【知事】

都は、都市の強靱化や、少子高齢化への対応など、東京・日本の将来を見据えた施策を積極的に展開していかなければならない。これらの取組を安定的かつ継続的に推進していくためには、年度間の財源調整機能を持つ基金と都債を戦略的に活用することが重要である。

こうした考えの下、令和5年度最終補正予算では、税収増や不断の見直しにより生み出した財源を活用し約3,500億円を基金に積み立てた。また、令和6年度予算では、未来への投資に積極的に活用しつつ、年度末における基金残高はリーマンショック前とほぼ同水準の1.6兆円を確保している。

さらに、都債については、将来世代の負担を考慮し計画的に活用しつつ、起債依存度を3.7%と、国や地方全体と比べ低い水準に維持するなど、健全な財政運営を行っている。

今後も、基金や都債などの財政対応力を最大限活用し、都政に課せられた使命を確実に果たしていく。

私立高校授業料の実質無償化

① 令和5年度の早期支給について

【質問】

いよいよ令和6年度から所得制限の撤廃ということで、都議会公明党の要望を踏まえて予算案に盛り込んだ知事の決断に敬意を表する。保護者負担の軽減については、保護者が実際に補助金を受け取るまでに数ヵ月を要しており、改善が必要と訴えてきた。

令和5年度から保護者への補助金支給の早期化が図られていると思うが、まず、その内容と支給時期について伺う。

【生活文化スポーツ局長】

私立高校授業料の保護者負担軽減については、授業料を負担している保護者にできる限り早期に補助金が支給できるよう、これまで書類による申請であったものを、令和5年度からオンライン申請とすることで、手続の簡素化及び審査事務の効率化を図り、支給時期をこれまでの12月から10月へ前倒ししている。

② 補助金受給対象の保護者の必要な手続きについて

【質問】

私立高校の授業料実質無償化に関する国と都の補助額を説明すると、年間の補助額である48万4千円のうち、590万円未満世帯の方々については、国の財源で39万6千円、都の財源で8万8千円を支給している。910万円未満590万円以上世帯のご家庭については、国の財源から11万8,800円、都の財源から36万5,200円を支給。そして、910万円以上世帯については、都の財源で全て48万4千円を賄うことになっている。

この所得制限を撤廃する新たな制度では、保護者からは、手続はしなくて良いのかといった問い合せも届いている。そこで、補助金の受給対象となる保護者は、令和6年度にどのような手続が必要か。また、補助金の支給時期について見解を求める。

【生活文化スポーツ局長】

私立高校授業料の保護者負担軽減補助金については、国と都の2つの制度がある。国の制度は所得制限があることに加え、所得により支給額が異なる。

都制度の支給額を決定するためには、所得審査により国制度の支給額を確定させる必要がある。

保護者は7月に所得状況等の情報を揃えて申請し、審査を開始する。令和5年度と同様の10月頃の支給を想定している。

③ 保護者の制度理解の促進について

【質問】

保護者にとっては国の財源か都の財源かは関係ないことである。所得制限撤廃後も令和5年と同じ10月に補助金の支給となると、一時的に保護者に負担いただくことになり、この負担は大変に重い。こうした令和6年度の実情を踏まえて、保護者に制度や手続について、ご理解いただくことが重要である。都の取り組みについて伺う。

【生活文化スポーツ局長】

令和6年度は、所得制限撤廃に伴い、都内在住の全ての生徒が受給対象となるため、その保護者全員に制度を理解し確実に申請をしていただく必要がある。

そのため、都は、リーフレットや手引きの内容を工夫するとともに、情報発信の頻度の増加や、電話回線の増設による問い合わせ窓口の体制強化など、学校とも緊密に連携して、周知にしっかりと取り組んでいく。

介護職員・介護支援専門員居住支援特別手当

① 非常勤の訪問介護員も特別手当の対象者に

【質問】

都議会公明党は、令和5年第4回定例会代表質問において、介護報酬を都が独自に設定できない代わりに、都独自の手当の支給による支援を求め、さらに、知事への予算要望では、家賃などコストの高い東京の特性を踏まえた手当の支給を要望した。これに対し、都は、居住支援の特別手当を支給することとしたことを評価する。

介護現場は、正規の職員だけでなく様々な方が働いている。特に、在宅介護の要である訪問介護サービスは、非常勤の訪問介護員が支えており、こうした方も手当の対象とすべきと考えるが、見解を伺う。

【福祉局長】

介護職員等の居住支援特別手当の対象者は、介護保険サービス事業所の介護職員や介護支援専門員、障害福祉サービス等事業所の福祉・介護職員であり、常勤職員だけでなく、週20時間以上勤務する非常勤職員も対象とする。

② 居住支援特別手当の支給時期につい

【質問】

令和6年4月支給分から補助の対象とするとのことだが、事業者によってはすぐに給与規定などの改正ができないことが予想される。そうした事業者でも、職員に支給した場合には、4月分から補助できるよう配慮すべきと考えるが、見解を伺う。

【福祉局長】

事業者が給与規程等の改正を行い、新たに居住支援特別手当を設け、介護職員等に遡及して支給した場合には令和6年4月分から補助の対象とする。

③ 介護事業者への配慮について

【質問】

介護業界は、大企業から個人で運営するなど様々あり、小規模な事業者は、皆、資金繰りに苦労している。社会保険料の雇用主負担分も補助の対象とすることは大変評価するが、資金繰りが厳しい小規模事業者こそ、本事業を活用できるよう配慮すべきと考えるが見解を伺う。

【福祉局長】

事業の実施に当たっては、手当支給の立替えが難しい小規模な介護事業者等でも利用しやすいよう、年間の手当支給予定額を前払いで交付できるようにする。

④ 全ての事業者に活用いただく取組について

【質問】

本事業は介護職員の処遇を改善する大変重要な事業であり、介護職員からの期待は大変大きい。全ての事業者に活用いただけるよう、十分な周知を行うとともに、早期に受付を開始し、丁寧に相談に応じていくべきと考えるが、具体的な取組について伺う。

【福祉局長】

令和6年3月中に区市町村や事業者団体等と連携して、介護事業者を対象とした説明会を開催するなど、本事業を事業者に周知するほか、4月には事業に関する問合せ窓口を開設し、6月中旬から補助申請の受付を開始する。

今後、事業を丁寧に周知していくことで、介護職員等の処遇改善に確実につながるよう取り組んでいく。

チャレンジ8

※都議会公明党の8つの政策目標。チャレンジ8とは、①第2子の保育料無償化、②高校3年生までの医療費無償化、③肺炎球菌ワクチン無償化、④がん治療への粒子線の導入、⑤駅ホームドアの整備、⑥高速道路上の料金所撤廃、⑦動物愛護センターの新設、⑧豪雨に備える地下調節池の整備である。

① 0歳から2歳までの保育料の第2子の無償化について

【質問】

都議会公明党の度重なる要望に対し、知事が英断されて進めてきた保育料無償化だが、企業主導型保育所への対応といった課題がある。認可外保育所である企業主導型保育所では、区市町村によって無償化の判断が分かれているため、同じ園に通っていても無償化になる家庭とそうでない家庭が出るなどしている。

昨年来要望してきた専業主婦のご家庭も利用できる事業も、令和6年度から第2子の保育料の無償化がスタートするこの機を捉え、企業主導型保育所において、区市町村の差なく無償化が進むよう取組を行っていくべきと考えるが、見解を求める。

【福祉局長】

都は、企業主導型保育施設を含め、指導監督基準を満たす認可外保育施設を第2子の保育料無償化の対象としており、対象施設を利用している方への補助は、保育の実施主体である区市町村が、地域の実情に応じて実施している。

今後、区市町村に対し、企業主導型保育施設など認可外保育施設の無償化の実態を詳細に調査し、その結果を待機児童対策協議会等において共有するとともに、より多くの児童が無償化の支援を受けられるよう、区市町村の取組状況に応じて、個別に働きかけていく。

② 高齢者肺炎球菌ワクチン接種の経過措置終了後の救済措置について

【質問】

都は、都議会公明党の求めに応じ、肺炎球菌ワクチンの定期予防接種に係る自己負担額を軽減する取組を進めてきたが、国は、令和5年12月に、突然、令和5年度末をもって経過措置を終了すると決定した。その結果、経過措置対象だった方は定期接種対象でなくなるため、費用負担が大きくなり接種控えが起きることが懸念されるが、令和6年度の都の取組について伺う。

【保健医療局長】

経過措置の終了に関する都民への周知期間が短いことや、コロナ禍における外出自粛の影響などにより、接種機会を逃した方が一定数存在する可能性を踏まえ、都は経過措置期間中に接種を受けることができなかった方に対する救済措置として、令和6年度に限り補助事業を実施することとした。

補助対象は65歳以上の全年齢とし、定期接種対象者は公費負担を除く自己負担額の一部を、全額自己負担である任意接種対象者は、区市町村が助成する額と同額を、それぞれ2,500円を上限に補助する。

③ 高齢者肺炎球菌ワクチンに係る都民への周知について

【質問】

令和6年度の補助事業は、令和5年度までの経過措置期間中に接種することができなかった方の救済を目的とした単年度事業であり、65歳以上の未接種者に対して周知がしっかりと行き渡ることが重要である。

区市町村に対する呼び掛けと、具体的な対応策について都の見解を求める。

【保健医療局長】

都は、令和6年度における補助事業について、予算案の発表後、実施主体である区市町村の担当者会議等を活用して事業の趣旨や内容を説明し、意見交換を行っている。

今後は、区市町村に対し、Q&Aを用いて制度の詳細を丁寧に説明するとともに、対象者への効果的な周知の好事例を区市町村間で共有し、円滑な事業実施につなげていく。

また、都のホームページに区市町村の事業実施状況を取りまとめて掲載するほか、都民向けの啓発用リーフレットを作成するなど、周知を図っていく。

【要望】

2025年度以降も、接種を希望される都民に対し、高齢者用肺炎球菌ワクチン定期接種を実質無償化にしていくべきと強く要望する。

④ がん治療の粒子線治療施設の整備について

【質問】

都の令和6年度予算案では、駒込病院への陽子線治療施設の整備に関する基本設計の費用として1億円が計上されており、一日でも早い整備が都民の命と健康を守ることにつながる。都として早期の供用開始を検討すべきと考えるが、知事の見解を求める。

【知事】

都は、がん対策推進計画において、医療提供体制の充実やライフステージに応じたきめ細かな支援などの施策を総合的に展開している。

粒子線治療は、体への負担が少なく、仕事や学業、日常生活との両立も可能な最先端の治療法である。都民のがん治療の選択肢が広がるよう、粒子線治療の中でも、小児がんを含め、様々ながんを治療できる陽子線治療施設を駒込病院に整備する。

令和5年度末に策定予定の整備計画に基づき、設計と工事工程を並行するなど、整備手法に工夫を凝らし、令和12年度の運用開始を目指していく。

⑤ 粒子線治療の専門人材の確保・育成について

【質問】

都立病院では、初めての粒子線治療であり、人材の確保・育成を同時に進めていかなければならない。見解を求める。

【保健医療局長】

陽子線治療施設の安定的な稼働には、専門人材の確保などの体制づくりが重要である。

今後、陽子線治療の経験者の採用や、陽子線治療施設を導入している大学病院等での放射線治療医や医学物理士、放射線技師、看護師等の継続的な研修受講などにより、専門人材を確保・育成していく。

【要望】

都議会公明党は、駒込病院と共に、小児総合医療センターに隣接する多摩総合医療センターに陽子線治療を整備すべきと訴えてきた。小児総合医療センターは、我が国でトップの小児の治療体制を誇る病院であり、小児の治療にお母さんやご家族が宿泊できる施設も準備している。小児がんに有効な粒子線治療として陽子線治療が決まったことからも、多摩総合医療センターにも設置することを強く要望する。

⑥ ホームドアについて

【質問】

「駅ホームドアの設置」については、都議会公明党が令和3年から令和5年にわたり整備推進を訴えてきた。これまでの質疑を踏まえ、一層整備の加速が求められているJR及び私鉄駅について、令和5年度のホームドア整備の実績と令和6年度の取組について伺う。

【都市整備局長】

都は、ホームドア整備について、JR及び私鉄駅では2030年度に約6割の駅に設置することを目標とし、早期整備に向け、事業者に整備計画の拡充を求めている。これに対し、令和5年度、JRなど6社が、整備計画として整備予定の全駅名を明らかにした。

令和5年度末には、JR及び私鉄駅の14駅でホームドアが新設される見込みであり、令和6年度は18駅に補助を行う。また、整備前倒しに向け、年度にとらわれず工事を進められるよう、債務負担行為を活用した補助も開始する。

都は、引き続き、事業者に整備計画の充実、前倒しを求めるなど、更なるホームドア整備の推進を図っていく。

⑦ 動物愛護相談センターの整備基本計画について

【質問】

都議会公明党は、新たな動物愛護相談センターの整備について、しっかりとした保護機能つきの施設にするとともに、多くの人が気軽に立ち寄って楽しめるアミューズメント性も備えた施設にするよう訴えてきた。

都は、令和5年度に新たなセンター整備に向けて基本計画を策定するとしている。間もなく基本計画が公表されると思うが、取組状況について伺う。

【保健医療局長】

動物愛護相談センターは、都の動物愛護管理施策の中核を担う施設として、本所、城南島出張所、多摩支所の3施設が役割を分担し、動物愛護管理に関する普及啓発や動物譲渡、事業者の監視指導等の業務に対応している。

センターを都民に身近な動物との共生推進拠点とするには、保護した動物の飼養環境の向上や都民等との協働の促進など、本所をはじめ3施設が有する現在の機能を強化する必要がある。

このため、令和5年度末に策定する基本計画の中で、新たなセンターの機能の在り方について、本所の移転やサテライトの新設など、それぞれの場合ごとに示すことを検討している。

⑧ 動物愛護相談センターの整備候補地について

【質問】

整備地の決定に当たっては、周辺の住民の方々の理解を得ていくことが不可欠となる。そのためには、令和6年度のできるだけ早い時期に整備地を絞り込む必要があるが、令和6年度の取組について伺う。

【保健医療局長】

令和6年度は、この基本計画に基づき整備を進めるため、機能の在り方を踏まえた整備候補地の検討を行い、建築規模や設備を具体化するなど、新たなセンターの基本設計に向けた取組を進めていく。

⑨ 豪雨に備える地下調節池について

【質問】

激甚化、頻発化する豪雨に対しては、大きな効果を発揮する調節池の整備をさらに推進していく必要がある。将来は、気候変動による気温上昇に伴い、降雨量がさらに増加していく予測もある。

工事にあたっては、地域住民の皆様のご理解、ご協力をいただけるよう、丁寧にご対応いただくことはいうまでもないが、その上で将来にわたって豪雨から都民の安心、安全を守っていく必要がある。今後の調節池整備の取組について伺う。

【東京都技監】

激甚化、頻発化する豪雨から都民の命と暮らしを守るためには、護岸の整備と併せて、豪雨に対して大きな効果を発揮する調節池の整備を推進することが重要である。

都は、これまでに27か所、総貯留量約264万立米の調節池を整備し、現在、城北中央公園調節池など8か所で工事を進めている。令和6年度は、新たに、仮称境川中流第三調節池等の工事に着手する。

また、気候変動の影響を踏まえ、2030年度までに約200万立米の調節池の事業化を目指し、神田川など10河川において、候補地や形式の検討を実施する。加えて、新たな整備手法である地下河川の事業化に向けた取組に着手する。

こうした取組により、水害に強い都市東京を実現する。

子ども・子育て施策

① 子供政策連携室設置の意義と効果について

【質問】

都議会公明党が原案を作成した「東京都こども基本条例」が全会派一致で可決・成立し、2021年4月に施行され、都においては、子供政策の司令塔となる子供政策連携室が、2022年4月に発足した。

子供政策連携室という組織を、どのような思いを込めて立ち上げたのか。そして、子供政策連携室ができたことで、都の子供政策がどのように変わったのか、知事の基本認識を伺う。

【知事】

都政全体を子供目線で捉え直し、福祉・教育といった行政分野の垣根を越えて子供目線を徹底した政策を展開するために、子供政策連携室を令和4年度設置した。

子供政策連携室が、子供政策の企画立案機能や総合調整機能を一元的に担うことで、従来の延長線にとどまらない、具体的なアクションに果断に踏み出している。

令和6年度予算案には、乳幼児の非認知能力を育む「とうきょう すくわくプログラム」の都内全域での展開や、フリースクール等の支援など、都独自の施策を盛り込んだところである。

今この瞬間にも子供はどんどん成長している。困難を抱えた子供を守り支え、全ての子供が健やかに成長できるよう、スピード感を持って子供政策を不断にバージョンアップしていく。

② 子供との対話について

【質問】

子供政策連携室が旗振り役となって、子供との対話を実践されているところであるが、庁内各局の事務事業においても子供との対話に取り組んでいくよう、子供政策連携室がリーダーシップを発揮していくべきと考えるが、見解を伺う。

【子供政策連携室長】

子供政策連携室では令和5年度、子供の居場所におけるヒアリングの実施規模を大幅に拡大したところであり、実践を通じて様々なノウハウや知見を蓄積してきた。

令和6年度、こうしたヒアリング型の対話を都庁全体に広げていくため、新たに立ち上げた専門家会議の意見も取り入れながら、具体的な手法や留意点等を取りまとめた実践事例集を令和5年度内に作成し、庁内各局と共有していく。

さらに、各局の事務事業において、子供との対話が円滑に実践されるよう、伴走型の支援にも取り組んでいく。

これらを通じて、庁内各局における子供との対話の質を高めていく。

③ 子供の遊び場づくりについて

【質問】

「子供の遊び」という政策テーマについて、子供の声をしっかり受け止めた上で「子供の最善の利益」という視点に立って、子供たちが思い切り遊べる遊び場づくりを強力に推進していくべきと考えるが、見解を伺う。

【子供政策連携室長】

こども都庁モニターや子供の居場所におけるヒアリングなどを通じて、プレーパークやボール遊び場などに対するニーズが高いことを踏まえ、令和6年度、子供の意見を反映した遊び場づくりを強力に推進していく。

具体的には、区市町村が子供の意見を踏まえながら、地域の資源を活用した遊び場等を整備する事業に対し、補助率10分の10、1か年度1億円を限度に、最大3か年の補助を行うとともに、新規採択事業の予算規模を倍増させる。

これにより、子供目線に立った魅力的な遊び場を増やしていく。

④ フリースクール等への支援について

【質問】

これまで、フリースクールに対して公的な支援は行われず、フリースクールの経営者からは、子供たちのために活動内容を充実させたくても、公的な支援がないため、現状では困難であるとの声も伺っている。

「子供の最善の利益」という観点から、フリースクールに対するきめ細かな財政支援に取り組むべきと考えるが、見解を伺う。

【子供政策連携室長】

都は令和6年度、子供の活動支援の充実等に取り組むフリースクール等に対する補助制度を創設する。

具体的には、不登校状態にある義務教育段階の児童生徒への支援等を主たる目的とした都内の通所型施設であり、子供一人ひとりのサポートプランを作成・実践する施設を補助対象事業者とし、予算規模を50団体とする。

また、サポートプランの作成・実践に係る人件費や、防犯カメラの設置等の安全性向上に資する経費、子供の体験活動の充実に係る経費等を補助対象経費とする。補助率は2分の1を基本とした上で、サポートプランの作成・実践に係る人件費については4分の3に引き上げ、さらに、小規模な施設が作成・実践する場合は10分の10に引き上げる。

⑤ 親の就労によらない集団保育の活用について

【質問】

国事業で「こども誰でも通園制度」というものがあるが、国事業と都事業の令和6年度の違いについて答弁を求める。

【福祉局長】

国事業では、対象となる子供の年齢が0歳6か月から2歳までとしているほか、利用時間の上限が1月当たり10時間までとされている。

都は令和5年度、他者との関わりの中で、非認知能力の向上など、子供の成長が図られるよう、保護者の就労等の有無にかかわらず、保育所等で児童を定期的に預かる取組を開始した。この取組では、より多くの児童が利用できるよう、国事業では対象とならない0歳6か月未満や3歳以上の就学前児童も対象とするほか、利用時間の上限を設けていない。また、令和6年度から第2子以降の利用料を無償化する。

令和6年度実施予定の自治体については、国事業は4自治体、都事業は33自治体である。

⑥ 保育士等キャリアアップ補助について

【質問】

都事業である多様な他者との関わり創出事業を進めるためには、保育人材の積極的な確保・育成に取り組んでいくことが重要である。このため、保育職の賃金増や研修支援なども代表質問や知事要望などで行ってきた。

そこで、保育人材の確保と育成に関し、保育士等キャリアアップ補助について明らかにするとともに研修支援について答弁を求める。

【福祉局長】

国は、一定の要件を満たした場合に保育士等に対する処遇改善の加算を設けているが、国の加算対象人数には上限があり、十分な改善につながっていない状況がある。

そのため都は、保育士等キャリアアップ補助について、令和6年度から、処遇改善等加算の要件を満たし、国の加算対象上限を超えて配置した場合に、1人当たり月額5,000円を独自に補助する。

また、研修支援については、保育士等が研修に参加する際の代替保育士の雇上げ経費や研修受講費用などを、1人当たり32,000円を上限に、令和6年度から3年間、包括補助により補助率10分の10で支援する。

⑦ ジュニア世代のスポーツ振興について

【質問】

メディアではあまり取り上げられないスポーツであっても、世界に挑戦し、自分の夢を追い求める子供たちがいる。

日本のみならず、海外のアスリートとも切磋琢磨するジュニア選手を応援するとともに、子供たちが幅広いスポーツを知り、運動やスポーツに自ら進んで取り組みたいと思えるようにするべきと考えるが、見解を伺う。

【生活文化スポーツ局長】

都はこれまで、ジュニア世代がスポーツに親しめるよう、競技団体と連携した体験会を開催するとともに、プロスポーツの観戦会等を実施してきた。今後は、子供たちが、より一層夢をもって羽ばたけるよう、新たにTOKYOジュニアスポーツアンバサダー事業を開始する。

具体的には、競技の魅力や国際大会での経験を、子供ならではの感性で発信することなどを都が支援し、同世代を中心にスポーツへの憧れや興味を喚起する。

こうしたことを通じて、子供たちが多様なスポーツに取り組む気運を醸成し、多くのジュニア選手の国際大会へのチャレンジを後押ししていく。

高齢者施策について

【質問】

都議会公明党は、約8割の元気な高齢者の皆様が健康寿命を延ばしていただくため、シルバーパスやシルバー人材センターの充実、地域での交流や社会参加のための施策の重要性を指摘してきた。

都は令和7年度、社会参加を希望する方を様々な活動につなげるオンラインプラットフォーム構築を予定しており、令和5年度から、先行実施サイトを開始したほか、会食を通じた居場所づくりを支援している。

令和6年度は取組を充実させ、高齢者が身近な地域や社会で自分らしく活躍できる環境づくりを推進すべき。見解を伺う。

【福祉局長】

都は、シニア・プレシニアを社会参加活動につなげる「地域参加のトビラ」を令和5年9月からホームページに公開しており、令和6年度は、地域活動等の情報提供に加え、人手不足が深刻化する介護現場での有償ボランティア等とのマッチングを行う「Chot介護」を開始する。

また、現在、地域で高齢者が気軽に立ち寄り会食できる、食堂などの居場所づくりに取り組む区市町村を支援しており、令和6年度は新たに、高齢者自身がスタッフとして活動する場合には、食堂の立上げに係る経費を、補助率10分の10で支援する。

こうした取組を通じて、高齢者がこれまでの経験を生かして、地域社会を支える担い手としても活躍できる環境づくりを一層推進していく。

若者支援

① 若者の居場所づくりについて

【質問】

令和5年第4回定例会で、都議会公明党は、社会的孤立に悩む若者にとって、夜の時間を安心して過ごせる居場所づくりが重要であり、都内各所に若者の居場所の設置を進めるように求めた。都からは、更なる居場所の確保に向けて取り組むとの答弁があったところであるが、地域における若者の居場所づくりに対し、更なる支援を行うべきと考えるが、見解を求める。

【生活文化スポーツ局生活安全担当局長】

都は、区市町村が若者への支援施策を円滑に実施できるよう、相談センターの設置や居場所づくり等に対し補助を行っている。

若者の抱える問題が複雑化する中、より多くの区市町村で、それぞれのニーズに応じた若者の居場所づくりが進むよう、令和6年度から、補助上限額を200万円から300万円に引き上げる。

今後、区市町村に対し、新たな居場所の設置や、既存施設の夜間延長等を働きかけていく。

② 悩みを抱える若者への居場所情報の提供について

【質問】

都内各所への若者の居場所の設置に向けて取り組んでいただきたいが、現状は誰しも身近に居場所があるとは言い難い。住む場所に関わらず、若者の誰もが居場所を確保できるよう、広域自治体としての都の取組が求められている。見解を伺う。

【生活文化スポーツ局生活安全担当局長】

都は令和6年度、悩みを抱える若者が、自分に合ったサポートや居場所を見つけられるよう、スマートフォン等で、いつでも気軽に、困りごとに応じた相談窓口や支援内容等を検索できるポータルサイト「若ぽたプラス」を構築する。

このサイトにおいて、様々な民間支援団体と連携して、住む場所に関わらず、誰もが利用できる居場所を掲載し、団体からのメッセージや利用者の声を動画等で分かりやすく紹介するなど、若者利用に繋がるよう情報発信を行っていく。

被災地支援

① 被災地応援ツアーについて

【質問】

都議会公明党が提案して実現した、福島県への被災地応援ツアーについては、令和6年度予算において、1億円の予算をつけ、1人1泊3千円を支援する事業として、継続実施することは、高く評価する。

東日本大震災から13年が経った令和6年度においても実施する意義について、知事の見解を伺う。

【知事】

東日本大震災の発生から昨日で13年が経過し、被災によるダメージの大きかった福島は、多くの困難と向き合い、復興を着実に進めてきた。その歩みを引き続きしっかり後押しすることは大切だ。

都は、震災直後の平成23年度より被災地応援ツアーを実施し、東京から福島に旅行者が訪れる仕組みをつくり、復興に向けた現地の努力を下支えしてきた。

福島への来訪者の数は、感染症の影響による一時的な落ち込みはあったが、回復に向かっている。観光のいち早い復興を通じ、多くの方が震災の記憶に触れる貴重な機会にもつなげたい。

福島県の観光を取り巻く状況や現地の要望を十分に踏まえて、令和6年度も、被災地応援ツアーを実施し、震災からの復興につなげていく。

② 石川県への観光面からの支援について

【質問】

能登半島地震により、石川県は、産業や観光が大きなダメージを受けている。県内の観光地を観光客が訪れることにより、石川県の経済が盛り上がり、結果、被災地の復興を後押しすることになると考える。

そこで、都議会公明党は、代表質問で取り上げたところ、都は現地に職員も出向き状況を把握した上で、観光にふさわしい地域や時期に関する情報の発信を進めるとの答弁があった。

石川県に職員が出向き観光面での状況を調査した結果を踏まえた、今後の対応について、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

都では職員が石川県に出向き、現地で旅行者の来訪や旅館等の観光関連施設の状況の把握を行うほか、県庁で様々な地域の観光の様子について情報の提供を受けた。

これにより、現在、震災による被害は少なかったが、観光客の数は十分に回復していないエリアのあることが分かった。また、多くの観光スポットを抱える金沢について、震災直後の1か月は来訪者が大幅に減ったが、現在は回復が進んでいるとのことであった。

国による観光支援や新幹線の延伸により、今後、春にかけ、県内の観光の回復が期待されている。

引き続き、県庁と意見交換を行いながら、都と石川県とが連携したプロモーションの実施について検討する。

③ 被災地支援の取組について

【質問】

大消費地を抱える中央卸売市場においても、都議会公明党の提案を受け、被災地支援に取り組んでいる。

令和5年7月から、豊洲市場の水産仲卸団体が、福島県水産物を中心にPRする事業である「三陸常磐 夢市・楽座」の取組のように、被災地を応援していくことは、十分社会的意義があると考えるが、知事の見解を伺う。

【知事】

東日本大震災や、能登半島地震など被災地における水産物の取引を活性化させるためには、大消費地である東京において、その消費拡大に向けた取組を進める必要がある。

このため、東日本大震災から13年となった今般、岩手県、宮城県、福島県を引き続き応援するために、3県の水産物の魅力を紹介する動画を作成した。

これに先立ち、令和6年1月、豊洲市場を訪問した際には、商品知識の豊富な市場関係者が三陸常磐ものの良さを都民に直接伝える「夢市・楽座」の取組に接し、卸売市場の発信力の大きさを実感した。

今後も、被災地産品の流通拡大に向け、生鮮食料品等の供給拠点である卸売市場の特性を活かした方策を、業界とともに講じていく。

防災対策

① 水圧測定機器の導入について

【質問】

都議会公明党は、重要施設における地震等による水道管路の被害を即時に把握し、迅速な復旧活動を行うため、水道管路の水圧を遠隔で監視するシステムの整備が重要であると主張してきた。水道局からは、首都中枢機関などに対して水圧測定器を導入し、令和4年度末までに設置が完了し、令和5年度からは設置対象を拡大していると答弁があった。

水圧測定機器の設置対象と設置の優先順位について伺う。

【水道局長】

水道局では、震災時に給水状況を直ちに把握するため、平成28年度から水圧を遠隔で監視するシステムを導入し、水圧測定機器を国会議事堂や中央省庁などの首都中枢機関、三次救急医療機関、災害拠点病院、142施設について、令和4年度末までに設置した。

令和5年度からは、対象の医療機関を拡大するほか、多数の避難者が集まる施設等も新たに追加し、約800施設について、令和8年度までの4か年で設置を進めている。

整備に当たっては、二次救急医療機関、災害拠点連携病院を優先し、人命救助につながる重要な施設の速やかな復旧に備えていく。

② 能登半島地震に伴う水道復旧について

【質問】

能登半島地震に伴う水道復旧では、地震被害の大きさに加え、仮復旧ではなく、本復旧を優先して進展がはかどらないとの話もある。現地の現状をどう認識しているのか、見解を求める。

【水道局長】

今回の地震で水道局が復旧支援している輪島市では、浄水場や、浄水場と配水池とをつなぐ基幹管路が損傷したほか、配水管についても、広範囲に損傷しており、これら管路の復旧に時間を要している。

路上への仮配管等の仮復旧は、道路の掘削を必要とせず、施工が容易であり、早期の通水に有効な手法である一方、倒壊家屋が多数ある輪島市では、がれき撤去や、宅地への車の出入りの支障となることが懸念され、路上への仮配管の採用が当初、見送られた。

その後、管路の被害状況等を踏まえ、土砂崩れで道路を迂回する箇所や、橋梁部、倒壊建物の少ない山間部等に仮配管を採用し、復旧作業を進めている。

③ 都内で発災した際の水道管の復旧について

【質問】

都内で大規模地震の発生時は、本復旧を優先することなく、仮復旧を優先し、水道管による給水の復活を急ぐべきと考えるが、見解を求める。

【水道局長】

水道局では、被害想定における断水率が高い地域を取替優先地域と位置付け、優先的に配水管の耐震継手化に取り組むとともに、管路のネットワーク化・二重化を進め、断水被害の軽減を図っている。

一方、災害により断水が発生した場合には、都民の生活に欠かせない水を供給することが何よりも大切である。そのため、避難所など重要な施設に対しては仮配管を優先する等、あらゆる手法を活用し、速やかに通水を確保していく。

今回の地震で支援に携わった事業者や職員の経験、被害実態の分析等も踏まえ、想定される首都直下地震等への対応に万全を期していく。

④ 被災者支援に関する情報提供について

【質問】

能登半島地震では、富山市に拠点を構えるIT企業が、被災者が困っていることをAIチャットボットに質問すると、約100の支援制度の中から該当する支援を回答してくれるサービスを無償で公開している。

都は、AIチャットボットを活用し、大規模災害発生時に備えて、都民が手軽な方法で被災者支援に関する情報を手に入れることができるようにすべきと考えるが、見解を伺う。

【総務局長】

発災後、被災した都民が円滑に支援を受けるためには、平時から必要な情報を正確かつ迅速に収集できる仕組みが重要である。

このため都は、防災ブックや防災アプリ、震災復興マニュアルなど様々な媒体により、発災後に生活再建への支援を行う制度を分かりやすく発信してきた。

今後は、被災者が、発災後の支援に関する情報を対話形式で得られるよう、防災ホームページに設けているチャットボットを活用した情報提供のあり方を検討する。

⑤ 災害対策における先端技術の活用について

【質問】

能登半島地震では、膨大な災害対応業務が発生し、マンパワーが不足しており、デジタルの活用が課題になっていると聞いている。

今後、都の災害対策に先端のデジタル技術をより一層、積極的に活用していくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【デジタルサービス局長】

デジタル技術を災害対策に最大限活用できるよう全庁的な取組を進めるため、地形や建物を3次元でデジタル上に再現できる点群データを効果的に活用できる庁内利用環境を令和6年度整備する。関係局と連携して、発災前後の地形比較等、具体的な事例での検証を進め、発災時の迅速な復旧・復興への活用につなげていく。

また、新たに夜間や悪天候でも広域撮影が可能な人工衛星等のデータを取得し、発災直後の迅速な状況把握への活用や、倒壊家屋のAIによる自動判別等の実証を行い、業務効率化による人的資源の有効活用につなげる。

各局とともに、新技術の活用を進め、DX(デジタル・トランスフォーメーション)による災害対策の高度化を図っていく。

⑥ 女性の視点を取り入れた防災施策の展開について

【質問】

防災対策に女性視点を入れることが必要であると、都議会公明党は、東日本大震災の教訓から、都に求めてきた。防災のあらゆる施策で、女性の視点を取り入れていくべきであるが、知事の見解を伺う。

【知事】

大規模災害が発生した時には、様々な場面で、被災者に対するきめ細かな支援が必要であり、女性の視点に立った配慮が欠かせない。

都はこれまで、「東京くらし防災」の作成や女性防災リーダーの育成、乳児用液体ミルクの確保など、防災施策に女性の視点を取り入れてきた。

また、東京都防災会議条例の改正等により、女性委員の任用は、現在、38名中、20名と、50パーセントを超えており、女性の声を地域防災計画の修正などに、反映させている。

今後も、家庭や地域での備蓄や、発災後の衛生環境の整備、被災者からの様々な相談への対応など、事前の備えから応急復旧段階の生活支援に至るまで幅広く女性の視点を防災対策に反映していく。

こうした取組により、都民の安全・安心を確保していく。

芸術文化施策

① 芸術文化へのアクセシビリティ向上に向けた取組について

【質問】

2025年のデフリンピック開催を契機として、聴覚障がいがある方が芸術文化に親しめる環境の整備をしていくことが重要である。デフリンピックを開催する東京において、聴覚障がい者が芸術文化を楽しめる取組を進めるべきと考えるが、都の見解を伺う。

【生活文化スポーツ局長】

デフリンピックの開催を契機として、芸術文化の面から共生社会の実現に寄与していくことは重要である。

都は、都立文化施設等において、障害者向けプログラムを実施しており、令和6年度は、より多くの鑑賞機会を提供するため、ポータブル字幕機などのツールを導入するほか、手話通訳付きのプログラムなどを新たに展開する。

また、民間団体が開催する公演等に対して、150万円を上限に費用を全額助成する鑑賞サポートに特化した制度を創設するなど、障害の有無に関わらず、誰もが芸術文化に親しめる環境を整備していく。

② アートを通じた情報保障の取組について

【質問】

都議会公明党はかねてより、芸術文化を担い、志す方々の活動を支援し、積極的なサポート体制を構築することを求めてきた。これを受けて、令和5年10月に東京芸術文化サポートセンター「アートノト」がオープンした。

アートノトと連携し、より多くの団体が情報保障の取組を推進できるよう、団体へのきめ細かなサポートをすべきと考えるが、都の見解を伺う。

※「アートノト」は、さまざまな“アートの戸(と)”を開くことでアートのアレコレの解決につなげ、東京が芸術文化都市としてもっと輝く“アートの都(と)”にという思いが込められている。

【生活文化スポーツ局長】

多くの芸術文化団体に情報保障の取組を広めるため、都内で活動するアーティスト等を総合的に支援する窓口「アートノト」では、令和6年度から、障害への理解や鑑賞サポートのノウハウを普及するための講座を新たに開設する。

また、民間団体等の優れた事例など、活動に役立つ情報へのアクセスにつなげ、取組を一層普及させるため、LINEを活用したプッシュ型の情報提供を開始する。

相談窓口を活用して、専門家とも連携しながら、芸術文化団体が障害者へ適切な対応ができるように支援していく。

治安対策

① 痴漢対策について

【質問】

都議会公明党は、2003年、痴漢被害から女性を守るために、都営地下鉄への女性専用車両の導入を提案し、2005年に都営新宿線に導入された。また、2022年の本会議などの質問を通して、都営大江戸線で女性専用車両の導入が決定され、2023年1月18日より運行が開始された。都は令和5年度、実態把握調査を実施したほか、キャンペーンを展開するなど、痴漢撲滅に向けた取組を進めている。

令和6年度は、大学や高校の受験日に合わせた取組等を進めていくべきと考える。今後の取組を更に有効にしていくことが重要であるが、都の取組を伺う。

【生活文化スポーツ局生活安全担当局長】

痴漢被害をなくすためには、第三者の行動が有効であり、都は、鉄道事業者等と共に、動画の配信やグッズの配布などを行ってきた。

令和6年度は、受験シーズンの痴漢被害をより効果的に防ぐため、受験日や受験生が集まるターミナル駅等も意識して、啓発活動を実施する日時や場所を工夫するなど、戦略的なキャンペーンを展開する。

加えて、鉄道事業者等と連携し、「痴漢は犯罪である」というメッセージを強力に発信するなど、痴漢撲滅に向けた取組を推進していく。

② 点滅機能付きキーホルダーの普及について

【質問】

都が令和5年度に作成した「点滅機能付きキーホルダー」は、痴漢被害に遭った際や目撃した際に使うことができ、痴漢被害を止める効果が期待される。子供や若者の意見も聞きながら、このキーホルダーを、より普及して、痴漢撲滅を進めることが必要と考えるが、見解を伺う。

【生活文化スポーツ局生活安全担当局長】

令和5年度に作成したキーホルダーは、都の安全安心を推進するキャラクターである「みまもりぃぬ」をデザインしたもので、着用し「痴漢NO」の意思を示すとともに、点滅させることで周囲の注目を集め、加害行為を止めさせることを目的としている。

作成に当たっては、とりわけ被害に遭いやすい若者から意見を聞いており、駅窓口やイベント会場等で配布している。

今後、高校の協力を得て生徒に配布し、使いやすさなどについてアンケートを行う。それを参考に、機能やデザイン等をより使いやすいものとし、キーホルダーの普及拡大を図っていく。

医療体制

① 帯状疱疹ワクチンについて

【質問】

都議会公明党は、令和4年の定例会で、帯状疱疹ワクチンへの費用助成について提案し、それを受けて、令和5年度から都が接種費用について実施する区市町村への補助を開始した。初年度の実績と今後の都の取組について伺う。

【保健医療局長】

都は、帯状疱疹ワクチンが定期接種化されるまでの措置として、令和5年度から、接種費用の助成を行う区市町村に対し、経費の2分の1を補助する独自の財政支援を実施しており、60の区市町村から交付申請を受けている。

また、ホームページに区市町村の実施状況を掲載するほか、帯状疱疹の原因や症状、ワクチンの種類や有効性等について、分かりやすく紹介している。

令和6年度の実施に当たっては、接種希望者が助成制度を利用できるよう、区市町村の取組状況を踏まえた経費を予算計上するとともに、事業の周知に向け、SNS等も活用し、広く情報発信していく。あわせて、国に対し、定期接種化に向けた検討の促進を改めて働きかけていく。

② 医師の働き方改革について

【質問】

医師の働き方改革が令和6年4月から始まる。

都議会公明党は、医師の時間外労働の上限規制適用後も、引き続き、大学病院から医師が派遣され、地域の医療体制が確保できるよう、国に対して働きかけを行うべきと求めてきた。

令和6年4月から上限規制の適用が開始されるが、医師の派遣に向けた都の取組について伺う。

【保健医療局長】

医師の働き方改革により、勤務医の時間外・休日労働時間の上限規制が適用された後においても、地域医療提供体制を安定的に確保していくことは重要である。

このため都は、国に対し、地域に必要な医療機能の確保や医療機関の経営への影響も考慮した支援等を提案要求している。

令和6年度は、地域医療介護総合確保基金を活用し、大学病院等から医師派遣を受けている地域の中核病院等が診療に支障を来さぬよう、新たな支援を開始する。

具体的には、派遣元の大学病院等に対し、派遣する医師の診療があれば得られた利益相当額を補助することで着実な派遣を支援し、地域医療の確保に努めていく。

働く女性の健康課題

【質問】

令和6年度、都は「働く女性のウェルネス(心身の健康)向上事業」を開始した。令和5年度の取組について、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

女性に特有の健康上の課題に対応し、職場でその活躍を後押しする事業者を支援することは重要である。

これまで都は、働く女性の健康を支える優れた取組を進める会社の事例をウェブにより幅広く紹介している。

また、女性の健康や体調の管理に係る知識やノウハウを提供する講座を動画により配信している。

これらに加え、令和6年度、企業が女性に特有の健康課題に関し、新たな職場環境の整備を図る場合に10万円の奨励金を支給する。このサポートにより、女性がリモートで医師と健康面の相談をできる仕組みの導入や、社内の洗面所の中で体調を整えるスペースの整備等を後押しする。

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